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平成28年度 授業創造プラン
確かな学力を育成するために -平成28年度学力調査結果分析と授業創造プラン- 本年度、本校では、3年生が学力診断テスト(国・算)、4年生が CRT テスト(4年国・算・ 社・理)、5年生が都教育委員会学力調査(国・算・社・理)、文部科学省全国学力調査(国・ 算)を実施しました。業者から送付された分析結果(3年学力テスト、4年CRT)や、学校 独自に分析を進めた内容を踏まえ、本校の実態把握を進めてきました。個々の児童への指導と 同時に、児童の実態に即した学校全体としての授業改善を進めるため、校内で授業改善委員会 (授業創造プラン検討委員会)を発足させました。全教員を国語、算数、理科、社会の四部会 に分け、各教科の授業改善推進プランについて検討を重ね、ここに本年度の夢が丘小学校授業 改善推進プラン(授業創造プラン)を作成しました。確かな学力を育成するため、このプラン をもとに全校をあげて指導を進めていきます。 ※ CRTとは、 「目標基準準拠検査」の意味であり、学習指導要領に示す指導目標に照らして どう到達しているかを表す検査です。行政実施の調査とは別に全国的に採用されています。 1 夢が丘小学校の目指す「学力向上のための授業創造プラン」の取り組み 授業の充実(授業創造プラン) ・各教科の基礎・基本の確実な定着 ・指導計画と教材研究 ・個に応じた指導の充実 ・ICT の活用 教師の授業力 ・ 校内研究 ・ OJT 研修 ・教員相互の授業参観、交流 ・リフレクションシートの活用 ・PDCA サイクルでの授業改善 ・研修会への参加 学力の向上 学びを支える条件 ・学習規律 ・学習準備 ・話の聞き方、ノートのとり方 ・豊かな直接、間接体験 ・読書指導の充実 ・学びの動機づけ、学ぶ姿勢 家庭での基本的な生活習慣 ・適切な睡眠時間 ・朝食、排便 ・家庭学習の習慣化 ・読書生活の充実 ・計画的な TV 視聴、ゲーム ・次の日の準備 2 授業創造推進プラン <国語科 授業創造プラン> 指導上の課題 課題に対する授業の改善プラン 問題点1 改善プラン1 文章を読み取る力 説明的な文章を読む際には、以下の点に留意して正確な読み取 ・説明文の読み取りが苦手な傾向がある。 りができるよう指導する。 ・読み取りをするための学習課題を明確にして指導する。 ・表現の多様性を意識し、設問をパターン化せず工夫する。 ・時間的な順序や事柄の順序を押さえる。 ・要点をおさえ、要約した文章を書く。 ・事実と意見の違いを明確に区別させる。 ・接続語や指示語が示す内容を明らかする。 (文と文、段落相互 の関係) ・文章全体から内容や要旨を的確にとら ・5W1Hを理解させ、内容の大体とキーワードを見付けるこ えて読む力が弱い。 とができるようにする。 ・音読をする習慣を身に付ける。 ・語彙が少ない ・学年ごとの課題図書には触れられるような読書環境をつくる。 ・短歌や俳句を作り、言語感覚を育成する。 ・言語事項は、東京ベーシックドリルを活用し繰り返し行う。 ・特に3年以上では、各階のアルコープに児童数分の辞書を用 意し日常的に活用させる。 ・漢字の学習では、短文づくりに力を入れ、言葉の意味を確実 につかみ、活用できるようにする。 問題点2 改善プラン2 論理的な文章を書く力 ・低学年から、日記や授業の振り返りなどを書くことを日常的 ・書くことの中心を明確にし、理由や事 に取り入れる。 例を挙げて簡潔に書くことが苦手であ ・文の構成の仕方や書く目的を明確にして指導する。 る。 ・課題や、文字数を指定して内容のまとめを書く学習を積み重 ねる。 (新聞の記事の利用やキーワードを活用した文章づくり を通して、中心を明確にして書けるように指導する。) ・意見文を書く力を身に付けさせる。