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おとなの週末_INTERVIEW 2

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おとなの週末_INTERVIEW 2
CHIEF EDITOR
INTERVIEW
おとなの週末編集長
金城 良幸
「食を愛する、街を楽しむ、旅を恋する」という創刊以
おいしいと太鼓判を押せる店を探すのが基本なんです。
来のキャッチを変えるつもりはありません。とはいえ、
あくまでも自分たちが納得した店だから取材・掲載する
食以外の部分は、これまで以上に意識して記事にしてい
ということを貫きたいですね。ですから覆面という取材
こうと思っています。誌面では東京を中心に取材・紹介
方法も変えません。覆面取材後にすべてのお店に了解を
していますが、なぜかというと、いまや東京自体が一大
いただいて掲載するというが前提ですが、取材を拒否さ
観光地だからです。全国から観光都市・東京を訪れる人
れることも多いんですよ。その場合でも読者に対して美
に読んでもらいたいですね。東京に住んでいる人が自分
味しい店の存在をなんとかご紹介したいので、何度も粘っ
の街のことを知り尽くしているかというと、実はそうで
て交渉を続けたりします。それでも拒否したいと言われ
はないんです。東京の人にとっても、目からウロコが落
たときには、断る理由をしっかりとお聞きし、お店にも
ちる記事を充実させたいと思っています。
失礼がない方法で、誌面でご案内することもあります。
私が編集長になって変えていきたいと考えていること
ただ、取材拒否の店とのコミュニケーションがうまくい
が、三つあります。
かない場合もあり、今後の課題のひとつですね。
ひとつめは、美味しい店の“見せ方”を変えること。
三つめはメジャーな書き手の方、メジャーじゃないけ
創刊から10年以上たちますが、これまでは寿司や焼き肉、
れど、おもしろい視点で書ける人材を発掘・充実してい
ハンバーグなど、美味しい店を探すことだけに重点を置
きたいと思っていて、まずはいまでやらなかった企画を
いてきました。ところが最近は、単純に美味しい店を紹
積極的に採用してみたいと考えています。一方で、取材
介するだけでは、読者の方々の共感が得られなくなって
スタッフが書く文体とか、写真とかはそんなに変えてい
きている気がします。では、どうすれば興味を持っても
こうとは思っていません。おいしさを文章で表現するの
らえるのか。たとえば、下町のスカイツリーの周辺にあ
は、難しいことです。本誌のスタッフには、恰好よくと
る美味しい焼き肉店とか、行列しているパンケーキの店
かキレイに書こうとするよりも、おいしいと思ったこと
のなかで本当に美味しい店は何処なのかとか、美味しい
を素直に表現するようにと指示しています。ただし、表
寿司店の味の秘密や寿司自体の歴史だとか、そういう記
現するにはいろいろな語彙や言い回しがあるので、技術
事を作っていきたいと考えています。“食”にはストー
は磨いていかなくてはならない。テレビのグルメリポート
リーがないと読んでもらえないと思うんです。
でよく聞くような「口にふくむと豊かな香りが広がる」と
二つめは、ネットで美味しいと紹介されている店情報
いった慣用句はできるだけ排除して、オリジナルな表現
よりも、おとなの週末のほうが信用できると言われるよ
を増やしていきたい。頭で考えたのではなく、感じたも
うにしたい。いまでも自信はありますが、本誌の情報の
のを書きましょうよというのが第一段階で、次に大人の
正確性をさらに高めたいですね。我々がお客として訪れ
表現にしましょうと話しています。よく若者言葉で「チョー
た結果、本当においしかった店だけを紹介するというの
ウマイ!」とかありますが、おとなの週末は読者もスタッ
が、この雑誌の根幹です。おいしいところもまずいとこ
フも大人なので、それは極力やめましょうと。第三段階
ろも玉石混交で載っているウェブサイトや、実際に行っ
は、我々はプロのライターと編集者ですけれども、プロ
