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第2章 環境の特性と現況(PDF形式:1338KB)

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第2章 環境の特性と現況(PDF形式:1338KB)
(1)日立市の沿革
本市は、茨城県の北東部に位置し、東京から北へ約15
0、県庁所在地である水戸市からは北へ約
32の距離にあります。東は太平洋に面して南北約2
8の海岸線を有し、北西部は阿武隈山地の支
脈である多賀山地が連なっており、市内の約3分の2が山地で覆われています。北は高萩市、南は久
慈川を挟んで東海村と接し、面積は2
25.
5
52に達します。
本市は、日立製作所をはじめ、日立化成、日立電線、
日鉱日石金属、日立セメントなど数多くの
工場が立地する工業都市であり、電気、機械、非鉄金属、金属製品などが基幹産業です。さらに、北
関東の海の玄関として茨城港日立港区を有しています。
また、市内には主要交通網として、
常磐線、国道6号、国道2
4
5号、常磐自動車道が海岸線にほ
ぼ並行して走っています。常磐自動車道のインターチェンジは南、中央、北と市内に3箇所あり、全
国の高速道路網へとつながっています。
明治22年4月の町村制施行により、日立地方が2町1
0村に編成され、多賀郡に日立村が誕生し、大
正1
3年には多賀郡日立村が町制を施行、昭和1
4年には日立町と助川町が合併し、日立市が誕生しまし
た。その後、昭和3
0年には多賀町、日高村、久慈町、中里村、坂本村、東小沢村を編入合併し、平成
16年11月1日に日立市が多賀郡十王町を編入合併し、新たな日立市としてスタートしました。
(2)自然的特性
ア 地形と市街地の形成
市域の東は太平洋に面し、南北約2
8にわたる海岸線は、海食崖を形成しその前面には一部砂浜を
形成しています。この崖の上には標高2
0∼6
0の平坦な台地が、2∼3の幅で南北に細長く続いて
おり、ここには
常磐線や国道6号、国道2
4
5号などの幹線道路が縦走し工場群、住宅、商業・業務
施設などが連続して、比較的高密度な市街地が形成されています。
この台地の西側の標高100∼15
0の丘陵地には、昭和4
0年代頃から大規模な宅地造成が進められ、
現在は住宅団地が南北に続いています。また、常磐自動車道がトンネル及び橋梁により南北を縦走し
ています。
丘陵地の背後には、阿武隈山地の支脈である多賀山地の竪破山、石尊山、神峰山、高鈴山、風神山
などの山々が南北に連なっています。
山地のさらに西側には、久慈川の支流である里川沿いに農地と集落が発達しています。
市域の南では久慈川が市境をなし、その河口に隣接して重要港湾に指定されている茨城港日立港区が
整備されています。
イ 気象
本市は、海岸と標高数百メートルに達する多賀山地の影響を受け、比較的夏は涼しく冬は温暖な気
候となっています。日立市天気相談所※の気象観測では、年平均気温1
4.
1℃、年間降水量1,
4
4
4.
6と
環
境
の
特
性
と
現
況
なっており、冬季には季節風である北西の風が卓越する、比較的過ごしやすい気候となっています。
しかし、昭和2
7年からの統計によると、真夏日(日最高気温が3
0℃ 以上の日)の日数は増加傾向がみ
られます。
また、日照時間の推移は、昭和5
6年から平成2
2年までの3
0年間の平均は1,
9
2
9.
1時間となっており、
全国平均の1,
8
9
7時間を上回っています。
地球温暖化が進んでいる中で、日本における異常気象の変化を気象庁の資料によると、次のような
環
境
の
特
性
と
現
況
現象が挙げられています。
気温⇒ 熱帯夜(最低気温が2
5℃ 以上)の日数
増加
真夏日(最高気温が3
0℃ 以上)の日数
増加
冬日(最低気温が0℃ 未満)の日数
減少
大雨⇒ 1日の降水量が5
0以上の日数
増加
(気象庁
(2
0
0
5))
日立市役所における、1
9
6
1年から1
9
9
0年までの3
0年間の平均と1
9
8
1年から2
0
1
0年までの3
0年間の平
均により比較を行うと下記のことが読み取れます。
熱帯夜の日数
1.
