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我が国の音楽科教育法に関する研究 Ⅱ - プール学院大学・プール学院

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我が国の音楽科教育法に関する研究 Ⅱ - プール学院大学・プール学院
プール学院大学研究紀要 第 53 号
2012 年,73 〜 87
我が国の音楽科教育法に関する研究 Ⅱ
—「聴く耳」を育む音楽科教育法—
田 原 昌 子 はじめに
我が国の小学校音楽科教育において、「聴く」ということは、主に鑑賞活動で取り扱われ、他には
表現活動で、お互いの声や楽器の音や伴奏を聴いて合わせて演奏することが、学習指導の内容とし
て小学校学習指導要領 1)に挙げられている。
この鑑賞と表現を通して、音楽を形づくっている要素のうち、「(ア)音色、リズム、速度、旋
律、強弱、拍の流れやフレーズ」や、「(イ)反復、問いと答えなどの音楽の仕組み」について聴
き取ることが、第1-2学年の指導内容となっている。さらに、学年が上がるに伴い、(ア)に、音の
重なりや音階や調(第3-4学年)、和声の響き(第5-6学年)、(イ)に、変化(第3-4学年)、音楽
の縦と横の関係(第5-6学年)の指導事項が追加されている。
これらの多くの事項を、子どもたちが聴き取ることが可能になる音楽科教育法とは何か、根本的
な教育とは何であろうか。この問いに対し、筆者が四半世紀以上交流を持っているフィンランドと
日本の音楽科教育との比較研究を継続する中で、「聴く」ことの意味が、両国間で差異があると考え
るようになった。
フィンランドのナショナル・コア・カリキュラム 2)小学校第1-4学年の指導目標に、「音環境と
音楽を集中し、かつ、積極的に聴き、意見を述べることを学ぶ。」という事項がある。さらに、
指導内容に、「一人ひとりが経験や発想を説明するなど、様々な活性化の手段を用いて、色々な
音楽を聴くこと。」と述べられており、日本の学習指導要領の同学年の指導目標に掲げられてい
る、「様々な音楽に親しむようにし、基礎的な鑑賞の能力を伸ばし、音楽を味わって聴くようにす
る。」とは明らかに異なる。
積極的な態度で聴いた音楽について子どもたちが意見を述べるためには、音楽を味わって聴くだ
けではなく、味わった時の感情を明確にするための感性を豊かに育てることが不可欠といえるので
ある。本研究では、音に対する感受性、すなわち「聴く耳」を豊かに育む音楽科教育法をどのよう
に展開することができるか、その可能性を探求する。
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プール学院大学研究紀要第 53 号
Ⅰ.フィンランドの「聴く耳」を育てる音楽科教育法
1-1 フィンランドの小学校音楽科教育
フィンランドの学校教育は、National Board of Education(国家教育委員会)によるナショナル・
コア・カリキュラムで、教育内容がある程度規定されている。これは、日本の学習指導要領に相当
するが、各地方自治体の教育関係者、一般市民の参入、さらには学校の特色や教師が創意工夫を
加え、柔軟性のあるカリキュラムによって実践指導が行われている。
したがって、各教科の指導法は、実践現場を担う教師の力に負うところが大きく、各学校の教師
たちは指導目標や内容を話し合い、教師一人ひとりが教材を選択、あるいは作成し、研究を重ねた
指導が展開されている。また、日本の教科書検定制度 3)に相当する制度はなく、各科目に数種類の
教科書あるが、教材の中の一つに過ぎず、授業で必ず使用する必要はない。
筆者は、2004 年からフィンランドの小学校音楽科教育の実践現場を中心に視察し、音楽科教育に
おいても高い教師力が要求され、教師の数だけの教材と教育法があるという事実を目のあたりにし
た。子どもの心身や音楽的能力の発達、フィンランドの歴史や環境、文化に適応した良い教材の一
つとして、音楽科教科書を取り上げ、各指導項目を独自の指導法で、または、教師自ら音楽教育に
関する研究グループなどで学び、担当クラスの子どもたちの状況に合わせた指導法を開発して、授
業展開がされていた。
1-2 日本の小学校音楽科教育との比較からみるフィンランドの音楽科教育の特徴
フィンランドのナショナル・コア・カリキュラムでは、9年間の音楽科教育について、第1-4学
年、第5-9学年に二分割して指導目標や内容が示されているが、先行研究 4)で、特に第1-4学年に
注目し、指導目標、指導内容を日本の学習指導要領と比較した。また、ナショナル・コア・カリ
キュラムを具現化し、授業実践で使用される機会の多い音楽科教科書『MUSIIKIN mestarit1-2』
『MUSIIKIN mestarit3-4』5)OTAVA社(2008)を取り上げ、日本の小学校音楽科教科書『小学生
のおんがく1』『小学生の音楽2』『小学生の音楽 3』『小学生の音楽 4』6)との内容比較を行った。
その結果、第 1-4 学年におけるフィンランドの音楽科教育の特徴が明らかになった。
指導目標の特徴は、ナショナル・コア・カリキュラムには、「ティーチング」教師が何を教えるか
という指導内容ではなく、記述されている目標に向かって「ラーニング」子どもたちが何を学び取
