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森は緑のダム

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森は緑のダム
森林学習プログラム
森は緑のダム
ー森の重要な機能の一つ「水源涵養機能」について実験を通して学ぶー
ねらい
◆ 場所:学校近くの森(土を採取する活動なので、必
ず地権者や管理者の許可を得る)
森が持つ様々な機能は、目で見えることが少なく実感
しにくいものです。このプログラムでは、森の機能の
1つである「水源涵養機能」を取り上げ、実験を通し
て体感します。
◇ 時間: 2 時間
◆ 時期:春、夏、秋
◇ 道具:軍手、シャベル、新聞紙、ペットボトル3本、
カッター(ハサミ)
、ガムテープ、バケツ、ジョウロ、
筆記用具、記入シート
すすめ方
1. 導入
森の機能についてみんなで考えてみましょう(6ページ参照)。
声がけ
の例
「森は毎日私たちや生き物、地球のためにたくさん働いてくれています。どんな『働き』をしてい
るかみんなは知っているかな?」
「例えば、森の木はたくさんの葉っぱをつけているね。葉っぱは太陽の光を浴びて、私たちが吐き
出した二酸化炭素を吸って、酸素を作るという大事な働きをして
います。」
「木の幹や枝はどうかな?鳥やリス、昆虫たちが住む生き物のす
みかになっているね。」
「では、木の下の根っこはどんな働きをしていると思う?」
ポイント
ここでは、森の機能について答
えを先に教えてしまうのではな
く、森をイメージしながら、考
え、想像させるような声がけを
します。
今日は、この「根っこと木の根がささえる土」がどんな働きをしているかを学びます。
2. 森の土を掘り出そう
① 森に移動します。
② まずは、腐葉土でふかふかした森の土の感触を、足でふんで体感しましょう。
③ 土を下絵のように掘り出します。
④ 土を掘り出した後、新聞紙の上に掘り出した順番に並べていきます。また、手で触れて土の感触を
覚えておきましょう。
→ペットボトル 1 本が
入るくらいの幅・深さの
土を掘り出す
22
森林学習プログラム
実験前の準備
① 調査道具を作ります。
調査道具の作り方
↑
2つをガムテープで止める
② 実験の比較として、砂(グラウンドや砂場など)を森の土と同じ量ぐらい採取します。
3. 実験
① 採取した森の土を、掘り出した順番にペットボトルに入れます。下には下層の土が、
上には上層の土がくるようにします。上から少し押して圧縮しましょう(森と同じ
環境をペットボトルの中に作る)
② ①に、雨と過程して水1ℓをジョウロに入れて少しずつ上から注ぎます。
③ 水の浸み出してくる様子を観察し、シートに記入します。
④ 次に、砂をペットボトルに入れて、②と同じように水を注ぎ、観察します。
→水は浸み込んでいきますが、溜め続けることができま
せん。水を注ぎ続けると、土砂崩れのように急にペット
ボトルの口から砂が流れでます。
記入シート参照
24 ページへ→
4. 実験の結果を考察
・ 森の土と砂の実験結果をふりかえり、違いを比べましょう。
・ 森の土が水を溜められる理由を考えましょう。
声がけ
の例
「森の土にあって砂に無いものは何かな?土を掘り出した時のことを思い出してみましょう。木の根
だらけで掘りにくくなかった?木の根は、森の土を支える大事な働きをしています。」
「森の土の中にはアリやダンゴムシ、ミミズ、モグラなど小さな生き物がたくさん生活しています。
これらの生き物は落ち葉や枯れ枝、動物の死骸やフンを食べて、土の中に穴を掘って移動します。そ
のおかげで、森の土は細かくスポンジのようになり、降った雨を溜めることができるのです(裸地の
3 倍もの保水力があるといわれている。スポンジの保水力を例に出すとイメージしやすい)
。そして
少しずつ土の下へ、川へと流しています。実験でも、少しずつ水が出てきたね。だから雨が降っても
洪水が起こりにくく、日照りが続いても、地下水や川の水が枯れてしまうことがないのです。
」
「砂の場合は、たくさんの水を含むと、水を溜めることができずに、砂ごと流れ出してしまったね。
これは土砂崩れと同じような現象です。森がなくなって山が土や石ころだけになってしまったところ
や、手入れのされなくなった荒れた森で、土砂崩れが年々増えています。
」
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森は緑のダム
① ペットボトルを 2 本用意する
② 片方(A)はカッターやはさみで底だけを切り取る
③ A にカッターで、水抜き穴として 3 ㎝ほどの切れ込みを
4 箇所入れる(右写真の線)
④ もう片方(B)は底と口を切り取る
⑤ 2 本のペットボトルをつなぎ、ガムテープで止める
森林学習プログラム
ポイント
本来実験では、土や水の量など正確な数値を出して、土の保水力をパーセントを
使って割り出すことができます。しかしここでは 4 年生を対象としているため、
パーセントについては未学習として、数値の出し方は説明していません。まずは、
実験から体感すること(土の感触やペットボトルの土が含む水の重さを手で感じ
る)を重視して、実験の比較を行うようにしましょう。
森は緑のダム
発 展
z
水源涵養機能が高い森は、杉などの人工林よりも雑木林、さらには
ブナ林といわれています。ブナ林を見学し、土を掘り出して観察し
てみましょう。杉林の土と比べると、ブナ林の根はとても細かく、
掘りにくいです。またナイフなどで土の層を切り出すと(右写真)、
腐葉土が何層も重なりスポンジのようになっていること(水を溜め
られる証拠)が確かめられます。
z
双眼実体顕微鏡(フィールド用の顕微鏡)や通常の顕微鏡を使って森の土を採取し観察します。スポ
ンジのような細かい粒でできている土の様子や小さな生き物を発見し、普段あまり見ることのない土
の秘密に着目してみましょう。
安全対策
・ 土を掘り出す際には必ず軍手をはめ、土中のムカデなどの毒虫に刺されるのを防ぎます。
・ 調査道具を作る際、カッターを使用するので、ケガをしないように注意します。
教科や行事とのつながり事例
★ 社会で…
4 年生で学習する「水」の単元とつなげられます。降った雨の行方を森~川~ダム~浄水場と水の流
れを追って見学、体験学習を行うことで、水の流れと森の関係性をよく理解し、実感することができ
ます。
水源の森(ブナ林)散策 →水源・湧き水見学
→正善寺ダム見学
→城山浄水場見学
おすすめ資料:「ぽたりんのじょうえつ水・奇跡の旅」NPO 法人かみえちご山里ファン倶楽部編/上越市ガス水道局発行(上越
の水について小学生向けに書かれた冊子)、「里山から学ぶ〔P.115 森は自然のダム〕」濁川明男著/北越出版発行(森の土壌
含水率を比較する実験を紹介)、「土の中の小さな生き物ハンドブック」皆越ようせい著/文一総合出版発行
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