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こどもの麻酔 - 神奈川県立こども医療センター
麻酔に 麻酔に関する説明 する説明 お子さんが手術を受けるに際して、ご家族は大きな不安を感じていることと思います。当 科ではご家族の不安を少しでも減らし、麻酔に関する理解を深めて頂くよう、この「麻酔 に関する説明」を麻酔科診察前に必ずご一読ください。 ≪安全な 安全な麻酔のために 麻酔のために入院前 のために入院前に 入院前に確認していただくこと 確認していただくこと≫ していただくこと≫ 以下の場合には、安全を優先して手術を延期する場合があります。入院前に必ず主治医 に連絡し指示を受けてください。 ○感染性疾患への濃厚な接触が疑われる(家庭内、学校など) 麻疹や水痘などの方との接触がある場合、お子様に病気がうつってしまっている可能性 があります。 ○体に発疹がある 麻疹や水痘などの伝染性感染症に罹患している可能性があります。 ○二種、三種混合ワクチン、及びインフルエンザワクチンを受けて 2 週間以内である。 あるいは、その他の予防接種を受けて 4 週間以内である。 手術侵襲や麻酔により免疫能が低下するため、生体内で適切な抗体産生がおこらず、ワ クチン接種の効果が不十分となってしまう可能性があります。また、ワクチン接種後の 副反応(発熱や発疹)の増強や、生ワクチンによる感染症を発症する可能性があり ます。 ○風邪を引いている 鼻水や痰などの分泌物が気道につまったり、喉頭痙攣などの合併症がおこりやすく、窒息 する危険性が高まります。手術後には、無気肺(肺の一部がつぶれてしまう事)や肺炎を おこす可能性があります。 症状がなくなってから2週間ほどは、症状がなくても気道の炎症が続いており、気道合併 症の危険性が高くなります。 ○嘔吐、下痢をしている 麻酔中に嘔吐した場合、吐物が気道につまり、肺炎をおこす可能性が高くなります。頻回の嘔 吐、下痢が続いた場合には、体内のミネラルや水分などのバランスが崩れやすくなります。 ○37.5℃以上の発熱がある 体内のどこかで炎症が起こっている可能性があります。今後上気道炎や腸炎などの症状が 出てくる可能性もあります。 ○2 週間以内に喘息の発作があった 気管内挿管や手術中の刺激などにより、麻酔・手術中は喘息の発作が起こりやすい状態に なります。手術前 1 ヶ月の間に喘息発作を起こした場合、手術中に発作がおこる危険性が 高まります。 なお、喘息を合併しているお子さん、また以前にその疑いを指摘されたお子さんは当センター アレルギー科の協力のもと、術前よりそれぞれのお子さんに適した予防処置を取ります。 詳細は主治医にお尋ねください。 ○4 週間以内に痙攣があった 麻酔の入眠時や覚醒時には痙攣が起こりやすくなります。 痙攣の落ち着いている時期の手術をお勧めします。 上記のような症状があっても、緊急手術の場合には手術を行うことの必要性と危険性を十 分検討し、対応しております。 ≪入院から 入院から手術 から手術まで 手術まで≫ まで≫ ○手術前日の 17:00 頃までに担当の麻酔科医がお子さんの入院している病棟に診察および 保護者の方への説明に伺いますので病棟にてお待ち下さい。 ○意識のない麻酔中に嘔吐してしまうと重症の肺炎になることがあります。そのため手術 前には一定の時間食べたり、飲んだりすることを控えていただいています。手術前にお 子さんの年齢に応じて食べ物、飲み物を禁止する時間を病棟看護スタッフへ指示します ので、看護スタッフの指示を必ず守って下さい。 ○手術当日、手術室へ向かう約1時間前にお子さんに鎮静のためのお薬を出すことがあり ます。これは手術室へ向かうお子さんの不安、恐怖をできる限り和らげることを目的と しています。薬の性質上、服用後はふらついたり、眠くなったりしますので、お薬を飲 んだ後はベッドの上で安静を守るようにしてください。このお薬はお子さんの病状、体 調によっては処方ことがあります。 ○予定時間になりましたら、保護者の方、看護スタッフが付き添って手術室入口まで来て いただき、そこで担当麻酔科医、担当手術室スタッフでお子さんをお預かりします。 ≪手術室に 手術室に入室してから 入室してから≫ してから≫ モニター 麻酔で意識のないお子さんの体の状態を把握するために、手術中は数々の器具(モニター) をお子さんの体に装着します。通常のモニターとしては、聴診器、心電図(心臓の動きの 監視) 、血圧計、体温計、尿量測定、血液酸素飽和度(体に十分酸素が行き渡っているかを 監視) 、呼気終末炭酸ガス濃度(十分呼吸ができているかを監視)などがあります。 手術の種類やお子さんの状態により、入眠後に以下のモニターを追加することがあります。 観血的動脈圧モニター 観血的動脈圧モニター 心臓手術、血圧が不安定で血圧の連続の監視が必要な場合、通常の血圧測定が困難 な場合、頻回の血液検査が必要な場合には手または足の動脈に細い管を入れること があります。 中心静脈圧モニター 中心静脈圧モニター 心臓手術、他の手術でも大量の出血が予想される場合、通常の点滴では困難な薬を 投与するとき、緊急時などには首、肩や太ももの付け根から心臓の近くの太い静脈 までカテーテルを入れることがあります。 経食道心臓超音波検査 心臓手術、心臓疾患を合併したお子さんの非心臓手術では、心臓の動きや心臓修復 の程度を評価するために使用します。 麻酔とは 麻酔とは 麻酔とは、痛みを取り除き、血圧や脈拍、呼吸や体温など全身状態を管理し、安全に手術 を行える状態にすることを目的とします。そのため麻酔科医は手術の間、お子さんの傍を 離れることはありません。子供は痛みを除いても手術の間じっとしていることは難しく、 また、手術への不安や恐怖心を軽減するため、局所麻酔単独で手術を行うことはまれで、 特殊な場合を除き全身麻酔を施行します。 全身麻酔について 全身麻酔について <眠るまで> るまで> たいていのお子さんは、始めに口と鼻にマスクをあて、麻酔ガス(吸入麻酔薬)をすって 約1~2分で眠ってしまいます。その後、安全のために点滴をします。多くの場合、麻酔 により自分で呼吸をすることが難しくなるので、口または鼻からのどの奥の気管に細いチ ューブを入れ、そこから酸素や麻酔ガスを投与し、人工呼吸をします。このチューブは眠 ってから入れるので、お子さんが苦痛を感じることはありません。 痛みをとるために、痛み止めの注射を使ったり、座薬を入れたり、伝達麻酔(手術部位を 支配する神経周囲に局所麻酔薬を投与することにより痛みを感じないようにする方法)を 行います。その他、胸部や腹部、下肢の手術では、硬膜外麻酔を併用することもあります。 硬膜外麻酔とは、背骨の中の脊髄神経の近く(硬膜外腔)に局所麻酔薬を投与し、痛みを 感じなくする方法です。手術中の痛みを抑えるだけでなく、細い管を硬膜外腔に入れて手 術後の痛み止めとして使うこともあります(尾骨の近くから行う硬膜外麻酔を仙骨麻酔と いいます) 。 <手術中> 手術中> 手術の間は必要な麻酔薬を適宜追加します。眠っておくためのお薬は手術中入れ続けます ので、手術中に目が覚めてしまうということはほとんど起こりません。 血圧や呼吸の状態をよりよい状態に保つために、麻酔科医が常にそばについています。 <手術が 手術が終わり> わり> 手術が終わって、麻酔薬の投与を中止しますと、自分の呼吸がしっかりとしてきますので、 気管にいれていたチューブを抜いて様子をみます。麻酔の覚め方は、お子さんにより様々 ですが、麻酔から覚めてくる過程で、泣いてしまったり、手足をバタバタしたりと興奮し た状態になる事があります。十分に目が覚めるまで、手術室内の回復室というところで観 察し、安全な状態となってから病棟に帰ります。 <手術後引き 手術後引き続き厳重な 厳重な監視、 監視、管理が 管理が必要な 必要な手術の 手術の場合> 場合> 手術の内容、お子さんの全身状態や麻酔の覚め方によっては、手術終了後も厳重な管理を 必要とする場合があり、ICU または HCU に入室します。全身状態が安定するまで、しばら くの間、麻酔薬で眠ったまま、人工呼吸を続ける場合もあります。 ≪手術後の 手術後の鎮痛について 鎮痛について≫ について≫ 手術後の痛みの軽減をはかるために痛みを和らげる薬を使用します。痛みの程度に応じて 座薬、飲み薬や点滴などを使用しています。 特別な鎮痛方法として以下に挙げるものがあります。 