て食べてもいないのに、おいしいと思い込んで取り上げ
の料理人や料理評論家ではないので、読者目線に立って
ている雑誌などが多々ありますが、本誌ではそういうこ
すべてを判断してほしいということですね。覆面で訪れ
とは一切ありません。雑誌取材ということでお店にいく
た店で、もう一度来たいか、そのとき自分が母親や友人
と、その日だけ特別な材料を仕入れたり盛り付けを増や
を連れて来たいと思うか、その店の接客に対してどう感
したり、メディア向けの対応をするお店もあります。そ
じるかなど、読者と同じ感覚で考えてほしいというのは、
ういうところではなく、普段と同じ状態で、接客も味も
創刊以来、共通認識としてスタッフに伝えています。
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3年前に外部の企業に委託契約して始めたインターネッ
ぐらいの商品から選んで、本戦ではテレビも入れて、審
ト通販「おとなの週末お取り寄せ倶楽部」が好調です。
査員も立てて1位、2位、3位と順位を決めました。こ
最初の年は 3000 万円ほどの売り上げだったのが、去年
れも「おとなの週末」しかできない企画ですね。別に講
が1億 3000 万円、今年は2億円を目指していて、毎年
談社でなくてもいいという話が「楽天」社内では出たら
150%近くのびています。インターネットショッピング
しいのですが、これだけ真剣に評価して、素晴らしい写
モールの「楽天市場」と「ヤフー・ショッピング」に出
真も撮れて、審査方法もしっかりしていてというと、他
店している雑誌は、
「おとなの週末」以外にはほぼないと
の雑誌でできるところがないという結論になったと聞き
思います。その強みを生かして「楽天市場」と「ヤフー・
ました。今年は「O−1グランプリ」の実施は未定です
ショッピング」と組んで記事を作っています。たとえば
が、昨年の「O−1」で1位になった商品は売上も良かっ
「楽天市場」の中からおいしそうなお取り寄せ商品をいく
たので、同様の企画で流通などのクライアントさんにご
つもピックアップして、
「楽天市場」と「おとなの週末」
協力できると思います。
のスタッフが実際に食べてランキング形式で記事を作っ
仕組みの問題でいうと、お取り寄せのビジネススキー
て紹介する。そしてこの商品を「おとなの週末お取り寄
ムは成熟してきたので、次の目標として考えているのは、
「おと週ぐるめ」という無料検索サイトのビジネス化で
せ倶楽部」で販売しているわけです。
もともとは雑誌に電話番号を書いて注文を受けていた
す。開設当初から1週間で2万くらい、月に 10 万ぐら
のですが、あまり売り上げは上がりませんでした。お取
いの PV 数になっています。いまでも編集部スタッフで
り寄せの記事を見て電話や FAX で買う人は減っているよ
更新作業までやっているのですが、ネットに詳しい編集
うですね。おとなの週末のeコマースでの購入者は、雑
スタッフが増えたので、facebook、twitter も交えた
誌の読者とイコールではありません。でも逆に言うと、
「おと週ぐるめ」の発展型をやろうと思っています。
ネット世界で「おとなの週末」のコンテンツとして消費
まずは雑誌をしっかり地に足をつけてやっていけば、
者が商品を選んでいるというのは、うちのブランド力が
「おとなの週末」にはいろいろなリソースが揃っているの
認知されているということではないでしょうか。
で、広告クライアントの皆様と、オンラインでもオフラ
昨年、
「楽天」と一緒にお取り寄せのナンバーワンを決
インでもおもしろいことができるかなと思っています。
める「O−1グランプリ」を開催しました。予選で 700
ご支援のほど、よろしくお願いします。
金城 良幸 YOSHIYUKI KANESHIRO
'63 年生まれ。「週刊現代」在籍中に増刊という形で
「おとなの週末」の創刊にかかわり、以来、季刊、隔
月刊、月刊とともに歩み、2012 年6月、編集長に。
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