5日→
2.
5日(増加)
真夏日の日数
15.
6日→22.
8日(増加)
冬日の日数
46.
4日→42.
9日(減少)
50以上の降雨の日数 4.
4日→
5.
2日(増加)
100以上の降雨の日数
0.
7日→
1.
0日(増加)
(日立市天気相談所資料)
また、1953年からのサクラの開花日の観測結果によると、年ごとの変動は大きいが、平均をとると
開花が早まる傾向が見られます。
4月
20日
1990年までの
平年(4/6)
4月
15日
2000 年までの
平年(4/5)
4月
10日
4月
05日
3月
30日
平年(4/4)
3月
25日
最近 10 年間の
平均
(4/3)
1953
1957
1961
1965
1969
1973
1977
1981
1985
1989
1993
1997
2001
2005
2009
年
※下に行くほど開花日が早くなります(日立市天気相談所資料)
年平均気温の推移(日立市天気相談所市役所観測所1
9
5
3年∼20
1
2年)
18
(℃)
最も平均気温の高かった年
:15.4℃(1999年)
16
環
境
の
特
性
と
現
況
14
12
最も平均気温の低かった年
:12.4℃(1984年)
10
1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010
年
年日照時間合計の推移(日立市天気相談所市役所観測所1
9
5
3年∼2
0
1
2年)
3000
(時間)
最も日照時間の多かった年:2356.8時間(1979年)
2500
最も日照時間の少なかった年
:1538.0時間(1998年)
2000
1500
1000
1950
1955
1960
1965
1970
1975
1980
1985
1990
1995
2000
2005
2010 年
このように、地球温暖化の影響と特定できるものではありませんが、地球温暖化に伴って起こると
想定されている現象も身近なところで起きております。
(3)社会的特性
ア 人口・世帯
平成24年4月1日現在の人口は約1
9万3千人、世帯数は約8万2千世帯、平均世帯人員は2.
3
3人で
す。人口は昭和5
8年の約2
0万6千人をピークに、その後年々減少し、一時は1
9万人を割ってしまいま
したが、平成16年11月には多賀郡十王町との合併により約2
0万2千人となりました。しかしながら、
その後も減少傾向にあり核家族化と少子化の進行により世帯数は増加しています。
平成19年以降でみると自然動態では、出生数の減少により自然減少しており、一方社会動態では、
転出人口が転入人口を約1千人程度上回っています。
また、世帯人員別の構成比を見ると単身世帯が増加してきており、今後、エネルギー消費量の増加
の一因となることが懸念されます。
人口・世帯数の推移
161,226
160,000
193,129
199,218
193,353
199,244
206,074
131,011
140,000
202,141
179,703
180,000
204,596
世帯数
人口
193,210
200,000
202,383
(人)
220,000
120,000
100,000
0
T9
15,796
56,066
50,159
6,108
76,659
71,759
82,885
20,000
27,811
40,000
23,681
60,000
34,533
80,000
25,263
環
境
の
特
性
と
現
況
65,619
56,303
67,984
62,980
77,965
73,018
43,054
50,975
26,436
36,634
5,132 5,592
14
S5
10
6,338 10,554 11,754
15 22 25 30
35
40
45
50
55
60
H2
7
12
17
22
年
(資料:国勢調査)
イ 鉄道
鉄道は常磐線が市域を縦断しており、日立駅、常陸多賀駅、大甕駅、小木津駅、十王駅の5駅が
設置されています。各駅の平成2
3年度の1日平均乗車人員は、日立駅約1
1,
2
0
0人、常陸多賀駅約6,
500
人、大甕駅約8,
9
0
0人、小木津駅約2,
7
0
0人、十王駅約3,
1
0
0人で、近年減少の状況にあります。
ウ 産業
平成2
2年国勢調査による産業別就業人口割合は、1次産業1.
5
1%、2次産業36.
85%、3次産業
59.
00%となっており、2次産業の割合が比較的高く(茨城県平均で28.
