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鳴海工場改築の整備手法について
鳴海工場改築の整備手法について 目 次 1 改築計画の概要 2 整備手法の検討 3 事業の流れ 頁 ・・・・・・ 1 ・・・・・・ 2 ・・・・・・ 6 [参考資料] 1 PFIの概要 2 概算事業費の方式別内訳 3 PFI用語集 4 PFI全国事例 ・・・・・ 7 ・・・・・ 10 ・・・・・ 11 ・・・・・ 12 平成14年12月3日 名古屋市環境局 1 改築計画の概要 場 所 敷地面積 処理対象物 と設備規模 型 式 名古屋市緑区鳴海町字天白90番地 他 約3.0ha 可燃ごみ 450 トン/24 時間 破砕ごみ (225+50 トン/24 時間×2 系列) 100 トン/24 時間 他工場焼却灰 連続運転式ごみ焼却施設(ガス化溶融炉) 配置図 1 2 整備手法の検討 (1) 検討目的 ○ 事業全体のコストの削減 ○ 建設段階における財政支出の平準化 (2) 検討内容 従来方式(直営)とPFIの2方式(BTO・BOT)について現時 点で想定される前提条件により建設から運営までの事業費を試算し、評 価指標としてのVFM(Value for Money)を算出する。 (3) 検討にあたっての前提条件の設定 ア 各方式の基本的な考え方 PFI 事 項 従来方式 BTO BOT 事業範囲 本市が資金 民間事業者が資 民間事業者が資 調達、設計、施 金調達、設計、施工、 金調達、設計、施工、 工、運営の全て 運営を行う。 運営を行う。 を行う。 建設資金 補助金以外の部 分について、本市が 補助金以外の部 補助金、起 起債により調達す 分を民間事業者が 債、一般財源に るとともに、残りを 市中金融機関等か 民間事業者が市中 よる。 ら調達 金融機関等から調 達(一般財源分) 施設所有 本 市 本 市 建設後に所有 権を取得 2 民間事業者 運営期間終了後 に所有権を移転 イ 試算条件 事業期間 設計・施工期間を概ね4年、運営期間を20年とし た。 建設費 ごみ処理施設におけるPFI導入先進事例から、 PFIについては、20%の低減が期待できるものと した。なお、試算にあたっては、 「名古屋市廃棄物処理 システム検討委員会」(平成13年度)の調査データを 参考に、工場本体のみを計上した。 ごみ処理施設におけるPFI導入先進事例から、 PFIについては一定の低減が期待できるものとし 「名古屋市廃棄物処理シ 運営・維持管理費 た。なお、試算にあたっては、 ステム検討委員会」 (平成13年度)の調査データを参 考とした。 補助金等 税 金 PFIについても、従来方式と同等の国庫補助金等 が受けられるものとした。 PFIには、法人税等が課税される。 資金調達金利 公共の資金調達は起債によるものとし、本市におけ る過去10年間の平均利率と最近の金利水準を参考に 金利を2%とした。 民間の資金調達は、市中金融機関から調達するもの とし、利率は長期固定金利にリスク要因を上乗せする として、4%とした。 割引率 現在価値に換算するための割引率は、長期国債の利 回りと消費者物価指数を参考に4%とした。 3 ウ 想定した事業スキーム (ア) 従来方式 起 建 設 費 の一 部 債 起債の指導 総務省 名古屋市 国庫補助 ・施設の設計・建設 ・維持管理・運営 ・資金調達 環境省 売電収入 発注・事業費 電気エネルギー 施設引渡し 電力会社 建設会社 プラント メーカー (イ) PFI(BTOの場合) ※BOTの場合は起債による資金調達なし 起 債 建 設 費 の一 部 起債の指導 総務省 名古屋市 返 済 PFI事業者 (SPC) ・施設の設計・建設 ・維持管理・運営 ・資金調達 処理委託料 金融機関 施設所有権移転 建 設 費 の一 部 建設費の一部 事業権契約 ダイレクト アグリーメント (直接契約) 環境省 国庫補助 発注・事業費 施設引渡し 建設会社 プラント メーカー 維持管理・運転委託 溶融飛灰等 売電収入 電力会社 電気エネルギー 最終処分等 4 オペレータ (4) 検討結果 ア 方式の比較評価 PFI 事 項 概算事業費 (リスク調整後) 補助金等 市負担額 単純合計 (リスク調整後) BTO BOT 約 650 億円 約 530 億円 約 630 億円 約 170 億円 約 140 億円 約 160 億円 約 480 億円 約 390 億円 約 470 億円 (PSC) 現在価値 削減率 (VFM) 比較評価 (注) 従来方式 (LCC) (LCC) 約 300 億円 約 240 億円 約 280 億円 − 約 21% 約 6% 事業期間を コスト削減効果は コスト削減効果があ 通 し て の 支 出 高く、建設期間の一 り、事業期間を通して の 平 準 化 は で 般財源の支出が平準 の 支 出 も 平 準 化 さ れ きない。 