比較して分析する、作者 の考えを基にして、自分の考えをもつことを意識させる。 問題点3 改善プラン3 話したり聞いたりする力 ・1分間スピーチに取り組む。 ・聞き取る力、話す力をさらに伸ばす。 ・スピーチの内容は学年ごとに「出来事→ニュース→調査報告 →意見…」などのように高めていく。 ・聞き手は、聞いた事の要点をメモし、第三者にも相手に分か りやすく伝えるなど、聞く力の向上を図る。 <社会科 授業創造プラン> 問題点1 改善プラン1 関心意欲が高くない ・高学年で教科担任制(社会科と理科の一部)を導入し、 授業準備、指導構想の充実を図る。 ・導入を改善し、意欲をもたせるために、具体物の提示、 ICT の活用を積極的に進める。 ・専門的な知識のあるゲストティーチャーを招き、授業を 活性化させるために、ノウハウやゲストティーチャー一 覧等の資料をファイルして活用する。 問題点2 改善プラン2 資料活用の能力が弱い ・グラフや表から読み取れることを文章化する習慣をつけ る。 ・グラフの読み取りでは、数値、出典、タイトルなどを押 さえた上で、全体の変化の傾向、変化の要因やほかの資 料との関連づけ、未来の予測を活動として取り入れる。 ・調べ学習では、直接取材に重きを置き、中学年では書籍 等から、高学年では必要に応じてインターネットを活用 し学習を進める。 ・自分で資料(グラフや表)を作成させ、分かりやすく説 明するツールとしての有用性に気付かせる。 ・社会科新聞を作らせる場合は、必ずグラフや表などの資 料を入れ、学習課題に沿ったテーマの設定を行わせる。 問題点3 改善プラン3 知識理解が定着していない ・課題解決型学習を取り入れる。学習問題の設定→予想→ 調べ学習→まとめ(発表)の学習の流れで授業を行う。 ・毎時間知識を獲得するための時間を設定し、ベーシック ドリル、クイズ、フラッシュカード、ゲームなどの活動 に取り組ませる。 <算数 授業創造プラン> 指導上の課題 問題点1 課題に対する授業の改善プラン 改善プラン1 ・四則計算や十進位取り法などの基礎的、基本的 ・週に一度、学習している内容に関わる既習がど 内容は定着してきているが、児童による差が大 の程度定着しているかを見取り、定着するため きい。 の「計算小テスト」を継続して実施する。 ・各時間で学んだ知識や技能を使う「当てはめ問 題」を授業の最後に行い、その時間の定着を確 認する。 ・週に一回、「ベーシックタイム」を設定し、「東 京ベーシックドリル」を活用して、技能の習熟 と理解の定着を図る。 問題点2 改善プラン2 ・授業中の発言や発表が一部の児童に偏るなど、 ・3年生以上の習熟度別学習において、教材や教 算数に対する意欲や理解が二極化している。 具を工夫し、コースの実態に合った授業を行 う。 ・デジタル教科書、ICT 機器を活用し、視覚的に 捉えられるようにする。 問題点3 改善プラン3 ・筋道立てて考えたり、自分の考えを表現したり ・問題解決型学習を徹底する。 する力が徐々に育ってきた。思考力や表現力を ①題意の読み取りが苦手な児童が多いので、問題 一層伸ばしていくための方策を検討する。 場面を、図や式に表す活動を習慣づける。 ②自力解決の中で、ノートに考えを書く活動を行 い、解き方の説明を筋道立てて書くことに慣れ させる。 ③すべての児童が自分の考えを他者(ペアやグル ープなど)に伝えられる場を設定する。 ④話し合い場面では、児童の考え方の発表に終わ らず、めあてに応じた話し合いの視点を与え、 学び合いを深める。 問題点4 改善プラン4 ・数と図、表などを関連付けて、数学的に考える ・授業の中で、児童自身が図に表す活動を積極的 力が低い。 に取り入れ、考えた図などを示しながら、他者 に伝える活動を行う ・段階的にテープ図から数直線図への指導を行 う。(4年生から数直線図を取り入れる。 ) 1・2年→テープ図、数の線 3年→テープ図と数直線図の複合 4・5・6年→数直線図 <理科 授業改善プラン> 指導上の課題 問題点1 課題に対する授業の改善プラン 改善プラン1 ・観点別にみると、 「科学的な思考・表現」の内 ・予想や根拠を明記させた実験・観察記録をさせ 容に課題がある。 る。 ・適切な理由を書いたり発表したり、検討したり する授業展開を行う。 ・ 「考察」の場面では、予想や仮説と比較したり、 他者の結果と比較したりすることで、科学的な 見方や考え方を養うことができるようにする。 ・グループで意見を共有したり交流したりして、 様々な事象を比較検討させる。生活の中にそれ らのきまりをあてはめて考えることができる ようにする。 ・生活場面と学習内容を関連させ考えさせること ができるようにする。 問題点2 改善プラン2 ・授業中の発言や発表をする児童に偏りがあり、 ・今年度同様、引き続きユニバーサルデザインの 理科の学習に対する主体性や理解に個人差があ 視点を取り入れた授業を行う。ワークシートを る。 工夫することで、意欲を高めたり、理解を深め たりできるようにする。 ・実験時、1グループあたりの人数を3人程度に し(例:作業者2人、記録者1人)、全員が実 験に参加できるような組み方を行う。 ・授業形態の工夫、たとえば、話合いや掲示、展 示発表など、様々な形式での発表を行い、多く の児童が自分の考えを表現できる場を設定す る。 ・目に見えないものを、デジタル教科書や ICT 機器を活用し、視覚的にとらえられるようにす る。 3.参考資料(学力調査等からの結果) 第3学年 学力調査テスト結果分析(平成28年度) 国 語 平均得点率(全国) 40.3(49.2) 「読む力」の問題においては、60%を超える正解をだした児童が13名だった。通常のま とめのテストに比べて厳しい結果となった。初めて読む問題に対して、短時間で答えを出す 経験が乏しいことや内容把握に時間がかかることが影響したのだろうと考える。読書にさら 分 析 に親しむと同時に、色々な文章を読み、考えをもち、答える機会を増やしていきたい。 また「話す聞く」の問題では、 「ふさわしくないものを選びなさい。」という設問があった。 通常の設問では、 「合っているものを選びなさい。」であった。質問の言葉の意味をつかむこ とにも困難さがあったと推測できる。語彙を多くし、多様な設問に回答できるように学習を 深めたい。 「言語についての知識」では、漢字については、8割の児童が正解することがで きた。普段の漢字学習の積み重ねであると考える。しかし主語を選ぶ問題になると正答率が 低く、東京ベーシックなどを活用し理解を深めたい。 算 数 平均得点率(全国) 80.3(81.3) 平均得点率は、全国よりも1ポイント落ちている。得点率を観点別にみると、技能は、60% 以上が53人で60%未満は2人であった。知識・理解は、60%以上が54人で60%未 分 析 満は1人だった。しかし、数学的な考え方が、60%以上が39人で60%未満が16人も いた。四則計算の計算は、80%以上が47人で全体の85%を超えたので、基礎的な計算 の定着はしている。また、時刻の問題やかさ、長さの問題では、60%から80%の児童が 29人と一番多く、定着しているとはもう一歩言えない。テープ図や表の読み取りの問題で は、80%未満の児童が34人もいて、定着しているとは言えない。普段の学習から、テー プ図や表の読み取りの問題は、丁寧に扱っていかなければならないと感じた。 第4学年 CRTテスト結果分析(平成28年度) 国 分 析 65.9(64.7) りの力が弱い。また、指示語に対する理解が甘く、文章のつながりの理解が低い部分が見ら れた。これによる長文を読み取る力の低さが見られた。言語力の低さによって、分からない 言葉に遭遇した場合に、読み取りが難しくなるようだ。 