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ITU-T SG16 第8回全体会合報告 - TTC 一般社団法人情報通信技術

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ITU-T SG16 第8回全体会合報告 - TTC 一般社団法人情報通信技術
ITU-T SG16
第8回全体会合報告
松本 充司
早稲田大学
大久保 榮
早稲田リサーチセンター
高木 元三
松下電送システム㈱
第五部門委員会 AVS特別専門委員会・委員
河原 敏朗
㈱エヌ・ティ・ティ・ドコモ
第五部門委員会 第一専門委員会・副委員長
間野 一則
日本電信電話㈱
第五部門委員会 AVS特別専門委員会・副委員長
Ⅰ 概要
ウェア、沖電気、リコー、東芝から合計
1
26名
時期・場所
・2000年11月13日(月)∼17日(金)
(注)米国からの参加者数は合計57で、日本はそれに次ぐ。
第3位は英国で13名。
・ジュネーブITU本部
2
参加者
議長団
3 文書件数
:SG16議長
P-A. Probst(スイス)
・White Contributions 30
SG16副議長 S. Campos-Neto(米国)
・Delayed Contributions 92
SG16副議長 G. Helder(米国)
・Temporary Documents:PLEN-103, GEN-15,
−今会合で退任
WP1-73, WP2-105, WP3-36
SG16副議長 J. Magill(英国)
SG16副議長 松本充司(日本)
4 SG会合主要審議結果
SG16副議長 F. Tosco(イタリア)
4.1 Decision勧告
SG16副議長 Y. Wreikat(ヨルダン)
WP議長団 :WP1議長
TSB Circular 282とそのaddendumで下記勧告草案
J. Magill(英国)
が郵便投票に付された。
WP2議長
F. Tosco(イタリア)
・Corrigenda
2件
WP3議長
S. Campos-Neto(米国)
・Amendment
4件
・改訂勧告
9件
参加者数 :26カ国,事務局合計187名。
・新規勧告
27件
日本からの参加:
郵便投票には15カ国が賛成の回答をし、これらの勧
Q16&17ラポータ 松本充司(日本)
郵政省参与、KDDI、NTT DoCoMo、
告草案はSG16の決定に付託された。その結果、下記を
キヤノン、CIAJ、富士通、松下電器、
除き、承認された。
三菱電機、日本電気、NTT、 NTTコム
・H.225.0 v4:Annex E、 Annex Fのみ、RFC3016に
1
TTC Report 2001/ 春季号 1
参照されているISO/IEC 14496-1 FDAMが正式標準
が、Q.14(ファクシミリ端末)はTom Geary氏
になることを条件に承認(注)。その他のH.225.0は今
(Connexant)が担当する。その他、日本からはQ.4
会合で承認。
(テレビ会議、データ会議におけるインターネット
サービス利用)に大久保榮氏(通信・放送機構)が
・H.323 Annex L:大幅なテキストの修正があり、AAP
指名された。
が適用される。
④ 今会合では、TAP(Traditional Approval Procesure)
・T.800|ISO/IEC 15444-1 (JPEG2000 "Core System")
は、TeraLogic社より特許実施 非許諾の声明が届い
のDecisionとAAP
(Alternative Approval Procedure)
たため、JPEG会合での解決を期待して,AAP適用と
のConsentが行われ、Zhao事務局長からの指導で
なった。
TAPのDeterminationは適用されないことになった。
⑤ 今会合は1週間で短すぎる、SG16は2週間、9ヶ月
周期をSG議長会合で提案するとのこと。
なおT.30 Amendment 2は、郵便投票で英国から
⑥ H.323関連グループではラポータ会合の参加者が
Annex Kに反対の表明がされていたが、このAnnex K
100人程度になり、主催機関の負担が大きいことか
を削除のうえ承認された。
ら、参加費を集めることの可否が提起された。勧告
(注) 会合後の調査で14496-1 Amendment 1は最終投票の
結果2000年9月27日に承認された。しかし、その出版
はVersion 2
A.1には、「原則参加費はなし、例外的にSGでの承認
(= Version 1 + COR1 + AMD1)の形で
を得れば可」となっており、次回SG会合までのラポ
行われ、時期は2001年1月あるいは2月ということで、
RFC3016でforward referencing問題が残るため、この
ータ会合で必要が生じれば個別にSG16議長に相談し
て決定するとの指示があった。
参照は削除し関連テキストを一部修正されることにな
った。これにより、条件は解消される予定(SG16議長
⑦ 他機関とのリエゾン強化のため、双方の会合に参
に連絡済み)
。
4.2
加する責任者が指名された。
SG16運営
① 今会合は1997-2000年会期から2001-2004年会期へ
の移行期会合で、審議は旧体制で行われた。
IETF
Probst, Bigi
ISO/IEC general
Probst, Bigi
ISO/IEC MEPG Video
② 新会期のWP構成は次の通り発表された。
Sullivan
ISO/IEC JPEG
Sebestyen
ITU-D
Wreikat
12、13、14/16)
ITU-R
Magill
WP2/16 議長:Federico Tosco氏(CSELT、伊)
ITU-T SG9
Magill
SG13
Robin-Champineul, Vandenameele
WP1/16 議長:松本充司氏
Modems and facsimile terminals(Q.H/16、11、
Multimedia platform and interworking(Q.D、F、
(Alcatel)
G、 1、2、3、4、5/16)
WP3/16 議長:Simao F. Campos Neto氏 (LMGT、
SSG IMT-2000
Campos Neto, Tosco
米)
E-commerce
Robin-Champigneul
Media coding(Q.E/16、6、7、8、9、10/16)
4.3
WP4/16 議長:John Magill氏(Lucent Technologies、
次回会合
2001年5月あるいは6月の予定で、開催場所はブラジ
英)
ル(ブラジリアあるいはリオ)と の観測が流れている。
Multimedia framework(Q.A、B、C/16)
なお副議長のY Wreikat氏はITU-R、ITU-Dなど他
━━━━━━━━━━━━━━━━
標準化機関とのリエゾンを担当する。
Ⅱ マルチメディアコーディネーション
③ 各課題ラポータ予定者(選任中の2課題を除く)
が発表された。H.323システムを扱うQ.2は、Dale
Q16:
Skran氏が退任、Paul Jones氏(Cisco)が引き継ぐ。
applications and services.