2
4%)、2次産業は地域の基幹
産業として位置づけられています。また、製造業の就業人口は減少が続いており、一方宿泊業・飲食
サービス業や医療・福祉の就業人口は微増傾向にあります。
(ア)工業
日立市は、日立製作所、
(旧)
日本鉱業の企業城下町として、電力・家電・自動車等の製品等を支える
基盤的技術を蓄積する多くの中小企業が立地しています。他の企業城下町の豊田市(トヨタ自動車)
や新居浜市(住友グループ)などと対比されることがあります。市内には、日立製作所及びその系列
企業の工場が多数点在し、東日本でも有数の工業集積地域として発展し、その事業数はピーク時で約
1,
200を数えましたが現在は減少傾向にあります。また、日立地区産業支援センターは、1
9
9
9年(平成
11年)4月に開設された産業支援機関であり、中小企業の様々な事業活動をサポートしており、その
精力的な活動は全国的にも注目され、モデルケースとなっています。
(イ)鉱業
阿武隈山地と太平洋に挟まれ、2
0世紀前半には日立鉱山や常磐炭田で知られる鉱業地帯でした。日
立鉱山は、現在の
日鉱日石金属の元になっている日本鉱業発祥の地でもあります。また、日立鉱山
は1
981年(昭和5
6年)に閉山となりましたが、非鉄金属事業は
日鉱日石金属の工場で現在も続いて
おり、更にリサイクル事業も展開しています。
旧十王町地区には石炭鉱が開かれていました。しかし、1
9
6
0年代の高度経済成長によって、石炭産
業は衰退し、閉山に追い込まれました。
また、石灰石が太平田鉱山で採掘されています。日立セメントは太平田鉱山で採掘したセメントの
原料である石灰石を山根貯鉱場までの山間3.
8の区間を架空索道で運搬してます。さらに、山根貯
鉱場からセメント工場まで、ベルトコンベアで運搬しています。この架空索道は現在日本国内ではこ
こだけの珍しい設備となっています。
(ウ)運輸・流通
茨城港日立港区では自動車の輸出入も盛んに行われており、メルセデス・ベンツ日本やルノー、日
産自動車が主に利用しています。特にメルセデス・ベンツは常磐自動車道日立南太田
付近に国内唯
一の新車整備センターを設けており、日本国内における一大流通拠点となっています。
(エ)農業・漁業
久慈川河口周辺や里川流域などの地域では農業が、海岸部の(久慈・水木・河原子・会瀬・川尻)
漁港では沿岸及び近海漁業が営まれています。また、十王地区の伊師浜海岸には、日本で唯一、ウミ
ウの捕獲が許可されているウミウ捕獲場が設けられています。
環
境
の
特
性
と
現
況
生活環境
ア 大気
大気環境については、光化学オキシダント※以外では環境基準※を達成しています。なお、光化学
オキシダントは県内すべての地点で達成できていない状況です。
環
境
の
特
性
と
現
況
光化学スモッグ対策としては、
「茨城県光化学スモッグ対策要綱」に基づいて関係機関への連絡体
制を整えて対応しています。
イ 水質
環境基準設定水域における水質測定結果によると、河川では、健康項目については全測定点で環
5%値による評価ではすべての河川で環
境基準を達成しています。生活環境項目については※7
境基準を達成しています。海域の※7
5%値による評価では概ね環境基準を達成しています。
排水規制及び公共下水道の人口普及率で98%に達する整備により、全般に河川の水質は改善さ
れ、十王川・鮎川等では、毎年、サケの遡上が確認されています。
ウ 騒音・振動
幹線道路における自動車騒音の環境基準達成状況は約6
0∼1
0
0%で、国道が超過する傾向にあり
ます。また、自動車振動については、すべての測定点で要請限度※を下回っています。
騒音に係る苦情は年間に1
6件程度で、工場・事業場及び建設作業が発生源となる傾向にあります。
エ 悪臭
悪臭に係る苦情は年間に7件程度で、製造業が発生源となる傾向にあります。
オ 地下水汚染・土壌汚染など
有機塩素系溶剤による地下水汚染については、昭和6
1年からの汚染実態調査により市内全域で発
生していることが確認されています。1
0年前に3
8箇所の汚染井戸についての継続的な定点モニタリ
ング調査を実施してきたが、経年的に濃度が減少し不検出になり、現在は、2
