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Page 1 Page 2 調査ノート 離神の誕生日 仮面が御神体として祀られる

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Page 1 Page 2 調査ノート 離神の誕生日 仮面が御神体として祀られる
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Title
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Citation
<麒麟> 調査ノート 儺神の誕生日
廣田, 律子; HIROTA, Ritsuko
麒麟, 05: 23-25
Date
1996-03-01
Type
Departmental Bulletin Paper
Rights
publisher
KANAGAWA University Repository
調 査 ノー ト
健 神 の誕 生 日
仮 面が御神体 とし て紀 られ る江 酉省 万載 県 の沙 江 南 で
は、 旧暦九月 一日が主神 の誕 生 日とされ、 人 々が参 詣 に
訪 れ る。 一九九 五年 は十 月 二四日が この日 にあ たり調査
を行 った。
願 い事 のあ る家 にむ かえられ て' 紀 られ ていた九体 の
御 神 体 は' 前 日 の夜 ま でに廟 に戻 され る。
鹿
田
律
子
がとど ろ-中、 御神 体 は廟 に迎 えられ、 座 に つき'線 香
が たかれ紙銭 が燃 やされ る。
誕 生 日当 日は、朝 から村 内 はも と よ り近隣 の村 々から
人 々が参 詣 に訪 れ る。 願 い事 は種 々だ が'特 に子授 かり
や病気 平癒 を願 う人 が多
い。 ま た昨年 の願 いが か
新 大爺
老 大爺
〃
〃
池渓 村
丁板 生家
丁水根 家
丁仕泉家
丁礼根家
病 気 回癒 〃
新築安全祈 願
子供 の成長 祈 願
家 内安 全祈 願
〟
たず さ え てく る。
線 香、 紙銭、 ロー ソクを
桟 と称 す る餅 等 の供物 や
な いお礼 に訪 れ る場合 も
二爺
〃
丁成福家
それぞ れ貸 し出 され て いた状 況 は以下 の如 く であ る。
老 三爺
〃
老 四娘
四爺
〃
池渓 村
天楊村
丁炎 生家
丁書 安家
丁雲蘭 家
丁萄 妹家
出産安 全 〃
新築安 全 〃
出産安 全
〃
新 築安 全 〃
香を ささげ る。 中央 の台
側 の総兵神 にそれ ぞれ線
御神体'右側 の土地神'左
香 に火 を つけ て、 中央 の
まず ローソクを点し、線
ある。 鶏 ・豚 ・果物 ・磨
新 三爺
王将 軍
天揚 村
にひざまずき拝礼をする。
新 四娘
ソーナ や太鼓 やド ラが鳴 り響 き、 爆竹 や打 ち 上げ 花火
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廟 を 入 ってす ぐ の中庭 に置 かれ た鉄 鍋 に紙銭 を 入れ て
数 キ ロ離 れ た宜春 市 から き た 二十歳代 の女 性 は昨年 の
の子 を出産 し、 お礼 参 り に子供 を抱 いてき ていた。鶏 を
九月 一日 に子授 かりを願 ったが' そ の後 に妊娠 し無事 男
願 い事 のあ るも のは神教 の棒 の入 った竹 筒 を振 り、 最
供物 と し て供 え、線 香紙銭 を燃 やし、 子供 の無事 な成長
燃 やし爆 竹 をならす。
初 に落 ち た棒 を拾 い、 占 具を投 げ 表裏 が そろう と、 そ の
二キ ロ離 れ た嶺 東 郷 からき た 一家 は、 やはり昨年' 母
を祈 っていた。
方 の祖 母が願掛 けを し、 無事 子が授 か った の でお礼 にき
の紙 をも ら いに行 -。 同時 に 二角 (
約 二円 )払 う。 占 具
棒 が自分 の卦 であ ると し て、棒 上 に書 かれ た番 号 の神義
の表裏 が そろわ な ければ そろうま で何 回も神案 の筒 を振
の乳飲 み子を連 れ て いた。 お礼 に御神 体 の頭 上 にかけ る
ていた。 二人 の祖 母、 三四歳 の父親、 父方 の姉 が 1ヶ月
神我 の竹 筒 には、 「l誠 有感」 「普降寓 霊」 「荊竿 筒」
