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英仏のラテン語辞書に見る onomatopoeia
英仏のラテン語辞書に見る onomatopoeia(水谷) 英仏のラテン語辞書に見る onomatopoeia 水 谷 智 洋 はじめに 筆者はこの春(2009 年 3 月) 、念願の『羅和辞典』(研究社)の改訂版 を世に送り出すことができたが、それまでの 10 余年は、辞書──主に、 P. G. W. Glare(ed.) ,Oxford Latin Dictionary(Oxford, 1968─82)(以 下、OLD)お よ び Félix Gaffiot(ed.) , Le Grand Gaffiot Dictionnaire Latin-Français(Paris, 2000) (以下、Gaf)とラテン語の text を眺めて 暮らす毎日であった。その間、いつ頃だったか、語源欄に[onomat.] (=onomatopoeic(ally) ) (OLD) 、 (onomat.) (=onomatopée)(Gaf) と記してある見出し語に興味を覚えるようになった。そして時折、カード に取ったりしていたが、今度、時間にゆとりができたのを機に、それを exhaustive なものにしてみようと思い立ち、両辞書を改めて A から Z ま で見直してみた。その結果が本稿という訳である。 ところで、そのリスト本体を提示するに先立って、両辞書で見出し語 onomatopoeia を見ておこう。本稿とかかわりを持つ事象がそこに見出さ れるからである。 まず、OLD──採録する語の下限をおおむね後 200 年頃に置いている ──は、その唯一の用例として Quint. Inst. 8. 6. 31 を挙げ、‘The coining 1 英仏のラテン語辞書に見る onomatopoeia(水谷) of words’ の語義を与えている。たしかに、ギリシア語 ὀνοματοποιία をロー マ字に直しただけのこの語の意味は、その通りである。しかしこれではあ まりに素っ気ないので、Quintilianus, Institutio Oratoria『弁論術教程』 の該当箇所を見てみよう。‘onomatopoeia quidem, id est fictio nominis, Graecis inter maximas habita virtutes, nobis vix permittitur, et sunt plurima ita posita ab iis, qui sermonem primi fecerant aptantes adfectibus vocem. nam mugitus et sibilus et murmur inde venerunt.’ つ まり、1 世紀の修辞学者は、aptantes adfectibus vocem という仕方でつ く ら れ た onomatopoeia の 例 と し て、mugitus、sibilus、murmur の 3 語を挙げるのであるが、OLD は、この 3 語のうち、sibilus、murmur に ついては onomat. とするものの、mugitus は然らずと判定するのである。 一 方、1934 年 の 初 版 ま え が き で、‘3° Le dictionnaire embrasse toute la latinité … de la Loi des Douze Tables aux auteurs du Digeste’(頁 数 の記載なし)といいながらも、実際には Beda Venerabilis(735 年没)を も 採って い る Gaf は、onomatopoeia の 項 で、不 思 議 な こ と に Quintilianus を無視し、‘onomatopée[rhét.] : Char. 274. 24’ とのみ記し ている 1)。ここでも素っ気なさの補いに該当箇所をのぞいてみると、4 世 紀の文法家 Charisius の記述はこうである。‘onomatopoeia est dictio ad imitandum sonum vocis confusae ficta, ut cum dicimus hinnire equos, balare oves, stridere valvas et cetera his similia.’ や は り、 onomatopoeia の 例 と し て 3 語 が 挙 がって い る が、Gaf は、先 の Quintilianus の 3 語については、murmur のみを onomat. と認める一方 で、Charisius の hinnire、balare、stridere に つ い て は、前 2 者 は onomat. とするものの、stridere は express.(=expressif)と判定する のである(ちなみに、OLD では、Charisius の 3 語とも onomat.)。 では、expressif な語とはいかなる語か。しかし、この辞書はなにも説 明しない。