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平成27年度やまなし食の安全・食育推進大会(平成27年9月15日) 食べ物の基礎知識 食品の安全と消費者の信頼をつなぐもの 食品安全委員会事務局 情報・勧告広報課 1 A 食べ物の基本 人はなぜ食べるか 農場から食卓まで 加工・調理法の重要性 B 食品安全の基本 食品の安全に絶対はない ハザードとリスクとは 安全と安心 2 A 食べ物の基本 3 人はなぜ食べるか 独立栄養生物 従属栄養生物 植物、光合成細菌 動物、細菌、カビ、酵母 作る 様々な有機物 脂質、アミノ酸、タンパク質 酸素 糖 様々な有機物・糖 動物 使う 酸素 生産者 植物 エネルギー 様々な生命活動 太陽エネルギー (作物) ヒト 二酸化炭素 二酸化炭素 分解者 食物連鎖、食物網 ヒトは、従属栄養生物。他の生物を食べなければならない。 4 食品の4要素(3機能) 栄養 エネルギー:糖質、タンパク質、脂質 必須成分:ビタミン、ミネラル 嗜好性 おいしさ(味覚)、香り(嗅覚)、色(視覚) + 安全性 生体調節 生体調節機能、体調調節機能 5 農場から食卓まで 肥料 農薬 動物薬 育種・栽培・ 飼育 生物 農産物 畜産物 水産物 食品添加物 収穫・加工・ 流通・保存・ 調理 食べる 食物 ・他の生物(細菌、昆虫・動物・植物) ・汚染物質 6 食に関する問題で何が一番大切か 生命、生存の維持 安定的、経済的、かつ安全な食料供給の維持継続 そのためには、 伝統的知恵、肥料、農薬、食品添加物、遺伝子組 換え技術などの各種科学技術やあらゆる手段を 使用する必要がある 新しい技術や物質を含め安全性は常に確認が必要 7 イネからご飯へ 炊飯 米はなぜ炊くか イネ 収穫 もみ米 もみすり 可食部 イネの葉、茎わら 玄米 可食部 もみ殻 消化吸収されない 搗精 精白米 玄米ご飯 炊飯 ご飯 可食部 ぬか(ビタミンB1の大半) 消化吸収されやすい 米はエネルギー源 エネルギーの元はデンプン 生のデンプン(生の米)は消化吸収されない 加熱して初めて消化酵素の作用を受ける パンを作るときにも必ず焼く(加熱する) 8 豆と安全性 大豆はいい食品か 大豆は、タンパク質、リシン(必須アミノ酸)が豊富 But 生の大豆を家畜に食べさせると栄養不良になる Why? 大豆には動物に悪影響を及ぼす物質が 入っている 植物は動物に食べられるために生きて いるのではない 植物は走って逃げられない トリプシンインヒビター (消化不良を起こす) レクチン (赤血球凝集素) 9 加工、調理法の重要性 伝統的大豆食品にはすべて加熱工程がある 大豆の有害成分(トリプシンインヒビター、レクチン)の 主なものはタンパク質 タンパク質は加熱すると構造が変わる →有害作用(活性)がなくなる(失活) 加熱前 加熱後 加熱変性 タンパク質の3次元構造 活性あり 変性タンパク質の構造 活性なし 10 大豆から豆腐へ 加工と食品添加物 食品添加物(凝固剤) にがり(塩化マグネシウム) 硫酸カルシウム(CaSO4) グルコノデルタラクトン 水 完熟 大豆 加熱 豆乳 堅い 腐りにくい →微生物学的には安全性が高い But 生理活性物質を含んでいる →化学的には安全性は低い トリプシンインヒビター(消化不良を起こす) レクチン(赤血球凝集素) 豆腐 柔らかい 腐りやすい →微生物学的には安全性が低い But 生理活性物質は失活 →化学的には安全性は高い 新たな包装技術 新たな凝固剤 11 食品添加物とは 作物 (生物) 収穫 食品加工 貯蔵・流通 調理 食物 食べる 栄養 食品添加物 加工製造に必要 食中毒を防ぐ 栄養素を強化する 魅力的にする 12 食品加工の目的 • 可食化 食べられる部位を集める 食べやすくする 消化性を向上する 毒性を減らす • 貯蔵 一年中収穫できない • 嗜好性 おいしくないと食べない • 利便性 調理済み食品 情報 13 B 食品の安全性の基本的考え方 食品の安全に絶対はない 14 食品が「安全である」とは 「予期された方法や意図された方法で 作ったり、食べたりした場合に、 その食品が 食べた人に害を与えないという保証」 (Codex「食品衛生に関する一般原則」 General Principles of Food Hygiene CAC/RCP 1-1969 ) 15 どんな食品も絶対安全とはいえない トリプシンインヒビター ソラニン 調理の時に除去 1cm 加工の時に除去 商品化されている大果系トマト キャッサバ トマチン トマトの原種 トマト野生種 青酸化合物 加工の時に除去 育種で低減化されている 16 ハザードとは ハザード(危害要因) 健康に悪影響をもたらす可能性を持つ 食品中の生物学的、化学的または 物理学的な物質・要因、または食品の 