Q.9 (VBR音声 符号化)は内藤悠史氏(三菱電機)
2 TTC Report 2001/ 春季号
Harmonization of Multimedia systems,
(マルチメディアシステム、アプリケーションおよび
2
サービスの調和)
Y.130:Information Communication Architectureを
Q17:AVMMS Coordination
作成した(28 Feb. 2000)
(オーディオビジュアルマルチメディアシステムの調整)
2.2 Mediacom2004 関連
1 課題の内容:マルチメディアシステム、アプリケ
① ITU-Rにおける活動:ITU-RではMultimedia over
ーション、サービスの標準化に関して調和と調整
BroadcastingとしてWP6M(ITU-R TG11/5 and
JTG10-11) や ITU-R JTG1-6-8-9が 設 立 さ れ た 。
これまでの活動で、GIIプロジェクトの課題
WP6MではITU-T SG16のMediacomとの協調が諮ら
(F.3,F.4,M3,M10,I.2等)の審議、並びにサンチャゴ会合、
れる。
マルチメディアワークショップの主催を行った。本会
② SG9ではCATV上のMediacomとして勧告草案
合は今会期の最終会合であると共に次会期への移行の
J.sec(IPCablecom Security)の策定紹介
会合である。Mediacom2004の課題はQ.A/16
③ ISO/IEC JTC1/SC29/WG11からMPEG21のマル
(Mediacom)のラポータの候補者(Mr. J. Magill)を
チメディアフレームワーク(PDTR:Planned Draft
中心に進めた。
Technical Report)の活動紹介とMediacom2004との
2
課題の審議概要・結果(全般的事項):
早急な調和の必要性が示された。
本会合では、Mediacomを除くQ16、17の課題は外部
2.3
からのリエゾン文書を中心にそれに対する回答の為の
SG16のマルチメディア活動を他のSGや機関に紹
介するためのリエゾン文書を作成した。
審議を行った。今会合での課題は、電子商取引に関す
① MPEGのリーダおよびMPEG21のエディタと非公
る動き、SG16外でのマルチメディアの取組みに関する
式会合をもち、両者のコンタクトパーソンを任命し
ものであり、具体的な結果は以下の通りである。
て、情報交流を密に進めることとした。
② IETF Area Director:Scott Bradnerと会合で
2.1 電子商取引(e-commerce or Electronic Business)
:
IETF/ITUとの共通文書を作成に関する協議。
① 電子商取引に関する覚書書の署名(MoU):
③ IP/Mediacomのワークショップ(24-27April
本件に関し、関連機関の調和と協力を行う為、ITUT、 ISO、UN/ECEがサインし、会合を行っている。
2001:Geneva)に関する協議の為、SG13議長/副
ITU-TとしてはGIIプロジェクトM.3の一環としてそ
議長との協議。
のリードSGであるSG16のコーディネータ(Mr. Y.
RobinChampigneul)がITUの代表として前回(17-
━━━━━━━━━━━━━━━━
18 May 2000,Geneva)から参加している。尚、次会
Ⅲ 低レートシステム(WP1)
合は29-30 November 2000、Geneva で開催される。
1 低レートシステム作業部会概要
同 時 に 27-28 November 2000、 Genevaで BOS
WP1の低レートシステム関係は、8課題から構成さ
(Business Object Summit)も開催される。尚、こ
れ、音声帯域モデムの伝送技術等について、審議を行
こではまずB-Bを取り上げ、このアプリケーション
なっている。今回の会合では、主に2000年2月の全体
の記述に関する検討を進めている。
会合及び、2000年6月のWP1会合で予備承認
② 本グループではebXML ConsortiumやETSI M-
(Determination)された草案に対して、最終草案の完
Commerce projectも視野に入れている。
成を目指して審議が行なわれた。その結果、表1に示
③ ITU-TサイドではSG16で検討中の勧告草案Rec.F.