そこでわれわれは、たとえば papillio「蝶」、papula「吹き出 物」などもその仲間であるということから、Gaf のいう expressif の意味 2 英仏のラテン語辞書に見る onomatopoeia(水谷) するところを漠然と想像する他はないのである。また、上記の 6 語以外に 目を転ずると、cuculus「カッコウ」を Gaf は onomat. とするのに対し て、OLD は imitative と断ずる。もう一例、OLD のいう imitative な語 を挙げると、garrio「ペチャクチャおしゃべりする」があり、Gaf もこれ は onomat. と は せ ず、express. と 判 定 し て い る。し か し な が ら、で は onomat. と imitative はどう異なるかといえば、これまた明確な説明が与 えられそうにはないのである。 このように、あるいは onomatopoeia かと目される語に対する英仏両 辞書の判断は、(1)一致して然りとする、 (2)微妙にずれる、(3)予期に 反して両者とも onomat. の判断を下さない、の 3 通りがある。そこで筆 者は、(1)は無論のこと、 (2)の場合でも、少なくとも一方の辞書がその 語源欄に onomat., onomatopée, onomatopoeic の文字を記している語を 残らず拾い上げてみたのである。 さて、この作業によって判明したことは、onomatopoeia に対する考え 方は、英仏の辞書の間でかなりのへだたりがあるという事実である。一例 を挙げれば、bebo「 (仔山羊が)鳴く」を Gaf が onomat. とするのに対 して、OLD はそこまで踏みこまない。反対に、crispio「(メンドリが) コッコッと鳴く」を OLD が然りとする一方で、Gaf は何も言わない。い ずれも Suetonius の断片のみに見える、いかにも onomatopoeia らしい 2 語であるにもかかわらず、この有り様である。どうやら、ラテン語の onomatopoeia については、まだ再考の余地がありそうである。それに、 これは全く次元の異なる話ではあるが、以下のリストのように、多数の onomatopoeia を列挙した文献は、おそらく皆無ではないにしても、そう 簡単には見られないのではないかと思われる 2)。 そんなこんなで、筆者 のささやかな骨折りも、将来、同学の士の研究のたたき台として、少しは お役に立つこともあろうか、と期待されるのである。 3 英仏のラテン語辞書に見る onomatopoeia(水谷) ラテン語 onomatopoeia 一覧表 ☆ 番号の右肩の*は該当の語が 200 年頃以降の語であることを示す。出典の 右肩の*も、200 年頃以降のものであることを示す。 ☆☆ ○は語源欄に onomat. の記載があることを示す。それに修飾語等が付い ている場合はそのまま引用する。onomat. の記載がない場合は×。−は該 当の語が採録されていないことを示す。 ☆☆☆ j, v を用いる。 1 2* 3* 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 4 A acrēdula -ae, f arsō -āre, intr B babiō -īre, intr balbus -a-um, adj bālō -āre, intr barriō -īre, intr bāsium -ī, n baubor -ārī, intr bēbō -āre, intr bilbiō -īre, intr4) blaesus -a-um, adj blandus -a-um, adj blaterō, blatterō -āre, intr blatta -ae, f borriō -īre, intr būbō -ōnis, m bucca -ae, f OLD Gaf × onomat.? (鶴が) 鳴く — ○ Isid* 自慢する — ○ Gloss* どもる ○ ○ Cic, Hor et al. (羊が) 鳴く ○ ○ Varr, Ov et al. (象がラッパのよう な声で) 吼える × ○ Suet fr, Paul Fest × ○ Catul, Petr et al. (犬が) 吠える × ○ Lucr, Suet fr (仔山羊が) 鳴く × ○ Suet fr (液体が容器の口 から) どくどく流れ 出る × ○ Naev 未詳の獣または鳥 3) 接吻 Cic, Isid* 舌たらずに発音する × ○ Ov, Mart et al. 機嫌を取る、こび へつらう × ○ Plaut, Cic et al. べちゃくちゃしゃべる、 (雄羊・ラクダが) 鳴く ○ ○ Gell, Suet fr et al. ○ Verg, Hor et al. ○ Apul ゴキブリ・イガなど × の昆虫 (蟻が) うじゃうじゃ perh. of onomat. 群がる origin ワシミミズク ○ ○ Varr, Verg et al. 頬、口 ○ ○ Plaut, Cic et al. 