化される。 る。 上記概算工事費は、3方式比較のため、2、(3)、イの試算条件にもとづき、 建設費、運営費及び資金調達コスト等を積算した。 5 イ まとめ 以上のことから、 ○ PFIの導入が、事業全体のコスト削減と財政支出の平準化に有効 である ○ とりわけBTO方式のコスト削減効果が高い との結論を得た。 したがって、鳴海工場改築にあたっては、BTO方式を有力な候補と して、今後具体化に向けてさらに詳細に検討する。 3 事業の流れ 事 項 新 工 場 建 設 2年目 1年目 ○ 審 査 委 員 会 設 置 実 施 方 針 公 表 特 定 事 業 の 選 定 ★ 債 務 負 担 行 為 議 決 募 落 集 事業者選定 札 要 者 項 決 公 定 表 3年目以降 契 契約交渉 約 建設工事 ★ 議 決 国 庫 補 助 整 備 計 画 6 補助金交付 参考資料 1 PFIの概要 (1) PFIとは PFI(Private Finance Initiative)は、民間の資金や経営能力、 技術力などを活用して施設の設計・建設から運営・維持管理までを一 体的に行うことにより、従来公共部門が担ってきた行政サービスを、 より効果的・効率的に市民に提供する事業手法である。 (2) 根拠法令 「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」 (PFI法) 平成11年7月成立、同年9月施行 (3) PFIの効果 ア イ ウ エ ライフサイクルコスト(LCC:事業費総額)の削減 民間企業による効率的な運営 事業実施に伴うリスクの民間への一部移転 費用の平準化 (4) PFIの各方式 BTO 民間事業者が資金調達、設計、施工した後、公共 (Build Transfer Operate) 部門に施設の所有権を移転し、その後民間事業者に 施設の使用許可等を与え、民間事業者はそれにより 施設を運営する方式。 BOT 民間事業者が資金調達、設計、施工を行い、完成 (Build Operate Transfer) 後契約期間中運営を行い、契約期間終了後に所有権 を公共部門に移転する方式。 BOO (Build Operate Own) 民間事業者が資金調達、設計、施工を行い、完成 後契約期間中運営を行うが、BOT方式と異なり、 契約期間終了後も所有権を保有する方式。 7 (5) VFMとは VFMは、「支払いに対して最も価値の高いサービスを提供する」と いう考え方で、同一のサービス水準を前提とした場合は、より公共負担 の少ないものを「VFMがある」という。 VFM 資金調達コスト 配当・収益 公課租税 リスク 資金調達コスト 維持管理 運営費 リスク対応費 維持管理 運営費 建設費 建設費 従来方式 PFI 8 (6) 現在価値換算とは 長期間にわたるプロジェクトの場合、資金の出入がどの時点にどの くらいあるかによって収益性が異なるため、投資採算性を評価する際 には、期間中の総費用だけでなく、金利等を考慮して現在の価値に換 算した価格で比較する必要がある。 これを現在価値換算といい、将来の資金を現在価値に引きなおすた めに用いる利子率を割引率という。 例:年間 20 億円を5年間にわたり毎年支払った場合(総額 100 億円) を割引率4%で現在価値に換算する場合 現在価値換算額 19.2 億円 20 20 億円 1.04 18.5 億円 20 億円 20 (1.04)2 17.8 億円 20 億円 20 (1.04)3 17.1 億円 20 億円 20 (1.04)4 16.4 億円 20 億円 20 (1.04)5 合計 89 億円 1年先 9 2年先 3年先 4年先 5年先 2 概算事業費の方式別内訳 建 設 費 事 項 (土木建築+プラント) 算出根拠 従来方式 BTO 運営・維持管理費 人件費、補修費、 用役費等 資金調達コスト等 合 計 (金利、税金等) プ ラン トメ ー カ への 実績値及びプラント 起債充当率、金利、 アンケート調査によ メーカへのアンケー 税金等 ト結果による。 る。 