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12. デザイン・スペース・ エクスプローラ

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12. デザイン・スペース・ エクスプローラ
12. デザイン・スペース・
エクスプローラ
この資料は英語版を翻訳したもので、内容に相違が生じる場合には原文を優先します。こちらの日本語版は参考用としてご利用
ください。設計の際には、最新の英語版で内容をご確認ください。
QII52008-6.1.0
はじめに
Quartus® II ソフトウェアは、多くの高度な最適化アルゴリズムを備え、
タイミング・クロージャを達成しダイナミック消費電力を低減します。
さまざまな設定とパラメータで、アルゴリズムの動作を制御します。こ
れらのオプションにより、Quartus II ソフトウェアの最適化および消費
電力手法を完全に制御します。
各 FPGA デザインは固有のものです。常に最高の性能または電力利用を
実現する標準のオプションは存在しません。パフォーマンスを実現する
ために、それぞれのデザインに最適な固有のオプションが必要です。こ
の章では、デザインに最適なオプションを自動的に検出する Tcl/Tk で
記述されたユーティリティであるデザイン・スペース・エクスプローラ
(DSE)について説明します。DSE はさまざまな最適化手法を適用し、結
果を解析することによってデザイン・スペースを調べます。
DSE のコンセプト
この項では、DSE のコンセプトおよび DSE で使用する用語について説
明します。
エクスプロレーション・スペースおよびエクスプロレーション・
ポイント
DSE はデザインを探索する前に、Quartus II ソフトウェアで使用可能な
Synthesis と Fitter の設定で構成されるエクスプロレーション・スペース
を作成します。エクスプロレーション・スペースの各設定グループは、
ポイントと呼ばれます。エクスプロレーション・スペースには 1 つまた
は複数のポイントがあります。DSE はエクスプロレーション・スペース
内のポイントを精査してデザインに最適な設定を決定します。
シードおよびシード・スィープ
Quartus II Fitter はシード値に基づき、現在のデザインの初期配置をラン
ダムに決定する開始値を指定します。任意の負でない整数値をシード値
として指定できます。ただし、開始値を変更してもフィッティングが改
善しない場合もあります。シードまたはシード・スィープ値を変更する
ことで、Quartus II ソフトウェアは現在のデザインに最適な値を決定す
ることができます。
Altera Corporation
2006 年 11 月
12–1
暫定版
Quartus II ハンドブック Volume 2
DSE は、一般的なコンパイルおよびフィッタ・パラメータをスィープし
てデザインに最適なオプションを見つける手法を提供することによっ
て、エクスプロレーション・スペースにおけるフィッタ・シードのスィー
プを拡張します。DSE は、全パラメータを実行するモードから 1 つのパ
ラメータに集中したモードまで、さまざまなエクスプロレーション・ス
ペース・モードを実行できます。
DSE 探索
DSE はすべての Exploration Point の結果を、オリジナルの Quartus II プ
ロジェクト・ファイルで指定した初期設定から生成されたベース・コン
パイルの結果と比較します。DSE はエクスプロレーション・スペース内
のすべてのポイントを精査するため、DSE で変更されないすべての設定
は、デ フ ォ ル ト で ベ ー ス・コ ン パ イ ル 設 定 に な り ま す。例 え ば、
Exploration Point でレジスタのリタイミングをオンにしてもレジスタ・
パッキング設定が変更されない場合、
レジスタ・パッキング設定はデフォ
ルトでベース・コンパイルで指定した値になります。
DSE はオリジナルの Quartus II プロジェクトに指定した設定で
ベース・コンパイルを実行します。これらの設定は、DSE でエク
スプロレーション・スペース内のすべてのポイントを精査した後
に元に戻ります。
概説
DSE では、グラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)またはコマ
ンド・ラインのいずれかを使用できます。GUI で DSE を実行するには、
Quartus II ソフトウェアの Tool メニューで Design Space Explorer をク
リックします。
あるいは、コマンド・プロンプトで次のように入力します。
quartus_sh --dse DSE をコマンド・ラインから実行するには、コマンド・プロンプトで次
のコマンドを入力します。
quartus_sh --dse -nogui [<options>] 12–2
暫定版
Altera Corporation
2006 年 11 月
概説
DSE は以下のオプションを指定して実行できます。
-archive
-concurrent-compiles [0..6]
-custom-file <filename>
-decision-column <"column name">
-exploration-space <"space">
-ignore-failed-base
-ignore-signalprobe
-ignore-signaltap
-llr-restructuring
-lower-priority
-lsf-queue <queue name>
-nogui
-optimization-goal <"goal">
-project <project name>
-revision <revision name>
-run-power
-search-method <"method">
-seeds <seed list>
-skip-base
-slaves <"slave list">
-stop-after-time <dd:hh:mm>
-stop-after-zero-failing-paths
-use-lsf
DSE スクリプトは、PC、Solaris、HP-UX、および Linux プラットフォー
ムの <Quartus II インストール ディレクトリ >/common/tcl/apps/dse/
dse.tcl 内のデフォルトの Quartus II ソフトウェア・インストール・フォ
ルダにあります。DSE は以下のいずれかの方法で起動できます。
■
■
Tool メニューで、Launch Design Space Explorer をクリックします。
Windows の場合は、スタート > すべてのプログラム > Altera >
Design Space Explorer または Quartus II < バージョン番号 > の順
に選択します。
DSE について詳しくは、DSE 上の Help メニューで Contents を
クリックするか F1 キーを押します。
Altera Corporation
2006 年 11 月
12–3
暫定版
Quartus II ハンドブック Volume 2
図 12-1 に DSE ユーザ・インタフェースを示します。Settings タブは、
Project Settings と Exploration Settings の 2 つのセクションに分かれて
います。
図 12-1. DSE ユーザ・インタフェース
タイミング・アナライザのサポート
DSE はクラシック・タイミング・アナライザおよび TimeQuest タイミン
グ・アナライザの両方をサポートします。DSE でプロジェクトを開く前
に、タイミング・アナライザを設定する必要があります。DSE は、選択
されたタイミング・アナライザを使用してデザインの調査を実行します。