8箇所の井戸を調査し
環境基準を超過する井戸は1
3箇所にまで減少しています。しかし、今後も地下水の汚染状況の継続
的な監視が必要です。
ゴルフ場における農薬汚染については、5ゴルフ場(1
2地点)の排水を調査した結果、環境省が
定めた暫定指針値及び茨城県が定める指導要綱の自主管理目標値よりも濃度が低く、良好な水質で
あることが確認されています。
カ ダイオキシン類※による大気・土壌汚染
おおくぼ児童公園内にある一般大気測定局(末広町11)での大気調査及び市内各所の土壌調
査においても環境基準を大きく下まわっています。
キ 廃棄物
※
(産業廃棄物
)
市内の産業廃棄物最終処分場は、いずれも安定型であり、廃棄物は無害なものを指定しており、
適切に処理されています。
※
)
(一般廃棄物
平成23年(2
0
1
1年)現在の年間ごみ収集量は6
8,
9
5
3
、その内、ほとんどが焼却処分される燃える
ごみ収集は39,
2
2
3
であり、平成1
4年の収集システムの見直しを契機に減少傾向にあります。
平成4年(1
9
9
2年)より従来からの委託収集による資源回収に加えて、市民団体による紙類・布
類、金属類、ビン類の回収が開始されました。また、スーパー等民間事業者も自ら資源物の回収を
推進しています。
1日当たりのごみの焼却処分量は、平成4年の20
3
から平成23年は1
6
5
に減少しており、1日当
たりの焼却残渣や不燃物による埋立量は、平成4年の2
9
から平成2
3年は8
に減少しています。
一人1日平均収集量は、平成10年(19
9
8年)の1,
0
2
4
から平成2
3年は99
3
に減少しています。
◆大気・水質は概ね環境基準を達成している
環
境
の
特
性
と
現
況
◆自動車騒音の環境基準達成状況は60∼1
0
0%で、国道が超過傾向
◆一部の事業場等において騒音などの苦情がある
◆ごみの一人1日平均収集量はやや減少傾向にある
自然環境
ア 地形・地質
日立市の地形は、常磐海岸台地、多賀山地、久慈川下流低地、十王川扇状地、里川の谷に大別さ
れています。
東部の常磐海岸台地は海岸線に沿った細長い帯状のローム台地及び砂レキ台地からなり、全面積
の3分の1を占め、ここに市街地が形成されています。また北西部のほとんどは阿武隈山地の支脈
である多賀山地が連なり、ここから宮田川などの中小の河川が流れだし太平洋に注いでいます。南
は関東平野の最北部に位置する久慈川下流の三角州性低地よりなり、水田地帯を形成しています。
このように、多様な地形により市域は構成されています。
多賀山地においては、銅などの鉱物、市北部の十王地区では石炭などが産出される地層があり、
日本最古の5億6百万年前の地層も露出しています。
イ 植物・植生
植生は、海岸部、平地部、山地部のそれぞれに特徴があり、海岸は、タブノキ、ヤブツバキ、モ
チノキ、ヒサカキなどが生育しており、その一部には砂浜植生が残っているが、生育条件の悪化が
指摘されています。ハマギクの自生は南限に近く、花貫川河口近くには国の天然記念物である「い
じゅそう
ぶき山イブキ
樹
叢
」があります。
平地では、スダジイなどの照葉樹林は、鎮守の森として守られてきた泉が森、大甕神社などに
残っています。また、かつて植林されたクロマツやアカマツは、開発や害虫の食害により急激に減
少し、限られた地域でしか見ることができません。
山地の北西部ではスギ・ヒノキ・サワラ植林、東部ではクヌギ‐コナラ群集やヤマツツジ−アカ
マツ群集が中心となって、豊かな緑が続いているが、山林の手入れの不足が指摘されています。こ
れらの森林は、温室効果ガスである二酸化炭素の大切な吸収源であるとともに、優れた自然景観と
高地地形により高鈴県立自然公園、きららの里、助川山市民の森、小木津山自然公園などとして市
民に親しまれています。
そのほか、日立鉱山の煙害により荒廃した周辺山地の植生回復のために、ヤシャブシ、オオシマ
ザクラ、ニセアカシアなどが植栽され、緑が復元されています。
ウ 動物
文献調査によれば山地の区域では、関東の低山地でみられる動物のほとんどが確認されており、
特に、両生類・爬虫類ではサンショウウオが鮎川に生息しています。他に、河原子等の海浜はアカ
