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資料1
我が国の衛星リモートセンシング
関連産業のあり方の検討について
平成27年5月
内閣府宇宙戦略室
1
リモートセンシング関連産業の現状
 仏Euroconsult社2013年調査結果
• 世界の衛星画像の売上は$1.5B (2023年予測:$3.6B)
• 世界の衛星画像売上:安全保障59%, その他(公共、民間)41%
Non-defense marketsの内訳
自然資源10%
エネルギー9%
インフラ8%
位置情報サービス5%
海洋5%
災害管理2%
Non-US Defense の内訳
欧州18%
中東13%
(東南アジア以外の)アジア10%
ラテンアメリカ6%
東南アジア及びオセアニア5%
ロシア&CIS 5%
アフリカ2%
出典:Euroconsult, Satellite-Based Earth Observation, Market Prospect to 2023, 2014 Edition
•
世界の衛星画像売上:光学84%(1m以下は62%), SAR16%
 国内市場は約104億円(平成25年度)と推定されるが、そのうちの約8割が防衛・安全保障
1
欧米諸国における利用の事例
①リアルタイム地球観測網
・低軌道(高度500km)に多数の周回衛
星を配備し、高頻度で地球観測(地表状
況把握)を行うもの。
・動画の撮像や数時間毎の変化の把握が可
能となり、金融機関等新たな顧客を見込
む。
・2014年Googleが、シリコンバレー発
ベンチャーSky Box社を買収。このほか、
米国内の5者程度で同種のビジネスが検
討・実施されている。
②統合的地球観測データ
利用システム
③高分解能衛星
・国や国際機関等の観測衛星から得られるデー
タベースに、航空機、地上設備等からの観測
データを加え、統合的な地球観測データ利用
システムを開発・運営するもの。
・EC(EUの行政執行機関)とESAが「コペ
ルニクス計画」として執行。データへのアク
セスはオープンアンドフリーを採用。
・既存の宇宙インフラを利用しつつ、ニーズが
確認されたサービスの安定供給に必要な衛星
能力を決定している。
・高分解能衛星のデータ提供事業者は、顧
客が安全保障等の付加価値の高い分野に
限定される傾向にあり、基本的に、官需
に依存した構造となっている。
・米国は、NGA(National GeospatialIntelligence Agency)が商用画像長期購
入契約(アンカーテナンシー)を産業界
と締結。これが下支えとなって米国のリ
モートセンシング産業の競争力を強化。
センチネル1A
低軌道・周回衛星
米 Digital Globe社
World View3 と画像
④衛星リモートセンシングに関する法制
•
•
衛星リモートセンシングの運用・利用が、商業分野にも拡大し、衛星データはグローバル史上で幅広く販売される一方で、当該衛星の性能や
データの解像度の向上により、安全保障への懸念も高まっている。
衛星リモートセンシングを取り巻く国際ルールは十分に整備されておらず、米、独、加、仏では、リモートセンシングに関する国内法を制定し、
対応をしている。
2
衛星リモートセンシングの能力と用途