デフォルトのタイミング・アナライザを TimeQuest に設定した
場合、TimeQuest は DSE から直接起動されます。
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暫定版
Altera Corporation
2006 年 11 月
DSE フロー
DSE フロー
DSE はデザイン・プロセスの任意のポイントで実行できます。だだし、
アルテラでは、性能と消費電力の最適化に集中している場合は、デザイ
ン・サイクルの後半で DSE を実行することを推奨しています。最適化オ
プションの異なる組み合わせによって得られた結果は、デザインを大き
く変更した場合には維持されない可能性があります。DSE をデザイン・
サイクルの途中で、シグネチャ・モード(12–14 ページの「シグネチャ・
モード」を参照)で実行すると、デザインのレジスタ・パッキング・ロ
ジック・オプションなど、さまざまなパラメータへの影響が表示されま
す。
DSE は、Exploration Settings で指定したオプションごとにコンパイル
を実行します。DSE はエクスプロレーションに選択した Optimization
Goal に基づき、デザインに最適な設定を決定します。Quartus II ソフト
ウェアは、DSE に設定した Optimization Goal に関係なく、常にすべて
のタイミング要件の達成を試みます。Optimization Goal により、DSE
が個々のコンパイルの優劣を判断するのに使用する評価指数が変更され
ます。デザイン・スペース・エクスプローラによって、Quartus II ソフ
トウェアの動作が変化することはありません。
DSE はスラックが最小のコンパイルをレポートします。DSE を実行する
前にデザインに対してすべてのタイミング要件を指定することは、初期
デザインの設定に基づいた最適なパラメータ設定を確実に見つけ出すう
えで非常に重要です。
Fitter Seed 値を変更することによって、Quartus II フィッタで使用する
初期配置を変更できます。シード値を DSE ユーザ・インタフェースの
Seeds フィールドに入力できます。
Assignments メニューで、Settings ダイアログ・ボックスの Fitter
Settings をクリックして、シード値を設定することができます。
DSE のエクスプロレーション・スペースが複雑になるほどコンパイル時
間も長くなります。コンパイル時間の増加は、複数のコンパイルを実行
し、生成された結果を元のコンパイル結果と比較すると確認できます。
標準的なデザインでは、シード値だけを変更しても fMAX が 5% 向上しま
す。例えば、3 種類のシードをコンパイルする場合、fMAX 時間の 1/3 は
初期コンパイル時に比べて改善されませんが、fMAX 時間の 1/3 は 5% 向
上し、fMAX 時間の 1/3 は 10% 向上します。
Altera Corporation
2006 年 11 月
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暫定版
Quartus II ハンドブック Volume 2
アルテラ・
デバイス・
ファミリの
DSP サポート
DSE で指定できる設定は、デバイス・ファミリによって異なります。DSE
で指定できる設定を確認するには、Settings タブの Advanced Search ラ
ジオ・ボタンをクリックし、Advanced タブを選択して、以下のカテゴ
リにリストされる設定にアクセスします。
■
Exploration Space
Optimization Goal
■ Search Method
■
以下のデバイス・ファミリでは、Advanced 設定のすべてのタイプがサ
ポートされています。
■
■
■
■
■
■
■
Stratix® III
Stratix II
Stratix
Stratix GX
CycloneTM II
Cyclone
MAX® II
以下のデバイス・ファミリでは、表 12–1 に示す Advanced Exploration
Space および Optimization Goal 設定のみサポートされています。
■
■
■
■
■
■
■
APEXTM 20K
APEX 20KC
APEX 20KE
APEX II
FLEX® 10K
FLEX 10KA
FLEX 10KE
Settings タブの Advanced Search ラジオ・ボタンをクリックしてから、
Advanced タブを選択して表 12–1 に示す設定にアクセスします。
表 12–1. Advanced Exploration Space の APEX 20K、APEX II、および FLEX 10K の各デバイ
スのサポート
Seed sweep
Area optimization space
Signature fitting effort level
Extra effort space
Extra effort for Quartus II Integrated Synthesis Projects
Custom space
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暫定版
Altera Corporation
2006 年 11 月
DSE の プロジェクト設定
DSE の
プロジェクト
設定
この項では、DSE のプロジェクト設定に関する以下の項目について説明
します。
■
DSE 作業環境のセット・アップ
リビジョンの指定
初期シードの設定
Quartus II 合成機能
■ LogicLock 領域の再構築
■
■
■
DSE 作業環境のセット・アップ
以下のいずれかを実行して、DSE から対象となるデザインの Quartus II
プロジェクトを開くことができます。
■
File メニューで、
Open Project をクリックしてプロジェクトを参照し
ます。
■ Open アイコンをクリックしてプロジェクトを開きます。
リビジョンの指定
Quartus II プロジェクトに複数のリビジョンが存在する場合、DSE の
Revision フィールドでリビジョンを指定することができます。指定され
たリビジョンの Quartus II プロジェクトが開きます。
Quartus IIプロジェクトでリビジョンが作成されていない場合は、
トップ・レベルのエンティティであるデフォルトのリビジョンが
使用されます。詳しくは、「Quartus II ハンドブック Volume 2」
の「Quartus II プロジェクトの管理」の章を参照してください。
初期シードの設定
DSE で使用するシードを指定するには、
Settings タブの Project Settings
の下の Seed ボックスに負でない整数値を指定します。シード値により、
Quartus II コンパイルでのデザインの初期配置が決まります。
シードの範囲を指定するには、範囲の下限、ハイフン、範囲の上限の順
に入力します。例えば、2-5 と指定すると、この範囲内のすべてのシー
ドを使用します。
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2006 年 11 月
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暫定版
Quartus II ハンドブック Volume 2
LogicLock 領域の再構築
Allow LogicLock Region Restructuring オプションを使用すると、デザ
インに Logic Lock 領域が存在する場合、それを修正できます。DSE は
LogicLock 領域に Soft プロパティを適用してタイミングを改善します。
また、デザインの性能に悪影響を与える Logic Lock 領域を削除すること
ができます。