ウミガメの産卵地となっています。鳥類については、渡り鳥の通過地点となっており、多くの種類
が確認されています。また、オオタカ、サンコウチョウ、オオルリ等の貴重種の生息が確認されて
います。
エ その他
市街地開発が丘陵地の中腹近くまで進んでいるため、傾斜が比較的緩やかで多様な自然の楽しみ
方が可能な里山※的な自然空間が少ない状況にあります。
豊富な海岸線や中小河川を有するが、その活用を促進するような遊歩道、サイクリングコース等
環
境
の
特
性
と
現
況
の利用施設や付帯施設が一部に整備されています。
地域の生活に溶け込んでいる清澄な水の水環境のなかで、特に、地域住民等による主体的かつ持
続的な水環境の保全活動が行われているものとして、環境省選定の平成の名水百選に「泉が森湧水
及びイトヨの里泉が森公園」が選ばれています。
◆山地や海辺には水と緑の豊かな自然資源があり、その資源性は高い
◆自然資源の活用とネットワーク化が期待されている
快適環境
ア 身近な緑
一人当たり都市公園面積は7.
82(特殊公園等を含む)で周辺類似都市と比較すると少ない状況に
あります。開発によりまとまりのある平地林や農地がほとんど消滅した中で、泉が森などの鎮守の
森やあんず通り、平和通りなどの街路樹は市民が身近に親しめる貴重な緑となっています。
イ 身近な水辺
市街地を東西に多くの中小河川が流れ、十王川、鮎川等の鮭の回帰等、下水道の整備に伴って魚
類などの生物がもどり自然が概ね回復傾向にあります。
環境に関する市民アンケートでは、河川におけるごみのポイ捨て等が指摘されており、河川の環
境美化が課題となっています。
ウ 歴史・文化的環境
日立市では国、県あるいは市により6
0の文化財が指定されていますが、これらには鎮守の森や巨
木、史跡など、周辺環境と一体として守っていく必要があります。
その他に大煙突周辺、日鉱記念館、日立武道館(旧共楽館)などは日立市の産業と公害防止対策
に関するルーツであり、貴重な歴史的遺産といえます。
エ 都市景観
都市景観については、銀座通りのモール化、シビックセンターなど、これまで整備された「都市
資産」の効果的な活用により、生活利便性の高い市街地の再構築を図るとともに、本市の有する景
観特性や資源等の保全について啓発を図り、良好な景観に配慮した街づくりに向けた取組が求めら
れています。
オ 都市基盤
都市基盤については、南北方向の道路が交通需要に対して不足し、著しい交通混雑を発生させて
おり、国道6号日立バイパスの旭町以南の延伸や国道2
4
5号の4車線化などの早期事業化が求めら
れています。
また、日立電鉄線跡地の旧久慈浜駅から旧鮎川駅間をバス専用道路として整備し、定時性と速達
性を兼ね備えた新しいバス交通システム(※)を導入することで、低炭素化の実現を図ります。
◆市街地には身近な緑の空間が少ない
◆市街地を流れる河川は水質が改善され自然が概ね回復傾向にある
◆大煙突周辺や日鉱記念館等も日立の産業と公害防止に関する貴重な歴史的遺産としての活用
の拡大が考えられる
◆中心市街地では快適で魅力ある都市空間の整備が進み、都市及び眺望景観等に配慮した街づ
くりが求められている
◆国道6号において著しい交通混雑が生じている
地球環境
ア 地球温暖化
主要な温室効果ガスである二酸化炭素は、日常生活におけるエネルギー消費により排出されてお
り、その排出量は年々増加しているため、排出削減に向けて先進国を中心に国際的な取組が進めら
れています。このため、地球温暖化防止に向けた地域からの取組として、市民・事業者・市が節電・
節水、ごみの減量化等、省資源、省エネルギー対策、さらには再生可能エネルギーの導入に積極的
に取り組んでいく必要があります。また、二酸化炭素の吸収源確保対策として、森林の保全や緑化
対策を進めていく必要があります。
イ 酸性雨
酸性雨は、工場や自動車等、いろいろな発生源から排出される硫黄酸化物や窒素酸化物が原因と
なって、雨、雪、霧などの酸性降下物となって地表に降下し、森林や湖等の生態系※に被害を与え、
国際的な環境問題となっています。日立市役所における測定結果は、過去1
0年平均で
4.
