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オフロード法対象車両の 使用に関する参考事例について
オフロード法対象車両の 使用に関する参考事例について 規制対象となるオフロード車 規制対象部分 オフロード車 (公道を走行しないもの) 油圧ショベル ホイールローダ オンロード車 (公道を走行するもの) オフロードダンプトラック 乗用車 ブルドーザ 貨物自動車 フォークリフト 農耕用トラクタ 原 動 機 の 出 力 が 19kW以 上 560kW未 満 原 動 機 の 出 力 が 19kW未 満 田植機 平成18年4月に特定特殊自動車排出ガス規制等に関する法律(オフロード法)が施行され ました。四国地域でオフロード車をご使用になっている事業者のうち「鉱業」、「採石業」、「製 紙業」及び「化学工業」から、排出ガス削減のために他の業種でも参考になる取組事例を収集 しましたので紹介します。 また、整備工場及び販売業者から収集した情報も掲載していますので、併せてご覧ください。 整備工場 販売業者 参考となる情報 ◇オフロード法基準適合車取扱い 周知に関する活動 ◇オフロード法基準適合車における 情報電子技術の適用 一般使用者 (鉱業、採石業、製紙業、化学工業) 参考となる事例 ◇自主保全活動(TPM)の導入 ◇省エネルギー操業の推進 ◇フォークリフトの最適使用 ・目的にあった駆動方式の選択 ・計画的な車両更新 事例1 自主保全活動(TPM)の導入(鉱業の事例) TPM(Total Productive Maintenance)は、鉱業のみならず多くの製造業で導入されている機械設備保全の 手法の一つ。操業開始当初から導入し、生産設備であるオフロード車の予防保全に活用している。使用する 作業者自身が設備の基本を理解し、設備に強い作業者となり、日常の保全活動を通じて“これはおかしいぞ” と異常を感じ取る能力を一人一人が身につけることが重要である。(詳細は公益社団法人日本プラントメンテナンス協 会、一般社団法人日本能率協会の資料をご確認ください。 ) ◆使用されているオフロード車 油圧ショベル、ブルドーザ、ホイールローダ、クローラドリル、オフロードダンプトラックなどで非常に 大型のオフロード車 ◆TPM導入の理由 オフロード車自体が生産設備なので、オフロード車の故障が生産に直接影響する。このため、故障してか ら修理する事後保全よりも、故障しないように日常整備を行う予防保全が好ましい。 ◆TPM導入の成果 エンジン音は? オイルは? ・無災害の継続 ・アイドリングストップの徹底 (車両により約 10L/h の燃料消費節減) マフラーの詰ま りは? ・アクセルストッパーの取り付け (過度の踏み込み防止) ・走路短縮(直線で結ぶ) ・採掘した石灰石は高所から低所に 排気の色は? 落とす。(坂上り輸送削減) ・ベンチカット(階段状に掘削)の効率化 ボルト、ベルト の緩みは? 事例2 省エネルギー操業の推進(採石業の事例) オフロード車のランニングコストの大部分は燃料費。その節減のため、鉱業、採石業、製紙業、化学工業な どの製造業ではエコドライブを積極的に採用、作業標準としている。大気汚染防止につながり、オフロード 法の目的に沿う。 ◆ハイブリッド油圧ショベルの導入 粉砕した骨材などのトラック積込 み作業では、掘削、旋回、放出の 動作を繰り返す。旋回、放出時は 低速運転になる。従来機では減速 制動エネルギーをロスしていた。 これを電気エネルギーとして回収 積極的 する。標準的な作業で約 20%の 燃料節減ができる。 動力 減速時 に発電 油圧 システム 旋回 電動モータ エンジン 動力調整 ユニット 電力 キャパシタ (蓄電器) アシスト 電動モータ ◆エコモード運転 ECO モードスイッチ(右図)を ON にした場合、エンジンの回転は 最適範囲に制限され、燃料節減運転が可能となる。 ◆作業環境整備の例 ①走行路面の整備を行い、オフロード車の移動時の負荷を軽減する。 ②作業効率の良い作業手順を選ぶ。 ③高い位置で荷積みして低いところへ運搬し、逆は避ける。 ④作業場のレイアウトを工夫して運搬距離の短縮を図る。 ◆エコドライブの例 ⑤アイドリングストップの励行 ⑥不要な空ぶかしの禁止 ⑦急発進・急加速・急な操作をしない。 ⑧負荷がかかりすぎる作業は行わない。⑨アクセルストッパーの設置(過度の踏み込みを防止) 注:エコモード運転と作業環境整備、エコドライブを併用すればより燃料の節減(約 20%)ができる。 事例3 フォークリフトの最適使用(製紙業、化学工業の事例) フォークリフトは製紙業、化学工業などの製造業のほか、海運業や陸運業などでも場内物流などに使用され ており、オフロード車の中では稼働台数が最も多い。エコドライブ(事例2参照)をフォークリフトの作業 標準に定めて確実に実施することは、ランニングコストの削減と環境改善に有効である。 事業所が 24 時間操業の場合は、場内物流も 24 時間フル対応。フォークリフトは稼働率が重視され、バッテ リー車では充電時間がロス時間となり、不利である。一方、土日が休日で 12 時間操業の例では、特定の時間 帯に荷役作業等が集中することがあるものの、休業時間帯で充電が可能で、作業環境を重視してバッテリー 車を採用する事業所が多い。 