Exploration Settings リストの Search for Best Area、Search for Best
Performance、Search for Lowest Power、または Advanced Search から
実行するエクスプロレーション・タイプを選択します。
12–10 ページの「エクスプロレーション・スペース」で実行可能
なエクスプロレーション・タイプについて説明します。
Search for Best Performance、Search for Best Area Options、ま
たは Search for Lowest Power オプション
Search for Best Performance オプションでは、定義済みエクスプロレー
ション・スペースを使用してデザインの性能の向上を図ります。デザイ
ンがターゲットとするデバイスに応じて、Low (Seed Sweep)、Medium
(Extra Effort Space)、High (Physical Synthesis Space)、および Highest
(Physical Synthesis with Retiming Space) の最大 4 つのエクスプロレー
ション・スペースを選択することができます。Low から Highest に移行
すると、DSE で探索するオプション数が増えて、コンパイル時間が長く
なります。
Search for Lowest Power オプションでは、定義済みエクスプロレーショ
ン・スペースを使用して、デザインの全体的な消費電力の低減を図りま
す。Search for Lowest Power オプションを選択すると、DSE はスペー
ス内の各ポイントで PowerPlay Power Analyzer を自動的に動作させま
す。正確な結果を得るには、PowerPlay Power Analyzer を正しくコン
フィギュレーションする必要があります。DSE は、消費電力の見積もり
に対する信頼性レベルが低い場合は警告を出します。
Search for Best Area オプションでは、定義済みエクスプロレーション・
スペースを使用してデザインにおけるデバイスの利用率の向上を図りま
す。
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暫定版
Altera Corporation
2006 年 11 月
デザイン・ スペース・ エクスプローラでの Advanced Search の実行
Advanced Search オプション
Advanced Search オプションは、エクスプロレーション・スペース、デ
ザインの最適化目標、
および検索方法を完全に制御することができます。
DSE での Advanced Search のセット・アップおよび実行方法について
詳しくは、12–9 ページの「デザイン・ スペース・ エクスプローラでの
Advanced Search の実行」を参照してください。
Advanced Search オプションを使用して、Search for Best Area、
Search for Lowest Power、および Search for Best Performance
の各オプションに相当するエクスプロレーション・スペースを定
義することができます。
Quartus II 合成機能
Project Uses Quartus II Integrated Synthesis オプションは、Quartus II
で合成されたデザインに対してのみ有効です。このオプションをオンに
すると、DSE はデザインの合成に影響するオプションを探索します。
合 成 機 能 オ プ シ ョ ン に つ い て 詳 し く は、「Quartus II ハ ン ド ブ ッ ク
Volume 1」の「Quartus II の合成機能」の章を参照してください。
デザイン・
スペース・
エクスプロー
ラでの
Advanced
Search の実行
Altera Corporation
2006 年 11 月
デザインを探索する前に、Advanced Search ダイアログ・ボックスで 3
つ の 探 索 に 関 す る 設 定 を 行 う 必 要 が あ り ま す。以 下 の 項 で は、
Exploration Space、Optimization Goal、および Search Method の 3 つ
の設定について説明します。図 12-2 に Advanced Search ダイアログ・
ボックスを示します。
DSE で Quartus II プロジェクトを開き、Settings タブで Advanced
Searchを選択した後でのみ、Advanced タブにアクセスできます。
12–9
暫定版
Quartus II ハンドブック Volume 2
図 12-2. DSE Advanced Search ダイアログ・ボックス
エクスプロレーション・スペース
Exploration Space リストで、DSE がデザインに対して実行するエクス
プロレーション・タイプを制御します。DSE はエクスプロレーション・
スペース内のポイントを精査し、これらの設定をデザインに適用してコ
ンパイルの結果を比較し、デザインに対して最適な設定を決定します。
DSE には、以下のタイプのエクスプロレーション・スペースがあります。
■
■
■
■
■
■
■
12–10
暫定版
Seed Sweep
Extra Effort Spaces
Physical Synthesis Spaces
Retiming Spaces
Area Optimization Space
Custom Space
Signature mode—Power Optimization Spaces
Altera Corporation
2006 年 11 月
デザイン・ スペース・エクスプローラでの Advanced Search の実行
どのデバイス・ファミリも、Advanced エクスプロレーション・
スペース・タイプをすべて使用できるとは限りません。各種デバ
イス・ファミリの Advanced エクスプロレーション・スペースの
サポートについては、12–6 ページの「アルテラ・デバイス・ファ
ミリの DSP サポート」を参照してください。
コンパイル時間は探索の幅に比例して長くなります。エクスプロレー
ション・スペースのコンパイル時間は、DSE が探索するエクスプロレー
ション・スペースの数とタイプに応じて増加します。特に、最適化オプ
ションおよびパラメータが多いエクスプロレーション・スペースではよ
り時間がかかります。
Options メニューで Advanced をクリックし、Save Exploration Space
to File をオンにして、エクスプロレーション・スペースを表す XML ファ
イルを保存します。DSE は、プロジェクト・ディレクトリ内の < プロ
ジェクト名 >.dse という名前のファイルに、エクスプロレーション・ス
ペースを書き込みます。このファイルを変更して、カスタム・エクスプ
ロレーション・スペースを作成することができます。
DSE でのカスタム・エクスプロレーション・スペースの使用について詳
しくは、12–23 ページの「DSE のためのカスタム・スペースの作成」を
参照してください。
Seed Sweep
シード値を DSE ユーザ・インタフェースの Seeds フィールドに入力し
ます。
「magic」シードはありません。シード間のバラツキは一定でない
ため、任意の負でない整数値は高い確率で良好な結果をもたらします。
DSE のデフォルトのシード値は 3、5、7 および 11 です。Seed Sweep エ
クスプロレーション・スペースは、ネットリストを変更しません。
Seeds フィールドには、個別のシード値(例 : 2、3、4、5)また
はシード範囲(例 : 2-5)を入力できます。
コンパイル時間は、指定したシード値ごとに増加します。例えば、5 つ
のシードを入力した場合、コンパイル時間は初期コンパイル時間 ×5 と
