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初等中等教育法改正法 No Child Left Behind Act
初等中等教育法改正法 No Child Left Behind Act ~ 教育の 教育 の 基準化・ 基準化 ・ 共通化がもたらした 共通化 がもたらした現象 がもたらした 現象~ 現象 ~ 法学部 4 年 矢島由利子 目次 序章 第一章: 第一章 : 初等中等教育法改正法( 初等中等教育法改正法 ( NCLB) NCLB) 第一節: 第一節 : 成立過程 第二節: 第二節 : 同法の 同法 の 概要 第二章: 第二章 : 統一学力テスト 統一学力 テストがもたらした テスト がもたらした現象 がもたらした 現象 第一節: 第一節 : 統一学力テスト 統一学力 テストの テスト の 結果 第二節: 第二節 : 統一学力テスト 統一学力 テストに テスト に 対 する批判 する 批判・ 批判 ・ 問題点 第三節: 第三節 : 代替案 第三章: 第三章 : 州 の 教育行政における 教育行政 における変化 における 変化 第一節: 第一節 : 州 の 反応 第二節: 第二節 : 連邦の 連邦 の 対応と 対応 と 考察 第四章: 第四章 : 教育機会の 教育機会 の 選択拡大 第一節: 第一節 : 転校 第二節: 第二節 : 補助サービ 補助 サービス サービ ス 第三節: 第三節 : 共和党と 共和党 と 民主党の 民主党 の 齟齬 終章: 終章 : 序章 ジョージ・W・ブッシュは、教育改革を内政面の最重要課題の一つとして掲げ、2000 年大統領選挙を戦った。1980 年代から始まった教育改革の大きな特徴は、連邦政府の影 響力の増大である。 「教育大統領」になることを望んだジョージ・H・W・ブッシュ大統 領は全米の知事を招集して第一回教育サミットを開催し、クリントン大統領は教育改革 振興法「2000 年の目標:アメリカ教育法」を制定した。これらの教育政策における一連 の流れを受けて、ブッシュ候補は共和党の伝統的な教育分野の政策スタンスとは立場を 異にし、連邦主導による教育改革を主張した。iその背景には、彼のテキサス州知事時代 の教育分野における実績もあるが、何よりも国民の教育に対する関心・公教育改革への 強い期待があり、内政面で有権者にアピールできる最大の分野だったことがある。 ブッシュは大統領着任直後、他の政策に先駆けて教育改革に関する基本方針を打ち出 し、2002 年には初等中等教育法改正法(いわゆる「落ちこぼれを作らないための教育法」 No Child Left Behind Act、以下 NCLB)を成立させた。ii後述するように、この法律の 1 基本方針はアカウンタビリティ(教育成果に対する責任)の重視と教育機会の選択拡大 である。教育スタンダードに準拠した州内統一学力テストの成績に基づいて、学区・学 校に様々な措置が施され、生徒と親に様々な教育機会が保障される。この NCLB の規定 により、学区・学校はアカウンタビリティの達成を強く意識せざるをえなくなった。連 邦は教育への介入を強めているが、教育に関する基本的な権限を持つのは州である。 NCLB 施行によって、学区・学校・州・連邦に、様々な現象が生じている。 本論文は、NCLB 施行から現在までの約三年間に、学区・学校・州・連邦に生じた現 象を明らかにし、NCLB の成果・課題を考察することを目的とする。教育政策に関する 研 究 は Education Trust ,Center on Education Policy な ど の 機 関 、 教 育 専 門 紙 Education Week などが多く行っている。これらの先行研究や調査を参照しながら、本 論文は特に NCLB の基本方針である「アカウンタビリティの重視」「教育機会の選択拡 大」の実施状況に焦点を当て、ブッシュ政権の性格との関連性についても見ていく。第 一章では、NCLB の成立過程と同法の概要を述べる。第二、三章で、NCLB の基本方針 であるアカウンタビリティの重視の現状を、統一学力テストが学校にもたらした現象と 評価、アカウンタビリティの義務が州の教育行政に与えた影響に分けて見ていく。第四 章では、生徒と親に保障される教育機会の選択拡大の現状を見ていく。終章において、 NCLB によって生じた現象のまとめを述べ、NCLB の成果・課題について考察していき たい。 第一章: 第一章 : 初等中等教育法改正法( 初等中等教育法改正法 ( NCLB) NCLB) 第一節: 第一節 : 成立過程 ブッシュ大統領は就任後すぐに教育改革指針を発表し、公教育改革への強い意欲とリ ーダーシップを見せた。大統領が早期かつ熱心に教育改革に取り組んだ背景には、公教 育改革は国民からの関心が高く、内政面での成果を上げる絶好の政策分野だったこと、 そして民主党からの支持が取り付けやすい分野だったため、上院が 50 対 50 の均衡状態 でも超党派で法案を通過させることのできる分野だったことが挙げられる。ここでブッ シュ政権が掲げた「思いやりのある保守主義」と教育政策の関係についてふれたい。 「思 いやりのある保守主義」は個人の特性と責任を重視するが、連邦政府がその達成を援助 する。ブッシュ政権が提案した教育改革指針は、州や学校への裁量権を拡大して成果に 応じて報奨・制裁措置を与え、また生徒と親に対しても学校選択やバウチャーによる公 費交付など、教育機会の選択を拡大するものである。