硬膜外持続鎮痛法 手術中の痛みを取るために使用した硬膜外麻酔を全身麻酔からの覚醒後も引き続き使用し ます。手術後の痛みの程度に応じて数日使用します。 PCA( (Patient Controlled Analgesia) )法 痛みを感じたときにお子さまがボタンを押すと、痛みを和らげる薬がお子さんの体格に合 わせた分だけ点滴から注射されます。ボタンは痛いと感じたら何回でも押して構いません。 まれに吐き気、便秘、かゆみ、眠気、呼吸が弱くなる、などがあります。 ≪麻酔、 麻酔、手術に 手術に伴う合併症≫ 合併症≫ 全身麻酔に伴う合併症 一般的に以下のようなものがあります。 ノドの痛み、声のかすれ、歯牙のぐらつき・脱落、口唇や鼻腔からの出血など 術後の嘔気、嘔吐、頭痛など 手術中の体位保持により生じる、四肢の痛みや筋力低下など また、お子さんの体調などにより、喘息発作や喉頭痙攣などがおこりやすい事があります。 稀におこる合併症として、 薬物やラテックスなどのゴム製品によるアレルギー (中には、アナフィラキシーショックという重篤な状態に至ることもあります) 術中大量出血に伴う低血圧(必要と考えられるときは、適宜輸血を行います) 悪性高熱症(体温の異常な上昇と全身の臓器障害) などがあります。 詳しい説明をご希望の場合は遠慮なくお申し付けください。 麻酔補助のため行う処置に伴う合併症 硬膜外麻酔 注射針などによる神経損傷(しびれ、感覚低下、筋力低下) 、注射部位や脊髄周囲の出血 や細菌感染をおこすことがあります 観血的動脈圧モニター 細い管を入れていた動脈部位が腫れる、手の血流が悪くなる、手の神経障害がおこるな どがあります 中心静脈圧モニター 中心静脈への点滴挿入の合併症として、血管の損傷や神経の損傷、胸の中に空気や血液 がたまる(気胸、血胸)などがあります。また、カテーテルの断裂や迷入、感染などが おこることがあります。 経食道心臓超音波検査 消化管損傷、換気困難などを来たすことがあります。 ≪麻酔法の 麻酔法の変更の 変更の可能性、 可能性、麻酔の 麻酔の安全性≫ 安全性≫ 麻酔法は手術前に説明した方法で行うことを原則にしていますが、状況の変化により、よ り安全な麻酔法に変わる可能性があります。 手術には小手術があっても麻酔には小麻酔はありません。どんな手術の麻酔であっても、 お子さんの病状、年齢、栄養状態などによって予測もできないいろいろな合併症が発生す ることがあります。ときには、重篤な合併症によって回復が遅れたり、死亡にいたること も、10 万例に 1 例の割合で実際にはあります。そのため当麻酔科ではすべての手術に複数 の麻酔科医を配し、絶えず観察を行っています。 麻酔・手術中に万が一、不測の事態が起こった場合には可及的速やかに、お子さんにとっ て最善の治療を行います。保護者の方に説明し、同意を得た上で必要な処置・治療を行う ことが基本ですが、緊急時には救命処置を優先させ、事後に説明させていただくこともあ ることをご了解ください。 ≪その他 その他≫ 当センターは地域の小児の基幹病院であると同時に、教育病院、高度先進医療施設として の役割を担っているために、下記の事項についてもご理解、ご了承お願いします。 ○ お子さまから得られた医療情報は、プライバシー保護に十分配慮した上で、学術資料として使用、発 表させていただくことがあります。 ○ 麻酔指導医、専門医または標榜医の1対1の指導、監督の下に、研修医、歯科麻酔科医が麻酔を担当 することがあります。 ○ 新規に開発された薬物の効果、副作用を確認するために臨床治験に施設として参加することがありま す。その場合はあらかじめ説明させていただき、ご協力いただける場合は承諾書に署名をお願いして います。 手術前日に麻酔科医がお子さまの診察に伺いますので、上記のことをご理解の上、さらに 疑問点、心配な点がございましたら、その場で追加説明します。 十分理解していただきましたら、手術のために麻酔を施行する上で必要な麻酔承諾書 麻酔承諾書に署 麻酔承諾書 名をお願い致します。 私たちは全てのこどもたちに安全な麻酔が行えるよう細心の注意を払い、そのための努 力を続けています。 神奈川県立こども 神奈川県立こども医療 こども医療センター 医療センター 麻酔科