なります。
Altera Corporation
2006 年 11 月
12–11
暫定版
Quartus II ハンドブック Volume 2
Extra Effort Spaces(エクストラ・エフォート・スペース)
Extra Effort Space モードでは、Register Packing オプションが Seed
Sweep で行われたエクスプロレーション・スペースに追加されます。
Extra Effort Space モードでは、配置および配線時に Quartus II フィッ
タ・エフォートも増加します。ただし、Extra Effort Space モードはネッ
トリストを変更しません。
Physical Synthesis Space(フィジカル・シンセシス・スペース)
Physical Synthesis Space モードでは、レジスタのリタイミングや組み
合わせロジックのフィジカル・シンセシスなどのオプションが、Extra
Effort Space モードのオプションに追加されます。これらネットリスト
の最適化により、デザインのレジスタが移動します。これらのオプショ
ンによってルック・アップ・テーブル(LUT)が変更されます。ただし、
デザインの動作はこれらのオプションの影響を受けません。
フィジカル・シンセシスについて詳しくは、「Quartus II ハンドブック
Volume 2」の「ネットリストの最適化およびフィジカル・シンセシス」
の章を参照してください。
Physical Synthesis for Quartus II Integrated Synthesis Projects モード
は、Physical Synthesis モードのすべてのオプションを備えており、さ
まざまな Quartus II 合成機能最適化オプションを探索します。Physical
Synthesis for Quartus II Integrated Synthesis Projects モー ドは、
Quartus II ソフトウェアで合成されたデザインに対してのみ有効です。
Retiming Space(リタイミング・スペース)
Physical Synthesis with Retiming Space モードは、Physical Synthesis
Space モードのすべてのオプションを備えており、レジスタのリタイミ
ングを探索します。レジスタのリタイミングにより、デザインのレジス
タが移動することがあります。
Physical Synthesis Retiming Space for Quartus II Integrated Synthesis
Projects モードは、Physical Synthesis with Retiming Space モードのす
べてのオプションを備えており、さまざまな Quartus II 合成最適化オプ
ショ ンを 探索 しま す。Physical Synthesis with Retiming Space for
Quartus II Integrated Synthesis Projects モードは、Quartus II ソフト
ウェアで合成されたデザインに対してのみ有効です。
12–12
暫定版
Altera Corporation
2006 年 11 月
デザイン・ スペース・ エクスプローラでの Advanced Search の実行
Area Optimization Space(面積最適化スペース)
Area Optimization Space モードは、デザインのロジック・セル利用率
に影響を与えるオプションを探索します。これらのオプションには、レ
ジスタ・パッキングおよび Area に設定された Optimization Technique
があります。
Custom Space(カスタム・スペース)
Custom Space モードを使用して、デザインのさまざまな最適化オプショ
ンの効果を選択的に探索します。このエクスプロレーション・スペース
により、どのオプションをどのモードで探索するかを完全に制御できま
す。Custom Space モードでは、DSE で指定できるすべての最適化オプ
ションを探索することができます。
各エクスプロレーション・スペースで調整される設定の要約については、
表 12–2 を参照してください。
表 12–2. エクスプロレーション・スペースの要約
注 (1)
エクスプロレーション・スペース
検索タイプ
Seed
Sweep
Extra
Effort
Physical
Area
Retiming
Custom
Synthesis
Optimization
Analysis & Synthesis Settings
最適化手法
—
—
√
√
√
√
WYSIWYG 再合成の実行
—
—
√
√
√
√
ゲート・レベル・レジスタのリ
タイミングの実行
—
—
—
√
—
√
フィッタ・シード
√
√
√
√
√
√
レジスタ・パッキング
—
√
√
√
√
√
PowerFit フィッタ・エフォート
の増加
—
√
√
√
—
√
組み合わせロジックのフィジカ
ル・シンセシスの実行
—
—
√
√
—
√
レジスタのリタイミングの実行
—
—
—
√
—
√
Fitter Settings
表 12–2 の注 :
(1) DSE は Quartus II プロジェクトを含むエクスプロレーション・スペースに対しては、合成エフォートを増加しま
す。
Altera Corporation
2006 年 11 月
12–13
暫定版
Quartus II ハンドブック Volume 2
DSE での Custom Space モードの使用について詳しくは、12–23 ページ
の「DSE のためのカスタム・スペースの作成」を参照してください。
シグネチャ・モード
シグネチャ・モードでは、DSE は fMAX、スラック、コンパイル時間、お
よび単一パラメータの面積トレード・オフを解析します。1 つのパラメー
タを複数のシードで実行すると、DSEは結果の平均値をレポートします。
この情報により、そのパラメータがデザインに与える影響についての理
解が深まります。DSE でのシグネチャ・モードの設定には、以下の 4 つ
があります。
■
Signature: Fitting Effort Level
Signature: Netlist Optimizations
■ Signature: Fast Fit
■ Signature: Register Packing
■
各設定 でデザイン 固有の最適 化オプショ ンを探索 します。例えば、
Signature: Register Packing モードでは、DSE は 4 種類の設定 (OFF、
Normal、Minimized Area、および Minimize Area with Chains) によ
り Auto Packed Registers ロジック・オプションを探索し、各設定がデ
ザインに与える影響についてレポートします。
最適化の目標
評価指数が性能またはロジック利用率、あるいはその両方のいずれで
あっても、デザインの探索においてデザイン評価指数はきわめて重要で
す。これらの評価指数により、デザインの要件に基づいて最良のコンパ
イルを決定することができます。Optimization Goal 設定にオプション
を指 定し て、デザ イン の最 適化 目標 を指 定し ます。次 に DSE は
Optimization Goal 設定を使用して、最良のコンパイル結果を決定しま
す。表 12–3 に、6 つの利用可能な最適化設定を要約します。
表 12–3. Optimization Goal の設定 (2 / 1)
設定
説明
Optimize for Speed
(速度の最適化)
ワースト・ケース・スラック値が最小のエクスプロレーション・ポイントが最
適なランとして選択されます。
Optimize for Area
(面積の最適化)
ロジック・セル数が最小のエクスプロレーション・ポイントが最適なランとし