中でも、教育バウチャー制度は特 に強く推進された制度だった。ブッシュ政権の教育政策は、「思いやりのある保守主義」 の方向性を明白にする政策であると言える。 iii 2001 年 1 月、教育改革関連包括法案が提出され、両院の委員会の審議に付された。 法案は超党派による共同提出であり、主なメンバーに、共和党の下院教育労働力委員長 2 のジョン・A・ベイナー、上院教育委員会委員の J.グレッグ、民主党の上院教育委員会 委員長のエドワード・ケネディ、下院教育労働力委員会委員のジョージ・ミラーらが名 を連ねている。当初の懸案事項は教育バウチャー制度だった。共和党が強く支持してい たバウチャー制度だが、民主党の猛反対を受けていた。共和党穏健派は、バウチャー制 度によって教育政策への民主党の支持を失うと警告し、ブッシュ大統領も当初から妥協 を公表した。上院の教育委員会ではバウチャー制度を法案に含めず、下院の教育労働力 委員会ではバウチャー制度の提案が否決された。法案は同年 4 月に上院を通過、5 月に 下院を通過し、両院協議会の審議に入った。年内にも法律が成立すると考えられていた が、当初の予想と異なり、両院協議会での調整が難航する。共和党側は、教育成果が上 がらない州に対する補助金削減などの制裁措置、私的教育の拡充、連邦補助金の州・学 区の大きな裁量権などを盛り込むことを主張、民主党側は予算の増加、障害を持つ生徒 や学校設備への補助金設定を明確化することを主張。結局、両党とも予算・補助金使用 の裁量幅などについて妥協に応じ、法案は両院協議会を通過した。2001 年 12 月に上院・ 下院ともに圧倒的な賛成の下、可決される。翌年 1 月 8 日、ブッシュ大統領の署名で改 正法が成立した。 第二節: 第二節 : NCLB の 概要 NCLB の目的は、児童生徒の全般的な学力向上と、貧困地域出身者・マイノリティな ど教育環境にハンデを持つ生徒の成績格差の縮小である。連邦補助金を受給する州は NCLB が定める基本方針を導入することが求められる。 第一の基本方針は、州内統一学力テストの実施と結果の公表による、アカウンタビリ ティの重視である。州は州内共通の学力到達目標を定め、2014 年までに全ての生徒が目 標を達成するように支援体制を確立しなくてはならない。2005 年までに、数学・英語に ついて第 3~8 学年までの各学年を対象とする州内統一学力テストを実施する。学力テ ストの結果は「州全体」「各学校単位」「生徒集団単位(経済的に不利な生徒・マイノリ ティ・障害を持つ生徒・英語を母国語としない生徒)」で公表される。州内統一学力テス トの成績を主な評価基準として、生徒の到達度を学区・学校ごとに毎年公表する。州が 定める毎年の学力到達基準(AYP :Adequate Yearly Progress)を満たさない学区・学 校は「改善が必要」と判断され、後述する様々な支援策がとられる。連邦補助金の使途 は州・学区の裁量に一定程度任されており、学力基準到達のため、学区・学校の多様な 取り組みが認められている。 第二の基本方針は、生徒と親に対する教育機会選択の保障である。州内統一学力テス トの結果が州の定める基準に到達しない場合、その学校は「改善が必要な学校」と判断 される。NCLB は「改善が必要な学校」に教育成果向上のための様々な措置を施す。二 年連続で「改善が必要な学校」となった場合、州は学校に対して技術的援助の提供を行 うほか、在校生に対して同一学区内の他の公立学校へ転校する権利を保障する。三年連 続で「改善が必要な学校」となった場合、在校生と親は選択した補助的な教育サービス 3 (家庭教師や課外授業)の提供を受けることができる。その場合、その学校の学区は州 から割り当てられている連邦補助金を生徒一人当たり 500~1000 ドル使用する。四年連 続で「改善が必要な学校」となった場合、教職員の入れ替えによる学校組織の再編が行 われる。 第二章: 第二章 : 統一学力テスト 統一学力 テストがもたらした テスト がもたらした現象 がもたらした 現象 第一節: 第一節 : 統一学力テスト 統一学力 テストの テスト の 結果 NCLB はアカウンタビリティの徹底を図るため、州内統一学力テストの実施とその結 果の公表を定めている。2002 年当時、全州が州内統一学力テストを行っていたが、テス トの教科・実施学年等は州によって異なっていた。NCLB は、州内統一学力テストを数 学・英語について第 3~8 学年までの各学年を対象に毎年実施するように統一し、全米 で生徒の学力を比較評価できるように定めた。州は主にその結果に基づいて生徒の学力 評価を行い、学区・学校が AYP を満たしたかどうかを判断する。 Education Week の調査によると、2004 年度に AYP を満たした学校は 2003 年度と比 較してほぼ全州で増加している。統計を提出した州のうち、アラスカ、カリフォルニア など 13 州が 10%以上の増加を記録している。 iv また、2003 年初めに全国統一学力テスト(NAEP: the National Assessment of Education Progress)が全州で実施された。NAEP は連邦教育省・全米教育統計センタ ー(NCES:the National Center for Education Statistics)が民間のテスト機関である Educational Testing Service に委託して行っているサンプル調査で、1969 年から実施 されている。