英仏のラテン語辞書に見る onomatopoeia(水谷) 18 19 20* 21 22 23* 24 25 26 27 28 29 30* 31 būfō -ōnis, m būteō -ōnis, m būtiō -ōnis, m C cachinnō -āre, intr cachinnnus -ī, m cacillō -āre, intr cauriō -īre, intr cicāda -ae, f Cicirrus -ī, m cicōnia -ae, f cicuma -ae, f coaxō -āre, intr coccus -ī, m coco coco interj cornix -īcis, f corvus -ī, m ̌turnix cō -īcis, f OLD Gaf ヒキガエル × ○ Verg タカ (鷹) の一種 ○ ○ Plin, Paul Fest 同上 — ○ Anth* 大声で笑う ○ × Cic, Lucr et al. 大笑い × ○ Lucil, Cic et al. (メンドリが) コッコ ッと鳴く — ○ Anth* (豹が) 吼える ○ ○ Suet fr, Philom*5) セミ × ○ Verg, Suet fr et al. キキッルス (人名: 原義「オンドリ」 ) — ○ Hor コウノトリ × ○ Plaut, Varr et al. フクロウ × ○ Paul Fest × ○ Suet Aug; fr — ○ Lex Salica* Petr (蛙が) ケロケロと 鳴く オンドリ コケコッコー (オン ドリの鳴き声) ○ ○ prob. orig. onomatopoeic express. Lucr, Ov et al. prob. onomat. × Hor, Ov et al. orig. prob. imitative ○ Varr, Lucr et al. 35* cra — ○ Prisc* 36 ○ express. ○ × Suet fr ○ ○ Plaut, Apul ○ ○ Suet fr imitative ○ Varr, Suet fr et al. ○ ○ Suet fr, Philom7) 32 33 34 37 38 39 40 41 カラス 同上 ウズラ カー (カラスの鳴き 声) crepō, ガラガラ (カタカタ、 -āre, intr キーキー) 音がする crispiō, (メンドリが) コッコ -āre, intr ッと鳴く カーと鳴 crocciō, grocciō, (カラスが) く -īre, intr 6) crotolō, (コウノトリが) 鳴く -āre, intr cucūlus, カッコウ -ī, m cuccubiō, (フクロウが) ホーホ -īre, intr ーと鳴く Plaut, Varr et al. 5 英仏のラテン語辞書に見る onomatopoeia(水谷) 42 43 44 45* 46* 47 48 49* 50 51 52 53 54* 55 56 57 58* 59 60 61 62 63* 6 cucurriō, -īre, intr D desticō, -āre, intr drindrō, -āre, intr F frigulō, -āre, intr frindiō, -īre, intr fringilla -ae, f fringillus -ī, m fringuliō -īre, intr frisiō -ōnis, m frit indecl n fritillus -ī, m fritinniō -īre, intr fū interj fūfae interj G gavia -ae, f gingriō -īre, intr glattiō -īre, intr glauciō -īre, intr glicciō -īre, intr glocidō -āre, intr glōciō -īre, intr gluttiō -īre, intr graccitō, grācitō -āre, intr OLD Gaf (オンドリが) コケコ ッコーと鳴く ○ × Suet fr (トガリネズミが) 鳴く × ○ Suet fr, Anth* (イタチが) 鳴く ○ × Suet fr, Philom*8) (カケスが) 鳴く — ○ Philom* (ツグミが) 鳴く — ○ Gloss* [鳥]アトリ ○ × Varr, Mart et al. (コクマルガラス が) 鳴く ○ × Suet fr [鳥]シメ — ○ Plin-Val* perh. onomat. × Plaut, Varr ○ ○ Sen, Mart et al. ○ ○ Varr, Suet fr おお、いやだ! — ○ Plaut ちぇっ! — ○ Char* 小さな穀粒 さい筒 (さいを入れ て振り出す円筒) (小鳥が) さえず る; (セミが) 鳴く app. onomat. express. Plin, Apul (ガチョウが) ガー ガー鳴く ○ ○ Paul Fest (仔犬が) 鳴く ○ ○ Suet