るかという目標が、より明確に示されていることである。すなわち、第 1-4 学年の子どもたちが、
「自
分」というものを様々な音楽活動を通して表現し、「自己確立」「自己表現」を促すことが、音楽科
教育の学習の目標で明確に求められている。
学習の内容の特徴は、以下のように 5 つにまとめることができる。
ⅰリズム、和声や音の重なりやその響き、音楽の形式の理解に重点を置いていること
我が国の音楽科教育法に関する研究 Ⅱ
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ⅱ特に低学年では、音高ではなく、音の流れやフレーズを大切にしていること
ⅲヨーロッパやアメリカの様々な音楽教育法が導入されていこと
ⅳ自国の音楽を中心にしながらも、子どもたちが作曲した曲から音楽史上の有名な曲や伝唱曲や
民謡、長調だけでなく短調の曲、ラップの音楽、ロック音楽など、広域に亘るジャンルの曲が
取り上げられ、様々な音楽に触れる機会を作っていること
ⅴ他教科と音楽科との関連を強く持っていること
上記に挙げた5項目は、日本の小学校音楽科教育の学習内容で、全く取り上げられていないわけ
ではない。しかしながら、特にⅰとⅱで取り上げられている音楽の要素は、学校教育としての音楽
学習のみならず、広義の音楽学習での必要不可欠の要素であると同時に、就学前の子どもたちが
「音」という環境に身を置いて生活するなかで、特に意識することなく自然に「聞いて」「感じ
て」いる音楽の要素である。
先行研究 7)で、日本の音楽科教育において、フィンランドに学ぶ音楽科教育法の第 1 点目として、
「聴く」ことを取り上げ、音色や音の重なりや和音を含めた「響き」に注目し、さらに音の流れであ
る「フレーズ」を感じ表現する根底には、「聴く」ということが必要であると述べた。
日本の子どもたちの音に対する感受性を豊かに育むためには、自分の声や楽器の音だけでなく、
自然の音や子どもたちを取り囲む生活の音を、耳をすまして「聴く」ことが原点である。この「聴
く耳」を獲得することが、音楽活動において、互いの歌声や楽器の音を「聴いて」音を合わせて演
奏し、音楽を楽しみ、豊かな情操を育むことに繋がる。したがって、「聴く耳」を育むことは、学習
指導要領に書かれている学習目標である「音楽を愛好する心情をと音楽に対する感性を育てるとと
もに、音楽活動の基礎的な能力を培い、豊かな情操を養う。」第一歩となる。
この「聴く耳」を育てる学習は、小学校就学前の子どもたちが「音を聴く」という環境におり、
「聴く」ことを積極的に意識を持って体験する必要があると考え、小学校の音楽科と幼稚園の表現
領域での連続した学びとなることを目標に、幼稚園での実践指導を行った。
Ⅱ.「聴く」耳を育てる幼稚園での実践指導
『幼稚園教育要領 第 2 章 表現 2内容』8) の「(1)生活の中で様々な音、色、形、手触り、
動きなどに気付いたり、感じたりなどして楽しむ。(2)生活の中で美しいものや心を動かす出来事
に触れ、イメージを豊かにする。」という 2 つを、「聴く耳」を育む目的と捉え、幼稚園の子どもた
ちに「いい音探し」を体験して感性を養う実践指導を行った。
この実践指導は、フィンランドの小学校音楽科教科書で取り扱われている内容を参考に、筆者が
幼稚園の子どもたちに有効であると考えた教材を取り上げ、「いい音探し」というテーマで、学校法
人トリストラム学園プール幼稚園 9)の協力を得て行った。
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プール学院大学研究紀要第 53 号
2-1 幼稚園での「いい音探し 音を聴こう」の概要
<実践の日時とねらい>
第1回
第2回
第3回
第4回
日時
2011 年 10 月 25 日 午前 10 時半〜 11 時
2011 年 11 月 22 日 午前 10 時半〜 11 時
2012 年 1 月 19 日 午前 10 時半〜 11 時
2012 年 1 月 31 日 午前 10 時半〜 11 時
実践のねらい
フィンランドのお話しとカンテレの響きを聴こう
カンテレとミュージックベルを鳴らしてみよう
ミュージックベルを鳴らしてみよう*ドレミパイプって何だろう
ドレミパイプで遊ぼう
<場所> 学校法人トリストラム学園プール幼稚園(大阪市東住吉区)年長組教室
<対象> 年長 5 歳児 30 人
<使用楽器>
・フィンランドの民族楽器 カンテレ 10)
(図 1)
・ゼンオン ミュージックベル カラータッチ式タイプ 11)(図 2)
・Boomwhackers ドレミパイプ 12)
(図 3)
図 1 図 2
図 3
<実践の背景>
『平等社会 フィンランドが育む未来型学力』の中で、ヘイッキ・マキパーは、フィンランドの
教育を「性別・居住場所・経済状況・文化的背景で差別されない教育」13)であると述べている。ま
た、「就学前の全ての子どもたちは就学前教育を受ける権利を持ち」、「子どもが熱中できるよう
な活動を提供する学習環境やあそびの環境を創り、それによって子どもの行動を助長し、また他の
子どもとともに多面的に発達する機会を与えること」14)を、就学前教育導入の目的として挙げてい
る。フィンランドでは、子どもたちにできる限り教育の平等な機会を用意し、子どもの個性や学習