NCLB の規定により、2003 年から 50 州全てで実施されることとなった。 教科は数学と英語で、対象は 4 年生と 8 年生である。結果をみると、数学の成績が大き く上昇した。4 年生全体では、最低基準を満たした生徒数の伸び率が 1996 年から 2000 年にかけては 2%だったのに対し、2000 年から 2003 年にかけては 12%だった。マイノ リティの成績も大きく上昇し、マイノリティと白人間の成績格差も縮小した。英語の成 績は、大きな変化はなかった。 v(別表1) 以上より、州・連邦における統一学力テストの結果は全般的に前年と比べて向上し、 成績格差は縮小している。ペイジ教育長官は「この変化は NCLB がもたらした教育革命 である」と結果を賞賛している。 viこれは、NCLB 施行により「改善が必要な学校」に なることをおそれた学校が学力向上のために自主的な取り組みを行った結果であると言 え、NCLB による学力向上政策は一定の効果があったと考えられる。 一方、統一学力テストの重視は特に教育現場に大きな影響を及ぼしていると考えられ る。学区・学校・生徒・親にどのような影響が及んでいるのか。その評価はどのような ものなのか。次節以降で、それらを明らかにしていく。 4 第二節: 第二節 : 統一学力テスト 統一学力 テストに テスト に 対 する批判 する 批判・ 批判 ・ 問題点 生徒の学力評価と学校の学力基準達成度は、主に州内統一学力テストで判断される。 したがって、教師と学校は統一学力テストの存在を以前より意識せざるを得なくなって おり、その実施に批判と不満も多い。その主たるものは高すぎる基準と過大な負担であ る。 NCLB によると、学力到達基準は全ての生徒集団(経済的に不利な生徒・マイノリテ ィ・障害を持つ生徒・英語を母国語としない生徒)に適用され、教育環境にハンデを持 つ生徒も定められた学力基準に到達することが求められている。どの一つの集団でも基 準を満たしていないと、その学校は AYP を満たしていないとみなされる。これには、全 ての生徒に一定以上の教育を身につけさせるという NCLB の狙いが反映されているの だが、一般生徒との成績格差は大きく、NCLB が求める水準は非常に高い。前節で見た ように、白人とマイノリティの成績格差は未だに約 10~30%存在する。Education Trust は、成績格差が縮小している点は評価しているものの、そのスピードは遅く、NCLB が 定めるように 2014 年までに全ての生徒が設定学力に到達することは難しい、と指摘し ている。 viiまた、Education Week の調査によると、2003 年度の州内統一学力テストで 障害を持つ生徒のための特別教育を受けている生徒と受けていない生徒の成績を比較す ると、ほとんどの州で約 30%の成績格差があるという。viii貧困家庭や移民が多く、学力 が低い生徒・英語を十分に話すことができない生徒が多い学校にとって、AYP を満たす ことは非常に困難であり、これらの生徒を多く抱える教師や学校は、学力テストで結果 を出すために補習を行うなどしているという。 また、NCLB によると学力テストの出席率は学校全体で 95%以上が必須とされている。 連邦教育省によると、95%の出席率を求めるのは評価を正確に行うためである。出席率 が 95%を下回るとその学校は AYP を満たしていないとみなされるため、出席率のため に AYP を満たせなかった学校が多い。そもそも授業の出席率すら低い学校では、テスト で 95%の出席率を達成することは不可能に近い。したがって、学校はテストの日の告知 を大々的に行ったり、景品を配ったりするなど、生徒にテストを受けさせるための様々 な努力をしている。 ixこれらの高い基準に起因する過大な負担のため、教員組合などが 不満を表明している。 学力テストの重視について、親はどう評価しているのか。2004 年に教育誌カッパンと ギャラップ社が共同で行った、親に対する意識調査によると、親は実施されるテストの 量について、62%が適量もしくは不足と考えているが、多すぎると考える親は 1997 年 と比較して 12%増加している。67%が学力テストのみで学校を評価することに否定的で あり、73%が一回のテストでは数学と英語の成績を正確に判断できないと考えている。 また、NCLB について 68%がほとんど、もしくは全く知らないと答えている。 x明確に 定められた学力到達目標の判断基準としての統一学力テストが、親に支持されていると は言えない。 このような負担から逃れようとして、NCLB の適用免除を求める学区もある。NCLB 5 の規定は、州が連邦補助金を受け取るための必要条件である。したがって、富裕地域な ど学区の収入が十分な地域では、連邦補助金を受け取らないという選択をすることで、 NCLB に従わない学区が現れている。 xi 第三節: 第三節 : 代替案 主に統一テストのみで学力評価を行う現状の規定に反対して、統一テストに替わる新 たな学力評価方法を提案する声があがっている。 教員組合・市民団体・人種別団体など、主に民主党系の団体が主となって、NCLB の 改 正 を 議 会 に 求 め る 共 同 声 明 を 発 表 し て い る 。 