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鹿児島県PFI等導入基本指針
平成16年11月
鹿
児
島
県
はじめに
「 PFI ( Private Finance Initiative:プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)」とは ,
公共施 設 等 の 「 設 計 」,「 建 設 」,「 維 持管 理 」 及 び 「運 営」 等 に民 間 の資金 , 経 営能
力 及び 技 術 的 能 力 を 活 用 す る こ と によ り , 質 の 高 い 公共 サ ービ ス を 提 供 し , ま た ,
効率的かつ効 果 的 に 社会資 本 を整 備するための事業手法です。
本県では,近年における景気の長期間に及ぶ低迷により,県税収入や交付税の原
資 とな る 国 税 収 入 が 伸 び 悩 ん で い る一 方 で , 少 子 ・ 高齢 化 への 対 応 な ど に よ り 財 政
需要が増大し , 財 政 環境は , 一層 その厳しさを増してきております。
こうした中で,新たな県民ニーズに応えていくためには,このPFIをはじめと
し ,民 間 の 資 金 や ノ ウ ハ ウ を 積 極 的に 活 用 す る こ と によ り ,良 質 で 低 廉 な 公 共 サ ー
ビスを提供で き る 手 法を積 極 的に 検討・導入していく必要があります。
こ の よ う な こ と か ら , 本 県 に お い て は , 平 成 13年 に , 庁 内 に 「 鹿児 島 県P F I 研
究会」を設置 し , P FIの 仕 組み などについて研究を進めてきたところです。
この「鹿 児 島県P F I 等 導入 基 本指針」は,こうした研究等を踏まえるとともに,
行 政と 民 間 と の 協 働 に よ り 最 も 効 率的 に 公 共 サ ー ビ スの 提 供を 行 う , い わ ゆ る 「 P
PP( Public Private Partnership: パブリック・ プライベート・ パートナーシップ)」 も取 り入
れ なが ら , 様 々 な 民 間 活 力 を 活 用 した 事 業 手 法 の 導 入の 基 本的 な 考 え 方 を 示 す と と
も に, こ の う ち P F I に つ い て は ,推 進 体 制 や P F I事 業 の導 入 手 順 等 を 明 ら か に
したものです 。
平成16年 11 月
鹿児島県PFI等導入基本指針の構成
=
第1章
基本指針編(目次) =
官民協働による公共施設等の整備運営の考え方 ……………………………1
1
基本的な考え方 ………………………………………………………………………1
2
官民協働整備運営手法(PPPの活用手法) ……………………………………2
3
官民協働整備運営手法導入の検討 …………………………………………………6
第2章
PFIの推進 ……………………………………………………………………7
1
PFIの推進体制 ……………………………………………………………………7
(1) PFIの推進体制の考え方 ………………………………………………………7
(2) 推進体制 ……………………………………………………………………………7
2
PFIの手続き ………………………………………………………………………9
(別表1)官民協働整備運営手法導入の適合性検討の視点 …………………………10
(別表2)PFI導入の適合性検討の視点 ……………………………………………11
第1 章
1
官民協働 に よる公 共施 設等の 整備運営 の考え方
基本的な 考 え 方
厳 し い 財 政 状 況 の 下 , 公 共 投 資 額 を で き る 限り 抑 制 し な が ら , 住 民 生活 や 経 済
活 動 等 に 必 要 な 社 会 資 本 を 整 備 し, 効 率 的 か つ 効 果 的 な 公共 サ ー ビ ス の 提 供 を 図
ることが求 めら れ てい ます 。
こ う し た 中 で , 公 共 施 設 等 の 設 計 , 建 設 , 維持 管 理 及 び 運 営 に 民 間 の有 す る 資
金やノウ ハ ウ を活 用す る 「P F I(Private Finance Initiative:プライベート・ファイ
ナンス・イニシアティブ)」 は , 財 政 負 担 の平 準 化 や , 民間 事 業者 の 新 た な 事業機 会の 創 出
な ど の 効 果 が 期 待 で き る こ と か ら, 社 会 資 本 の 整 備 を 促 進す る 有 効 な 手 段 と な っ
ています。
また,最 近 で は, 行 政 需要 の 多様化 に対応 するために,民間企業・NPO(Non
-Profit Organization: ボ ラ ン ティ ア 団 体 や 市 民 活 動団 体 な ど の 「民間 非営 利 組
織 」)・ 住 民 等 の 多 様 な 主 体 の 参 画 ・ 連 携 を 促 し ,行 政 と 民 間 との 協 働に よ り 最 も
効率的に 公 共 サー ビス の 提供 を 行う,いわゆる「PPP(Public Private Partne
rship:パブリック・ プライベート・パートナーシップ)」の活用も求められてきています。
こ の た め , 財 政 上 の 制 約 か ら 公 共 部 門 の 力 のみ で は , 社 会 資 本 の 整 備を す る こ
と に 限 界 が 見 え て き た 現 時 点 に お い て は , 本 県 に お い て も ,「 最 少 の 経 費 で 最 大
の 効 果 を 上 げ る 」,「 民 間 で 可 能 な 分 野 は で き る だけ 民 間 に 任 せる 」 とい う 基 本 認
識 の も と , 県 が 実 施 す る 公 共 施 設 等 の 整 備 運 営 に 当 た っ て は ,「 P F I 」 だ け で
なく「PP P」も 取り 入れな が ら,様々な民間活力を活用した事業手法(以下「 官
民協働整備 運営 手 法」 とい う。)の導入を進めることとします。
な お , 本 県 で は , 特 に 次 の 分 野 ・ 事 業 を 中 心に , 今 後 導 入 を 進 め て いき ま す 。
(1) 民 間 の 創 意 工 夫 に よ る 効 率 的 な 整 備 ・ 維持 管 理や サ ー ビ ス 向上 , 需要 増 加 が
期待でき る もの
賃貸住 宅 , 教育文 化 施 設, 庁舎,医療施設 など
(2) 県有財 産の 有 効活 用な ど民 間の企画力や専門的なノウハウを生かせるもの
未利用 県 有 地の活 用 など
【官民 協 働整備運営手法の概念図】
公共施 設 等の 整 備 運 営手法
【 公 設公営 】
・直 営
広 義の官民協働整備運営手法(日本版PPP)
・ 業 務委託
【公設民営】
・管理運営委託
【 民 設公営 】
・施設 借 用
【民設 民 営】
・ P FI
・第3 セ クタ ー
・施設貸与
【その他】
・DBO
・民 間資 金型 E SC O
事業
・定期借地方式 など
本指針 に お ける 官 民協働整備運営手法
- 1 -
・民営化
・独立行政法人
2
官民協働 整 備 運 営手法 ( PP Pの活用手法)
(1) 公設公 営(「 業務 委託 」)
施設等の建設・管理運営ともに公共が担う「公設公営」において,公共が当
該 施 設 等 の 管 理 運 営 を 行 う に 当 た り , 清 掃 ・警 備 な ど 一 部 の 業 務 を 民間 に 委 託
する形態 で あり ,管 理 運営に 関する責任は 行政が負うことになります。
また,委託した業務に要する費用については,委託費として公共が負担する
ことにな り ます 。
(2) 公設民 営
ア
「管 理運営 委 託」
施設等 を 公 共が建 設 し,その管理運営を民間に委託する形態です。
こ の 管理 運 営 の 委託 は , 主に地方自治法第244条の2第3項(改正前)に 基
づく「公の施設」の管理委託に該当します。このため,これまでは,同法に
より委託先がいわゆる第3セクター,公共団体若しくは公共的団体に限定さ
れてい ま し たが,平 成15年9月の地方自治法の改正により「 指定管理者制度 」
が導入 さ れ ,公の 施 設 の管 理を民間企業に担わせることが可能となりました 。
また,委託した管理運営に要する費用の負担主体により,次の3つに区分
されま す 。
①「委 託 費 支払型 」
公 共 が管理 運 営 に要 する費用を委託費として民間に支払う。
②「利 用 料 金型」
民間が提供したサービスの対価として,利用料金収入から負担する。
③「① と ② の併用 」
利用料金型を基本としつつも,管理運営に要する費用を公共が委託費
と し て負 担す る 。
イ
「施 設貸与 」
施設等を公共が建設した上で,民間に当該施設を有償若しくは無償で貸与
し,そ の 管 理運営 を 委 ねる 形態です。
この手法では,管理運営に要する費用は,基本的に民間が利用者より得た
収入に よ り 負担す る こ とに なります。
な お ,地 方 自 治 法第 238条の4第1項に基づき,行政財産の貸付は極めて 限
定され て お り,通 常 は 普通 財産の場合に活用されます。
(3) 民設公 営(「 施設 借用 ( リース方式)」)
施設等を民間が建設し,公共が当該施設等を民間から借り受けて,その管理
運 営 を 担 う 形 態 で す 。 し た が っ て , 当 該 施 設等 の 建 設 ・ 管 理 運 営 に 要す る 費 用
は,結果 的 に公 共が 負 担する ことになりま す。
な お ,「 公 設 公 営 」 の 場 合 と 同 様 , 公 共 が 管 理 運 営 を 行 う に 当 た り , 清 掃 ・
警備など の 一部 業務 を 民間に 委託する場合 もあります。
(4) 民設民 営
ア
「P F I ( Private Finance Initiative:プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)」
民 間 に施 設 等 の設 計 ・ 建設・運営・資金調達を一体的に委ねるもので,「民
設民営 」 に おける 最 も 代表 的な形態です。
な お , こ の 手 法 は ,「 民 間 資 金 等 の 活 用 に よ る 公 共 施 設 等 の 整 備 等 の 促 進
に 関 す る 法 律 」( 以 下 「 P F I法 」 と い う 。) や 国の 基 本 方 針 等 に 即 した 手 続
きを経ることが必要とされており,事業の仕組みはPFIと同じでも,PF
I法上の手続きを省略するなど,国の基本方針等に基づかないで実施してい
るもの は ,「PF I 的 手法」と呼ばれます。
ただし ,この「 PF I 的 手法」は,PFI法に基づかないこととなるため,
税の減免,補助金交付,行政財産活用などの優遇措置を受けられない可能性
がある の で ,注意 が 必 要で す。
- 2 -
イ
「第 3セク タ ー」
公共部門(第1セクター)と民間部門(第2セクター)との共同出資によ
り設立された経営事業体(第3セクター)に施設等の設計・建設・管理運営
・資金 調 達 を一体 的 に 委ね る形態です。
この手法は,民間の活力とノウハウを活用するという点ではPFIと同じ
ですが,公共と民間との責任の所在が不明確になっています。これに対し,
PFIはあらかじめ契約により公共と民間の役割と責任の分担を明確にして
います 。
(5) その他
ア
「D BO( Design-Build-Operate)」
施設等 の 設 計( Design),建設請負工事(Build,発注する建設主体は公共)
及び管 理 運 営(Operate) を一体的に民間に委ねる形態です。
この手 法 を 導入す る ことにより,
①「施設等の細かな仕様まで指定せず,公共の求める施設内容やサービス
の 水 準 の み を 指 定 す る 性 能 発 注 が 導 入 さ れ , そ の結 果 , 民 間 の 創 意 工 夫
を 生 かし た効 率 的な建 設工事が可能 となること」
②「管理運営コストを低減できる施設内容として設計することも可能とな
る こ と等 から , 設計・ 建設・管理運 営を通じたライフサイクルコスト
( 事 業 期 間 の 総 費 用 ) を 抑 制 し , よ り 財 政 負 担 の軽 減 と サ ー ビ ス 水 準 の
向 上 を図 るこ と 」が期 待できます。
この手法は,PFIに近似する手法ですが,PFIでは,民間が建設主体
(=発注主体)となり,建設資金の調達も行うのに対し,DBOでは,建設
主 体 ( = 発 注 主 体 ) は 公 共 で ( 民 間 は 請 負 主 体 ), そ の 結 果 資 金 調 達 も 公 共
が 担 う こ と と な り , こ の 点 で P F I と は 異 な る と 考 え ら れ ま す 。( 建 設 資 金
につい て , 民間資 金 を 活用 していないという狭義のPFIの考え方)
なお,他の自治体(浜松市の廃棄物処理施設,水泳場)では,この手法を
PFIとして位置付け,国の基本方針等に則って事業を実施している例もあ
り ま す 。( 民 間 が 建 設 後 の 改 修 費 や 大 規 模 修 繕 費 等 の 資 金 を 調 達 す る の で ,
広い意 味 で 民間資 金 を 活用 しているという考え方をとるもの)
イ
「 民 間 資金活 用 型(シェアド・セイビングス契約:節減額 分与契約)ESCO 事業」
民 間 資 金 活 用 型 E S C O (Energy Service COmpany)事 業 とは , 民間 資 金
を利用して既存施設の設備等を省エネルギー改修し,光熱水費の削減分で改
修工事 に か かる経 費 を 賄い ,さらに余剰の光熱水費の削減分により,公共(施
設所有 者 ) と民間 ( E SC O事業者)の利益を生み出す事業です。
すなわち,この手法は,民間に省エネルギー改修に関する設計・建設・管
理運営・資金調達を一体的に委ねる形態であり,PFIと同じ事業の仕組み
で あ る こ と か ら ,「 P F I 的 手法 」 で も あ り ま す 。( よ っ て , 国 の 基 本方 針 等
に即し た 手 続きを 経 れ ば, PFIとして位置付けることもできます。)
な お , 省 エ ネ ル ギ ー 改 修 に 係 る 資 金 の 調 達 を 公 共 が 行 う 場 合 は ,「 自 己 資
金型 (ギャランティ一ド・セイビングス契約:節減額保証契約)ESCO事業」と呼ば れ
ます。
ウ
「定 期借地 方 式」
不動産開発事業者等の民間に土地の活用企画とセットで,施設等の設計・
建設・ 管 理 運営を 委 ね る形 態です。
土 地 におけ る定 期 借地 権の設定期間により,次の3つに区分されます。
①「一 般 定 期借地 権 」
借地期間が50年以上で,期間満了により土地は更地で返還される。
②「建 物 譲 渡特約 式 」
借地期間は30年以上で,期間満了時に建物付で土地は返還される。
③「事 業 用 借地権 」
借 地 期 間 は 1 0 年 以 上 20 年 以下 で , 期 間 満了 に より 土 地 は 更 地で 返
還 さ れる 。
- 3 -
【 官 民 協 働 整 備 運 営 手 法 ( P P P の 活 用 手 法 )】
役
手
法
概
要
割
分
担
資金 設計 施設 管理
具 体 例
調達 建設 所有 運営
公設公営
業務委託
公共が建設・管理運営する施設
公共 鹿 児 島 県
等 に つ い て , 管 理 運 営 に か か る 一 公 共 公 共 公 共 ( 一部業( 県 庁 舎 等 )
務民間)
部業務を民間に委託するもの。
公設民営
管理運営
公共が施設等を建設・所有し,
薩摩川内市
委託
その管理を民間に委託するもの。 公共 公共 公共 民間 ( い こ い の
【委託費支払型,利用料金型,委
村)
託費支払型と利用料金型の併用】
施設貸与
公共が施設等を建設・所有し,
阿久根市
(普 通 財 産 当 該 施 設 等 を 民 間 に 貸 与 し て , そ 公 共 公 共 公 共 民間 ( 国民 宿 舎 )
の貸付)
の管理運営を担わせるもの。
民設公営
施設借用
民間が施設等を建設・所有し,
※川辺町,
( リ ー ス 当該施設を公共が借り受け,管理
※
金峰町,有
方式)
運 営 を 行 政 が 担 う も の 。( ※ 維 持 民 間 民 間 民 間 公 共 明 町 ( 町 営
管理は民間で行い,運営だけは公
住宅)
共 で 行 う 場 合 も あ る 。)
民設民営
PFI
民間(PFI事業者)に施設等
指宿市(地
の設計・建設・管理運営・資金調
公共
域 交 流 施
達を一体的に委ねるもの。
民間 民間 又は 民間 設)
【サービス購入型,ジョイント・
民間
ベンチャー型,独立採算型】
第3セク
民間(第3セクター)に施設等
福岡県:㈱
ター
の 設 計 ・ 建 設 ・ 管 理 運 営 ・ 資 金 調 民 間 民 間 民 間 民 間 福 岡 クリーンエナ
達を一体的に委ねるもの。
ジ ー (廃 棄 物
処理施設)
その他
DBO
民間に設計・建設請負工事・管
( D esi gn- 理 運 営 を 一 体 的 に 委 ね る も の 。 た 公 共 公 共 公 共 民 間
Build-Ope だ し , 資 金 調 達 だ け は , 公 共 が 行
(民間)
rate)
うため,PFIとは異なる。
北海道:西
胆振広域連
合(廃棄物
処理施設)
民間資金
民間に省エネルギー改修に関す
大阪府(母
活 用 型 E る設計・建設・管理運営・資金調
公共
子保健総合
S C O 事 達 を 一 体 的 に 委 ね る も の 。 な お , 民 間 民 間 又 は 民 間 医 療 センター)
業
民間は,省エネルギー改修工事に
民間
よる光熱費の削減分で,全ての投
資を賄う。
定期借地
民間(不動産開発事業者等)に
方式
土地の活用企画とセットで,施設
等の設計 ・建設・管理運営を委ね 民間 民間 民間 民間
る も の 。【 定 期 借 地 権 , 建 物 譲 渡
特約式,事業用借地権】
- 4 -
鹿 児 島 県
(鹿児島本
港 区 A 街
区)
【 P FIと PP P 】
「 P F I 」 は , イ ギ リ ス に お い て , 1992年 に 保 守 党 政 権 に よ っ て ,「 小 さ な
政府」を推 進するため,民間資金の導入に よる公共施設の整備を推 進する手法
と し て 導 入 さ れ た も の で す 。 こ れ は 1980年 代 半 ば 以 降 に イ ギ リ ス や ニ ュ ー ジ ー
ラ ン ド, カ ナ ダ等 のア ン グロ サ ク ソン 系 諸 国を中 心 に 形 成され た「 NP M (New
Public Management: ニュー・ パブリック・ マネジメント。 公 的部 門に民 間 事 業の経 営 理 念
・ 手 法 を 可 能 な 限 り 導 入 し よ う と い う 新 し い 経 営 理 論 )」 の 具 体 的 手 法 の 1 つ
で も ありま す。
そ の 後 , 1997年 に 労 働 党 政 権 が 発 足 す る と ,「 P F I 」 を さ ら に 発 展 さ せ ,
公共サービ スの提供に民間が参画する手法 をより幅広くとらえた概 念として,
新 た に「 P P P( Public Private Partnership: パブリック・ プライベート・ パートナーシッ
プ)」と いう呼 称 を用 いた 考 え方が 導 入 され て い ます。
「PFI」が公共事業に民間資金を導入するとい う考え方であるのに対し ,
「PPP」 は民間の資金のみならず経営資 源を幅広く取り入れて, 公共と民間
との協働( パートナーシップ)により,最 も効率的に公共サービス の提供を推
進 す る と い う 考 え 方 と な っ て お り ,「 P F I 」 の ほ か , 民 営 化 や ア ウ ト ・ ソ ー
シ ン グ,管 理委 託 など の手 法を 含む も ので す 。
日 本 に お い て も , 小 泉 内 閣 の 構 造 改 革 の 一 環 と し て ,「 民 間 に で き る こ と は
できるだけ 民間に委ねる」という方針が打 ち出され,公共サービス の提供にで
き る だけ市 場メ カ ニズ ムを 活用 する と いう 方 向 が 示され て いま す 。こ れ を受け ,
経 済 産業省 に「 日 本版 PP P研 究会 」 が設 置 さ れ ,平成 14年5 月 に 中間 とり ま
と め が出さ れて い ます 。こ の中 では , 従来 の 「 公 共が直 接 ,公 共 サ ービ スを 提
供 す る 仕 組 み 」 を ,「 公 共 サ ー ビ ス の 提 供 主 体 が 市 場 の 中 で 競 争 に さ ら さ れ る
仕 組 み 」 に 転 換 し ,「 多 様 な 手 法 を 活 用 し 最 も 効 率 よ く 質 の 高 い 公 共 サ ー ビ ス
の 提 供を目 指す 」 こと (Best VFMの 実 現) の 必 要 性など が 提言 さ れ てい ます 。
な お , 日 本 版 P P P に お い て は , 本 指 針 の 範 囲 に 加 え て ,「 民 営 化 」,「 独 立
行 政 法人」までを 対 象 と して い ますが ,この民 営 化,独立 行政 法人 に つ いて は ,
公共と民間 のパートナーシップを形成して 民間事業者の技術・経営 ノウハウを
公共サービ スに活用するというよりは,公 共の直営事業組織を株式 会社を代表
とする法人 に衣替えし,民間の経営管理諸 手法を事業運営に適用し て企業に変
身 す ること と位 置 付け られ るこ とか ら ,本 指 針 の 対象か ら 外し て い ます 。
日 本 版P P P
( 公 共サ ー ビス の民 間 開放 )
・ 民間 委託
( ア ウト・ ソー シ ング, 公 設 民営)
・ 民営 化
・ P FI
・ 独立 行政 法 人
<「日本版PPPの実現に向けて」日本版PPP研究会(中間とりまとめ)(平成14年5月22日)より>
- 5 -
3
官民協働 整 備 運 営手法 導 入の 検討
【官民 協 働 整備運営手法導入の検討フロー】
基本構 想 ・ 基本計画策定など事業の提案
( 公共サービスと して の必要性や緊急性等を勘案 し,
該事業 の政策目標や 事業計画の具体化 を図る)
官 民 協働整 備運営手法導入の適合性検討
【 検 討の 視 点 】(別 表 1):10ページ参照
① 民間 の 参 入が 見 込 まれる事業であるか
② 民間 が ノ ウ ハウ を 活用して,創意工夫できる範囲が広い事
業 であ る か
③ 法的 な 規 制が な く ,民間に任せられる事業であるか
④ 民間 に 期 待す る 成 果を明確にできる事業であるか
適 合 性あり
適合性なし
P F I導 入 の適合性検討
【 検 討の 視 点 】(別 表 2):11ページ参照
① 適当 な 事 業規 模 が 見込まれる事業であるか
② 初期 投 資 の比 率 が 小さい事業であるか
③ 設計・建設・維持管理・運営を一括して発注
で きる 事 業 である か
④ PF I を 導入 し て も,資金調達の条 件が不利
に なら な い 事業で あ るか
⑤ PFIの諸手続を進めていく時間的余裕があ
る 事業 で あ るか
適合 性あり
適合性なし
PFI
P F I以 外の 官民 協働 整備運営手
法 につ いて検討し,事業化
マニュ ア ル に沿っ て 事 業化
- 6 -
直営で事業化
第2章
P F Iの 推 進
PFIは,公共施設等の設計,建設,維持管理及び運営等に民間の資金,経営能
力及び技術的能力を活用するこ とにより,質の高い公共 サービスを提供し,また ,
効率的かつ効果的に社会資本を 整備するための事業手法 であることから,前章で 示
したように,民間との協働の観 点から,様々な民間活力 を活用した事業手法であ る
官民協 働 整備 運 営 手 法の一 部 を構 成 す る手法 で も あ りま す 。
しかし,PFIは他の官民協働整備運営手法とは異なり,PFI法や国の基本方
針等に即し,実施方針の策定・ 公表,特定事業の選定と いった手続きを経ること が
必要とされており,事業の仕組 みはPFIと同じでも, これらの手続きを省略す る
など,国の基本方針等に基づか ないで実施した場合は, 税の減免,補助金交付, 行
政財産活用などの優遇措置を受 けられない可能性がある ので,実施手順等につい て
は十分 注 意が 必 要 で す。
また,PFIは官民協働整備運営手法の中でも官民の役割・リスク分担の明確化
や手続きの透明性などから見て 最も望ましい手法の一つ と考えられますが,その 導
入に当たっては,建築などの技 術面や,財産管理,契約 ,財政などの制度面など 様
々な専 門 的知 識 が 必 要とさ れ ます 。
このようなことから,PFIの適切な導入を推進するため,その推進体制,導入
に係る 手 順等 を 明 ら かにす る こと と し ます。
1
P F Iの 推 進 体 制
(1) PFI の推 進 体制 の考 え方
PFIは,他の官民協働整備運営手法と同様に,公共施設等の整備運営を効
率的,効果的 に実施するための一つの手 法であることから,基本的 には事業所
管課が主体的 に導入の検討開始,導入決 定及びその後の諸手続を進 めることに
な り ます 。
しかしながら,PFIは導入可能性の検討過程や手続きの過程において,建
築などの技術 面や,財産管理,契約,財 政などの制度面での専門的 知識を要す
る な ど多 く の課 題が あ ります 。
このため,事業の発案段階からPFI事業者と契約する段階までを中心に,
必要な関連知 識を有する課等から構成さ れる横断的な推進体制を設 置し,事業
所 管 課に お ける 円滑 な PFI 事 業の 導入を 支援 する こと としま す 。
(2) 推進体 制
専門的 に助言
ア ド バイザ ー
提案
民 間 事業 者
事業所 管 課
専門 的かつ
公平 に審査
審 査 委員会
総合的に 支援・助言
「 P FI 推 進チー ム 」(事 務局 :企 画課 )
【構成 課 】
行 政 管 理室 , 財 政課 ,財産 活 用対 策 室,
学 事 法 制課 ,企画 課 ,経 営 金融 課,技 術管理 室 ,
営 繕 室 ,会 計 課 等
- 7 -
ア
「P F I推 進チ ー ム」
本県におけるPFIを総合的に調整・推進するため,財務,法務,技術等