な成長 を祈 って いた。 布 は祭 りを主催 す る案 首 の手 で老
汗 巾 と称 す る 1メー ト ル四方 の布 を奉 納 し、 子供 の無事
らな ければ な らな い。
薬 材 を 見 るも のにわ かれ て
勅
神
封
光
沙
普
江
照
橋
金
甲
西
会 同郭春 華 合 家 酬 還
一九 九 五年 九 月 初 一
将 軍磨 下
海
ま た子供 を守 る銀製 の腕輪 を御神体 の前 で案 首 に つけ
周
ても らう者 も いた。 こ の時 やはり占 具 で占 いを し、 子供
東
線 香 立 ての中 の灰を 一服ず
に腕輪 を つけ赤 い糸 を 手 にま いた際、健 首 は子供 の手 に
信 士嶺
つに包 みわけ て頂 いていた。
郷
布 には次 のよ う に記 され ていた。
三爺 の頭 上 にかけら れ た。
と書 かれ ており、 運勢 を みるも のと、 病気治癒 のた め の
いる。
運勢 を みる神蜜 は上上 か
ら下 下 ま で六 四通 り の内 容
があ る。 ま た薬 材 を み る神
表 も 六 四通 り で' それ ぞれ
違 う薬 材 が数 種頬書 かれ て
いる。
この灰 を お湯 に入れ て上澄
灘神 勅令 と描 い ていた。
特 に病気を治した い者 は、
みを飲 む と よ いと され る。
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ルのお琳 子が絶 え間 な-奏 され、 打 ち 上げ花火 と爆竹 の
人 々が散 々ご ご訪 れ る中、 ソー ナと笛 と太鼓 と シソ パ
目 の外 側 の端 を少 しあ け る。 鼻 は大 き-中央 に座 りt。
山形 に飛び出さ せ、 飛び出 さ せた中央 に粕 子を 埋め込 み、
幅 四〇 セソチ程 で、 地 は黒色、 日は大き-どんぐり形 で、
鼻 こう はあ けず、 眉毛 は逆 八字 に細 -き り っと彫 し、 眉
音 が時 々も のす ご い音 を立 てて いた。
御神体 は全 部 で九体 あ り、 次 のよう に前後 に並 べられ
は模 様 が鍍金 され た紫 金 冠を被 る。 耳 は やはり模 様 を鍍
間 に力強 - しわを寄 せ る。 ロは赤 -き り りと結 ぶ。 頭 に
められ ている。将 軍 と し て、神兵神 馬を ひき いて悪 霊 を
ていた。
金され た半円形 のも のを左右 に つける。 冠 の上 には 二メー
ト ルの長 さ の刺繍 を施 し た布製 の角 隠 し のような大鳳 帽
を被 る。 丁寧 な彫 り と彩 色 で'年代 を感 じ さ せる秀 作 で
ある。塗りの剥げた場所 から漆が重ねられた様子が分 かる。
御神体 は誕生 日の日の夕方 には、ま た願 い事 のあ る人 々
の家 へそれ ぞれ借 り受 けら れ' は やし の鳴 り響 -中 ' 廟
人 により つき仮面 に彫され、紀られるよう にな った神 々
を後 にす る。
御神体 で文革中焼 かれず守られ た のは、老大爺 ・二爺 ・
退散 さ せる強 い力 は、 大 き な飛び出 した 目 にあら わ され
は総 称 し て欧 陽金 甲大将 軍 と称 され、 ま た大菩薩 とあ が
四娘 は 一九 八六年 に、 四爺 は 一九 八九年 に新 し-彫 りな
新 大爺 ・老 四娘 ・老 三爺 ・王将 軍 の六体 で'新 三爺 と新
と いう歴史書 にも 記録 のな い人物 が より ついて、 自分 は
る。 御神 体 と し て柁 られ る契機 と し て' あ る人 に張 万寿
顔 、 灰 を包 みなが ら 必 死 で病 人 の治癒 を願 う人 々の真 剣
参 り の人 々が絶 えな いが、 子を授 か った人 々の明 る い笑
され、 人 々に慕 われ て いる。 そ の誕 生 日 には願掛 けお礼
て、 特 に子授 かり、 子育 て、病気治癒 に霊験 あ ら た かと
る恐 ろ しげ な形想 にも表現 され ている。 一方 大菩 薩 と し
張 万寿 だが守 護 し てやるからま つるよう にと告 げ た為、
な顔 に深 い印象 を受 け た。
お され た。 中 でも 主神 とされ る老 大爺 は明代 の作 とされ
御神体 に彫 られま つられたとされ る。 高 さ約 六〇 七ソチ、
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