fr (羊・山羊が) 鳴く — ○ Physiogn* ○ ○ Suet fr ○ ○ Paul Fest 同上 — ○ Col 同上 ○ — Col, Paul Fest — ○ Anth* [鳥]アジサシ (ガチョウが) ガー ガー鳴く (メンドリが卵を抱く とき) コッコッと鳴く (ガチョウが) ガー ガー鳴く 英仏のラテン語辞書に見る onomatopoeia(水谷) 64 65 66 67 68 69 70* 71 72 73* 74* 75 76 77 78 79* 80 81 82 83 84 85 86 grāculus, grāgulus コクマルガラス -ī, m grillus, gryllus バッタ、コオロギ -ī, m grundiō, grunniō (豚が) ブーブー鳴く -īre, intr grūs, gruis 鶴 -uis, f H hinniō (馬が) ヒーンとい -īre, intr ななく hippacō (馬が) 鼻あらしを -āre, intr 吹く hircō (山猫が) 鳴く -āre, intr hirriō (犬が) 唸る -īre, intr hirundō ツバメ -inis, f hittiō (仔犬が) 鳴く -īre, intr hoe ホホ (笑い声) hui えっ、おやおや (驚 interj きを表す) I iugō (トビが) ピーヒョロ -ere, intr 鳴く L lallō 子守歌を歌う -āre, intr lātrō (犬が) ワンワン吠 -āre, intr える lipiō (トビが) ピーヒョロ -īre, intr 鳴く lupiō 同上 -īre, intr M micciō (山羊が) メーメー -īre, intr 鳴く mintriō (ネズミが) チューチ -īre, intr ュー鳴く minurriō (小鳥が) さえずる -īre, intr ムー (口がきけない mū 人の発する音声) mūgilō (野生のロバが) 鳴 -āre, intr く mūgiō (牛が) モーと鳴く -īre, intr OLD Gaf ○ ○ Varr, Ov et al. × ○ Dirae, Plin ○ ○ Varr, Suet fr et al. ○ ○ Cic, Verg et al. ○ ○ Varr, Suet fr et al. × ○ Paul Fest — ○ Anth* ○ ○ Paul Fest, Sid* ○ × Verg, Suet fr et al. — ○ Gloss* — ○ Char*, Prisc* ○ × Plaut, Cic et al. ○ ○ Varr, Paul Fest Child’s word ○ Pers, Hier* × ○ Cic, Ov et al. — ○ Philom* ○ ○ Suet fr, Anth* ○ ○ Suet fr, Philom* ○ × Suet fr, Philom* ○ ○ Suet fr, Sid* ○ ○ Enn, Petr et al. ○ ○ Suet fr, Anth* × ○ Liv, Juv et al. 7 英仏のラテン語辞書に見る onomatopoeia(水谷) 87 88* 89 90 91 92 93 94 95* 96 97 98 99 100 101 102 103* 104 105 106 107 8 murmur -uris, n murriō -īre, intr mussō -āre, intr mutmut indecl n muttiō -īre, intr mūtus -a-um, adj N nēnia,naenia -ae, f O oncō -āre, intr P paparus -ī, m papāver -eris, n passitō -āre, intr paupulō -āre, intr pīca -ae, f pilpītō -āre, intr pīpilō -āre, intr pīpiō -āre,-īre, intr pīpiō -āre, intr pīpō -āre, intr plīpiō -āre, intr prox interj pulpō -āre, intr OLD Gaf ○ ○ Pac, Cic et al. — ○ Gloss* つぶやく、ささやく × ○ Verg, Liv et al. ブツブツ言うこと ○ ○ Apul ○ × Plaut, Ter et al. ○ × Cic, Liv et al. 