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AXS樹脂 「ダイヤラック®」 最近の進歩と用途

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AXS樹脂 「ダイヤラック®」 最近の進歩と用途
AXS樹脂 「ダイヤラック®」 最近の進歩と用途
UMG ABS㈱は2002年4月宇部サイコ
ン㈱と三菱レイヨン㈱のABS事業部が統合し
て新たに設立されたABS樹脂系材料の製造・販
売を専業とする企業です。統合前から両社ともに、
特殊化・機能化材料の開発・販売に注力していて、
統合により一層の高機能化へ向けて開発を集中
させました。高機能化への1つの柱が「ダイヤラ
ック®」の商標で販売される耐候性・長期信頼性
に優れる[AXS樹脂]です。UMG ABS㈱
ではお客様のご要望に合致したソリューション
の提供を目指し、そのひとつとして環境に調和し
た技術・製品の開発に取り組み、
「マテリアルリ
サイクル」も会社方針として取り上げ、具体的な
成果へと結びつけることが出来ています。技術・
研究部門では、リサイクルを前提とした新しい樹
脂の事業形態「レンタルマテリアル」の確立を夢
として、
「AXS樹脂」開発に注力しています。
ここではAXS樹脂とその用途を提案いたしま
す。
UMG ABS 株式会社
http://www.umgabs.co.jp/
善を行い厳しい市場の要求に対応してきていま
す。このようにABS樹脂の概念は開発当時に比
較し、極めて拡大し、ゴム成分を変更した樹脂も
ABS樹脂の一部として包括的に取り扱う動き
さえもあります。
ここでは、
「AXS樹脂」を、ゴム質重合体とし
てブタジエンゴム以外のゴム成分を主成分とし、
特殊化されたスチレン系・アクリル系共重合体の
機能化複合樹脂として取り上げています。すなわ
ち、広義なABS樹脂のブタジエンゴムを意味す
る[B]を異なるゴム成分[X]に置き換えた樹
脂として定義されます。UMG ABS㈱の製品
としては「ダイヤラック®」の商標で販売される
下記タイプを揃えています。
Aタイプ (ASA樹脂系)
・アクリルゴムを主成分とする
・耐候性、良好な耐薬品性が要求される製品へ
Eタイプ (AES樹脂系)
1.AXS樹脂とは
ABS樹脂はブタジエンゴムとスチレン・アク
リロニトリルを共重合した高性能樹脂として登
場し、既に半世紀が経過しました。ABS樹脂の
優れた加工成形性、良好な外観、バランスの取れ
た物性を兼ね備えた汎用エンプラとして需要も
拡大し、世界中では約600万トンの生産能力に
まで成長しています。ABS樹脂の用途拡大を成
功させた1つの大きな要因は、グレード設計の自
由度の高さにあります。もともとはHIPSと同
様にAS共重合体の衝撃強度改良として開発さ
れたABS樹脂ですが、実際にはAS共重合体の
範疇から飛躍し、性能の大幅革新を行なってきて
います。
例えば、耐熱特性においては、一般的ABS樹
脂の耐熱性は90℃程度ですが、スチレンよりも
耐熱性の高いαメチルスチレンの導入により1
20℃、更にそれよりも耐熱性の向上効果の高い
イミド系モノマーの導入によりポリカーボネー
ト樹脂の領域にまで耐熱性を向上しています。又、
難燃化・遅燃化の要求には、塩ビブレンドからハ
ロゲン置換スチレンの導入や難燃剤のブレンド
と設計領域を拡大することで、成形性・性能の改
UMG ABS®
DIALAC®
BULKSAM®
・EPDMゴムを主成分とする
・摺動性、衝撃強度、又 高耐熱性の要求され
る製品へ
Sタイプ (SAS樹脂系)
・シリコンゴムを複合したアクリルゴムを
主成分とする
・漆黒調、特殊外観、衝撃強度の要求される
製品へ
Mタイプ (透明樹脂)
・アクリル系複合ゴムを主成分とする
・透明性、高発色性の要求される製品へ
それぞれ各種AXS樹脂が持つ得意な特徴を活
かしたグレードを、お客さまのご要望に合わせて、
幅広く品揃えしています。
UMG ALLOY®
UMG ABS 株式会社
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2-1-2 住宅・設備用途
Aタイプの持つ耐薬品性の優れた特性を活かし、
耐洗剤性の必要なトイレタリー製品へ採用が進め
2「ダイヤラック®」の特徴と用途例
ダイヤラック®各種のタイプとその特徴を活用
した用途例や新しい用途の提案をいたします。
2−1 ダイヤラック® Aタイプ
ASA樹脂系のAタイプの特徴は良好な耐候性