の 関 連 知 識 を 有 す る 関 係 課 の 職 員 か ら な る 「 P F I 推 進 チ ー ム 」( 事 務 局 :
企画課)を設置し,各事業所管課が提案,計画している事業について,PF
I導入に関しての支援・助言等を行います。また,PFIの共通的な課題等
の検討を行うとともに,PFIに関する知識やノウハウを蓄積し,全庁的に
こ れら の 普 及を図 り ま す。
イ
「事 業 所管 課」
事業所管課は,自ら事業を提案するだけでなく,民間事業者からのPFI
事業の提案を受け付けるとともに,PFI推進チームやアドバイザー,審査
委員会等の機関と連携し,その協力を得ながら,PFIの導入検討及び具体
的 な事 業 実 施を行 い ま す。
ウ
「ア ド バイ ザー 」
PFI事業を行う場合には,事業全般に関して財務・法務・技術等の専門知識や
ノウハウが必要とされ,県職員が有する従来の知識のみでは不十分な点が生じてき
ます。また,PFI事業の魅力を高めて民間事業者の参入意欲を促すための工夫も
必要であり,この点からも専門的な知識やノウハウを有する民間のアドバイザーを
活用することは有効です。
アドバイザーには,財務・法務・技術等の各分野の知識やノウハウを総合
的 に提 供 で きる業 者 ( 総合 ア ド バイザ ー ) を選定 す る必要 があ り ま す。
な お , 県と契約したアドバイザーが,当該事業に応募又は参画する民間事業者の
コンサルタントを行うことは,利益相反の観点から認められませんので,留意する
必要があります。
エ
「審 査 委員 会」
PFI事業者の選定に当たっては,専門的分野における評価の公正性の確
保及び透明性の確保の観点から,個別事業毎に技術,経営,法律,金融など
の専門家,学識経験者及び県職員で構成される「審査委員会」を設置する必
要 があ り ま す。
事業所管課は,実施方針等の策定,入札実施,事業者の選定のそれぞれの
段 階に お い て審査 委 員 会を 開 催 すると と も に,審 査委 員会 で の意見 を 踏ま え ,
P FI 事 業 者を決 定 し ます 。
なお,総合評価一般競争入札により事業者を選定する場合には,学識経験
者 2 名 以 上 の 意 見聴 取 が 必要 と な りま す ( 地 方 自治 法 施 行令 第 167条 の 10の2
第 4 項 及 び 同 施 行 規 則 第 12条 の 3 ) の で , あ ら か じ め 審 査 委 員 会 の 構 成 員 と
し て, 2 名 以上の 学 識 経験 者 を 加えて お く ことが 必 要です 。
- 8 -
2
PFIの手続き
PFIの手続きについては,国の「PFI事業実施プロセスに関するガイ
ド ラ イ ン 」 に よ る と ,「 事 業 の 提 案 」 か ら 「 事 業 の 終 了 」 ま で 7 つ の ス テ ッ プ
に分かれています。
なお,ステップ1の「事業の提案」からステップ5の「事業契約等の締結」
まで,短くても1年半程度は必要となるので,可能な限り時間的な余裕をも
って手続きを進めなければなりません。
PFI事業のプロセス
事業所管課の対応
※
総合評価一般競争入札の場合
基本構想・基本計画策定など事業の提案
(民間からの提案の受付・検討も含む)
【ステップ1】
事業の提案
(民間事業者からの提案も
含む)
官民協働整備運営手法・PFI導入の適合性検討
< 3 ∼ 12か 月 >
導入可能性調査(概算VFMの評価等)
導入可能性調査の評価及びPFI導入方針決定
実施方針策定の見通しの公表
【ステップ2】
実施方針の策定及び公表
(PFI法第5条)
PFIアドバイザーの選定
実施方針案の作成
< 4 ∼ 8 か 月 > ( 延 べ 7 ∼ 20か 月 )
審査委員会の設置,開催(第1回)
実施方針等の策定・公表
説明会実施,質問受付・回答,意見招請
【ステップ3】
特定事業の評価,選定,
公表(PFI法第7条)
< 2 ∼ 3 か 月 > ( 延 べ 9 ∼ 23か 月 )
特定事業の評価・選定,公表
(VFMの評価)
〔PFI事業としての実施の正式決定・公表〕
議会の議決(債務負担行為の設定)
審査委員会の開催(第2回)
【ステップ4】
民間事業者の募集,
評価・選定,公表
(PFI法第8条)
入 札 公 告 ,民 間 事 業 者 へ の 説 明 等 の 実 施 ,
質問受付・回答
入札参加資格の確認
< 6 ∼ 12か 月 > ( 延 べ 15∼ 35か 月 )
入札
審査委員会の開催(第3回)
落札者決定・公表
契約書の作成(契約交渉)
【ステップ5】
事業契約等の締結等
< 3 ∼ 6 か 月 > ( 延 べ 18∼ 41か 月 )
仮契約の締結,議会の議決(契約事案)
契約の締結
【ステップ6】
事業の実施,監視等
事業の実施,事業の監視
(必要に応じて立入検査・報告の徴収)
【ステップ7】
事業の終了
事業の終了,事後評価
(土地・建物等の明渡し,現状復帰等)
- 9 -
(別表 1 )
【 官民 協 働 整備運 営 手 法導 入 の 適合性 検討 の 視点 】
検討の 視 点
視 点 の趣旨
①
民間の参入が
安 定 的 か つ 継 続 的な サ ー ビ ス需 要 が あ る こと や , 民 間に 同 種
見 込 ま れ る 事 業 ・ 類 似の 業 務 が 存 在 す る こ とな ど に よ り, 民 間 の 事 業者 の 参 入
である か
が見 込 まれる こと が 必要で す 。
②
民間がノウハ
ウを活用して,
創意工夫できる
範囲が広い事業
である か
③
法的な規制が
設 置 主 体 や 管 理 主体 の 制 限 など , 法 的 に 民間 事 業 者 が事 業 主
な く , 民 間 に 任 体に な ること が制 限 されて い な いこと が 必要 で す 。
せ ら れ る 事 業 で ( 例 えば , 道 路 法 , 都 市 公 園法 , 下 水 道法 な ど の 公 物管 理 法 で
あるか
は , 設置 及 び 管 理 主 体 が 地 方公 共 団 体 に限 定 さ れ て いま す 。 ま
た , 特別 養 護 老 人 ホ ー ム な どの 社 会 福 祉施 設 に つ い ても , 原 則
と し て設 置 及 び 管 理 主 体 が 地方 公 共 団 体及 び 社 会 福 祉法 人 に 限
定さ れ ていま す。)
な お , 一 部 に 制 限が あ る 場 合で も , 制 限 のな い 範 囲 を民 間 に
任せ ら れない かど う か検討 す る ことも 必 要で す 。
( 例 えば , 学 校 に つ い て は ,設 置 主 体 及び 運 営 主 体 は, 地 方 公
共 団 体及 び 学 校 法 人 に 限 定 され て い ま すが , 校 舎 の 建て 替 え ,
維 持 管理 等 の 業 務 に つ い て は, 民 間 事 業者 が 行 う こ とも 可 能 で
す。)
④
民間に期待す 民間事業者に公共サービスを委ねることによってサービス水
る 成 果 を 明 確 に 準 が 低下 す る こ と を 防 止 す るた め , 事 業の 成 果 が 数 値化 で き る
で き る 事 業 で あ な ど ,民 間 が 達 成 す べ き サ ービ ス 水 準 を明 確 に 規 定 でき る こ と
るか
が必 要 です。
ま た , こ の こ と によ り 提 供 され る サ ー ビ スの 質 の 検 査も 行 い
やす く ,客観 的な 評 価が可 能 と なりま す 。
施設内容や運営部分に民間の創意工夫を加える余地が大き
く , 民間 ノ ウ ハ ウ の 活 用 に より 効 率 的 なサ ー ビ ス 提 供が 可 能 で
あ る こと が 必 要 で す 。 特 に ,運 営 収 入 が見 込 め る 事 業で , 民 間
の 経 営ノ ウ ハ ウ の 活 用 に よ り, 需 要 の 増加 や 収 益 性 の向 上 が 期
待で き るもの は,導 入 の適 性 が 高 いも の で ある と 考 えられ ま す。
- 10 -
(別表 2 )
【PF I 導入 の適 合 性検討 の 視 点】
検討の 視 点
視 点 の趣旨
①
適当な事業規
P F I の 場 合 , 従来 の 手 法 と比 べ , 可 能 性調 査 や ア ドバ イ ザ
模 が 見 込 ま れ る ー 委 託等 の 手 続 き コ ス ト や 民間 資 金 の 調達 コ ス ト が 嵩む こ と か
事業で あ る か
ら , 事業 規 模 が あ ま り 小 さ なも の は , 費用 対 効 果 が 見合 わ ず ,
民間 事 業者の 参加 意 欲も涌 き に くい状 況 にあ り ま す 。
つ ま り , こ れ ら の追 加 コ ス トを 上 回 る コ スト の 削 減 を図 る た
めに は ,一定 規模 以 上の事 業 規 模が必 要 とな り ま す 。
ま た 一 方 で は , あま り に 巨 大な 事 業 で は ,民 間 事 業 者が リ ス
ク を 負担 す る こ と が 困 難 に なる と と も に, 資 金 調 達 をす る こ と
が 難 しく な る 場 合 も あ る た め, 適 切 な 事業 規 模 で あ るこ と が 必
要で す 。
な お , 一 つ の 事 業で は , 事 業規 模 が 小 さ くて も , 同 種類 の 事
業 を 束ね , 一 定 規 模 以 上 の 事業 規 模 に する な ど , ス ケー ル メ リ
ット を 生かし た手 法 につい て も 検討す る こと が 必 要 です。
②
初期投資の比
P F I の 場 合 , 公債 な ど の 公的 資 金 に 比 べて 割 高 な 民間 資 金
率 が 小 さ い 事 業 を 調 達す る こ と に よ る 金 利 負担 の 増 大 とい う デ メ リ ット が あ る
である か
た め ,従 来 の 手 法 に 比 べ 施 設建 設 費 や 運営 ・ 維 持 管 理費 の 削 減
が 著 しく 期 待 で き る 場 合 を 除き , 運 営 ・維 持 管 理 費 に対 し て 初
期 投 資で あ る 施 設 建 設 費 が 大き す ぎ る と, こ の 金 利 差を 補 う こ
とが 難 しくな りま す 。
③
設計・建設・
P F I の 場 合 , 施設 の 設 計 ・建 設 ・ 維 持 管理 ・ 運 営 を民 間 事
維 持 管 理 ・ 運 営 業 者 がノ ウ ハ ウ を 生 か し な がら 一 体 的 に担 う こ と に より , 事 業
を 一 括 し て 発 注 全体 に 要する 経費 を 削減す る こ とがで き ます 。
できる事業であ
よ っ て , 維 持 管 理・ 運 営 面 を考 慮 し た 施 設の 設 計 ・ 建設 を 行
るか
うた め ,一括 発注 で きるこ と が 必要で す 。
な お , 既 に 基 本 設計 や 実 施 設計 ま で 終 了 して い る 事 業の 場 合
で も ,民 間 事 業 者 から の 設 計の 改 善 提案 , い わゆ るV E (Value
Engineering: バリュー・エンジニアリング)提 案 を活用 する こ とに よ り,
PF I 導入が 可能 と なる場 合 も あるの で,その 検 討 も必要 で す。
④
PFIを導入
P F I の 場 合 , 事業 主 体 が 民間 事 業 者 で ある た め , 従来 の 手
し て も , 資 金 調 法 で あれ ば 受 け る こ と が で きた 国 庫 補 助負 担 金 等 を 受け ら れ な
達 の 条 件 が 不 利 いこ と があり ます 。
にならない事業
よ っ て , P F I の場 合 で も 国庫 補 助 負 担 金や 地 方 財 政措 置 を
である か
同 じ よう に 受 け る こ と が で きる か ど う かな ど , P F Iと 従 来 の
手 法 を比 較 し て , P F I の 場合 に 資 金 調達 上 の デ メ リッ ト が 存
在し な いこと が必 要 です。
⑤
PFIの諸手
P F I の 場 合 , 民間 事 業 者 の募 集 , 選 定 ,契 約 締 結 など P F
続 を 進 め て い く I法 に 基づく 事務 手 続き等 が 複 雑で, 相 当の 時 間 を 要しま す 。
時間的余裕があ
ま た , 民 間 事 業 者の ノ ウ ハ ウの 十 分 な 活 用を 図 る た めに , 民
る事業 で あ るか 間 事 業者 か ら の 意 見 の 反 映 のた め の 手 続き や 民 間 事 業者 の 提 案
作成 な どに要 する 時 間を十 分 確 保しな け れば な り ま せん。
よ っ て,ゆ とり あ る スケ ジ ュ ー ルを 設 定 する 必 要 があり ま す。
- 11 -
=
第3章
導入マニュアル編(目次) =
PFI制度 ………………………………………………………………………12
1 PFIの基本概念 ……………………………………………………………………12
(1) PFIとは …………………………………………………………………………12
(2) PFIの基本理念・原則・主義 …………………………………………………12
2
PFI法等と地方公共団体との関係 ………………………………………………13
3
PFIの特徴 …………………………………………………………………………15
(1) 民間の資金とノウハウ(経営上のノウハウ及び技術的能力)の活用 ………15
(2) VFMの達成 ………………………………………………………………………16
(3) リスク分担について ………………………………………………………………17
4
PFIの仕組み ………………………………………………………………………19
(1) PFI事業の仕組み ………………………………………………………………19
(2) PFIの事業形態 …………………………………………………………………21
(3) PFIの事業方式による分類 ……………………………………………………22
(4) PFI事業の一般的なプロセス …………………………………………………27
(5) 従来方式とPFI方式との比較 …………………………………………………28
(6) PFI事業者の選定方式 …………………………………………………………31
5
PFIの効果と課題 …………………………………………………………………32
(1) 効果(メリット) …………………………………………………………………32
(2) PFI導入による課題 ……………………………………………………………33
6
PFIにおけるその他の留意事項 …………………………………………………34
(1) PFI法と地方自治法などの適用関連について ………………………………34
(2) イコールフッティングについて …………………………………………………36
(3) PFI事業に係る地方財政措置について ………………………………………41
(4) 融資制度等について ………………………………………………………………42
(5) 公物管理について …………………………………………………………………43
第4章
PFI事業の導入手順 …………………………………………………………44
1
PFI導入の検討段階 ………………………………………………………………45
(1) 事業の提案(民間からの提案を含む),
官民協働整備運営手法・PFI導入の適合性検討 ……………………………45
(2) 導入可能性調査の実施 ……………………………………………………………50
(3) 導入可能性調査の評価及びPFI導入方針決定 ………………………………51
2
実施方針の策定及び公表段階 ………………………………………………………52
(1) 実施方針策定の見通しの公表 ……………………………………………………52
(2) PFIアドバイザーの選定 ………………………………………………………53
(3) 実施方針案の作成 …………………………………………………………………55
(4) 審査委員会の設置,開催(第1回) ……………………………………………59
(5) 実施方針等の策定・公表 …………………………………………………………61
(6) 説明会の実施,質問受付・回答,意見招請 ……………………………………62
3
事業選定段階 …………………………………………………………………………63
(1) 特定事業の評価・選定,公表 ……………………………………………………63
(2) 議会の議決(債務負担行為の設定) ……………………………………………70
4
民間事業者の募集・選定段階 ………………………………………………………71
(1) 審査委員会の開催(第2回) ……………………………………………………71
(2) 入札公告,民間事業者への説明等の実施,質問受付・回答 …………………77
(3) 入札参加資格の確認 ………………………………………………………………77
(4) 入札 …………………………………………………………………………………78
(5) 審査委員会の開催(第3回) ……………………………………………………78
(6) 落札者の決定・公表 ………………………………………………………………79
5
契約締結段階 …………………………………………………………………………80
(1) 契約書の作成 ………………………………………………………………………80
(2) 契約の締結,議会の議決(契約事案) …………………………………………81
(3) 契約の締結 …………………………………………………………………………82
6
事業の実施段階 ………………………………………………………………………83
(1) 事業の実施,事業の監視(モニタリング) ……………………………………83
7
事業の終了段階 ………………………………………………………………………84
(1) 事業の終了,事後評価 ……………………………………………………………84
【参考資料】
1 PFIに関するホームページ ………………………………………………………85
2 資料集(法令,通知等) ……………………………………………………………86
第3章
1
P F I制 度
P F Iの 基 本 概 念
(1) PFI (Private Finance Initiative: プライベート・ ファイナンス・ イニシアティブ)と は
P F I と は , こ れ ま で 国 や 地 方 公 共 団 体 等 ( 以 下 ,「 公 共 」 と い う 。) が 担 っ
て き た 公 共 施 設 等 の 「 設 計」,「 建 設 」,「 維 持 管 理 」 及 び 「 運 営 」 等 に 民 間 の 資
金,経営能力 及び技術的能力を活用する ことにより,質の高い公共 サービスを
提供し,また ,効率的かつ効果的に社会 資本を整備するための事業 手法です。
すなわち,PFIでは,公共部門が公共サービスの直接提供者ではなく,公
共サービスの 提供者は,民間事業者であ り,公共はこれを提供する 民間事業者
に対し,対価 の支払い,補助金等の支援 あるいは事業認可などの関 与を行うこ
と に よっ て ,こ のサ ー ビスを 調 達す ること とな りま す。
【 P FIの 適用 対象 施 設( PF I法 第 2条 第1 項)】
対 象施 設
具
体
例
公 共 施 設 道路, 鉄道,港湾,空港 ,河川, 公園 ,水道,下水 道,工業用水 道等
(第1号 )
公 用 施 設 庁舎, 宿舎等
(第2号 )
公 益 的 施 設 賃貸住宅,教育文化施設,廃棄物処理施設,医療施設,社会福祉施設,駐車場
(第3号 ) 等
その他の 施設 情 報 通 信施 設 , 新 エネルギー施設 , リサイクル施 設 (廃棄物処理施設を除く), 観光 施設 並 び に船 舶,
( 第 4 号 , 第 5 号 ) 航空機 等の輸送施設等
上 記 に 準 ず る 施 設 別途政 令で定める施設
(第6号 ) ※現 時点では定 められていな い。
(2) PFI の基 本 理念 ・原 則・ 主義
PFI事業を行うときには,次の「基本理念・原則・主義」に基づいて事業
を 実 施す る 必要 があ り ます。
基 本 理念 (PF I 法第 3条 )
官 民 の適 切 な 役 割分 担並 び に財 政 資 金の 効 率 的使 用 の 観 点 を踏 ま え ,公 共 施
設 等 の 整 備 等 に 関す る 事業 につい て ,民 間 事 業者 に 行 わせ るこ と が 適切 な も の
に つ いて は ,で きる 限 り民間 事 業者 に委ね る。
5 原 則( PFI 基 本方 針)
公 共 性原 則
公 共性 のあ る 事 業が 対 象
民間経営資源活用原則
民 間の 資金 , 経 営能 力 及び技 術 的 能 力の 活 用
効 率 性原 則
民 間の 自主 性 と 創意 工 夫を尊 重 し , 効率 的 かつ効 果 的 に実施
公 平 性原 則
特 定事 業の 選 定 及び 民 間事業 者 の 選 定に お ける公 平 性 担保
透 明 性原 則
事 業の 全過 程 を 通じ て の透明 性 の 確 保
3 主 義( PFI 基 本方 針)
客 観 主義
各 段階 の評 価 決 定に つ いての 客 観 性
契 約 主義
明 文化 によ る 責 任分 担 等契約 内 容 の 明確 化
独 立 主義
事 業体 の法 人 格 及び 経 理上の 独 立 性 確保
- 12 -
2
P F I法 等 と 地 方公共 団 体と の 関 係
・「 民間 資金等 の 活 用によ る 公共施 設 等 の整備 等 の 促進
に 関 する法 律( PF I 法)」
適用
・「 民間資 金等 の活用 によ る公 共施 設 等 の整備 等 に関
す る 法律 施 行 令( P F I法 施行 令)」
地
適用
方
・「 民 間資 金等の 活 用に よ る 公共 施 設等 の整備 等 に関 する
事業 の 実施 に関 する 基本 方針 (国の PF I基 本方 針 )」
参考
公
内
閣
・「 PF I事業実 施プロ セスに関 するガ イドライ ン」
府
・「 PF I事業に おける リスク分 担等に 関するガ イドラ イン」
・「 VF M(Value For Money)に 関する ガイド ライン」
共
参考
・「 契約 に関する ガイド ライン」
団
・「 モニ タリング に関す るガイド ライン 」
・「 公 共 施 設 等 運 営 権 及 び 公 共 施 設 等 運 営 事 業 に 関 す る ガ イ
ド ライン 」
体
・「 地方 公 共 団 体に お けるP F I事 業 につ いて 」
( 自治 事 務 次官通 知 )
適用
総
務
省
・「 民間資 金 等の 活 用によ る公共施 設等の 整備等 の 促進に関 する
法 律( 平成 11年 法律第 117号 )に 基 づい て 地方公 共団体 が 実施
する事 業に係る地方財政 措置について」
( 自治省 財政局 長通知)
- 13 -
適用
平成 11年7月 30日 P F I法成 立( 平 成 11年9月 24日施 行)
平成 11年9月 22日 P F I法施 行令
平成 12年3月 13日 国 の PFI 基本 方 針 公表
平成 12年3月 29日 「 地 方公共 団体 に お ける PF I 事 業につ いて」(自 治事務 次 官通 知)
(平 成 14年 4月 1日 一部 改正 ,平 成15年9 月 2日一 部 改正 )
平成 12年3月 29日 「 民間 資金 等 の活用 によ る 公共 施設 等の 整 備等の 促進 に 関す る法律( 平
成 11年 法 律 第 117号 ) に 基 づ い て 地 方 公 共 団 体 が 実 施 す る 事 業 に 係 る
地方 財 政措 置に つい て」( 自治省 財 政局 長通 知)
平成 13年1月 22日 「 P FI事 業実 施 プ ロセ スに 関 す るガイ ドラ イ ン」 公表
「P F I事 業に おけ るリ スク 分担 等 に関 する ガイ ドラ イン 」公 表
平成 13年7月 27日 「 V FMに 関す る ガ イド ライ ン 」 公表
平成 13年12月5 日 P F I法一 部改 正 ( 平成 13年 12月12日施 行)
(主 な 改正 内容 は,「公 共 施設等 の 管理 者等 の範 囲拡 大」,「 行政 財産
の貸 付 けが 可能 」,「民 間 収益施 設 等と の合 築可 能」)
平成 14年8月 29日 「 PF I事 業 者の公 物管 理 法上 の位 置づ け につい ての 考 え方 につい て 」
(国 土 交通 省総 合政 策局 政策 課通 知 )
平成 14年12月
「 売 買とさ れる P F I事 業に つ い て(法人税の取扱い)」(国 税 庁取 扱通 達)
平成 15年3月 31日 「 P FI事 業に 係 る 民間 事業 者 の 選定及 び協 定 締結 手続き に つい て」
(総 務 省自 治行 政局 行政 課長 ・地 域 振興 課長 通知 )
平成 15年6月 23日 「 契 約に関 する ガ イ ドラ イン 」 公 表
「モ ニ タリ ング に関 する ガイ ドラ イ ン」 公表
平成 15年9月 2日 地 方 自治法 一部 改 正 (指 定管 理 者 制度の 導入 )
平成 16年3月
「地方公共団体がPFI事業を実施する際の補助金等の適用に関する
国土 交 通省 基本 方針 」( 国 土交通 省 )
平成 16年7月 7日 「 P F I 方 式 に よ る 建 設 工 事 を 請 け 負 う 建 設 業 者 の 資 金 調 達 の 円 滑 化
につ い て」( 国土 交通 省 総 合政策 局 建設 業課 通知 )
平成 16年7月
「 売 買とさ れる P F I事 業に つ い て(消費税の取扱い)」(国 税 庁取 扱通 達)
平成 17年8月 5日 P F I法一 部改 正 ( 平成 17年 8月15日施 行 )
(主 な 改正 内容 は,「行 政 財産の 貸 付け の拡 充」)
平成 19年12月26日 「 P F I 法 に 基 づ い て 地 方 公 共 団 体 が 実 施 す る 事 業 に 係 る 地 方 財 政 措
置 に つ い て 」( 総 務 省 自 治 行 政 局 地 域 振 興 課 ・ 自 治 財 政 局 調 整 課 ・ 自
治財 政 局地 方債 課事 務連 絡)
平成 23年6月 1日 P F I法一 部改 正 ( 平成 23年 11月30日施 行)
( 主 な 改 正 内 容 は ,「 P F I の 対 象 施 設 の 拡 大 」,「 民 間 事 業 者 に よ る