7∼5.
5、
平均で5.
1であり、茨城県による測定結果の平均5.
0と同程度となっています。
ウ オゾン層の破壊
オゾン層の破壊による有害な紫外線の増大を抑制するため、冷媒、洗浄剤、噴射剤等として生活
の中で広く利用されてきた特定フロン等の生産規制や排出抑制対策が国際的な合意の中で進められ
ており、地域にあっては特定フロン等を用いた家電製品等の廃棄物処理において十分な配慮が図ら
れています。
◆官民を挙げた地域からの地球環境問題への取組が社会的責務となっている
◆地球温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨等の多様な技術的対応を必要とする地球環境問題が広
がっている
環
境
の
特
性
と
現
況
本市では、第2次環境基本計画の策定に先立ち、市民の環境に関する意識を把握するため、平成24
年8月に、20歳以上(性別、年齢、居住地域で階層化)の市民2,
0
0
0人を対象に、地域環境等に関する
市民意識調査を実施しました。
また、本市では、
「日立市総合計画」を平成2
4年3月に策定し、このうち環境保全に関連する部分を
環
境
の
特
性
と
現
況
反映するとともに、市民の参加のもとで本計画を立案するため、今回の調査を通じて得られた市民の
意識や意見は次のとおりであり、これらを踏まえて本計画は立案されるものです。
環境に関する市民アンケート
日立市民2,
0
00人を対象に、平成24年8月に「環境に関するアンケート調査」を実施し、回収率は
31.
4%でした。その結果は、次に示すとおりです。
(環境に対する関心)
◆
「ごみのポイ捨て」
、
「地球温暖化」
、
「ごみの増加とリサイクル」
、
「オゾン層の破壊」
、
「海洋汚染問題」
などに強い関心があった。
関心の強い環境問題:
①ごみのポイ捨て
4
5%
(複数回答)
②地球温暖化 3
8%
③ごみの増加とリサイクル
3
2%
③オゾン層の破壊
3
2%
⑤海洋汚染の問題
2
8%
(住居周辺の環境に対する評価)
◆10年前と比較して変化していないとの回答が多い。
「日常生活の便利さ」
、
「清潔さ」
、
「街並みの美し
さ」などは向上したが、
「交通の安全性」や「静けさ」
、
「自然景観の美しさ」
、
「自然とのふれあい」
は悪くなったとの回答が多い
周辺環境に対する不満: ①交通の便利さ
3
6%
(不満+やや不満)
②交通の安全性
3
5%
③住居周辺の静けさ
2
9%
④住居周辺の清潔さ
2
7%
⑤公園や運動場
2
6%
◆心が休まる場所、美しい風景として「かみね公園」
「パノラマ公園」
「鵜の岬」などが上位になって
いる。
心が休まる場所:
①かみね公園
5
6%
②パノラマ公園
4
7%
③鵜の岬周辺
4
3%
④泉が森
4
0%
⑤玉簾の滝
3
6%
美しい景色:
①かみね公園
4
8%
②鵜の岬周辺
4
6%
③パノラマ公園
4
5%
④平和通り
3
7%
⑤奥日立きららの里
3
4%
(環境保全への取組の状況)
◆
「ごみの分別」や「補充用包装容器の利用」
、
「冷暖房の適正温度設定」は6
0%を超える回答者が常に
実施している。前回調査時からは「省エネ家電の購入」を実行している割合が増加している。
常に実行している取組: ①ごみの分別
8
4%
②補充用包装容器の利用
6
8%
③冷暖房の適正温度設定
6
2%
④照明等のスイッチをまめに切る
5
9%
⑤水を流しっぱなしにしない
5
4%
◆今後実行したいものは「省エネ型の車購入」や「市民活動へ参加」が多い
今後実行したい取組:
①車は省エネ型を購入する
5
0%
②環境保全の市民活動に参加
5
0%
③生ごみはコンポスト化し肥料にする4