主 な 団 体 に National Education Association(NEA),American Federation of Teachers(AFT),Center on Education Policy ( CEP ) ,National Association for the Advancement of Colored People (NAACP),Children’s Defense Fund(CDF),The National Center for Fair&Open Testing( Fair Test)などがある。 NEA・AFT・CEP は、テストの実施と AYP の達成が学力向上に必要なことを認めつ つ、テスト以外の評価も加えるように求めている。統一学力テストのみによる学力評価 では生徒の学力向上を真に評価できず、テストで結果を出すために学習することは教師 や生徒にとっても十分な学習効果が期待できない、としている。特に、貧困家庭・障害 を持つ生徒・英語力が不十分な生徒に対しては、彼らに合った学力評価方法を採用する べきであり、彼らの教師に対しても適切な評価と支援体制を与えるべきだと主張してい る。リベラル色の強い Fair Test は、統一学力テストは生徒間の学力差を強調し、障害 を持つ生徒や人種間の差別につながるとして、統一学力テストを廃止するか、もしくは 最小限にするべきだと主張している。統一学力テストの代替案として、出席率・卒業率 なども考慮に入れること・生徒個人や各学校の成長度を基準にすることを挙げている。 さらに、2014 年までに全ての生徒が設定学力に到達することは不可能であり、もっと現 実的な目標を定めるように主張している。 一方、連邦政府は統一学力テストを学力評価の基盤とする方針を崩していない。統一 学力テストは教育成果を判断するよい手段であり、それ以外の方法ではアカウンタビリ ティを示すことができないため、認められないとしている。 厳しいアカウンタビリティを課したことで、現在までのところ生徒の学力は向上して いる。しかし、今後求められる学力基準が高くなっていくほど、今までのように生徒の 学力が順調に向上することは考えにくく、AYP を満たしていくことは年々難しくなって いく。特に、学習環境にハンデを持つ生徒達の教育は、自発的努力だけではとても進ま ないだろう。高い基準を求めるだけではなく、負担を軽減させる体制を整え、現状に対 応した柔軟な方法を採用していかないと、学区・学校・親・各種団体からの NCLB 支持 が失われるおそれがある。 6 第三章: 第三章 : 州 の 教育行政における 教育行政 における変化 における 変化 第一節: 第一節 : 州 の 反応 NCLB によるアカウンタビリティの強化は、州の教育行政にも影響を及ぼしている。 一部で、テストの基準を引き下げる州が現れている。NCLB が実施を求めている州内統 一学力テストは、州がテストを選定し、州が数字上の学力到達目標を定めることができ る。この規定を利用して、テストの基準点や到達度の設定を低くする州が現れている。 テキサス州では、2002 年に行った州内統一学力テストで多くの生徒が基準に達していな かった。このままでは来年度に多くの学校が「改善が必要な学校」とされる恐れが出て きたため、州はテストの基準点を低く変更した。これによって、テキサス州では 2003 年の州内統一学力テストにおいて 91%の 8 年生が数学で「良好」成績をあげた。しかし、 同年の NAEP(全国統一学力テスト)では、テキサス州の 8 年生で「良好」成績をあげ たのはわずか 25%だった。 xii他の州でも同様の事象が見られ、州内統一学力テストと NAEP の成績の差が 40%以上の州は 11 に上った。8 年生の数学だけではなく、4 年生の 成績や英語の成績においても差が存在している。xiii(別表2)教育課程・学力基準を含 む州の教育プログラムは連邦教育省によって承認を受ける必要があり、州の基準と連邦 の基準がかけ離れないようにチェックされるにも関わらず、現実には両者の差が存在し ている。基準操作は、州内統一学力テストと NAEP の結果の乖離をもたらし、生徒の正 確な学力評価ができないという問題を生み出している。 また、各生徒集団の成績について、NCLB は生徒全体において特定の生徒集団の割合 が少ない場合、学校はその生徒集団の成績は報告しなくてよいとしているが、その割合 は州が決めることができる。したがって、移民やマイノリティが多い州などでは、集計 に必要な生徒集団の生徒数をひどく高く設定して特定の生徒集団の成績報告を事実上不 要としている州もあるという。さらにひどい場合、学力テストの失敗を隠す州もある、 と報じられている。 xivアカウンタビリティの根幹を揺るがすものである。 さらに、州の連邦政府に対する反発も起こっている。州は教育に関する基本的権限を 持つが、NCLB によって学力到達基準の達成と成績不振校に対する組織改変、教育プロ グラムの承認などを課せられた。教育の基準化・共通化に反発する動きは、当初から予 想されたことだった。2004 年 3 月、14 州がペイジ教育長官に NCLB の改正を求める文 書を提出した。14 州は、教育成果を示すための方法を統一学力テストによる学力評価以 外にも認めること、その州の教育システムで成果を上げている学校は NCLB の基準に達 していなくても NCLB が定める成績不振校に対する強制措置から外されることなどを 要求している。これらの州の多くは、NCLB 以前から教育成果を上げるためのシステム を確立していた州である。