...

2.事業の概要と成果 (1)上位目標の達成度 紛争により避難と帰還を

by user

on
Category: Documents
11

views

Report

Comments

Transcript

2.事業の概要と成果 (1)上位目標の達成度 紛争により避難と帰還を
2.事業の概要と成果
(1)上位目標の達成度
(2)事業内容
紛争により避難と帰還を繰り返してきた東部帰還民の生計が回復し、経済
的、精神的に自立して生活を送る基盤を構築した。
25 年以上続いた紛争後、最も新しく帰還した東部バティカロア県キラン
郡、パディッパライ郡、ウェラウェリ郡おいて所得の最も低い 6 地区 9 村の
248 世帯の生計が向上し、コミュニティの連帯感が高まった。 これにより、
経済的・精神的な自立を取り戻すことができた。
また、各人の精神的・経済的自立はコミュニティ内での相互の支えがあっ
てこそ成り立つものであるという点から、グループや住民組織を通して活動
したことで、紛争により離合集散を繰り返してきた帰還民がコミュニティと
しての絆の強化を促し、持続可能な発展への足がかりをつくった。結果とし
て、紛争の被害にあった地域を安定させ、帰還民の将来への不安や不満を取
り除くことで、平和の定着に貢献した。
本事業はバティカロア県内で 2006 年から 2007 年の紛争により国内避難民と
なった人々が帰還した地域のうち、キラン郡、パディッパライ郡、ウェラウ
ェリ郡内の 6 地区にて、十分な復興支援を受けられず、所得が低い(月収 800
~1200 ルピー)帰還民を対象に以下の活動を実施した。
1.農業給水支援
(1)農業用井戸 31 基の建設
(2)給水ポンプおよび配水ホースの供与
2.井戸管理委員会の立ち上げと同委員会に対する研修
(1)組織強化のためのワークショップ
(2)野菜の種と多年生植物の苗の供与
(3)達成された効果
1.農業給水支援
31 基の農業用井戸の建設を通し、対象地域 3 郡 6 地区 248 世帯の農業従事
者が農業用水に 1 年を通してアクセスできるようになった。これまでは、雨
季の冬と春の時期に天水に頼って 2 回畑作を行ってきたが、農業用井戸によ
り農閑期である春先、夏、秋にも収穫が可能となった。
現地モニタリングでは 2012 年 12 月時点で、事業開始前と比較して事業対
象地の平均収穫量は約 4 倍(17kg から 69kg)、平均月収は約 2 倍(2385 ルピー
から 5350 ルピー)となり、スリランカの貧困ライン(申請時)約 3000 ルピ
ーを超えたことが確認できた。また、井戸周辺の地区住民(735 世帯)も間接
的に裨益しており、井戸の使用を確認している。
2.井戸管理委員会の立ち上げと研修
井戸 1 基につき 8 世帯から構成される井戸管理委員会を形成し、コミュニ
ティ強化ワークショップや農業研修を実施した。グループ活動を促進するこ
とで帰還民コミュニティの連帯感が醸成され、事業終了後も井戸管理委員会
が井戸の維持管理を行う基盤が形成された。
住民は農業研修での学びを活用し、コンポストや肥料を用いた農作業を実
施することで収穫量、収入ともに増加している。
(4)持続発展性
井戸ごとに管理委員会を形成した。ワークショップにより、この委員会が
事業終了後も自主的に井戸を維持管理できるよう、委員会ごとに共同で井戸
や給水ポンプを使用するルールを策定し、運用している。井戸が長期的に使
用されると同時に、住民組織としても継続的に活動することが見込まれる。
また、コミュニティ強化の過程で、各地区内からコミュニティワーカーを
選定し、現地人材育成も行った。コミュニティワーカーは井戸管理委員会と
協力して、現地行政機関とのネットワークも持つため、今後の調整役となる。
農業研修では県農業局職員を講師として招いており、研修終了後も住民が
農業に関連する相談を行えるよう、連携している。
バティカロ県南部における帰還民生計回復支援事業
1. 農業用井戸建設
2012 年 3 月 パッティパライ郡での事前調査
2012 年 5 月ウェラウェリ郡で井戸の掘削
2012 年 6 月
ライ郡)
2012 年 4 月 ウェラウェリ郡での住民との全体集会 (参加者:
ジェンスタッフ、地区行政官、 コミュニティリーダー)
2012 年 5 月 ウェラウェリ郡で掘削が完了した井戸
雨で崩壊した井戸の再掘削(パッディパ
2012 年 6 月
井戸底から石工(パッディパライ郡)
2012 年 6 月 井戸側面のレンガ積み (パッディパライ
郡)
2012 年 11 月 井戸上部の石工作業用の足場組み (キラ
ン郡)
2012 年 7 月 石工作業が完了した井戸 (パッディパラ
2012 年 11 月 キラン郡での石工およびロゴの設置(最終
イ郡)
過程)
2012 年 12 月 JCB 型の小型掘削機による周囲の埋め
立て(キラン郡)
2012 年 12 月 裨益者による井戸清掃(ウェラウェリ郡)
2012 年 7 月 完成した井戸(パッディパライ郡)
2012 年 7 月 ワークショップでの住民による有機コ
ンポースト作りの準備(パッディパライ郡)
2012 年 10 月 本部スリランカ担当が事業地を訪問
(キラン郡)
2012 年 8 月 住民による井戸利用の様子(パッディパライ
郡)
2012 年 7 月 ワークショップで専門家が有機液状堆肥コ
ンポースト作りを住民に説明(パッディパライ郡)
2012 年 12 月 日本大使館ご担当および専門家が郡長
および村人による歓迎式典へのご参加(パッティパライ
郡)
2012 年 12 月 日本大使館ご担当から住民への給水の
2012 年 12 月 日本大使館ご担当および専門家による
譲渡(パッティパライ郡)
住民の野菜畑の見学(ウェラウェリ郡)
2012 年 12 月 多年草の配布(キラン郡)
2012 年 11 月 農業用井戸管理委員会による定例会議
の実施(ウェラウェリ郡 )
2012 年 12 月 有刺鉄線の配布(ウェラウェリ郡)
2012 年 12 月 住民によるとうがらし苗床造り (キラン郡)
2012 年 12 月 住民による植え付け後のココナッツ
などの多年草(キラン郡 )
2012 年 12 月 ワークショップから得た混作の手法を用い
た家庭菜園(ウェラウェリ郡 )
Fly UP