操業形態などによって稼働率、作業環境、コストパフォーマンス等を考慮して最適な時期での車両更新と駆 動方式の選択を行うことも大切である。 事例3-1 目的にあった駆動方式の選択 以前のフォークリフトはディーゼル車が主体であった。しかし、屋内での使用には、排出ガスが製品や作 業場内の空気を汚すなどの問題があったため、バッテリー車が開発された。バッテリー車によって作業環 境は改善したが、出力に制限があり、運搬重量が重い作業には適さないという一面がある。 運搬重量と排出ガスによる環境汚染の観点から作業内容を精査し、フォークリフトを事業所内で適切に使 い分けることが求められる。 ◆使用例 ・ディーゼル車: 原材料などの重量物の屋外搬送 ・バッテリー車: 製品などの屋内搬送 ・LPG 車:連続操業の事業所における屋内搬送 バッテリー車 (多) ディーゼル 排 出 ガ ス 中 の 有 害 物 質 量 ガソリン LPG 大型ディーゼル車 バッテリー (少) 1t 2t 3t以上重量物 一般的な運搬重量範囲 事例3-2 計画的な車両更新 事業所の操業形態等を勘案し、独自の設備管理基準を設け、定期整備や車両更新時期などの判断基準を定 める。日常点検(始業前点検、終業時点検)を怠りなく実施しても、整備費が増加し、燃費も悪化し始め る時点などを判断の時期と定めている。 燃料代が高くなる近年では、作業環境のみならず自然環境への配慮もあって、バッテリー車への切り替え が進む傾向にある。 ◆判断基準の例 ・定期整備:稼働時間 5,000 時間 ・車両更新:稼働時間 10,000 時間 など 参考情報1 オフロード法基準適合車取扱い周知に関する活動 第 3 次基準適合車が市場に出回り始めて 5~6 年経過した。一般使用者(製造業)の保有するオフロード車 のうち、オフロード法基準適合車の比率は、アンケート調査の結果から、現段階では約 30%と推定される。 今後、更に規制の厳しい第 4 次基準適合車が発売され、普及が進むであろう。 ◆各種講習会の開催 オフロード法基準適合車はエンジン系統、排出ガス系統が電子制御化され、専門性が要求される。したがっ て、これから運転免許を取得する者も、既に免許を取得した熟練運転者でも新しい知識と技能の習得が必要 になる。そのための講習会として次のような機会がある。 ① 車両系建設機械やフォークリフトの運転技能講習(実技、学科) ②顧客の要望に応じたサービスの一環として機械製造者や直系販売業者が実施する講習会 ◆オフロード法適合車のクリーンディーゼルの特徴とメンテナンス上の注意 オフロード法基準適合車に搭載されるエンジン、クリーンディーゼルには、コモンレールシステム直接噴射 式エンジン、EGR(排出ガス再循環) 、DPF(微粒子除去装置) 、NOx 除去装置などが備えられている。 オフロード法適合車は、エンジン系統や排出ガス系統が全て電子制御で、機械構造がデリケートであるため、 故障診断や修理は機械製造者や直系又は指定整備業者でなければできない。 故障時の修理には高価な部品交換となることが多いので、使用者は、何よりも適正な燃料を使用し、エンジ ンオイル、フィルタ類、排出ガス処理触媒などの 日常点検整備の徹底に努めるべきである。 ◆適正な燃料の使用の啓発 基準適合車の燃料は、指定の品質規格に合格した 燃料でなければならない。このため、ユーザーに は適正燃料の使用を厳守して貰うことが重要と なる。その対策として、給油口に指定燃料の使用 を喚起するシールを貼ることが行われている。 参考情報2 オフロード法基準適合車における情報電子技術の適用 オフロード法基準適合車はエンジン系統、排出ガス系統が電子 制御化され、計器類もデジタル機器が使用される。これらを端 GPS衛星 末機器とし、情報通信技術を応用したシステムを搭載できる。 ◆車両管理システムの導入 リアルタイムで車両位置の確認や稼動状況、燃料、オイル、 エンジンの状態など適切な状態であるかチェックできる。 通信システムターミナル また、不具合が起きる前に、車両の稼動時間を目安に、 例えば 5,000 時間で定期整備をするなどの管理が可能となる。 また、これらのデータ(不具合記録、修理記録、部品管理記 録)を整理して車両の個別メンテナンス管理ができる。 ◆情報化施工による操業の効率化 工事の調査、設計、施工、監督、検査、維持管理など全ての 生産(施工)工程において情報通信技術を導入し、得られた 電子情報を共用する自動化システムが開発されている。省力 化、生産性、安全性、施工効率、施工精度の向上、環境負荷 の低減などに大きな効果がある。 オフロード車 衛星通信回線 データサーバ 車両管理システム 問い合わせ先 四国経済産業局 資源エネルギー環境部 環境・リサイクル課 〒760-8512 香川県高松市サンポート 3 番 33 号 高松サンポート合同庁舎 Tel 087-811-8534 Fax 087-811-8559 URL http://www.shikoku.meti.go.jp 請 負 人 株式会社三菱化学テクノリサーチ 〒102-0083 東京都千代田区麹町 6 丁目 6 番地 麹町東急ビル 4F Tel 03-5226-0731 Fax 03-5226-0741 平成 25 年 2 月作成