て選択されます。
Optimize for Power
(消費電力の最適化)
熱電力の放逸が最小のエクスプロレーション・ポイント、および可能であれば
正のワースト・ケース・スラック値が最適なランとして選択されます。
12–14
暫定版
Altera Corporation
2006 年 11 月
デザイン・ スペース・ エクスプローラでの Advanced Search の実行
表 12–3. Optimization Goal の設定 (2 / 2)
設定
説明
負スラックおよび障害があ 平均負ワースト・ケース・スラックが最良で、エラー・パスの数が最小のエク
るパスの最適化
スプロレーション・ポイントが最適なランとして選択されます。
Optimize for Average Period マルチクロック・デザインの平均周期が最高のエクスプロレーション・ポイン
(平均ピリオドの最適化)
トが最適なランとして選択されます。
Optimize for Quality Fit
(高品質フィットの最適化)
fit の質が最高のエクスプロレーション・ポイントが最適なランとして選択され
ます。
QoF (Quality of Fit)
QoF(Quality of Fit)はすべてのタイミング・ドメインを考慮するため
従来のワースト・ケース評価指数に比べ優れたフィッティングの評価方
法です。QoF は、ワースト・ケース・スラックが少し良いタイミング・
ドメインだからといって、そのフィッティング結果をそのまま受け入れ
るということはしません。例えば、従来のワースト・ケース・スラック
評価手法は、クロック A に対して -2 ns のスラック、クロック B に対し
て -5 ns のスラックを達成するフィッティングよりも、クロック A に対
して 1 ns のスラックおよびクロック B に対して -5.5 ns のスラックを達
成するフィッティングを適合します。区分線形関数を各ドメインのス
ラック値に適用することにより、QoF はスラックの多いドメインで飛躍
的な改善があった場合でも、フィッティングの全体的な質の評価を不必
要に歪曲することはありません。
代表的 QoF 値を達成するには、タイミング要件を容易に満たすドメイン
のスラック値がタイミング要件をかろうじて満たすドメインのスラック
値をオフセットしないようにします。これらの値を正しく相関させるた
めに、DSE は区分線形関数をそれぞれのスラック値に適用して、それら
を加算します。ドメインのスラックが改善されると、この関数はドメイ
ンにおける追加スラックのユニット当たりの改善を低減します。
例えば、
0 ns のスラックで始まるドメインにおける 100 ps の改善は、10 ns のス
ラックで始まるドメインにおける 100 psの改善よりもより大きく重み付
けされます。
デザインの QoF を計算するには、タイミング解析でレポートされるすべ
てのタイミング・ドメインに対してワースト・ケース・スラック値の合
計を使用します。タイミング・ドメインには、Clock Setup、Clock Hold、
tSU、tCO、tPD、tH、min tCO、min tPD などのタイミング・パラメータが
あります。例えば、クロック A の Clock Setup のスラックが -500 ps で、
クロック B の Clock Setup のスラックが 200 ps の場合、これら 2 つのド
メインの QoF は -700 ps です。レポートされる QoF 値が高くなるほど、
QoF も向上します。
Altera Corporation
2006 年 11 月
12–15
暫定版
Quartus II ハンドブック Volume 2
Tcl コンソールに以下の Tcl コマンドを入力することにより、すべての
デザインの QoF を計算することができます。
source [file join $::quartus(binpath) tcl_scripts dse
calculate_quality_of_fit.tcl]
上の文の変数はすべて事前に定義されているため、変数の代入を
行わないで、表示されているとおりに文を入力してください。
Search Method(検索方法)
Search Method 設定では、DSE で実行する検索の幅を制御できます。
DSE には、Exhaustive search of Exploration Space と Accelerated search
of Exploration Space の 2 つの検索方法があります。これらの検索方法
については、表 12–4 を参照してください。
表 12–4. Search Methods(検索方法)
Search Method(検索方法)
Exhaustive search of Exploration Space
説明
エクスプロレーション・スペースで指定できるすべての設定を指定
したすべてのシードに適用します。この検索方法は、デザインに対
して最適な設定を生成しますが、最も時間がかかります。
Accelerated search of Exploration Space 最初に最適な設定を決定し、次に指定されたすべてのシードで設定
をスィープすることによって、デザインに最適なエクスプロレー
ション・スペースを見つけます。
DSE フロー・
オプション
以下のオプションにより DSE のコンフィギュレーションを制御できま
す。
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
12–16
暫定版
DSE ポイントからのリビジョンの作成
エラーがあるパスがなくなった場合の探索の停止
ベース・コンパイルが失敗した場合でも探索を継続
探索時の Quartus II PowerPlay Power Analyzer の実行
すべてのコンパイルをアーカイブ
指定時間経過後にフローを停止
エクスプロレーション・スペースのファイルへの保存
SignalTap & SignalProbe Settings を無視する
可能な場合はベース解析とコンパイルをスキップ
コンパイル・スレッドの優先順位を降格
DSE コンフィギュレーション・ファイル
Altera Corporation
2006 年 11 月
DSE フロー・オプション
DSE ポイントからのリビジョンの作成
DSE でデザイン調査を実行した後、任意のエクスプロレーション・ポイ
ントから Quartus II のリビジョンを作成することができます。このオプ
ションにより、同じスペース・ポイントに基づく複数のリビジョンを作
成し、Quartus II ソフトウェア内でさらに最適化を促進することができ
ます。図 12-3 に Create a Revision From a DSE Point ダイアログ・ボッ
クスを示します。
図 12-3. DSE ポイントからのリビジョンの作成
DSE が探索での最良のスペース・ポイントを決定するために使用する基
準は、Decision カラムと呼ばれます。DSE がデザイン・スペースを探索
すると、以下の不等式によって最適なエクスプロレーション・ポイント
が変化します。
< 現在の Decision カラム値 > > < 前の Decision カラム値 >
デフォルトでは、DSE はワースト・ケース・スラックを Decision カラ
ムとして探索に使用します。ワースト・ケース・スラックの Decision カ
ラムは、探索における最大のスラック値であり、I/O タイミングまたは
クロック・スラック値になります。Options メニューで Decision カラム
を変更できます。Options メニューで Advanced をクリックし、Change
Decision Column を選択します。表 12–5 に使用可能な Decision カラム
を示します。Quartus II Timing Analyzer Report 内の任意のカラムを
Decision カラムにすることができます。