に加え、ABS樹脂と比較して耐薬品性に優れ、
洗剤や各種化学薬品によるケミカルストレスクラ
ックを起こし難くなっています。そのため、耐候
性や耐薬品性を必要とする用途・製品へ広く使用
されている事は周知の通りです。
温水暖房便座基盤
2-1-1 冷蔵庫用途
Aタイプの押し出しグレードは、良好な耐薬品
性に加え、優れた真空成形性を有することから当
成形技術で加工される冷蔵庫内箱へ用いられてい
ます。断熱材として用いられる硬質発泡ポリウレ
タンの発泡剤はABS樹脂へのアタック性を示し
ます。炭化水素であるシクロペンタンは一般AB
S樹脂でも良好な限界歪を示すものの、断熱効率
の高い代替フロンや次世代フロンはABS樹脂へ
の強いアタック性を示すことから、耐薬品対策が
必須となっています。Aタイプはこれら発泡剤や、
各種洗剤・家庭で使用される各種食品に対しても
優れた耐薬品性を有しています。
られています。
さらに難燃性
を付与したグ
レードが開発
され、樹脂への
アタック性の
強い各種洗剤
や薬品との接
触が懸念され
るトイレタリ
ー製品へも採
用されていま
す。
クーラー背面パネル
電気冷蔵庫内箱・外装トリム
UMG ABS®
DIALAC®
BULKSAM®
組みたてパイプ台車
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2−1-3 軟質 ダイヤラック®
ASA樹脂は不飽和2重結合が無いため、5
0%以上の高ゴム含有レジンでのコンパウンド・
成形が容易であり、可塑剤の添加を行なわなくて
も、ある程度の軟質化が可能です。
「ダイヤラック
® SV10、SV15」は軟質表皮材として成形
の自由度が高く、節を持つ竹に近似した異形押し
出し製品に採用されています。
異形押出し竹
又優れたパリソン安定性と軟質性を持つので、ジ
ャバラ構造を持ったブロー成形品や3次元ブロー
製品で、今までにない変形を前提とした部材を作
成することが出来ます。
「ダイヤラック® SV10」は優れた耐候性・耐
薬品性を有すると共に、一般ABS樹脂に比較し、
はるかに高い振動減衰特性を持ち、打音や水流音
を柔らかくする効果もあります。
2-2 ダイヤラック® Eタイプ
AES樹脂系のEタイプはUMG ABS㈱が
EPDMをベースとした独自の重合技術によって
完成した耐候、衝撃強度に優れた特殊AES樹脂
です。
2-2-1摺動性用途
Eタイプは耐候性、衝撃強度に優れるとともに、
独特の製造方法に由来する極めて良好な摺動特性
を持ち、良好な耐摩耗性と低摩擦係数を長期間安
定して発揮します。
従来は、POMやナイロンの摺動グレード、又
はフッ素処理やグリース塗布が行なわれていまし
たが「ダイヤラック® ESA20」は自己潤滑
性グレードとしての機能を持つため、シリコン系
潤滑材などの添加剤の配合を行なうことなく、高
度の摺動性を発揮するので、摺動添加剤のブリー
ドによる印刷不良等の問題や、経時的な特性変化
が少ないことが特徴です。又、各種樹脂との擦れ
合う際の摩擦の発生が少なく、
「軋み音」を効率よ
3次元ブローパイプ試作品(エクセル㈱ご提供)
自動車内装レジスター
く防止いたします。
摺動性以外に耐熱性、難燃性、持続性制電特性
などを併せて付与したグレードも採用され、仕様
用途の拡大が行なわれています。
ドレインホース(試作品)
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2- 2-2 無塗装外装用途
車両外装用途への耐候性材料の展開は、塗装表面
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特性に比較し幾つかの品質的な特性からエンボス
加工を行なった黒色部品に限定されていました。
そのひとつは 耐傷付き性です。塗装品の鉛筆硬
度は着色樹脂製品が一般的に「B」クラスである
のに対し、
「2H」と高く、乾布摩擦・ブラシ洗車
時の耐傷付き性が良好な結果を示します。又、耐
候性も着色樹脂では黒色以外では十分な性能を確
保が出来ていませんでした。これらの課題を、耐
摩耗性の優れるダイヤラック® Eタイプの技術
を活用するとともに、耐候性の改善を行った特殊
レジンと長年培ってきた着色技術の融合によって、
鏡面光沢を持つ無塗装外装グレード「ダイヤラッ
ク® WH10」を完成させることができ、世界
で始めて純白のドアミラーとして量産化が成功し
ました。
無塗装ドアミラー(白)
コンバイン引き起こしカバー
UMG ABS®
DIALAC®