への積極的な姿勢、集団行動の重要性が強調され、保育所や幼稚園で就学前教育が行われている。
それに対し、日本の就学前教育を担う場所は、文部科学省の管轄の幼稚園と、厚生労働省の管轄
の保育所に分かれる。両者の設置目的や内容が、「幼稚園教育要領」と「保育所保育指針」15 )に示
されているように異なり、子どもたちの教育の機会均等が保証されるかどうかは、明確ではない。
実践場所として依頼したプール幼稚園は、教え込む教育ではなく、個々の思いを尊重し、年齢に
応じた発達を遂げ、主体的な考えを持つ子どもを育成することを目標とした教育を行っている。園
長や教諭との話合いを幾度か持ち、「聴くこと」すなわち、心が柔らかいうちに感受性を育むことを
教育目標としたプール幼稚園と、筆者の演奏をすることよりまず「聴くこと」、 「静けさの心地よさ」
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を、音楽を通して子どもたちに学んでほしいという音楽教育の目標が両者で合致し、この実践に協
力を得ることができた。
次に、4 回の指導で行った実践報告とその考察について述べる。
2-2 第 1 回<フィンランドのお話しとカンテレの響きを聴こう>
カンテレは、誰でもが弦を爪弾き、弦をいくつか抑えるだけでさまざまな響きが生じ、子どもた
ちの「聴く」耳を育むことができる楽器であり、小学校低学年の子どもたちが遊びながら自然に和
声の楽しさ体験できる楽器である。
日本の子どもたちにも同じような体験を得られ、特別な練習が必要とされず、音楽的能力の差や
経験が、音を出すことに影響を与えないと考える楽器として、筆者は、タッチ式ミュージックベル
を取り上げることにした。しかし、その前段階として、やはりカンテレの音を生で聴き、子どもた
ち一人ひとりが楽器に触れ、その音を耳を澄まして「聴く」体験をする導入を設けた。その実践の
様子は、プール幼稚園のホームページ 16)で紹介されている。
ほとんどの子どもたちは、フィンランドという国の知識を豊富に持っていないので、筆者が訪問
した時のフィンランドの自然や人々の暮らしの写真や、ムーミン 17)の写真等を見せ、子どもたちを
フィンランドの静かな森の中にいるようなイメージを持てるようにした。子どもたちは目を閉じて
周りの音に耳を傾けると、道路を走る車の音以外には、何も聞こえないという「心地良い静けさ」
を体験し、静けさの中で聴いた 1 弦のカンテレの音に、小さな感動を覚えたようである。
カンテレを目にし、子どもたちは初めて見た楽器の外見と音に興味を示し、そのあと、筆者が 2 つ、
3 つと音を重ねたり、タイトルを告げずに演奏した旋律が、皆が知っている「メリーさんの羊」18)
や「きらきら星」19)であったりしたことを耳で発見し、「聴く」ことを学んだようである。
その後、子どもたち一人ひとりが一台のカンテレに触れ、音を出す機会を作ったが、子どもたち
に、「森の中の動物たちやムーミンに出会うかもしれないから、びっくりさせないように音を出し
てね。」という筆者の願いに対して、「そっとね。優しくね。」という、カンテレの音の出し方の
応えが返ってきた。この応えこそ、「聴く耳」を持ち始めた子どもが、「聴く」ことによって見出
した、「いい音」探しの答えといえるのではないだろうか。
2-3 第 2 回<カンテレとミュージックベルを鳴らしてみよう>
第 1 回目の活動で、カンテレに「そっと、優しく」触れて音を出すことを体験した子どもたちに、
筆者が和音でつけたカンテレ伴奏や単音の旋律演奏を聴きながら、周知の「きらきら星」を歌う活
動を行った。カンテレの優しく静かでありながらも、ピーンと透き通った音を消すことなく、子ど
もたちは、友だちの声を聴きながら自分の声をコントロールして歌うことができた。
次に、自分の出した音を聴く活動に、タッチ式のミュージックベルを選んだ。このタッチ式の
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ミュージックベルは、ベルの色が、赤…Cド、橙…Dレ、黄…Eミ、緑…Fファ、水色…Gソ、青
…Aラ、紫…Bシに対応しており、タッチ式でないミュージックベルの奏法である振って音を出す
ほかに、机の上にベルを伏せて、柄の先を軽く叩くことで音を出すことができる。このタッチ式
による音の出し方が、カンテレの音を出すときに「そっと、優しく」演奏する奏法に繋がり、柄を
持って振るという動作を入れることによって生じる音ではない優しい音、「いい音」を生み出すこ
とができる。
子どもたちは、一人ずつお気に入りの色のミュージックベルの柄を交代に押して、優しい音や響
きを聴き、また、そっと優しく叩くだけでは音が出なかった子どもには、「もう少し下まで押すと音
が出るよ」や、叩きつけて音を出した子どもには、「きつく叩いたらガンって鳴るよ」と、お互いに
奏法をアドヴァイスし合い、「いい音」を探していた。
2-4 第 3 回<ミュージックベルを鳴らしてみよう。ドレミパイプって何だろう>
前回 2 回の活動の 2 つの楽器演奏を通して、優しくタッチするといい音が出ることを学んだ子ど
もたちに、ミュージックベルを 2 つ、または 3 つ同時に鳴らすときに生まれる、単音だけでは体験
することのできない重音の厚みを感じて、「いい音」と出会う体験の場を作った。