提案 制 度の 導入 」,「公 共 施設等 運 営権 の導 入」)
平成 25年6月 6日 「 公 共 施 設 等 運 営 権 及 び 公 共 施 設 等 運 営 事 業 に 関 す る ガ イ ド ラ イ ン 」
公表
平成 25年6月 6日 「 P PP/ PF I の 抜本 改革 に 向 けたア クシ ョ ンプ ラン」 公 表
平成 25年6月 12日 P F I法一 部改 正 ( 平成 25年 9 月5 日 施行 )
(主 な 改正 内容 は,「民 間 資金等 活 用推 進機 構の 設立 」)
- 14 -
3
P F Iの 特 徴
(1) 民間の 資金 と ノウ ハウ (経 営上 の ノウ ハ ウ 及 び技術 的 能力 ) の 活用
ア
「 P F I 事業 者 に よ る設 計 ,建設, 維持管理,運営 の一体的取 扱い」
従来の公共工事では,設計,建設,維持管理,運営について,それぞれを
公共の責任で行っていましたが,PFIではそれを民間事業者に一括して任
せることで,どのような設計にすれば将来の維持管理や運営のコストの削減
が図 れ る か な ど の観 点 で , 民間の ノウハ ウが生かさ れるこ ととなり ます。
イ
「 性 能 発 注」
従来の公共工事では,詳細に施設の構造や資材などを定めた仕様書による
仕様発注が行われていました。PFIでは,構造物,建築資材などの具体的
な仕様の特定については必要最小限とし,公共が最終的に求める公共サービ
スの 内 容 ・ 水 準 を示 す こ と にとど める性 能発注を行 います 。
PFI事業者は,構造や資材,運営方法などについて,求められる水準の
中で自由な提案をすることができ,公共サービスの向上や一層の事業費の削
減に 向 け た 民 間 事業 者 の ノ ウハウ を生か せることに なりま す。
【従来 型 仕様 発 注 と PFI 型 性能 発 注 の違い 】
発
注
方
式
事 業種 類
仕様発 注 ( 従来 型 )
道
路
中学校
橋
ウ
・ 車 線の数
・ 塗 装材料
・ 照 明器具 配 置 の間隔
性能 発 注(P F I 型 )
・1 日 当たり の通 行 可 能交 通量
・事 故 発生件 数
・照 度
・ 教 室数
・生 徒 収容能 力
・ レ クリエ ー シ ョン施 設の 指定 ・生 徒 の健康 ・体 力 向 上目 標
・ 給 食メニ ュ ー の指定
・栄 養 度
・ 利 用する 資 材 の種類
・ 橋 げたの 数
・耐 久 性
・耐 震 性
「 公 共 サ ービ ス 提 供 実績 に 応じた支 払い」
PFI事業者には,設定された公共サービス水準を達成することが求めら
れ,公共側は契約期間中その実績をチェックし,サービス水準の達成度に応
じた 支 払 い を す るの が 一 般 的です 。
仮にその実績が定められたサービス水準を下回った場合,公共からPFI
事業者への支払い額の減額が可能とされ,一方,定められたサービス水準を
上 回っ た 場 合には 追 加 的な 支 払 いがで き る とする 事 例もあ りま す 。
これら の こ とより ,PF I事 業者 は,要求 さ れ た公共 サ ービス 水 準 の確保 ,
さらにはより高い水準のサービス提供に向けて,これまで蓄積してきた民間
の ノウ ハ ウ を生か せ る よう に 努 めます 。
- 15 -
(2) VFM (Value For Money: バリュー・フォー・マネー)の達 成
V F Mは , P FI に お ける 最 も 重 要 な概 念 で あり,「 支払 い ( 公的財 政 負 担)
に 対 して 最 も価 値の 高 いサー ビ スを 供給す る」 という 考 え方 で す 。
PFIではこのVFMが達成されていることが求められており,VFMの検
証 が 必 要 で す 。「 同 一 コ ス ト の 下 で , よ り 質 の 高 い サ ー ビ ス を 提 供 す る 」 又 は
「 同 一水 準のサ ー ビス をよ り 低コス ト で 提供す る」こ とに よっ て達 成 され ます 。
具体的には,公共が事業を直接実施した場合に公共が負担するコスト(PS
C : Public Sector Comparator) と P F I で 実 施 し た 場 合 の 総 コ ス ト ( L C C
: Life Cycle Cost)に お け る 公 共が 負 担 する コ ス トを そ れ ぞれ 現在 価 値 ベース
で 算 定し , これ を比 較 するこ と で検 証する こと がで きま す。
(例:同 一 の 公共サ ー ビス水 準 の 下で 評 価 す る場 合 )
P S C>P F I 事業 の LC C
P S C<P F I 事業 の LC C
→
→
PFI 事業 にV FM が あ る
PFI 事業 にV FM が な い
・「 P SC ( Public Sector Comparator)」
公 共が 自ら 実施 する 場合 の事 業期 間 全体 を通 じた 公的 財政 負担 の見 込額
・「 P FI 事 業の LCC ( Life Cycle Cost)」
P FI 事業 とし て実 施す る場 合の 事 業期 間全 体を 通じ た公 的財 政負 担の 見込 額
※
P S C と P F I 事 業 の L C C の 両 方 と も, 時 間 の 経 過 と とも に 貨 幣価 値 が 変
化 す る こ と に な る た め , 年 度 ご と の 収 支 額を 基 準 時 点 の 貨 幣 価 値 に 換算 ( 現 在
価 値へ の換 算) して 算出 しま す。
【V FMの概 念図】
従 来 方式
( PS C )
リスク 調整費
P F I方 式
( L C C)
VFM
< 通 常の 場合の コ スト 比較 >
税 金 ・配当 金
運営費(従来型 )>運営費(PFI)
運営費
運営費
・設計 の段階から効率的 な管理運営を考
えて 設計していく 等
建設費(従来型 )>建設費(PFI)
建設費
建設費
支 払 利息
支払 利 息
・性能 発注のため,従来 までの仕様発注
にと らわれない創 意工夫が可能
支払利息(従来 型)<支払利 息(PFI)
※
・県が 調達するよりも一 般企業である民
間企 業が調達する 分コストが高 い。
リスク調整費
PSCとLCCを比較す る場合に,例えば,工事遅延リスク等によるコストや火災保険な
ど,従来方式において公共がコストとしていなか ったものを,公共が負うコストとして計算
し,PS Cに算入するコス トのこと。
なお,LCCにおいては ,工事遅延リスク等によるコストや火災保険などは,民間事業者
における 通常のコストとし て,建設費や運営費に算入され ています。
- 16 -
(3) リスク 分担 に つい て
PFIにおいては,事業期間中に発生する事故,需要の変動,天災,物価や
金利の上昇等 の事業契約等の締結の時点 では,正確に予測しがたい 事態により
損 失 等が 発 生す る可 能 性を「 リ スク 」とい いま す。
PFI事業に伴うリスクは可能な限り民間に移転し,民間では取れないリス
クを公共が負 うことになります。ただし ,民間にリスクを移転しす ぎると,民
間はリスクを 回避するために保険を掛け るなどの予防措置をとりま す。この費
用は料金に上 乗せされ,ひいては公共が 民間事業者に支払うべき料 金が高くな
る 要 因と な り, VF M の低下 を もた らすこ とに なり ます 。
よって,想定されるリスクをできる限り明確化した上で,リスクはそのリス
クを最もよく 管理することのできる者が 負うという考え方のもとに 公共と民間
の最適なリス ク分担が求められます。な お,不可抗力等による回避 できないリ
スクも当然想 定され,そのためリスクが 顕在化した場合の対処方法 や公共と民
間の追加的支 出の負担割合をあらかじめ 契約段階で取り決めておく ことが求め
ら れ ます 。
【 公民 の 間 の適切 な リ スク 分 担 とVF Mと の 関係 】
( V FM)
大
小
VFM
最高値
従来型
事業の
VFM
公共より民間
の管理能力の
高 い リスク
従 来型
公共よ り民 間
の管理 能力 の
低いリ スク
最適 化
小
- 17 -
(リスク移 転 )
大
【主 なリ ス ク分 担 等の 事例 】
段
リ スク
階
の 種類
リ スク の概 要
制度 ・ 法令
経済
リ スク
分担例
公 民
共
関係法令,許認可,税制の変更等 ○
に 係 るリ ス ク
当該法令,制度等の変更により事
業遂行不能となった場合の損害等の
負 担が 発 生 す るリス ク
物価 変 動, 金利 変 動, 為替変 動 等
パー ト ナー
共
出資者,事業パートナーの経験・
能力不足等に伴う計画の変更,遅延
に 伴う コ ス ト の増大
性能・サービ
整備された施設,民間により提供
ス水 準
されているサービスの水準が公共の
求める仕様に達しない場合の費用負
担等
第三 者 賠償
事業の各段階で第三者への損害賠
償 が発 生 す る リスク
債務 不 履行
事 業 破 綻 , 事 業 公 共側 の事 由
○
打 ち切 り 等
通
民間 側 の事 由
住民 等 の反 対
不可 抗 力
測量 ・ 調査
計
画
・ 設計
設
計
段
階 資 金調 達
工事 遅 延
整
備
段
階
周辺住民の反対運動により施設整 ○
備 ,事 業 運 営 に支障 が 生じ る場 合
工事・運営期間中の地震・台風な ○
ど の大 規 模 災 害等
現 地 調 査 の ミ ス 公 共側 の事 由
○
・不備に伴う計画
・仕様変更による
費 用増 大
民 間側 の事 由
設 計 変 更 , 設 計 公 共側 の事 由
○
の遅れによるコス
ト 増大
民間 側 の事 由
金融機関等からの資金調達ができ
な いリ ス ク
工 事 遅 延 , 工 事 公 共側 の事 由
○
費 の増 大 リ ス ト
民間 側 の事 由
需要
運
営
運営 費 増大
段
階 施 設陳 腐化
施設利用者の需要が予想を下回る
リ ス ク ( ス ポ ー ツ 施 設 ,文 化 施 設 ,レ
ス ト ラ ン )。 た だ し , 公 共 側 の 事 由
(公共の方針で施設機能の一部廃止
等 )は 除 く
当初計画に対し,実際の運営費用
が増加した場合。ただし,公共側の
事 由( 事 業 内 容の変 更 等) は除 く
施設の陳腐化・老朽化により施設
機 能に 影 響 が 生じる リ スク
- 18 -
備
考
間
ただし,一般事業法人に
等しく適用される変更は民
間 のリ スク
民間が変動への耐性を有
す る事 業計 画 を策定
出資会社間での検討・調
○
整 事項 であ り 民間の リ スク
○
○
民間のリスク(保険等に
よ り民 間が カ バー)
民間のリスク(保険等に
よ り民 間が カ バー)
県が事業打ち切りを決定
した場合,民間に対し運営
段階の実際の収支も考慮さ
れた期待収益も含めた額の
支払
融資銀行と公共の間で再
○
建の保全や事業建て直しに
関する手続を事前に取り決
め てお く
公共 の リ ス ク
○
○
○
○
○
○
○
基本的には公共が主体,
民間の分担範囲につき協議
(清算金の算定方法につい
て あら かじ め 設定)
PFI事業者決定後,公
共が提供した資料に実際と
の 乖離 があ っ た場合
民間 の リ ス ク
公共の事由による当初の
要求水準の変更等に伴う費
用等
民間 の リ ス ク
経済的合理性を持った事
業 計画 の策 定
公共の事由による当初の
要求水準の変更等に伴う費
用等
民間のリスク(保険等に
より民間がカバー。スポン
サーによる工事完工保証等
も 考慮 )
基本的には民間のリスク
(ただし,事業内容,事業
性 次第 で協 議 の必要 あ り)
変動への耐性を有する事
業 計画 の策 定
民間の経営の範囲内で対
○
応
4
P F Iの 仕 組 み
(1) PFI 事業 の 仕組 み
PFI事業の仕組みについては,その事業の性格等に応じて様々ですが,事
業 内 容 を 決 定 す る 「 公 共 」, 公 共 に 財 務 ・ 法 務 ・ 技 術 面 の 助 言 を 行 う 「 ア ド バ
イ ザ ー 」, 実 際 に P F I 事 業 を 実 施 す る 「 P F I 事 業 者 」, そ の P F I 事 業 者 に
融 資 を 行 う 「 金 融 機 関 」, リ ス ク を カ バ ー す る 「 保 険 会 社 」 な ど が 参 画 す る ケ
ー ス が一 般 的で す。
通常のPFI事業では,施設の設計,建設から維持管理,運営までを一括し
て 行 うた め,個 々 の要求 を 満 たす だ け の経営 的,技 術 的能力 が 必要 とな り ます。
そこでPFI 事業に参画しようとする企 業は,複数の異業種企業と コンソーシ
ア ム (企 業 連合 )を 組 むこと に なり ます。
コンソーシアムに参加する企業は,それぞれが出資してPFI事業を推進す
る た めの 「 SP C」 を 設立す る のが 一般的 です 。
PFI事業においては,これらの参画主体の間で様々な契約が結ばれること
に よ り, 役 割と リス ク が明確 に 分担 され, 事業 が実 施さ れてい き ま す。
【P FI事業 の仕組み (一般的 な形態)】
ア ド バイ ザー
金融 機 関
アドバイザリー契 約
直 接 協定
保 険 会社
融資 契約
保 険契約
PFI 事 業者
公
共
住民
契約
サービス
( S P C: 特 別 目的 会 社)
(利 用者 )
出資
設計
設 計 会社
建設
建設会社
管理
管理 会 社
運営
運 営会社
投 資家
コ ンソ ー シ アム( 企 業 連合 )
※
コ ンソーシアム(Consortium)
特定 の事 業 を 実施 する ため に 複 数の 企業 等が 結 成し た 企業体 。 PFI では, 設計,建 設,運
営 ・維 持管 理( 清掃 , 警 備等 )等 の業 務 が 多岐 にわた るため, それぞ れ の企 業 がS PC の受 け
皿となる 共同企業体を 結成 する。
※
S PC
Special Purpose Company( スペシャル・パーパス・ カンパニー) の 略。 特 別 目的 会 社 。あ る 特 定 の事
業 を実 施す る目 的で 設 立 され た事 業会 社 。 特定 のプロ ジェクト から生 み 出さ れ る利 益で 事業 を
行うこと により,親会 社の 責任・信用か ら切り離すこ とができる 。
- 19 -
ま た, 各 参 画主体 の 主 な役 割 は 次のと お り です。
なお,この中でも公共施設の管理者であり発注者である「公共」と実際に事
業 を 担 う 「 P F I 事 業 者 」, P F I 事 業 に 必 要 な 資 金 を 融 資 す る 「 金 融 機 関 」
が 三 大プ レ イヤ ーと し て大き な 役割 を担っ てい ます 。
参 画主 体
公
共
ア ドバ イザ ー
P F I事業 者
( S P C)
金 融機 関
保 険会 社
※
主
な
役
割
・PFI事業で提供する公共サービスの内容や要求基準を決定
し ます 。
・PFI事業者が提供する公共サービスが要求水準をきちんと
満 たし てい る か どう か 測定し , 評 価 しま す 。( モニ タ リン グ)
・地方公共団体がPFI事業の実施に必要な手続きを円滑に進
め られ るよ う,財 務,法 務,技 術 等の 専門 知識を 助 言 します 。
・ 自 ら資金 を 調 達し, PF I事 業 を 遂行し ます 。
・必要に応じてコンソーシアムに参加している企業等と工事請
負 契約 や管 理 運 営委 託 契約等 の 個 別 契約 を 結びま す 。
・当該事業がPFIとして成立可能かどうか,プロジェクトの
計画性,運営の健全性等を資金面から判断し,採算性など事
業 の確 実性 が あ る場 合 は,そ の 事 業 に融 資 を行い ま す 。
・ ま た,公 共 との間 で「 直接 協 定( ダ イ レ クトア グリ ー メン ト)」
を 結 ぶ 場 合 が あ り ま す 。「 直 接 協 定 」 と は , 事 業 継 続 が 困 難
となった場合に,資金を供給している金融機関がプロジェク
ト修復を目的に,事業に介入するための必要事項を規定した
契 約の こと で あ り,公 共 と 金融 機 関との 間 で 直 接結ば れま す。
・PFI事業者(SPC)は必要に応じて,事業のリスクをカ
バ ーす るた め に ,保 険 会社と 契 約 を しま す 。
資 金 調 達(プ ロ ジ ェク ト フ ァイ ナンス ) につ い て
PFI事業では「 プロジェクトファイナン ス」という資金調達手法 が採用さ
れるケ ー ス が多 く な ります 。
「コーポレートフ ァイナンス」が親会社の 信用力(親会社の保証や 資産等)
を 担 保 に 資 金 を 調 達 す る 方 法 で あ る の に 対 し ,「 プ ロ ジ ェ ク ト フ ァ イ ナ ン ス 」
は,返済原資をその 事業から生み出されるキ ャッシュフローのみに依 存し,担
保はそ の 事 業に 関 連 する資 産( 契 約上の 権 利を 含 む)の みと す る調 達方 法 で す。
し た が っ て ,「 プ ロ ジ ェ ク ト フ ァ イ ナ ン ス 」 に お い て は , 事 業 か ら 生 み 出 さ
れるキャッシュフロ ーを維持するために,フ ァイナンスを組成する過 程で複数
の関係者間のリスク の適正負担が求められる ので,事業遂行に係る様 々なリス
クを分 散 す るこ と が 可能に な り ます。
PFIにおいては ,基本的に当該PFI事 業のみを行うSPCが設 立される
こと,収入は当該P FI事業により生み出さ れるキャッシュフローに 限られる
こと,公共と民間と のリスク分担が決められ ており,一方が包括的に 事業リス
クを負うものではな いことから「プロジェク トファイナンス」による 資金調達
になじみやすいもの となっており,実際に「 プロジェクトファイナン ス」によ
る資金 調 達 が多 く の 事業で 行 わ れてい ます 。
- 20 -
(2) PFI の事 業 形態
PFIは,公共の関与の仕方によって,一般的に以下の3つの形態に区分で
き ま す。
実際にPFI事業を実施する場合には,事業内容や法制度,採算性,民間事
業者の動向等 を踏まえ,最も効果的で効 率的なサービスを提供でき るような形
態 を 選定 す る必 要が あ ります 。
事 業形 態
概
要
・ P FI 事 業 者 が公 共施 設 等の 設 計 , 建設 , 維 持 管 理及 び 運 営等 を 行
い , 利用 者 に 公 共 サー ビ ス を提 供 し ま す。 そ の サ ー ビス 提 供 の対 価
と し て公共 部 門が 料 金 を支払 い ま す 。
・ P FI事 業 者 は,公共か ら の支 払 いに より事 業 コスト を 回 収しま す。
・ こ の事業 形 態 がP F Iの 主流 に な ってい ます 。
サ ービ ス
購入型
料金支 払い
公
サービ ス提供
共
PF I 事 業 者
住 民 (利用 者 )
〔 事 例〕
諸 外 国:一 般 道路 , 学 校,庁 舎 , 病 院, 刑 務所等
国 内:大 学 ,小 学 校 ,衛生 研 究 所 ,美 術 館,浄 水 場発 電 施設
等
・ 公 共とP F I 事業 者 の双 方の 資 金 を用い て公 共施 設等 の 設 計,建 設,
維 持 管理 , 運 営 等 を行 い ま すが , 事 業 の運 営 は 主 に PF I 事 業者 が
主 導 します 。
・ P FI 事 業 者 は, 補助 金 や事 業 費 の 一部 負 担 等 の 公的 支 援 を活 用 す
る と ともに , 利用 者 か ら料金 を 徴 収 して 事 業コス ト を回 収 しま す。
・ 公 共の関 与 の 仕方 の 違い によ り , 次の形 態に 分け られ る 。
ア 政策 的 に 利 用料 金 を 低 く設 定 し ,公 共 が 料 金 を一 部 補 助す る
形態
ジョイント
イ 初期 投 資 が 多大 で 事 業 期間 内 で の回 収 が 困 難 なた め , 公共 が
ベンチャー型
事業 費 を一部 負担 す る形態
ウ 民間 が 整 備 し, 公 共 が サー ビ ス 提供 を 行 う な ど官 民 が 独立 共
存す る 形態
補助金 等
公
サービス提供
共
PF I 事 業 者
住 民 (利用 者 )
利用料金
〔 事 例〕
諸 外 国:ア ( 有料 道 路), イ( 鉄 道),ウ (病 院)
国 内:ア ( 宿泊 施 設 ,温泉 施 設 , 余熱 利 用施設 )
・ 公 共から の 事 業許 可 等に 基づ き ,PF I事業 者 が公共 施 設 等の設 計,
建 設 ,維持 管 理及 び 運 営等を 行 い ま す。
・ P FI 事 業 者 は, 利用 者 に公 共 サ ー ビス を 提 供 し ,そ の 利 用料 金 等
を 利 用者か ら 受け 取 り 事業コ ス ト を 回収 し ます。
独 立 採算 型
事業許 可等
公
共
サービス提供
PF I 事 業 者
住 民 (利用 者 )
利用料金
〔 事 例〕
諸 外 国:有 料 橋, 博 物 館,有 料 公 園 等
国 内:コ ン テナ タ ー ミナル , 駐 車 場 等
- 21 -
(3) PFI の事 業 方式 によ る分 類
ア
施設 の 所有 形態 に よる類 型
PFIは,事業の過程における公共と民間の関係に着目すると,施設の所
有や運営形態等により,以下のように分類できますが,事業形態による分類
と 同じ く 事 業内容 等 に よっ て 最 も適し た 手 法を選 定 する必 要が あ り ます。
事 業 方式
概
要
B OT
P F I事 業 者 が資 金 調 達を 行 い ,施 設 を 建 設 (Buil
(Build− Operate
d) し , 契 約期 間 に わ たり 維 持管 理,運 営 ( Operate)
− Transfer) を 行 い, 資 金 回収 後 , 施設 の 所 有権 を 公 共 に 移転 ( Tr
建 設 −運営 −移 転
ansfer) す る方 式 で す 。
北九州 市 ( コンテナターミナル), 神 奈川 県 (美 術館 ) 等
B TO
(Build− Transfer
− Operate)
建 設 −移転 −運 営
P F I事 業 者 が資 金 調 達を 行 い ,施 設 を 建 設 (Buil
d) し , そ の 所 有 権 を 公 共 に 移 転 ( Transfer) し た 上
で , PF I 事 業 者が 契 約 期 間に わ た り 維持 管 理 , 運営
(Operate) を 行う方 式 で す 。
指宿市 ( 地 域交 流 施 設),神 戸 市(国 民宿 舎) 等
B OO
(Build− Own
− Operate)
建 設 −所有 −運 営
P F I事 業 者 が資 金 調 達を 行 い ,施 設 を 建 設 (Buil
d)し ,契約 期間 に わた り そのま ま所 有( Own)し続け ,
維 持 管 理 , 運 営 ( Operate) を 行 う 方 式 で す 。 B O T
と 異 なる 点 は , 事業 終 了 段 階で 施 設 の 所有 権 移 転 を行
わ ず ,P F I 事 業者 が 保 有 し続 け る か ,撤 去 を す ると
ころで す 。
倉敷市 ( 廃 棄物 処 理 施 設), 大 阪府( 駐車 場) 等
B LT
P F I事 業 者 が資 金 調 達を 行 い ,施 設 を 建 設 (Buil
(Build− Lease
d) し , 公 共に そ の 施 設を リ ー ス (Lease) し た 上 で,
− Transfer) P F I事 業 者 が契 約 期 間に わ た り維 持 管 理 , 運営 ( Op
建 設 −リー ス− 移転 erate) を 行 う 方 式 で す 。 公 共 か ら の リ ー ス 代 で 資 金
回 収 後, 施 設 の 所有 権 を 公 共に 移 転 ( Transfer) しま
す。
RO
(Rehabilitate−
Operate)
補 修 −運営
P F I事 業 者 が, 既 存 の公 共 施 設を 補 修 ( Rehabili
tate)し , 契 約期 間 に わ たり 維 持管 理 , 運営 (Operat
e) を 行 う方 式 です。
鹿児島 大 学 (教 育 研 究 施設 ) 等
B ( Build) = 建 設
O ( Operate)= 運 営
O ( Own)
=所有
T (Transfer)
= 移転
L (Lease)
= リース
R (Rehabilitate) = 補修
- 22 -
【各プロセ スにおけ る事業主 体】
維 持 管理
事 業 方式
資 金調 達
契 約 期 間中 の 事 業 終 了 後の
設 計・ 建設
及 び 運営
施 設の 所 有
施設の 所 有
B OT
方 式
P FI 事 業 者 P F I事 業 者 P FI 事業 者 P FI 事業 者
公
共
B TO
方 式
P FI 事 業 者 P F I事 業 者 P FI 事業 者
公
共
B OO
方 式
P FI 事 業 者 P F I事 業 者 P FI 事業 者 P FI 事業 者
公
契 約 期間中
公
共
P F I事 業者
又 は 撤去
事 業終了 後
共
施 設 用地を 貸付
公
共
所有
BOT
方式
①
契
約
P FI 施設 ( 民)
P FI 事 業 者
公
⑤
譲
渡
② 設計 ・ 建 設
③ 維持 管 理 ・ 運営
④ 所有
共
P F I 施設( 公 )
P FI 事業 者
公
共
④所有
BTO
方式
①
契
約
P FI 施設 ( 公)
P FI 事 業 者
公
BOO
方式
①
契
約
所有
P FI 施 設 (公)
② 設計 ・ 建 設
③ 維持 管 理 ・ 運営
共
施 設 用地を 貸付
公
PFI 施 設(民 )
P FI 事 業 者
P FI 事業 者
共
P FI 施 設 (民)
所 有 又は撤 去
② 設計 ・ 建 設
③ 維持 管 理 ・ 運営
④ 所有
- 23 -
P FI 事業 者
【BO T 方式 とB T O方式 の 比 較】
BOT方式
BTO方式
・「 建 物 」
・「 建 物 」
PFI事業者が建設し,契
PFI事業者が建設し,完
約期間中はPFI事業者が
成時に公共側に譲渡される。
土地・建物
所 有 す る 。 事 業 終 了 後 , 公 ・「 土 地 」
の取扱い
共側に譲渡される。
行政財産として公共側が所
・「 土 地 」
有する。
PFI事業者に普通財産又
は行政財産として貸与する。
メリット
