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不動産の最有効使用とは?
~不動産の最有効使用とは?~ 1 不動産の最有効使用 不動産の評価では、「最有効使用」に基づいた価格を求めています。文字通 り理解すれば「最も有効な使用方法」なのですが、最有効使用とは何でしょう か?不動産鑑定評価基準では、「その不動産の効用が最高度に発揮される可能 性に最も富む使用」とされています。以下、最有効使用について考えてみます。 2 最有効使用の考え方 低層住宅が建ち並ぶ住宅地を買った場合を想定しましょう。買った土地に、 高層の自宅兼マンションを建てることができるでしょうか。 一般に低層住宅地には高層の建物は建たないことが普通です。なぜなら、都 市計画法や建築基準法などの法律で、高さの制限、建ぺい率の制限、容積率の 制限、建物用途、形態等が決められているからです。これは、街並みや用途、 環境を保全するためのルールです。最有効使用は、「最有効」といってもこの ような制限の枠の中でとらえられるものなのです。 次に、高層ビルの建ち並ぶ商業地域について考えてみます。10 階建の商業 ビルが建ち並ぶ駅前の地域に、2階建の古いビルが建っている場合、通常、最 有効使用の状態にあるとはいえません。なぜなら、10 階分の家賃が取れるに もかかわらず2階分の家賃の収受にとどまることから収益性が大きく低下し ている状態にあるからです。このように、最有効使用は周囲の不動産の利用状 況も加味して判定することになります。 また、駅からの距離が近い不動産ならば、賃貸マンションを建てても入居希 望者が多いので「賃貸マンション」は最有効使用になりますが、駅から遠くバ ス便が少ない地域では、入居希望者も少なく賃貸マンションは最有効使用には ならないことが普通です。 このように最有効使用は、その不動産の交通接近条件や、行政的な条件、環 境条件、周囲の利用状況等が複雑に絡み合って最終的に決定されるものなので す。 3 街中での最有効使用 最近横浜市内において建物の建築工事現場をよく見かけます。リーマンショ ック以降止まっていた建替えが少しずつ始まっているようです。 横浜駅では駅ビルの建替え工事が始まり、みなとみらい 21 地区では大きな 商業施設の建築が進み、関内周辺ではマンションの建築が相次いでいます。こ のような建物の建築の際も最有効使用を踏まえて建物が建築されています。 建物を建てる場合には、ルールを守りながら、周辺の利用状況、街並みを見 て、「この地域はホテルが少ないからホテルを建てよう」 、「ここはおしゃれな 店舗が建ち並んでいるから店舗を建てればよりお客さんがたくさん来そうだ」 、 「ここは駅前で周囲は店舗が建ち並んでいるけど、売上げが良くなさそうだか らマンションにしよう」などと考えるのです。 4 まとめ 不動産の鑑定評価で、更地価格を求めるときは、この最有効使用に基づいた 価格を求めることになります。また、国土交通省の地価公示標準地価格や、神 奈川県の地価調査基準地価格でも、最有効使用に基づいた更地の価格を算定し 公表しています。 以上のように、様々なルールや収益性、快適性の判断による最有効使用の積 み重ねで街並みはできていきます。街を歩いてみて建物が建築中の際は建築計 画の看板が必ず出ていますので、足を止めて見てみると最有効使用や街がどの ような方向(住宅地になろうとしているのか商業地になろうとしているのかな ど)に進もうとしているのかが分かるかもしれません。