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東アジアの不動産投資市場2012 - Nomura Research Institute
東 ジ 東アジアの不動産投資市場 不動産投資市場 2012 日本・中国・韓国・台湾、各市場の着眼点 2012年4月 株式会社野村総合研究所 コンサルティング事業本部 ソウル支店 台北支店 野村綜研( 海)諮詢有限公司 野村綜研(上海)諮詢有限公司 〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-6-5 丸の内北口ビル 不動産投資市場の活性化と透明性の向上を目指して 本資料は情報提供を唯一の目的として作成したもので、投資勧誘を目的として作成したものではありません。本資料は、信頼でき る情報に基づいて作成されていますが、野村総合研究所は、その正確性および完全性に関して責任を負うものではありません。 本資料に記載された意見およびデータは、作成時点における判断・情報であり、予告なく変わる場合があります。このレポートのい かなる部分も一切の権利は野村総合研究所に帰属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断 で複製または転送等を行わないようにお願いいたします。 不動産投資市場に関する野村総合研究所の 研究領域と分析フレームワーク 究領域 析 マクロ経済環境 金融政策・資本市場環境 経済成長率、企業業績、物価、デモグラフィック動向・・・ 政策金利、長期金利、各種規制、政治動向・・・ 賃貸市場 売買市場 (1)不動産の需要 (2)不動産の供給 (5)投資家動向 テナントの床需要はあるか? どうい た業種で増えるか? どういった業種で増えるか? どのエリアの需要が高いか? ・・・ 新たに竣工する面積は? 取り壊される面積は? どのようなアセットに どの程度の投資意欲が あるのか? (6)レンダー動向 (7)セルサイド動向 どのような案件に どのような条件で 融資しうるのか? 誰がどのような アセットの売却を 進めうるのか? (3)空室率の動向 (8)売買成立の可能性 上昇傾向か?下降傾向か? どのような物件の売却が成立し、どのような物件は成立しないのか? (4)賃料水準の動向 (9)キャップレートの動向 賃料は上昇傾向か?下降傾向か?どの水準か? どの程度のキャップレートで売買が成立するのか? 不動産価格は上昇するか?下落するか? 不動産価値の評価 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 2 日本 進展する成熟化と震災からの復興 日本: 中国: 住宅市場、土地市場の概況 韓国: 転機を迎えている韓国の不動産市場 台湾: オフィス、住宅、ホテル市場の概況 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 3 日本 進展する成熟化と震災からの復興 日本: 1.日本のマクロ経済環境 2.日本の不動産投資市場の概況 3.オフィス市場、住宅市場、商業施設市場等の動向 中国: 住宅市場、 中国 住宅市場、土地市場の概況 地市場の概況 韓国: 転機を迎えている韓国の不動産市場 台湾: オフィス、住宅、ホテル市場の概況 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 4 日本のマクロ経済環境 日本の人口は少子高齢化に伴い減少しており、世帯数も今後減少に転じる 人口は2005年を境にピークアウトした。世帯数は現在も増加し続けているが、2015年には減少に転じる見通しである。 人口は2005年を境にピ クアウトした。世帯数は現在も増加し続けているが、2015年には減少に転じる見通しである。 日本の人口と世帯数の推移 人口(千人) 世帯数(千世帯) ←実績 140,000 予測 → 70,000 120,000 60,000 100,000 50,000 80,000 40,000 60,000 30,000 40,000 20,000 20,000 10,000 0 0 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 65歳以上人口 15~64歳人口 0~14歳人口 世帯数 出所:国立人口問題・社会保障研究所、総務省より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 5 日本のマクロ経済環境 日本全体では人口が減少する一方、東京圏には人口が流入し続けている 社会増だけでなく、自然増も依然として続いており、東京圏の人口増、世帯増は長期的に続く見通しである。 1都3県への人口純流入数の推移 Kanagawa 200,000 Tokyo Chiba Saitama Total 150,000 流入 100,000 50,000 0 流出 50 000 ‐50,000 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999 1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991 1990 ‐100,000 出所:住民基本台帳移動報告より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 6 日本のマクロ経済環境 日本の経済成長率は低く、今後の大幅な経済成長は見込めない 主要国の実質GDP成長率の推移 (%) 15.0 ←実績 実績 予測 → China 10.0 India Korea 5.0 US UK Japan 0.0 Japan United States United Kingdom United Kingdom Korea China India ‐5.0 ‐10.0 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 出所:IMFより野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 7 日本のマクロ経済環境 それでも、日本の経済規模は依然として大きく、投資対象として無視し得ない市場である 名目GDPは中国に抜かれ世界第3位となったが、 高成長が続くインドやブラジル、 高成長が続くインドやブラジル、ロシアには2020年時点でも追い付かれない見込みである。 シアには2020年時点でも追い付かれない見込みである。 主要国の名目GDPの推移 (Billion USD) 25,000 ←実績 予測 → US 20,000 China Japan 15,000 United States United Kingdom Korea 10,000 Japan China India 5,000 India UK Korea 0 注: 2016年まではIMF予測、2020年までは2011年~2016年の 成長率(CAGR )が続くと仮定し試算 出所:IMFより野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 8 日本のマクロ経済環境 震災からの復旧は急速に進んでいるが、世界経済減速と円高により企業業績は芳しくない 東日本大震災後の鉱工業生産は、リーマンショックと比較して回復のスピードは速い。 東 本 震災後 鉱 業 産 、 較 回復 。 企業業績は、東日本大震災による落ち込みからは持ち直しつつあるも、欧州の財政危機や米国の消費低迷により外需が弱く、円高の影響も加 わり、本格的な回復には至っていない。 鉱工業生産指数の推移 鉱 業生産指数の推移 経常利益(金融業、保険業除く)の推移 (兆円) 16.0 110 14.0 100 12 0 12.0 全産 業 10.0 90 非製造業 8.0 6.0 80 製造 業 4.0 2.0 70 0.0 ‐2.0 60 ‐6 ‐5 ‐4 ‐3 ‐2 ‐1 0 1 2 東日本大震災(2011年2月=100) 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 リーマンショック(2008年8月=100) 出所:経済産業省より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. ‐4.0 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q CY08 CY08 CY08 CY08 CY09 CY09 CY09 CY09 CY10 CY10 CY10 CY10 CY11 CY11 CY11 全産業 製造業 非製造業 出所:財務省より野村総合研究所作成 9 日本のマクロ経済環境 都市別にみると、東京はGDPと人口の点で世界最大の都市であり続ける 2020年の都市別GDP・人口予測 2020年の 都市別GDP規模 (Billion USD) 1,800 Tokyo New York 1,600 1,400 1,200 1,000 Los Angeles 800 London Mexico City Paris Osaka/Kobe Sao Paulo B Buenos Aires Ai Shanghai Seoul Mumbai Chicago 600 400 200 0 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 2020年の 都市別人口 (千人) 出所:PricewaterhouseCoopers、UNより野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 10 日本の不動産投資市場の概況 日本の不動産投資市場は、世界で2番目に大きく、全世界の約10%を占める 国別に見た投資用不動産の市場規模 アジア・パシフィック地域における投資用不動産の市場規模 アジア パシフィック地域における投資用不動産の市場規模 0 500 1,000 1,500 (US$B) 2,500 2,000 Japan 2,484 China 1,424 Australia 559 South Korea South Korea 415 India 23,879 US$B 271 Singapore 204 g g Hong Kong 98 198 Taiwan 173 Indonesia 155 Thailand 81 Malaysia 73 New Zealand 63 Philippines 39 Vietnam 17 Gulf Cooperation Council 2.0% Latin America 5.8% Asia Pacific 25.8% Europe 36.0% 23,879 US$B US/Canada 30.4% 出所:PwC and ULI “Emerging Trends in Real Estate 2011”, Pramerica Real Estate Investors Research “A Bird‘s Eye View of Global Real Estate Markets: 2011 Update”より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 11 日本の不動産投資市場の概況 2010年の日本における不動産・金融資産と不動産投資市場の概況 金融資産 5,715兆円 投資主体 現金・預金 821兆円 (55%) 1,288兆円 うち 外貨預金 24兆円 うち、外貨預金 不動産資産 2,489兆円 投資対象的資産 伝統4資産:1,824兆円 土地 1,205兆円 建物 1,284兆円 1 284兆円 国内株式(公開株):320兆円 国内債券(公社債等):1,148兆円 外国株式・債券:356兆円 証券化資産規模 約31兆円 (J-REIT 約8兆円) エクィティ ファイナンス イナンス 約12兆円 賃貸住宅 28兆円 その他資産 天然資源 天然資源、 知的財産権等々 民間非金融法人企業 786兆円 19兆円 (2%) 機関投資家 オルタナティブ資産 <収益不動産> 法人保有の 法人保有 賃貸不動産 (住宅除く) 96兆円 52兆円 (3%) 家計 1,488兆円 デッドファイナンス ファイナンス 約20兆円 (NRL 約16兆円) 不動産関連資産 投資信託受益証券:87兆円 債権流動化関連商品:24兆円 (CMBS:約7兆円) 8兆円 (7%) 等 国内未公開株 出資 国内未公開株・出資金 233兆円 兆円 金融派生商品:91兆円 16兆円 (4%) 年金基金 122兆円 保険 373兆円 兆 13兆円 (1%) その他資産 民間金融機関貸出:682兆円 保険・年金準備金、預け金等 592兆円 兆円 (39%) 銀行等 1,523兆円 1 523兆円 出所:国土交通省「平成23年版 土地白書」を参考に、以下の資料を用いて野村総合研究所作成。国土交通省「土地基本調査」「不動産証券化の実態調査」、内閣府「国民経済計算」、総務省「住宅・土地統計調査」、日本銀行「資金循環統計」「証券化 市場の動向調査(2004年5月~2006年3月)」、信託協会「信託の受託概況」、住信基礎研究所「不動産私募ファンドに関する実態調査」、不動産証券化協会「J-REIT市場の概況」、日本証券業協会「証券化市場の動向調査(2006年4月~2011 年1月)」 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 12 日本の不動産投資市場の概況 日本の不動産市場は、1990年前後に、バブルの生成と崩壊を経験している 1980年代後半から1990年代前半にかけて、特に都市部の商業地において、土地価格の急速な上昇と下落が見られた。 長期的な地価の推移 600 500 400 300 200 100 0 Average of Three Categories Commericial Residential Industrial 注1:2000年3月末=100 注2:六大都市とは、東京、横浜、名古屋、京都、大阪そして神戸を意味する 出所:日本不動産研究所「市街地価格指数(六大都市)」より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 13 日本の不動産投資市場の概況 トータルリターンはプラスの水準まで回復し、キャピタルリターンも反転する兆しがある 2009年夏以降、キャピタルリタ 2009年夏以降、キャピタルリターンの下落にも歯止めがかかり、反転する傾向にある。また、リーマンショックの前後を含め、インカムリターンは ンの下落にも歯止めがかかり、反転する傾向にある。また、リ マンショックの前後を含め、インカムリタ ンは 5%の水準で安定を保っている。 日本市場のパフォーマンスの推移 日本市場のパフォ マンスの推移 20.0% 15.0% 10.0% 5.0% 0.0% ‐5.0% ‐10.0% ‐15.0% Total Return Capital Return Income Return 出所:株式会社IPDジャパン Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 14 日本の不動産投資市場の概況 キャップレートは2005年の水準まで再び上昇し、その後は模様眺めの状況が続く 2008年前半まで、日本市場のキャップレ 2008年前半まで、日本市場のキャップレートは低下の一途をたどったが、その後は上昇に転じている。直近では横ばい状態にあり、当面はこの トは低下の 途をたどったが、その後は上昇に転じている。直近では横ばい状態にあり、当面はこの 傾向が継続する可能性が高い。 アセットクラス間、エリア間のキャップレートのスプレッドは大よそ一定に推移している。 日本市場におけるキャップレートの推移 8.0% 7.0% 6.0% 5.0% 4.0% 3.0% オフィス 東京丸の内 オフィス 大阪御堂筋 商業 東京銀座 住宅 東京城南 出所:日本不動産研究所「不動産投資家調査」より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 15 日本の不動産投資市場の概況 レンダーの貸出態度は、震災の影響は特に見られず、若干の回復傾向にある 国内金融機関の貸出態度は徐々に柔軟になりつつあるが、メザニンなどを中心に外資系金融機関による貸出が減少し、LTVは50~70%の水 国内金融機関の貸出態度は徐々に柔軟になり あるが、メザ ンなどを中心に外資系金融機関による貸出が減少し、LTVは50 70%の水 準にある。2005~2007年のLTV95%などの案件はない状況が続いている。 金融機関の不動産業向け貸出態度DIの推移 100 80 60 貸 態度が緩 貸出態度が緩い (緩いという回答が 厳しいを上回る) 40 20 0 ‐20 貸出態度が厳しい (厳しいという回答が 緩いを上回る) ‐40 ‐60 ‐80 ‐100 全て 大企業 中堅企業 中小企業 出所:日本銀行より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 16 日本の不動産投資市場の概況 国内投資家は、不動産投資に対する慎重な姿勢を崩していない 特に、企業年金は不動産投資に対して消極的であり、今後も投資を積極化させる姿勢は感じられない。 企業年金の不動産投融資姿勢の推移 企業年金の不動産投資の実施・検討状況 100% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 90% 80% 70% 2006 44.4% 65 6% 65.6% 74.6% 60% 75.0% 60.4% 67 7% 67.7% 66 2% 66.2% 0.9% 29.1% 2.3% 20% 18.4% 10% 8 8% 8.8% 0% 2006 2.6% 4.2% 6.4% 2.6% 4.0% 3.8% 13.9% 15.4% 23.1% 3.1% 10.3% 18.8% 5.2% 3.2% 6.3% 2007 2008 2009 今後1年間 21.2% 4.1% 15.4% 2006 20.3% 9.1% 39.9% 5.6% 2007 21.0% 2008 21.8% 2.8% 13.6% 12.5% 47.7% 2.3% 14.1% 46.5% 2.4% 11.4% 48.6% 1.9% 0.6% 0.8% 30% 1.4% 63.8% 50% 40% 23.8% 11 8% 11.8% 2007 5.3% 4.6% 2008 4.3% 14.9% 7.1% 8.2% 11.7% 5.3% 2009 2009 30.5% 3.8% 3.8% 今後3~5年間 不動産投融資を拡大する 現在の不動産投融資を維持・継続する 既に実施している 実施したが今はやめている 市場等の変動に応じて拡大・縮小姿勢を変える 不動産投融資は縮小する 実施を検討・研究中 検討したがやめた 検討しておらず今後もしない 無回答 不動産投融資は行わない 出所:国土交通省「不動産投資家アンケート調査」より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 17 オフィス市場 日本の商業用不動産ストックは、約50%が東京圏、大阪圏、名古屋圏に集中している 日本の商業用不動産ストックの地域別割合 地域別事務所着工床面積の推移 (million m2 ) 25,000 東京 16.0% 22,711 Tokyo Area 29 5% 29.5% その他27県 24.0% 20,099 20,000 神奈川 6.0% 15,000 商業用不動産 約8億㎡ 栃木 1.5% 長野 1.6% 13,857 千葉 3.9% 12,262 11,602 1,777 11,337 埼玉 3.7% 宮城 1.8% 1,803 , 10 132 10,132 10,000 3,352 新潟 1.8% 8,699 2,506 茨城 2.1% 8,496 8,369 7,670 6,955 6,880 大阪 8.5% 広島 2.3% 9,001 8,345 8,659 7,852 7,053 6,941 6,350 1,134 959 静岡 2.9% 2 9% 1,803 5,000 8,344 兵庫 3.9% 福岡 4.0% 北海道 4.1% 三重 1.4% 愛知 6.3% 岐阜 1.6% 京都 2.0% 奈良 0.7% Osaka Area 15.1% 1,002 583 838 472 701 651 729 1,028 768 975 751 1,092 654 390 937 934 7,616 1,754 879 664 768 691 1,397 1,029 1,221 1,450 1,354 844 953 835 1,184 4,249 3,798 3,495 3,491 3,921 3,094 3,460 2,934 2,878 2,443 3,019 2,885 2,736 2,4322,452 2,3652,331 2,195 929 838 2,248 0 Nagoya Area 9.2% 注:商業用不動産とは、ここでは、事務所、店舗、百貨店、銀行を意味する。 