子どもたちは、2人一組、または3人一組で、互いに溶け合ってよく調和する協和音や、響きが不
安定な不協和音の響きを楽しんだり、また、ミュージックベルの柄を叩くだけでなく、振って音を
出すことができるのではないかという疑問を持ち、くぎ打ち奏法 20)やトレモロ奏法 21)を試して、
様々な奏法による響きの違いを確認していた。
筆者は、ミュージックベルの音高をランダムに並べて、子どもたちの好きな色を叩いて音を「聴
く」ことを活動としていたが、子どもたちが、色によって音の高さが違うので、ドレミファソラシ
の順番、つまり、音階順に並べることを提案してくれた。音の高さを聴き比べ、音階の順番に並
べ、筆者が「きらきら星」を演奏し、皆でミュージックベルに合わせて歌を歌う活動に繋がった。
次に、パイプに色のついているドレミパイプの導入では、敢えて筆者から音高について触れず、
好きな色を 6 色(6 音)(赤…C、橙…D、黄…E、草色…F、緑…G、青…Aの音の対応している)
の中からを選択してもらった。この 6 色を選択した理由は、それぞれの色の区別がはっきりしてい
ること、C~Aの音で、和音の組み合わせが様々できること、輪唱で音を重ねることが比較的安易
な「かえるの合唱」22)を演奏するのに必要であることの 3 つである。
それぞれ好きな色のパイプを持った子どもたちは、各色のグル―プを示すフラフープの周りに集
まって座り、フラフープの円の中の床をパイプで叩いて音を出す活動を行った。音を出すに当たり、
どうやったらいい音が出るか、手で叩いてみたり、床を叩いてみたりと聴いて試してみたが、一番
いい音がするのは床を叩いた時という答えを得た。
各色で 1 回づつ、心を合わせて、皆でよく聴いて 1 つの音を出そうという活動で、子どもたちは、
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このパイプも色ごとに音高があることを発見し、この回の活動は終了した。
2-5 第 4 回<ドレミパイプで遊ぼう>
第 3 回目の活動で、ドレミパイプの色ごとに音高があることを知った子どもたちに、まず、色
グループ毎で、皆で揃えて 1 つの音を出し、続いて 2 つの、または 3 つのグループでと、ミュージッ
クベルで音の重なりを経験したように、ドレミパイプでも、その響きを体験できる活動を行った。
また、ドレミパイプの長さ別に、6 つの色グループが順に出した音を聴き、長い順に、ドレミファ
ソラの音階がドレミパイプでも出来ることを発見した。
筆者が、「赤→橙→黄→草色→黄→橙→赤 黄→草色→緑→青→緑→草色→黄 赤 赤 赤 赤 赤→橙→黄→草色→黄→橙→赤」と、パイプを打つグループの順番を指示していると、「かえるの
合唱」と気づいた子どもがおり、皆でドレミパイプを叩きながら歌う活動となった。緑と青のパイ
プの叩く場所が少ないので、最初に赤や緑を担当していたグループと交代して挑戦し、皆で平等に
役割分担をした。
次に、各色のグループの子どもたちの数を半数ずつに分け、始めのグループが「かえるのうたが」
まで叩いたところから、後のグループが「かえるのうたが」と入り、いわゆるカノンで1曲を演奏
する活動を行った。
このカノンの旋律という横の流れと、時間差で旋律を追いかけることで生じる音楽の重なり、す
なわち音楽の縦の関係を、一度の活動の中で取り上げることは、就学前の 5 歳児には少し難しく、
始めのグループも終わりのグループも、途中で止まってしまった点から、この年齢の子どもたちに
は、旋律が流れる中で重なる音を聴くことは困難であったようである。
2-6 幼稚園での実践指導に関する考察
幼稚園での「聴く耳」を育てる「いい音探し」の指導実践から、以下の 2 つの内容が結果として
明らかになった。
<子どもたちが体験することができた内容>
・いい音は、大きな音を出すことではなく、優しく音を出すこと
・いい音は、他の人の出す音や自分の音をよく聴いて出すこと
・音は、2 つ、3 つと重ねると、いろいろな響きがあること
・友だちが音を出すときには、静かにしていること
・楽器が1人に対応して 1 つしかないときは、順番に交代で使い、丁寧に扱うこと
<この活動を行うにあたり考慮すべき内容>
・この活動までの幼稚園の音楽的な取り組みがいかなるものであったか ・音楽活動以外の様々な園生活の場で、社会生活における習慣や態度が身についているかどうか
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・クラスサイズ、すなわちクラスの人数が30人以下であるか
・使用する教材を選ぶときは、子どもたちの音楽的経験の有無があまりなく、皆、平等に活動
できるものであるか
・ドレミパイプは、パイプという棒状のものを子どもたちが持ち、振って叩いて音を出す奏法
で、子どもたちの力では音があまり出なかったり、音を出すタイミングが個々に異なり、皆
で音を出す際に音が一つにまとまらなかったりするので、音を出すことが子どもたちにとっ
て容易であるかどうか
・演奏に際し、ドレミパイプが人や自分の身体に当たらないような配慮が必要であるかどうか
・「音を聴く」という活動でのドレミパイプの導入は、何歳の子どもに妥当であるか
これらの結果から、4 回の実践指導を通して、子どもたちは「聴く耳」を傾け、身の回りの生活