衛星リモートセンシングについてから得られたデータについては、センサーの種類や分解能(情報の精度)、観測頻度等の違
いにより、利用のニーズも異なる傾向にある。

一概にはいえないものの、世界の衛星を概観すれば高分解能(1m未満)のデータは、安全保障用途として使われる傾向に
あり、画像単価も高い。他方、民生利用については、安全保障用途ほどの高分解能のものは必ずしも必要ではなく、ニーズに
よって必要となる衛星リモートセンシングの能力も異なる。
〔参考資料〕 イメージ図
平成26年度実施 NPO宇宙利用を推進する会「衛星リモートセンシング法案に関する基礎的調査(サマリ)」より抜粋。
以下のイメージ図は、NPO宇宙利用を推進する会の見解であり、政府の見解ではない。
高い ←
情報の相互補完
空間分解能
安全保障
(ゾーン1)
防衛、捜索救難、海洋権益・資源保全、
安全保障
災害対策等での利用も可能
民生利用 (ゾーン2)
一般
(ゾーン3)
Dual Use
1m
10m
低
→い
100m
Big Data
科学(観測)用
(ゾーン4)
1回/数日
低い←
1回/1日
農林水産業、海運業、国土利用管理、資源探査、
先物取引、保険、等の分野での利用も可能
数回/1日
観測頻度
→高い
3
宇宙基本計画 ∼ 衛星リモートセンシング関連産業の振興に関するもの
① 新事業・新サービスを創出するための取組み
衛星リモートセンシング情報や衛星測位による位置情報等、宇宙システムを活用して取得・蓄積される「ビッグ
データ」を情報通信技術を駆使して新たな価値を生み出す等、宇宙に関連した新事業・新サービスを創出するため、
民間資金や各種支援策の活用等に関する検討に平成27年度に着手し、平成28年度末をめどに結論を得て、必要
な措置を講じる。
② 利用ニーズの各プロジェクトへの反映
衛星によるリモートセンシング全体について、安全保障・公共・産業等の各分野における利用ニーズを明らかにし
た上で、これに対応するために必要となる衛星の使用、運用方法及びデータの活用可能性等について継続的に検
討を行い、以後のプロジェクトに反映していく仕組みを構築する。 [基本計画 4(2)ⅱ]
③ 地球観測衛星事業に必要な制度整備等の検討
欧米等の取組を踏まえ、衛星画像の長期購入契約制度(アンカーテナンシー)や、高解像度の衛星画像に係る
データの取扱いに関するルールやライセンス制度等、民間事業者が主体的に進める地球観測衛星事業のために
必要となる制度整備等に関する検討を行い、必要な措置を講じる。
④ 衛星リモートセンシングに関する法制の検討
我が国及び同盟国の安全保障上の利益を確保しつつ、リモートセンシング衛星を活用した民間事業者の事業を
推進するために必要となる制度的担保を図るための新たな法案を平成28年の通常国会に提出することを目指す。
4
我が国の利用ニーズの拡大に向けた取組み
 平成26年度に、内閣府において「広域災害監視衛星ネットワーク関係調査事業」を実施し、防災等のためのリモー
トセンシング衛星の複数来の一体的な整備・運用に関し、関係行政機関や民間事業者等のユーザーニーズの抽出
等を行った。
 今年度は、当該調査の結果を踏まえつつ、民生分野における衛星リモートセンシングの利用ニーズを明らかにし
た上で、これらの情報が、各衛星プロジェクトを実施する者に共有されるような仕組みの構築を検討する。
[参考] 「広域災害監視衛星ネットワーク関係調査事業」 民間事業者等でのユーザーニーズ調査の主な結果
(対象:画像付加価値提供事業者を中心とした民間事業者25社)
利用分野
防災
地図作成
主な利用ニーズ
 災害状況把握(被害甚大地域の特定と被害評価、救援ルートの健全性の確認 等)
 土砂災害等の兆候発見・地下状態の監視
 発展途上国における衛星画像による災害(洪水)対策の実施 等
 Web上やスマートフォンでの衛星画像閲覧サービス
 地理情報システム(GIS)
 住宅地図、道路地図等の地図調整 等
海洋




農業
 農産物の生育状況や品質についての定期的なモニタリング
 収穫適期などの情報提供や意思決定支援等の実施
 発展途上国における灌漑支援事業 等
北極圏監視システムによる情報提供サービス(海氷分布、海氷厚、波高)
オンライン気象情報配信による気象監視と予報
漁業者等へ水温図、海色図、海流図等の海況情報の提供
漁場予測および、沿岸養殖適地推定サービス 等
5
衛星リモートセンシングに関する法制の検討
背景
○ 近年、衛星によるリモートセンシング分野の技術革新が急速に進展し、これまでの国家機関を中心としたリ
モートセンシング衛星の運用・利用が商業分野にも拡大し、衛星デ−タはグローバル市場で広く販売されるよ
うになっている。
○ 一方で、民間リモートセンシング衛星データの性能や解像度の向上に伴い、万一これらのデータが不適当な
者に渡った場合、安全保障上の利益を害する可能性が出て来た。このため欧米諸国においては、民間事業者
等によるリモートセンシング衛星の運用やデータの配布等に関するルールを法律で順次、定めている。
○ 我が国でもリモートセンシング衛星を活用した民間事業者の活動が活発化しつつあることを踏まえ、「安全保
障」と「産業振興」とをバランスさせる形で、民間リモートセンシング衛星の運用等に関するルールの明確化に
向けた関連法制度を早急に定める必要がある。
※ なお、衛星リモートセンシング分野では、我が国が国内法の制定の際に参照すべき国際的合意(条約等)が不在。このため、我が国
における法制の整備に当たっては、十分な検討が求められるところ。
諸外国の動向
米
カナダ
ドイツ
フランス
法律
1992年
陸域リモートセンシング法
2005年
リモートンシング宇宙システム法
2007年
リモートセンシング安全保障法
2008年
宇宙活動法
許可等の
対象とな
る活動
・リモートセンシング衛星等
の運用
・リモートセンシング衛星等
の運用
・高性能のリモートセンシン
グ衛星等の運用
・衛星データの配布
・衛星データの一次配布
(※許可制でなく届出制)
管轄省庁
商務省
外務省
経済エネルギー省
国防・国家安全保障総局
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