0%
④道路や公園のごみ拾い
3
7%
⑤テレビの主電源を切る
3
2%
◆手間がかかることでも実施する人は増えているが、やらない人も増加し両極端になっている。ま
た、ごみ袋の有料化の効果も薄れてきていることが読み取れる。
手間がかかるリサイクル:
①実行している
5
1%
②余裕のあるときは実行している
2
9%
③実行していない
1
5%
ごみ収集有料化になり、
:①多少は減らす努力をしている
6
1%
ごみ削減努力
②かなり減らす努力をしている
2
2%
③特に減らす努力はしていない
1
3%
環
境
の
特
性
と
現
況
◆すでに設置している割合が前回調査時より増加している。また補助等があれば設置したいは割合が
大きい
環
境
の
特
性
と
現
況
○すでに設置している
①低公害車※
1
4%
②住宅の断熱強化
1
8%
③太陽光自家発電装置
5%
○補助等があれば設置したい①低公害車
4
1%
②太陽光自家発電装置
3
6%
③住宅の断熱強化
3
1%
◆環境活動は一緒にできる仲間が重要である
環境保全活動への参加条件: ①活動時間の確保
4
5%
②一緒に活動できる仲間・団体
4
2%
③環境に関する情報の提供
3
7%
④補助・支援
3
1%
⑤活動による効果の事前知識
2
6%
住居周辺の環境に対する評価
◆
「日常生活の便利さ」、「清潔さ」、「街並みの美しさ」は向上したが、
「交通の安全性」、
「自然生
物とのふれあい」
、
「静けさ」は減少しているとの回答が多い
住居周辺の環境の変化に対する認識(1
0年前と比べて)
(良くなった+やや良くなった)
(悪くなった+やや悪くなった)
33%
日常生活の便利さ
鳥や動物・昆虫などの
自然生物とのふれあい
25%
清潔さ
21%
街並みの美しさ
0
10
20
37%
33%
交通の便利さ
30
40
(%)
38%
自然景観の美しさ
18%
川のきれいさ
39%
静けさ
19%
公園や運動場等
42%
交通の安全性
0
10
20
30
40
50
(%)
◆
「交通の便利さ」
、「交通の安全性」
、
「住居周辺の静けさ」などについて、
「不満」あるいは「や
や不満」であるとの回答が多い
◆空気の汚れ、騒音、河川の汚れ、ごみなどの汚れの原因としては、自動車、ごみ、空き缶・吸
殻など、市民の生活に起因するものが多く指摘されている
空気の汚れの原因
河川の汚れ等の原因
自動車
……………
35%
ごみ
……………………
73%
工場
………………
30%
にごり
…………………
50%
交通の便利さ
35%
砂ぼこり
…………
24%
水量が少ない
…………
39%
交通の安全性
35%
屋外焼却
…………
21%
生物が生息していない
36%
住居周辺の環境の満足度(不満+やや不満)
29%
住居周辺の静けさ
26%
ごみなどの汚れの原因
住居周辺の清潔さ
自動車
……………
77%
空き缶・吸い殻
………
53%
公園や運動場等
25%
犬・猫
……………
21%
ペットのふん
…………
50%
日常生活の便利さ
工場
………………
13%
雑草や藪
………………
46%
25%
鉄道
………………
8%
不法投棄のごみ
………
39%
騒音の原因
0
10
20
30
40
(%)
<生活環境に関する市民の意見>
○国道6号の渋滞対策をしてほしい。
○ペットのふんは飼い主が責任を持って始末してほしい。
望まれる緑や水辺の保全と整備
◆
「公園や広場の緑」
、
「街路樹や並木」
、
「緑のある水辺」
、
「魚のいる水辺」など、身近な緑や水辺
の保全と整備に対する要望が多い
望まれる緑の保全・整備の内容
望まれる水辺の保全・整備の内容
48%
