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エゾシカ肉ブランド力向上に向けた提言
エゾシカ肉ブランド力向上に向けた提言 平成 27 年 3 月 エゾシカ肉ブランド力向上検討会 0 【はじめに】 エゾシカは、北 海 道にのみ生 息する大 型の野 生 動 物であり、推定 生 息 数は約56万 頭 とされ ているところである。 「北 海 道エゾシカ対 策 推 進 条例 」(平 成 26 年 道 条 例 第 7 号 )において、エゾシカは道 民 共 有 の財 産であり、その価 値 を最大 限に活 用することを基 本 理 念 とされている。 農 林 業 被 害 の軽 減 のため、捕 獲 対 策 を進 め、その個 体 を食 肉 として有 効 活 用 していくことは、 この基 本理 念に則したことであり、北 海 道として積 極 的に推 進すべき施 策の 1 つであると考 え る。 また、全 国 的にも野生 鳥 獣の捕 獲数が増 加するとともに、捕 獲した野 生 鳥獣の食 用 としての 利 活用の増 加が見 込まれ、厚 生 労働 省 では、全 国 的な衛 生 管 理の徹 底に向け、平成 26 年 10 月「野 生 鳥獣 肉の衛 生 管理に関する指 針(ガイドライン)」を策 定した。 このようなことから、消 費者の求める安 全・安 心の確 保に取 り組む自 治 体が増 加し、各 種 報道 がなされるように、全 国 的なジビエブームが到来しており、今後、他 県 との競 争が激 化することが 予 想されている。 エゾシカ肉が有 する高 級 食 材としての価 値 を活 かし、他 府県 との差 別化 を図 り、新たな販 路 を拡 大していくことを目的に、以 下、本検 討 会において議 論した結 果について、エゾシカ肉ブラ ンド力 向上に向けた提 言 としてまとめたので報 告 する。 エゾ シ カ 肉ブ ラ ンド 力 向 上検 討 会委 員 井田 宏 之( 一 般社 団 法 人エ ゾ シカ 協 会 専 務 理事 ) 伊東 博 美( 公 益財 団 法 人北 海 道科 学 技 術総 合 振興 セ ン ター 研 究 員) 大江 廣 嗣( 公 益社 団 法 人全 日 本司 厨 士 協会 北 海道 地 方 本部 副 会 長) 清水 俊 一( 道 立衛 生 研 究所 感 染症 部 細 菌グ ル ープ 主 幹 ) 曽我 部 元 親( エ ゾシ カ 食 肉事 業 協同 組 合 理 事 長) 田守 一 好( 一 般社 団 法 人北 海 道猟 友 会 副 会 長) 浜野 将 豊( 北 海道 ホ テ ル旅 館 生活 衛 生 同業 組 合 監事 ) 1 【エゾシカ肉の特 徴】 エゾシカの肉は、他の食 肉と比 較して高タンパク質、高鉄 分、低 脂質 といった特 徴を有し、健 康 志向の高まりに対 応する食 材であるとともに、飼 育された家 畜 と違い完 全に野 生の状態 で育 った動 物の肉 であることから、消 費 者の天然 食 材 嗜 好に適 合する食 材 である。 さらに、エゾシカ肉 を食することは自 然 環 境の保 全に繫がることから、消 費 者が社会 貢 献 を意 識することができる数 少ない食 材 と言える。 また、欧 米では、狩 猟で捕 獲された野 生 動 物の肉 「ジビエ」が珍重され、シカ肉は高 級 食材 と して扱われている。 一 方で、野 生であるが故に生育 段 階 からの健 康 管 理が行 われていないことや、家 畜と異なる 捕 獲、食 肉 処 理、流 通の実 態があることから、食 肉としての安 全 性の確保 対 策が求められてい る。 このように、家 畜肉 とは大 きく性 格が異なるエゾシカ肉のPRポイントをいかに引き出し、さらに 開 発し、また、一方 で消 費者が抱く不 安について解 消していくことがブランド化の方 向 性の柱と なると考 えられる。 【エゾシカ肉の特徴 等 】 地域固有の食材 生息数の多さ エ ゾ 高タンパク、高鉄分、低脂質 シ カ 「秋」から「冬」に旬 肉 の 全てが「天然物」(野生動物) 特 徴 欧米では高級食材 等 全国的なジビエブーム 自然環境保全への貢献 2 目指すべきエゾシカ肉の北海道ブランド将来像 高 級 食 質 物 脂 分 然 低 鉄 天 高 材 高タンパク質 生息数の多さ 地域固有の食材 「秋」~「冬」に旬 エゾシカ肉の特徴 想定されるマーケット (提言1)【道内における消費】 ・自然環境、地産地消を意識した地域資源としての価値の醸成 ・給食関係栄養士等への普及 ・食や観光関連産業との連携 ・調理方法の普及 ・道外からの旅行者への提供 (提言3) ・健康意識が高い消費者 ・高タンパク質、低脂質を必要 とする運動選手 ・鉄分が不足しがちな女性 等 ・旬を持つ高級食材と してジビエシーズン に売込み 養 性 の P R グ ル メ ・ 高 級 志 向 者 (提言2)【道外における消費】 (提言 5)【ブランドマーク】 (提言 4)【公的認証制度】 ・食肉としての安全性確保 (消費者の信頼獲得) ・衛生管理や商品情報の見える化 栄 特 付加価値の付与 ・識別しやすいブランドマーク ・旬や地域性を活かしたマークデ ザイン ・ブランドの維持管理 (提言 7) 安 定 供 (提言 6)ジビエブーム等トレンド の把握・活用 給 グルメ・高級志向・プレミアム感の充足 地域への誇りや愛着心の向上 安全・安心に対する信頼 食することによる自然環境保全への貢献 3