出所:総務省「平成22年度 固定資産の価格等の概要調書」より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. Tokyo Area Osaka Area Nagoya Area Other Areas 出所:国土交通省「建築着工統計」より野村総合研究所作成 18 オフィス市場 日本の賃貸オフィス市場において、東京都内が56%のシェアを持つ 日本の賃貸可能なオフィスはおよそ8,900万㎡のストックを有する。東京都はそのうち56%(5,000万㎡)を占め、圧倒的な市場規模を持つ。 日本の賃貸可能なオフィスはおよそ8,900万㎡のストックを有する。東京都はそのうち56%(5,000万㎡)を占め、圧倒的な市場規模を持 。 賃貸オフィスビルの地域別シェア 100% 3.9% 90% 2.1% 80% (1 9 milil sq.m)) (1.9 15.3% 70% 60% 1.1% 5.3% (1.0 mil sq.m) 2.2% 5.8% 1.3% 2.8% (2.5 mil sq.m) 2.4% (2.1 mil sq.m) 1.9% (1.7 mil sq.m) (3.4 mil sq.m) (5.2 mil sq.m) (1 1 mil sq.m) (1.1 sq m) Osaka Area 18.6% (13.64 mil sq.m) (1.9 mil sq.m) (4.7 mil sq.m) Major ajo 12 Cities C t es 89.29 mil sq.m 50% 40% 30% Greater Tokyo Area 64.7% 56.1% (50.07 mil sq.m) 20% 10% 0% T k Tokyo Y k h Yokohama S it Saitama Chib Chiba O k Osaka K b Kobe K t Kyoto N Nagoya F k k Fukuoka S Sapporo S d i Sendai Hi hi Hiroshima 出所:日本不動産研究所「全国オフィスビル調査」より野村総合研究所作成 ※調査時点は2010年末 ※各都市の調査地域は主要オフィスエリアに限定される ※東京・大阪・名古屋は5,000㎡以上、その他都市は3,000㎡以上が調査対象 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 19 オフィス市場 東京の空室率は急上昇し、歴史的な水準に達している 「オフィスの2003年問題」を軟着陸した結果、東京オフィス市場の空室率は2005年から2007年にかけて急速に低下していった。しかし、リーマ オフィスの2003年問題」を軟着陸した結果、東京オフィス市場の空室率は2005年から2007年にかけて急速に低下していった。しかし、リ マ ンショックにより状況は一変した。底堅いと思われた東京のオフィス需要は激減した。現在も空室率は歴史的に高い水準が続いている。 東京都心5区の空室率推移 12.0% 渋谷 港 新宿 中央 千代田 10 0% 10.0% 8.0% 港 新宿 渋谷 中央 千代田 6.0% 4.0% 2.0% 0.0% 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 Jan‐07 Jul‐07 Jan‐08 Jul‐08 Jan‐09 Jul‐09 Jan‐10 Jul‐10 Jan‐11 Jul‐11 出所:三鬼商事より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 20 オフィス市場 空室率の上昇に伴い、賃料は下落傾向が鮮明である 各エリアともに、過去10年の中でもっとも低い水準まで下落しているが、歯止めがかかる兆候は見えていない。 各 リアともに、過去10年の中でもっとも低い水準まで下落しているが、歯止めがかかる兆候は見えていない。 東京都心5区の賃料推移(円/月・坪) (円/月・坪) 26,000 24,000 22,000 20,000 千代田 渋谷 港 18,000 千代田 港 渋谷 中央 中央 16,000 新宿 新宿 14,000 , 12,000 10,000 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 Jan‐07 Jan 07 Jul 07 Jul‐07 Jan 08 Jan‐08 Jul 08 Jul‐08 Jan 09 Jan‐09 Jul 09 Jul‐09 Jan 10 Jan‐10 Jul 10 Jul‐10 Jan 11 Jan‐11 Jul 11 Jul‐11 出所:三鬼商事より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 21 オフィス市場 CBDエリアを中心にした今後の大量供給は、空室率・賃料の悪化材料になる 東京23区内で2012年以降に完成する延べ床面積1万㎡以上の大規模オフィスビルの計画は約70棟、総延べ床面積では約450万㎡に達する。 東京23区内で2012年以降に完成する延 床面積1万㎡以上の大規模オフィスビルの計画は約70棟、総延 床面積では約450万㎡に達する。 ピークとなる2012年に完成するビルは34棟、181万㎡に及ぶ。大手町、丸の内のほか、中野、お台場など周辺エリアにおいて大量供給が見込 まれている。 東京23区におけるオフィスビル供給面積・棟数の推移 供給面積(万㎡) 供給棟数 250 70 供給面積(万㎡) 216 60 供給棟数 200 181 50 150 40 117 30 87 90 85 100 57 20 50 34 2016 2015 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999 1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991 1990 1989 1988 1987 0 1986 0 10 出所:森ビル「東京23区の大規模オフィスビル市場動向調査<速報版>」2012年3月19日より作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 22 オフィス市場 大阪は構造的な需給悪化により、ファンダメンタルズは悪化の一途をたどっている 大阪市場においては、2008年、2009年の大量供給により、空室率が11%まで上昇している。さらに、2012年、2013年も大量の新規オフィス供給 が続き、空室はさらに増加することが懸念される。 需給悪化は構造的な変化である。大阪のオフィスワーカ・セールスワーカは全国に先駆けて、ピークから著しく減少している。中長期的に空室 率は高い水準が持続すると考えられる。 大阪のオフィス供給面積と空室率の推移 主要都市のオフィス・セールスワーカ数推移 供給面積(万㎡) 空室率 35 0 35.0 15 0% 15.0% 13.0% 30.0 11.5% 24.1 25.0 23.4 11.0% 9 0% 9.0% 20.0 16.8 15.0 万人 160 140 120 1986 100 1991 1996 80 15.8 7.0% 2001 60 13.5 2006 5.0% 10.0 8.3 9.6 40 2011 20 2016 3 0% 3.0% 5.0 1.0% 0.0 ‐1.0% 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 0 札幌 仙台 横浜 名古屋 大阪 福岡 予測 出所:ニッセイ基礎研究所「大阪オフィス市場の現況と見通し」2011年9月22日 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 出所:ニッセイ基礎研究所「地方主要都市の事務所・営業所従業者数の動向」2009年8月5日 23 オフィス市場 キャップレートは上昇したものの、依然として5%を下回る水準にある 2000年頃より東京のオフィス市場のキャップレ 2000年頃より東京のオフィス市場のキャップレートは急速に低下した。国内外の数多くのエクイティ投資家が東京オフィス市場に参入し、レン トは急速に低下した。国内外の数多くの クイティ投資家が東京オフィス市場に参入し、レン ダーからの資金調達が容易であったことがキャップレートを押し下げるドライバーであった。 2006年以降は、丸の内のキャップレートは3%台にあり、実質的に取得不能なレベルのキャップレートであった。リーマンショック後、キャップレー トは上昇に転じたものの、2009年に入ると落ち着きを取り戻し、現在は一定水準を維持している。 東京オフィス市場のキャップレート推移 8 0% 8.0% 7.0% 東京 丸の内 日本橋 日本橋駅周辺 6.0% 六本木 六本木駅周辺 5.0% 港南 品川駅周辺 西新宿 東京都庁周辺 4.0% Sep‐11 1 Apr‐11 1 Nov‐10 0 Jun‐10 0 Jan‐10 0 Aug‐09 9 Mar‐09 9 Oct‐08 8 May‐08 8 Dec‐07 7 Jul‐07 7 Feb‐07 7 Sep‐06 6 Apr‐06 6 Nov‐05 5 Jun‐05 5 Jan‐05 5 Aug‐04 4 Mar‐04 4 Oct‐03 3 3.0% 出所:日本不動産研究所「不動産投資家調査」より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 24 オフィス市場 地方のキャップレートは大きく上昇し、現在は横ばいの状態が続いている 東京オフィス市場や住宅市場のキャップレ 東京オフィス市場や住宅市場のキャップレートが横ばいになりつつあるのと同様に、直近では、地方オフィス市場のキャップレートも横ばい傾向 トが横ばいになりつつあるのと同様に、直近では、地方オフィス市場のキャップレ トも横ばい傾向 が続いている。 地方オフィス市場のキャップレート推移 地方オフィス市場のキャップレ ト推移 8.0% 7.0% 札幌 駅前通り 仙台 青葉通り 6.0% 名古屋 名駅周辺 5.0% 大阪 御堂筋沿い 福岡 天神 4.0% Sep‐11 Ap pr‐11 No ov‐10 Jun‐10 Jan‐10 Aug‐09 Maar‐09 Occt‐08 May‐08 Deec‐07 ul‐07 Ju Feb‐07 Sep‐06 Ap pr‐06 No ov‐05 Jun‐05 Jan‐05 Aug‐04 Maar‐04 Occt‐03 3.0% 出所:日本不動産研究所「不動産投資家調査」より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 25 住宅市場 全世帯のうち約2割が賃貸マンションに居住しており増加傾向にある 賃貸マンション(民営借家 賃貸マンション(民営借家・共同住宅(非木造))に居住する世帯は、1988年は332万世帯(全世帯の約9%)であったが、2008年には約2.6倍の 共同住宅(非木造))に居住する世帯は、1988年は332万世帯(全世帯の約9%)であったが、2008年には約2.6倍の 877万世帯(全世帯の約18%)まで増加している。 全世帯の居住形態割合(2008年) 1988~2008年における居住形態別世帯数の変化 持家 63% 世帯数(単 単位:万世帯) 民営借家 共同住宅 (非木造) 18% 5,000 , 4,077 12% 4,000 3,741 15% 4,392 16% 4,686 , 18% 4,960 20% 18% 16% 14% 12% 3,000 , 2,000 9% 1,401 1,000 1,000 332 10% 1,569 502 502 1,673 647 647 1,717 747 1,777 877 8% 6% 4% 2% 0 0% 88年 93年 98年 03年 08年 民営借 借家・共同住宅 宅(非木造)世帯 帯数割合 6,000 公営借家 給与住宅 6% 3% 民営借家 その他 10% 住宅居住世帯数 借家世帯数 民営借家・共同住宅(非木造)世帯数 民営借家・共同住宅(非木造)世帯数割合 出所:総務省「住宅・土地統計調査」より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 26 住宅市場 賃貸マンションの供給戸数は全住宅戸数の増加率を上回る水準で推移している 住宅戸数の推移をみると、借家全体は大きく増加していないが、賃貸マンション(公営含む)は全住宅戸数の増加率を上回っている。 そのため、借家のうち賃貸マンション(公営含む)が占める割合も約6割から約7割にまで増加している。 居住形態別住宅戸数の増加率 1988~2008年における住宅戸数の変化 130 70 40 53 50 50 125 57 44 39 30 20 16 18 22 21 20 124 120 120 15 14 12 10 増加 加率(98年を1 100とする) 戸数(単位 位:百万世帯) 60 115 115 112 110 108 108 105 100 108 108 103 100 95 95 90 住宅戸数 借家戸数 0 88年 住宅戸数 93年 借家戸数 98年 03年 08年 借家・共同住宅(非木造)戸数 85 借家・共同住宅(非木造)戸数 80 98年 03年 08年 出所:総務省「住宅・土地統計調査」より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 27 住宅市場 東京23区や大阪市では空室率が低下傾向にある 主要都市における借家の空室率をみると、東京23区や大阪市は低下傾向にあるが、地方主要都市は上昇傾向にある。 一方、直近の首都圏の空室率をみると、東京都市部や神奈川県はやや上昇傾向にある。 主 都市 お る借家(非木造) 空室率 変化 主要都市における借家(非木造)の空室率の変化 25% 98年 03年 首都 首都圏における賃貸住宅の空室率の推移 お る賃貸住宅 空室率 推移 17 08年 賃貸 貸住宅の空室率(単位:%) 20% 15% 10% 5% 15 14 13 12 11 東京都全域 10 東京23区 東京市部 9 神奈川県 8 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 借家 (非木造)にお おける空室率 (単位:% %) 16 0% 札幌市 仙台市 東京23区 名古屋市 大阪市 広島市 福岡市 出所:総務省「住宅・土地統計調査」より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 10年 11年 出所: ㈱タス「賃貸住宅市場レポート(分析:㈱タス、データ提供:アットホーム㈱)」より野村総合研究所作成 28 住宅市場 民営借家の賃料水準は依然として微減傾向にある 1990年以降、民営借家の家賃水準は上昇傾向にあったが、2000年以降は減少に転じており、20011年においてもその傾向は変わらない。 全国及び東京23区における民営家賃(年平均)の推移 108 0 108.0 民営 営家賃(年平均 均)指数(10基準 準) 106.0 104.0 102.0 100.0 98.0 96.0 94.0 92.0 90.0 全国 88.0 東京23区 86 0 86.0 91年 93年 95年 97年 99年 01年 03年 05年 07年 09年 11年 出所:総務省「消費者物価指数」より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 29 商業施設市場 大型店の新規立地は回復基調にある リーマンショック後、大規模小売店の新規立地は大きく落ち込んでいたが、2009年を底に回復しつつある。 リ マンショック後、大規模小売店の新規立地は大きく落ち込んでいたが、2009年を底に回復し ある。 大規模小売店の新設届出件数、床面積の推移 900 5,000,000 4,500,000 738 726 4,000,000 751 730 728 700 651 3,500,000 584 600 3,000,000 500 500 2,500,000 450 400 届出件数(件 件) 床 床面積(千㎡) 800 786 2,000,000 300 1,500,000 200 1 000 000 1,000,000 100 500,000 0 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 注)2002年度、2008年度の届出件数については、面積の記載のないものも含まれる 出所:経済産業省より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 30 商業施設市場 消費者の購買意欲は震災前の水準に回復している 東日本大震災の後、「自粛ムード」の中一時的に消費が落ち込んだが、初夏にはほぼ震災前と同水準まで消費者の購買意欲は回復している。 東日本大震災の後、 自粛ム ド」の中 時的に消費が落ち込んだが、初夏にはほぼ震災前と同水準まで消費者の購買意欲は回復している。 消費者態度指数の推移 60 50 ▼ 2011年3月 東日本大震災発生 40 30 20 10 2007 2008 2009 2010 9月 7月 5月 3月 1月 11月 9月 7月 5月 3月 1月 11月 9月 7月 5月 3月 1月 11月 9月 7月 5月 3月 1月 11月 9月 7月 5月 3月 1月 0 2011 出所:内閣府「消費者動向調査」より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 31 物流不動産市場 新規供給はひと段落だが、企業の物流機能集約による施設の大型化が進んでいる 近年、物流施設の供給棟数は減少しているが、一棟当たり床面積は拡大傾向にある。