の音や楽器の音を聴き、「いい音」をおおむね体験したといえるであろう。しかしながら、この活動
4 回のみで、「聴く耳」を育むことができたわけではなく、この活動以外の子どもたちの日々の生
活で、自然の音に耳を傾けたり、園生活において色々な事象に関わる音や動物や人の声や話を聴い
たりと、継続的な「聴く」という姿勢を育む必要がある。
さらに、筆者が取り上げたドレミパイプの導入は、5 歳児の「音を聴く」活動よりもリズム遊び
での取り上げの方が、子どもの発達段階を考慮するとよいのではないかという反省を得た。平常か
ら「音を聴く」ことや、「音に親しむ」機会が設けられた環境にある子どもたちであっても、初めて
触る楽器で、カラフルなドレミパイプを手にした子どもたちは、うれしくて楽しくて、音を出した
いという欲求をコントロールするのが難しく、むやみやたらに「音を出す」行動に変わる可能性が
ないとはいえない。また、ドレミパイプの扱いは、フィンランドの教科書のなかで、第 3-4 学年で
音楽を形づくっている要素を学習する目的で取り扱われているので、幼稚園では、音遊びの道具と
して位置づけることが妥当であろうと考える。
これらの反省をもとに、小学校における「聴く耳」を育てる学習展開の可能性を第Ⅲ章で示した
い。
Ⅲ.小学校音楽科における「聴く耳」を育てる学習展開
3-1 小学校音楽科教育における「聴く」学び
小学校音楽科教育において、「聴く」という学習内容は、鑑賞の活動として学習指導要領に明記
されている。 『小学校学習指導要領解説 音楽編 平成20年8月』の中で、平成20年1月に行った
「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領の改善について」の答申を
受け、学習指導要領の改善の方向性が示されたことが書かれている。その中で、「⑦の豊かな心や
健やかな体のための指導の充実については,徳育や体育の充実のほか,国語をはじめとする言語に
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関する能力の重視や体験活動の充実により,他者,社会,自然・環境とかかわる中で,これらとと
もに生きる自分への自信をもたせる必要があるとの提言がなされた。」23)とあり、他者、社会、自
然・環境と関わる中で、「音楽を愛好する心情と音楽に対する感性を育てる」という学習指導要領
音楽科の学習目標を達成することが読み取れる。
音楽科の活動は、音楽を学校という枠の中だけでなく、子どもたちの日々の生活すべてに関わる
さまざまな事象に、多かれ少なかれ結びつきがある。現代社会において、音の洪水といってもよい
ほど音が溢れた環境にある子どもたちに、「耳をすまして生活の音を聴く」ことが、音楽科教育にお
ける「聴く」ことを指導する第一歩となる。
先のⅡ章で取り上げたように、学校教育以前の幼児期から、いや、それ以前の、子どもたちが生
まれてから「いい音」に触れること、日々の生活の中でできる限り「静かな音環境を持つこと」を
通して、「聴く耳」は育てられる。学校教育のスタートとなる小学校低学年の音楽科教育では、表現
の学習を通して音を身体で「聴き」、表現することによって「いい音」を感じ、聴きわける力を身に
つけることができると考える。
「いい音」を感じ、「聴く耳」、すなわち音楽を感じる感性を、子どもたちはどのような活動を通し
て学ぶのであろうか。子どもたちが自ら気づいたり発見をしたりできる「聴く耳」を育てる指導を、
フィンランドの音楽科教科書分析や幼稚園での音楽表現指導実践に基づき、小学校音楽科低学年の
歌唱活動と器楽活動での展開を考察する。
3-2 小学校低学年の「聴く耳」を育てる歌唱活動
1 クラス 40 人近い児童が、音楽の授業で、
「元気よく」歌う、力の限り声を張り上げて歌っている
姿を見かけることがある。この年齢の子どもたちの発達特性から考えると、元気いっぱいに身体を
動かしながら歌う姿は、ほほえましい光景であるが、怒鳴り声に近い声では、自分の歌声に耳を傾
けることができないといっても過言ではない。
子どもたちが、学習指導要領に挙げられている「自分の歌声及び発音に気を付けて歌う」学習に
取り組むには、まず、クラスの環境づくりが大きく関与する。幼稚園での実践で取り上げたが、
「心
地良い静けさ」を、子どもたちが体験していることが必要である。特に低学年の音楽科の学習にお
いては、音楽の活動に入る前に心を落ち着かせる活動、目を閉じて座る、読書をするなど、他教科
においても、またクラスづくりの一つとしても、何かの方法で学習に向かう姿勢を設定し、不必要
な音がない時間を体験し、活動に入ることが望まれる。
先に取り上げた「自分の歌声及び発音に気を付けて歌う」学習の基本は、自分の声の流れを感じ
ることではないだろうか。高倉弘光は、「音楽づくりの授業アイディア集 音楽をづくる・音楽を
聴く」24)の中で「絵・動き・音楽」という内容を、中・高学年以上を対象とした、身体の動きや声
を絵で表現する学習例を示しているが、筆者は小学校低学年から次のような方法で、「音を聴く」基
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プール学院大学研究紀要第 53 号
礎づくりとしたいと考える。
下記の図1は、フィンランドの第1-2学年の教科書に示された声の流れを図で示したものであり、