ただし、昨今のガス 化溶融炉の落札動 向から、10%削減 PFI 約 270 億円 約 350 億円 約 30 億円 約 220 億円 約 240 億円 約 70 億円 設計から、運営ま で一体的に行なう こと、民間による 創意工夫が可能 なことなどから、従 来方式よりさらに 20%の削減 人件費は実例及 びプラントメーカア ンケート結果によ る 補修費、用役費は 従来方式より 20% の削減 民間資金の金利 負担 法人税等の増加 約 650 億円 約 530 億円 約 170 億円 BOT 同 上 同 10 上 BTOに比して借 入額の多い民間 資金の金利負 担、固定資産 税、法人税等に よる増加 約 630 億円 3 PFI用語集 【LCC(Life Cycle Cost)】:事業の計画、設計、施工、維持管理・運営、事業 終了までの期間全体を通して必要なコスト。PFIでは現在価値に換算して評価 される。 【PSC(Public Sector Comparator)】:公共側が検討対象事業を直接実施した場 合におけるLCCを意味する。これと民間事業者のLCCを比較してVFMの評 価を行う。 【BTO(Build Transfer Operate)】 :民間事業者が資金調達、設計、施工した後、 公共部門が施設を買い取りその後民間事業者に施設の使用許可等を与え、民間事 業者はそれにより施設を運営する方式。 【BOT(Build Operate Transfer)】 :民間事業者が資金調達、設計、施工を行い、 完成後契約期間中運営を行い、契約期間終了後に所有権を公共部門に移転する方 式。 【BOO(Build Operate Own)】:民間事業者が資金調達、設計、施工を行い、完 成後契約期間中運営を行うが、BOT方式と異なり、契約期間終了後に所有権を 公共部門に移転しない方式。 【VFM(Value for Money)】:支払に対して最も価値の高いサービスを供給する という考え方。同一目的を有する2つの事業を比較する場合、支払に対して価値 の高いサービスを供給する方を他に対し「VFMがある」、残りの一方を他に対 し「VFMがない」という。 【SPC(Special Purpose Company)】:特定の事業の推進のみを目的として設立 される単一事業目的会社。PFIでは、PFI事業を目的として民間事業者によ り設立される。 【ダイレクトアグリーメント(Direct Agreement) 】 :民間事業者が事業遂行困難と なった場合に、資金を供給している金融機関がプロジェクトの修復を目的に、事 業に介入するための必要事項を規定した公共と金融機関との間で直接結ばれる 契約。 11 4 PFI全国事例 (1) 国、地方自治体、その他における実施方針の公表件数 (平成 14 年 11 月 20 日現在) 国:16件 地方自治体:65件 その他(独立行政法人):1件 合計82件 (2) 廃棄物処理施設の事例 県 名 北海道 秋田県 埼玉県 愛知県 岡山県 事 業 名 施 設 期間 方式 「留辺蘂町外2町」一般廃棄物 最終処分場整備及び運営事業 「大館周辺広域市町村圏組合」 ごみ処理場 彩の国資源循環工場整備事業 一般廃棄物最終処分場 17 年 BOT ごみ処理施設 15 年 BOT サーマルリサイクル施設 20 年 BOO 「田原町外2町」(仮称)新リ サイクルセンター整備等事業 「倉敷市」資源環境循環型廃棄 物処理施設整備運営事業 ごみ固形燃料化施設 15 年 BOT ごみ処理施設 20 年 BOO 期間 方式 斎場 20 年 BOT 庁舎 20 年 BOO 消費生活センター、 計量検査施設 少年自然の家 30 年 BOT 15 年 BTO 仮設店舗 5 年 BTO 改良土プラント 10 年 BTO 国民宿舎 20 年 BTO 港湾施設 30 年 BOO コンテナターミナル 25 年 BOT 余熱利用施設(プール) 15 年 BOT (3) 政令指定都市における事例 都市名 札幌市 仙台市 千葉市 横浜市 事 業 名 施 (仮称)札幌市第2斎場整備運営 事業 仙台市東京事務所建替え等事業 千葉市消費者生活センター・計量 検査複合施設整備事業 千葉市少年自然の家(仮称)整備 事業 戸塚駅西口第1地区第二種市街地 再開発事業・仮設店舗整備等事業 横浜市下水道局改良土プラント増 設・運営事業 神戸市摩耶ロッジ整備事業 神戸市 マリンピア神戸フィッシャリーナ 施設整備等事業 ひびきコンテナターミナルPFI 北九州市 事業 福岡市臨海工場余熱利用施設整備 福岡市 事業 12 設