その背景には、企業がコスト削減のためにSCMへの対 応や集約化を進めており、新型・大型施設の高いニーズがある。 2010年度には、これまでダウントレンドだった供給数が増加に転じ、同時に一棟当たり床面積も増加に転じた。 全業種に関する倉庫の供給棟数と一棟当たり床面積 (棟) (㎡) 60,000 600 50,000 500 40,000 400 30,000 300 20,000 200 10,000 100 Warehouse FY1 10 FY0 09 FY0 08 FY0 07 FY0 06 FY0 05 FY0 04 FY0 03 FY0 02 FY0 01 FY0 00 FY9 99 FY9 98 FY9 97 FY9 96 FY9 95 FY9 94 FY9 93 FY9 92 FY9 91 FY9 90 FY8 89 0 FY8 88 0 Gross floor space per warehouse 出所:国土交通省「建築統計年報」より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 32 物流不動産市場 物件供給、新規供給量等の環境変化により空室率は低下している 2008年上期に川崎や横浜の湾岸地区で新規供給が相次ぎ、それ以降空室率は高止まりしている。 一方で、 SCMへの対応や統廃合による高スペック・大型施設への移転ニーズは底堅く、新規物件の空室消化は比較的順調に進んでいる。 また、2011年内は大型物件の新規供給が限定的であり、かつ震災以降の需要が逼迫したことにより空室率は低下した。 25.0% 物流不動産の平均空室率の推移 (首都圏の大型マルチテナント型物流施設) 20.0% 15.0% 10.0% 5.0% Mar‐04 Jun‐04 Sep‐04 Dec‐04 Mar‐05 Jun‐05 Sep‐05 Dec‐05 Mar‐06 Jun‐06 Sep‐06 Dec‐06 Mar‐07 Jun‐07 Sep‐07 Dec‐07 Mar‐08 Jun‐08 Sep‐08 Dec‐08 Mar‐09 Jun‐09 Sep‐09 Dec‐09 Mar‐10 Jun‐10 Sep‐10 Dec‐10 Mar‐11 Jun‐11 0.0% Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 注)首都圏:1都3県大型マルチテナント型物流施設:延床面積10,000坪以上 出所:CBREより野村総合研究所作成 33 物流不動産市場 空室率が急上昇した08年以降、大型物件を除き、市場全体の賃料は下落し続けている 千葉県においては賃料の増減を小さく繰り返すものの、市場全体では依然として賃料要求水準は厳しく、本格的な賃料回復には至っていない。 他方で、新型・大型物件は底堅いニーズに支えられ、賃料は値崩れしていない。 物流不動産の月額募集賃料の推移 (首都圏の中大型物流施設) (円/坪) 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 東京都 神奈川県 埼玉県 千葉県 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 期 2011年上期 2010 年 2009 年 2008 年 2007 年 2006 年 2005 年 2004 年 2003 年 2002 年 2001 年 2000 年 1999 年 1998 年 1997 年 0 注)中大型物流施設:募集面積1,000坪以上の物流施設 出所:CBREより野村総合研究所作成 34 ホテル市場 震災によって外国人宿泊者数は半減したが国内宿泊需要に与える影響は軽微である 国内宿泊者数の変化をみると、震災によって11年第2四半期に外国人旅行客は半減した。 しかし、国内宿泊需要の9割は日本人によって占められており、震災後も国内宿泊需要の急激な減少は発生していない。 近年の国内宿泊者数の変化 100 100 人) 国内宿泊者数( 単位:百万人 90 80 70 70 60 50 40 30 延宿泊者数 20 うち外国人宿泊者数 10 0 07年 07年 07年 07年 08年 08年 08年 08年 09年 09年 09年 09年 10年 10年 10年 10年 11年 11年 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 注釈:従業者数10人以上の宿泊施設を対象 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 出所:観光庁「宿泊旅行統計調査」より野村総合研究所作成 35 ホテル市場 全国的に震災による客室稼働率の低下は軽微である 客室稼働率の変化をみると、震災による大きな影響はみられないが、リゾートホテルの客室稼働率の低下が著しい。 客室稼働率の変化をみると、震災による大きな影響はみられないが、リゾ トホテルの客室稼働率の低下が著しい。 近年の施設別客室稼働率の変化 70 70 施設別客室 室稼働率(単位:%) 60 50 50 40 30 30 20 リゾートホテル ビジネスホテル 10 10 シティホテル 0 08年 1Q 08年 2Q 08年 3Q 08年 4Q 09年 1Q 注釈: 10年第2四半期以降は従業者数9人以下の宿泊施設も含む Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 09年 2Q 09年 3Q 09年 4Q 10年 1Q 10年 2Q 10年 3Q 10年 4Q 11年 1Q 11年 2Q 出所:観光庁「宿泊旅行統計調査」より野村総合研究所作成 36 ホテル市場 東京における主要ホテルの客室稼働率も震災前の水準に回復している 震災後、東京の主要ホテルの3月と4月の客室稼働率は急減したが、9月以降は前年と同水準の客室稼働率で推移している。 東京及び大阪における主要ホテルの施設別客室稼働率の変化 100 100 90 客室稼 稼働率(単位:% %) 80 70 70 60 50 40 40 30 20 東京主要19ホテル 10 10 大阪主要15ホテル 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 0 2009年 2010年 2011年 出所:日本経済新聞より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 37 ホテル市場 一方、外国人観光客やビジネス客に依存する外資系ホテルに対する震災の影響は大きい 主な外資系ホテルの客室稼働率とのRevPARの変化をみると、2010年には回復傾向に転じていたが2011年上期には一転して減少傾向にあ な外資系ホテ 客室稼働率 変化をみる 、 年 回復傾向 転 年 期 転 減少傾向 あ る。 東京の主な外資系ホテルの客室稼働率とRevPARの変化 90 90 400 400 80 350 300 RevPAR R(単位:US$) 客室稼働 働率(単位:%) 70 60 50 40 40 30 20 マンダリンオリエンタル東京 ザ・ペニンシュラ東京 シャングリ・ラホテル東京 10 250 200 150 100 マンダリンオリエンタル東京 ザ・ペニンシュラ東京 シャングリ・ラホテル東京 50 0 0 06年 07年 08年 09年 10年 11年 上期 注:RevPARとはRevenue Per Available Roomsの略であり、客室収入を客室総数で割ったもの。 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 06年 07年 08年 09年 10年 11年 上期 出所: 各社のAnnual Reportより野村総合研究所作成 38 日本 進展する成熟化と震災からの復興 日本: 中国: 住宅市場、土地市場の概況 1.中国のマクロ経済環境 2.中国の商品住宅市場 3.中国の住宅政策 中国の住宅政策 4.中国の土地市場 韓国: 転機を迎えている韓国の不動産市場 台湾 オフィス、住宅、ホテル市場の概況 台湾: オフィス 住宅 ホテル市場の概況 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 39 世界の中の中国 中国のGDPは世界全体の約1割。世界人口の5人に1人は中国人が占める 名目GDPの上位5ヶ国と構成比 人口の上位5カ国と構成比 中国, 20% 米国, 24% その他, 49% 世界 総人口 世界 GDP総額 62兆ドル その他, 52% 68億人 中国, 9% インド, 18% 日本, 9% 米国, 5% フランス, 4% ドイツ, 5% ブラジル, 3% インドネシア, 3% 出所: IMF Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 40 中国のマクロ経済環境 1. 経済成長 2010年、日本と中国のGDPは逆転した 日本と中国の名目GDPの推移 (bn USD) 7,000 中国 6 000 6,000 日本 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 出所: IMF Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 41 中国のマクロ経済環境 1. 経済成長 過去15年間、中国は平均10%の実質成長率を達成してきた 中国の実質GDP成長率の推移 (%) 14 12 12 10 8 6 4 2 0 ‐2 2 ‐4 純輸出 投資 消費 実質GDP成長率 ‐6 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 出所::中国国家統計局 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 42 中国のマクロ経済環境 1. 経済成長 消費が弱く、投資・輸出で経済を牽引してきた点が中国の特徴 GDPに占める消費の割合 80% 71% 71% 66% 58% 60% 59% 日本 ドイツ 59% 58% 60% 65% 61% アルゼンチン 62% 53% アメリカ イギリス VISTA トルコ 南アフリカ インドネシア BRICs ベトナム 中国 インド 20% ロシア 36% ブラジル 40% 先進国 出所::中国国家統計局 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 43 中国のマクロ経済環境 1. 経済成長 第12次5ヶ年計画では、内需主導の経済成長を目指す 第12次5ヶ年計画の概要 C t Category K Targets Key T t GDP to grow by 7 percent annually on average; Economic targets More than 45 million jobs to be created in urban areas; Urban registered unemployment to be kept no higher than 5 percent; Rise in domestic consumption; B kth Breakthrough h iin emerging i strategic t t i iindustries; d ti Economic restructuring Service sector value-added output to account for 47 percent of GDP, up 4 percentage points; Urbanization rate to reach 51.5 percent, up 4 percentage points. Expenditure on research and development to account for 2.2 percent GDP; Innovation Every 10,000 people to have 3.3 patents. N f Non-fossil il ffuell tto accountt ffor 11 11.4 4 percentt off primary i energy consumption; ti Water consumption per unit of value-added industrial output to be cut by 30 percent; Environment & clean energy Energy consumption per unit of GDP to be cut by 16 percent; Carbon dioxide emission per unit of GDP to be cut by 17 percent; Forest coverage rate to rise to 21.66 percent and forest stock to increase by 600 million cubic meters; A Annual l grain i production d ti capacity it to t be b no less l than th 540 million illi ttones; Agriculture Farmland reserves to be no less than 1.818 billion mu. Population to be no larger than 1.39 billion; Life span per person to increase by one year; Livelihood Pension schemes to cover all rural residents and 357 million urban residents; C Construction i and dR Renovation i off 36 million illi apartments ffor llow-income i ffamilies; ili Minimum wage standard to increase by no less than 13 percent on average each year; Improved public service for both urban and rural residents; Improved democracy and legal system; Social management Better social management system for greater social harmony; More than 10 percent of all residents will be registered as community volunteers. Encourage qualified enterprises to get listed in stock markets; Reform In-depth reform in monopoly industries for easier market entry and more competition; Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 出所: PRC government website (announced on March 5, 2011) 44 中国のマクロ経済環境 2. 人口動態 中国では都市化が急速に進行し、2010年には都市人口比率が50%に達した 2010年までの20年間で都市化率は20%ポイント上昇している。 (万人) 中国における人口と都市化率の推移 150,000 60% 50% 120,000 40% 90,000 30% 60,000 20% 30,000 10% 0 0% 91 92 93 94 95 96 97 全人口(左目盛) 98 99 00 01 02 都市部人口(左目盛) 03 04 05 06 07 08 09 10 都市化率(右目盛) 出所::中国国家統計局 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 45 中国のマクロ経済環境 2. 人口動態 2015年には生産年齢人口がピークアウトする見込み 生産年齢人口の推移 350 (1950年=100) ピーク 300 250 中国 日本 200 150 100 50 0 50 55 60 65 70 75 80 85 90 95 00 05 10 15 20 25 30 35 40 45 50 1900年代 2000年代 出所::国際連合 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 46 中国の商品住宅市場 中国の都市部住宅は大きく中高所得者向けの商品住宅、および低所得者向けの保障型 住宅の2種に分けられ、前者の供給が約9割を占める 別荘(一戸建て) 商品住宅 (中高所得者向け) 高級 商品住宅 別荘(タウンハウス) 高級マンション 都市部 住宅 一般 商品住宅 保障型住宅 (低所得者向け) 公共賃貸 住宅 自由に転売できる住宅 条件つき転売できる住宅 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 一般的なマンション 経済適用 住宅 価格制限 住宅 廉価賃貸 住宅 市場価格 で販売 優遇価格 で販売 普通のマンションより 1戸あたりの建築規模 が小さく、共有部分の さく、共有部分 設備条件や建物の仕 上げ水準もやや低い 優遇価格 でリース 47 中国の商品住宅市場 保障型住宅には条件つきで転売可能な「経済適用住宅」と「価格制限住宅」、 転売不可の「公共賃貸住宅」「廉価賃貸住宅」に分類される 保障型住宅 概要 保障型住宅の概要 分 類 経済適用住宅 内 容 • 政府がデ 政府がディベロッパーに対して、地価の優遇、都市基盤整備費・行政事業費・税 パ 優 都 基盤整備費 政事業費 金等の軽減等の優遇措置を与え、低価格(政府指導)住宅を低所得者向けに提 供 • 経済適用住宅の面積は厳格にコントロールされており、中型の面積は80㎡前後、 小型の面積は約60㎡ • 世帯の年収が6万元以下、現地の戸籍を持つ家庭が購入する資格を有する 世帯の年収が6万元以下 現地の戸籍を持 家庭が購入する資格を有する 価格制限住宅 • 政府が一定期間、不動産開発市場をコントロールし、住宅の供給バランスを調 節するための手段として使用している。 • 中国政府が出資した国有企業が建設を担当、販売価格は国が決めるが、通常 販売価格は商品住宅に比べ20%~25%低い 公共賃貸住宅 • 政府または政府が委託した機関が、市場価格で中低所得の家庭向けにリース 形式で提供する住宅 • 政府は住宅をリースしている家庭に対し毎月一定金額の住宅手当てを支給 転売の可否 • 住宅購入者は有限所有権(一部の所有権) を保有する • 原則、購入後5年を満たない場合は転売 することが出来ない。 • 住宅は販売されず、リースのみ • 住宅使用者は所有権を持たない 廉価賃貸住宅 • 政府が定めた最低リース価格で低所得世帯に対して貸し出す住宅 • 住宅の面積は1LDKの場合35㎡、2LDKは45㎡、3LDKは55㎡ 積 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 48 中国の商品住宅市場 近年、都心部の商品住宅供給は富裕層をターゲットにした高級路線に走り、 中所得者は都心周縁部から郊外までの住宅を購入せざるを得ない状況となっている 商品住宅の種類別販売価格と購入者のイメージ 種別 グレード 販売単価 (上海の場合) 立地特徴 購入者のイメージ • 世帯年収100万元以上の富裕層、自動車複数所有 別荘 (一戸建て) 超高級 中古の場合: 5万元以上/㎡ 別荘 (タウンハウス) 高級 約3-5万元/㎡ 高級マンション 高級 約4-5万元/㎡ 郊外が中心 郊外が中心 都心部が中心 • 外資系企業CEO、企業オーナー、上場企業経営層、 外資系企業経営層、金融企業経営層マネジャー、 政府高官 社会有名人等 政府高官、社会有名人等 • 世帯年収50-60万元以上の富裕層、自動車所有 • 外資系企業マネジャー、上場企業上層部マネジャー、 民営企業総経理、IT・医薬企業の高級技術者・管理 層、政府高官、金融機構マネジャー等 • 世帯年収20-30万以上の中産階層 一般マンション 中高級 約1.5-3万元/㎡ 都心部縁辺部 ~郊外が中心 • 企業の中間管理職、ホワイトカラー、政府一般幹 部・職員、金融系企業の一般職員等 ※ 別荘(一戸建て)は原則建設中止となっているため、販売単価は中古価格を参考にした。 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 49 中国の商品住宅市場 都市化の進行で都市部の住宅需要が高止まりし、商品住宅の供給も増加傾向にある 2010年までの10年間、政策の調整と引き締めなどによって商品住宅の供給スピードが緩くなる時期もあったが、住宅需要は拡大し、住宅竣工 2010年までの10年間、政策の調整と引き締めなどによって商品住宅の供給スピ ドが緩くなる時期もあったが、住宅需要は拡大し、住宅竣工 面積は増加した。 中国における商品住宅竣工面積の推移 (万㎡) 70,000 30% 60,000 25% 50,000 20% 40,000 15% 30,000 10% 20,000 5% 10,000 0 0% 2001 2002 2003 2004 2005 商品住宅竣工面積(左目盛) 2006 2007 2008 2009 2010 対前年増加率(右目盛) 出所) 中国統計年鑑より作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 50 中国の商品住宅市場 中国の都市部における商品住宅供給量は年間600万戸で、 日本の分譲住宅供給量の28倍以上の規模 2010年、中国の商品住宅の新築竣工戸数は602万戸で、10年前(2000年214万戸)に比べで約3倍増加した。また、2010年度の日本の新築分 2010年、中国の商品住宅の新築竣工戸数は602万戸で、10年前(2000年214万戸)に比 で約3倍増加した。また、2010年度の日本の新築分 譲住宅着工戸数21.2万戸と比べると、28.4倍にもなる。 1戸あたり商品住宅の竣工面積は110㎡前後で、核家族化に伴う2LDKや3LDKの供給が主流である。 中国における商品住宅の竣工戸数と平均面積の推移 (万戸) (㎡/戸) 700 140 600 120 500 100 400 80 300 60 200 40 100 20 0 0 2001 2002 2003 2004 2005 商品住宅の竣工戸数(左目盛) Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 2006 2007 2008 2009 2010 1戸当たり竣工面積(右目盛) 出所) 中国統計年鑑より作成 日本の新築分譲住宅着工戸数21.2万戸=「建築着工統計調査報告」国土交通省 51 中国の商品住宅市場 住宅供給は4大直轄市に集中しており、全国の住宅供給量の1割を占めている 内陸都市重慶での住宅供給量が圧倒的に多く、次いで北京・天津・上海の順となる。 地方主要都市の石家庄、長春、ハルビン、鄭州における住宅供給量も急速に伸びている。 中国の主要都市における住宅竣工面積の推移比較 (万㎡) 3000 2009年 2010年 2500 2000 1500 1000 500 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 出所) 中国統計年鑑より作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 木 川 西 宁 州 西 安 昆 明 阳 成 都 重 海 口 南 宁 深 圳 沙 州 广 州 武 青 南 南 昌 厦 福 州 合 肥 宁 波 杭 州 南 京 上 海 春 哈尔 大 沈 阳 呼和浩特 太 原 石家庄 天 津 北 京 0 52 中国の商品住宅市場 住宅販売価格がこの10年間で2.4倍も上昇し、高級物件ほど価格上昇の傾向が強い 中国における商品住宅販売単価の推移 (元/㎡) 12,000 10,000 8 000 8,000 商品住宅 6,000 うち別荘・高級マンション うち経済適用住宅 4,000 2,000 0 2001 2002 2003 2004 2005 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 2006 2007 2008 2009 2010 出所) 中国統計年鑑より作成 53 中国の商品住宅市場 最近5年間の住宅販売単価の上昇が著しく、大都市ほどその傾向が強い 北京都心部で建築面積 北京都心部で建築面積100㎡の住宅を購入する場合、500万元以上を必要とする。 の住宅を購入する場合、 万元以 を必要とする。 中国主要都市における商品住宅販売価格(2005年と2010年の比較) (元/㎡) 20 000 20,000 200% 18,000 180% 16,000 160% 14 000 14,000 140% 12,000 120% 10,000 100% 8 000 8,000 80% 6,000 60% 4,000 40% 2 000 2,000 20% 0 0% 北京 天津 上海 南京 2005年住宅販売単価(左目盛) 杭州 広州 深せん 2010年住宅販売単価(左目盛) 重慶 成都 瀋陽 大連 2005‐2010住宅販売単価の増加率(右目盛) 出所) 中国統計年鑑より作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 54 中国の商品住宅市場 住宅価格・年収倍率は 北京・上海などの沿海大都市は14.7倍以上で、全国平均を大きく上回る 中国 中国における住宅価格の年収倍率は、10年間で約6~8倍に上昇した。 おける住 価格 年収倍率 、 年間 約 倍 昇 。 大都市は特に変動が激しく、北京は10年間で9.5倍から17.4倍まで上昇した。 (倍) 中国の住宅販売価格に対する世帯収入の倍率 20.0 18.0 全国平均 16.0 北京 14.0 天津 上海 12.0 杭州 10.0 広州 8.0 深せん 重慶 6.0 瀋陽 4.0 武漢 2.0 0.0 2001 2002 2003 2004 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 2005 2006 2007 2008 2009 2010 出所) 国土資源部と国家統計局などの統計資料より作成 55 中国の商品住宅市場 2010年における収益不動産のキャップレートは3~4% 中国主要都市のキャップレートの推移 中国主要都市 C Rateの推移 中国主要都市のCap 推移 8.00 7.00 6.00 北京 5 00 5.00 天津 上海 4.00 杭州 3.00 深せん 青島 2.00 1.00 0.00 2005 2006 2007 2008 2009 2010 出所) 国土資源部資料より作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 56 中国の住宅政策 従来、住宅政策の注力対象は実質分譲住宅である中高所得層向け商品住宅であったが、 近年になって低所得層向け保障型住宅にシフトしている。 1998年、政府は従来の住宅分配制度を廃止し、収入階層別の住宅供給政策を発表した。 年、政府 従来 住 分 制度を廃 、 入階層別 住 供給政策を発表 。 しかし1998年以降、商品住宅の年間竣工数に対して、経済適用住宅は1割にも及んでおらず、国民の大半を占める低所得者層向けの住宅供 給は極めて不足している。 z 中小都市の中には、いまだに廉価賃貸住宅制度を導入していない都市も存在する。また、導入した都市においても、財源の大部分を負担する地方政府の消 極的な姿勢や、制度的に裏付けされた資金の不足といった理由から、廉価賃貸住宅の供給は進まなかった。 2006年以降、政府は中低価格かつ中小規模の住宅の供給を重視し、別荘など高級住宅の抑制をする一方、保障型住宅の供給制度とその実 現支援策を打ち出した。 中国における都市住宅政策の変遷(1998年以降の主tたるものを抜粋) 時期 通知または意見 主な政策内容 1998年 「都市部住宅制度改革のさらなる推進及び住宅建設の加速に関する通知」 • 住宅分配制度の廃止 • 「高所得者へ商品住宅、中低所得者へ経済適用住宅、最低所得者 へ廉価賃貸住宅」という収入階層別住宅供給体制の提出など 廉 1999年 「住宅産業現代化の推進及び住宅品質の向上に関する意見」 • 住宅建材と部品の標準化、住宅省エネ基準の設定など 2003年 「各種開発区用地の整理整頓及び建設用地管理の強化に関する通知 • 開発区土地の集中的管理の強化、別荘住宅の供給禁止など 2006年 「住宅供給構造の調整及び住宅価格安定に関する意見」 • 中低価格かつ中小規模の住宅建設の推進など 「土地を一層厳しく管理する緊急通知」(国土資源部) • 別荘住宅開発プロジェクトに対する土地提供と関連手続きの停止 2007年 「都市部低所得者の住宅難問題の解決に関する意見」 • 住宅保障制度の建設目標と枠組みの提出など 2010年 「不動産市場の健康発展を促進する通知」 部都市の住宅値上げ速度を抑制する通知」 「一部都市の住宅値上げ速度を抑制する通知」 • 一部都市での住宅ローンの提供制限、住宅ローンの頭金比率下限 の引き上げなど 2011年 国務院が発表する8つ不動産抑止政策(=「新国八条」」 • 一部都市での住宅購入制限の実施、不動産税の導入など Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 57 中国の住宅政策 2011 年~2015 年の第十二次五ヵ年計画期間中に保障型住宅を3600 万戸建設する 予定で、保障型住宅は中国の住宅市場の新たな支柱になろうとしている 2008年に中国政府は4兆元の景気刺激策を発表し、そのうち9000億元を保障型住宅の建設に使用することを決めた。本来の意味での「社会保 障型住宅供給体制」を実現しようとしている。 • 2008年当初、2009年~2011年の3 年間で820万戸(投資額9000億元)の着工を目標としていた。 しかし、保障型住宅の建設はデベロッパーにとって利益が極めて少ない事業で、また土地譲渡収入に依存する地方政府にとっても財政収入が 、保障 住 建設 ッ 利 極 少な 事業 、 譲渡 入 依存す 方政府 財政 入 大きく減少するリスクもあるため、着工が進展しなかった。 政府は2011年に発表した第十二次五ヵ年計画期間中に保障型住宅を3600万戸建設する計画を発表した。 z 保障型住宅の年間着 保障型住宅の年間着工目標数は2008年100 目標数は2008年100 万戸であったのに対し、2011年はその10倍の1000万戸にまで引き上げられた。 また中央政府は各地政府との間に保障型住宅建設目標の覚書を調印し、保障型住宅の建設任務を各地に強制的に配分するようになった。 • この覚書では、各地で完成する保障型住宅の具体的な数値が詳細に記され、これらの数値目標が達成できなければ、行政的な処分、格 下げ 免職などの懲罰が与えられる仕組みとなっている 下げ、免職などの懲罰が与えられる仕組みとなっている。 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 58 中国の住宅政策 経済適用住宅の販売単価は、ほぼ原価ベースで構成されるため、 標準的な商品住宅より格段に安価で提供されることが可能 経済適用住宅の特徴は、土地の払い下げ代金を政府に支払う必要がない「割り当て式土地使用権」を活用した分譲住宅であるという点と、開発 経済適用住宅の特徴は、 地の払 下げ代金を政府に支払う必要がな 割り当て式 地使用権」を活用した分譲住宅であると う点と、開発 者が取得する当該開発事業からの利潤を政策的に3%以内に抑えることとなっている点である。 標準的な商品住宅と経済適用住宅の価格構成比較 構成項目 標準的な商品住宅 経済適用住宅 土地の立退・補償費 ○ ○ 計画 設計費 計画・設計費 ○ ○ 住宅地内のインフラ敷設費 ○ ○ 建物・設備の建築工事費 ○ ○ 一般管理費 ○ ○ 税金 ○ ○ 利潤 無制限 3%以下 土地払い下げ代金 ○ × 土地の権利種類 払い下げ 土地使用権 割り当て 土地使用権 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 59 中国の住宅政策 住宅価格の高騰を背景に、 2011年から中国政府はこれまでにない厳しい抑制政策を打ち出している 抑制政策 その1 そ 限購令( 動産購買制限) 実施 限購令(不動産購買制限)の実施 2011年2月、北京をパイロット都市として限購令を実施 実施内容は以下の通り z 既に物件1件を保有する現地戸籍住民、連続5年以上の個人税金または社会保険金を納めている非現地戸籍住民が新規 購買できる物件は1件まで ¾ 物件2件を保有する現地戸籍住民、5年以上の個人納税または社会保険支払い証明がない非現地戸籍住民は物 件の新規購買を禁止 抑制政策 その2 房産税(不動産税)の導入 2011年、上海、重慶をパイロット都市として、個人房産税制度の実行を開始 上海を例に、房産税制度の内容は以下の通り z 納税対象 ¾ 現地戸籍住民:既に1件の物件を保有し、2件目を新規購買する者 ¾ 非現地戸籍住民:新規購買する者 z 税率:0.6% z 免税範囲:1人あたり60㎡ 抑制政策 その3 保障型住宅建設の加速 2011年より、中国低水準収入の家庭を対象とする経済保障住宅の建設ラッシュがスタート 将来5年以内に3 600万件の保障型住宅を建設予定 将来5年以内に3,600万件の保障型住宅を建設予定 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 60 中国の住宅政策 2011年、中国では46都市で住宅購入制限策が実施された。 北京、上海などの一部の大都市が2012年も不動産購入制限策を継続すると発表済。 2011年5月1日、中国政府が北京市を初の対象都市として「限購令」を施行した。それ以来、適用範囲は地方中堅都市を含め全国規模に拡大、 2011年中に46都市で住宅購入制限策が施行された。 住宅購入制限の実施都市 北京、上海、広州、深セン 1級都市 2級、3級都市 天津、重慶、大連、寧波、青島、瀋陽、長春、南京、杭州、成都、武漢、長沙、石家荘、太原、ハルビン、合肥、福州、 南昌、済南、鄭州、海口、貴陽、昆明、西安、南寧、呼和浩特、銀川、乌鲁木済、三亜、蘇州、無錫、温州、佛山、 金華、紹興、台州 住宅購入制限策の詳細規定は都市によって異なるが、基本方針は以下のとおりとなる。 各都市の現地戸籍、人材居住証の所有者は、物件購入を2件まで制限 ¾ 「限購令」施行前に既に2件保有している該当条件者に対し、住宅の新規購買を禁止する ¾ 新たに2件目を購入する場合、1件目の購入から2年以上の期間を置く必要がある 外国国籍などの非現地戸籍者は1件の物件のみ購入が可能 ¾ 「限購令」施行前に既に1件保有している該当条件者に対し、住宅の新規購買を禁止する ¾ 非現地戸籍者が新規物件を購入する場合、1年以上の個人納税証明または社会保険支払い証明が必要 会社名義による住宅購入は禁止する Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 61 中国の住宅政策 政府の不動産抑制政策を受け、2011年10月以降新築住宅販売価格が下落する都市が 急増し、政府による価格抑制策の効果が表れ始めている 政府の不動産抑制政策が発表されて以来、販売不振に陥った不動産業者による値下げ競争が発生した。 中国国家統計局が2011年10月に公表した主要70都市の住宅販売価格指数によると、34都市において前月比で下落した。 中国主要70大都市における住宅価格の変動(2011年) (都市数) 70 3 8 7 60 12 6 9 9 12 14 16 17 5 11 8 34 14 50 17 40 30 49 30 60 52 下落 29 不変 56 56 50 20 50 44 20 39 上昇 24 10 16 24 16 16 5 0 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 2 12月 出所)中国統計局データ作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 62 中国の土地市場 地方政府の財政は土地使用権譲渡収入への依存度が高く、地価高騰をもたらした 中国の場合、土地使用権譲渡収入は地方財政収入の重要財源になっている。1999 年から2010年までのデ 年から2010年までのデータによれば、全国の土地使用権 タによれば、全国の土地使用権 譲渡収入は1296億から27111億元まで増加し、地方財政収入に占める割合も16.6%から76.6%まで上昇した。 財政収入は地方政府の行政評価の大きな指標にもなっているため、入札による土地価額の相次ぐ上昇は止められなかった。 • 土地使用権は、オークションを通じて地方政府からデベロッパーへ供給されている。オークションは、「売却基準価格」にあたる価格が公開 されないため、デベロッパーがオークション価格を競って引き上げることになり、地価高騰の原因ともなっている。 (億元) 土地使用譲渡収入と地方財政収入の推移 出所)中国国家統計局より作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 63 中国の土地市場 地価の上昇は不動産価格の高騰を引き起こした大きな原因にもなっている 中国の土地所有権は国にあり、その管理が各地方政府によって行われている。土地の権利などについては期限付きで所有権を認める措置 が取られているため、地方政府から土地使用権を買い取れば、最長70年間建物の所有権を保有することができる。 住宅用地と商業用地の価格は全用途平均を大きく上回るペースで上昇した。 (元/㎡) 中国都市部における土地価格の推移 (%) 中国都市部における土地価格の上昇率の推移 出所)中国都市地価観測データより作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 64 日本 進展する成熟化と震災からの復興 日本: 中国: 住宅市場、土地市場の概況 韓国: 転機を迎えている韓国の不動産市場 1.韓国の経済構造の特徴 2.韓国の不動産市場の現況 3.2012年における韓国の不動産関連動向及び今後の変化方向 台湾: オフィス、住宅、ホテル市場の概況 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 65 I. 韓国の経済構造の特徴 韓国経済は、2010年に国内総生産が約1,042兆ウォンに、経済成長率は6.2%に達し、 今後も4%台の経済成長率で推移すると予想されている 韓国のGDP年平均成長率は1990年代5.8%、2000年代3.9%であり、1998年のIMF管理下の時期を除いて持続的に成長しており、今後も約 4%水準の成長を維持すると予想されている。 韓国のGDP及び経済成長率の推移と予測 ‘90年代 CAGR 5.8% (単位: 兆ウォン) ‘00年代 CAGR 3.9% ‘10年以後の予測値 (単位: %) 出所: 韓国銀行、IMF資料より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. I. 韓国の経済構造の特徴-1) 海外依存型の経済構造 韓国の貿易依存度は88%と高い。特に中国・アメリカ・日本に偏重した輸出入傾向にある 韓国の輸出相手国の上位は中 韓国の輸出相手国の上位は中・米・日の順で、上位3国の割合は約42%、また輸入相手国の場合は中・日・米の順で、上位3国の割合が約 米 日の順で、上位3国の割合は約42%、また輸入相手国の場合は中 日 米の順で、上位3国の割合が約 41%となっており、関連国の経済環境により変動が高い経済構造である。 貿易依存度1)の推移 輸出・入相手国家の順位 (単位: %) 注: 貿易依存度=商品交易量/名目GDP 出所: 韓国銀行、韓国貿易協会 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 順位 国家 輸出割合 国家 輸入割合 1 中国 25.1% 中国 16.8% 2 アメリカ 10.7% 日本 15.1% 3 日本 6.0% アメリカ 9.5% 4 香港 5.4% サウジアラビア 6.3% 5 シンガポール 3.3% オーストラリア 4.8% 6 台湾 3.2% ドイツ 3.4% 7 インド 2.5% インドネシア 3.3% 8 ドイツ 2.3% 台湾 3.2% 9 ベトナム 2.1% UAE連合 2.9% 10 インドネシア 1.9% カタール カタ ル 2.8% 出所: 韓国貿易協会 67 I. 韓国の経済構造の特徴-1) 海外依存型の経済構造 1997年のIMF危機以降、国内の金融市場を全面開放し、グローバル経済を進めた結果、 韓国ウォンの為替レートの変動幅が高まり、輸出入市場に大きな影響を及ぼしている 為替レートの変動推移 1997年IMF経済危機以後、 金融市場の完全開放により 為替レートが激しく変動 出所: 統計庁、金融監督院 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 68 I. 韓国の経済構造の特徴-1) 海外依存型の経済構造 為替レートの変動幅が高まった主要な背景には、外国人投資家への高い依存度があり、 韓国の上場株式市場では、外国人投資家の割合が約30%に上るまで拡大している 1997年のIMF危機以後、韓国の証券市場では、金融市場が全面開放されたことにより外国人投資家の割合が急増した。 外国人投資家への依存度が高まり、2008年の米国発の金融危機当時には、売り手の増加で証券市場が打撃を受けるなど、外国人投資家に よる韓国金融市場の変動リスクは高まっている。 外国人所有株式市価総額及び上場株式対比の割合 (単位: 千億ウォン) 株価急騰による 外国人保有株式額の増加 2008年米国発の 金融危機 出所: 金融監督院 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 69 I. 韓国の経済構造の特徴-2) 製造業中心の経済構造 特に韓国のGDPに占める製造業の割合は2010年では約30%となっており、 先進国より製造業に対する依存度が高い状況にある 日本、ドイツ、イタリア、アメリカのような先進国は、GDPに占める製造業の割合が減少傾向を示している 一方、韓国では製造業の割合が高まっている。 主要国家別のGDP内の製造業の割合 (単位: %) 出所: United Nations Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 70 I. 韓国の経済構造の特徴-3) 大企業中心の経済構造 韓国は製造業を基盤した大企業中心の市場であり、 三星、現代など主な4つのグループの売上は、GDPの約50%以上を占めている 韓国の4大グループ企業の売上は年平均約8%で持続的に成長し、GDPに占める割合も持続的に増加しており、 4大グループ企業の経営戦略 及び実績が、韓国経済に強い影響力を及ぼしている。 韓国の4大グループ企業の売上及び売上のGDPに占める割合 (単位 兆ウォン) (単位: 47.8% 46.8% 46.9% 38.9% 39.4% 39.9% 40.2% 39.7% 46.2% 47.4% Samsung 1,150 970 780 51.4% 4大グループの 売上の GDPに占める 割合 820 850 1,010 1 050 1,050 900 710 600 630 出所: 公正取引委員会、韓国銀行 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 71 I. 韓国の経済構造の特徴-3) 大企業中心の経済構造 三星とLG電子の海外売上高の割合は約80%超と非常に高いものの、地域別に分散した 市場戦略を展開し、世界経済環境に関わらず安定的に成長できる売上構造となっている 三星電子の2010年の総売上高約155兆ウォンのうち、海外での売上の割合は83%で、国内売上高の約5倍である。また、LG電子の2010 年の総売上高は約56兆ウォンであり、そのうち、海外での売上の割合は87%で、国内売上高の約6.5倍である。 三星電子の地域別売上高の現況(2010) LG電子の地域別売上高の現況(2010) 韓国 13% 韓国 17% 中国 16% ヨーロッパ 18% その他 (アジア等)16% 中国 5% 米国 28% ヨーロッパ 23% 出所: 三星電子IR資料より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 米国 38% その他 26% 出所: LG電子IR資料より野村総合研究所作成 72 I. 韓国の経済構造の特徴 韓国の大企業はグローバル市場の環境変化及び経営悪化克服のため、 新規市場開拓及び新規事業開発に向けた積極的な投資を計画している 韓国の主要企業の経営環境は、原油価格の 韓国の主要企業の経営環境は、原油価格の上昇、海外経済の景気後退などにより悪化したが、果敢な経営戦略を策定し、積極的な投資を 昇、海外経済の景気後退などにより悪化したが、果敢な経営戦略を策定し、積極的な投資を 行っている。 三星グループは約50兆ウォン規模の投資を決定したほか、ロッテグループは海外市場拡大のため6兆ウォン以上の投資を計画している。 韓 韓国10大グループの2012年経営戦略 大グ プ 年経営戦略 グループ名 主要戦略 投資及び売上目標 Samsung ソフトウェア、ヘルスケア分野の投資拡大 ソフトウェア、 ルスケア分野の投資拡大 50兆ウォン投資 Hyundai 品質管理に集中 - SK 半導体及び高付加価値製品への投資集中 19兆ウォン投資 LG スマートフォン、4Gサービスの市場に集中 スマ トフォン、4Gサ ビスの市場に集中 - LOTTE ロッテマート、デパート、建設など海外進出の拡大 6兆7,300億ウォン投資 POSCO 最高品質・低価格の供給戦略、総合素材企業に成るためのインフラ確保 - 特殊船 海洋プラント受注期待 特殊船、海洋プラント受注期待 64兆ウォン売上目標 GSエネルギー中心の新材生エネルギー分野の育成 前年比48%投資増大 HANJIN 大韓航空の内実経営に焦点、長距離路線及び貨物運送の拡大 - HANWHA 太陽光事業の垂直系列化の構築 1兆7 000億ウォン投資 1兆7,000億ウォン投資 Hyundai Heavy Industries GS 出所: Economist(2012.1.9)より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 73 I. 韓国の経済構造の特徴 韓国の主要グループは、新規事業及び新規海外市場開発のために、 国内の不動産資産の流動化などから資金確保及び資産価値向上を推進している 大企業不動産流動化及び開発推移 企業名 時期 流動化資産内容 ロッテグループの資産流動化の事例 流動化/開 発規模 仁川精油引受のために瑞麟洞社屋を Sales and lease方式で 4,500億に売却 4,500億ウ ォン SKE保有ガソリンスタンド 167個, 充電所 7ヶ牛を 4,700億ウォンにハナ銀行に売却 4,700億ウ ォン マ マート ト 3ヶ店鋪(済州, 3ヶ店鋪(済州 航洞, 航洞 大徳) 売却後 14年間 ’08年の leaseback (主観社 ING KPI) ロッテ 初め デパート 1ヶ所, マート 5ヶ店鋪 10~20年間 sale & ’10年 leasebackのために資産流動化思慕ファンド造成 2,200億ウ 2 200億ウ ォン SKグル 2005年 ープ 2006年 三星生 ’09年 09年 命 SC第一 ’09年~’ 銀行 11年 KT KT&G 6,000億ウ ォン 巡和洞 SKビルを RREEF ファンドに売却 予想売却 RREEFは流動化のために RREEF BVK Korea K 第1 価約 900 億ウォン 号流動化専門有限会社(SPC) を設立 96個銀行保有建物の中で 27個売却(’09年 24個 (研修院, 地点), ’10年 3個) 後賃借, 残った資金で 2,200億ウ ォン 新規店鋪 34個開設 (’09年) ’11年には地点を林なりに転換予定 11年には地点を林なりに転換予定 ’09年末 ~’10年 全国コールセンター処分及び追加売却予定 上半期 1,500億ウ ォン ’10年上 タバコ倉庫など遊休不動産売却 半期 1,000億ウ ォン 出所: 各種新聞記事によりNRI作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. ロッテデパート 盆唐店 ロッテマート ソウル九老店・道峰店、 京畿水枝店、全北益山店、釜山沙 上店 Sale&Lease-back方式 (BOAが売却主観社に選定、10年間賃借) 6,400億ウォン台 2009年に中国の大型流通業社タイムスの引受資金の充当 会社規模 中国東部地域の大型マート53個、 スーパーマーケット12個保有 引受金額 6.3億ドル規模 出所: ロッテショッピング監査報告書、新聞記事より野村総合研究所作成 74 II. 韓国の不動産市場の現況 - 住居 2000年代後半から、ソウル地域を中心に、住宅取引価格の成長が鈍化している 住宅価格の増減推移 (単位: %) 住宅価格の上昇鈍化 全国 注1: 基準時点 2008年12月 ソウル 出所: 国民銀行資料より野村総合研究所作成 注2: 価格設定基準は全国 144ヶ市・郡・区の住宅を母集団として統計抽出した21,600件 (マンション 17,775件、一戸建て 2,208件、長屋 1,617件)を調査対象の標本として選定し、 調査した全国住宅価格動向調査の結果 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 75 II. 韓国の不動産市場の現況 - 住居 住宅価格及び金利の下落により、傳貰(ジョンセ)に対する収益率は低下しており、 月貰(賃貸) 関連の需要が増加している 直 直近10年間では、傳貰と月貰の収益率の差は2倍以上あり、月貰の収益率が持続的に下落しているが、低金利基調で今後も傳貰の収益率は 、傳貰 月貰 倍 あ 、月貰 続 落 、 調 今 傳貰 低いと予想される。 2000年代以後、住宅価格の上昇停滞と低金利によって傳貰の期待収益率が低くなり傳貰の割合が減り、月貰の比重が増加している。 傳貰の収益率変化 (単位: %) 月貰利率 住居形態の割合変化 受信金利 (Certificate of deposit) 自家 16 00 16.00 100% 25 2.5 21 2.1 14.00 90% 15.8 15.4 17.6 23.9 傳貰 月貰 その他 28 2.8 28 2.8 30 3.0 00 0.0 14.5 14.8 19.0 21.7 29.7 28.2 22.4 20.6 49.9 53 54 2 54.2 55 6 55.6 57.7 1990 1995 2000 2005 2010 36 3.6 32 3.2 19.8 19.1 23.0 27 8 27.8 58.6 53 6 53.6 1980 1985 80% 12.00 70% 10 00 10.00 60% 8.00 50% 6.00 40% 30% 64.1 4 00 4.00 20% 2.00 10% 0.00 0% 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 注1: 傳貰は不動産の持ち主に一定の金額を預けて、その不動産を一定期間に借りて使う形態であり、 月貰は家や部屋を毎月借りて使う形態を意味 1975 出所: 統計庁、国民銀行資料より野村総合研究所作成 注2: 月貰利率(%) = {月貰金 / (傳貰保証金 - 月貰保証金)} ×100 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 76 II. 韓国の不動産市場の現況 - 住居 政府は、制度緩和及び支援政策を通じて賃貸住宅市場の活性化を推進しており、 その結果、賃貸住宅の供給が大幅に増加している 政府 政府は月貰の割合増加及び傳貰価格の増加による賃貸住宅市場の不安を軽減させるために、持続的に活性化対策及び規制緩和を実施して 月貰 割合増加及び傳貰価格 増加 よる賃貸住宅市場 不安を軽減さ る 、持続的 活性化対策及び規制緩和を実施 いる。 その結果、都市型生活住宅とオフィステルの供給が大きく増えている。 賃貸住宅の許認可推移 2011.1 国民住宅基金の貸出金利を2%に引下 2011.3 (単位: 所帯数) 都市型生活住宅 都市型生活住宅の世代数制限緩和 オフィステル 2011.4 ワンルーム型住宅と一般住宅の1世代複合許容 25000 2010.7 20000 都市型生活住宅の許認可 簡 簡素化、駐車場基準緩和 基 15000 2009.5 都市型生活住宅の施行 10000 2011.8 5000 オフィステルの賃貸事業登録の許容 0 09年 一 09年 二 09年 三 09年 四 10年 一 10年 二 10年 三 10年 四 11年 一 11年 二 11年 三 11年 四 四分期 四分期 四分期 四分期 四分期 四分期 四分期 四分期 四分期 四分期 四分期 四分期 注: 都市型生活住宅の2011年4半期は、10~11月の集計分 注: オフィステルとは、事務所・住居両用の施設を指す Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 出所: 国土海洋部資料より野村総合研究所作成 77 II. 韓国の不動産市場の現況 - オフィス ソウルのオフィス市場は、政府機関及び大企業の本社が立地しているCBD、 金融中心地域のYBD、IT関連中心地域であるGBD圏に分類できる 大企業、金融企業、IT企業、政府機関、大使館など、テナントの類型によって好むオフィス圏域が異なる。 機 ソウルの圏域別オフィス市場 CBD (Central Business District) ソウルで一番長い歴史を誇る最大規模 のオフィス圏域 1960年代に形成され、基盤施設が全部 揃っている 賃貸料はソウルで最高水準 大企業本社、外資係会社の韓国拠点、 保険/証券会社、政府機関、大使館等が 密集している YBD (Yeouido Business District) Gimpo 空港 1980年代後半から開発された地域 CBDに比べ早くオフィス開発が行われた 地域 CBD・GBDより賃貸料は低い水準 銀行、証券会社など金融機関 の本社が密集されている Seoul City hall GBD (Gangnam Business District) 1980年代中盤以後に形成され、 持続的な新規供給が行われた地域 1997年の金融危機以後、賃貸料が急 上し、CBDと類似の水準まで賃貸料が 上がっている IT関連企業が集中的に分布 出所: CBRE Report などより野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 78 II. 韓国の不動産市場の現況 - オフィス 2010~2011年のオフィス供給量は、過去平均よりも160~200%増加して約173万㎡まで拡大し、 2012年以後は、オフィス空室率の増加と、借り手に有利な市場環境が予想される 2010~2011年間に供給されたオフィスは、その約60%が都心(CBD)を中心として供給された。 ( ) 2010~2011年間の供給規模は、過去の平均供給量に比べて約162~194%の規模であり、今後も空室率の拡大が予想される。 2010~2011 都心(CBD) 中心の新規供給 2003~2009 江南圏(GBD) 中心の新規供給 2012~2015 汝矣島(YBD) 圏域の追加供給拡大 +94% +62% 2002 2009年の平均 2002~2009年の平均 新規供給 485,165 ㎡ 供給面積 ㎡ 684,654 711,067 467,753 477,758 391,720 372,210 507,208 268,946 784,183 942,901 441,866 230,310 235,374 449,381 出所: Shinyoung Asset 資料より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 79 II. 韓国の不動産市場の現況 - オフィス 2011年のオフィス売買取引は、オフィス需要が高いCBD地域で最も活発に行われており、 オフィス面積当たり取引価格は約400万ウォン/㎡となり、対前年比で大きく上昇した 2008年の金融危機以後、大きく下落したオフィス売買価格は、2009年以後に上昇しており、2011年には金融危機以前の水準まで回復した。対 前年比㎡当たりの売買価格では7.2%の上昇となった。 平均売買価格の上昇要因としては、2011年に取引された大型プライムビルの売却事例が挙げられる。 