挽歌、呪文 ○ × Cic, Hor et al. (ロバが) 鳴く ○ × Suet fr ガチョウの雛 — ○ Orib* × ○ Catul, Verg et al. prob. onomat. ○ Suet fr, Philom* (雄のクジャクが) 鳴く × ○ Suet fr, Philom9) カケス、カササギ × ○ Ov, Plin et al. — ○ Suet fr — ○ Catul ○ — Catul, Col (赤ん坊が) 泣く — ○ Tert* (メンドリが) 鳴く、 (ヒヨコが) ピヨピヨ 鳴く ○ ○ Varr (タカが) 鳴く ○ ○ Suet fr ○ × Plaut ○ ○ Suet fr, Philom* (海・動物・虫な どが発する鈍い響 きの音) (ネズミが) チューチ ュー鳴く つぶやく、ブツブ ツ言う (動物が) 物を言わ ない、 (人が) 口が きけない [植]ケシ (ムクドリが) 鳴く (ハツカネズミが) 鳴く (スズメが) ピーピー 鳴く (スズメ・ヒヨコが) ピーピー鳴く プー (おなら) (ハゲワシが) 鳴く 英仏のラテン語辞書に見る onomatopoeia(水谷) 108 109 110 111 112 113 114 115* 116 117 118 119 120 121 122 123 pūpillō -āre, intr Q quaxō -āre, intr quirītō -āre, intr quīrītō -āre, intr R rāna -ae, f rancō -āre, intr ravis -is, f rictō -āre, intr rūgiō -īre, intr S sclingō -ere, intr scloppus, stloppus -ī, m sībilus -ī, m soccitō -āre, intr st interj strīdō -ere, strīdeō -ēre, intr susurrus -ī, m T OLD Gaf — ○ Suet fr, Philom* ○ × Fest × ○ Varr, Liv et al. ○ × Suet fr, Philom* × onomat.? Varr, Verg et al. ○ ○ Suet fr × ○ Plaut, Apul et al. (豹が) 吼える — ○ Spart* (ライオンが) 吼え る; (雄鹿が) 鳴く ○ express. ○ ○ Suet fr ○ ○ Pers ○ × Liv, Col et al. (ツグミが) 鳴く ○ ○ Suet fr 静かに、しっ × ○ Plaut, Cic et al. ○ express. Lucr, Verg et al ○ × Plaut, Hor et al. (雄のクジャクが) 鳴く (蛙が) クァックァッ 鳴く 市民に訴える、助 けを呼ぶ (豚・猪が) 唸る 蛙 (虎が) 吼える 声がしゃがれるこ と (ガチョウが) ガー ガー鳴く プッ (頬をふくらま せてから急に開く ときの音) シューシューいう音 キーキーと音をた てる、甲高い声 (音) を出す ささやき、 つぶやき 124 taratantara トテチテター 125 tat トントン 126 tax pax ピシッ、パシッ wd. coined to represent the sound of a tuba wd. used to imitate the sound of knocking at a door — Suet fr, Spart* et al onomatopée destinée à imiter Enn le bruit de la trompette ○ Plaut onomatopée qui marque le bruit Naev des coups 9 英仏のラテン語辞書に見る onomatopoeia(水谷) 127* 128 129 130* 131 132 133 134 135 136* 137* tetrinniō -īre, intr tetrissitō -āre, intr tinniō -īre, intr tinnipō -āre, intr tintin (n) ō -āre, tintin (n) iō -īre, intr tītillō -āre, intr titiō -āre, intr titiunculus -ī, m titubō -āre, intr titus -ī, m trinniō -īre, intr 138 trit 139 trittilis -is, m10) 140 trucilō -āre, intr 141 tū 142* 143 144* 145 146 147 148 149 10 tucus -ī, m turtur -uris, m tutudō -āre, intr tux tax U ululō -āre, intr uncō -āre, intr upupa -ae, f urcō -āre, intr (アヒルが) クワック ワッと鳴く OLD Gaf — ○ Philom* ○ × Suet fr (鈴・鐘などが) チ リンチリン (カンカ ン) 鳴る ○ ○ Plaut, Cic et al. (オジロワシが) 鳴く — ○ Anth* ガラガラ (ブンブン) という音がする × ○ Naev, Catul et al. コチョコチョくすぐる ○ × Lucr, Cic et al. (スズメが) チュンチ ュン鳴く ○ ○ Suet fr [鳥] チョウゲンボウ × ○ Col, Gloss* (酔って) フラフラ歩く ○ × Hor, Liv