す草案は全て勧告化の採択(Decision)が承認された。
USER(as F.701)が対象である。
また、表2に示す勧告に関連した文章についても承認
④ SG7ではセキュリティの観点から、 E-Businessに
された。
関する新課題(Security Services, Mechanisms and
Protocol)として取組みを開始した。
⑤ SG13で は Electronic Businessの 勧 告 と し て
3
TTC Report 2001/ 春季号 3
表1 WP1低レートシステム関連で採択(Decision)された
勧告一覧
その作業(V.moip)が、新しいSG16のQ11の下、
TIA TR-30と協力して進めることで合意された。
勧告番号
1
V. 8
勧告案件名
課題番号
一般交換電話網における
区分
データ伝送のセッション
改訂
Q. 4
V.moipは、PSTN/ISDNに加えて、IPネットワーク
網を含んだリアルタイムのデータモデム通信を行な
開始手順
データ回線終端装置及び
2
V. 8bis
うためのものである。
回線交換網上のデータ端
末装置と電話型専用回線
Q. 4
2.2
改訂
との間の共通モード運用
の確認及び選択手順
3
V. 59
4
V. 44
5
V. 18
6
V. 92
表2
末とISDN以外の端末とのインターワーキング)
V.110 Appendix Iの改定が提案され、SG16の次会合
回線交換網接続の診断情
報の管理目標
データ圧縮手順
テキスト電話モードにお
けるデータ回線終端装置
Q. 4
新規
Q. 8
新規
で改定を承認する方向で受け入れられた。
2.3
運用のための運用及び相
Q. 9
改訂
Q. 23
新規
ISO/IEC JTC1 SC6 WG3からLANの物理レイヤに
エキスパートがWP1に参加しそうにないため、適切な
エキスパートの紹介だけに留まった。
WP1低レートシステム関連で承認(Approval)された
勧告関連文書一覧
勧告案件名
課題6(DTE−DCE相互接続回路)
関するLiaison Statementがあったが、これに関係する
互接続要求条件
勧告V. 90の拡張
勧告番号
課題5(ISDNターミナルアダプタ及びISDN用端
課題番号
区分
1
V.250
シリアル非同期自動ダイ
Implementor's
ヤリング及び制御
Guide
Q. 7
改訂
2
非同期−同期変換による
V.42
Appendix Ⅵ DCEの誤り訂正手順
Q. 8
新規
2.4
課題7(DTE−DCEプロトコル)
勧告V.250
Implementor's Guideの完成と、勧告
V.80に対する変更について審議された。
① 勧告V.250 Implementor's Guideについて
新規勧告V.59(V.mmo)、V.92(PCM MODEM)、
V.44(Data Compression)に対しての整合性を取る
2
主要審議結果
2.1
べく、コマンドの追加及び変更が提案された。審議
課題4(高速モデム)
の結果、受け入れられ承認された。これに伴う勧告
2000年6月のWP1会合で予備承認(Determination)
V.250 Supplementの改定は、SG16の次会合で承認す
された勧告V.8/V.8bis(改訂)と勧告V.59(V.mmo
る方向になった。
新規)に対して、最終草案の完成を目指して審議さ
② 勧告V.80 について
3つの同期データ速度の追加が提案された。審議
れた。
の結果、追加すべきデータ速度及び、将来追加され
① 勧告V.8/V.8bis(改訂)について
るだろうデータ速度についての問題が出され、継続
前WP1会合で予備承認(Determination)された
検討となった。
勧告草案に対して、エディトリアルな修正が行なわ
れ、承認(Decision)された。これにより、課題23
2.5
で審議されている勧告V.92のモデムに対しての端末
2000年6月のWP1会合で予備承認(Determination)
識別やスタートアップ手順の短縮が可能となる。
された新しいデータ圧縮方式の勧告V.44(新規)に対
② 勧告V.59(V.mmo 新規)について
して、最終草案の完成を目指して審議された。
前WP1会合で予備承認(Determination)された
① 勧告V.44(V.dc2 新規)について
勧告草案に対して、V.44オブジェクトの変更などを
前WP1会合で(Determination)された勧告草案
盛り込む提案が行なわれた。審議の結果、受け入れ
に対して、エディトリアルな修正と説明追加の提案
られ承認(Decision)された。
が行なわれ、承認(Decision)された。これにより、
③ V.moipについて
V.42bisよりもパフォーマンスの高いデータ圧縮で、
Modem-over-IPの新しいプロジェクトが用意され、
4 TTC Report 2001/ 春季号
課題8(DCE−DCEプロトコル)
4
勧告Vシリーズのデータモデムを使って通信するこ
TR-30.3は、ネットワークモデルのインターナショナ
とが可能になる。
ル・バージョンの作成を働きかけている。また、各国
に対しネットワーク情報の提供も求められた。
② 勧告V.42 Appendix Ⅵ について
勧告V.44によるパラメータのネゴシエーションが、
2.8 課題23(PCMモデム)
既存のV.42装置に問題を残す可能性についての示唆
2000年6月のWP1会合で予備承認(Determination)
とそれによって生じる問題を防ぐための提案がされ
た。審議の結果、V.42 Appendix Ⅵとして追加する
された勧告V.92に対して、最終草案の完成を目指して
ことで受け入れられ、承認された。
審議された。
① V.92(Ex-V.90 Issue 2 新規)の審議
③ 今後の予定
以下の審議に基づく変更とエディトリアルな修正
2001年4月のラポータ会合で、新しいQ.12/SG16で
が受け入れられ、承認(Decision)された。IPRにつ
の作業について検討を行う予定。
Agenda item
いては、13社が表明している。
− V.44の実装から起こりうる問題
・ネットワーク・エコー・キャンセラーに対して、
− DCE-DCEプロトコル上でのMoIPの結果
動作を確実にするために Short
− DCE間での管理情報伝送のためのチャンネル
提案され、受け入れられた。
Phase 1の変更が
・Fast Parameter Exchange手順において、E2u と
の準備
B1u との間にFB1u のシーケンスの挿入の変更が
− 新しい圧縮アルゴリズム
提案され、受け入れられた。
2.6
・V.92 Appendix on Modem-on-Hold scenarios が提
課題9(身体障害者を考慮したマルチメディア)
2000年2月のSG16全体会合で予備承認(Determination)