会 平均得点率(全国) 76.4(74.9) 東京都、全国の平均を上回った。地図記号・方位の理解は高い。資料の読み取り、活用の力 が低い。全体的に社会科の知識部分は高いが、その意味や活用面での苦手が見られる。 算 分 析 平均得点率(全国) 国語は東京都、全国の平均を上回っていた。漢字の読み取りは得意。しかし、漢字の書き取 社 分 析 語 数 平均得点率(全国) 74.6(73.9) 東京都、全国の平均を上回った。図形の理解は高いが、数量の読み取りや活用に苦手な部分 が見られる。特に分数と小数の大小関係を比べる問題に対して理解ができていなかった。 理 分 析 科 平均得点率(全国) 78.1(76.0) 東京都、全国の平均を上回った。生活の中で自然に触れる環境があるためか、生物分野は高 い得点率であった。観察の記録方法への理解が若干低い。電気のつなぎ方の分野で苦手が見 られた。磁界や電流の流れなど、目に見えないものに対しての理解が難しいことが考えられ る。 第5学年 東京都「児童・生徒の学力向上を図るための調査」結果分析(平成28年度) 国 語 平均得点率(都) 75.6(74.3) 全体の中で正答率5.9%と低かったのが「観察の記録を見直す時に、どのようなことに 分 析 ついて確かめようとしているか」をみる問題であった。観察記録のかき方の理解が不十分で あると考えられる。自分の考えたことを文章にして伝えることが苦手であると思われるの で、分の組み立て方や段落構成の考え方などの基礎的な事項を全体に指導していく必要があ る。 社 分 析 会 平均得点率(都) 74.3(72.6) 最も正答率の低かった問題は「都道府県の位置と名称を理解しているか」をみる問題で、 27.5%であった。都道府県のおおよその位置や隣接する都道府県についての理解が不十 分であったと考えられる。今後も地図帳などを利用して、都道府県の位置の理解をさせてい く。 算 数 平均得点率(都) 64.6(62.9) 「知識・理解」は72.4%、 「技能」は67.8%、 「思考・判断・表現」が57.4%で 分 析 あった。知識や技能は定着しているが、それを利用して考える力が不十分である。また、読 み取る力の中でも「2つの事柄を関連付けながら表にまとめ、読み取ることができるか」を 見る問題は9.8%と最も低かった。問題の状況を理解し、表やグラフにまとめることがで きるように指導していく。 理 科 平均得点率(都) 67.0(62.4) 一番正答率が低かった問題は「電気を通すものが金属であることを理解しているか」を見 分 析 る問題で39.2%あった。また、記録温度計を使って記録した気温を正しく読み取る問題 も同様の数値であった。実験や観察の記録の読み取りや、器具の扱い方などの理解が低いと 考えられる。実験を繰り返し、器具に触れる体験を増やしていくことで理解が深まるのでは ないかと考える。 第6学年 国 分 析 算 分 析 「全国学力・学習状況調査」結果分析(平成28年度) 語 平均得点率(全国) A 問題 72.7(72.9) B 問題 64.3(57.8) 国語 B は東京都、全国の平均得点率を上回っていたが、国語 A が東京都。全国の平均得点率 を下回っていた。漢字やローマ字などの基礎的な内容が身に付いていないことが見られた。 また、目的に応じて、図と表を関連付けて読んだり、複数の叙述を基に登場人物の人物像を 捉えたりすることができていなかった。 数 平均得点率(全国) A 問題 81.1(77.6) B 問題 49.9(47.2) 算数 A・B どちらも東京都、全国の平均得点率を上回ったが、「数と計算」の領域において、 知識や技能面で、平均得点率を下回っていた。数の大小関係が分かっていないことや、除法 の位を誤ってしまうことから、十進位取りの考え方が定着していないと考えられる。