・設計・建設から維持管理・ ・国の補助事業に対応しやす
運営までの一体性及びPF
い 。( B O T 方 式 を 採 用 し
I事業者の自主性が高くな
た場合,関係省庁との協議
り,PFI事業者のノウハ
が必要とされるものが多
ウや創意工夫が発揮される
い 。)
余地が広い。
・公共側が施設を所有するた
・施設をPFI事業者が所有
め,固定資産税等の負担が
することから,所有に伴う
生じない。
リスク対応をPFI事業者
の分担とすることができる。
・大規模修繕が発生する事業
の場合,修繕業務をPFI
事業者の業務範囲としやす
い。
・施設をPFI事業者が所有 ・本施設と一体となる付帯的
するため,既存の国の補助
な民間収益施設(飲食店な
制度等が利用できなくなる
ど)を設置しにくい。
可能性がある。
・施設所有に伴うリスクが公
・施設所有に伴い,固定資産
共側に残り,また,施設所
税等の負担が生じる。
有者と管理者が別々である
デメリット ・ 契 約 期 間 と 比 し て 建 物 の 法
ことから,リスク分担が曖
定耐用年数が長い場合,減
昧になる可能性がある。
価償却を契約期間内に終え ・大規模修繕業務をPFI事
ることができないことがあ
業の範囲としにくい。
るため,法人税負担が相対
的に重くなる。
※
「 行 政 財産」 と 「 普通 財 産 」に ついて
「行政財産」とは ,普通地方公共団体にお いて公用又は公共用に供 し,又は
供する こ と を決 定 し た財産 の こ とです 。
(公用 に 供 する 財 産 の例: 庁 舎 ,研究 所, 実習 船 等 )
(公共 の 用 に供 す る 財産の 例 : 道路, 病院 ,学 校 等 の敷地 及び 建物 等 )
な お ,地 方 自治 法第 238条 の 4第 1 項 に 基づ き , 行政 財 産 の 貸 付は 極 め て 限定
されていますが,P FI事業においては,特 例により民間事業者への 貸付が可
能とな っ て いま す 。
一 方 ,「 普 通 財 産 」 と は , 行 政 財 産 以 外 の 一 切 の 公 有 財 産 の こ と で , 直 接 特
定の行政目的のため に供されるものではなく ,一般私人と同様の立場 でこれを
保持す る 財 産で あ り ,特に 貸 付 に当た って の制 限 は ありま せん 。
- 24 -
イ
公共 施 設等 運営 権 (コン セ ッシ ョン方 式)
利用料金の徴収を行う公共施設について,施設の所有権を公共が有したま
ま ,施 設 の 運営権 を 民 間事 業 者 に設定 す る 方式で す 。
既存の 施 設 におい て も新設 の 施 設に お い て も設 定 が 可能 で す。
公共施設等運営権は,利用料金の徴収を行う公共施設等について,利用料
金の決定等を含め,民間事業者による自由度の高い事業運営を可能とし,民
間事業者の創意工夫が活かされること及び運営権を財産権と認め,その譲渡
を可能にするとともに,抵当権の設定等による資金調達の円滑化が図られる
こ とが 期 待 されて い ま す。
な お,「 公 共 施設 等 運 営権 及 び 公 共 施設 等 運 営事 業に 関す る ガ イドラ イ ン」
に お い て は ,「 運 営 権 に は , 公 共 施 設 等 の 利 用 に 係 る 処 分 の 権 限 は 含 ま れ な
い 。」 と さ れ て お り , 運 営 事 業 の 内 容 に 応 じ て , 指 定 管 理 者 制 度 と の 併 用 等
に つい て も 検討す る 必 要が あ り ます。
【 通 常のP FI事業 ,公共施 設等運営 権及び指 定管理者 制度の関 係】
公の施 設 の
管 理 業務
通常の P FI事 業
( P F I法 )
公 共施設 等 運 営 権
( コ ンセ ッショ ン)
( PF I法 )
指定管 理 者 制度
( 地方 自 治法 )
○
○
○
利 用 料金の 収受
×
○
○
利 用 料金の 設定
×
○
○
施 設 の使用 許可
×
×
○
運 営 権への
抵 当 権の設 定
×
○
×
事 実 上の行 為
定 型 的行為
使用料等の収入
の徴収
ソ フ ト面の 企画
【 留 意事項 】
・ PFI 事業により公の施設を設置する こととした場合の当該施 設の管理に
つ い て は ,「 地 方 公 共 団 体 に お け る P F I 事 業 に つ い て 」( 平 成 12年 3 月 29日
付け自 治 画 第67号 自 治 事務 次 官 通知) を参 考に し ま す。
・
公共施 設等運営権については,公共施 設等運営権及び公共施設 等運営事業
に 関 する ガイド ラ イン を参 考 に しま す 。
- 25 -
【運 営権のス キーム】
金 融 機関
投 資家
抵 当 権 設定
融 資・ 投資
施設所有権
運営権
運営権設定
公
共
サービス
住
民
PF I 事業 者
対価支払
料金支払
( 利 用者)
【留意事項】
公共施設等運営権 については,公共施設等 運営権及び公共施設等運 営事業に
関 す るガ イ ドラ イ ン を参考 に し ま す。
- 26 -
(4) PFI 事業 の 一般 的な プロ セス
国の「PFI事業実施プロセスに関するガイドライン」によると,事業スケ
ジュールは, PFI事業として検討を始 める「特定事業の選定」か ら「PFI
事業の実施」 に至るまで3段階に分かれ ており,さらにそれが「事 業の提案」
か ら 「事 業 の終 了」 ま で7つ の ステ ップに 細か く分 かれ ていま す 。
【 PFI 事業の プロセス (国のプロ セスに関 するガイ ドライン )】
Ⅰ
特
定
事
業
の
選
定
< ス テップ >
ス テッ プ 1
事業の 提 案
(民間事業者からの提
案を 含 む )
・P F I事 業とし て の実 施す るこ との 検討
・民 間 事業 者から の 提案 の積 極的 な取 上げ
・P F I導 入適性 事 業に 関す る事 務手 続の 着手
ス テッ プ 2
実施方針の策定及び
公表
・公平性,透明性に配慮した早い段階での実施
方針 の 策定 ,公 表
・民間事業者の参入に配慮した内容の具体性と
明確 化 ,詳 細化
・リ ス ク及 びその 分 担の 明確 化
ス テッ プ 3
特定事業の評価・選
定,公 表
Ⅱ
民
間
事
業
者
の
募
集
び
選
定
等
Ⅲ
P
F
I
事
業
の
実
施
ス テッ プ 4
民間 事 業 者の募 集 ,
評価 ・ 選 定,公 表
< ポイン ト>
・公的財政負担の削減,サービス水準の向上に
関す る 評価
・公 的 財政 負担額 の 算定
・選 定 結果 等の公 表 にお ける 透明 性の 確保
・競 争 性の 担保, 手 続き の透 明性 の確 保
・民間事業者の創意工夫の発揮への留意,提案
準備 期 間確 保へ の配 慮
・価格以外の条件をも考慮した「総合評価」を
行う 場 合に おけ る評 価基 準の 客観 性の 確保
・い わ ゆる 性能発 注 の重 視
・民 間 事業 者の質 問 に対 する 公正 な情 報提 供
・選 定 結果 等の公 表 にお ける 透明 性の 確保
ス テッ プ 5
事業 契 約 等の締 結 等
・事業契約等による取り決め(リスク分担,モ
ニタリング,事業終了時や破綻時の取り扱い等
がポ イ ント )等と 公 表
ス テッ プ 6
事業 の 実 施,監 視 等
・事 業 契約 等に従 っ た事 業の 実施
・提 供 され る公共 サ ービ スの 水準 の監 視等
ス テッ プ 7
事業 の 終 了
・土地等の明け渡し等,あらかじめ事業契約等
で定 め た資 産の取 扱 いに 則っ た措 置
- 27 -
(5) 従来型 方式 と PF I方 式と の比 較
ア
従来 型 事業 とP F I事業 と の比 較
従来の公共事業では公共が,設計,建設,維持管理及び運営のそれぞれの
段階で,詳細な仕様を決定し発注していましたが,PFI事業では,設計,
建 設, 維 持 管理及 び 運 営を 一 括 して発 注 し ます。
また,単年度契約ではなく,長期契約が原則となるので,民間の創意工夫
が働きやすくなる反面,VFMの算定等の検討期間やアドバイザーとしてコ
ン サル タ ン トに依 頼 し た場 合 の 費用が 必 要 となり ま す。
従 来 型事業
PF I事 業
事 業計 画
・公共 か らの 提案
・ 民 間 事 業 者 か ら の 提 案 も あ り得
る
事 業実 施
方
法
・ 施 設の 設 計 , 建 設 , 維 持 管 理及 ・ 施 設 の 設 計 , 建 設 , 維 持 管 理及
び 運 営 を個 別 に 民 間 に 委託 又
び 運営 を P F I 事業 者 が 一 体 的
は , 直 接公 共 が 実施 する。
に長 期に わたっ て 担 う 。
・ 公 共 は , 事 業の 基 本 計 画 を 決定
し ,条 件 を 設 定 し, 事 業 を 監 視
する。
・「仕 様 発 注」
・「 性能 発 注」
部 材 など の 詳 細 な 仕 様を 決 定
性能 , 機 能 , 最 終 的 な サ ー ビ
して発注
ス水 準等 を示す 発 注
発 注方 法
・「段 階 別 ・工種 別 発注」
・「 一括 発 注」
工 事 期間 の 分 割 や 建 築, 設 備
設計 , 建 設 , 維 持 管 理 , 運 営
と い っ た工 事 の 種類 別に発 注
部分 を一 括して 発 注
事 業 者
選 定方 法
・価格 に よる 入札 が 原 則
・価格や事業の提案内容を加味
し,総 合 的に 評 価
・「単 年 度 契約」
原 則 として , 単 年度契 約
・「 長期 契 約」
設 計 から 維 持 管 理 ・ 運営 ま で
を網羅 し た長 期 契 約( 10∼ 30年)
契 約方 法
・「契 約 内 容は定 型 的」
・「 契約 内 容は定 型 化困難 」
設 計 ,建 設 , 維 持 管 理, 運 営
事業 ご と に , 事 業 内 容 及 び 発
ご と に 業務 内 容 が ほ ぼ 共通 し て
生 が予 測 さ れ る リス ク が 異 な る
い る た め, 標 準 契約 様式あ り
た め , 個 々 の 事 業 ご とに 契 約 内
容が異 な り, 定 型 化 は困難
資 金調 達
・公共 が 調達
リスク
・ 民 間 事 業 者 が 調 達 ( プ ロ ジ ェク
トファ イ ナン ス 方 式 )
・ 基 本的 に は 公 共 が 負 担 し , 明確 ・ 公 共 と 民 間 事 業 者 の 双 方 で 分担
化 さ れ てい な い 。
し, 明確 化され て い る 。
- 28 -
【従来 の 公共 事 業 と PFI 事 業の 事 務 の比較 】
< 従 来の 公共事 業 >
< P FI 事 業 >
事 業 の提 案
事 業 の 提案
事 業計 画
事業計 画
導入 可 能性 調査
基本設 計
実施 方 針の 策定
実施設 計
事
業
手
法
の
検
討
段
階
特定 事 業の 選定
債 務負 担 行 為の設 定
公
公
示
示
質問 ・ 回答
資 格審 査
資格審 査
入 札( 入札書・ 提案書等)
審 査 委員会
入
札
事 業 者選 定
公
募
・
選
定
段
階
事 業 者 選定
確 認・ 調整 (交渉 )
契 約締 結 の 議決
契約締 結
工
契約締 結
設
計
工
事
事
維 持 管理, 運営
維持管 理 , 運営
※ PF I 事 業を総 合 評 価一 般 競 争入札 で 実 施した 場 合を想 定し た も の
は , PFI 事 業 におけ る特 有の 手 続 き
- 29 -
実
行
段
階
イ
第三 セ クタ ーと P FI事 業 の比 較
第三セクターとPFI事業は,ともに公的部門の関与が必要な社会資本整
備 の分 野 等 におい て ,民間 の活 力 とノ ウ ハウを 活 用す ると い う点は 同 じで す 。
しかし,第三セクターが公共と民間が共同事業者として資金を出し合い,
事業の実施(設計,建設,維持管理,運営)を行う手法であるのに対し,P
FI事業は,基本的には公共側は,求める公共サービスの水準を設定して発
注する役割にとどまって,民間事業者が設計,建設から維持管理,運営まで
を行い,事業終了に至るまで,役割と責任の分担を事前に契約により明確に
す る手 法 と なって い る など の 違 いがあ り ま す。
第三 セ クタ ー
事業主 体
官 民 共同 出資会 社
PF I 事業
民間事 業 者
対象事 業
公 共 施設 そのも の でな く, 本 来 公 共 が 整 備 ・ 運 営 す
公 共 的 に 利 用 さ れ る 施 設 の べ き施 設
整 備 ・運 営
(基本的には公共分野の事
( 公 共 性 の 高 い 民 間 分 野 の 業)
事業)
リスク
リスク分担までは取り決
リスク分担は,あらかじ
め ず ,発 生 のつ ど 協 議
め契約で可能な限り具体的
に 規定
運営
公共の出資,役員派遣等
できる限り民間の創意工
を 通 じ た 経 営 へ の 関 与 が 大 夫 に任 せ る
きい
当初に集中的に出資し,
サービスの提供度合いに
公共の 財 政 負担 事 案 に よ る 協 議 に 応 じ た 負 則 し , 契 約 期 間 内 に サ ー ビ
担 も 発生
ス 提供 料 と して 支 出
※
第 三 セ クター に つ いて
地方公共団体が出 資又は出えんを行ってい る民法法人又は商法法人 のこと。
平 成 15年 12月 に 総 務 省 が 示 し た 「 第 三 セ ク タ ー に 関 す る 指 針 」 に お い て は , 第
三セクター方式によ る事業は,一般的に次の ような事業に限って活用 されるこ
とが適 当 と され て い ます。
① 社会 的便益 が 広く 地域 に も たら さ れ る事業
② 事業 収益を 一 定程 度地 域 社 会に 帰 属 させる こ と が望 ま し い事 業
③ 民間資本を中 心とする事業であるが, 地域振興等の観点から地 方公共団
体 が 資本参 加を する 必 要が あ ると認 め られ る事 業
- 30 -
(6) PFI 事業 者 の選 定方 式
PFI事業者の選定方法は,公募の方法等によることとされており(PFI
法 第 8 条 第 1 項 ), 総 合 評 価 一 般 競 争 入 札 及 び 競 争 性 の あ る 随 意 契 約 に よ る 方
法 が 考え ら れま す。
なお,競争性のある随意契約の選定に当たっては,地方自治法による条件に
該当するかど うかの確認が必要となりま す。また,県の場合には, WTO政府
調達協定の規 定についても確認を行った 上で選定方式を選択する必 要がありま
す。
区
分
総合 評 価一 般競 争 入 札
公 募 型 プロ ポー ザル方 式
概要
評価の最も高い事業提案を行
評価の最も高い事業提案を行
っ た 者 を落 札 者 とす る。
っ た者 を優先 交 渉権 者と す る。
地 方自 治 法 上
の 位置 付 け
競争入札(地方自治法施行令
随意契約(地方自治法施行令
第 167条 の 10の2 )
第 167条の 2)
契約書案の作
入札前に契約書(案)として
公募前に「条件規定書」とい
成
提 示 す る。
う 形で 骨格を 提 示す る。
契 約交 渉
基本的に不要。詳細部分の調
整のみ。
必要
契約内容の変
事業者選定後には基本的に契
基本的には「条件規定書」に
更
約 書 の 内容 は 変 更で きない 。
従うが,事業者の提案に応じて
契 約 内容を 決め てい く 。
・事前に落札決定基準を定める ・地方自治法上の随意契約の要
こと
件 を満た すこ と
・「 ① 総 合 評 価 方 式 を 採 用 す る ・ W T O 政 府 調 達 協 定 の 規 定 を
時 」,「 ② 落 札 決 定 基 準 を 定 め
満 た すこ と
法令上求めら
ようとする時」又は「③落札
れる条件・手
者 を 決 め よ う と す る 時 」, あ
続 き等
らかじめ2人以上の学識経験
者 の 意見を 聞 く こと
・入札を行おうとする場合に総
合評価方式を採用すること及
び落札決定基準について公告
す る こと
※
WTO 政 府 調達 協 定 に つい て
こ の 協 定 は , 世 界 貿 易 の 拡 大 ・自 由 化 の 観 点 か ら , 政 府 調 達 に 関 し て ① 国 内
業 者 の 保 護 及 び 国 内 外 の 業 者 間 差 別 を 行 わ ず ,② 手 続 を 透 明 で 外 国 企 業 に も わ
か り や す い も の に す る こ と を 趣 旨 と し ま す 。 都道 府 県 や 政 令 指 定 都 市 も 対 象 と
なり ,一 定 金 額 以上 の 事 業 に適 用されます。
こ の 協 定 に 該 当 す る 事 業 に つ い て は , ①随 意契 約 の 制 限 が 課 さ れて お り , 原
則 「 競 争 入 札 」 を 採 用 す る こ と と さ れ , ② 応 募企 業 者 の 事 業 所 の 所 在 要 件 の 設
定や 最低 制 限 価 格制 度 の 利 用が 禁じられるなど ,様々な 取り決め がありま す。
- 31 -
5
P F Iの 効 果 と 課題
(1) 効果( メリ ッ ト)
ア
公共 に おけ る効 果
質の高い公
P F I事 業 で は , 利用 者 の ニー ズ を 把 握し , 満 足 度 を高 め る よう な
共 サ ー ビ ス 民 間 事業 者 の 経 営上 のノ ウ ハウ や 技 術 的能 力 を 活 用 する こ と がで き る
の 提供
た め ,より 質 の 高い 公 共サ ービ ス の 提供が 可能 とな りま す 。
事業コスト
P F I事 業 で は , 施設 の 設 計か ら 建 設 ,維 持 管 理 及 び運 営 の 全部 又
の 削減
は 一 部を 一 体 的 に民 間事 業 者に 委 ね る こと に 伴 い , 一括 発 注 が行 わ れ
る こ と, ま た , その 際, 仕 様発 注 方 式 では な く 性 能 発注 方 式 がと ら れ
る こ とによ り , 事業 コ スト の削 減 が 期待さ れま す。
ま た ,事 業 を 進 め てい く 上 では , 需 要 の変 動 , 物 価 や金 利 の 変動 等
の 経 済状 況 の 変 化, 事故 , 計画 の 変 更 ,天 災 等 様 々 な予 測 で きな い 事
態 に より損 失 等 が発 生 する おそ れ( リス ク)が あ り,P F I 事業で は,
こ れ らの リ ス ク を最 もよ く 管理 で き る 者が そ の リ ス クを 負 担 する こ と
を 契 約に お い て 明ら かに し ,事 業 全 体 のリ ス ク 管 理 を効 率 的 に行 う こ
と に よりV F M の極 大 化を 図り , 事 業コス ト削 減を 可能 と し ます。
財政支出の
P F I事 業 で は , 従来 方 式 のよ う な 施 設の 建 設 年 次 にお け る 大き な
平 準化
財 政 支出 は 発 生 せず ,財 政 支出 は 契 約 期間 に わ た っ て平 準 化 され た 民
間 事 業者 へ の サ ービ スの 対 価と し て 支 払わ れ る こ と にな る た め, 厳 し
い 財 政事 情 の 中 でも ,必 要 な社 会 資 本 の整 備 等 が 可 能と な り ,公 共 サ
ー ビ スの早 期 提 供が 可 能と なり ま す 。
官民パート
「 民 間で 可 能 な 分 野は で き るだ け 民 間 に任 せ る 」 と いう 考 え 方の も
ナ ー シ ッ プ と , 公共 サ ー ビ スの 提供 手 段の 選 択 肢 を拡 げ , そ れ ぞれ に 適 した 民 間
の 形成
参 加 の方 式 を つ くる こと に より , 官 民 の適 切 な 役 割 分担 に 基 づく 新 た
な パ ートナ ー シ ップ が 形成 され て い くこと が期 待さ れま す 。
説 明責 任( ア
P F I事 業 は , 事 業の 提 案 から 終 了 ま で, 手 続 き の 透明 性 が 要求 さ
カウンタビリティ) れ る 仕組 み と な って いま す 。具 体 的 に は, 実 施 方 針 や特 定 事 業の 公 表
の 確 保 と 職 と い った 手 続 き を通 じて , 行政 の 説 明 責任 が 求 め ら れ, 行 政 運営 に お
員 の 意 識 改 い て 透明性 が 確 保さ れ ます 。
革 の推 進
ま た ,P F I 事 業 への 取 組 を通 じ て , 従来 の 制 度 慣 習に と ら われ な
い 考 え方 , コ ス ト意 識( 事 業期 間 全 般 にわ た る 長 期 のラ イ フ サイ ク ル
に 関 す る コ ス ト 意 識 ), 経 営 感 覚 の 醸 成 等 , 職 員 の 意 識 改 革 が 図 ら れ
ます。
イ
民間 に おけ る効 果
民間の事業
P F I事 業 は , 従 来, 行 政 が行 っ て き た事 業 を 民 間 事業 者 に 委ね る
機 会の 創 出 こ と から , 民 間 に対 して 新 たな 事 業 機 会を も た ら す こと と な りま す 。
ま た ,他 の 収 益 事業 と組 み 合わ せ る こ とに よ っ て も ,新 た な 事業 機 会
を 生 み出す こ と とな り ます 。
さ ら に, P F I 事 業の た め の資 金 調 達 方法 と し て , プロ ジ ェ クト フ
ァ イ ナン ス 等 の 新た な手 法 を取 り 入 れ るこ と で , 金 融環 境 が 整備 さ れ
る と ともに ,新 しい ファイ ナ ンス マ ーケ ットの 創 設にも つ な がりま す。
こ の よう に , 新 規 産業 創 出 ,経 済 構 造 改革 推 進 の 効 果が 期 待 され ま
す。
技 術革 新
P F I事 業 で は , 従来 の よ うな 仕 様 発 注で は な く , 性能 発 注 が原 則
で あ り, 公 共 と して 必要 な サー ビ ス 水 準が 満 た さ れ てい れ ば ,そ れ を
提 供 する上 で の 手法 ( 仕様 )は 問 い ません 。
こ の ため , 民 間 事 業者 に お いて は , 自 らが 得 意 な 分 野の 技 術 など を
最 大 限活 用 す る こと が可 能 とな る と と もに , コ ス ト 削減 す る ため の 新
た な 技術, 手 法 の開 発 を促 すと い っ たこと が期 待で きま す 。
- 32 -
(2) PFI 導入 に よる 課題
PFI導入
P F Iを導 入 する に 当 たって は ,V FMの 評価 や官 民の リ スク 分担,
実 績 の 不 足 事 業 者選 定 に 係 る審 査, 契 約締 結 な ど の専 門 的 知 識 や新 し い 発想 が 求
( 未 知 数 の め ら れる 一 方 で ,全 国的 に まだ ま だ 導 入実 例 も 少 な く, P F Iを 進 め
部 分 が 多 て い く上で の 具 体的 な 情報 が不 足 し ている 現状 にあ りま す 。
い)
ま た ,P F I の 事業 期 間 は ,10年∼ 30年と い う 長 期 にわ た る もの で
あ り ,先 行 し て いる 事例 も その 途 上 に あり , 事 業 を 進め て い く上 で の
い ろ いろな 課 題 に直 面 して いま す 。
し た がっ て , 現 時 点で は P FI 事 業 の 実施 プ ロ セ ス 等に つ い ての 一
定 の 想定 は で き ても ,依 然 ,事 業 手 法 とし て は 未 知 数の 部 分 が多 く な
っ て います 。
PFIに対
P F Iは , 公 共 施 設等 の 整 備等 を 実 施 する 一 つ の 手 法で あ り ,同 じ
す る 認 識 の よ う な事業 で あ って も ,そ の 事業 を 取り 巻く環 境 の違い 等 に よって は,
醸 成 ( P F P F Iの 導 入 が 難し い場 面 もあ る こ と から , 決 し て PF I は 万能 で は
I は 万 能 で な く ,全て の 公 共事 業 に適 用で き る とは限 りま せん 。
は ない )
ま た ,厳 し い 財 政 事情 に あ って , P F Iの 導 入 効 果 の一 つ と して ,
財 政 支出 の 平 準 化が あ げ ら れま す が , 10∼30年 と い った 事 業 期間 全 体
に わ たり 恒 常 的 な後 年度 負 担が 生 じ , 逆に 財 政 を 硬 直化 さ せ るお そ れ
も あ ります 。
手続きに煩
雑さ(PF
Iは,多く
の手続きの
積み重ねで
進 め ら れ
る)
P F Iで は , 公 平 性や 透 明 性を 確 保 す るた め に , 事 業主 体 を 選定 す
る 公 共側 , 応 募 する 民間 事 業者 側 と も ,P F I と し ての 事 業 化す る ま
で の 手続き が 複 雑で , これ に係 る 手 間も当 然多 くな りま す 。
例 え ば, 公 共 側 で は, 単 に 事業 の 企 画 や必 要 な 施 設 の仕 様 だ けで は
な く ,事 業 主 体 の事 業性 確 保の 可 能 性 やリ ス ク 分 担 案, 審 査 方法 等 を
検 討 しなく て は なら ず ,外 部の ア ド バイザ ーの 活用 など が 必 要です 。
一 方 ,民 間 事 業 者 側に お い ても , 事 業 期間 全 体 を 通 じて の 事 業の あ
り 方 や,コ ン ソ ーシ アムの 組 成と い った 事業成 功 のため の 工 夫の検 討,
事 業 関係 者 間 の 権利 義務 を 規定 す る 契 約書 の 詳 細 な 検討 が 求 めら れ ま
す。
こ の よう に , 従 来 型公 共 事 業に 比 べ て ,契 約 に 至 る まで に は ,多 く
の 手 続き の 積 み 重ね が必 要 とさ れ , こ の点 で は コ ス ト高 と な ると と も
に , 入札 コ ス ト など にお い ては , 従 来 型の 公 共 事 業 に比 べ , 民間 事 業
者 が 負担す べ き コス ト が割 高に な る 場合も あり ます 。
地元企業の
P F Iの 事 業 主 体 とな る 民 間事 業 者 に は, 長 期 の 事 業期 間 に わた っ
事 業参 画
て,必要な 資 金 の調 達能力 と リス ク を負 う能力 が 求めら れ る ことか ら,