しかし、連邦政府は 14 州が求める特別措置を否定した。こ のような特別措置を認めると、他の州からも特別措置の要求が出始め、更なる問題が発 生する恐れがあるからである。ジョージ・ミラーは、全ての 4 年生に英語・数学・他の 科目の十分な学力を身につけてもらうための法で、成長度だけでは不十分だ、と批判し 7 ている。ジョン・A・ベイナーは、このような特別措置を認めることは NCLB を骨抜き にすることで認められない、と述べている。 xv また、議会の調査機関である the Government Accountability Office(GAO)の調査に よると、多くの州で生徒の学力・学校の改善に関するデータに問題があり、教育成果を 計るうえで妨げになっている。その原因は、連邦政府の求める厳しい提出期限だという。 さらに、州が連邦教育省に承認を受けなくてはならない教育プログラムについて、2003 年に認められていたのはわずか 11 州であり、2004 年 7 月時点で認められているのは 28 州、22 州は部分的に認められていることがわかった。 xvi 以上のような不満と批判から、州議会においても NCLB に反対する決議や法案が提出 され、それらが共和党議員からの提出のこともある。 xvii 第二節: 第二節 : 連邦の 連邦 の 対応と 対応 と 考察 連邦政府はこれらの動きを受け、NCLB の基準を一部緩和した。2003 年 12 月、障害 を持つ生徒の学力評価を、テストの成績以外の方法も認めた。2004 年 2 月、英語に不 自由な生徒の成績報告を一年間猶予するとした。「英語に不自由な生徒」は約 550 万人 (全米生徒の 12%)が該当すると言われる。この緩和によって「改善が必要な学校」が 20~25%減少すると予想されている。xviiiまた 2004 年 3 月、テスト参加率の引き下げが 行われた。基準緩和により、前二、三年度の参加率の平均が 95%以上ならば今年度が 95%以下でもかまわないとされ、健康上の理由でテストを受けられなかった生徒は欠席 にならないとされた。 したがって、学力テストの結果が向上したのは、基準緩和によりかなりの学校が基準 を満たすことができたこと・州の基準操作の影響があることに原因があるとも考えられ る。統一学力テストの結果だけで、生徒の学力が本当に向上したかどうか判断すること は難しい。そもそも、統一学力テストの実施は、全米で学力評価方法を共通化すること で学力評価と基準設定を容易にし、生徒の全般的な学力向上に役立たせる目的だった。 しかし、連邦が学力評価方法を共通化したことにより、かえって各州の評価基準にばら つきが生まれ、連邦と州でテスト結果が異なるようでは、本来の意図と全くかけ離れて しまう。また、これらの措置により本来「改善が必要な学校」となるはずの学校が表面 上州の基準を満たしてしまった場合、本当に学習援助が必要な学校・子供達に援助が行 かなくなる。学力評価が不正確なものとなった結果、本来の目的である教育改革が達成 されないおそれが生じている。 第四章: 第四章: 教育機会の 教育機会の 選択拡大 第一節: 第一節 : 転校 8 NCLB は生徒とその親がさらに教育機会を選択できるように保障し、学力向上を図っ ている。教育成果が低い学校から高い学校への転校措置がその一つである。二年連続で 「改善が必要な学校」となった学校の生徒とその親は、同一学区内の他の公立学校へ転 校する権利を持つ。現在までのところ、この転校措置が学区・学校に生じている最大の 問題の一つとなっている。統一学力テストの結果、あまりに多くの学校が「改善が必要 な学校」に指定されたため、転校する生徒の受け入れに十分な数の学校がないのである。 例えばニューヨーク市の場合、315 校が二年連続で「改善が必要な学校」に指定され、 約 30 万名に転校する選択権が与えられた。約 8000 名が転校を希望して認められたが、 転校によってクラス規模が大きすぎる学校が現れている。シカゴ市の場合、約 19000 名 が転校を希望したが、1100 名しか転校を認められなかった。xixさらに、転校により定員 割れになった公立学校が閉校となり、多くの教師が解雇される現象も起きている。この ような事態は、公立学校に再建のための十分な機会が与えられず、公立学校改革に矛盾 する、との批判の声が出ている。 xx 一方、転校する生徒は年々増えているが、全体としての数は依然として少ない。CEP の調査によると、実際に転校した生徒は、転校する権利を持つ生徒のうち 2003 年で 1%、 2004 年で 2%だという。xxiその理由は、第一に、親が自分の子供が転校する権利を持っ ていることを知らない場合が多いことである。学区は転校する権利を持つ生徒に告知し なければならないが、その告知が徹底していない。複雑なこの制度を理解していない親 も多い。連邦教育省は告知を徹底するように各州に改善を求めているが、制度・人員的 に追いついていないのが現状だという。第二に、親が転校する権利を持つことを知って いても、子供を慣れた学校から他の公立学校に転校させたがらないことが多い。親は他 の良い公立学校に転校させることよりも、むしろ自分の公立学校の施設・制度改善を望 んでいる。xxii第三に、AYP を満たしたかどうかの判断が遅く、生徒と親が転校できる権 利を持つとわかるのが学年の半分を過ぎた頃になり、転校をあきらめる、という場合も ある。 