案された。しかし、承認されるための十分な材料
された勧告V.18(テキストフォン 改訂)について、
が成熟しきっていなかったため、SG16の次会合で
審議された。
承認する方向で、作業が続けられるよう提案され
① 勧告V.18(改訂)について
た。あわせて各国の情報も要請された。
このV.92が勧告化されたことにより、V.90モデム
勧告草案のまま受け入れられ、承認(Decision)
を拡張させた
された。
・上り48kbps、下り56kbpsのデータ速度
② V.18でのテキスト、音声同時通信について
・スタートアップ手順の短縮
テキスト、音声同時通信を行なうV.61モデム使っ
・モデム・オン・ホールド機能
たテストの報告と、デモストレーションがSG16の次
を有するモデムの通信が可能となる。
会合で行われることが、アナウンスされた。
② 今後の予定
③ エコーキャンセラ装置によるテキストテレフォン
課題4、10、23の作業が一緒になり、新しい課題
の通信問題について
Q.11/SG16の下で次の作業を推進する予定。
既存のV.18端末で生じている交換機内のエコーキ
・V.92 Appendix on Modem-on-Hold scenariosの完
ャンセラ装置による障害について、Q7/15に対して
成
リエゾンを送付し、交換機がG.168のTEST 14の義
・V.moip作業の推進。
務を果たすことを要求し、承認された。
2001年1月と4月にラポータ会合を行なう予定
2.7
・V.95(PCM MODEMのパフォーマンスを評価す
課題10(モデム試験)
るためのネットワークモデル)の完成
V.90シリーズモデムの進展に伴い、北米ネットワー
・既存勧告のメインテナンス
クモデルに関するリエゾンが審議された。
“片側アナログ、片側ディジタル接続のモデムを評価
2.9 まとめ
するための北米電話回線伝送モデル”TIA/EIA-793に
WP1の低レートシステム関連では、新規勧告
ついての情報が、TIAから正式に公開された。TIA
5
TTC Report 2001/ 春季号 5
V.92,V.44の勧告化と、それに伴う関連する勧告の改訂
2.2
課題2(会話型マルチメディア情報検索サービス)
や関連文章の最終承認に向けての審議が、中心となっ
decision:なし
て行なわれた。これらの勧告及び関連文章は、今会合
concent :なし
(審議内容)
で概ね承認されたことにより、大きな節目を迎えたこ
本課題への入力文書はなく、審議事項はなかった。
とになる。今後は、PSTN/ISDNに加え、IPネットワ
ーク網を含んだリアルタイムのデータモデム通信
2.3
(V.moip)の勧告化の作業が、中心に行なわれる予定
課題3(マルチメディア会議のためのデータプロ
トコル)
であり、TIA TR-30と協力して進めていく予定である。
decision:なし
━━━━━━━━━━━━━━━━
consent :なし
Ⅳ サービスおよび高レートシステム(WP2)
1
(審議内容)
概要
本課題への入力文書はなく、審議事項はなかった。
WP2では、マルチメディアサービスおよびオーディ
2.4 課題11(回線交換網用のオーディオビジュアルシ
オビジュアル通信システムを担当している。今回の会
合では、第6回の会合で凍結(Determine)された17項
ステムおよび端末)
目について審議がおこなわれ、AAP付議が承認された
decision :H.324 Annex H
H.324 Annex Nを除く16項目についてWTSC-98決議1.8
consent :なし
にしたがって勧告化の採択(Decision)が承認された
Approve:H.324インプリメンターズガイド、H.320イ
ンプリメンターズガイド
(表3)。また今会合では4項目のAAP付議が承認され
(審議内容)
(表4)、5項目目のインプリメンターズガイドの承認が
① H.324M端末用のマルチリンクプロトコルを規定す
された(表5)
。以下、課題毎に詳細を述べる。
るH.324新規Annex H(旧称H.mml)が、白文書に
2
各課題の審議状況
2.1
対する軽微な変更を加えて勧告化が承認された。
② H.324に対する以下の修正を含むインプリメンター
課題1(オーディオビジュアル・マルチメディア
ズガイドが承認された。
サービス)
・H.324 Annex Cの修正(H.223 Annex D参照、
decision: F.701(F.USER), F.703(F.MCVS),
H.223 Annex A使用時のデータチャネル情報分割
F.700 Annex C, F.700 Annex A.3改訂
など)
consent: なし
・H.324 Annex Dの修正(H.324 Annex Cのサポー
(審議内容)
トの明確化)
① F.700のユーザーの要求に関する部分を独立勧告と
・H.324 Annex Fの修正(手順の明確化)
して規定する新規勧告F.701(F.USER)が勧告化さ
③ H.320シリーズに対する以下の修正を含むインプリ
れた。
メンターズガイドが承認された。
② マルチメディア会話サービスを規定する新規勧告
・H.243のReference、Tableの修正(TTC指摘)
F.703 (F.MCVS)が勧告化された。
・H.221、H.242におけるH.263++サポートなど
③ ミドルウェアサービス要素を規定するF.700新規
・H.230への新規オプションコマンド(VideoBadMB)
Annex Cが勧告化された。
の追加など
④ メディアコンポーネントテキストを規定する
④ H.324端末におけるHTTPの利用に関する規定が提
F.700 Annex A.3の改訂が勧告化された。
案され、H.324 Annex Iとして勧告化することが合
⑤ 国際緊急マルチメディアサービスを規定する
意された。次回会合でConsentの予定。
F.IEMSのドラフトが作成された。
⑥ 電子商取引に関するプロジェクトM.3について議
2.5
論し、作業項目リストの初版を作成した。
6 TTC Report 2001/ 春季号
6
課題12(B-ISDN用のオーディオビジュアルシス
呼する付加サービスH.450.10、着信先がビジーであ
テムおよび端末)
decision:なし
っても割り込んで通話できるようにする付加サービ
consent :H.222.0 Corrigendum 1
スH.450.11のAAP付議が承認された。
⑦ H.323端末における新規広帯域音声符号化G.722.1
(審議内容)
のサポート、H.225.0のASN.1の誤りの修正、
① ISO/IECと共通テキスト勧告であるH.222.0の
Corrigendum 1( 前 回 2月 会 合 で 承 認 さ れ た
FastConnect手順の改良、H.263に用いるパケット化
Amendment 7:MPEG-4 content over MPEG-2