事 業 主体 と し て 選定 され る 応募 者 は , 一定 の ノ ウ ハ ウを も っ た企 業 に
限 定 され る 可 能 性が 高く , 業界 で の 経 験, 大 規 模 事 業の 建 設 経験 , 資
金 調 達等に 関 す る専 門 知識 が求 め ら れるよ うに なり ます 。
し た がっ て , 参 画 する 企 業 は必 然 的 に 大企 業 に 限 ら れて く る こと が
想 定 され ま す が ,一 方で , 地域 経 済 の 振興 と い う 視 点か ら は ,事 業 主
体 と して 参 画 で きる よう な 地元 企 業 の 層を 広 げ て い くこ と が 課題 と な
り , 地域 に 密 着 した 事業 や 地元 企 業 の 企画 力 等 を 生 かせ る よ うな 方 策
を 検 討する 必 要 があ り ます 。
その他制度
W T O政 府 調 達 協 定に お け る公 募 型 プ ロポ ザ ー ル 方 式に よ る 随意 契
的 な課 題
約 の 採用 の 制 限 ,資 金調 達 にお け る 政 府系 金 融 機 関 等の 無 利 子分 野 の
制 限 など , 個 別 法に おい て ,P F I 導 入を 促 進 す る ため の さ らな る 規
制 改 革が必 要 で す。
ま た ,P F I 事 業 への 国 庫 補助 制 度 や 地方 財 政 措 置 制度 の 適 用拡 大
な ど ,財 政 上 の 支援 措置 の 充実 と , 地 方税 等 に 関 す る税 制 上 の支 援 措
置 の 設 定 が 必 要 と な っ て い ま す 。( 従 来 型 の 公 共 事 業 と の 共 通 の 条 件
づ く り。い わ ゆ る「 イ コー ルフ ッ テ ィング 」)
- 33 -
6
P F Iに お け る その他 の 留意 事 項
(1) PFI 法と 地 方自 治法 など の適 用 関連 に つ い て
ア
PF I 事業 の施 設 用地の 位 置付 けにつ いて
BTO方式で施設整備を行う場合,当該施設の用地は「行政財産」として
位置付けられます。BOT方式で行う場合で,当該期間中PFI事業者に対
して「普通財産」として用地を貸し付けるときは,事業終了時に当該施設の
所 有 権 が 当 該 地 方 公 共 団 体 に 移 転 し ,「 行 政 財 産 」 に な る 時 点 に お い て , 当
該 施設 の 用 地も「 普 通財 産」か ら「 行政 財産」に 切 りかえ る 必 要があ り ます。
イ
行政 財 産の 民間 事 業者へ の 貸付 につい て
PFI事業においては,民間事業者が施設を建設,運営するために,民間
事業者に対して行政財産である土地を貸し付ける必要がありますが,地方自
治 法 第 238条 の 4 及 び 同 法 施 行 令 第 169条 の 2 で は , 行 政 財 産 を 貸 し 付 け る こ
と が で き る の は ,資 本 金 ,基 本 金 など の 1/2以 上 を 出 資し て い る法 人 又 は 公共
的団体で法人格を有するもののうち当該地方公共団体が行う事務と密接な関
係 を有 す る 事業を 行 う もの 等 に 限定さ れ て います 。
このようなことから,PFI法では,地方自治法の規定にかかわらず必要
があると認められるときは,PFI事業の用に供するため,行政財産をPF
I事業者に貸し付けることができるほか,次のような特例が設けられていま
す。(平 成 17年8 月 に PFI 法 の一 部改 正 )
①
公共施 設等 と 民間 施設 との 合築 建 物 の場合
・
PFI事業に係る公共施設等とPFI事業以外の民間収益施設等とを
合築で整備する場合,必要があると認めるときは,行政財産である土地
を,その用途又は目的を妨げない範囲で,PFI事業者に貸し付けるこ
と が でき ます 。
・ また,この貸し付けを受けた事業者が,PFI事業終了後も引き続き
建物の一部を所有しようとする場合,必要があると認めるときは,行政
財産である土地を,その用途又は目的を妨げない範囲で,この事業者に
貸 し 付け るこ と ができ ます 。
・ さらに,合築建物に係る行政財産である土地を,PFI事業者から民
間 施 設部 分を 譲 渡され た第 三 者にも 貸付 け可能 で す。
( 再 譲渡 の場 合 も可能 )
②
合築以 外の 形 態に よる 民間 施設 の 併 設の場 合
・
PFI事業に資する民間施設(熱供給施設,新エネルギー施設等)を
併設する場合,必要があると認められるときは,当該施設の設置に係る
行政財産である土地をその用途又は目的を妨げ ない範囲で,PFI事業
者 に 貸し 付 ける こと が でき ます 。
・ また,この貸し付けを受けた事業者が,PFI事業終了後も引き続き
建物の一部を所有しようとする場合,必要があると認めるときは,行政
財産である土地を,その用途又は目的を妨げない範囲で,この事業者に
貸 し 付け るこ と ができ ます 。
・ さらに,当該施設の設置に係る行政財産である土地を,PFI事業者
か ら 民間 施設 部 分を譲 渡さ れ た第三 者に も貸付 け 可能で す 。
( 再 譲渡 の場 合 も可能 )
また,行政財産の貸付に当たっては,PFI事業者は適正な対価を地方公
共 団 体 に 支 払 う の が 基 本 で す が , P F I 法 第 71条 第 1 項 の 規 定 に よ り 「 無 償
又は時価より低い対価で選定事業者に使用させることができる」とされてお
り , こ の 規 定 を 適用 す る 場合 は , 地方 自 治 法 第 96条 第 1 項第 6 号 及 び第 237条
に より 条 例 を定め る , ある い は 議会の 議 決 を経る 必 要があ りま す 。
- 34 -
ウ
「公 の 施設 」に つ いて
平 成 15年 6 月 の 地 方 自 治 法 の 改 正 ( 施 行 : 平 成 15年 9 月 2 日 ) に よ り , 公
の施設の管理については,地方公共団体の出資法人等に対する管理の委託制
度から,出資法人以外の民間事業者を含む地方公共団体が指定する者(指定
管 理者 ) に よる管 理 の 代行 制 度 (指定 管 理 者制度 ) へ転換 され ま し た。
従来の 管 理 委託制 度 の下で は,P FI 事業 者が 管理 受 託者 にな れな いため ,
施設の使用料についてPFI事業者自らが設定することや使用料を直接PF
I事業の収入とすることができないため,経営努力が反映しにくい状況にあ
り まし た 。
しかし,今回の改正により,議会での指定の議決を経て指定管理者となっ
たPFI事業者は,料金収入を直接自らの収入とすることができるようにな
り まし た 。
※
公の施 設と は
地方公共団体が設置する施設のうち,住民の福祉を増進する目的をもって
そ の 利用 に 供す るた め に設け ら れる 施設を いう。(地方 自 治法 第 244条 )
公の施設と呼ばれるためには以下の5つの要件を満たす必要があり,例と
し て は, 公 園, 病院 , 学校, 博 物館 等が挙 げら れる 。
① 住 民 の 利用に 供 す るこ と
② 区 域 内 に住所 を 有 する 者 の 利用に 供 す ること
③ 住 民 の 福祉を 増 進 する 目 的 をもつ こ と
④ 物 的 施 設であ る こ と
⑤ 地方公共団体が施設について何らかの権原(所有権,賃借権等)を取
得して い る こと
【 公 の施設 の指 定 管理 者制 度の 概要 】
地方公共団体は,公の施設の設置の目的を効果的 に達成するため必要があ る
と認めると きは,条例の定めるところによ り,法人その他の団体で あって当該
地方公共団 体が指定するもの(指定管理者 )に,公の施設の管理を 行わせるこ
と が できる 。( 地 方自 治法 第 244条の2 第 3 項)
①
条例の 制定
個 々の 公 の 施設に お い て指 定 管 理者制 度 を 導入す る ことと した 場 合 におけ
る 次 の事 項
・ 指 定の 手 続( 申請 , 選定, 事 業計 画の提 出等 )
・ 業 務の 具 体的 範囲 ( 施設・ 設 備の 維持管 理, 個別 の使 用許可 )
・ 管 理の 基 準( 休館 日 ,開館 時 間, 使用制 限の 要件 )
②
指定の 方法
① の条 例 に 従い, 個 々 の指 定 管 理者を 議 会 の議決 を 経て, 期間 を 定 め指定
③
利用料 金制 ( 公の 施設 の利 用に 係 る料 金 を 指 定管理 者 が自 ら の 収入 とし て
収 受 する 制 度)
従 来の 管 理 受託者 と 同 様に , 利 用料金 制 を とるこ と ができ るこ と と する。
④
事業報 告書 の 提出
指 定管 理 者 に指定 さ れ た団 体 は ,毎年 度 終 了後, 事 業報告 書を 提 出 。これ
に よ り, 当 該公 の施 設 の目的 に 沿っ た利用 をチ ェッ ク。
⑤
地方公 共団 体 の長 によ る指 示, 指 定の 取 消 し ,業務 の 停止 命 令
地 方公 共 団 体の長 は , 指定 管 理 者に対 し 必 要な指 示 を行う こと が で きる。
指 定 管理 者 が指 示に 従 わない 場 合等 指定の 継続 が不 適当 な場合 に は ,指定 を
取 消 し, 又 は管 理業 務 の全部 若 しく は一部 の停 止を 命令 。
⑥
指定管 理者 の 行っ た利 用関 係の 設 定に 対 す る 不服申 立 て
処 分に 該 当 する個 々 の 利用 関 係 の設定 に 関 する不 服 申立て につ い て は,地
方 公 共団 体 の長 に対 す る審査 請 求と して整 理。
- 35 -
(2) イコー ルフ ッ ティ ング につ いて
ア
税制 上 の措 置に つ いて
PFI事業により施設を整備した場合,従来方式では課税されなかった税
が課税されたり,PFIの事業方式により課税される税が異なるなど,税制
が PF I の 推進や 適 切 な事 業 手 法の選 択 を 妨げて い るとい う課 題 が ありま す。
そこで,従来からの公共事業とPFIの格差を是正(イコールフッティン
グ)し,民間事業者のPFI参入意欲を高めるために,税制上の優遇策が拡
充 され つ つ ありま す 。
これまでにも,地方税に関して,公共荷さばき施設,一般廃棄物処理施設
及び国立大学法人の校舎に係る固定資産税,都市計画税及び不動産取得税の
特例措置が講じられているほか,法人税についても「売買とされるPFI事
業 に つ い て 」( 平 成 14年 12月 国 税 庁 ) に よ り , B O T 方 式 の 事 業 の 実 態 が 法
人税法等に定める一定の要件を満たす場合には,選定事業者から公共施設等
の管理者等に対し完工された施設の売買があったものとされることが明確化
され,この場合において,延払基準の方法によったときは,耐用年数にかか
わらず,PFI事業期間に応じて施設の工事原価等を損金算入することが可
能 とな っ て います 。
今後ともPFI事業に対する税制支援の動向について,留意しておく必要
が あり ま す 。
【 BO T 方 式とB T O 方式 に よ る課税 措置 の 違い 】
税
目
課 税 主体
B O T方 式
B T O方式
国
課税対象
課税 対 象
事 業 所税
市 町村
課 税 対象
課税 対象
固 定 資産 税
市 町村
課税 対 象(注 1)
非課 税
都 市 計画 税
市 町村
課税 対 象(注 1)
非課 税
法人税
不 動 産取 得税
都 道 府県
課 税 対象( 注 1) 非課 税 ( 注2 )
登 録 免許 税( 不動産 登 記)
国
課税対象
非 課税
登 録 免許 税(商 業 登記 )
国
課税対象
課税 対 象
市 町村
非 課税
非課 税
特 別 土地 保有税
( 注 1 ): B O T 方 式 に お い て は , 固 定 資 産 税 , 都 市 計 画 税 及 び 不 動 産 取 得 税 の 特 例 措
置 があ りま す。
( 注 2 ): 建 物 の 原 始 取 得 者 が P F I 事 業 者 ( S P C ) か ら 建 設 を 請 け 負 っ た 建 設 業 者
ではなく,PFI事業者自身であると認定される場合に非課税となります。
- 36 -
【 PF I事業に 係る収益 ・費用 の計上( 法人税)】
〔従
前〕
BOT方式におい て,PFI事業用資産の 耐用年数が事業期間より も長い場
合,賃貸料収入と減 価償却費の計上時期にズ レが生じ,毎年の利益が 過大に計
上され る こ とが 問 題 となっ て い た。
公共 機 関へ
無償 譲 渡
賃
貸
料
収
入
利益
減
価
償
却
費
事
業
開
始
事業 期間
事
業
終
了
※事業期間中には
費用 化 でき ない
耐用 年 数
〔現
行〕
「 売 買 と さ れ る P F I 事 業 に つ い て 」( 平 成 14年 12月 国 税 庁 ) に よ り , B O
T方式 の 場 合,
① PFI事業用資 産の賃貸借が一定の要件 を満たす場合には,公共 機関側へ
の 売 買取 引とし て 取り 扱わ れ る こと ,
② その際,その売 買取引に係る収益・費用 を延払基準により経理し た場合に
は,収益(賃貸料 収入に相当する譲渡代金 )に応じて費用(減価償 却費相当
額 を 含む 工事原 価)の計 上 が 行 える こ と,が 法令の 解 釈とし て 明 確化さ れ た。
よって,PFI事 業用資産の減価償却費相 当額を事業期間中に全て 費用計上
するこ と が 可能 と な りまし た 。
公共 機 関へ の
売買 と する
賃
貸
料
収
入
相
当
額
譲
渡
代
金
収
入
減
価
償
却
費
相
当
額
等
公 共機 関へ
無償 譲 渡
利益
工
事
原
価
※事 業 期間 にあ
わせ て 費用 化
事
業
開
始
事 業期 間
- 37 -
事
業
終
了
【税制特例措置(平成25年10月1日現在)】
税
目
概
要
特別土地保有税
・公共施設等の建設を行うPFI事業の用に供する土地につ
いての特別土地保有税を非課税とする措置を講ずる。
不動産取得税
・PFI法に基づく選定事業者が同法に基づき実施する選定
事業(いわゆるサービス購入型で,公共施設の管理者等が
証明を行った事業に限る)により取得する家屋に係る不動
産取得税について,当該家屋の価格の2分の1に相当する
額を価格から控除する課税標準の特例措置を講ずる。
(平成26年度末取得分まで)
固定資産税
都市計画税
・PFI法に基づく選定事業者が同法に基づき実施する選定
事業(いわゆるサービス購入型で,公共施設の管理者等が
証明を行った事業に限る)により取得する家屋及び償却資
産について,固定資産税及び都市計画税の課税標準を価格
の2分の1にする措置を講ずる。
(平成26年度末取得分まで)
※
特別土地保有税については,地方税法改正により平成15年度以降,PFI事
業の用に供する土地であるか否かにかかわらず,すべて課税を停止し,新たな
課税を行わないことになっています。
- 38 -
イ
国庫 補 助金 負担 金 の交付 に つい て
国 の P F I 基 本 方 針 に お い て は ,「 財 政 上 の 支 援 に つ い て は , 本 来 公 共 施
設等の管理者等が受けることのできる支援の範囲内で,民間の選定事業者が
受けられるように配慮すること」とされていますが,事業主体が民間事業者
で ある P F Iでは 補 助 金交 付 の 対象外 と な ってし ま うケー スが あ り ます。
このようなことから,従来からの公共事業とPFIの格差を是正(イコー
ル フ ッ テ ィ ン グ ) し , P F I 事 業 の 円 滑 な 推 進 を 図 る た め に , 平 成 13年 9 月
の民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する関係省庁連絡
会 議 に お い て も ,「 今 後 , 関 係 省 庁 に お い て , 必 要 に 応 じ て 財 政 当 局 と の 協
議を行いつつ,個別の事業分野ごとに補助金交付要綱等の見直し等必要な措
置を講ずる」旨,申合せがなされ,公共施設の整備にかかる補助金交付要綱
な ど の 見 直 し が 行 わ れ て い ま す 。( B T O 方 式 を 中 心 に , 補 助 金 交 付 の 対 象
となる事業が増えておりますが,施設の所有権を公共が保有することが前提
条件である場合が多いことなどから,BTOによる場合の方がBOTによる
場 合よ り 補 助金交 付 さ れや す い 傾向に あ り ます。)
ま た , 国 土 交 通 省 に つ い て は , 平 成 16年 3 月 に , 地 方 公 共 団 体 が P F I 事
業 を 実 施 す る 際 の 補 助 金 の 適 用 に 関 す る 基 本 方 針 を 再 整 理 し ,「 B T O , B
OTともに,PFI事業で整備された公共施設に対し,補助金を一括交付す
る こと は 可 能であ る 」 とい う 考 え方を 示 し ていま す 。
今後とも補助金については見直しの動きがあるため,PFIを導入しよう
とする場合には,事前に補助金交付の有無とその要件などについて,関係省
庁 と充 分 に 調整を 図 る 必要 が あ ります 。
なお,補助金の交付については,施設竣工時期までに民間事業者に支払う
ものとされるとともに,県の協調的補助金(補助裏)についても同様の取扱
いを行うこととされている場合もあることから,PFI事業の効果である事
業費の平準化の効果が薄れたり,民間事業者による資金調達能力を十分活用
で きな い 場 合もあ り ま すの で , 留意が 必 要 です。
【地方公共団体がPFI事業を実施する際の補助金等の適用に関する国土交通省
基 本 方針 】
B T O, B O Tと も に ,P F I 事業 で 整 備 さ れた 公共 施設 に 対し , 補 助 金を一
括 交付 す る ことは 可 能 であ る 。
た だ し, B O T方 式 に 関し て は ,以 下 の 点 に つい て, 個別 プ ロジ ェ ク ト ごとに
審 査を 行 う 必要が あ る 。
①
長 期 安 定的 に 公 共施設 等 を 管理・ 運営 でき る か
②
最 終 的 にそ の 公 共施設 等 が 公共に 移転 され る こ とが担 保さ れて い るか
③
補 助 金 等適 正 化 法の適 用 条 件(目 的外 使用 の 制 限,財 産処 分の 制 限等 )を
P F I事 業者が 了 承す るか
- 39 -
ウ
PF I 事業 に対 す る前払 保 証と 保証事 業者 の金 融保 証につ い て
建設業者がPFI事業の建設工事を請け負うに当たっては,他の建設工事
同様,多額の初期資金が必要となりますが,通常,工事代金の前払いは行わ
れていないことから,PFIの建設工事を受注した建設業者は多額の資金を
自力で調達して立て替えなければならず,特に中小の建設業者にとっては大
き な負 担 と なって い ま した 。
このようなことから,従来からの公共事業とPFIの格差を是正(イコー
ルフッティング)し,中小建設業者がPFI事業に参入しやすい環境をつく
る た め に , 平 成 16年 7 月 13日 か ら は , P F I 事 業 の 建 設 工 事 に 対 す る 前 払 保
証を認めるとともに,保証事業会社からの金融保証も受けられるようになり
ま した 。
【「 PF I 方 式 によ る 建 設工 事 を 請け 負 う 建設 業者 の 資 金調 達 の円 滑 化に つい て」
( 平 成16年 7月 7日 国 土交通 省 総合 政策局 建設 業課 通知 )抜粋 】
< 具体 的 な 措置の 内 容 >
(1) P F I 工 事 を 「 公 共 工 事 の 前 払 金 保 証 事 業 に 関 す る 法 律 」 に 規 定 す る 公 共
工 事 に指 定し, 保 証事 業会 社 の 業務 の 対 象に追 加 。
(2) 東 日 本 建 設 業 保 証 株 式 会 社 , 西 日 本 建 設 業 保 証 株 式 会 社 , 北 海 道 建 設 業 信
用保証株式会社か らの申請に基づき,これ ら保証事業会社がPFI 工事を請
け負う建設業者に 対して金融保証事業を行 う場合の業務内容を国土 交通大臣
が 承 認。
①
対象 者
PFI法第2条第5項に規定する選定事業者の発注する工事及び測量を
受 注 した者
②
保証 の範囲
工事の完成に要する資金で,工事代金額の範囲内(前払金が支払われた
場 合 には, その 額を 差 引い た 金額の 範 囲内 )
③
保証 料率
日 歩 3厘 ( 年 率1.095% ) 以 内
- 40 -
(3) PFI 事業 に 係る 地方 財政 措置 に つい て
P F I 事 業 に 係 る 地 方 財 政 措 置 に つ い て は ,「 地 方 公 共 団 体 に お け る P F I
事 業 に つ い て 」( 平 成 12年 3 月 29日 付 け 自 治 画 第 67号 自 治 事 務 次 官 通 知 ) 及 び
「 民 間 資 金 等 の 活 用 に よ る 公 共 施 設 等 の 整 備 等 の 促 進 に 関 す る 法 律 ( 平 成 11年
法 律 第 117号) に 基 づ いて 地 方 公共 団 体 が実 施 す る事 業に 係 る 地方 財 政 措 置に つ
い て ( 平 成 12年 3 月 29日 付 け 自 治 調 第 25号 自 治 省 財 政 局 長 通 知 」 に よ り , 以 下
の 措 置等 が 講じ られ ま す。
具体に検討する際は,事業所管課は関係省庁等と協議し,これら地方財政措
置 の 適用 の 有無 を確 認 の上, 事 業を 進める 必要 があ りま す。
ア
国庫 補 助負 担金 が 支出さ れ るP FI事 業
国庫補助負担金の内容に応じ,以下のとおり従来手法による場合と同等の
地 方債 措 置 又は地 方 交 付税 措 置 が講じ ら れ ます。
①
地方公共団体がPFI事業者に対し,施設整備時に整備費相当分の全部
又は一 部 を 支出す る 場合
・従来手法による場合と同種の地方債をその財源とすることができ,当該
地方債の元利償還金に対して交付税措置がある場合は,同様の交付税措
置 が 行わ れま す 。
②
地方公共団体がPFI事業者に対し,後年度に整備費相当分の全部又は
一部を 割 賦 払い又 は 委託料 等 の 形で 分 割 し て支 出 す る場 合
・従来手法による場合の地方債充当率,交付税措置率を勘案して財政措置
の内容が同等になるように,均等に分割して一定期間交付税措置が行わ
れ ま す。
なお,国庫補助負担金については,補助事業によっては,PFI事業に対
応しておらず,交付がなされるか否かが明確ではない場合がありますので,
事業所管課は,具体的な検討に当たっては,早期に各補助事業所管省庁へ協
議 する 必 要 があり ま す 。
イ
地方 単 独事 業と し て実施 さ れる PFI 事業
従来手法による場合での施設種別に応じた財政措置の有無により,以下の
と おり 地 方 交付税 措 置 が講 じ ら れます 。
①
施 設 の 種別に 応 じ た財 政 措 置があ る 場 合
・従来手法による場合の地方債の充当率,交付税措置率を勘案して,財政
措置の内容が同等になるように,均等に分割して一定期間交付税措置が
行 わ れま す。
②
財政措置がない場合(公共性が高く,非収益的な施設が対象。庁舎等の
公用施 設 は 対象外 )
・ 負 担 額 の 合 計 額 ( 用 地 取 得 費 を 含 ま ず , 金 利 相 当 額 を 含 む 。) の 20% に
対 し ,均 等に 分 割して 一定 期 間交付 税措 置が行 わ れます 。
上記以外にも,資金手当のための地方債措置,用地を取得する場合の経費
に対する地方債措置,地方公営企業におけるPFI事業に対する措置等があ
り ます 。
- 41 -
(4) 融資制 度等 に つい て
ア
財政 投 融資 等
制
度
等
概
要
株式会 社民 間資金 等 活用 事 ・インフラファンドとしての機能を担う官民共同
業推進 機 構
出資等を行うことにより,国の資金・信用を呼
び 水 として イ ン フラ 事業へ の 民間投 資を 喚起し ,
利用料金等の収入で資金回収を行う独立採算型
(コンセッション方式を含む)のPFI事業に
対し,社会資本の整備・維持管理に係る財政負
担の縮減を図るとともに,インフラ投資市場の
形 成 と民間 の 事 業機 会の創 出 を図る 。
※
株 式会社民間資 金等 活用事業推進 機構
イ
ふる さと融 資 (無 利子 ) 制度
制
度
等
地域 総合 整 備 資金 貸付
※
(http://www.pfipcj.co.jp/)
概
要
・地域の振興・活性化につながる民間事業で,公益
性,適度の事業採算性の観点から実施されるもの
を 対象 と す る 。
・融資は地方公共団体が地方債の発行により資金調
達を行い,その資金を民間事業者に無利子で貸し
付けるもの。調達原資となる地方債の利子には交
付 税措 置 ( 利 子負 担 相 当額 の75%) があ る。
・民間事業者の土地・建物・設備等の取得にかかる
費 用の う ち , 融資 総 額 の35%以内 が 融資 限度 額。
・BOT方式によるPFIの事業形態事業は,貸付
対象となるが,BTO等の施設を民間事業者が所
有 しな い 場 合 には , 貸 付対 象と はな ら な い。
ふ るさと融資( 無利 子)制度 ( http://www.furusato-zaidan.or.jp/)
- 42 -
(5) 公物管 理に つ いて
道路法など,公物管理に関わる法律の多くは行政部門が公共サービスを直接
供給する仕組 みが前提となっており,民 間部門へ委託可能な業務範 囲について
も制度面で制 約があり,民間ノウハウを 生かして官民協働を図る上 では,各公
共 サ ービ ス 分野 にお い て個別 法 の改 善を必 要と する 場合 があり ま す 。
PFIによって公共サービスの提供を実施するに当たり,公物管理に関わる
法律で位置付 けられている民間事業者が 行い得る運営・維持管理面 での業務範
囲 が 曖昧 で,P FI 事業化 の 推進 を阻 害 し てい る の かどう か と いう 点 に 対し て ,
国土交通省は 「PFI事業者の公物管理 法上の位置づけについての 考え方(平
成 14年8月23日 )」 を通知 し ,「 公 物管 理 法 におけ る 公 物管 理 者 に関す る 規 定は ,