以上より、転校措置は現在までのところ有効に機能しているとは言えないし、これか らも機能するかは疑問が残る。受け入れ先の確保、親への告知などの転校措置に関する 制度はまだ不十分である。制度的不備が整ったとしても、転校生の増加により転校元の 学校が閉鎖されたり、転校先の学校のクラス規模が大きくなりすぎたりするなどの問題 をこれからどうするかは未解決のままである。転校は、経済的事情から公立学校に頼る 生徒と親によりよい教育環境を保障し、学校のインセンティブを高める狙いの措置だが、 現在までの状況を見ると効果のある措置かどうかは疑問である。 第二節: 第二節 : 補助サービス 補助 サービス 三年連続で「改善が必要な学校」となった学校の生徒は、補習や家庭教師などの補助 的な教育サービスを連邦補助金で受けることができる。補助サービスを提供する機関は 州の承認と登録が必要であり、学区は親に対してそれらの機関の情報を与え、親は補助 9 サービスの提供者を選ぶことができる。補助サービスを受けないことも可能である。登 録されている補助サービス機関は 63%が民間機関、22%が学区・公立学校である。 xxiii 補助サービスの提供状況を見ていくと、転校よりも補助サービスを受け取る生徒が多 い。ニューヨーク市の場合、2004 年度に補助サービスを受けた生徒は、提供を受ける権 利を持つ生徒の約 24%に上った。一方、提供を受ける権利を持つのに提供されない、も しくは請求しない生徒も多いという。シカゴ市の場合、サービスを受けた生徒は権利を 持つ生徒の約 11%、ロサンゼルスではサービスの提供を請求した生徒が権利を持つ生徒 の約 10%だったという。転校と同様、告知の不徹底や遅れがあるのだが、その背景には 学区の財政的事情がある。学区内の学校が「改善が必要」と判断された場合、学区は割 り当てられている連邦補助金の 20%で補助サービスを提供しなくてはならないため、学 区が生徒と親に補助サービスの告知を渋ったり、民間サービス機関に説明の機会を与え ないなど連携をとらなかったりすることが多い。補助サービスを受ける生徒が多くなる と、学校施設・教科書などの備品・教育プログラムなど学校全体を改善するために使え る補助金が減ってしまうからである。補助サービスを希望する生徒全員に提供するには、 予算が全く足りないという声が大きい。 補助サービスの提供にも問題が現れている。まず、補助サービス機関の数である。生 徒数が多い都会の学区では補助サービス機関が集中するが、生徒数の少ない田舎の学区 では補助サービス機関も少なくなる。州によってもその数に幅があり、場所によっては 生徒と親にほとんど選択の機会がない。そのような地域では、学区が補助サービスを提 供していることがあるが、 「改善が必要」とされた学区が連邦補助金で補助サービスを提 供することは NCLB に反する、という連邦教育省との間で対立が生じている。さらに、 障害を持つ生徒・英語に不自由な生徒を対象とした補助サービスを提供する機関がほと んどないという。 xxiv彼らにとっても、教育機会選択の保障がされていないことになる。 補助サービス提供は始まったばかりで制度的に試行錯誤の段階であり、成績への影響 や学習効果もまだ不明である。しかし、補助サービス提供を有効に機能させていくには、 予算不足という最大の問題が残されている。 第三節: 第三節 : 共和党と 共和党 と 民主党の 民主党 の 齟齬 教育機会の選択拡大は制度が未整備であり、多くの課題を抱えているが、その解決策 を模索していく中で、共和党と民主党、両党の NCLB による教育改革の狙いの違いが浮 き彫りとなっている。 両党ともアカウンタビリティの重視という点では共通しているが、共和党は学区・学 校の自主的努力を前提とすることで、私立学校や民間教育機関との競争を促し、教育再 建と生徒の学力向上を目指している。公立学校にも競争を持ち込んだことで、自発的努 力は確かに促されているが、共和党の方針をさらに進めていくと、公立学校より成果の 高い私立学校への転校や、民間教育機関による補助サービスの提供が広く行われ、特に 学習環境にハンデを持つ生徒に教育機会が均等に与えられなくなり、学力差がかえって 10 広がるおそれがある。補助金による支援がないまま公立学校に厳しい基準を要求するこ とは、現在までの状況が既に示しているように過大な負担を負わせることになり、公教 育の再建が本当に促されるのか、むしろ逆の方向に進むおそれもある。 一方の民主党は、学習環境にハンデを持つ生徒の教育・教師の育成・クラス規模縮小 のための施設改善など、使途を明確に定めた連邦補助金を交付することで教育再建と生 徒の学力向上を目指している。したがって、連邦補助金を使用する補助教育サービスに は当初から反対だったのだが、これは法案作成時に妥協した点だった。NCLB の実施が 進むにつれて、両党の齟齬は大きくなっている。超党派で法律を通過させた民主党は、 現在までの共和党の教育政策に強く反発している。特に、法案作成に重要な役割を果た したジョージ・ミラー、エドワード・ケネディは「ブッシュは約束した予算を出してい ない」と怒りを表明し、さらに「共和党は公立学校の改革を望んでいるのではなく、教 育バウチャー制度で私的教育を進めることを目指している」と批判している。ただ、民 主党の求める予算案は不可能である、と多く指摘されている。 終章: 終章 : NCLB 施行により、州は明確な学力到達基準を定め、学区・学校は生徒の学力向上の ための自主的な取り組みを進めた。