表 12–5. DSE による Decision カラムの変更 (2 / 1)
Decision カラム名
説明
Worst-case slack(デフォルト)
エクスプロレーション・スペースにおけるワースト・ケース・スラックで
の最適なエクスプロレーション・ポイントを決定します。
Clock Setup:'< クロック名 >':
Slack
指定した < クロック名 > の最適なエクスプロレーション・ポイントを決定
します。
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2006 年 11 月
12–17
暫定版
Quartus II ハンドブック Volume 2
表 12–5. DSE による Decision カラムの変更 (2 / 2)
Decision カラム名
説明
Clock Setup: '*': Slack
すべてのクロックに最適なエクスプロレーション・ポイントを決定します。
Worst-case minimum tCO Slack
ワースト・ケースの最小 tCO スラックに最適なエクスプロレーション・ポ
イントを決定します。
Worst-case tH Slack
ワースト・ケース tH スラックに最適なエクスプロレーション・ポイントを
決定します。
Worst-case tSU Slack
ワースト・ケース tSU スラックに最適なエクスプロレーション・ポイント
を決定します。
< 任意のカラム名 >
タイミング解析レポートで使用できる任意のカラムに最適なエクスプロ
レーション・ポイントを決定します。
エラーがあるパスがなくなった場合の探索の停止
DSE に、ベース・ポイントを含めて、エラー・パスのないポイントを検
出した後、
スペースの探索を停止します。DSE は All Failing Paths report
カラムでレポートされたエラー・パス数を使用して、この決定を行いま
す。
ベース・コンパイルが失敗した場合でも探索を継続
Continue Exploration Even If Base Compilation Fails オプションをオン
にすると、DSE はデザインのコンパイル・エラーが発生しても探索を継
続します。例えば、タイミング設定がデザインに適用されない場合は
DSE エラーが発生します。エラーが発生しても停止しないで、DSE に探
索を継続させるには、このオプションをオンします。
探索時の Quartus II PowerPlay Power Analyzer の実行
Run Quartus II PowerPlay Power Analyzer During Exploration をオン
にすると、
DSE で探索を実行するたびに、Quartus II PowerPlay Analyzer
が起動します。このオプションを使用すると、デザインをデバッグし、
消費電力要件と性能最適化の間でトレード・オフを決定するのに役立ち
ます。
すべてのコンパイルをアーカイブ
Archive All Compilations をオンにして、各コンパイル用に Quartus II
アーカイブ・ファイル (.qar) を作成します。これらのアーカイブ・ファ
イルは、デザインの作業ディレクトリ内の dse ディレクトリに保存され
ます。
12–18
暫定版
Altera Corporation
2006 年 11 月
DSE フロー・オプション
指定時間経過後にフローを停止
Stop Flow After Time をオンにすると、指定した日数、時間数、および
分数の経過後に探索を停止します。
DSE はコンパイルを途中で停止しないため、探索時間が指定した
値を超える場合があります。
エクスプロレーション・スペースのファイルへの保存
Save Exploration Space to File をオンにすると、DSE で探索されたすべ
てのオプションを含む < プロジェクト名 >.dse ファイルが書き出されま
す。このファイルを使用または変更して、カスタム探索を実行できます。
SignalTap & SignalProbe Settings を無視する
DSE は、SignalTap® II または SignalProbe 機能と互換性のない高度な
フィジカル・シンセシス・オプションを使用します。このため、SignalTap
II または SignalProbe をオンにして探索のためにプロジェクトを開くと、
DSE はエラー・メッセージを発行します。エラー・メッセージは次のよ
うなものです。
Error Opening Project--------------------------Project is using SignalProbe.Please turn off
SignalProbe before using this project with Design Space
Explorer or Ignore SignalProbe Setting in your Design
on the Options menu.
Ignore SignalTap and SignalProbe Settings オプションをオンにすると、
DSE はこのチェックをバイパスします。
デザインがすでに検証済みの場合、このオプションをオンにするとコン
パイル時間が短縮され、リソース利用率が向上することがあります。
可能な場合はベース解析とコンパイルをスキップ
Skip Base Analysis & Compilation If Possible オプションを指定すると、
DSE は Analysis & Elaboration ステージ、あるいは前の Quartus II コン
パイルからベース・ポイント・コンパイルの結果が得られる場合は、ベー
ス・ポイント・コンパイルをスキップします。
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2006 年 11 月
12–19
暫定版
Quartus II ハンドブック Volume 2
コンパイル・スレッドの優先順位を降格
Lower Priority of Compilation Threads オ プシ ョンによ り、DSE は
Quartus II 実行コマンドの lower_priority オプションを実行します。
lower_priority オプションは、Quartus II 実行コマンドの優先順位を
下げることがきでます。
DSE コンフィギュレーション・ファイル
多くのオプションがあり、各 DSE 探索の動きをカスタマイズすることが
できます。例えば、シード値または分散探索の実行に使用するスレーブ・
コンピュータのリストを指定することができます。DSE GUI を閉じるた
びに、これらの値はコンフィギュレーション・ファイル dse.conf に保存
されます。DSE を起動するたびに、dse.conf から値が読み出され、前の
探索設定がリストアされます。
dse.conf ファイルの保存場所は、DSE を起動するオペレーション・シス
テムによって異なります。表 12–6 に、使用するオペレーション・システ
ムでの dse.conf ファイルの保存場所を示します。
表 12–6. DSE コンフィギュレーション・ファイルの場所
OS
ファイルの場所(デフォルト)
Windows
%APPDATA%/Altera/dse.conf
Unix
~/.altera.quartus/dse.conf
コメント
変数 %APPDATA% が未定義の場合、コンフィ
ギュレーション・ファイルは
/.altera.quartus/dse.conf に保存されます。
DSE コマンド・ライン・モードで指定した設定は、dse.conf ファ
イルに保存されません。
DSE の
最新情報
この項では DSE の最新機能について説明します。これらの機能によりデ
ザイン・スペース探索の処理効率が向上し、デザイン・スペースのさら
なる最適化を提供します。