国 民 等に 対 し,公物 を管理 す る最 終的 な 責 任を 負 う 主体を 規 定 する も の であ り ,
公物管理にお ける事実行為を民間主体に 事務委任することを禁じた ものではな
く,PFI事 業者は,この事実行為につ いて,PFI法第2条に規 定する「公
共 施 設 等 の 整 備 等 」 を 行 う こ と が で き る 。」 と の 見 解 を 示 し ま し た が , 依 然 と
し て 民間 部 門に どこ ま で任せ ら れる かにつ いて は不 明確 な部分 が 残 ってい ま す。
【 国 土交通 省「 PF I事業 者 の公物 管 理 法上の 位 置 づけ に つ いての 考 え 方」
( 抜粋 )】
論 点 1:P FI 事 業者 の法 的地 位に つ いて
①
公物 管 理者 の関 す る規定 は ,国 民等に 対し ,公 物を 管理す る 最 終的な 責
任 を負 う 主 体を規 定 す るも の で ある。 公 物 管理法 は ,公物 管理 に お ける事
実 行為 を 民 間主体 に 事 務委 任 す ること を 禁 じては い ない。
②
PF I 事業 者は 事 業契約 等 で定 めるこ とに より ,一 定の範 囲 に おけ
る 占用 許 可 等,よ り 広 範な 事 務 を実施 す る ことも 可 能であ る。
③
国家 賠 償法 によ る 賠償責 任 等に ついて は, 公物 管理 者が最 終 責 任を負 う
こ とと な る と考え ら れ る。
④
PF I 事業 者の 法 的地位 は ,事 業契約 等に よっ て担 保され る 。 事業
契 約等 で 詳 細に規 定 し てお け ば ,行政 主 体 の裁量 的 な判断 で不 安 定 に
な るこ と も ない。
論 点 2:公 共施 設 や敷 地の 所有 権の 帰 属に つ い て
P FI 事 業 者が土 地 等 の所 有 権 等を保 有 す ること と するか 否か は , 事業契
約 に よっ て 決め られ る もので あ って ,公物 管理 者に は必 要な権 原 が あれ
ば 足 りる 。
論 点 3:P FI 事 業者 に対 する 公物 管 理法 上 の 種 々の許 可 等に つ い て
P FI 事 業 者が行 う 公 共施 設 等 の整備 等 に 関する 行 為は, 公物 管 理 者との
事 業 契約 等 に基 づく 公 物管理 そ のも のであ り, 占用 許可 ,承認 工 事 の承
認 等 のた め の手 続き は 不要で あ る。 したが って ,事 業契 約等に 基 づ く
PFI事業について占用許可等が事業契約締結期間に対する制約となる」
こ とは な い 。
※
「公物管理法」とは,行政 法等の学問分野で用いら れる呼称であり,明確な 定
義 は 確立さ れて い ませ んが,一 般的 には,道路 法,河川法 ,都 市 公園 法 ,港 湾 法,
下水道法等をいいます。公物管理法では,法的に設置や管理が地方公共団体等に
限 定 されて いま す 。
- 43 -
第4章
P F I事 業 の導 入 手 順
この章では,本県におけるPFI事業の導入に当たり,事業の提案から事業の終了までの
各プロセスについて,事務手続きや留意事項を示しています。
なお,本手順はPFI法や国のPFI基本方針,「PFI事業実施プロセスに関するガイ
ドライン」をはじめとする各ガイドライン,他自治体の手順等を参考に整理したものです。
今後,PFIを取り巻く制度改正の動向や実際のPFI事業の実施状況・進展等を踏まえ,
適宜内容を検討し,改訂をしていきます。
【 PF I導 入 の手 順 】
参
手
順
業
務
フ
ロ
照
ー
ペ ージ
1
P F I 導 入 の 検 (1)
討段階
2
3
4
事 業 選 定段階
(2)
導 入可 能 性調 査 の 実施
50
(3)
導 入可 能 性調 査 の 評価 及び P FI 導 入 方針 決 定
51
実 施方 針 策定 の 見 通し の公 表
52
(2)
P FI ア ドバ イ ザ ーの 選定
53
(3)
実 施方 針 案の 作 成
55
(4)
審 査委 員 会の 設 置 ,開 催( 第 1回 )
59
(5)
実 施方 針 等の 策 定 ・公 表
61
(6)
説 明会 の 実施 , 質 問受 付・ 回 答, 意 見 招請
62
(1)
特 定事 業 の評 価 ・ 選定 ,公 表
63
(2)
議 会の 議 決( 債 務 負担 行為 の 設定 )
70
審 査委 員 会の 開 催 (第 2回 )
71
入 札 公 告 , 民 間 事 業 者 へ の説 明 等 の 実施 , 質 問
77
民 間 事 業 者 の 募 (1)
集・選 定 段 階
45
整 備 運営 手法・ P FI 導入 の 適合性 検 討
実 施 方 針の策 定 (1)
及び公 表 段 階
事 業 の 提 案 (民 間 か らの 提 案 を 含む ),官 民 協 働
(2)
受 付 ・回 答
5
契 約 締 結段階
(3)
入 札参 加 資格 の 確 認
77
(4)
入札
78
(5)
審 査委 員 会の 開 催 (第 3回 )
78
(6)
落 札者 の 決定 ・ 公 表
79
(1)
契 約書 の 作成
80
(2)
仮 契約 の 締結 , 議 会の 議決 ( 契約 事 案 )
81
(3)
契 約の 締 結
82
6
事 業 の 実施段 階 (1)
事 業の 実 施, 事 業 の監 視( モ ニタ リ ン グ)
83
7
事 業 の 終了段 階 (1)
事 業の 終 了, 事 後 評価
84
- 44 -
1
P F I導 入 の 検 討段階
(1) 事 業 の 提 案 ( 民 間 か ら の 提 案 を 含 む ), 官 民 協 働 整 備 運 営 手 法 ・ P F I 導 入
の 適 合性 検 討
公 共 施設 等 の 整 備等 を 実 施す る 際 は, P F Iも 含 め , 様 々な 民 間活 力が 導
入 で きな いかど う か, 検討 す る 必要 が あ ります 。
ア
事業 所 管課 から の 提案
各事業所管課において,公共施設等の整備等(新設・建替え・大規模改修
など)を実施しようとする場合は,まず公共サービスとしての必要性や緊急
性 等を 勘 案 し,当 該 事 業の 政 策 目標や 事 業 計画の 具 体化を 図り ま す 。
次に,事業 計 画等 を踏 まえ て,民 間と の 協 働の観 点 か ら,広 く 民間の 資 金,
経営能力,技術的能力を活用することができないかどうか「官民協働整備運
営 手法 導 入 の適合 性 検 討」 を 行 います 。
また,官民協働整備運営手法導入の適合性があるとされた場合には,PF
Iの導入が可能かどうか「PFI導入の適合性検討」も行い,最も適した事
業 手法 を 選 定しま す 。
【 留意 事 項 】
・ P F I 手 法 を 活 用 す る ね ら い を 明 確 に す る 必 要 が あ り ま す 。「 P F I の
活 用が 先 に ありき 」 の 発想は と りませ ん 。
・
事業手法の選定については,庁内の関係課 と十分調整をとるととも に,
PFIの適合性が高い事業については,早い段階で「PFI推進チーム」
の 支援 ・ 助 言を受 け る 必要が あ ります 。
- 45 -
イ
民間 事 業者 から の 提案
PFI法においては,民間事業者は,公共施設等の管理者等に対し,PF
I事業に係る実施方針を定めることを提案することができると規定されてお
り,公共施設等の管理者等は,その提案について検討を加え,遅滞なく,そ
の 結果 を 当 該民間 事 業 者に 通 知 するこ と と なって い ます。
本県においては,民間事業者からの提案があった場合は,次のように対応
す るこ と と します 。
①
民 間 事 業者か ら の提案 は , 各事 業 所 管 課で受け付けます。
なお,提案に当たっては,PFI法に規定する書類の提出が必要であり,こ
れらの書類がないものは提案として取扱いません。
②
事業所管課は,公共施設等の整備の必要性,実現可能性,県の諸計画との整
合性及び財政に及ぼす影響 等の観点から,県が実施すべきものかを検討し,そ
の結果,実施することが適当と判断した 場合には,PFIを活用することの妥
当性及び他の手法による当該公共施設等の整備等の可能性について検討します。
③
検討 の 結 果 ,P F I 事 業に 係 る 実 施 方針 を 定 め るこ と が 適当と認められ
る場合には,その旨を提案者に通知するとともに, 事業所管課が自ら提案した
場合と同様の手続きを進めていきます。
④
実施方針を定める必要がないと判断した場合には, その理由を付して提案者
に 速やかに通知します。
この場合には,新たに民間 提案を 行おうとする民間事業者の 参考に供
することが適当と認められる場合その他特に必要がある と認められると
きは,当該民間提案の事業案の概要,県の判断の結果及 び理由の概要に
ついて,当該事業者の権利その他正当な利益及び公共施 設等の整備等の
実 施 に対 する 影 響に留 意の 上 ,公表 する ものと し ます。
【 留 意事 項】
民間事業者に よる提案については,PFI事業実施プロセスに関するガ
イ ドラ イ ン を参考 に し ます。
- 46 -
【官民 協 働 整備運 営 導入の 検 討 フロー 】
基本構 想 ・ 基本計 画 策定な ど 事 業の提 案
( 公共サー ビスとしての必要 性や緊急性 等を勘案し,
該事業の政策目標や事業 計画の具体化 を図る)
官 民 協働整 備運 営 手 法導 入 の 適合性 検 討
【 検 討の 視 点】(別 表 1): 10ペー ジ 参照
① 民間 の 参 入が 見 込 まれ る事 業で ある か
② 民間 が ノ ウ ハウ を 活 用 して , 創 意 工夫 で き る範 囲 が 広 い 事
業 であ る か
③ 法的 な 規 制が な く ,民 間に 任せ られ る 事業 であ るか
④ 民間 に 期 待す る 成 果を 明確 にで きる 事 業で ある か
適 合 性あり
適合 性 なし
P F I導入 の 適 合性 検 討
【 検 討の 視 点】(別 表 2): 11ペー ジ 参照
① 適当 な 事 業規 模 が 見込 まれ る事 業で あ るか
② 初期 投 資 の比 率 が 小さ い事 業で ある か
③ 設計・建設・維持管理・運営を一括して発注
で きる 事 業 である か
④ PF I を 導入 し て も , 資金 調 達 の条 件が 不利
に なら な い 事業で あ る か
⑤ PFIの諸手続を進めていく時間的余裕があ
る 事業 で あ るか
適 合 性あり
適合 性 なし
PFI
P F I以 外 の 官民 協 働 整 備 運営 手
法 につ い て 検討し , 事 業化
マ ニュ ア ル に沿っ て 事 業化
- 47 -
直営 で 事 業化
【 官民 協 働 整備運 営 手 法導 入 の 適合性 検討 の 視点 】
検討の 視 点
視 点 の趣旨
①
民間の参入が
安 定 的 か つ 継 続 的な サ ー ビ ス需 要 が あ る こと や , 民 間に 同 種
見 込 ま れ る 事 業 ・ 類 似の 業 務 が 存 在 す る こ とな ど に よ り, 民 間 の 事 業者 の 参 入
である か
が見 込 まれる こと が 必要で す 。
②
民間がノウハ
ウを活用して,
創意工夫できる
範囲が広い事業
である か
③
法的な規制が
設 置 主 体 や 管 理 主体 の 制 限 など , 法 的 に 民間 事 業 者 が事 業 主
な く , 民 間 に 任 体に な ること が制 限 されて い な いこと が 必要 で す 。
せ ら れ る 事 業 で ( 例 えば , 道 路 法 , 都 市 公 園法 , 下 水 道法 な ど の 公 物管 理 法 で
あるか
は , 設置 及 び 管 理 主 体 が 地 方公 共 団 体 に限 定 さ れ て いま す 。 ま
た , 特別 養 護 老 人 ホ ー ム な どの 社 会 福 祉施 設 に つ い ても , 原 則
と し て設 置 及 び 管 理 主 体 が 地方 公 共 団 体及 び 社 会 福 祉法 人 に 限
定さ れ ていま す。)
な お , 一 部 に 制 限が あ る 場 合で も , 制 限 のな い 範 囲 を民 間 に
任せ ら れない かど う か検討 す る ことも 必 要で す 。
( 例 えば , 学 校 に つ い て は ,設 置 主 体 及び 運 営 主 体 は, 地 方 公
共 団 体及 び 学 校 法 人 に 限 定 され て い ま すが , 校 舎 の 建て 替 え ,
維 持 管理 等 の 業 務 に つ い て は, 民 間 事 業者 が 行 う こ とも 可 能 で
す。)
④
民間に期待す 民間事業者に公共サービスを委ねることによってサービス水
る 成 果 を 明 確 に 準 が 低下 す る こ と を 防 止 す るた め , 事 業の 成 果 が 数 値化 で き る
で き る 事 業 で あ な ど ,民 間 が 達 成 す べ き サ ービ ス 水 準 を明 確 に 規 定 でき る こ と
るか
が必 要 です。
ま た , こ の こ と によ り 提 供 され る サ ー ビ スの 質 の 検 査も 行 い
やす く ,客観 的な 評 価が可 能 と なりま す 。
施設内容や運営部分に民間の創意工夫を加える余地が大き
く , 民間 ノ ウ ハ ウ の 活 用 に より 効 率 的 なサ ー ビ ス 提 供が 可 能 で
あ る こと が 必 要 で す 。 特 に ,運 営 収 入 が見 込 め る 事 業で , 民 間
の 経 営ノ ウ ハ ウ の 活 用 に よ り, 需 要 の 増加 や 収 益 性 の向 上 が 期
待で き るもの は,導 入 の適 性 が 高 いも の で ある と 考 えられ ま す。
- 48 -
【PF I 導入 の適 合 性検討 の 視 点】
検討の 視 点
視 点 の趣旨
①
適当な事業規
P F I の 場 合 , 従来 の 手 法 と比 べ , 可 能 性調 査 や ア ドバ イ ザ
模 が 見 込 ま れ る ー 委 託等 の 手 続 き コ ス ト や 民間 資 金 の 調達 コ ス ト が 嵩む こ と か
事業で あ る か
ら , 事業 規 模 が あ ま り 小 さ なも の は , 費用 対 効 果 が 見合 わ ず ,
民間 事 業者の 参加 意 欲も涌 き に くい状 況 にあ り ま す 。
つ ま り , こ れ ら の追 加 コ ス トを 上 回 る コ スト の 削 減 を図 る た
めに は ,一定 規模 以 上の事 業 規 模が必 要 とな り ま す 。
ま た 一 方 で は , あま り に 巨 大な 事 業 で は ,民 間 事 業 者が リ ス
ク を 負担 す る こ と が 困 難 に なる と と も に, 資 金 調 達 をす る こ と
が 難 しく な る 場 合 も あ る た め, 適 切 な 事業 規 模 で あ るこ と が 必
要で す 。
な お , 一 つ の 事 業で は , 事 業規 模 が 小 さ くて も , 同 種類 の 事
業 を 束ね , 一 定 規 模 以 上 の 事業 規 模 に する な ど , ス ケー ル メ リ
ット を 生かし た手 法 につい て も 検討す る こと が 必 要 です。
②
初期投資の比
P F I の 場 合 , 公債 な ど の 公的 資 金 に 比 べて 割 高 な 民間 資 金
率 が 小 さ い 事 業 を 調 達す る こ と に よ る 金 利 負担 の 増 大 とい う デ メ リ ット が あ る
である か
た め ,従 来 の 手 法 に 比 べ 施 設建 設 費 や 運営 ・ 維 持 管 理費 の 削 減
が 著 しく 期 待 で き る 場 合 を 除き , 運 営 ・維 持 管 理 費 に対 し て 初
期 投 資で あ る 施 設 建 設 費 が 大き す ぎ る と, こ の 金 利 差を 補 う こ
とが 難 しくな りま す 。
③
設計・建設・
P F I の 場 合 , 施設 の 設 計 ・建 設 ・ 維 持 管理 ・ 運 営 を民 間 事
維 持 管 理 ・ 運 営 業 者 がノ ウ ハ ウ を 生 か し な がら 一 体 的 に担 う こ と に より , 事 業
を 一 括 し て 発 注 全体 に 要する 経費 を 削減す る こ とがで き ます 。
できる事業であ
よ っ て , 維 持 管 理・ 運 営 面 を考 慮 し た 施 設の 設 計 ・ 建設 を 行
るか
うた め ,一括 発注 で きるこ と が 必要で す 。
な お , 既 に 基 本 設計 や 実 施 設計 ま で 終 了 して い る 事 業の 場 合
で も ,民 間 事 業 者 から の 設 計の 改 善 提案 , い わゆ るV E (Value
Engineering: バリュー・エンジニアリング)提 案 を活用 する こ とに よ り,
PF I 導入が 可能 と なる場 合 も あるの で,その 検 討 も必要 で す。
④
PFIを導入
P F I の 場 合 , 事業 主 体 が 民間 事 業 者 で ある た め , 従来 の 手
し て も , 資 金 調 法 で あれ ば 受 け る こ と が で きた 国 庫 補 助負 担 金 等 を 受け ら れ な
達 の 条 件 が 不 利 いこ と があり ます 。
にならない事業
よ っ て , P F I の場 合 で も 国庫 補 助 負 担 金や 地 方 財 政措 置 を
である か
同 じ よう に 受 け る こ と が で きる か ど う かな ど , P F Iと 従 来 の
手 法 を比 較 し て , P F I の 場合 に 資 金 調達 上 の デ メ リッ ト が 存
在し な いこと が必 要 です。
⑤
PFIの諸手
P F I の 場 合 , 民間 事 業 者 の募 集 , 選 定 ,契 約 締 結 など P F
続 を 進 め て い く I法 に 基づく 事務 手 続き等 が 複 雑で, 相 当の 時 間 を 要しま す 。
時間的余裕があ
ま た , 民 間 事 業 者の ノ ウ ハ ウの 十 分 な 活 用を 図 る た めに , 民
る事業 で あ るか 間 事 業者 か ら の 意 見 の 反 映 のた め の 手 続き や 民 間 事 業者 の 提 案
作成 な どに要 する 時 間を十 分 確 保しな け れば な り ま せん。
よ っ て,ゆ とり あ る スケ ジ ュ ー ルを 設 定 する 必 要 があり ま す。
※
P F I 事業と し て の適 切 な 事業 規模
国 土 交 通 省 が 平 成 15年 12月 に 公 表 し た 「 国 土 交 通 省 所 管 事 業 を 対 象 と し た V
F M ( バリュー・フォー・マネー) 簡 易 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン ( 第 1 次 確 定 版 )」 に お い て は ,
全国一律の「適正な 事業規模」を求めること は不適切であるが,とり あえずの
P F I 事 業 と し て 適 切 な 事 業 規 模 ( 初 期 投 資 額 ベ ー ス ) の 目 安 を ① 都 市 圏 で 10
億円程度,②地方圏 で5億円程度と想定した 上で,事業の性格や内容 に即して
事業実施が可能な民 間事業者を想定し,事前 の参画調査等を十分に行 うことの
重要性が指摘されて います。同様に,資金調 達のしやすさの観点から とらえた
上限目 安 に つい て は ,初期 投 資 額ベー スで 100∼200億円程 度と して い ます 。
- 49 -
(2) 導入可 能性 調 査の 実施
事 業 所管 課 は , 民間 コ ン サル タ ン ト等 に 委 託す る こ と に より , PF I導 入
可 能 性調 査を行 い ,そ の結 果 に より , P FI導 入 の 可否 を 判 断し ま す 。
ア
PFI導 入可能性調査は,PFI導 入の適合性があると判断さ れた事業に
ついて,具体的な事業方式,法制度面の適用,VFMの試算,民間事業者の
事業参画の見込み等の検討を加え,PFIの導入可能性について総合的に判
断 する こ と を目的 と し ます 。
イ
PFI導入可能性調査については,次の理由から当分の間,民間コンサルタント
への委託を活用しますので,事業所管課は,調査委託費の予算を確保することが必
要です。
ウ
①
事業スキーム構築上欠くことができない類似事業に関する実態調査や民間事業
者の市場調査(=PFI導入範囲,事業方式,リスク分担の検討を行う上での民
間事業者の参考意見,当該事業に対する民間事業者の参入意向を把握するもの)
が必要であること。
②
PFI事業への豊富な経験を有していることから,対象事業がPFIで成立し
得るかどうか,また成立させるにはどのような事業スキームをとるべきかについ
て,より客観的に現実に即した判断ができること。
民間コンサルタントへ委託する場合の県の役割とその留意点は,大きく次のとおり
です。
①
PSCの算定に必要な初期投資資金調達や収入,費用項目に対して,当該事業
あるいは従来の類似事業の金額等を把握すること。その際,使用する従来の類似
事業については,立地,施設規模,構造等について,当該事業と可能な限り近い
条件のものを選定すること。
②
県として,調査内容を全体にわたって把握し,特にVFM試算は,その仕組み
をある程度理解し,外部コンサルタントが出す試算結果についてチェックできる能力
を備えておくこと。
なお,導入可能性調査段階でのVFMの試算は,詳細な条件まで確定していな
いことが多いため,大まかなコスト比較を中心にVFMの達成が可能かどうかに
ついての検討を行うこと。詳細なVFMの算定は,実施方針の公表後に民間事業
者からの意見等を踏まえて事業計画を策定し,特定事業の選定時にリスク調整を
行った上で再精査します。
【留意事項】
民間コンサルタント選定方法としては,一般的に,一般競争入札とプロ
ポーザル方式 による随意契約の二つの方法がありますが,コンサルタント
の実施能力や 提案内容を重視したプロポーザル方式による随意契約を締結
す る ケース が多 くな っ てい ま す。
なお,ここで調査を委託するアドバイザーは,実施方針の策定以降のア
ド バ イザー 契約 とは 異 なり , 可能性 調 査の みを 委 託する も ので す。
- 50 -
【導入 可能 性調査 の 項目例 】
項
1
2
目
事 業 内 容の検 討
内
①
②
③
④
VFM(概算)の ①
検証
②
③
④
⑤
容
公共 サ ービ ス の 基準の 検 討
支援 措 置や 法 制 度の課 題 等 の検 討
PF I のス キ ー ム(事 業 形 態・ 事 業 方式 等 ) の 検討
施設 ・ 設備 の 概 要作成
従来 方 式に よ る 場合の コ ス ト( P S C) の 算 定
PF I 事業 の 採 算シュ ミ レ ーシ ョ ン
民間 事 業者 へ の 移転リ ス ク (リ ス ク 調整 ) の 評 価
現在 価 値換 算 後 の県負 担 額 の比 較
サー ビ ス水 準 の 定性的 比 較
3
市 場 調 査の実 施
①
②
③
事業 概 要書 の 作 成
民間 意 向の 把 握 (ヒア リ ン グ, ア ン ケー ト 等 )
調査 結 果に 基 づ く事業 ス キ ーム , V FM の 再 検 討
4
総合評価
①
PF I 導入 可 否 につい て の 総合 評 価
(3) 導入可 能性 調 査の 評価 及び PF I 導入 方 針 決 定
P F I導 入 可 能 性調 査 の 結果 を 踏 まえ , 導 入に 関 し て , 県と し ての 意思 決
定 を 行い ます。
事業所管課は,PFI導入可能性調査の結果評価を行い,県として,PFI導入に
関しての意思決定を行います。
- 51 -
2
実 施 方針 の 策 定 及び公 表 段階
(1) 実施方 針策 定 の見 通し の公 表
当 該 年度 内 に 実 施方 針 の 策定 が 見 込ま れ る 場合 に は , 年 度当 初 にそ の見 通
し を 公表 します 。
事業所管課は,PFI事業に係る予算が計上されるなど,当該年度内に実施
方針の策定が 見込まれる場合には,原則 ,4月1日(当該日におい て当該年度
の予算が成立 していない場合にあっては ,予算の成立日)以後遅滞 なく,実施
方 針 の策 定 の見 通し に 関して , 以下 の事項 を公 表し なけ ればな り ま せん。
また,公表に当たっては,県公報や記者発表,ホームページ等を利用して幅
広 く 公表 す るこ とが 必 要です 。
・
特 定 事 業の名 称 , 期間 及 び 概要
・
公 共 施 設等の 立 地
・
実 施 方 針を策 定 す る時 期
- 52 -
(2) PFI アド バ イザ ーの 選定
P F Iを 推 進 す る上 で , 財務 面 , 法務 面 及 び技 術 面 で の 専門 知 識や ノウ ハ
ウ を 有す る民間 の アド バイ ザ ー を選 定 し ,活用 す る こと が 必 要で す 。
ア PFI事業を行う場合には,事業全般に関して財務・法務・技術等の専門知識やノ
ウハウが必要とされ,県職員が有する従来の知識のみでは不十分な点が生じてきます。
また,PFI事業の魅力を高めて民間事業者の参入意欲を促すための工夫も必要であ
り,この点からも専門的な知識やノウハウを有する民間のアドバイザーを活用し,的
確な助言を受けつつ,一連の作業を行います。
イ
このため,事業所管課はPFI導入の意思決定をした事業について,PFI事業の
手続きを円滑に進めていくために,PFIアドバイザー委託費用などの必要な経費に
ついて,予算を確保する必要があります。
ウ
アドバイザーには,財務・法務・技術等の各分野の知識やノウハウを総合
的 に提 供 で きる業 者 ( 総合 ア ド バイザ ー ) を選定 す る必要 があ り ま す。
エ
アドバイザーの選定方法については,プロポーザル方式(随意契約)で選定するケ
ースが多くなっています。また,効率性の観点から,可能性調査の委託業者を選定す
ることも可能です。
オ また,県と契約したアドバイザーが,当該事業に応募又は参画する民間事業者のア
ドバイザーになることは,利益相反の観点から認められません。
なお,アドバイザーの関係企業等が当該事業に関する一切の情報提供等が行われな
いよう秘密保持や公平性が担保できるように契約書で定めるなどの措置を講じる必要
があります。