を明示的に通知することの推奨などに関するH.323イ
SystemのFlexmuxパラメータ抜けを訂正するもの)
ンプリメンターズガイドが承認された。
⑧ H.323のMobilityに関して、ユーザとサービスのモ
のAAP付議が承認された。
② ISO/IECと共通テキスト勧告であるH.222.0がこれ
ビリティを規定するAnnex H、エラー発生通信路へ
から検討を開始するMetadata over MPEG-2 System
の適用を規定するAnnex Iに関し、それぞれ対立す
に関するWork Planが紹介された。
る提案が出されており、コンセンサスはまだ得られ
ていない。
⑨ DSS1トンネリングを行うH.323 Annex M.3、通信
2.6 課題13(パケット網用のオーディオビジュアルシ
中の障害発生時に呼を自動回復するH.323 Annex R、
ステムおよび端末)
管理ドメイン間通信の機能拡張のH.225.0 Annex G
decision :H.323v4, H.225.0v4, H.323 Annex D, J, K,
ver.2、featureなどの共通メッセージのやり取りを行
M.1, M.2, H.450.9
consent :H.323 Annex L, H.450.10, H.450.11
うH.450.12について、次回のSG会合でAAP付議する
Approve :H.323シリーズインプリメンターズガイド
方針である。
⑩ H.323の新しいAnnexに関して、QoS保証のための
(審議内容)
① Fast Connect手順の補充・明確化、Tones and
通信手順を規定するAnnex N、H.323から一般のIP
Announcementのための手順などを含むH.323ver.4
プロトコルを利用するための手順・情報を与える
の勧告化が承認された。
Annex Oについて、現時点での勧告草案が紹介され
た。
② H.323変更点の反映、H.223などの多重化ストリー
ムのトランスポート、MPEG-4ビジュアル・オーディ
⑪ Number Portabilityの議論から発展して汎用の機
オのパケット化規定(Annex E, F)を含むH.225.0ver.4
能拡張を実現する枠組みであるH.GEF、緊急時でも
について、Annex E, Fを除く部分について勧告化が
優先的に呼を接続できるエマージェンシーコールの
承認された。Annex E, Fについては参照している
議論がはじめられている。
MPEG標準が制定されることを条件として勧告化が
2.7 課題14(共通プロトコルおよびHシリーズ端末)
承認された。
Decision :H.235 v2、 H.247 v7、H.248 Annex F、G、
③ H.323のAnnexに関して、暗号化SET(単機能音
H、I、J、K
声端末)を規定するAnnex J、HTTPによるH.323端
Approve:H.248インプリメンターズガイド
末の制御を規定するAnnex K、QSIGトンネリング
(審議内容)
を規定するAnnex M.1、ISUPトンネリングを規定す
① パスワードベースセキュリティプロファイル
るAnnex M.2の勧告化が承認された。
④ 着信先がビジー時に、ビジー状態から解放後自動
(Annex D)、電子署名セキュリティプロファイル
的にコールバックする付加サービスH.450.9の勧告化
(Annex E)、Spammingアルゴリズムを利用した盗
聴防止手順の追加等を規定するH.235 V2が勧告化さ
が承認された。
れた。
⑤ H.323のAnnexに関して、H.323エンドポイントを
Feature Serverから制御するためのStimulusプロト
② 多重化ストリーム能力、モバイル・マルチリンク
コルを規定するAnnex LのAAP付議が承認された。
再設定261/263 ビデオ能力、T.38改定に伴う修正等
が追加されたH.245 V7が勧告化された。
⑥ 着信先がビジー時に、発呼側から自動的に再度発
7
TTC Report 2001/ 春季号 7
③ H.246のAnnexに関して、既存モバイル網との相
などインフラに関連するプロトコルの標準化も行われ
互接続に関する一般機能を規定するAnnex E.1、北
ている。あわせて、IETF、ISOとの協調について別途
米シグナリングシステムNo.7 におけるANSI-41
会合を持って議論するなど、外部機関との協調体制強
MAP(Mobile Application Protocol)とH.225.0との
化も進められている。今回会合から適用が開始された
相互接続を規定するAnnex E.2が勧告化された。こ
AAP(代替承認手続き)を用いたより迅速な勧告化を
の規定により、北米仕様の第2世代携帯電話網と
活用し、さらに市場のニーズに即した標準化作業が今
H.323網の相互接続が可能となる。
後さらに期待される。
④ H.248のAnnexに関して、FAX、テキスト通信及
び呼識別パッケージを規定するAnnex F、ユーザイ
表3
ンターフェース要素に関連した能力を規定する
WP2関連で勧告化(Decision)された勧告一覧
勧告番号
勧告案件名
課題番号
区分
1
F.703
マルチメディア会話サー
ビス
Q.1
新規
2
F.701
マルチメディアサービス
へのユーザ要求
Q.1
新規
F.700
マルチメディアサービス
Q.1
改訂
Q.1
新規
Q.13
改訂
Q.13
新規
Q.13
新規
Q.13
新規
Q.13
新規
Q.11
新規
Q.13
改訂
Q.14
改訂
Q.14
改訂
Q.14
新規
Q.14
新規
Q.13
新規
Annex G、SCTP(Stream Control Transmission
Protocol)上のH.248ゲートウェイ制御プロトコルメ
ッセージの転送を規定するAnnex H、ATM上の
H.248ゲートウェイ制御プロトコルメッセージの転送
を規定するAnnex I、ダイナミックトーンパッケー
3
ジを規定するAnnex J、一般通知パッケージを規定
するAnnex Kが勧告化された。
Annex A.3 規定のうち、テキストメ
ディア部分
4
F.700
Annex C
5
H.323
6
H.323
Annex J
暗号化単機能音声端末規定
H.323
HTTPによるH.323端末
⑤ H.248勧告の記述の明瞭化、矛盾及び誤りの訂正等
パケットベースマルチメ
を含むH.248インプリメンターズガイドが承認され
た。
⑥ H.248のAnnexに関して、エラーコードとサービ
ス変更理由を規定するAnnex L、拡張音声サーバパ
7
ッケージを規定するAnnex Mが次回会合でAAPに
8
かけられることとなった。
⑦ Hシリーズ勧告の共通プロトコルであるH.245の機
9
能追加版のH.245 V8が次回会合でAAPにかけられる
10
こととなった。
3
Annex K
