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3次元湯流れ・凝固解析システムの導入(PDF 282KB)

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3次元湯流れ・凝固解析システムの導入(PDF 282KB)
3次元湯流れ・凝固解析システムの導入
Introduction of a 3D Fluidity and Solidification Analysis System
for Casting
藤本 岳史(T.Fujimoto)
橋本 文由(F.Hashimoto)
(技術グループ)
(技術グループ)
弊社製品はアルミニウム鋳物や鉄鋳物が多く使われており、その大きさも中型から小物まで、多
種多様であります。
鋳造品は、製品部分が空隙となっている型の中に高温で溶解した金属を流し込み、冷却凝固し製
品形状を得ることで、加工では困難な形状を作り出します。高温で溶解した金属を型に流し込んで
鋳物を製造するには、製品部分の他に溶解した金属を流し込む湯道や、凝固時の収縮を補う押し湯
が必要です。この湯道や押し湯の位置・形状・大きさや型のボリュームなどの設計は、製品外観や
強度等の品質に大きく影響を及ぼします。この設計を鋳造方案と呼んでおります。これまでは経験
則で試行錯誤を繰り返し、鋳造方案を決定してきました。そのため、実用化までに試作・改造と期
間を要し、時には失敗して型を作り直すこともありました。このため量産化には期間とコストが必
要でした。そこで、短期間に鋳造品質に優れた鋳造法案を得るべく、また、より鋳造品質を向上さ
せることを目的として、3次元湯流れ・凝固解析システム(以下、JSCAST という)を導入しました。
以下にこの解析システムの概要をご紹介します。
1.概要
JSCAST は各種鋳造プロセスにおいて、溶けた金属の湯流れ、および凝固のシミュレーションを
解析する手法です。
鋳型内部を溶湯がどのように流れ、充填していくかを可視化することができます。 また、充填完
了後の凝固過程もシミュレーションできます。さまざまな鋳造欠陥の発生が予測可能となり、最適
な鋳造方案をコンピュータ上で決定できます。
3 次元 CAD データ(STL)を独自のインターフェイスで取込むことで、短時間に簡単に解析モデ
ルを作成することができます。
図1
JSCAST を用いた鋳造法案の決定
より科学的に鋳造方案を策定でき試作回数を減らす事が可能です。したがって、試作費用の節減
や製作期間の短縮が期待でき、また現行量産品の更なる品質向上・原価低減活動に対しても応用で
きます。現在、その効果を最大限活用すべく、その手法をマスター中であります。
AEW 第 34 号
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2.特徴
「重量計算システム」、
「2 次元・3 次元 CAD インターフェイス
・ 「湯流れ・凝固解析システム」、
システム」 からなるソフトです。
・ コンピュータ画面上で鋳造方案の妥当性が検討可能です。
・ 製品部と方案部が別のデータとなっているものでもプリ・プロセッサにて結合が可能です。
・ 積み木方式による形状編集機能を有する。
・ 次のような効果が期待できます。
1. 試作回数の低減による試作費節減
2. 試作期間の短縮
3. 現行 量産品の品質向上および原価見積り工数低減
4. 省エネルギー
5. 鋳造方案技術の蓄積・伝承
・ 多岐にわたる結果表示により、さまざまな角度からの検証が可能です。
等凝固時間曲線、温度分布表示、速度ベクトル表示 、充填時間表示
3.解析適用範囲
a.材質・材料
鋳鋼、ねずみ鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄、ステンレス鋼、アルミ合金、銅合金、マグネシウム合金、
各種純金属など
b.鋳型・金型
生砂型、CO2 型、シェル型、金型、セラミックス型など
c.鋳造プロセス
砂型鋳造、シェルモールド、金型鋳造、ダイカスト鋳造、精密鋳造、傾斜鋳造、
減圧(真空)鋳造、チクソキャスト、歯科鋳造など
4.解析事例
弊社製品適用事例を下図に示す。
ヒケ予測
図2
図3
注湯終了時温度予測図
ヒケ巣予測図
(あるパラメータを最適値より小さくした例)
AEW 第 34 号
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