【 一般 的 な ア ドバ イ ザ ーの 体 制 】
鹿 児 島県
( 事 業所 管 課 )
契
約
総 合 アド バ イザー
( プ ロジェ ク ト ・マ ネ ジメ ント )
フ ァ イナン シャ ル
ア ド バイザ ー
(財務 面 )
リ ー ガ ル
アドバ イザ ー
(法 務 面)
- 53 -
テ クニ カ ル
アド バ イザー
( 技術 面 )
【 県 とアド バ イ ザーの 役割 分担 につ い て 】
作
業
項
目
1 実 施 方 針の策 定
① 実 施 方 針の 策 定
② 実 施 方 針の 公 表
2 特 定 事 業の選 定
① 特 定 事 業の 選 定 の検討
・ 適 性評 価
・ 民 間参 加意向 の 市場 調査
・ V FM の試算 ( PS Cの 算 定 ,リ ス ク 調整等 )
・ 官 民リ スク分 担 整理
・ 関 連法 令の確 認
② 結 果 の 公表
3 入 札 説 明書の 検 討
① 入 札 説 明書 の 作 成
・ 入 札説 明書の 検 討事 項
・ 要 求水 準書の 検 討事 項( 施 設 ,サ ー ビ ス条件 等 )
・条件項目の整理(事業期間,料金,公共と民間の
責 任 分担, 公共 支援 , 変更 可 能な範 囲 など )
・ 最 低限 の制約 条 件, 事業 環 境 に関 す る 情報
・ 関 連法 令のチ ェ ック
② 資 金 調 達ス キ ー ムの検 討
③ Q & A の作 成
4 事 業 者 の選定
① 落 札 者 決定 基 準 (審査 基 準 )の作 成
・ 評 価基 準,配 点 の検 討
・ 審 査フ ォーマ ッ トの 作成
② 事 前 資 格審 査 ( 登録)
・ デ ータ の集計
③ 審査
・ 事 業の 妥当性 評 価
・ V FM 評価
④ 事 業 者 の選 定
⑤ 事 業 者 の選 定 に 係る評 価 の 公表
5 契 約 の 締結
① 契 約 書 の作 成
・ 契 約内 容の整 理
・ 関 連法 令の確 認
② 契約交渉
③ 契 約 の 議決
- 54 -
県
アドバイザー
検討 ・策 定
公表
案 の作 成
−
検 討 ・承 認
案の作 成
公表
−
検 討 ・承認
案 の作 成
検討 ・承 認
検討 ・承 認
案 の作 成
案 の作 成
検 討 ・承 認
案の作 成
審査
−
検 討 ・承 認
案の作 成
検討 ・選 定
公表
−
−
検 討 ・承 認
案の作 成
交渉
議決
交 渉随 行
−
(3) 実施方 針案 の 作成
P F Iの 事 業 内 容や 民 間 事業 者 の 募集 方 法 など を 定 め た 実施 方 針の 案を 作
成 し ます 。
事業所管課は,ア ドバイザーに委託し,当初段階 で実施したPFI導入可 能
性調査を踏ま え,より精査された導入の 可能性検討(事業スキーム の構築,V
FMの検証・ 評価,民間事業者の参入意 向調査の実施等)を行い, 実施方針案
や 募 集要 項 案等 の作 成 手続き を 進め ます。
な お , 作 業 的 に 困 難 で す が , こ の 段 階 で , 実 施 方 針 案 等 以 外 に ,「 入 札 説 明
書 」,「 要 求 水 準 書 」,「 落 札 者 決 定 基 準 」,「 契約 書 案 」 ま で 作 成 で き て い るこ と
が 理 想的 で す。
( 理 由)
①
これらを早い段階で作成し,オープンにしておくことで,民間事業者の
ノウハウや意向等を反映しやすく,早い段階で実施方針等の修正が可能と
なる。
②
民間事業者にとって,早い段階で全体像が把握しやすく,参入意欲を高
めるこ と に つなが る。(事業 者 に対す る イ ンセ ン テ ィブ効 果)
③
事業の枠組みは全て契約書に凝縮されることから,契約書案を早い段階
で作成しておくことで,事業所管課をはじめとする公共側のレベルが上が
り,そ の 後 の事務 手 続きが ス ム ーズ に い き やす い 。
ア
実施 方 針
県がPFI事業の導入を進めようとする場合に策定し,その事業内容や募
集方法などについて,できるだけ具体的に公表し,事業を進める意思表示を
行 うも の で す。
イ
入札 説 明書
事業の概要,民間事業者の選定など民間事業者の募集に当たっての基本的
事 項に つ い て示し た も ので す 。
ウ
要求 水 準書
県が施設やサービスの具体的な要求水準を示すものであり,民間事業者の
ノ ウハ ウ を 生かす た め 性能 発 注 の形を と り ます。
エ
落札 者 決定 基準
要求水準書等で示した内容や価格等を評価項目として設定し,民間事業者
か らの 提 案 書を採 点 す る基 準 を 示した も の です。
オ
契約 書 案
PFI事業に係る責任とリスクの分担その他契約の当事者の権利義務を定
め るも の で す。
なお,公募型プロポーザル方式の場合は,民間事業者の提案内容に応じて
契約交渉が行われるため,契約書案より内容が粗い「条件規定書」という形
で 作成 さ れ ます。
- 55 -
※
V E 提 案の活 用
県が基本設計及び 実施設計まで行ったもの をPFI事業として実施 する場合
に は ,V E ( Value Engineering:バ リ ュ ー・ エ ン ジニ ア リ ング ) 提 案 を活用 す
る方法 が あ りま す 。
VE提案とは,県 が提案した基本設計及び 実施設計に対して,民間 事業者が
施設の機能,性能等 を低下させることなく, コストを引き下げる技術 的な改善
提案を行うもので, 民間が有する技術力の一 層の活用と,その技術力 の活用に
より, さ ら なる コ ス トの削 減 を 図るこ とが 可能 と な ります 。
VE提案を募集す るに当たっては,実施方 針の中にVE提案に係る 項目を盛
り込む と と もに , 次 に示す 「 V E提案 要領 」を 別 途 策定し ます 。
【 V E提案 要 領 の記 載 項目 例 】
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
総 則 ( VE提 案 の 目的 な ど )
V E 提 案に関 す る スケ ジ ュ ール
V E 提 案の範 囲
V E 提 案に関 す る 質問 及 び 回答方 法
V E 提 案書の 提 出 方法
V E 提 案の審 査 方 法
審 査 結 果の通 知 方 法
V E 提 案(民 間 事 業者 の 技 術力, 創 意 工夫等 ) の保護
V E 提 案に係 る 費 用負 担
基 本 設 計及び 実 施 設計 の 品 質に関 す る 責任の 所 在
V E 提 案が実 施 で きな い 場 合の処 理
設 計 図 書に関 す る 著作 権 の 所在
- 56 -
【 実施 方 針 に 記載 す る 主な 内 容 】
事
項
内
容
1 特定事業の選
定に関する事項
①
②
③
④
⑤
事業名称,事業目的,事業内容
事業費用の負担
事業の範囲及び事業方式,事業期間,事業スケジュール
事業に関係する根拠法令,規則,許認可事項等
特定事業の選定・公表に関する事項(選定方法,選定基準)
2
①
②
③
募集方法(総合評価一般競争入札等)及び選定スケジュール
応募者の備えるべき参加資格要件,提出書類
審査及び選定に関する事項
3
①
②
4
①
②
施設の立地条件(敷地面積,用途地域・地区の状況)
土地の取得,設計要件,建物・外構計画
5
①
②
協 議方 法
紛 争の 際 の 地方 裁 判所
6
①
7
①
②
事 業者 の 法 的立 場 ,税制 上 の 措 置
国 ,県 , 公 的金 融 機関な ど の 補 助金 , 融資等 の 支 援制度
8
①
②
質 問事 項 受 付窓 口 ,知的 所 有 権 の配 慮 等
VE提案を募集する場合のその方法(基本設計及び実施
設計ま で 事 業内容 を 示した 場 合 など)
民間事業者の
募集及び選定に
関する事項
民間事業者の
責任の明確化等
事業の適正かつ
確実な実施の確
保に関する事項
公共施設等の
立地並びに規模
及び配置に関す
る事項
事業契約 等 の
解釈について疑
義が生じた場合
における措置に
関する事項
事業の継続が
困難となった場
合における措置
に関する事項
法制上及び税
制上の措置並び
に財政上及び金
融上の支援に関
する事項
その他特定事
業の実施に関し
必要な事項
基本的な考え方
予想される設計,建設,維持管理・運営段階等各段階に
おける リ ス クと行 政 ・民間 で の 分担の 案
③ 事業の実施状況の確認及び監視(モニタリング)
困難となり得る具体的事由,当事者間の措置,金融機関
との協 議
② 契 約解 除 , 介入 , 事業引 継 等 の 方法
- 57 -
【入札 説明 書の記 載 項目例 】
1
2
3
4
5
6
7
8
入札説 明書 の 定義
事業の 概要
入札に 関す る 条件 及び スケ ジュ ー ル等
民間事 業者 の 選定
提案に 関す る 条件
リスク 分担 案
契約に 関す る 考え 方
提出書 類・ 作 成要 領 など
【要求 水準 書の記 載 項目例 】
1
2
3
4
5
6
基本方 針
選定事 業者 の 事業 範囲
施設・ 設備 整 備業 務概 要
維持管 理業 務 要求 水準
運営業 務要 求 水準
選定事 業者 の 提案 に基 づく 要求 水 準
など
【 落札 者 決 定 基準 の 記 載項 目 例 】
1
2
3
4
5
6
落札者 選定 基 準の 位置 付け
審査の 基本 方 針
審査方 法
審査の 手順
参加資 格
審査の 方法 など
【 契 約書案 の 記載 項 目 例】
1
2
3
4
5
6
7
8
9
総則
土地の 賃貸 借 に関 する 規定
設計・ 建設 に 関す る規 定
維持管 理, 運 営に 関す る規 定
サービ ス対 価 の支 払い に関 する 規 定
法令変 更に 関 する 規定
契約期 間及 び 契約 の終 了に 関す る 規定
不可抗 力に 関 する 規定
その他
- 58 -
(4) 審査委 員会 の 設置 ,開 催( 第1 回 )
事業所管課は,個別事業毎に「審査委員会」を設置し,「実施方針等の策定段
階」,「入札実施段階」,「事業者(落札者)選定段階」のそれぞれにおいて開催
し ,P F I事 業 者を 決 定し ま す。
ア
設置 の 必要 性
PFI事業の選定に当たっては,公平性及び透明性を確保するとともに,
長期間サービスの利用者となる県民に対する説明責任が強く求められます。
また,PFI事業は,民間事業者の技術やノウハウを生かすための性能発注
や設計,建設,維持管理及び運営までの一括発注方式が採られること,資金
調達面からの事業の実現性の検討が必要であることなど,審査に当たっては
各 分野 の 専 門性が 強 く 求め ら れ ます。
したがって,PFI事業の各分野の専門性を審査するために審査委員会の
設 置が 必 要 となり ま す 。
イ
事務 内 容
審査委員会は,実施方針等の策定,入札実施,事業者(落札者)選定のそ
れ ぞれ の 段 階にお い て 状況 に 応 じ複数 回 開 催し, 次 の事務 を行 い ま す。
また, こ れ らの段 階 以外で も 必 要に 応 じ 開 催し ま す 。
ウ
①
「 実 施 方針等 策 定段階 」
実 施 方針案 , 要 求水 準 書案 ,落 札 者 決定基 準案 ,契 約書 案 の 検討
②
「 入 札 実施段 階 」
選 考 方法, 要 求 水準 書 ,落 札者 決 定 基準, 契約 書の 最終 的 な 検討
③
「 事 業 者(落 札 者)選 定 段 階」
落 札 者決定 基 準 に基 づ き, 各民 間 事 業者の 入札 書の 審査 , 評 価
構成
審査委員会は,個々のPFI事業ごとに設置し,その都度委員の選任を行
います。委員は,技術,経営,法律,金融などの専門家,学識経験者及び県
職 員で 構 成 します 。
ま た ,総 合 評 価一 般 競 争入 札 に よ り 事業 者 を 選定 す る場合 に は, 学識 経 験
者 2 名 以 上 の 意 見聴 取 が 必要 で す (地 方 自 治 法 施行 令 第 167条 の10の 2 第 4項
及 び 同 施 行 規 則 第 12条 の 3 第 2 項 ) の で , あ ら か じ め 審 査 委 員 会 の 構 成 員 と
し て加 え ま す。
なお,他県の事例等をみた場合,審査委員会の構成については,公平性や
透明性を確保する観点から,外部委員(学識経験者を含む)が過半数を占め
るとともに,委員長(座長)も外部委員から選任されているケースが多くな
っ てい ま す 。
- 59 -
エ
審査 結 果の 公表
①
審査委員会として公表する事項,時期等は,審査委員会が自ら決定する
ものと し ま す。
②
事業者の選定が行われた時は,PFI法第11条の規定に基づき結果を公表する
必要があり,その際には,民間事業者の権利,競争上の地位その他正当な利益を
害するおそれのあるものを除き,審査委員会での審査の経過及び結果を公表する
ものとします。
③
審査委員会は非公開とし,審査委員は審査会の公平性,透明性を確保するため,
審査の過程において知り得た情報については,公表してはならないものとします。
④
審査委員会における審査の経過については,議事録を作成するものとします。
【留意事項】
・ 審査委員会委員の氏名等については,事前に公表すること。
・
審査委員会の位置付け及び審査委員会で審査する事項を明確にし,事前に公表
すること。
・
設計等の技術的評価の定量化を図り,各項目について複数の委員による評価を
行う等,評価の客観性を確保するような措置を講じること。
・
審査委員会で審査する事項のうち専門性の高いものについては,当該事項の専
門性を踏まえた審査委員を選定し,専門分野ごとに審査を行う等,事業の規模等
に応じ,当該事項の専門性にふさわしい審査のプロセスを確保すること。
・
・
審査委員会での審査に当たっては,十分な 時間的余裕を持って審査 でき
るよう配慮す ること。また,審査委員会の審査の効率性及び実効性を確保
するため,必 要に応じ提案の内容の要約版を応募者に提示させる等の工夫
を行うことと 。なお,要約版を応募者に提示させる場合は,その負担に配
慮 す るとと もに ,そ の 位置 付 けを明 確 にす るこ と 。
民間事業者の選定に対する意思決定の責任,説明責任は県にあること。
- 60 -
(5) 実施方 針等 の 策定 ・公 表
実 施 方針 を 策 定 ,公 表 し ,県 と し て, P F I事 業 を 推 進 する 意 思表 示を 行
い ま す。
事 業 所 管 課 は ,「 審 査 委 員 会 」 で の 意 見 等 を 踏 ま え て , 実 施 方 針 を 策 定 ・ 公
表 し ます 。
実施方針の策定・公表については,公平性及び透明性を確保するとともに,
民間事業者に 対する準備期間の提供や当 該事業に関する意見招請, 県民等への
周知に資する ため,当該事業に関する情 報が早くかつ広く周知され るよう,で
き る 限り 早 い段 階で 行 うこと が 重要 です。
また,実施方針については,県公報や記者発表,ホームページ等を利用して
幅 広 く公 表 する こと が 必要で す 。
さらに,国等の関係機関(内閣府民間資金等活用事業推進室,総務省,自治
体 P FI 推 進セ ンタ ー 等)へ も 実施 方針を 策定 した 旨を 報告し ま す 。
なお,入札公告の際に必要となる要求水準書や契約書案などは,民間事業者
が提案内容を 検討する上で,非常に重要 なものであることから,で きる限り実
施方針の公表 に併せて公表し,民間事業 者からの意見を聴取するの が望ましい
です。
- 61 -
(6) 説明会 の実 施 ,質 問受 付・ 回答 , 意見 招 請
実 施 方針 等 に つ いて , 説 明会 を 開 催し , 民 間事 業 者 へ の 周知 に 努め ると と
も に ,質 問 を 受 け付 け , 疑 問点 を 解 消し , ま た, 事 業 に 関 する 意 見を 招請 し
ます。
ア
説 明 会 の実施
当該事業に関心のある民間事業者に対し,事業について の理解を深める
ため, 実 施 方針に つ いての 説 明 会を 開 催 し ます 。
イ
実 施 方 針等に 対 す る質 問 受 付・回 答
実施方針に記載した事業内容や公募方法について,民間 事業者の疑問点
を解消 す る ための 質 問を受 け 付 けま す 。
この場合,実施方針の公表から質問受付及び締切までの 期間は,民間事
業者が 十 分 に検討 で きるよ う 配 慮し な け れ ばな り ま せん 。
なお,回答は,その公平性・透明性を確保するため,全 て書面により行
い,その内容は民間事業者の独自のノウハウに係る事項を除いて,原則と
して全 て の 民間事 業 者に公 開 し ます 。
また,要求水準書などの案も併せて公表した場合には, 同様に質問を受
け付け る こ とにな り ます。
ウ
意見招請
質問への回答後,民間事業者から事業に対する意見を招 請し,必要に応
じ,特定事業の選定・民間事業者の募集に反映することが適当です。この
ため,民間事業者から適切な意見が受けられるよう,質問回答から十分な
期間を お い て実施 し ます。
民間事業者からの意見を参考にして,実施方針の詳細化 や見直しを検討
します 。 実 施方針 を 変更し た 場 合は 速 や か に公 表 し ます 。
【留意事項】
質問・回答は,実施方針等に対する民間事業者の疑問点解消のために行
うもので,意 見招請とは異なり,民間事業者側の意見を求める手続きでは
あ り ません 。
- 62 -
3
事 業 選定 段 階
(1) 特定事 業の 評 価・ 選定 ,公 表
P F I事業 とし て実 施 する こ とを, 県 とし て正 式 に決定 し ,公 表し ま す。
ア
「特定事業の評価」とは,当該事業をPFI事業として実施することにより,公共
施設等の設計,建設,維持管理及び運営等が効率的かつ効果的に実施できるかを判
断すること(VFMによる評価)であり,「特定事業の選定」とは,PFI事業とし
て実施することを県として意思決定することです。
なお,平成17年8月のPFI法の改正により,特定事業の選定に当たっては,
安全性を確保しつつ,国民に対するサービスの提供における行政のかかわり方の改
革,民間の事業機会の創出その他の成果がもたらされるよう,配慮することが規定
されました。
イ
VFMの評価は,特定事業の選定に当たっては必ず行わなければなりません。この
評価は,PFI導入可能性調査時に行ったVFMの算定・評価について,より詳細
な精度の高いデータ等を使用して定量的,定性的に行います。
ウ
VFMの定量的評価と定性的評価をもとに特定事業の選定を行ったときは,その判
断の結果及びVFM評価の内容を速やかに公表することが必要です。また,事業の
評価の結果,特定事業としての選定を行わないとした場合も公表を行うことが必要
です。
なお,公表に際して,県が従来方式で実施する場合の県の財政負担額(PSC)と
PFI事業で実施する場合のコスト(LCC)を公表することにより,その後の入
札等において正当な競争が阻害されるおそれがある場合等においては,PSCとP
FI事業のLCCの差額又は割合の見込みのみを示すことも可能です。
【 VF M評 価 の手 順 】
①
②
前
提
条
件
の
県が 従 来 方式 で 実 施 す る 場
合 の コス ト(P S C) の算 定
[ 定 量的 評 価 ]
③
整
理
P F I 事 業で 実 施 す る 場 合
の コス ト ( LC C ) の算 定
[ 定量 的評 価]
④
現 在価 値 換 算し た 県の負 担 額 の 比較
⑤
民 間事 業 者 へ移 転 するリ ス ク 調 整を
加えた 県 の 負担額 の 変化
⑥
P FI 事 業 のサ ー ビス水 準 の 比 較
[ 定性 的 評 価]
⑦
総
合
評
- 63 -
価
V F M評価 の手 順 は次 のと おり です 。
①
前提条件の整理
・ 施設等の事業規模,事業方式の検討(BOT,BTO等),さらに民間事業者に
行わせる業務の範囲等,事業の前提条件を検討し,事業スキームを設定します。
・ VFMの算定に当たっては,事業の前提条件を可能な限り実態に近づけることが
必要ですが,民間事業者の応札価格や事業の将来を予測することは極めて困難であ
り,実際には既存の類似公共施設の実情等を参考に,当該事業特有の要素を考慮し
て条件を設定することとなります。この場合の前提条件は,様々な状況を想定し,
条件を変えて何度もシミュレーションを行う必要があります。
【VFMが大きく増減する可能性がある主な条件例】
・民間事業者の事業範囲,官民のリスク分担
・事業期間
・コスト削減率
・国庫補助負担金等の適用条件
・起債の条件
・固定資産税等の税金の取扱い
・SPCの調達金利条件・資本金比率・収益性条件
・設定割引率
②
PSCの算定
【算定の前提条件】
PSCの算定に当たっては,当該事業を県が自ら実施する場合に採用すると
考えられる事業形態等を想定して算定します。すなわち,事業の一部請負や委
託等を実施する場合には,その事業形態を想定して算定します。
【算定方法】
設計,建設,維持管理,運営の各段階ごとに,県が自ら実施する場合に採用
する事業形態に基づき経費を積み上げます。
各段階ごとの経費の積み上げには,事業そのものに直接必要となる経費(直
接コスト)と,その事業の実施に必要な企画段階及び事業期間中における県の
人件費や事務費などの間接的に必要な経費(間接コスト)を計上します。この
際の間接コストについては合理的に計算できる範囲で算入します。
- 64 -
項
目
支 設計費,建設費
出
項 維持管理費,運営費
目 支払利息
その他
収 事業収入
入 補助金等
項 調達資金
目
③
【PSCの構成要素】
内
容
・従来型の設計施工分離方式を前提とした場合に使用す
るであろう工法,標準工期での積算,予定価格ベース
で経費を算出
・設計,工事進捗に関わる県の人件費,事務費等の間接
コストも合理的に計算できる範囲で算入
・類似施設の実績等を参考に経費を算出
・維持管理,運営に関わる県の人件費,事務費等の間接
コストも,合理的に計算できる範囲で算入
・設計,建設に必要な資金を地方債により調達する場合
は,支払利息を算出
・その他必要な経費を算出
・利用者から徴収する施設利用料金等
・ 建 設, 維持管 理, 運営に 関 する国 庫 補 助負担 金 等
・地方債等(元本)
PFI事業のLCCの算定
【算定の前提条件】
PFI事業のLCCの算定に当たっては,民間事業者が,公共施設等の設計・
建設・維持管理・運営の段階全てを一元的に推進する事業を想定します。
なお,PFI事業がこれらの段階全てを含まない事業である場合は,当該PF
I事業に含まれる段階の全てを一元的に推進する事業を想定して算定します。
【算定方法】
各段階ごとに,民間事業者が当該事業を行う場合の費用について,各年度ごと
の民間事業者の損益計画,資金収支計画等を想定します。
想定に当たっては,民間アドバイザー等の活用や,類似事業に関する実態調査
や市場調査等を実施して算出根拠を明確にします。
その際,民間事業者の利益,配当を適正に勘案して織り込むことが必要です。
なお,PFI事業のLCCを算定する場合においても,PSCを算定する場合
に準じて,間接コストを算入することが適当です。
民間事業者による附帯的施設が想定される場合であっても,原則として本来県
が必要とする施設(事業)のみを想定します。ただし,実施方針において,その
内容が具体的に示されている場合は,当該附帯的施設を含めて全体事業費を計上
した上で,本来の公共施設に相当する部分を取り出して,PFI事業のLCCを
算定することも差し支えありません。
- 65 -
【PFI事業における民間事業者の収支構成要素】
項
目
内
容
設計費,建設費
・類似施設に関する調査やアドバイザーの活用等を行い,
支
算出根拠を明確にした上で,経費を算出
維持管理費,運営費 ・類似施設に関する調査やアドバイザーの活用等を行い,
出
算出根拠を明確にした上で,経費を算出
減価償却費
・建物,設備等の資産の種類ごとに減価償却費を算出
項 支払利息
・建物,設備等の施工に必要な資金について,実現可能
な借入金の金利及び返済期間を見込み,支払利息を算
目
出
その他
・その他必要な経費を算出
収 事業収入
・県からのサービス購入対価,利用者から徴収する施設
入
利用料金等
項 補助金等
・ 建 設,維 持管 理, 運 営に 関す る県 補助 金 等
目 調達資金
・出資金,借入金等
※ こ の 外 に , 県 が 直 接 的 に 自 ら 支 出 す る 費 用 (ア ド バ イ ザ ー 費 用 等 )が あ る
ことに 留 意 する必 要 があり ま す 。
【適切な調整の実施について】
前述の②,③については,現行制度に基づく調整を基本として「適切な調整」を実施
します。具体的には,実施するPFI事業に対し,財政上・金融上の支援が県の財政負
担によって行われることが確実に見込まれる場合には,PFI事業のLCCにその額を
加えます。また,PSC,PFI事業のLCCの算定に当たり前提とした事業のそれぞ
れについて,民間事業者からの税収その他で県に納付されるものについては,県の財政
負担額から控除します。
④
現在 価 値換 算し た 県の負 担 額の 比較
・ PSCとPFI事業のLCCを比較する際は,現在価値に換算して県の財政負担
額を比較することが必要です。
・ 現在価値への換算とは,貨幣価値は,時間とともに変化する(通常は低下する)
ことを前提として,将来の支出や収入を現在の貨幣価値に換算することです。例え
ば,1年間の金利が1%であれば,現在の100億円は銀行に預けておけば,1年
後には101億円になります。したがって,現在の100億円の収入と1年後の
101億円の収入は同じ価値とみることができます。よって,1年後の101億円
は現在価値では100億円となります。また,その際の金利に相当する率を「割引
率」と言います。
例:事業後n年後のa円を割引率r(年率)で現在価値に換算する場合
n
(a円の)現在価値 =a円/(1+r)
※ 割引率については,実際には,国土交通省が平成11年3月に策定した「 社 会
資 本 整備 に 係 る費 用 対 効果 分 析 に関 す る 統 一的 運 用 指 針 」に 従 い 社会 資 本
割 引 率 の 「 4 % 」を 用 い る こと が 多 い で すが , 長期国債利回りの過去の平均
や長期的見通し等のリスクフリーレートにインフレ率(消費者物価指数)を加え
た率を用いるなど,適正な率を求めることが必要です。
- 66 -
・
⑤
なお,現在価値換算前ではPSCの額の方が低く,現在価値に換算する
とPFI事のLCCの額がPSCの額を下回ることになるケースでは,割