H.323
制御
QSIGトネリング
Annex M.2
H.324
Annex H
移動通信用マルチリンク
プロトコル
パケットベースマルチメ
ディア通信システムのた
11
課題1-4/D/G合同会合
H.225.0
2001年3月5日∼9日
めの呼制御プロトコルと
メディアストリームのパ
ケット化(Version 4)
H.235
Hシリーズマルチメディ
ア端末用セキュリティと
H.245
暗号化
マルチメディア通信のた
専門家会合 メルボルン(オーストラリア)
4
ディア通信システム
(Version 4)
Annex M.1
H.323
ISUPトネリング
今後の予定
2001年5/6月
ミドルウェアサービス要素
SG16会合
12
場所未定
13 (Version 7) めの制御プロトコル
まとめ
(Version 7)
WP2の作業は、H.323関連のQ.13,14を中心に多くの
H.246
参加者が出席し、会合文書(TD)の数105件が示すと
14 Annex E.1, 移動網との相互接続規定
E.2
おり活発な審議が行われた。H.323関連勧告では、
H.248
H.323, H.225.0のバージョン4の勧告化、H.450シリーズ
15
の付加サービス規定の追加、H.235暗号化規定のバージ
ョン2勧告化など高機能化が進められており、また移
16
動網との相互接続を規定するH.246 Annex Eの勧告化
8 TTC Report 2001/ 春季号
8
H.248用機能スクリプト
Annex F, およびTransport利用
G, H, J, K
H.450.9
H.323の付加サービス
(コールバック)
表4
WP2関連でAAPに付議(Consent)された勧告一覧
勧告番号
1
2
H.222.0
Corr
H.323
勧告案件名
MPEG-2システム
H.323エンドポイントを
Feature Serverから制御
Annex L するためのStimulusプロ
課題番号
Q.12
Q.13
表6 WP3関連で承認(decision)された勧告一覧
区分
勧告番号
課題番号
区分
修正
Corrigendum [G.722l.1本体のCコード
to G.722.1 の訂正]
Q.20
(COM16-133 )
改訂
Corrigendum [予約拡張情報の取扱い
1 to 2nd に関する修正]
Q.15
(COM16-135)
1
新規
2
勧告案件名
edition of
3
トコル
H.450.10 話自動再発呼付加サービス
Q.13
新規
H.262 (別名:
Corrigendum
4
H.450.11 割り込み通信付加サービス
Q.13
新規
3 of H.262)
改訂
Enhanced Reference
表5
WP2関連で承認(Approval)された勧告関連文書一覧
勧告番号
1
Guide
H.320
2
課題番号
区分
Q.11
改訂
Q.11
改訂
4
5
5
H.320多地点テレビ会議
Implementors 手順
Guide
メディア通信システムの
H.323シリーズ ためのシグナリングプロ
Q.11
6
Q.13
プリメンターズガイド
H.248Impleme ゲートウェイ制御プロト
コル
改訂
7
Q.14
(拡張参照画面セレクシ
ョンモード)
8
H.262 2nd ed. Video elementary stream
rial])
Q.15
Amendment 1 content description data
音声と映像の高能率符号化 (WP3)
1
概要
(TD(P)71)
(別名:H.262 (ビデオ基本ストリーム
Amendment 7) コンテンツ記述データ)
List of software tools available
G.191 Annex (信号処理関連標準化活
A
動用ソフトウェアツー
B
of G.722.1(G.722.1浮動
小数点版)
新規
新規
Q.15
(COM16-140,
TD(P)51&TD
(P)19[A.5mate
━━━━━━━━━━━━━━━━
V
TD(P)51)
H.263 Annex
Specification
W
(拡張付加情報の仕様)
ル:一覧)
G.722.1Annex Floating point version
新規
(COM16-140,
Q.15
Data Partitioned Slice
H.263 Annex
Mode(データパーティ (COM16-140,
V
ションスライスモード) TD(P)51)
改訂
Implementors トコルとメディア信号の
パケット化関連勧告イン
Guide
ntors Guide
U
Additional Supplemental
Enhancement Information
パケットに基づくマルチ
4
H.263 Annex Picture Selection mode
狭帯域テレビ電話システ
Implementors ムと端末
Guide
H.243
3
勧告案件名
H.324
低ビットレートマルチメ
Implementors ディア通信端末
3
Q.15
Q.22
(COM16-139)
新規
改訂
改訂
Q.20
(TD(P)43)
新規
表7 WP3関連でAAP合意(consent)された勧告一覧
WP3は、音声と映像の高能率符号化を担当している。
勧告番号
本会合では、H.263 Annexes U, V, W新規、G.722.1
1
Annex B新規、G.722.1本体のCorrigendum、H.262,
H.263
Annex
勧告案件名
Profiles and levels
definition(プロファイ
課題番号
区分
Q.15
(TD(P)53)
新規
X
ルとレベルの定義)
Corrigen [G.729 Annex BのCソー
2nd editionのCorrigendum 1(別名H.262 Corrigendum
3)、H.262, 2nd editionのAmendment 1 (別名H.262
2
Amendment 7)、 G.191 Annex Aの 改 訂 が 承 認
(decision)された。そして、H.263 Annex X, 及び
da to
スとテキスト、及び、
G.729 C+, F, G, Iのテキストの
Annexes 訂正]
Q.19
(TD(P)42)
改訂
G.729 AnnexesのCorrigendaがAAP合意(consent)さ
れた。また、16kbit/s, 7kHz広帯域音声符号化と、
2 各課題の審議状況
4kbit/s音声符号化の進捗と今後の予定、可変レート音
2.1 課題15(高度映像符号化)
声符号化の進め方について検討した。
① ISO/IECとの共通テキスト勧告H.262(汎用映像符
表6にSG16で承認(decision)された勧告一覧、表7に、
号化)の改訂
SG16でAAP合意(consent)された勧告一覧を示す。