特に、今まであまり顧みられなかった生徒達、すな わち貧困家庭・移民・マイノリティ・障害を持つ生徒等、学習環境にハンデを持つ生徒 達への教育と学力向上が焦点として浮上した。彼らを含む生徒全体の学力向上が、全国 的目標として法律になったこと自体が大きな前進だと評価されている。連邦主導の州・ 学区・学校の取り組みが、近年の統一学力テストの点数向上につながったことは間違い ない。 一方、NCLB の基本方針の実施状況を見ていくと、成立当初から懸念されていた問 題・されていなかった問題が様々な面で現れている。アカウンタビリティの重視からは、 統一学力テストの有効性を問う動きと州と連邦の摩擦が生じている。基準達成度を判断 する統一学力テストは、教師や学校に経済的・人員的に多大な負担を負わせている。特 に、学習環境にハンデを持つ生徒達への教育は自発的な努力だけでは不十分であり、成 績向上と成績格差の縮小を維持していくことは難しい。教育の基本的権限を持つ州に対 して、連邦主導の教育改革を求めることのゆがみも現れている。連邦が求める基準を達 成するため州がテストの基準操作を行い、その結果、生徒の学力評価を正確に行うこと ができず、教育改革の目的である生徒の学力向上と、教育成果の上がらない生徒・学校 への支援を困難にしている。また、連邦政府は NCLB 施行にあたって教育省に割り当て る予算を増加し、各州に交付する連邦補助金を施行前より増加して、教育の基準化・共 通化を進めているが、教育費の中で連邦補助金が占める割合はわずか 7%であり、教育 費のほとんどを負担する州・学区が NCLB の束縛に反発し、逃れようとする動きも大き くなっている。連邦がアカウンタビリティを強化したことで、かえって州の教育行政に 11 弊害が生じる。このジレンマを解決することが課題である。 教育機会の選択拡大の意図は、アカウンタビリティを強化して教育成果向上を促し、 それでも成果が上がらない学校の生徒に教育機会の選択を保障して、学力向上を図るこ とだが、制度的に途上段階にあり、効果は未知数である。ただ、今後制度を整えて効果 ある措置にするためには、予算の問題が避けて通れない。予算幅や補助金の使途を巡っ て、共和党と民主党の意見の違いがよりはっきりと現れている。NCLB 成立時と違って 現在は上下院共に共和党多数であり、共和党の進める方針に従って今後の教育改革は進 むと考えられるが、学習環境にハンデを持つ生徒の多さ・成績格差の大きさを考えたと きに、共和党が求める自発的努力だけでは全体の学力底上げは望めない。民主党の求め る使途の明確な補助金や予算増加もある程度は必要である。NCLB の目的は生徒の全般 的な学力向上と成績格差の縮小であり、そのためには公教育改革が欠かせない。公立学 校に厳しいアカウンタビリティを課すだけではなく、財政的・制度的に適切な援助を行 わないと、目的は達成されないだろう。超党派で成立した NCLB を、成立だけで終わら せるのではなく、実施も超党派で進めることが今後の課題である。 12 別表1 Percentages of Students with at least basic skills in Math 4th Grade 1996 8th Grade 2000 2003 1996 2000 2003 All 63 65 77 61 63 68 White 76 78 87 73 76 80 Black 27 36 54 25 31 39 Hispanic 40 42 62 39 39 48 Percentages of Students with at least basic skills in Reading 4th Grade 1998 8th Grade 2002 2003 1998 2002 2003 All 60 64 63 73 75 74 White 70 75 75 81 84 83 Black 36 40 40 53 55 54 Hispanic 37 44 44 53 57 56 (The Nation’s Report Card より抜粋) 別表2 2003 年度の 年度 の 「 NAEP で『 良好』 良好 』 成績の 成績 の 生徒」 生徒 」 と 「 州内統一学力テスト 州内統一学力 テストで テスト で 『 良好』 良好 』 成績 の 生徒」 生徒 」 の 割合の 割合 の 差 と 、 その成績差 その 成績差が 成績差 が 存在する 存在 する州 する 州 の 数 4th Grade Math 7 8th Grade Math 8 4th Grade 1 4 Reading 7 8th Grade Reading 5 6 6 16 3 9 14 14 7 8 10 9 7 6 0 14 13 7 3 7 5 1 0-9% 10-19% 20-29% 30-39% 40-49% over50% unknown 3 (Education Week “Quality Counts 2005: Students Achievement”より作成) 13 参考資料 黒崎勲「学校選択と学校参加―アメリカ教育改革の実験に学ぶ」(東京大学出版会、1994 年) 今村令子「永遠の『双子の目標』-多文化共生の社会と教育」(東信堂、1990 年) 文部科学省編「諸外国の教育の動き」(2000 年以降各年版) 本間政雄・高橋誠「諸外国の教育改革-世界の教育潮流を読む・主要 6 カ国の最新動向」 (ぎょうせい、2000 年) 現代アメリカ教育研究会編「学校と社会との連携を求めるアメリカの挑戦」 (教育開発研究 所、1995 年) チェスター・E・フィン Jr.