また図2は、筆者が2010年に訪問した、フィンランドのケラヴァ小学校第2学年の音楽科授業風景で
ある。これは、線で表された音の流れを声で表す具体的な方法として、子どもたちが二人一組に
なって手を合わせ、一人で、または二人で声を出し、自分や他の人の声、さらに音の流れを聴こう
としているところである。
図 1 や図 2 の「音を聴く」学習は、階名唱をしたり、歌詞で表現をしたり、歌声を創ったりする
以前の声を出す、すなわち発声という歌唱の原点に重点を置いた、「自分の声を聴く」学習である。
日本の小学校音楽科の歌唱指導において、この学習のように、耳を使った発声に時間をかけること
が、「聴く耳」を育むことに繋がる。
図 1 線で表された声の流れ 25) 図 2 ケラヴァ小学校授業風景 図 3 声の流れを表す
線や図形
図3では、声を出すときのイメージを具体化する助けになると考えられる、色々な線や図形の例
を挙げたが、一人のこどもが出した声をみんなで、またはグループで線や絵を書いてみたりし、イ
メージを明確にして声を出し、その声を聴く学習に繋ぐことができる。また、この図の線の細い太
い、長い短いなどで、音の大きさや強さ、音の長さも表すことができ、声の流れを聴くだけでな
く、音楽を形づくる要素を学習することにも発展できる。さらに、線や絵に表されたや声の流れ
を、全員で同じ流れで声を出したり、違う流れの声を重ねたりして、重音の響きを聴く学習にも応
用できる。
手や身体で「聴き」、それを表現することによって「声や音の流れを感じる」指導は、奏法が複
雑で、また、階名唱で楽譜を読むことで音楽を難しく感じ、音楽嫌いになる子どもたちを生むよう
な取り組みではなく、小学校低学年の歌唱活動における「聴く耳」を育てる第一歩となり、発声を
通して自分の、または皆の声を聴くことを、できる限り継続的に、そして遊びの要素も入れながら
楽しく行うことができる指導法であると考える。
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3-3 小学校低学年における「聴く耳」を育てる器楽学習
フィンランドでは、低学年からカンテレという民族楽器を通して、音や和音の響きを「聴く」こ
とが、学習内容となっている。また、第Ⅱ章で、幼稚園の子どもたちに、カンテレやミュージック
ベルを用いて「音を聴く」指導を行ったが、この二つの楽器を選択したことが、音や和音の響き
を「聴き感じる」学びに大きく貢献したと考えられる。
では、小学校低学年から、このような学びを目的とした活動を進めるには、奏法の複雑さや楽器
の経験の有無が表現に影響が少なく、できる限り子どもたちが平等に器楽の学習に取り組むことが
できる楽器は何であろうか。
小学校学習指導要領では、低学年で取り上げる身近な楽器として「様々な打楽器、オルガンやハー
モニカなど」を取り上げるように書かれ、また、各学年の目標及び内容では、
「身近な音楽に親しみ、
音色に気を付けて簡単なリズムや旋律を演奏すること」「互いの楽器の音や伴奏を聴いて、音を合わ
せて演奏すること」が指導内容となっている。
しかしながら、オルガンやハーモニカの学習は、音色に気を付けて、互いの楽器の音や伴奏を聴
いて音を合わせて演奏する楽器として適しているのであろうか。特に、鍵盤ハーモニカは、柔らか
い音色を子どもたちが工夫して出し、階名を読んで奏法を習得し、練習を重ねてようやく演奏がで
きるようになるには、音楽学習に多大な労力と時間を要する。
第 1 学年で、鍵盤ハーモニカの学習が、中学年から取り上げられるリコーダー学習の前段階とし
て取り上げられている。しかし、鍵盤ハーモニカの奏法は、音を出すために息を使いながら、指番
号を覚えて巧みに指を独立させ、楽譜を読んで演奏するという複雑な手順を必要とする。鍵盤ハー
モニカは、低学年、特に第 1 学年で、音色に気を付けて演奏することや互いの楽器の音を聴いて合
わせることを指導する楽器として、あまり適切な楽器とはいえない。
特に低学年での器楽指導には、子どもたちの音楽的な能力が演奏や音楽への興味の妨げにならな
いような楽器を用い、その奏法の工夫で和音を生み出したり、長調だけでなく短調の楽曲の気分を
感じ取ったりして、色々な音や音色に興味を持ち、音を聴いて演奏することを、低学年の器楽学習
に取り入れることを提言したい。ここでは、第 1 学年の子どもたちに、鍵盤ハーモニカやハーモニ
カの学習の前段階として、柔らかい「心地よい音」を引き出すための「聴く耳」を育む器楽学習と
して、タッチ式のミュージックベルを用いた学習展開を提案する。
タッチ式のミュージックベルは、取扱いが困難でなく、また経済的にも大きな負担にならない。
導入期には、幼稚園で実践の第2回目で行ったように、指のタッチによる音の出し方が、柄を持って
振るという動作を入れることによって生じる音ではない優しい音、「いい音」を出して聴き、「い
い音」を出すように工夫して子どもたちが奏法を発見するという展開ができる。
さらに発展学習として、色音符とミュージックベルの色を対応させ、旋律を演奏する学習への発
展が可能になる。読譜指導において、色音符の導入は、音符に色がついていなければ、5 線を読むこ
84
プール学院大学研究紀要第 53 号
とができなくなるのでよくないとする意見があり、賛否両論はある。しかし、ミュージックベルの