予約拡張情報の取扱法(Corrigendum 1)の勧告
化が承認(decision)された。これにより、既存シ
9
TTC Report 2001/ 春季号 9
ステムとの互換性を保ったままで、予約領域を用い
ーションするためのH.245コードポイント案と、デコ
て将来の機能拡張を図ることが可能となる。
ーダからエンコーダへ復号誤りが生じたマクロブロ
また、ビデオ付加情報の追加(Amendment 1)の
ックを通知するためのH.245コマンド案の追加を課題
勧告化が承認(decision)された。これにより、タ
14に対して要請し、これらを含む勧告H.245v7の勧
イムコード情報の伝送、符号化画像をアスペクト比
告化が承認(decision)された。
勧告H.320システムにおいて、上記と同等な機能を
や走査方式が異なるディスプレイへ適切に表示する
実現する為の制御信号を勧告H.320に追加するため、
こと、などが可能となる。
課題11と協力してH.320インプリメンターズガイドを
② 勧告H.263(低ビットレート映像符号化)の改訂
作成して承認された。
新たなAnnexの追加として、複数参照画面からの
⑤ 今後のラポータ会合予定
予測(Annex U)、データの分割配置(Annex V)、
拡張付加情報の伝送(Annex W)の勧告化が承認
日程
(decision)された。これにより、符号化効率及び誤
2001年1月9日∼12日
り耐性機能の性能向上と、新たな機能(著作権情報
場所
ホスト
Eibsee, Germany
Siemens
2001年4月または5月 (未定)
(未定)
や任意のテキスト/バイナリ情報などの多重化伝
送、インタレース画像のフィールド符号化、特定
2.2
IDCT計算法の利用など)を実現することが可能と
課題19(16kbit/s以下の音声符号化勧告の拡充と
保守)
なる。
① G.729 Annexesの訂正
また、既存のAppendix II(推奨するオプション
TTCにおける標準作成作業過程で、2月会合で承
のサブセットのInformativeな規定)を追加/修正し
認されたG.729のAnnex C+, F, G, Iのエディトリアル
て、新規Annex Xとしてプロファイルとレベルの組
な修正の必要性が発見されたため、NTTから
み合わせによるNormativeな規定へ改訂する提案が
COM16-D79により修正を提案し認められた。また、
あり、AAPが合意(consent)された。Annex Xの
Annex B, D, Eについて従来インプリメンターズガ
プロファイルは、3Gモバイル、インターネットなど
イド(TD(WP3)19に整理して再掲)として軽微
のアプリケーションに特有な要求を満足することを
なバグや修正点が報告されていたが、修正点を反映
目的としているため、3GPP、IETFへ意見を求める
したCソースコードがITUセールサービスで入手で
リエゾンを送った。
きるようにすべきであるという議論がなされた。こ
さらに、勧告H.263の技術的検討のために利用して
のため、従来のすべての修正点を反映した
きたテストモデル文書を、勧告のAppendixとして出
Corrigenda (TD(Plen)42)を作成し、AAPへ進
版することとなった。完成度は高いが、詳細を最終
むことを合意(consent)した。また、該当Cソース
的に確認した上で、次回SG16会合での承認を目指す。
コードは整理して、正式承認後直ちに、セールサー
③ 新規映像符号化勧告H.26L
ビスで入手可能となる。
広範囲なアプリケーションに適用可能とするため、
② DCMEに使用する音声コーデックの外部リセット
画像フォーマット、色空間、色解像度、サンプル数な
SG15より、G.728, G.729 をDCMEの音声スイッチ
どのサポート範囲を拡大する提案があった。勧告案
機能を用いる回線に適用するとき、外部リセットを
への具体的な反映方法は、今後検討する。H.26Lは、
採用することの意義についての質問がリエゾンによ
2002年5月勧告化を目標として作業を進める。
りもたらされた。技術的な検討の結果、G.728につい
また、ISO/IEC MPEGが来年1月に行う予定の新
ては、外部リセットを導入する方が品質的に望まし
規映像符号化方式の評価テストに、ITU-Tから現在
いことを示し、G.729については外部リセット無しで
のH.26L方式案を提出することとなった。両者での
も十分動作可能であるが、品質については十分なデ
協調した作業ができるよう検討していく。
ータがないので、検討してSG15の専門家会合に寄書
④ 他課題との協調
提出する方針をリエゾンにより返した。
勧告H.263の新規Annex U, V, Wを通知、ネゴシエ
10 TTC Report 2001/ 春季号
③ 今後の予定
10
は一部修正提案(TD(P)-43)とともに、承認
次会期では、Q.19とQ.22が統合されてQ.10となり、
現行勧告の保守・拡張とソフトウェアツールの整備
(decision)された。G.722.1 Annex BのC-code
等を行う。ラポータは、林伸二氏(現尚美学園大/
(Release 1.1)は、TSBにて入手可能となる。
③ 今後の予定
元NTT)が今回限りで退任するため、Redwan
本課題は、新会期ではQ.7に引き継がれる。ラポー
Salami (Voice Age, Canada)氏が引き受ける予定。
タはRosario Drogo De Iacovo 氏が継続。
中間会合の予定はない。
次会合まで中間会合はない。
2.3 課題20(公衆網におけるオーディオ・広帯域音声
2.4 課題21(4kbit/s程度の音声符号化)
符号化)
① 4kbit/s音声符号化セレクション
① G.WSC2(仮称)16kbit/s(~24kbit/s)広帯域音
まず、以下の3コンソーシアムで提出された3つの
声符号化
コーデックについて浮動小数点版コーデックによる
統一資格試験結果に基づく意志表明により
セレクション試験結果を吟味した。
Motorola UK、松下、Lucent、NTT、TI、Voice
Coder A
Ageの6提案のうち、松下を除く5社がセレクション
Conexant, NTT , AT&T, FT, DT,
Matsushita
試験に進むことを確認した。また、3GPPで10月に決
定された広帯域符号化についてもその結果(Nokia
Coder B
TI, Nokia, Ericsson
提出)を審議し、セレクションに進むことを認めた
Coder C
Comsat, Samsung
が、3GPPとVoice AgeのITU-T提案コーデックは同
この3コーデックのうちコンソーシアムAとBの性
一であることが確認され、結局、上記5機関で、固
能が良かったが、両方とも言語によってはいくつか
定小数点版によるセレクションが進められる。また、
の項目でまだ要求条件を満たしていないこと、かつ
