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SPC法の特定目的会社での不動産証券化の実態と方向

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SPC法の特定目的会社での不動産証券化の実態と方向
1999年4月19日
第252号
株式会社バード財産コンサルタンツ
160-0023東京都新宿区西新宿7-15-8 ニッパンビル
電話 03-5389-0988 FAX 03-5389-0933
第1・2・3・4月曜FAX発行・無許転載禁・月額2100円
SPC法の特定目的会社での不動産証券化の実態と方向
SPC法施行から半年。不動産
等の証券化のために株式会社で
なく有限会社でもない「特定目
的会社」という証券化システム
が優遇税制を含め制度化されま
した。既に6社が設立済みです。
管理仲介業型 不動産証券化
登録番号第1号は東京建物
さんの「高輪アパートメント特
定目的会社」。以下で各「特定目
的会社」を単に「SPC」と呼びます。
(SpecialPurposeCompanyの略)
SPCが東京都港区高輪で土地
900坪とRC9階建アパートを56
億円で第三者から購入しました。
資金は諸経費込み65億円をつな
ぎ資金として都市銀行より借入
れました。
SPCは特定社債30億円と優先
出資証券35億円を投資家に発行
してつなぎ資金を返済します。
投資家向け投資対象として社
債等の証券を発行するのです。
投資家にとっては不動産価値が
担保となる投資商品です。証券
の発行先は小人数私募・プロ私
募とされていますので、生保等
機関投資家や外資なのでしょう。
不動産証券化というと「実質
売却」での資金調達が多いので
すが、このSPCでは資金を投資
家から集めての共同投資です。
ちなみに胴元の東京建物さん
はこのアパート管理を賃料収入
の最大8%の管理料で受託、当
然に売買の際の仲介も受託し仲
介料を得ます。投資家が納得す
る限りはこの物件は東京建物さ
んの実質支配下になりそうです。
証券化ビジネスは管理・仲介
ビジネスの側面をもっています。
資金調達型 不動産証券化
第2号は東急不動産さんの
「染井野エスシー特定目的会社」。
東急さんがイトーヨーカ堂に
賃貸中のショッピングセンター、
土地5300坪・建物11900 坪、予定
価格90億円を信託銀行に信託し、
信託受益権をSPCに移します。
SPCは5種類の特定社債と優
先出資証券とを小人数相手に発
行します。公募は行いません。
このケースは東急さんがSPC
に物件を実質的な売却をして資
金調達をしたことになります。
機関投資家等がSPCに投資した
お金が東急さんに回ります。
物件の管理処分は信託銀行
が受託しますが、東急不動産を
含む第三者に再委託することも
あるとされていますので、東急
さんが管理を続け、管理ビジネ
スは手元に残すのでしょう。
特定社債を5種類に分けて発
行します。平均レートは4%台
とのことで、優先返済を受ける
が金利等条件の悪いもの、逆に
貸倒れリスクはあるが他の条件
のいいものといった具合です。
そしてこの社債について
「AAA」「AA」等の格付を取得しま
した。海外で当然のことですが、
国内でもいよいよ始まりました。
第3号はNTTリースさん、
第4号はオリコさん、第5号は
センチュリー・リーシングさん
がそれぞれ数百億円のリース債
権を証券化します。投資家に発
行する特定社債の利率は高くて
1%台です。
一方、不動産証券化は不動産
という「危険な資産」への投資の
ために利率が高くなるようです。
資産圧縮型 不動産証券化
第6号は「ネットワークキャ
ピタル特定目的会社」。住友銀
行さんが行う全国の銀行支店20
店舗の土地建物の証券化です。
住友銀行さんはこの土地建物
を信託銀行に信託します。その
上でその信託受益権を2百数十
億円でSPCに売却します。
その後の住友銀行さんは敷金
保証金をSPCに支払い、家賃を
支払い、銀行店舗として賃借し
て支店として使い続けます。
SPCは小人数私募の優先出資
証券と公募による特定社債によ
ってまかなわれることになりま
す。どのような割合になるかは
不明ですが、特定社債が最大で
140億円で、それが「公募」とな
っていることが注目されます。
一般公募となれば、住友銀行
さんへ貸付中の不動産の信用力
を基に、広く一般投資家へ社債
が発行されることになります。
住友銀行さんサイドでは店舗
は売却したことになりますので
会計上での資産圧縮は進み、自
己資本比率の改善になります。
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