公園や広場の緑
39%
街路樹や並木
田や畑の緑
木や生け垣の緑
海辺の緑
海岸、河川敷の緑
工場や研究所の緑
神社やお寺の緑
港の周辺の緑
0
10
20
29%
小さくて身近な川
15%
15%
15%
13%
13%
10%
8%
5%
森林の公園
42%
魚のいる水辺
23%
丘陵地や山の林、森
48%
緑のある水辺
21%
海辺の公園
20%
鳥のいる水辺
17%
釣りのできる水辺
12%
スポーツのできる水辺
9%
砂浜
6%
大きくてゆったりとした川
5%
農業用水路や小さな池
30
40
50
0
10
20
30
40
(%)
50
(%)
<自然環境に関する市民の意見>
○美しい場所、景観を保全、整備して他へ自慢できる街づくりを進めてほしい。
○他県から移住してきたが、日立の気温は夏が涼しく、冬が暖かく感じる。そして、緑が多く樹木が
印象的で、また海・自然が沢山あり、とても満足している。
○イノシシやハクビシン等に家庭菜園を荒らされて困っている。
環
境
の
特
性
と
現
況
日常生活における環境配慮の実践状況
◆多くの市民は、日常生活における環境への配慮に、身近なことから意欲を持って実践している
が、「テレビの主電源をなるべく切る」、
「なるべく車の利用を避ける」、
「省エネ型の電気製品
を購入する」など、さらに意欲を持って取組むことが必要な事項も多い
常に実行している取組
環
境
の
特
性
と
現
況
今後は実行したい取組
袋ごみ、再生資源、
粗大ごみを分別して出す
洗剤・シャンプーなど
補充簡易包装の製品を利用
84%
68%
テレビや照明などの
スイッチをこまめに切る
58%
洗顔や食器洗いのとき節水に努める
風呂の水を洗濯などに再利用
0
20
50%
テレビの主電源をなるべく切る
53%
自家用車の利用をなるべく
避け公共交通等を利用
39%
37%
32%
27%
22%
電気製品は省エネ型の製品を購入
環境問題に関する
新聞記事やテレビ番組を見る
39%
再生品を積極的に利用
車は省エネ型のものを購入
53%
43%
過剰包装や不必要な袋は避ける
50%
生ごみはコンポスト化し
堆肥として利用
道端や公園に捨てられた
空き缶やゴミを拾う
62%
冷暖房を適正温度の設定で使用
地域のリサイクル活動や
環境保全に関する活動に参加
40
60
80
100
20%
0
10
20
30
40
(%)
50
(%)
<快適環境に関する市民の意見>
○住み良い街づくりのためにもぜひ山側線、海岸線の道路の完成を目指して進めてほしい。
○草刈りなどの公園整備をこまめにしてほしい。草がのび放題で、こわくて利用できない。
○安心・安全な街づくりのためにも歩道・自転車道の整備をしてほしい。
環境保全活動への参加意向
◆多くの市民は、環境保全活動に対する参加意欲を示している
環境保全活動への参加意向(参加済み+ぜひ参加したい)
44%
古紙や空き缶などの資源回収の活動
30%
一斉清掃や空き缶拾いなどの地域美化活動
12%
川や海岸の美化活動
6%
緑化活動や植樹活動
3%
山林の保全整備活動
6%
動植物を守るための自然保護活動
4%
文化財や史跡などの保護活動
6%
伝統芸能や伝統工芸などの伝承活動
0
10
20
30
40
50
(%)
<地球環境に関する市民の意見>
○省エネのためにすべての施設で休みの日を設け、終日営業や年中無休の店をなくす。
○温暖化防止のため、マンション等での屋上緑化を進めてほしい。これからは建設時の条件としてほ
しい。
○公共交通機関の充実により、2削減対策をしてほしい。
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