et al. — ○ Isid* — ○ Anth* ○ ○ Naev ○ ○ Sueius ○ ○ Suet fr, Anth* ホー (フクロウの鳴 き声) — ○ Plaut カッコウ — ○ Isid* キジバト ○ ○ Varr, Verg et al. — ○ Philom* ○ ○ Plaut (犬・狼などが) 吠 える ○ ○ Verg, Ov et al. (熊が) 唸る ○ ○ Suet fr, Philom* [鳥]ヤツガシラ ○ ○ Varr, Plin (オオヤマネコが) 吠える ○ ○ Suet fr, Anth* 同上 山鳩 (雄のガチョウが) ガーガー鳴く おならの音 (OLD) ;ハツカネ ズミの鳴き声 (Gaf) (鳥のように) ペチ ャクチャおしゃべり する人 (ツグミが) 鳴く (フクロウが) ホーホ ーと鳴く ピシッ パシッ 英仏のラテン語辞書に見る onomatopoeia(水谷) OLD Gaf ○ expr. Cic, Suet fr et al. × ○ Plaut, Ter et al. × ○ Plin 歓喜の声をあげる × ○ Naev, Plaut et al. 蚊 — ○ Cassiod*, Gloss* (小鳥が) さえずる — ○ Anth* (ツグミが) 鳴く ○ ○ Suet fr, Anth* V 150 vāgiō -īre, intr 151 vāh interj 152 153 154* 155* 156 vibiō, vipiō -ōnis, m11) vītulor -ārī, intr Z zinzala -ae, f zinzilulō -āre, intr zinziō,zinzitō -āre, intr12) (赤ん坊が) 泣く; (仔山羊・野兔が) 鳴く ああ、おお (驚き・ 怒り・喜びなどを 表す) (小型の) 鶴 11 英仏のラテン語辞書に見る onomatopoeia(水谷) 注 1) 274. 24 は、H. Keil(ed.) , Grammatici Latini, Vol. I, Charisius(1857, rep. Hildesheim, 1961)の頁数と行数。本文での引用は同頁の 24─25 行。 2) 一般に「 [言語]擬音[声]語」 ( 『研究社 新英和大辞典』 (第 6 版、2002 年、 s. v. onomatopoeia 2)の意の onomatopoeia については、ラテン語の文法書は ほとんど無関心で、筆者がのぞき見した範囲内では、Fr. Neue, Formenlehre der lateinischen Sprache, 2.Bd.(1892, rep. Hildesheim, 1985) , SS. 997─99 お よ び R. Kühner-Fr. Holzweissig, Ausführliche Grammatik der lateinischen Sprache, Ester Teil: Elementar-, Formen- und Wortlehre(1912, rep. Darmstadt, 1966) , S. 943 に、Naturlaute の例として 10 語程度が挙げられてい るのみである。しかしながら、更に多数の語をリスト・アップした文献が皆無で あると断言する自信は、到底、筆者にない。なお、 「 [修辞]声喩法」 ( 『新英和大 辞 典』 同 項 3) の 意 の onomatopoeia に つ い て は、Leumann-HoffmannSzantyr, Lateinische Grammatik, 2. Bd.: Syntax und Stilistik(München, 1965) の Lautmalerei(SS. 712─14) の 項 を 参 照。 ご く 簡 単 に は、C. E. Bennett, New Latin Grammar(1908, rep. Wauconda, 1994) , p. 250 に Figures of Rhetoric の ‘4. Onomatopoeia is the suiting of sound to sense.’ と し て、 Verg. Aen. 8. 596 が引かれている。 3) Gaf は Isid の「蛙の一種」をも引いている。 4) OLD の見出し語は bilbit。 5) Gaf は Philom のみを引く。 6) Gaf の見出し語は crōciō で、Plaut のみを引く。 7) 8) 9) Gaf は Philom のみを引く。 10) 筆者はこの語を adj とする Gaf の見解を採らない。また、出典としている Suet は Suei の誤りである。なお、OLD は見出し語 trittilis の前に ? を付して いる。 11) Gaf は vipiō を主見出しにしている。 12) OLD の見出し語は zinziō のみ。 (哲学科 非常勤講師) [追記]本稿作成にあたっては、久保寺紀江さん(大学院人文科学研究科美術史学 専攻助教)の一方ならぬ御助力を仰ぎました。ここに厚く御礼を申し上げる次第 です。 12