ソウルのオフィス圏域別の売買面積及び 1㎡当たり売買価格の推移 オフィス売買の平均取り引き価格 千(ウウォン/㎡ オフィス売買面積 ㎡( ) ) 出所: Shinyoung Asset 資料より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 80 II. 韓国の不動産市場の現況 - オフィス CBDのオフィス空室率は、2011年の新規供給量が吸収され2012年は小幅に下落し、 新規供給が少なかったGBDの空室率は下落基調に転換した CBDにおける大規模な新規供給によって、CBDの空室率は上昇基調であったが、既存の代替需要により2012年からは下落する見込みである。 賃料はすべての圏域で少し上昇、または横ばい基調である。 ソウルのプライム級オフィスの空室率 ソウルのプライム級オフィス市場の賃貸料 (単位: ウォン/3.3㎡/Month) CBD GBD YBD 全体 CBD 10.00% 100,000 8.00% 80,000 6.00% 60,000 4.00% 40,000 2 00% 2.00% 20 000 20,000 0.00% 0 Source: Shinyoung Asset 資料より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. GBD YBD 全体 Source: Shinyoung Asset 資料より野村総合研究所作成 81 II. 韓国の不動産市場の現況 - オフィス オフィス市場の収益率が低下しており、オフィス以外の用途に対する投資が拡大している ソウルのオフィス市場のキャップレートは5.6%台であり、去年に比べて約1%下落した。 オフィスの売買価格は高くなったものの、空室率の上昇で賃貸収益が落ち、テナント誘致費用が上昇したことが原因として考えられる。 売 格 高 も 室 貸 益が落 費 が が 考 ソウルオフィスCap RateとTreasury Bond Yieldの推移 (単位: %) 出所: CBRE資料より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 82 II. 韓国の不動産市場の現況 - オフィス 2011年は大規模、最新施設、差別化された附帯サービス、立地力などを揃えた大型プライムオフィス ビルが新規供給され、サービス及び機能差別化など、入居者確保のための多様な方案を模索中 2011年における主要なオフィス供給事例 CBD CBD CBD GBD YBD ビル名 Signature Tower 101 Pine Avenue A・B 南山 State Tower GT Building One IFC 所在地 中区 水標洞 中区 乙支路2街 中区 会賢洞 瑞草区 瑞草洞 永登浦区 汝矣島洞 99,994 ㎡ 129,984 ㎡ 66,799 ㎡ 54,583 ㎡ 88,248 ㎡ 2011.08 2011.06 2011.02 2011.09 新韓 BNP State 私募 不動産投資信託1 ガラク建設㈱ AIG Korea 不動産開発 面積 供給時期 2011.06 所有主 A-KOF私募不動産 投資信託 A:Mirae Asset Maps 資産 運用 B:Kims IND • 環境配慮のLEED等級ビ ル • 17階のTwin業務ビル • 最高等級ビル 最高等級ビ • 清渓川周辺立地、屋上 • 地下鉄 2、3号線の乙支路 • 朝鮮ホテルコンシェルジュ 3街駅と連結 庭園、屋外広場など入 及び飲み物サービス、 居者のための休息空間 • 層別賃料の差別化 VIP専用ラウンジ、メン を用意 バーシップクラブ及び高い シッ クラ 及び高 水準の付加サービス提供 特徴 • 賃料と保証金の比率調 • ショッピングモ ショッピングモール ル、ホ ホ • 流線形の外観デザイン 流線形 外観デザイ テル及び業務用施設 • 江南駅から1分距離の が開発された超大型 位置 複合業務団地 • 地下階にアイスリンク施 • 汝矣島国際金融地区 設 テナント Burson Marsteller Amore Pacific A:SK 建設 B:ハンソル製紙、ハンソル LCD ハンソル開発 LCD、ハンソル開発 法務法人世宗 Deloitte、大和証券、 第一企画、Roche Korea、 ING 資産運用、NY Kolon、法務法人ジョン Mellon 銀行、LG Haus ピョン ys 空室率 28% A:0%、B:70.8% 40% 0% 主要 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 19.3% 83 II. 韓国の不動産市場の現況 - ホテル 観光客数は2011年に約980万人を記録し、2005年以後は年間8%以上の成長率となっ ており、今後も外国人観光客数の上昇基調は持続すると予想される 訪韓外国人観光客数が急増し、5年間の平均成長率は8.4%となっており、2012年には1,000万人を超えると予想されている。 訪韓外国人観光客数 急増 、 年間 平均成長率 な おり、 年 , 人を超 る 予想され る。 中国人と日本人の観光客が全体の訪韓観光客の56%を占めている。 訪韓外国人観光客数の推移 (単位: 千名) 9,795 8,798 7,818 6 891 6,891 5,322 5,147 5,818 5,347 4,753 6,023 6,155 6,448 中国人 220万名 56% 日本人 330万名 出所: 観光知識情報システムより野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 84 II. 韓国の不動産市場の現況 - ホテル 訪韓外国人観光客が急激に増加し、ソウル市内のホテルに対する需要も増加しているも のの、供給は相対的に増えず、需要と供給の不均衡が生じている 2005年以後、ホテルの需要は7.2%増えたが供給は5.0%しか増加せず、ホテル客室数が不足している。 年以後、ホテ 需要 増 供給 増 ず、ホテ 客室数 不足 る。 外国人観光客数が今後も増加することを勘案すると、ホテルの客室需要は今後も拡大すると予想される。 ホテルの販売可能客室数と販売客室数の推移 客室 利用率 57 7% 57.7% 53 0% 53.0% 57 1% 57.1% 57 6% 57.6% 60 1% 60.1% 今後のソウル市内ホテル需要及び供給推移 63 9% 63.9% 9 2012年には外国人観光客が1,000万人を超過する見込み 9 2008年以後、年間100万人以上が増加し、今の流れを勘案すると ホテルの供給不足は持続すると予想される (単位: 1,000室) (単位: 室) 73,231 客室需要予測値 66,912 61,176 55,919 51 087 51,087 Note: 販売可能客室数(Available rooms): 年間販売が可能なホテルの総客室数、 販売客室数 販売客室数(Number of rooms sold): 年間で実際に販売した客室数 年間 実際 販売 た客室数 出所: 観光知識情報システムより野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 出所: ソウル市公開資料より野村総合研究所作成 85 II. 韓国の不動産市場の現況 - ホテル ソウル市内のホテルは、5つ星、4つ星級ホテルの割合が69%であり、 ソウル市内のホテル稼動率は約80%に達するなど、持続的な増加基調を示している 2006年以後、韓国ホテル市場の稼働率は年平均4.3%で増加しており、現在のホテル稼働率は80%以上となっている。 年以後、韓国ホテ 市場 稼働率 年平均 増 おり、現在 ホテ 稼働率 以 な る。 ソウル地域ホテル等級別客室数及び料金 ホテル等級別稼動率及び訪韓外国人数 69% (5&4 Star) (単位: %) 項目 客室料(院) 稼動率 (単位: 千名) 事例 特 1等級(5Star) 188,496 72% Westin Chosun、Hyatt、Shilla、Lotte、 Intercontinental 特 2等級(4Star) 106,229 81% Lotte City、Ramada、Holiday Inn、 Best Westin 1等級(3Star) 79,039 77% Ibis Ambassador 2等級(2Star) 77 173 77,173 57% 中小規模のホテル 3等級(1Star) 53,905 48% 中小規模のホテル 出所: 韓国館光ホテル業協会 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 出所: 観光知識情報システム、韓国観光公社 86 II. 韓国の不動産市場の現況 - ホテル 急増するホテル需要に対応し、現在ソウル市内の特級(5星)ホテル及びビジネスホテル開 発事業が活発に進行されている 現在ソウル市内で許認可をとり開発中のホテルは 41ヶ所であり、約6,000室のホテル客室が今後供給される予定となっている。 , ソウル地域ホテルの新規供給計画 3,230室 供給客室数 1,665室 1,490室 1,100室 350室 供給時期 開発計画 2011 2012 ホテル名 地域 ミリオレ 忠武路 コンラッドソウル* 汝矣島洞 グリンパーク 牛耳洞 エムプラザ 明洞 シソン観光ホテル 瑞草洞 モキュオアンバサダー 駅三洞 西橋洞観光ホテル 西橋洞 ココム観光ホテル 塩倉洞 ウォーターフロントホテル 潅水洞 ラマダホテル東大門 乙支路 ロサナ観光ホテル サナ観光ホ 石村洞 パロス観光ホテル 蚕室洞 バゴホテル 千戸洞 客室数 718 446 332 315 300 288 189 175 163 154 60 50 40 注: *表記ホテルは特級ホテル Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 2013 2014 ホテル名 ホテル新羅 地域 客室数 308 駅三洞 ウォーカーヒル 西橋洞 N/A イビアンバサダー 益善洞 363 東橋洞観光ホテル 東橋洞 230 JW マリオット東大門* 恩坪ニュータウン観光ホ テル リバナインホテル ビ観光ホテル ロ ズガ デン ローズガーデン 三星ブティックホテル モナム観光ホテル 鐘路6街 173 津寛洞 170 瑞草洞 新月洞 水踰洞 三成洞 駅三洞 59 48 47 46 46 2015 ホテル名 地域 客室数 クラウンプラザ(パークワン) 汝矣島洞 350 ロッテホテル 瑞草洞 300 ロッテホテル 清凉里 250 第2ロッテワールドホテル* 新川洞 250 ノボテルアンバサダー城北 城北洞 300 竜山国際業務地区ホテル* 竜山 N/A 出所: ソウル市資料より野村総合研究所作成 87 II. 韓国の不動産市場の現況 - 小売流通 2011年の小売流通市場の規模は約300兆ウォンまで成長しており、 特にコンビニと無店舗販売業種の成長が著しい 2005年以後は年間6.6%で成長しており、直近2010~2011年には8.5%の成長をした。 特に、コンビニと無店舗販売が年平均10%以上成長している。 小売流通市場規模 業態別成長率 (単位: 単位 10億ウォン) 億ウ 350,000 成長率 (2010~2011) CAGR (2005~2011) コンビニ 19.0% 14.1% スーパーマーケット 6.4% 5.3% デパート デ ト 11.1% 7.5% 100,000 無店鋪販売 10.4% 11.6% 50,000 大型マート 9.1% 7.6% 専門商品店 7.4% 5.4% 合計 8.5% 6.6% 業態 300,000 250,000 200,000 150,000 0 2005 2006 2007 専門商品小売店 1) 無店鋪販売 2) スーパーマーケット 2008 2009 2010 大型マート デパート コンビニ 注1: 専門商品小売店は家電、通信、文化商品小売店などを含む 2011 出所: 統計庁より野村総合研究所作成 注2: 無店鋪販売は通信、インターネット販売、訪問販売などを含む Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 88 II. 韓国の不動産市場の現況 - 小売流通 最近、保有運営を目的とする賃貸型ショッピングモールの開発が増加しており、 賃貸型モールは小売流通市場の新しい核として定着し始めている 主要賃貸型ショッピングモールの現況 Lotte Mall Gimpo Airport D-Cube City Times Square Centum City 開店時期 2011.12 2011.8 2009.8 2009.3 位置 ソウル金浦空港 ソウル新道林 ソウル永登浦 釜山CENTUMCITY 規模 31万4000㎡ (9万4985坪) 35万247㎡ (10万5950坪) 30万2000㎡ (9万1355坪) 29万3905㎡ (8万8906坪) 運営方式 ロッテ資産開発が賃貸型で運営 大成産業が賃貸型で運営 ギョンバンがショッピングモールを 賃貸運営、デパートは委託運営 デパート以外の空間は 賃貸型で運営 主要テナント ロッテデパート、ロッテマート、ロッ テシティホテル、ロッテシネマ、デ ジタルパーク、永豊文庫、トイザら ス Pororo Park、スペース新道林 (公演場)、デ-キュブシアター(大 劇場) 新世界百貨店(名品館含み)、 イーマート、マリオットホテル、 Kyobo文庫、アーマーリースウエ ディングホール、コオロングスポ レックス、CGV Kyobo文庫、アイスリンク、スパ ランド、CGV 特徴 デパートは販売手数料方式と賃 貸契約方式で契約 グループ社が Key Tenantとして 入店 大成産業はデ-キュブシティを売 却して、Master Lease 形式で運 営. MiraeAssetMaps資産運用が主 導するCR REITが買入 ギョンバンが事業主体でデパート 売上げは 56(ギョンバン):44(新 世界)で配分 駐車場はギョンバンが直接運営 して Tenantは割引券を購入して 支給 スパランドなど Key Tenantを委 託運営して附帯施設として活用 出所: 各社資料及び公開資料より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 89 II. 韓国の不動産市場の現況 - 小売流通 複合開発及び賃貸型モールの増加により、運営・管理ノウハウを保有した専門オペレーター の役割、及び新しい事業スキームが定着されると見込まれる 開発予定の複合開発商業施設 竜山国際業務団地 (YIBD) 板橋アルパドムシティ (Alphadom City) 松都国際業務団地 (SIBD) 釜山国際金融センター (BIFC) 完工目標時期 2016年 2014年 2015年 2014年 位置 ソウル特別市竜山区漢江路3街 京幾城南市盆唐区百玄冬 仁川広域市延寿区松都洞 釜山広域市南区ムンヒョン洞 規模 敷地 56万6800㎡ 敷地 14万2150㎡ 敷地 572万㎡ 敷地 10万2000㎡ 総事業費 約 31兆ウォン 約 5兆400億ウォン 約 25兆ウォン 約 9,600億ウォン 主要施設 111階(620m) ランドマークビル、 国際業務施設、商業施設、住商 複合マンション オフィステル 文 複合マンション、オフィステル、文 化施設 住商複合マンション、商業施設、 業務施設 ホテル 業務施設、ホテル 複合ショッピング団地、住居施設、 ホテル、オフィステル、オフィス、 文化施設 オフィスビルディング、デパート、 コンベンション(展示・会議)施設、 事務室 文化施設 デ タセン 事務室、文化施設、データセン ター 商業施設の 特徴 竜山駅から漢江辺までリテール ベリー(30万㎡)を取り入れて地下 空間活用 商業施設面積 52万8000㎡で現 代デパートと複合ショッピング モ ル売買約定採決 モール売買約定採決 オフィスビルディング低層にある 商業施設とロッテショッピングセン ター、住商複合など多様な形態 タ 、住商複合など多様な形態 の事業施設を導入 韓国銀行、技術保証基金などの 金融機関の業務施設と商業施設 の開発予定 KORAIL、SH公社、ロッテ観光 韓国土地住宅公社(LH)、地方行 政共済会 / ロッテ建設 三星電子、東亜制約、ロッテ資産 開発、イーランドグループ / ゲー ルインタ-ナショナル、ポスコ建 ルインタ ナショナル、ポスコ建 設 釜山都市工事 / 現代建設 主要参加主体 出所: 各社資料及び公開資料より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 90 II. 韓国の不動産市場の現況 - 投資者 公的年金基金の運用資産規模は約367兆ウォンであり、 収益構造の多様化などを目的に海外不動産などの不動産関連投資を拡大している 韓国における主要機関投資家の不動産投資の現状 (公的年金基金) 公的年基金 資産規模 不動産投資計画 最近の海外不動産投資事例 国民年金 National Pension Service 346兆ウォン (2011.11 基準) 運用資産規模拡大で、リスク分散の必要性と長期的で安定 的な収益源発掘のための海外投資拡大計画 海外投資比重を2015年まで最小20%に拡大する計画(15 年運用資産500兆ウォン⇒今後の5年間約70兆ウォンの海 外投資計画) 国内外不動産投資比重は2015年まで10%以上に拡大する 計画 アメリカ、ニューヨークのオフィスビルディング(Manhattan ( Helmsley ビル)買入(2011.6): 2,200億ウォン(全体持分の中 で49%確保) フランス 、パリの超大型ショッピングモール(O‘ PARINOR) 持分追加確保(2010.8): 1,650億ウォン(24%持分) (全体持分の中で既存51%→75%へと拡大) ドイツ、ベルリンのSony ドイツ ベルリンのSony Center全体を買入(2010.5): Center全体を買入(2010 5): 8 8,500 500 億ウォン、総 8つのビルで事務室、映画博物館.、映画館、ホ テルなどあり 私学年金 Korea Teachers Pension 12.5兆ウォン (2011.6 基準) - 日本の東京のオフ スビルデ ング買入(2010 5) 994億ウォ 日本の東京のオフィスビルディング買入(2010.5): ン(71億円)、エーザイ製薬が30年間長期賃貸 日本の横浜の商業オフィスビルディング買入(2010.5): 406 億ウォン(29億円)、食品会社中心の商業用オフィス 公務員年金 Government Employees Pension Service 8兆ウォン (2010.12 基準) - アメリカ、ニューヨーク マンハッタンの賃貸マンション団地事 業投資(2007.3): 総額1,600億ウォンの中で、500億ウォン投 資、投資金回収不可状態 出所: 各機関別資料及び公開資料より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 91 II. 