分散探索を使用したコンピュータの負荷分散
Distribute Compiles to Other Machines を選択すると、DSE はクラスタ
演算テクノロジを使用して、探索時間を短縮します。DSE は複数のクラ
イアント・コンピュータを使用して、指定されたエクスプロレーション・
スペースのポイントをコンパイルします。Distributed DSE オプション
を選択すると、DSE は以下の動作モードのいずれかで動作します。
12–20
暫定版
Altera Corporation
2006 年 11 月
DSE の 最新情報
■
Use LSF Resources: DSE は Platform LSF グリッド・コンピューティン
グ・テクノロジを使用して、エクスプロレーション・スペースのポ
イントをコンピューティング・ネットワークに分配します。
■ Distribute Compiles to Other Machines は、Quartus II マスタ・プロ
セスを使用します。DSE はマスタとして機能し、Exploration Space
のポイントをクライアント・コンピュータに分配します。
LSF リソースを使用した分散型 DSE
分散型 DSE テクノロジを使用する最も簡単な方法は、コンパイルしたモ
ジュールを事前にコンフィギュレーションされたローカル・サイトの
LSF クラスタにサブミットすることです。LSF ソフトウェアについて詳
しくは、www.platform.com またはシステム・アドミニストレータにお
問い合わせください。Use LSF resources をオンにしてこの機能を有効
にします。Configure Clients オプションを選択すると、LSF キューを指
定できます。
Quartus II マスタ・プロセスを使用した分散型 DSE
DSE でローカル・エリア・ネットワーク内のコンピュータを使用してエ
クスプロレーション・スペースのポイントをコンパイルする前に、クラ
イアントとして使用するコンピュータ上に Quartus II ソフトウェアのス
レーブ・インスタンスを作成する必要があります。クライアント・コン
ピュータのコマンド・プロンプトで、以下のコマンドを入力します。
quartus_sh --qslave このコマンドを複数のコンピュータで繰り返し入力すると、DSE で使用
する Quartus II ソフトウェア・スレーブのクラスタが作成されます。ネッ
トワーク上で Quartus II ソフトウェア・スレーブ・セットを作成したら、
Configure Clients ダイアログ・ボックスで各スレーブ・コンピュータの
名前を追加します。図 12-4 に分散型探索のクライアント・エントリの一
例を示します。
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2006 年 11 月
12–21
暫定版
Quartus II ハンドブック Volume 2
図 12-4. DSE のクライアント・エントリ
DSE は探索の開始時に Quartus II ソフトウェア・マスタ・プロセスの役
割を担い、コンパイルするリストのスレーブにポイントを送ります。リ
ストが空の場合、DSE はエラーを発行して検索を停止します。
Quartus スレーブの実行とコンフィギュレーションについて詳し
くは、コマンド・プロンプトで次のコマンドを入力し、Help を
参照してください。
quartus_sh --help=qslave スレーブ・プロセスを実行するには、DSE の実行に使用したのと同じ
バージョンの Quartus II ソフトウェアを使用する必要があります。DSE
の実行に使用している Quartus II ソフトウェアのバージョンを確認する
には、HELP を選択して About DSE をクリックします。分散型 DSE 検
索機能を使用するときに、複数の Quartus II ソフトウェア・バージョン
を混在させた場合は、予期しない結果が発生する可能性がありますので
ご注意ください。
同時ローカル・コンパイル
コンパイル時間を短縮するために、DSE は複数のエクスプロレーション・
ポイントを同時にコンパイルします。Concurrent Local Compilations オ
プションにより、DSE が実行するローカル・コンパイルの回数を指定で
きます。Concurrent Local Compilations オプションでは、1 ∼ 6 の範囲
の整数値を選択して、最大 6 つの同時コンパイルを指定することができ
ます。このオプションは分散処理と併用することができます。ただし、そ
のためにはシステムが適切なリソースと同時コンパイルを実行するため
12–22
暫定版
Altera Corporation
2006 年 11 月
DSE の 最新情報
のライセンス、および分散処理機能を備えている必要があります。同時
ローカル・コンパイルの実行には、マルチプロセッサまたはマルチコア・
システムが推奨されます。
Concurrent Local Compilations オプションには、同時コンパイ
ルごとに個別の Quartus II ソフトウェア・ライセンスが必要です。
例えば、4 つの同時コンパイルを実行するには 4 つのライセンス
が必要です。十分な数の有効なライセンスがあることを確認して
から、Concurrent Local Compilations 値を選択して、コンパイ
ルを開始してください。
DSE のためのカスタム・スペースの作成
カスタム・スペースを使用して事前に定義された Exploration Space リ
ストにないオプションの組み合わせを探索することができます。エクス
プロレーション・スペースは XML ファイルで定義されます。次の項で、
DSE で処理できるカスタム・スペースを作成するタグについて説明しま
す。
カスタム・スペースは、以下の 3 つのタグ・ペアで定義されます。
■
<DESIGNSPACE> および </DESIGNSPACE>
<POINT> および </POINT>
■ <PARAM> および </PARAM>
■
DESIGNSPACE タグ
<DESIGNSPACE> タグはカスタム・スペースでのエクスプロレーション・
スペースの開始を定義します。終了タグ </DESIGNSPACE> は、エクス
プロレーション・スペースの終了を定義します。これら 2 つのタグはい
ずれもすべてのカスタム・スペースに必要です。
POINT タグ
POINT タグのペアは、必ず DESIGNSPACE タグ・ペア内で使用します。
<POINT <name>=<stage> enabled=”<value>”> タ グは エク スプ ロレ ー
ション・ポイントの開始を定義します。終了タグ </POINT> はエクスプ
ロレーション・ポイントの終了を定義します。POINT タグは、<stage>
値および特定のポイントを特定のDSE探索に対してアクティブにするか
どうかも指定します。
以下のいずれかを POINT タグの ”<stage>” 値として指定できます。
■
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2006 年 11 月
map— そのポイントの Analysis & Synthesis 設定の変更を示します。
12–23
暫定版
Quartus II ハンドブック Volume 2
■
fit— そのポイントのフィッタ設定の変更を示します。
seed— フィッタ・シードの変更を示します。
■ llr—LogicLock プロパティの変更を示します。
■
POINT タグの <value> 値は、特定のステージに対しそのエクスプロレー
ション・ポイントがアクティブであることを示す ”1” か、非アクティブで
あることを示す ”0” になります。
以下に POINT タグの一例を示します。
<POINT space=”map” enabled=”1”>
...