取り上げは、5 線に書かれた色音符で書かれた階名と音との対応を、音を聴いたり音そのものを楽し
んだりすることの妨げにはならず、楽譜に書かれた音を階名で理解する方法として、取り上げるこ
とも可能である。
加えて、ミュージックベルを同時に 2 音や 3 音を重ねて生まれる和音は、短調の和音、例えば青
赤黄(ACE)や橙緑青(DFA)のミュージックベルを同時に響かせることで、容易に短調の響
きも生み出すことができる。現在の日本の小学校音楽科教科書に短調の取扱いは極めてまれである
が、このように、早期から色々な響きを「聴き」、体験することは、音楽の感性を育むうえで重要で
ある。
また、歌唱との掛け合いや、旋律に対する副旋律としての演奏で、主旋律だけでなく、対応する
声部として演奏することを通して音楽の流れや、歌唱→ミュージックベル→歌唱といった、A-B-A
などの音楽形式を学習することが可能となる。さらには、タッチ式のミュージックベルを、くぎ打
ち奏法、トレモロ奏法、スタッカート奏法などの様々な奏法を加えることによって、豊かな音楽表
現を生み出すことができる。
しかしながら、ミュージックベルの取扱いを第 1 学年で取り上げた、柔らかい「心地よい音」を
引き出すための「聴く耳」を育む学習である目的から逸脱せず、子どもたちがきれいな色のミュー
ジックベルで遊びながら、「聴く耳」を育む学習に重点を置くことが大切であると考える。
終わりに
「音を聴く」という広義の意味を音楽科教育法の根源と捉え、日本の小学校低学年の音楽科教育
で、自分の出した音、また、周りの音を「聴く」、そして子どもたち自身がフィードバックし、
さらに「美しい音」を求めて工夫するための「耳」を創ることを、フィンランドから学ぶ音楽科教
育法の一つであると挙げ、実践的な日本の音楽科教育に、「声や音の流れを感じる歌唱指導」「音
の響きを感じる器楽指導」を通して、いかに展開できるかを考察した。
今回の研究では、特に小学校低学年の子どもたちが、自分の声の流れを感じることを手や身体で
表現する歌唱学習や、幼小連携の音楽科学習の一例として取り上げた、タッチ式ミュージックベル
の器楽学習の展開で、「聴く耳」を育むことを提案したが、低学年の子どもたちのリズム指導や音楽
づくりの活動と、「聴く耳」を育む学習とをいかに関連づけるか、またその評価をいかに考えるかと
いう問題が解決されていない。さらに、
「聴く耳」を育む学習は、表現と鑑賞の領域で達成されるが、
現在考察している表現の領域の展開を、いかに鑑賞領域で深めていくか、これらの点について今後
も研究を継続し、さらに低学年から中学年への学習と、いかに発展させていくかを研究していきたい。
また、子どもたちの「聴く耳」を育むには、指導をする教師の「聴く耳」も育む必要がある。
我が国の音楽科教育法に関する研究 Ⅱ
85
現在、筆者は、教員養成機関で大学生を対象に音楽科科目の授業を担当しているが、将来の子ども
たちの教育を担う大学生の「聴く耳」を育む研究をも深めていきたいと考えている。
<注>
1)『小学校学習指導要領 第 2 章 第 6 節 音楽』文部科学省 2008
2)『The National Core Curriculum for Basic Education』Part IV: Chapter 7.15 Music の部分。内容は第 1-4 学
年の小学校低中学年と第 5-9 学年の小学校高学年と中学校に 2 分割されている。
3)学校教育法の下、教科書検定審議会の検定審査に合格した教科書を使用して授業実践がされている。
4)『我が国の音楽科教育法に関する研究 Ⅰ―フィンランドに学ぶ音楽科教育法―』田原昌子 プール学院大
学研究紀要 第 53 号 2012
5)『MUSIIKIN mestarit 1-2』OTAVA 社 2008『MUSIIKIN mestarit 3-4』OTAVA 社 2009
6)小原光一 他 12 名著 教育芸術社 2010
7)前掲の紀要 2 章 2-2で取り上げたフィンランドの教育から学ぶ音楽教育の一つ
8)『幼稚園教育要領』文部科学省 2008
9)学校法人トリストラム学園プール幼稚園は 1966 年よりプール学院の卒業生によって創立され、キリスト教精
神で保育が行われている。
10)図は『MUSIIKIN mestarit 1-2』p151 より引用。カンテレはフィンランドの民族楽器で、5 弦からなる撥弦
楽器。左手で弦を押さえ、右手の指で爪弾く奏法が基本。
11)図は 2013 年全音楽譜出版社楽器総合カタログ p89 より引用。ミュージックベルは、ハンドベルに色を付け
読譜が難しい人にも演奏がしやすいように音階別にベルを色分けしてあり、タッチ式は握って振る必要がな
く、軽くタッチするだけで発音できる。
12) 図は 2013 年全音楽譜出版社楽器総合カタログ p204 より引用。アメリカの Whacky Music.Inc の Tuned
Percussion Tube のことで、日本語で「ドレミパイプという。調律された 7 色のチューブを手のひらや机な
どを叩いて音を出すことができる。
13)『平等社会 フィンランドが育む未来型学力』ヘイッキ・マキパー 明石書店 2007 p51
14)前掲書 p109
15)
『保育所保育指針』厚生労働省 2008
16)http://www.poole-kdg.com/diary2011-10.html