韓国の不動産市場の現況 - 投資者 韓国の3大共済会の運用資産規模は約33兆ウォンであり、 市場環境によって戦略的に投資ポートフォリオを管理している 韓国における主要機関投資家の不動産投資の現状 (共済会) 主要共済会 資産規模 不動産投資計画 運用資産規模拡大によるリスク分散、収益構造多変化の ための海外実物投資(不動産など)の拡大計画 教職員共済会 Korean Teachers’ Credit Union 軍人共済会 Military Mutual Aid Association 20.8兆ウォン (2012.1 基準) 8.3兆ウォン (2011.10 基準) オルタナティブ投資など開発事業に積極投資、ヨ オルタナティブ投資など開発事業に積極投資 ヨーロッパ ロッパ 財政危機でリスクが大きくなった株式比重を減らす代わり にオルタナティブ投資を増やす方向に調整中 最近の海外不動産投資事例 ブラジル、サンパウロのA級オフィスビルディング買入推進 中(2012) アメリカ、シカゴのオフィスビルディング(Three First National Plaza ビル)買入(2011): 908億ウォン、教職員共 済会 63%、セマウル金庫連合会 金庫連 会 35% 投資 資 今後の開発事業部門には7,000億ウォンを追加投資し、規 模を4兆8,000億ウォンまで拡大する計画 アメリカ、サンフランシスコのオフィスビルディング(333 Market Street Building)買入(2010): 総 4,039億ウォンの 中で、978億ウォン投資、金融/法律関連主要テナント入住、 好実績、最近私募ファンドが買入価格より20%以上の高い 価格を提示 既存の ハイリスク・ハイリターン方式から変化し、一番大き かった不動産比重は減らして金融資産比重を増やす計画 ベトナム ノイ バ プ新都市 シ 建設事業投資 ベトナム、ハノイのバンプ新都市のマンション建設事業投資 (2011): 約 400億ウォン、マンション 4件に 1,316世帯(総 団地規模 4,514世帯) 出所: 各機関別資料及び公開資料より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 92 II. 韓国の不動産市場の現況 - 投資者 韓国の主要機関投資家である年金基金及び共済会の、 現在の不動産投資割合は約3~6%であり、今後はその割合が高まっていくと見込まれる 韓国の主要年金基金及び共済会の不動産投資割合 資産 規模 346兆ウォン 12.5兆ウォン 8兆ウォン 20.8兆ウォン 8.3兆ウォン (単位: %) 出所: で表記された機関は不動産を含んだオルタナティブ投資比重 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 出所: 各機関の公開資料及び各種記事より野村総合研究所作成 93 II. 韓国の不動産市場の現況 - 投資者 韓国の代表的な機関投資者である国民年金公団(NPS)は、 現在、世界トップ4の資産規模を有している 国民年金公団の資産規模は 2040年には2,400兆ウォンまで増加し、世界最大規模の年金基金になると予測されている。 現在の運用資産の中で、約13%の45兆ウォンを海外市場に投資しており、2016年までに海外投資割合を約20%水準まで拡大し、約100兆ウォ ンの海外投資ができると展望されている。 NPSの不動産投資推移 NPSの資産規模 (単位: 兆ウォン) (単位: 億ウォン) 世界 1位 79,721 , 67,193 45,583 世界 4位 23,958 10,726 1,826 注: 2011年は11月末基準 出所: NPS 及び各種記事より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 4,627 出所: 2007年は9月末基準、2011年は6月末 基準、2011年は6月末までの投資規模 出所: NPS 及び各種記事より野村総合研究所作成 94 II. 韓国の不動産市場の現況 - 投資者 国民年金公団(NPS)は、大規模投資が行われた2009年以後、 海外不動産の投資収益率が回復基調になりつつある 2009年のKDX豊洲グランドスクエア(東京、日本)の投資から始まり、最近3年間に約4兆5千億ウォン規模の海外不動産投資が実施されている。 2009年のKDX豊洲グランドスク ア(東京、日本)の投資から始まり、最近3年間に約4兆5千億ウォン規模の海外不動産投資が実施されている。 直近4年間、国民年金公団の国内不動産の投資収益率は5.4%、SOC(Social Overhead Capital)の投資収益率は4.1%となっている。 国民年金公団の海外不動産収益率 国民年金公団 海外不動産投資主要事例 国民年金公団の海外不動産投資主要事例 (単位: 億ウォン, %) 4年平均収益率 NPS発表 1.79% 国会発表 -7.6% 年度 投資対象 時期 国家 規模 持分率 KDX Toyos Grand Square ’09 09.06 06 日本・東京 970 49 Macerich ’09.09 (単位: %) イギリス・ ロンドン 1,730 50 88 Wood Street ’09.10 イギリス・ ロンドン 1,850 100 HSBC Tower ’09.11 イギリス・ ロンドン 14,860 100 Aurora Place ’10.03 オーストラリア・ シドニー 7,570 100 2010年 Sony Center ’10.06 ドイツ・ ベルリン 3,380 99 O’Parinor Shopping Mall ’10.10 フランス・ パリ 5,425 51 Helmsley Building ’11.06 アメリカ・ ニュ ヨ ク ニューヨーク 5,000 49 中小規模ショッピングセンター ’11.06 アメリカ・ ニューヨーク 2,890 11 海外不動産に対する 本格的な投資を始め 2011年 注: NPS 発表値は 2010年から公正価値評価を反映した数値 出所: 国民年金公団、各種記事より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 50 ’09.10 2009年 40 Grosvenor 収益率回復傾向 アメリカ・ニュージャー 1,520 ジー、フェニックス 出所: 各種記事より野村総合研究所作成 95 II. 韓国の不動産市場の現況 - 投資者 韓国の生命保険業界の不動産運用規模は、2011年では約13兆ウォンであり、 運用資産の中での不動産投資の割合は約3%水準となっている 生命保険業界で運用中の不動産資産は、2011年では約13兆ウォン規模である。 生命保険業界の総資産の中での運用資産の割合は約75~80%水準であり、この中でも不動産資産の割合は約3%程度で減少傾向にある。 韓国生命保険業界の不動産資産(運用)規模 韓国生命保険業界の資産運用の推移 (単位: 兆ウォン) 注: 2011年は9月末基準 出所: 金融監督院、金融統計情報システム Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 注: 2011年は9月末基準 出所: 金融監督院、金融統計情報システム 96 II. 韓国の不動産市場の現況 - 投資者 上位3社の生命保険会社の運用資産に占める不動産の割合は約4%前後である 生命保険上位3社の不動産資産(運用)の割合 (単位: 10億ウォン) Kyobo生命 교보생명 三星生命 삼성생명 大韓生命 대한생명 三星生命 Kyobo生命 大韓生命 4.5 4.3 41 4.1 4.1 3.9 3.4 3.1 Note: 2011年は9月末基準 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 4.5 4.2 3.9 3.9 3.5 3.6 3.5 出所: 金融監督院、金融統計情報システム 97 II. 韓国の不動産市場の現況 - 投資者 韓国のREIT市場は、低迷するPF(ProjectFinancing)市場を代替する間接投資の手法とし て見なされており、2008年以後急成長し、新規プレイヤーも増加している 韓国のREITの資産規模は2005年以後、年平均29.8%で成長しており、成長トレンドが軟化した直近の2年間も約9.6%で成長している。 現在の成長基調が維持される場合、2014年末にはREIT資産規模は10兆ウォンを突破することが見込まれる。 韓国のREIT資産規模及び収益率の推移 REIT 数 11 14 18 20 35 51 (単位: 億ウォン) 最近韓国REIT市場動向 70 (単位: %) 母子型(Parent-subsidiary)REIT制度の 導入による市場活性化期待 9 2012年から年基金で投資した母REITがいくつかの子 REITに投資する形態のREITを導入 9 母REITから投資を受けた子REITは投資資金の公募義務 の規定を免除 9 年金基金の中小型不動産投資及び開発事業参加を誘導 するために提案された制度 オフィス投資中心から投資対象の多様化中 9 オフィス投資が全体の67%を占める 9 ホテル、都市型生活住宅などへと投資対象の拡大中 出所: 国土海洋部及び韓国REITs協会、KORAMCOより野村総合研究所作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 98 II. 韓国の不動産市場の現況 - 投資者 韓国不動産の景気低迷の持続から、安定的な収益が保証される不動産ファンドに対する ニーズが増加しており、不動産ファンドの規模が急上昇している 2008年金融危機の前には8兆ウォン以下だった不動産ファンドの規模は、約4年間で2倍近く急増し、2011年12月末時点では約16兆4,000億ウ ォンまで増加した。 z 年金基金、共済会、保険会社など大型機関投資家がオルタナティブ投資として好み、投資割合も持続的に拡大。 韓国の不動産ファンドのAUM(Asset Under Management)の推移 (単位: 億ウォン) 注: 各年度の12月末ファンド設定額基準、私募及び公募合計 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 出所: 金融投資協会 99 III. 2012年における韓国の不動産関連動向及び今後の変化方向 企業の保有不動産に対する認識及び活用パターンが変化し、生存のための新しい事業 スキーム及びプレーヤーの登場により、2012年韓国の不動産市場は新転機を迎えている 韓国の不動産市場の現況(Asset) ( ) Market pricing 価格横這い・下落基調 海外依存型の経済構造 Office ↓ 収益型賃貸住宅の拡大 ↓ ホテル開発の増加 ↓ Hotel 大企業中心の成長構図 Commercial 賃貸運営型ショッピングモール増加 新市場開拓のための国内保有 資産の積極的な活用 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. ↓ 供給の過剰 Residence 製造業中心の基盤 韓国の不動産市場の現況(Player) 韓国の不動産市場の現況( y ) 投資型の不動産Asset及び 事業スキームの多様化 事業スキ ムの多様化 ↓ 韓国の経済構造の特徴(Market) ( ) 海外などへの不動産投資の拡大 資産の流動化及び開発の拡大 REIT及び不動産ファンドの拡大 Player別の役割の 細分化及び機能の変化 100 日本 進展する成熟化と震災からの復興 日本: 中国: 住宅市場、土地市場の概況 韓国: 転機を迎えている韓国の不動産市場 台湾: オフィス、住宅、ホテル市場の概況 1 台湾のマクロ経済環境 1.台湾のマクロ経済環境 2.台湾の不動産市場の現況(オフィス、住宅、ホテル) Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 101 台湾のマクロ経済環境-(1)概要 中華民国(台湾)の実効支配領域は九州ほどの面積であり、2,300万人の人口を擁する 台湾の基本情報 馬祖・金門地区 基隆市 首都・台北市 台中市 澎湖諸島 台南市 高雄市 国名 中華民国(1912年10月10日建国) (※但し国民政府遷台は1949年) 元号 「民国」 (西暦2011年=民国100年) 首都 台北市(人口約266万人) 主要都市 高雄市(人口:約152万人)、台中市、台南市、基隆市 面積 約36,200平方キロメートル(九州よりやや小さい) 人口 約2,312万人(2010年1月現在) 漢民族98%(外省人13%、本省人85%)、原住民2% 通貨 ニュー台湾ドル(NTD) 1NTD=約2.69円(2011年2月現在) 名目GDP 4,673億ドル(2011年) 1人当たり名目GDP 20,154ドル(2011年) 在留邦人数 14,173 人(2011年1月現在) 日系企業数 台北市日本工商会会員社 411社 (2011年) 台中日本人会法人会員数 46社 (2011年) 高雄日本人会法人会員数 85社 (2011年) 日本との間の旅客数 日本からの訪台者数108万人(2010年) 台湾からの日本向け出境者数 137万人(2010年) Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 102 台湾のマクロ経済環境-(2)人口 台湾の人口は増加を続けているが、10年以内にピークアウトする見込みである 生産年齢人口は2015年、総人口は2022年にはピークアウトする見込みであり、人口減少が目前に迫っている。 生産年齢人口は2015年、総人口は2022年にはピ クアウトする見込みであり、人口減少が目前に迫っている。 年齢層別人口推移 ←実績 25,000 予測→ 年齢階層別人口(単位 位:千人) 20 000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 0~14歳人口 15~64歳人口 65歳以上人口 出所)中華民国行政院経済建設委員会資料よりNRI作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 103 台湾のマクロ経済環境-(3)人口 人口密度は日本の約2倍と高密度に人口が分布している 台湾と日本の人口分布の比較 国土面積 400,000 総人口 140 377,944 250,000 200 000 200,000 150,000 100,000 100 80 60 40 23 36 192 36,192 20 20 0 0 台湾 日本 639 600 600 人口密度(単位 位:人/平方km) 300,000 50 000 50,000 700 128 120 120 総人口(単 単位:百万人) 国土面積(単 単位:平方km) 350,000 , 人口密度 500 400 337 300 200 100 100 0 台湾 日本 台湾 日本 出所)中華民国内政部、総務省統計資料よりNRI作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 104 台湾のマクロ経済環境-(3)経済規模 一人あたりGDPは日本の40%程度、所得水準は60%程度である 台湾と日本の経済規模の比較 一人あたりGDP 人あたりGDP(2010年) GDP(2010年) 6,000 42,783 45,000 5,459 世帯所得(2010年) 250 40,000 4,000 3 000 3,000 2,000 1,000 430 430 35,000 年間世帯収入(単位 位:万新台幣) 一人あたりGDP(単位:USD) 名目GDP(単位:10億USD) 5,000 2.3倍 30,000 25,000 20,000 18,558 15,000 10,000 5,000 0 0 台湾 日本 出所)IMF資料よりNRI作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 194 200 1.7倍 150 112 112 100 50 0 台湾 日本 出所)IMF資料よりNRI作成 台湾 日本 出所)中華民国行政院主計処、総務 省統計局資料よりNRI作成 105 台湾のマクロ経済環境-(4)経済成長率 台湾経済は4-5%程度の安定的な成長を続けている 2001年のIT 2001年のITバブル崩壊、2009年のリーマンショックの影響でマイナス成長を記録したが、いずれの局面においても素早く安定成長軌道へと回 ブル崩壊、2009年のリ マンショックの影響でマイナス成長を記録したが、いずれの局面においても素早く安定成長軌道 と回 復している。 安定的な経済成長を達成している要因は、中国経済の成長を上手く取り込んできている点にある。今後も台中間の両岸関係の改善が進むこと で更なる経済成長が期待される。 GDP成長率の推移 12 10.72 10 GDP成長率 率(%) 8 6 6.19 5.8 5.44 5.26 5.98 47 4.7 4.03 3.91 3.67 4 2 0.73 0 ‐2 ‐4 ‐1.65 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. ‐1.81 出所)中華民国行政院主計処よりNRI作成 106 台湾のマクロ経済環境-(5)台中関係の変化 2008年に馬英九政権が誕生した後、台中間の両岸関係は大きく改善している 馬英九政権下における「両岸融和」の経緯 2008年5月 国民党の馬英九氏が第12代台湾総統に就任 5月 胡錦涛氏(中国国家主席)と呉伯雄氏(国民党主席)の国共トップ会談が実現 6月 江丙坤氏(海基会理事長)と陳雲林氏(海協会会長)の第1次両岸窓口機関のトップ会談を実施 7月 中国人の台湾観光が解禁(団体旅行) 12月 大三通(通商、通航、通郵の自由化)の実施 12月 月 中国から台北市動物園に2頭のパンダ(団団と円円)が贈られる 中国から台北市動物園に 頭の ンダ(団団と円円)が贈られる 12月 両岸産業架け橋プロジェクト:「両岸漢方薬産業協力交流会議」を台北市で開催 2009年1月 馬英九総統が初めてECFA(中台経済協力枠組み協議)に言及 2月 台湾故宮博物院と北京故宮博物院が正式にトップ交流をスタート 4月 第3次両岸窓口機関トップ会談。両岸の金融協力(銀行・証券・保健)を記した覚書を締結/チャーター便の定期便化、増便 5月 中国人ビジネスマンの招聘規制を緩和。営業額3000万元以上の企業は年間200人(従来は50人)を招聘することが可 7月 中国資本による台湾投資を開放(製造業63項目、サービス業24項目、公共事業11項目) 11月 2010年2月 両岸金融MOUの締結(2010年1月に発効) 経済部が液晶ディスプレイパネル及び半導体ウェハー生産事業の中国投資を開放 5月 台湾、中国の観光当局が窓口機関を相互開設。4日に台湾海峡両岸旅遊交流協会の北京事務所が、7日に中国海峡両岸 旅遊交流協会 台北事務所が業務を始めた 旅遊交流協会の台北事務所が業務を始めた。1949年以来、中台間の政府出先機関の相互開設は初 年 来 中台間 政府出先機関 相互開設は初 6月 第5次両岸窓口機関トップ会談。ECFAに署名。中国側539項目、台湾側267項目の早期関税引き下げリストが発表される Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 107 台湾のマクロ経済環境-(5)台中関係の変化 中台経済協力枠組み協議(ECFA)締結により中国との経済一体化が進展するとともに、 大中華圏全体での経済の一体化が進む 中国を中心とする大中華圏では、1997年の香港、99年のマカオ返還、2002年のASEANとのACFTA締結、2010年の台湾とのECFA締結を経 て、経済の一体化が加速する。 