</POINT>
上記の例は Analysis & Synthesis 設定でのポイントが変更され、解析お
よび合成中にアクティブなことを示します。
PARAM タグ
PARAM タグ・ペアは必ず POINT タグ・ペア内で使用します。
<PARAM name=”<parameter>”> タグは、特定のエクスプロレーション・
ポイント向けに変更するパラメータの開始を定義します。終了タグ
</PARAM> はパラメータの終了を示します。表 12–7 に Analysis &
Synthesis 設定および ”<parameter>” 値を示します。
表 12–7. Analysis & Synthesis 設定
注 (1)(2 / 1)
Analysis & Synthesis 設定
説明
値
STRATIX_OPTIMIZATION_TECHNIQUE
Stratix デバイスに対する Quartus II ソ SPEED、
フトウェアのコンパイルでの Analysis AREA、
& Synthesis ステージで使用する最適 BALANCED
化手法のタイプ
CYCLONE_OPTIMIZATION_TECHNIQUE
Cyclone デバイスに対する Quartus II SPEED、
ソ フ ト ウ ェ ア の コ ン パ イ ル で の AREA、
Analysis & Synthesis ステージで使用 BALANCED
する最適化手法のタイプ
ADV_NETLIST_OPT_SYNTH_GATE_RETIME
ゲート・レベル・レジスタのリタイミ OFF、ON
ング
ADV_NETLIST_OPT_SYNTH_WYSIWYG_REMAP WYSIWYG プリミティブ再合成
12–24
暫定版
OFF、ON
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2006 年 11 月
DSE の 最新情報
表 12–7. Analysis & Synthesis 設定
注 (1)(2 / 2)
Analysis & Synthesis 設定
DSE_SYNTH_EXTRA_EFFORT_MODE
説明
値
Quartus II ソフトウェア合成エフォー MODE_1、
トを制御します。
MODE_2、
MODE_3
表 12–7 の注 SS
(1) デバイス・ファミリには、すべての Analysis & Synthesis 設定は指定できないものもあります。
表 12–8 にフィッタの設定を示します。以下に PARAM タグの一例を示し
ます。
<PARAM name=”ADV_NETLIST_OPT_SYNTH_GATE_RETIME”> ON </PARAM>
上記の例のポイントは、Analysis and Synthesis 設定のゲート・レベルの
リタイミングがエクスプロレーション・スペース・ポイントでオンにな
ることを示しています。
表 12–8. フィッタの設定
注 (1)
フィッタの設定
説明
値
AUTO_PACKED_REGISTERS_STRATIX
Stratixデバイスのレジスタ・ NORMAL、MINIMIZE_AREA、
MINIMIZE_AREA_WITH_CHAINS
パッキング
AUTO_PACKED_REG_CYCLONE
Cyclone デバイスの
レジスタ・パッキング
OFF、MINIMIZE_AREA、
MINIMIZE_AREA_WITH_CHAINS
INNER_NUM
PowerFit フィッタ・
エフォート・レベル
{ 整数値 }
PHYSICAL_SYNTHESIS_COMBO_LOGIC 組み合わせロジックの
OFF、ON
フィジカル・シンセシス
PHYSICAL_SYNTHESIS_REGISTER_
DUPLICATION
レジスタ複製の
フィジカル・シンセシス
PHYSICAL_SYNTHESIS_REGISTER_
RETIMING
レジスタ・リタイミングの OFF、ON
フィジカル・シンセシス
OFF、ON
表 12–8 の注 :
(1) デバイス・ファミリには、すべてのフィッタの設定は指定できないものもあります。
シンプル・カスタム・スペース
以下のカスタム・エクスプロレーション・スペースの例は、Analysis &
Synthesis 設定およびフィッタ・コンパイル・ステージを使用してシー
ド・スィープを実行するシンプル・カスタム・エクスプロレーション・
スペースを示しています。
Altera Corporation
2006 年 11 月
12–25
暫定版
Quartus II ハンドブック Volume 2
<DESIGNSPACE>
<POINT space="map" enabled="1">
<PARAM name="CYCLONE_OPTIMIZATION_TECHNIQUE">SPEED</PARAM>
<PARAM name="ADV_NETLIST_OPT_SYNTH_GATE_RETIME">ON</PARAM>
<PARAM name="ADV_NETLIST_OPT_SYNTH_WYSIWYG_REMAP">ON</PARAM>
<PARAM name="STRATIX_OPTIMIZATION_TECHNIQUE">SPEED</PARAM>
</POINT>
<POINT space="fit" enabled="1">
<PARAM name="PHYSICAL_SYNTHESIS_REGISTER_RETIMING">ON</PARAM>
<PARAM name="PHYSICAL_SYNTHESIS_REGISTER_DUPLICATION">
ON</PARAM>
<PARAM name="AUTO_PACKED_REG_CYCLONE">OFF</PARAM>
<PARAM name="AUTO_PACKED_REGISTERS_STRATIX">OFF</PARAM>
<PARAM name="SEED">3</PARAM>
<PARAM name="PHYSICAL_SYNTHESIS_COMBO_LOGIC">ON</PARAM>
</POINT>
</DESIGNSPACE>
上記の例では、合成設定を変更する 1 つの map エクスプロレーション・
ポイントと1つの Quartus II フィッタ設定を変更する fit エクスプロレー
ション・ポイントの 2 つのポイントを持つカスタム・エクスプロレーショ
ン・スペースを定義しています。map ポイントは、速度の最適化手法を
設定し、ゲート・レベル・リタイミングおよび WYSIWYG 再合成をオン
にします。fit ポイントでは、レジスタ・リタイミング、レジスタ複製、
および組み合わせロジックのフィジカル・シンセシスをオンにし、レジ
スタ・パッキングをオフにし、シード値 3 を使用します。
カスタム・スペース XML 手法
以下の例には、カスタム・エクスプロレーション・スペース・ファイル
の XML フォーマットを記述した XML 手法が含まれています。最新の
XML エディタまたは XML 検証ツールを使用して、この手法に対する任
意のカスタム探索ファイルの妥当性検査を行うことができます。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<xs:schema xmlns:xs="http://www.w3.org/2001/XMLSchema" elementFormDefault="qualified"
attributeFormDefault="unqualified">
<xs:element name="DESIGNSPACE">
<xs:annotation>
<xs:documentation>The root element of a design space
description</xs:documentation>
</xs:annotation>
<xs:complexType>
<xs:sequence minOccurs="0" maxOccurs="unbounded">
<xs:element ref="POINT"/>
</xs:sequence>
<xs:attribute name="project" type="xs:string" use="optional"/>
12–26
暫定版
Altera Corporation
2006 年 11 月
DSE の 最新情報
表 12–9 に、本資料の改訂履歴を示します。
改訂履歴
表 12–9. 改訂履歴
日付&ドキュメント・
バージョン
2006 年 11 月 v6.1.0
2006 年 5 月 v6.0.0
変更内容
改訂履歴を追加。
概要
Stratix III のサポート情
報を追加。
Quartus II ソフトウェア・バージョン 6.0.0 向けに更新。
TimeQuest タイミング・アナライザの機能を更新。
●
2005 年 10 月 v5.1.0
12 章に変更(バージョン 5.0 では 10 章でリリース)
。
2005 年 5 月 v5.0.0
10 章に変更(バージョン 4.2 では 9 章でリリース)
。
2004 年 12 月 v2.1
●
●
2004 年 6 月 v2.0
●
●
2004 年 2 月 v1.0
Altera Corporation
2006 年 11 月
表および図を更新。
Quaruts II ソフトウェア・バージョン 4.2 の新機能。
表および図を更新。
Quaruts II ソフトウェア・バージョン 4.1 の新機能。
初版
12–27
暫定版
Quartus II ハンドブック Volume 2
12–28
暫定版
Altera Corporation
2006 年 11 月
Fly UP