状態 17 食品中のハザード 有害微生物等 腸管出血性大腸菌O157 カンピロバクター リステリア サルモネラ ノロウイルス 異常プリオンタンパク質 等 意図的に使用される 物質に由来するもの 環境からの汚染物質 自然毒 きのこ毒 ふぐ毒 等 農薬や動物用医薬品の 残留 食品添加物 等 カドミウム メチル水銀 ダイオキシン 物理的 危険要因 その他 等 放射性物質 等 健康食品 サプリメント 等 加工中に生成される 汚染物質 アクリルアミド クロロプロパノール 等 18 リスクとは 食品中にハザードが存在する結果と して生じる健康への悪影響が起こる 確率とその悪影響の程度の関数 実際にはハザードの毒性とハザード の摂取量によって決まる 19 リスク=ハザードの影響の大きさ×出会う確率 危険物 ハザードの (ハザード) 影響の大きさ 多数の即死 自動車 交通事故 猫のタマ タマの ひっかき傷 高 低 リスク (大きさ) 組み合わせ 隕石 出会う 確率 自動車 猫のタマ 隕石 20 どんなものも毒か毒でないかは量で決まる 全ての物質は毒で あり、薬である。 量が毒か薬かを 区別する。 例えば、医薬品は 適量を守れば “良薬” 適量を過ぎれば “毒薬” パラケルスス (スイスの医学者、錬金術師、1493-1541) 大事なことは毒性の限界値の見極め! 21 摂取量と生体影響 生体影響( 毒性) 慢 性 毒 性 試 験 残留農薬基準 食品添加物使用量 動物実験の数値を 1/100にする 安全係数 1/100 摂取量 ADI NOAEL No Observed Adverse Effect Level (許容一日摂取量) (無毒性量(動物実験の数値)) 22 少量の毒物は問題ない ジャガイモ中にはソラニン(グリコアルカロイド)という毒物が 含まれている。芽に多いが、皮や中身にもある。 ジャガイモ部位 皮をむいたイモ 皮 芽 葉 グリコアルカロイド 含量(mg/kg) 46 1430 7640 9080 ※加熱で減少しない 中毒:食後数時間後 腹痛、胃腸障害、虚脱、 めまい、ねむけ 軽度の意識障害 J. Agrc. Food Chem., 46, 5097 (1998) ジャガイモを食べることは問題ないが、大量に食べることはよくない 23 人間の認識とのギャップ 生体影響( ( 毒性) イメージ 生体影響( ( 毒性) 実験事実 閾値以下 低確率領域 閾値:いきち 一定量までは毒性を示さないが、 その量を超えると毒性を示す時 の値 摂取量 閾値以下 低確率領域 ゼロリスク 摂取量 24 安全と安心の関係 25 安全と安心の要素 安全の要素 (科学、事実) 1 物質の毒性 人の健康に及ぼす危害の大きさ 2 物質の摂取量 人が摂取する確率、人が摂取する量 3 リスク 1×2 安心の要素 (信頼) リスクコミュニケーション(情報交換) 情報開示 長年の実績 ベネフィット 規制、監視、罰則 科学的とは 客観性 整合性 再現性 定量性 その時点において到達されている水準 の科学的知見に基づいて評価を行う。 (食品安全基本法) 26 リスクと付き合う ・食品を含めどんなものにもリスクがある → ゼロリスクはあり得ない ・あるリスクを減らすと別のリスクが増す リスク間のトレードオフ、リスクとベネフィット ・リスクを知り、妥当な判断をするためには努力が必要 →科学的な考え方を身につける努力、教育 →情報、メディアを鵜呑みにしない、絶対視しない努力 ○×的考え方はダメ(100%安全、100%危険) 改良改善の努力 フードファディズム(Food Faddism)への注意 複数の情報にあたる 27 まとめ ・ヒトは食べなければ生きていけない ・食べるまでには長い工程がある ・安定的、経済的、安全な食料供給の維持継続のための 農薬、食品添加物の利用 ・食品の安全に絶対はない ・リスクとハザードの違い ・安全を考えるときには摂取量や確率の概念が大切 ・安全は科学、安心は信頼 28 食品安全に関する情報は… 食品安全委員会や意見交換会等の資料、様々な 情報を掲載しています。 http://www.fsc.go.jp 主な内容 ウィークリー版 各種会議の開催案内、概要 配信日 火曜日 読み物版 食の安全に関する解説、,委員随想 毎月中・下旬 新着情報 ホームページ掲載の各種会議等の ホームページ 開催案内、パブリックコメント募集 掲載日(19時) 食品健康影響評価の解説、食品安全委員会の活動の 紹介、子供向けの記事(キッズボックス)等 29 食品安全委員会のホームページ ●国内の情報 食品に関する注意喚起 リスク評価に関する資料 ハザード情報 評価書が載っています! ●国外の情報 リスク評価に関する資料 ハザード情報 食品に関する注意喚起 30 ご清聴 ありがとうございました 31