台湾と中国との間でECFAが発効することにより、中国側539項目、台湾側267項目の品目の関税が段階的に引き下げられるとともに、サービ ス業への投資が開放された。これに伴い、中国・台湾双方向の投資が促進されることが期待されている。 大中華圏経済の一体化 香港 カオ返還 香港/マカオ返還 (1997、99年) ECFA締結 (2010年) 中国 台湾 ACFTA締結(2002年) 関税撤廃(2010年) 経済協定締結交渉 (2011年~ シンガポール) ASEAN Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 108 オフィス市場-(1)主要エリア 台北市内の主要オフィスエリアは7つの地域である 台北市内の主要オフィスエリア 松江南京 内湖科技園区 • 市内でオフィス密度が最も高いエリアで ある。 • このエリアには多くの日本企業のオフィ スが立地している他、伝統産業、金融 サービス業、旅行業が多く集積している。 • 市政府が科学技術園区としての発展を 目指しているエリアであり、IT産業の本 部が多く集積している。 • MRTの延伸に伴い、交通利便性が向上 したエリアでもある。 内湖 科技園区 台北松山空港 中山北 • オフィスとともに商業施設、ホテル等が集 積するエリアである。 • 日本企業のオフィスも多く立地している。 中 山 北 松 江 南 京 敦 化 民 生 敦北民生 • 信義区に次いで多くの高級オフィスが集 まるエリアであり、金融サービス業が集 積しているエリアである。 • 松山空港の国際化にともない交通利便 性が大きく向上したエリアである。 台北駅地区 信義世貿 敦 南 台北駅地区 • 台湾国鉄、MRT、高速鉄道の3路線が交 差する台北駅を中心とした地区 ある 差する台北駅を中心とした地区である。 • 市内で最も早くオフィス開発が進められ たエリアであり、金融保険業、政府機関 が集積している。 敦南 • 有名企業や外資企業が多く集積している エリアである。 • 金融業以外、伝統産業も多い • 交通利便性を背景に、住商混合エリアと して発展 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 信義世貿 • 信義計画として再開発が進められたエリ アであり、市内で最もオフィス賃料が高い エリアである。 • エリア内には行政、金融、貿易展覧、レ ジャー、住宅等の機能が集積しており利 便性の高いエリアである。 • IBMやMicrosoftなどのグローバル企業 IBMやMicrosoftなどのグロ バル企業 も多く入居している。 出所)台地区房地産年鑑等資料よりNRI作成 109 オフィス市場-(2)需給動向 台北市内のオフィス空室率は2008年を境に上昇に転じ10%を超える水準にある 台北市内で大型ビル(台北101)が開業した2004年に大幅に空室率が上昇した後、空室率は減少傾向にあったが2008年を境に再び上昇を始 めている。 台北市内の新規オフィス供給量と空室率の推移 120,000 16 14 100,000 80,000 10 60 000 60,000 8 空室率(%) 新規供給面積(単位:坪) 12 6 40,000 4 20,000 2 0 2002年 Note:棒グラフは年間合計の 新規供給面積を表す。 0 2003年 2004年 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 2005年 2006年 新規供給(坪) 2007年 2008年 空室率(%) 2009年 2010年 出所)台湾地区房地産年鑑よりNRI作成 110 オフィス市場-(3)賃料水準 平均オフィス賃料は平均で2,000元/坪程度である 主要オフィスエリアの概況(2011年第一四半期) 地域 供給フロア面積 供給 面積 (坪) 空室率 (%) A級オフィス 平均賃料 (新台幣/坪/月) B級オフィス 平均賃料 (新台幣/坪/月) 台北駅地区 62,140 8.4% 2,200 1,685 中山北路地区 32,930 6.6% --- 1,771 南京松江地区 236 340 236,340 8 7% 8.7% 1 952 1,952 1 681 1,681 民生敦北地区 265,350 11.9% 2,310 1,709 敦化仁愛地区 174,210 10.5% 2,439 1,728 信義地区 265,350 17.6% 2,831 1,648 出所)CBREデータよりNRI作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 111 オフィス市場-(4)今後の供給見通し 2013年頃に多くのオフィスが新たに供給されるものと考えられる 直近1年以内のオフィス供給量は少ないとみられているが、2010年の建設ライセンスの発行件数、延 直近1年以内のオフィス供給量は少ないとみられているが、2010年の建設ライセンスの発行件数、延べ床面積は、ともに過去最高の水準であ 床面積は、ともに過去最高の水準であ り、建設期間を勘案すると2013年頃には新規のオフィス供給が増加するものと考えられる。 台北市内のオフィス建設ライセンスの発行件数と延べ床面積の推移 70 1,200,000 1,000,000 建設ライセンス発行 行件数 50 800,000 40 600,000 30 400,000 20 200,000 10 0 建設ライセンス ス発行延べ床面積 積(m2) 60 0 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 件数(左軸) 延べ床面積(右軸) 出所)中華民国内政部営建署統計よりNRI作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 112 住宅市場-(1)人口分布 台北市および新北市の人口は670万人、総人口の3割弱がこの2市に集積している 台北市及び新北市の位置と人口 台北市 人口 266万人 新北市 人口 405万人 出所)中華民国行政院主計処統計よりNRI作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 113 住宅市場-(1)人口分布 近年は台北市内では人口が減少し、外縁の新北市で人口増加が進んでいる 最近5年間の台北市と新北市の行政区別人口増減率 石門 台北市 基隆市 三芝 金山 萬里 淡水 桃園縣 新北市 基隆市 八里 林口 宜蘭縣 五股 蘆洲 台北市 汐止 三重 雙溪 新荘 板橋 永和 鶯歌 貢寮 平溪 泰山 樹林 瑞芳 深坑 中和 石碇 土城 新店 坪林 宜蘭縣 三峡 凡例:年平均成長率 X<0 烏來 桃園縣 0 < X < 0.5% 0.5% < X < 1.0% 1 0% < X < 1.5% 1.0% 1 5% 1.5% < X < 2.0% 2.0% < X < 2.5% 出所)中華民国内政部統計よりNRI作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 114 住宅市場-(1)人口分布 台北市及び新北市でのMRT建設が郊外化進展の一因となっている 台北周辺のMRT整備状況 路線 淡水 区間 開通年 中山国中-動物園 1996年3月 中山国中-南港展覧館 2009年7月 淡水線 淡水-台北駅 1997年3月 中和線 古亭-南勢角 1998年12月 新店線 台北駅-新店 1999年11月 龍山寺-市政府 1999年8月 龍山寺-新埔 2000年8月 市政府-昆陽 2000年12月 新埔-永寧 2006年5月 昆陽-南港 2008年12月 南港-南港展覧館 2011年2月 蘆洲-忠孝新生 2010年11月 輔大-大橋頭 2012年1月 忠孝新生-古亭 2012年6月 迴龍-輔大 2014年11月 信義線 中正紀念堂-象山 2012年12月 土城線 永寧-頂埔 2013年12月 松山線 松山-西門 2013年12月 淡水 文湖線 【台北駅から約10km】 北投 新北投 五股 【台北駅から約5km】 蘆洲 大直 板南線 蘆洲 泰山 新北産業園区 三重 民権西路 南港展覧館 三重 松山 至 桃園国際空港 西門 台北駅 忠孝新生 中正紀念堂 輔大 板橋 板橋 南港 景安 中和 樹林 新莊線 古亭 木柵 永寧 蘆洲線 汐止 新荘 迴籠 内湖 台北松山空港 動物園 大坪林 南勢角 環状線 小碧潭 桃園空港線 頂埔 新店 新店 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 新北産業園區-大坪林 新北産業園區 大坪林 2015年12月 三重-環北 2013年6月 台北車站-三重 2014年8月 出所) 台北市政府捷運工程局資料よりNRI作成 115 住宅市場-(2)住宅価格 金融危機後の一時的な価格下落を除き、台北市、新北市の住宅価格は上昇を続けている 住宅価格の推移 新北市 2011年4Q 価格 37万元/坪 250 住宅価格指数 (2001年を1 100とする指数 数) 200 金融危機の影響 台北市 2011年4Q 価格 69万元/坪 150 100 50 0 2003年 2004年 2005年 2006年 台北市 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 2007年 2008年 新北市 2009年 2010年 2011年 出所)國泰建設「國泰房地産指數季報」よりNRI作成 116 住宅市場-(2)住宅価格 台北市内中心部の住宅価格は100万元/坪を超える 台北市・新北市の主要地点における住宅単価(単位:万元/坪) 士林:70-100 蘆洲:35 -45 中山:65-90 三重:43 -55 内湖:73-78 松山空港 台北駅 松山: 70-80 信義:150-200 新荘:40-50 新荘 40 50 大安:120-160 板橋:70-85 萬華 萬華:45-50 Note:各地点の価格は主要MRT駅周 辺の価格相場を示している。 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 中正:80-100 永和:45-50 永和 45 50 中和:35-40 出所)住展房屋網よりNRI作成 117 住宅市場-(2)住宅価格 一方で賃料の水準は極めて低く、台北市内ではキャップレートが2%を下回る物件も多い 各地物件のキャップレート 台北市 新北市 所在地 台北市大安区 台北市内湖区 台北市中山区 所在地 新北市中和区 間取り 5LDK 2LDK 3LDK 間取り 1LDK 面積 60坪 38坪(駐車場含む) 23.1坪 面積 18坪 築年数 築 数 28年 2年 43年 築年数 築 数 0.5年 価格 5,500万元 1,500万元 2,190万元 価格 750万元 家賃 6 5万元 6.5万元 2万元 2 2万元 2.2万元 家賃 1 6万元 1.6万元 Cap Rate 1.4% 1.6% 1.2% Cap Rate 2.6% 出所)所有者インタビュー、591房屋交易網等資料よりNRI作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 118 住宅市場-(3)今後の供給見通し 建設ライセンスの件数が減少しており、これまでに比べて供給量が減少すると考えられる 建物の建設に必要となる建設ライセンスの発行件数 建物の建設に必要となる建設ライセンスの発行件数・建設戸数ともにピーク時に比べて減少傾向にあり、これまでに比べて住宅供給量が減少 建設戸数ともにピ ク時に比 て減少傾向にあり、これまでに比 て住宅供給量が減少 する物と考えられる。 一方で、政府が安価な住宅供給を進める政策を進めており、公用地を活用した社会住宅整備が今後進められていく見込みである。 住宅建設ライセンスの発行件数推移 台北市 450 新北市 14,000 400 12,000 建設ライ イセンス発行件数 250 8,000 200 6,000 150 4,000 40,000 700 35,000 600 30,000 500 25,000 400 20,000 300 15,000 200 10,000 100 5,000 建 建設ライセンス発行戸 戸数 300 建 建設ライセンス発行 行戸数 10 000 10,000 建設ライセンス発行件数 350 800 100 2,000 50 0 0 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 件数(左軸) 戸数(右軸) 0 0 0 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 件数(左軸) 戸数(右軸) 出所)中華民国内政部営建署統計よりNRI作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 119 ホテル市場-(1)来台外国人旅行者数の推移 中国大陸居住者の観光旅行解禁により台湾を訪問する旅行者が大幅に増加している 訪台湾旅行者の半数は中国大陸居住者と日本居住者が占めている。 中国大陸居住者に対する観光旅行制限の更なる緩和が予定されており、今後も訪台旅行者は増加が見込まれる。 訪台湾海外旅行者数の推移(居住地別) 中国大陸居住者の 個人観光旅行解禁 7,000 訪台湾海 海外旅行者数の の推移(単位:千人) 6,087 6,000 5,567 中国大陸居住者の 団体観光旅行解禁 5,000 4,395 4,000 3,000 3,378 3,520 2,624 2,831 2,978 3,716 3,845 2,950 2,248 日本 129万人 2 000 2,000 約50% 1,000 中国大陸 178万人 0 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 日本 その他 2007 2008 2009 2010 2011 出所)交通部観光局統計年報よりNRI作成 中国大陸 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 120 ホテル市場-(2)台北市内のホテルの需給 台北市内の観光ホテル客室稼働率は75%を超える高い水準を維持している 台北市内の観光ホテル客室数と稼働率の推移 国際観光旅館 稼働率 69.2% 76.8% 74.8% 75.2% 72.0% 71.1% 75.6% N/A 12,000 +5.0% 10 000 10,000 1,306 +8.5% 8 5% 1,263 1,263 2,040 1,383 1,357 8,324 8,013 7,786 7,738 7,898 8,323 2006 2007 2008 2009 2010 2011 8,000 客室数 数 1,974 1,263 6,000 4,000 9,202 8,879 2,000 0 2004 2005 Note:観光旅館とは交通部観光客の定め得る基準に適 合しているホテルを指し、その水準により国際観光 旅館と一般観光旅館とに分類される。2011年12月 末現在、台北市内の国際観光旅館は25軒である。 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 国際観光旅館 一般観光旅館 出所)交通部観光局統計よりNRI作成 121 ホテル市場-(3)今後の供給見通し 今後も大型ホテルが開業する予定であり、台北市内の客室供給量は増加する 台北市内ではホテルを含めた複合施設の開発が進められており、今後客室供給量が増加する。 また、台北市内では既存のホテルがこれらの新規ホテルに対抗するために、更新投資を積極的に実施していく見込みである。 台北市内のホテル開発計画の概要 名称 マンダリン オリエンタル オークラ プレステージ台北 大直福華飯店 宜華國際觀光旅館 美福國際觀光旅館 所在地 敦化北路 中山北路 中山区大直 中山区大直 中山区大直 延べ床面積 100,000m2 30,000m2 30,000 40,000m2 200,000m2 79,000m2 (商業施設を含む) (国際会議場 住宅を含む) (国際会議場、住宅を含む) (オフ スを含む) (オフィスを含む) (商業施設 S 等含む) (商業施設、Spa等含む) 客室数 300室 208室 320室 320室 153室 オープン予定 2012年 2012年 2014年 2015年 2015年 現状 施工中 施工中 施工中 施工中 --- 出所)中華民国交通部観光局資料、各社公表資料よりNRI作成 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 122 執筆者一覧 金 惺潤 SungYun KIM 谷山 智彦 Tomohiko TANIYAMA 崔 慈玲 JaRyoung CHOI 上級コンサルタント 主任コンサルタント Director 【執筆担当】全体監修 【専門領域】不動産企業の経営戦略、機関投 資家のリアルアセット投資研究、不動産市場研 資家 リ ット投資研究、不動産市場研 究 【執筆担当】全体監修、日本の不動産投資市 場の概況、日本のオフィス市場 【専門領域】不動産等のオルタナティブ投資 【専門領域】不動産等 タナティ 投資 市場に関する調査研究、金融商品開発 【執筆担当】韓国の不動産投資市場 【専門領域】不動産事業戦略及び投資戦略立 案、事業計画立案、実行支援 案、事業計画 案、実行支援 北崎 朋希 竹端 克利 白 英華 Tomoki KITAZAKI Katsutoshi TAKEHANA Yinhua BAI 主任コンサルタント 副主任コンサルタント 主任コンサルタント 【執筆担当】日本の住宅市場、日本の商業施 設市場、日本のホテル市場 【専門領域】都市・不動産分野に関する調査 研究、事業計画立案、実行支援 【執筆担当】日本のマクロ経済環境 【専門領域】マクロ経済分析、経済統計、金 融市場分析 【執筆担当】中国の不動産投資市場 【専門領域】都市・地域開発、不動産事業戦 略 小口 敦司 Atsushi KOGUCHI 荒木 康行 小長井 教宏 副主任コンサルタント 副主任コンサルタント 主任コンサルタント 【執筆担当】日本の物流不動産市場 【専門領域】不動産、交通・物流を代表とす るインフラ企業の事業・経営戦略立案、市場 環境分析 【執筆担当】日本のマクロ経済環境 【専門領域】不動産・インフラ分野における投 資環境分析・事業戦略立案 【執筆担当】台湾の不動産投資市場 【専門領域】インフラ分野における開発計画 策定、事業戦略立案 小石川 祥子 立松 博史 Shoko KOISHIKAWA Y Yasuyuki ki ARAKI Hirofumi TATEMATSU コンサルタント 主席コンサルタント 【執筆担当】日本 不動産投資市場 概況、 【執筆担当】日本の不動産投資市場の概況、 日本の商業施設市場 【専門領域】不動産・インフラ分野における 投資環境分析、投資ファンド、事業戦略 【執筆担当】全体監修、 ド イザ 【執筆担当】全体監修、アドバイザー 【専門領域】経営戦略、事業戦略 Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. Mi hihi KONAGAI Michihiro 問い合わせ先: 株式会社野村総合研究所 コンサルティング事業本部 123