要求条件の修正、テストプランなどについて検討し
両方式ともほぼ同じ結果であることから、今後、固
た。2001年7月にラポータ会合及びWP3会合を開き、
定小数点版を作成し最終セレクションにより1コー
セレクション結果によって1候補を標準コーデック
デックを選定することになった。最終セレクション
としてAAP合意(consent)、2002年2月には承認
ではコーデック選択するためにGlobal Analysisを行
(decision)する予定である。リエゾンとして、
うが、そのための要求条件に関する重要度を決め、
SQEG/SG12にテストプラン作成、host lab., cross-
また、Global Analysisは評価とは別の機関が行う事
check lab., listening lab., global analysis functionの
などを決めた。
Q.22/12(SQEG)にテストプランの準備(試験デ
決定依頼を送る。また、ETSI/3GPPには、
3GPP/Voice Ageコーデックがセレクションに進む
ータ及び試験に対するコメントを含む)、host lab.,
ことを情報として送る。
test lab., global analysis functionの決定、global
analysisに関するガイダンス等についてリエゾンを
さらに、WP3議長より、MPEG4のcall for proposal
送る。
が来年7月にある場合、ITU-Tで決まったコーデック
② 今後の予定
をMPEG4に提出することが提案され、次のSG16会
本課題は、新会期ではQ.8に引き継がれる。ラポー
合にて話し合う。
タはPaul Barrett氏が継続。
② G.722.1の本体改訂、及びAnnex Bの新規作成
次会合までに中間会合はない。2001年8月に固定
G.722.1の24、32kbit/s符号化の本体について、
COM16-133にて提案されていたCorrigendumが承認
小数点版を提出し、11月のラポータ会合にて1候補
(decision)された。G.722.1本体のC-codeはRelease
を選定し、2002年2月にAAP合意、2002年4月に承認
とする予定。
1.2となる。
また、G.722.1のAnnex B(浮動小数点版)として、
2.5 課題22(信号処理関連標準化活動のためのソフト
COM16-142により固定版との相互接続実験により問
ウェア、ハードウェアツール)
題ないことが確認され、浮動小数点版(COM16-121)
11
TTC Report 2001/ 春季号 11
めるには至らなかった。結局、以下の3つの方向性
① G.191 Annex Aの改訂
G.191は音声符号化アルゴリズムの標準化におい
について、e-mail reflector によりそれぞれの要求条
て、そのレファレンスとなる音声コーデックおよび、
件を検討し、その結果を次会合に正式寄書として提
主観評価試験用のフィルタといったソフトウェアツ
出することになった。次会合では、それらの寄書に
ールである。今回、G.191 Annex A改訂として、
基づいて共通の要求条件や協調の可能性について検
ITU-T Software Tool Library の改訂版が承認
討する。
a)Multirate/VAD VBR approach (MVV)
(decision)された。本ツールは些細なバグ修正等を
3GPPのAMRのような構成
反映したSTL2000R3としてまとめられ、TSBより入
b)Specialized Codec VBR approach (SCV)
手可能である。また、Q22としては、今後もSTLの
3GPP2のSMVのような構成
メンテナンスを継続していくことが確認された。
c)Embedded VBR approach (EV)
② Basic Operatorの拡張
エンベデッド(scalable)な構成
ITU-Tの音声関連標準化の固定小数点Cコード記
② 今後の予定
述には、固定小数点演算を規定するBasic Operator
セットが用いられる。現在16bitデータと32bitのレジ
本課題は、新会期ではQ.9に引き継がれる。ラポータ
スタを用いる32bitオペレータセットが用いられてい
は内藤悠史氏(三菱電機)が担当する。次会合までに
るのに対して、40bit レジスタを持つオペレータセ
中間会合はない。
ットの提案があり、導入の是非について検討が進め
られている。今回事前にリフレクタにおいて提案に
━━━━━━━━━━━━━━━━
ついて議論されたが、まだ具体的な意見のフィード
Ⅵ まとめ
バックがないことが報告された。また、3GPP2では
SG16は、適切な課題設定によりこれまで産業界の関
40bitオペレータが使われる予定、3GPPでは32bitオ
心を維持してきた。SG16の新たな 体制が固まり、新
ペレータが使用されるとのコメントが出された。
会期が順調に滑り出して、さらに活発な活動を続ける
40bitオペレータの件については継続的に議論してい
素地が得られた。ただし、水平課題を設定したことは
く。なお、STL2000には、32bitのBasic Operatorセ
新たな試みで、これを効果的に運用するためには工夫
ットが添付されている。
が必要であろう。今会合では初めて旧SG8課題も含め
③ 今後の予定
て審議され、統合SGの滑り出しも順調と言える。
本課題は、現Q.19と統合され、新会期ではQ.10に
今会合では、日本から提出の寄書は適切に出力文書
引き継がれる。ラポータはRedwan Salami(Voice
に反映され、ほぼ対処方針どおりの結果が得られた。
Age, Canada)氏が引き受ける予定。次会合までに
MPEG, IETF、 ITU-T三つ巴の関係のMPEG-4 on IP
中間会合はない。
問題(MPEGから IETF、 ITU-TにRTPペイロードフ
ォーマット関連標準の延期が要請された)についても、
2.6
課題24(音声信号の可変レート符号化)
日本メンバーの努力が実を結んだ。
① 暫定ラポータのA. Crossman (元PictureTel)氏
ラポータについては、22課題に日本から2人で、今
の退任によりWP3議長が代理ラポータを務めた。今
後Editorなどを積極的に引き受けるなどして、国内活
回 は 、 本 課 題 の 要 求 条 件 ( ToR: Terms of
動の活性化が必要である。また他標準化機関とITU-T
Reference)について検討を進めた。いくつかの異
の調和がますます求められ、活動家のリソース配分も
なる可変レート化のアプローチに関する寄書が出さ
切実な問題である。
れ、それに基づいて議論したが、一つの方向性を定
12 TTC Report 2001/ 春季号
12
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