他「チャーター・スクールの胎動―新しい公教育を目指して」 (青木書店、2001 年) 宮田智之「近年の保守化の一考察 アメリカにおける保守派財団の政治的影響力」(2002 年度修士論文) 喜多村和之編「アメリカの教育『万人のための教育』の夢」(弘文堂、1992 年) E・D・ハーシュ「教養が、国をつくる。」(TBS ブリタニカ、1989 年) 阿部斎・久保文明「国際社会研究Ⅰ 現代アメリカの政治」(放送大学教育振興会、2002 年) Fred I. 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Fortier and Norman J. Ornstein, “President Bush: Legislative Strategist” in Fred I. Greenstein(ed.),The George W. Bush Presidency (The Johns Hopkins University Press,2003), p146 Education Week, Sep.8, 2004 v The Nation’s Report Card http://nces.ed.gov/nationsreportcard/mathematics/results2003/ http://nces.ed.gov/nationsreportcard/reading/results2003/ vi 連邦教育省プレスリリース November 13, 2003 vii Education Trust Measured Progress: Achievement Rises and Gaps Narrow, But Too Slowly (October 2004), pp1-3 viii Education Week, “State of Special Education” in Quality Counts 2004: Count Me In: iv 15 Special Education in an Era of Standards (January 8,2004) http://counts.edweek.org/sreports/qc04/index.cfm ix Education Week, Mar.31, 2004 x Phi Delta Kappan,The 36th Annual Phi Delta Kappa/Gallup Poll of the Public’s Attitudes Toward the Public Schools (September 2004) xi The New York Times, Jan.2, 2004;Education Week, Oct.1, 2003;Sep.8, 2004 コネチカット州内 3 学区・ヴァーモント州内 3 学区など。 xii The New York Times, May 22,2003 ミシガン、コロラドでも同様の対策がされていると報じられている。 xiii Education Week,“Table: Student Achievement” in Quality Counts 2005:No Small Change, Targeting Money Toward Student Performance (January 6, 2005) http://www.edweek.org/ew/qc/2005/tables/17achieve-t1.html xiv Education Week, Sep.24, 2003 xv The New York Times, Mar.25, 2004 14 州:アラスカ・カリフォルニア・コネチカット・アリゾナ・アイダホ・ルイジアナ・メ ーン・モンタナ・ネブラスカ・ネバダ・ニューハンプシャー・ペンシルベニア・ユタ・ワ シントン xvi the Government Accountability Office Highlights No Child Left Behind Act (September 2004);The New York Times, Oct.5,2004 xvii Fair Test State Level NCLB Actions (February23, 2004) http://www.fairtest.org/nattest/State%20Action.html xviii Washington Post, Feb.20, 2004 xix The New York Times, Sep.30, 2003 xx 文部科学省編「諸外国の教育の動き 2003 年」p11-12 フロリダ州マイアミ・デイド学区 xxi Center on Education Policy From the Capital to the Classroom: Year2 of the No Child Left Behind Act (January 2004), p83 xxii Phi Delta kappan 80%が「現在の学校にさらに改善努力を施してほしい」と答えた。 xxiii Education Week, Feb.25, 2004 xxiv Education Week, Sep.29, Nov.3, 2004,Jan.5, 2005 16