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住宅外装部品
2-3 ダイヤラック® Sタイプ
SAS樹脂系のSタイプは屋外用途への樹脂
化・無塗装化、長期信頼性などの高度化する要求
への対策として、耐候性・外観特性・機械的特性
をより高い次元での改善を目的に開発した高機
能特殊タイプです。シリコーンゴムは−90℃の
脆化温度を持つ極めて優秀なエラストマーであ
り、低温度での衝撃改質性の他、難燃性、化学的
安定性、耐候性にも優れています。
このようにダイヤラック® Sタイプは優れた
性能を持つシリコーンゴムと特殊アクリルゴムを
複合化・機能化させた複合ゴムを用いて開発した
樹脂となっています。従来のダイヤラックAタイ
プに比較し、シリコーンゴムを併用することで、
低温衝撃強度の改良により、特性を維持した幅広
い分散形態の設計が可能となったり、漆黒調の要
求される車両用途外装部品へ採用されています。
特に近年は、建築内外装の部材やエクステリア
製品に幅広い外観特性を持つ信頼性の高い異形
押し出し材料が求められています。射出成形品で
は金型の表面デザイン・成形条件等で高光沢製品
からエンボス加工した艶消し製品まで幅広く成
型することが出来ますが、異形押し出し成形では、
材料それ自体での外観特性が必要とされるので、
このような要求に対応して、高度な耐候性・衝撃
強度を保持したままで、良好な着色特性・高光沢
特性を持つグレードとしてダイヤラック® E5
59Aが開発されました。
一方、艶消し外観の要求も強く、 ダイヤラッ
UMG ALLOY®
UMG ABS 株式会社
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ク® Sタイプの技術を拡張した新規グラフト成
分の開発により、成形品表面に数ミクロンの微細
な凹凸を形成し、表面光沢20%以下の艶消し外
観を安定的に発現するグレードの開発も行って
います。
エクステリア製品では、自然に調和した外観と
して木目調素材の要求もあり、
木粉含有のダイヤ
ラック®、あわせて木目調の柄だし種材ダイヤラ
ック® は最近の木質感の好みに合った材料とし
て好評を得ています。
2−3 ダイヤラック® Mタイプ
ダイヤラック® Mタイプはアクリル系複合ゴ
び耐薬品性を示しています。
終わりに
「AXS樹脂」の特徴と最近の用途について、弊
社製品 ダイヤラック® の事例を取り上げて、
説明を行なってきました。高機能化と信頼性の向
上を目指して、更なる「ダイヤラック®」の改良
を継続し、お客様に喜ばれる製品の開発をお客様
と共に行なっています。
本編に紹介したダイヤラック®は弊社ホームペー
ジ(URL http://www.umgabs.co.jp)においてさ
らに詳しい特徴の紹介や物性表の提供をしていま
す。
洗濯機上部カバー
200211
ムを含む特殊透明樹脂で従来のSBRを用いた
透明ABS樹脂に比べ、良好な耐候性と透明性及
UMG ABS®
DIALAC®
BULKSAM®
UMG ALLOY®
当社の製品の安全な取り扱いのために、製品安全データシート(MSDS)を必
ず事前にお読み下さい。MSDSが必要なときは当社の営業担当を通じて入
手されご利用ください。
本書に記載された情報は特定の条件に基づいて得られた結果であり、当社材料のご使用によっ
て同じ結果が得られることを保証するものではありません。
また、当社は、当社材料のご使用や、または、当社が提案したいかなる情報のご利用による貴社
製品の品質や安全性を保証するものではありません。 貴社ご自身により貴社製品への適合性
を判断してください。 法規制や工業所有権等にも充分にご注意ください。
http://www.umgabs.co.jp/
本社
営業部
名古屋支店
大阪支店
宇部分室
技術部門
大竹工場
宇部工場
〒104-6591
〒104-6591
〒461-0008
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東京都中央区明石町 8-1 聖路加タワー30F(私書箱 31 号)
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TEL
TEL
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0836-31-1361(代)
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