17)フィンランドの作家トーヴェ・ヤンソンが書いた小説に登場する主人公の名前。日本に翻訳され、絵本や漫
画に、またアニメ化されたテレビ番組で放映され、子どもたちの人気のキャラクターである。
18)『メリーさんの羊』作詞作曲 セイラー・ジョセファ・ヘイル 日本語訳 高田三九三
19)『きらきら星』武鹿悦子日本語詞 フランス民謡
20)手首と肘を使って、ベルを前に釘を打つような感じで振って音を出す奏法
21)前後、または左右にベルを振って音を出す奏法
22)『かえるの合唱』岡本敏明日本語詞 ドイツ民謡 23)『小学校学習指導要領解説 音楽編』文部科学省 教育芸術社 2008 p2
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プール学院大学研究紀要第 53 号
24)『音楽づくりの授業アイディア集 音楽をづくる・音楽を聴く』高倉弘光 音楽之友社 2012 pp80-81
25)『MUSIIKIN mestarit 1-2』OTAVA 社 2008 pp22-23 より引用
【引用・参考文献】
・Liisa Kaisto, Sari Muhonen, Salla Peltola著『MUSIIKIN mestarit 1-2』OTAVA社2008
・Juha Haapaniemi, Elina Kivelä, Mika Mali, Virve Romppanen著『MUSIIKIN mestarit 3-4』OTAVA社2009
・The Finnish National Board of Education 『The National Core Curriculum for Basic Education』2004
・坪能克裕・坪能由紀子・高須一・熊木眞見子・中島寿・高倉弘光・駒久美子・味府美香『音楽づくりの授業ア
イディア集 音楽をつくる・音楽を聴く』音楽之友社 2012
・山崎正彦『見つけよう 音楽の聴き方聞かせ方―新学習指導要領を活かした音楽鑑賞法』株式会社スタイル
ノート 2012
・日本学校音楽教育実践学会『音楽科カリキュラムと授業実践の国際比較 日本、カナダ、韓国、アメリカ、ド
イツ、イギリスをめぐって』音楽之友社 2012
・波田野亘『フィンランド語日本語 辞典』2010
・ヘイッキ・マキパー『平等社会フィンランドが育む未来型学力』明石書店 2007
・日本学校音楽教育実践学会『生成を原理とする21世紀音楽カリキュラム―幼稚園から高等学校までー』 東京
書籍 2006
・初等科音楽教育研究会『最新 初等科音楽教育法[改訂版] 小学校教員養成課程用』音楽之友社 2011
・文部科学省『小学校学習指導要領解説 音楽編』教育芸術社 2008
・文部科学省『中学校学習指導要領解説 音楽編』教育芸術社 2008
・文部科学省『幼稚園教育要領』教育出版 2008
・厚生労働省『保育所・保育指針』フレーベル館 2008
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我が国の音楽科教育法に関する研究 Ⅱ
(ABSTRACT)
Japanese Music Education methods II
Music education methods to nurture“a good ear for music”
TAHARA Masako Pre-school children are surrounded by various sounds in the environment, and they can hear
sounds naturally. To nurture their perception of sound, it is important for them to listen carefully
to their own voices or instruments and also the sounds in the natural environment.
The purpose of this study is to research the possibility of developing methods of music
education to nurture“a good ear for music”
. The foundation of educating nursery children
to discover pleasant sounds will lead towards better elementary music education. This study
examines how to develop the lessons for the lower grades of elementary school, such as listening
to“the flow of the sound“ by singing, and to“the harmony and the atmosphere the sound creates”
by learning how to play musical instruments.
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