引率の設定条件が特定事業選定の大きな決め手となるので,こうしたケー
スの場 合 は 慎重な 取 扱が必 要 で す。
リスク調整とこれを加えた県負担額の比較
【リスク調整と定量的VFM評価について】
リスク 調 整 につい て は,主 な 民 間へ の 移 転 リス ク と して , 建設 費 ,維 持
管 理費 の オ ーバー ラ ン リス ク , 資金調 達 リ スクな ど があり ます が , 現状で
は ,全 体 的 に,当 該 リ スク を 定 量化す る に 当たっ て ,統計 的に 充 分 なデー
タ が不 足 し ている と 言 われ て い ます。こ の ため,リ スク の定量 化 は,当面 ,
可 能な 限 り 行うこ と と しま す 。
以下に,リスク調整とこれを加えた県負担額の比較についての手順を示し
ま す。
【リスク調整の考え方】
一般的に,民間事業においては,事業に伴うあるリスクが事業者負担となって
いる場合,当該リスクを負担する代償として,それに見合う対価が事業コストに
含まれているとされています。したがって,PFI事業のLCCも,通常,PF
I事業で民間事業者が負担すると想定したリスクの対価を含むことになります。
こうしたリスクは,県が当該事業を自ら実施する場合には県が負うものであり,
これらに伴い金銭的な負担が発生した場合,その負担は県の負担となります。
PSCとPFI事業のLCCを比較する場合,上記のように,PFI事業のL
CCはPFI事業で民間事業者が負担すると想定したリスクの対価を含みますか
ら,PSCにおいても,それに対応するリスクを県が負うリスクとして計算し,
加えます。
【調整すべきリスクの特定】
リスクをPSCに算入する場合,まず,算入するリスクを特定します。実施方
針の策定段階で検討した各段階ごとのリスクについて,上記の考え方に基づいて,
PSCに算入すべきリスクを特定します。
【リスクの定量化】
PSCに算入するリスクの定量化とは,その事業を県が実施する場合に,県が
負うであろう金銭的負担の期待値であり,特定のリスクについて,それが発生し
たときに県が負うであろう財政負担と発生確率の積により期待値が算定され,そ
の期待値を現在価値で割り引くことによって定量化された数値として表されま
す。
得 ら れた 現 在 価 値の 定 量 化 リス ク を 前述 の ④ に加 え て 県 の 財政 負 担 額を
比 較し ま す 。
- 67 -
⑥
サービス水準の比較(定性的評価)
・ 公共サービスの評価についてできるだけ定量的に行い,客観性を確保した上で定
性的評価を行うこととなります。
・ なお,PSCとPFI事業のLCCに差が生じない場合は,明確な定量的指標で
評価できない成果にも配慮が必要です。なかでも,特に重要なサービス水準の他に,
デザイン,風土や環境への対応,高齢化社会への配慮等は重要な要素となります。
【 PF I に よ り 実 施 す るこ と の 定 性 的評 価 例 】
項
目
内
容
効率的な維持管理・
設 計 ・ 建 設 ・ 維 持管 理 ・ 運 営業 務 ま で を一 括 し て 民
運 営の 実 施
間 事 業者 に 任 せ るた め , 各 業務 毎 に 発 注す る 場 合 と比
較 し て効 率 化 が 図ら れ る と とも に , 民 間事 業 者 の 創意
工夫の 発 揮 によ る 運 営 の効 率 化 が期 待 でき ま す。
利用者ニーズに応じ
民 間 事 業 者 が 有 する 専 門 的 な知 識 や 技 術を 活 用 す る
た 低 廉 , 良 質 な サ ー こ と によ り , 利 用者 ニ ー ズ に応 じ た 低 廉で , 良 質 なサ
ビ スの 提 供
ービス の 提 供を 可 能 と する こ と が期 待 でき ま す。
リスク分担の明確化
事 業 の 計 画 段 階 にお い て あ らか じ め 発 生す る リ ス ク
に よ る 安 定 し た 事 業 を 想 定し , そ の 責任 分 担 を 公共 及 び 民 間事 業 者 の 間で
運営
明 確 にす る こ と によ り , 問 題発 生 時 に おけ る 適 切 かつ
迅 速 な対 応 が 可 能と な り , 業務 の 円 滑 な遂 行 や 安 定し
た事業 運 営 の確 保 が 期 待で き ま す。
⑦
総合評価
①∼⑥の流れを踏まえて,県が従来方式により実施する場合と,PFIによ
り 実 施す る 場合 とを 総 合的に 比 較評 価し, 判断 を行 いま す。
【留意事項】
・ V F M につい て は ,V F M に関 するガ イ ドラ イ ンを 参考に し ます 。
・
V F M に 関 する ガ イ ドラ イ ン では , V FM の 評 価 は その 時 点で 算定が 可 能 な
範 囲 で 極力 精 度 を確 保 す る よう 求 め る一 方 , 算定 に 多 大 な 労 力を か けす ぎ る こ
と の な いよ う 留 意を 促 し て いま す 。 特定 事 業 の選 定 時 点 で は ,V F Mが 達 成 し
得 る と いう 一 定 の予 測 が 得 られ る こ とで 良 し とし , 金 額 や 計 算方 法 の緻 密 さ の
追 求 に 走る よ り も, 事 業 の 魅力 を 確 保し , 民 間事 業 者 の 参 入 意欲 を 高め る こ と
へ の 更な る 工夫 等 へ の努力 の 方 が より 有 益とも い え る場合 も ありま す 。
・
リ ス ク に つ いて は , PF I 事 業に お け るリ ス ク 分 担 等に 関 する ガイド ラ イ ン
を 参 考に し ます 。
- 68 -
※
民間事業者の参入の可能性を判断する指標について
PFI事業への民間事業者の参入の可能性を判断する指標には,一般的に次のよ
うなものがあり,これらが一定の水準以上であることが必要です。同時に融資実行
する金融機関にとっても鍵を握る指標です。
□ IRR(Internal Rate of Return)=「内部収益率」
事 業 の採 算 性 を評 価 す るた め に よく 使 わ れ る 指標 。 投資 が生み 出 す キ
ャ ッ シュ フ ロ ーの 現 在 価値 が , 投資 額 す な わち キ ャ ッ シュ ア ウト フ ロー
の 現 在価 値 に 等し く な る割 引 率 のこ と 。 資 金調 達 コ ス トを 上 回る 必 要が
あ り ます 。
Σ (投 資 額 /(1+r)(n − 1 )) =
Σ ( n事業 年 度 のキャ ッシ ュフ ロ ー /(1+r)(n− 1 ))
※ n は 各 事業年 度
上 記 の 場合 に お いて ,r を I RR ( 内部 収益率 ) とす る。
□ EIRR(Equity Internal Rate of Return)=「自己資本内部収益率」
出 資 者が 事 業 に出 資 す るか ど う かの 判 断 指 標 で, 出 資に 対する 採 算 性
を 示 すも の 。 元利 金 返 済後 , 配 当前 の キ ャ ッシ ュ フ ロ ーを キ ャッ シ ュイ
ン フ ロー と し ,出 資 金 をキ ャ ッ シュ ア ウ ト フロ ー と し て, 投 資金 額 に対
し て 将来 受 け 取る キ ャ ッシ ュ が 年利 回 り に 換算 し て ど れく ら いに な るの
か を 示す も の 。一 般 的 に, 6 ∼ 10% 程 度 な いし は そ れ 以上 と する こ とが
多い。
□ DSCR(Debt Service Coverage Ratio)=いわゆる「元利金返済余裕率」
事 業 から 生 み 出さ れ る 毎年 度 の キャ ッ シ ュ フ ロー が 元利 金を返 済 す る
の に 充分 な 水 準か ど う かを 判 断 する 指 標 で あり , 金 融 機関 が 融資 を 決め
る 際 , 重 視 さ れ る も の 。 1.0を 下 回 る 年 度 は , 当 該 年 度 に 想 定 さ れ る 元
利 金 返済 前 の キャ ッ シ ュフ ロ ー だけ で は , 元利 金 の 返 済が で きな い こと
に な りま す 。 一般 的 に ,1.0∼1.2程 度以 上 が多 いと され てい ま す。
D SC R = (返済 前 キ ャッシ ュ フロー ) /( 借 入金償 還 )
□ LLCR(Loan Life Coverage Ratio)
借 入 期間 に わ たる 元 利 金返 済 前 キャ ッ シ ュ フ ロー の 現在 価値が , 借 入
元 本 の何 倍 に 相当 す る かを 示 す 指標 。 元 利 金返 済 前 キ ャッ シ ュフ ロ ーと
は , 事業 に よ って 生 み 出さ れ る 収入 か ら 各 種費 用 及 び 税金 等 を差 し 引い
た 後 のキ ャ ッ シュ フ ロ ー( 資 金 の流 出 入 ) であ り , 借 入金 の 元利 金 の返
済 に 充て ら れ る も の。 事 業 会 社の 返 済 能 力 を分 析 す る 指標 と し て , DS
CRとともに用いられます。1.0を 下 回 る 場 合 は , 元利 金 返 済 前キ ャ ッシ ュ
フ ロ ーだ け で は,借 り 入れ てい る元 本 の返 済が でき ない こ と となり ま す。
一 般 的に , 1.0∼ 1.2程 度以 上が 多い とさ れ てい ます 。
L L CR =Σ (元 利 金返 済 前キャ ッ シュ フロ ー の現 在 価 値)/借入 元 本
- 69 -
(2) 議会の 議決 ( 債務 負担 行為 の設 定 )
P F I事 業 は , 複数 年 度 にわ た る こと か ら ,事 業 期 間 全 体の 総 事業 費に つ
い て ,議 会の議 決 を得 て, 債 務 負担 行 為 を設定 す る 必要 が あ りま す 。
ア
債 務負 担 行 為 と は , 地 方自 治 法 第214条 「 歳出 予 算 の金 額 , 継 続 費 の 総額 又
は繰越明許費の金額の範囲内におけるものを除くほか,普通地方公共団体が
債務を負担する行為をするには,予算で債務負担行為として定めておかなけ
ればならない」の規定に従い,複数年にわたる債務の履行に関して,その期
限 と限 度 を 予算で 定 め て議 会 の 議決を 得 る ことを い います 。
イ
PFI事業は複数年契約になるため,予算で債務負担行為を設定する必要があり,
議会の議決が必要です。
ウ
債務負担行為の限度額は,特定事業のVFM評価により得られた,建物等の設計,
建設,維持管理,運営に関する費用の総額,つまり県がPFI事業者に支払う見込
の総額となり,現在価値に割り引く前の実際の支払い予定額です。
エ
債務負担行為の期間は,PFI事業の契約期間です。
※
債務負担行為の設定期間について
国 の 債 務 負 担 行 為 は 財 政 法 第 15条 の 規 定 に よ り 5 年 以 内 と さ れ て い ま す
が , P F I 事 業 に つ い て は , P F I 法 第 68条 の 規 定 に よ り , 30か 年 度 が 上
限 と されて いま す。地方 自 治 法に は 上 限の規 定 は あり ま せ んが,実 際に は,
地 方 自 治 体 の 債 務 負 担 行 為 に つ い て も , 国 の 上 限 に な ら い 30年 を 超 え る 期
間 を 設定す るこ とは な いよ う です。
【留意事項】
・ 総合評価一般競争入札の場合,債務負担行為は入札公告前に設定する必要があ
ります。(プロポーザル方式の場合は,事業者選定後,契約締結までに債務負担行
為を設定します。)
・
債務負担行為については,債務負担行為を設定した年度内にその債務の原因と
なる契約手続きを完了させる必要があります。当該年度内に契約手続きが完了し
ない場合には,次年度に再度債務負担行為を行う必要があります。
・
PFI法に基づいて設定される債務負担行為は,効率的かつ効果的な公共施設
等の整備のために設定されるものであり,「もっぱら財源調達の手段して設定する
債務負担行為」
(昭和47年自治導第139号)には該当しないと解されています。
しかし,この場合においても,財政の健全性を確保する必要があるため,PF
I事業における債務負担行為に係る支出のうち,施設整備費や用地取得費に相当
するもの等公債費に準ずるものは,起債制限比率の計算の対象となります。(「 民
間 資 金 等 の 活 用 に よ る 公 共 施 設 等 の 整 備 等 の 促 進 に 関 す る 法 律 ( 平 成 11年
法 律 第117号) に 基 づい て 地方 公共 団 体 が実 施 す る事 業 に 係 る 地方 財 政 措 置
に つ いて」 平成12年3月29日付け自治画第67号自治省財政局長通知)
- 70 -
4
民 間事 業 者 の 募集 ・ 選 定段 階
(1) 審査 委 員 会 の開 催 ( 第2 回 )
審 査 委 員 会 を 開 催し , 入 札 説明 書 , 要 求 水準 書 , 落 札者 決 定 基 準, 契 約 書
案 の 内容 を 確 定す る と とも に , 民間 事業 者 の選 定 方 法 を 決定 し ま す 。
ア
PF I 事 業者 選 定 の考 え 方
PFI事業者の公募や選定に当たっては,地方自治法等の現行法制度に従
う ほ か, 次 の 事項 に 留 意し て 実 施す る 必 要 があ り ま す 。
なお,選定に当たって,民間事業者の有する技術及び経営資源,その創意
工夫等が十 分に発 揮され,低廉かつ良好なサービスが 国民に対して提供され
るよう,原 則とし て価格及び国民に提供されるサービ スのその他の条件によ
り評価を行 うもの とすることが,平成17年8月のP FI法改正により新た
に 規 定さ れ ま した 。
①
「 公 平 性 の 原 則 」 に 従 い , 競 争 性 を 担 保 し つ つ ,「 透 明 性 の 原 則 」 に 基
づ き ,手 続 の 透明 性 を 確保 し た 上で 実 施 す る こと 。
②
できる 限り民 間事業者の創意工夫が発揮されるよ う,サービスの水準を
必要な限度で示し,具体的な仕様は必要最小限にとどめる,いわゆる「性
能 発 注」 と す るこ と 。
なお,事業により,意匠の ような定性的な評価項目を重視する必 要があ
る場合には,当該評価項目に係る部分のみを事前に公募等により決定した
上 で ,こ れ を 仕様 と し て提 示 し て行 う こ と も 考え ら れ ま す。
③
民間事 業者の 提案準備期間や契約締結に要する期 間などを,十分確保で
き る よう 配 慮 する こ と 。
④
応 募 す る 民 間 事 業 者 の 負 担 軽 減 に 配 慮 す る こ と 。( 場 合 に よ り , 一 定 の
コ ン ペ料 等 を 支払 っ た り, 多 段 階選 抜 を 実 施 する な ど )
- 71 -
イ
選定 方 式
PFI法第8条第1項によれば,PFI事業者の選定方法は,公募の方法
等により行 うこと が原則とされており,以下のような 方式が考えられます。
①
総合 評 価 一般 競 争 入札
地方自治法等の規定に基づき,競争性のある随意契約を採用する必要が
認 め られ な い 場合 , 一 般競 争 入 札に よ る 事 業 者選 定 を 行 いま す 。
一般競争入札においては,民間事業者の有する技術及び経営資源,その
創意工夫等が十分発揮され,低廉かつ良好なサービスが提供されるよう,
価格及びサービスの質その他の条件により選定を行う,いわゆる総合評価
一 般 競争 入 札 方式 を 原 則と し ま す。
その際,民間事業者との意思の疎通を図るための質問・回答等(対話)
や,技術提案制度により,民間ノウハウの更なる活用を図る必要がありま
す。
※
対話について
P F I事 業 は ,公 共 施 設 の 管 理者 等 ( 発 注者 ) が サ ー ビス 水 準 を 要求
水 準 書と し て 規定 し , 具 体 的な 仕 様 は 民 間事 業 者 ( 受注 者 ) が 個 別に 提
案 す るい わ ゆ る性 能 発 注 で ある た め , 民 間事 業 者 の 提案 に は 幅 が 生じ る
可 能 性が あ り ます 。
こ の ため , 公 共施 設 の 管 理 者 等は 民 間 事 業者 に 対 し て ニー ズ を 明 確に
伝 え ,応 募 者 から ニ ー ズ に あっ た 提 案 が 提出 さ れ る ため の 工 夫 を する こ
と が 求め ら れ るこ と か ら , 実施 方 針 公 表 以降 に お い て, 入 札 又 は 公募 の
際 の 判断 材 料 とな る 事 項に つ い て, 対 話 を 行 うこ と が重 要 とな り ま す。
※
技術提案制度について
入 札 段階 に お いて , で き る 限 り民 間 事 業 者の 創 意 工 夫 が発 揮 さ れ るよ
う ,「 公 共 工 事 の 品 質 確 保 の 促 進 に 関 す る 法 律 」 に 規 定 さ れ て い る 技 術
提 案 制度 が , PF I 事 業に も 適 用さ れ ま す 。
- 72 -
②
競争 性 の ある 随 意 契約 ( 公 募型 プ ロ ポ ーザ ル 方 式 等 )
県のみでは,事業目的やニーズを満たすことのできる手法や要求水準等
を設定することが困難であるため,事業スキーム,資金調達スキーム,運
営方法等多面的な観点から幅広い提案を求める必要があり,かつ,地方自
治法等の規定により,随意契約によることができる場合については,企画
競争,公募型プロポーザル等いわゆる競争性のある随意契約によることが
考 え られ ま す 。
公 募 型プ ロ ポ ーザ ル は ,公 募 によ っ て ,民 間 事 業 者 から 提 案 書 を募 集 し ,
あらかじめ示した評価基準に従って優秀提案書を選定し,その提案書の提
出 者 との 間 で 交渉 を 行 い, 契 約 を締 結 す る も ので す 。
この方式によるメリットとしては,入札方式の場合には,落札後,民間
事業者は,提案書等の変更ができないのに対し,この方式では,民間事業
者 を 決 定 し た 後 も , 変 更 が 可 能 と な る こ と で す 。( 県 の 要 求 水 準 書 等 に つ
い て も変 更 可 能)
なお,県はWTO政府調達協定の適用団体であることから,随意契約の
可 能 な 範 囲 が ,「 地 方 公 共 団 体 の 物 品 等 又 は 特 定 役 務 の 調 達 手 続 き の 特 例
を 定 める 政 令 」 第 10条 第 1 項に 規 定 さ れて い る ほ か, 地 方 自 治法 施 行 令第 1
67条 の2 第 1 項各 号 の いず れ か の要 件 を 満 た すも の で な けれ ば な りま せ ん 。
そこで,競争性のある随意契約によることとした場合であっても,本指
針で示す基本的考え方や手順等を踏まえ,審査委員会による審査を行うな
ど , 透明 性 , 公平 性 , 客観 性 の 確保 に 努 め な けれ ば な り ませ ん 。
※
競争的対話方式について
要 求 水準 等 の 作成( 調 整)の ため ,事 業ス キ ー ム,資金 調 達 ス キー ム ,
運 営 方法 等 多 面的 な 観 点 か ら幅 広 い 提 案 を求 め る 必 要が あ る 場 合 ,競 争
的 対 話方 式 の 活用 が 考 えら れ ま す。具 体的 には次 の 3 点 が考 え ら れ ます 。
① 公共施設の管理者等が民間事業者と提案内容の確認・交渉を行
い , その 結 果 に基 づ き 要求 水準 書 等を 作 成 ( 調 整)
② ①の 対 話 終了 後 , 提案 書 の 提出 を要 請
③ 必要 に 応 じ, 対 話 参加 者 の 絞り 込み ( 3 者程 度)
【留意事項】
P F I 事 業 者 の選 定 方 法 につ い て は , PF I 事 業 実施 プ ロ セ ス に関 す
る ガ イド ラ イ ンを 参 考 にし ま す 。
- 73 -
【 総 合評価 一般 競争 入 札と 公募 型プ ロポー ザ ル 方式 の比 較 】
項
契 約 形態
目
総 合 評価 一般 競 争 入札
「 競 争入 札 」
(評価の最も高い事業提案
を行った者を落札者とす
る 。)
変 更 不可
性能仕様が容易で,サー
ビスの内容等が定期的なも
の
評 価 項目 ごとに 数 値化
落札者選定基準の策定,
公表
公 募型プ ロ ポ ーザ ル 方式
「 随意 契 約 」
(評価の最も高い事業提案
を行った者を優先交渉権者
と する 。)
入 札 公告時 の条 件
変更の 余 地あ り
適 し た分野
性能仕様が困難で,サー
ビスの内容等が変動的なも
の
評 価 基準
評価項目ごとに数値化で
きない 項目 があ っ て も可
(ただし,全て数値化して
い る場 合 が 多い 。)
審 査 形式等
2人以上の学識経験者の
複数の者からなる審査委
意 見 聴取 が 要件
員 会の 設 置
審 査 基準
数 値 化に よる客 観 的基 準
審査委 員 会の 会議 等
(ただし,審査基準を定め
て いる 場 合 が多 い 。)
補 欠 者の設 定
原 則 不可
可
債 務 負担行 為設 定 時期
入 札 公告 前
事業者選定後,契約締結
前
手 続 に要す る期 間
公募型プロボーザル方式
事業者とのやりとりに時
に 比 べ, 比 較的 短 い 。
間を要し,総合評価一般競
争入札方式に比べ,長く時
間 がか か る こと が 多 い 。
- 74 -
【 契 約手続 き のフ ロ ー 図】
< 総 合評価 一般 競 争入 札>
< 公 募 型プロ ポ ーザ ル 方 式>
( 債 務 負 担 行 為 設 定 )
入
札
公
告
手続開始公示(公募)
資
資
格
確
認
申
請
参加資格の確認・通知
入
資 格 審査
( 事 業計 画
の 概要 に
つ いて の
審査も 含
む)
札
格
札
認
申
請
参加資格の確認・通知
提
資格
審査
案
一
次
最
入
確
終
審
査
提
案
二
次
審
査
( 優 先 交 渉 者 決 定 )
二段階
審 査を
行う場
合も あ
り
PFI 事 業 者の 決 定 ,公表
契
約
内
容
交
渉
(債 務負 担行為設定 )
契
※
約
契
約
多 段 階 選抜に つ い て
民間事業者の募集 に当たっては,可能な限 り民間事業者の負担を軽 減するた
め,二 段 階 で審 査 を 行うな ど の 多段階 選抜 を行 う こ とも考 えら れま す 。
公募型プロポーザ ル方式による選定の場合 においては,これまでも 二段階審
査は行われてきまし たが,総合評価一般競争 入札においても,資格審 査におい
て,事業についての 基本的な考え方,施設の 設計・建設,維持管理及 び運営に
ついての考え方,資 金調達及びリスク分担に ついての考え方等を含む 事業計画
の概要について審査 を行い,事業者の絞込み を行うことが可能である ことが示
さ れ て い ま す 。(「 P F I 事 業 に 係 る 民 間 事 業 者 の 選 定 及 び 協 定 締 結 手 続 に つ い
て 」 平成15年3月31日付け総行行第43号総務省自治行政局行政課長,総行地第44号総
務省自 治 行 政局 地 域 振興課 長 通 知)
- 75 -
※
WT O 政 府調 達 協 定
①
WT O 政 府調 達 協 定と は
WTOとは,平成7年 1月1日をもって成立した新しい国 際貿易機関であ
る「世界貿易機関」をいい,この世界貿易機関の設立を「世界貿易機関を設
立 す る マ ラ ケ シ ュ 協 定 (「 W T O 協 定 」 と い う 。)」 で 定 め て い ま す 。 こ の W
TO協定の附属書4に含まれている政府調達に関する協定を「WTO政府調
達 協 定 」 と い い , 平 成 6 年 4 月 15日 マ ラ ケ シ ュ で 署 名 さ れ , 平 成 8 年 1 月 1
日 か ら適 用 さ れて い ま す。
WTO政府調達協定は ,世界貿易の自由化及び拡大を図り ,世界貿易を規
律する国際的な枠組みを改善することを目的に,協定締結国が,政府調達の
効果的な多角的枠組みの必要性を認め,政府調達に関して,国内業者の保護
及び国内外の業者間の差別を行わず,手続等を透明なものにするなど,相互
主義に基づきこの協定を拡充及び改善し並びに適用範囲を拡大して,この協
定 締 結国 の 拡 大を 図 っ てい く こ とを 目的 と して い ま す 。
この協定は,国,都道 府県が行う一定額以上の全ての物品 と建設工事や設
計 ・ コン サ ル ティ ン グ 業務 な ど 一定 のサ ー ビス の 調 達 に つい て 適 用 され ま す 。
②
WT O 政 府調 達 協 定と P F I事 業 契約
PFI契約は,公共施 設等の建設のみならず,維持管理及 び運営をも内容
とするものです。このため,政府調達協定対象の役務と対象外の役務の双方
を 包 含す る 混 合的 な 契 約と な る 可能 性が 高 くな り ま す 。
こうした混合的な契約 においては,主目的である調達に着 目し,全体を当
該主目的に係る調達として扱うこととされており,主目的が物品等又は協定
の対象である役務の調達契約であって,当該契約の全体の予定価格(主目的
以外の物品等及び役務に係る価額を含む)が適用基準額以上となる場合に,
特 例 政 令 (「 地 方 公 共 団 体 の 物 品 等 又 は 特 定 役 務 の 調 達 手 続 の 特 例 を 定 め る
政 令 」 平 成 7 年 政令 第 372号 ) の 適 用を 受 け る ( 特定 調 達 契 約と い う ) こと と
さ れ てい る 点 に留 意 す る必 要 が あり ます 。
③
政府 調 達 協定 の 適 用対 象 基 準額
( 適 用期 間 : 平成 26年 4月 1 日 ∼ 28年 3 月31日 の 間 )
契
約
内
容
物 品 等の 調 達 契約
準
金
額
2千 7 百 万円
特 定 役務 の う ち建 設 工 事の 調 達 契約
特 定 役務 の う ち建 築 の ため の サ ービ ス , エ ンジ ニ ア リ ン
グ ・ サー ビ ス その 他 の 技術 的 サ ービ ス の 調 達契 約
特 定 役務 の う ち上 記 以 外の 調 達 契約
④
基
2 0億 2 千 万円
2 億円
2千 7 百 万円
特定 調 達 契約 に 関 する 主 な 制限
・特定調達契約に係る一般競争入札に参加する者につき,当該入札に参加す
る者の事業所の所在地 に関する必要な資格を定めることが できない(特例
政 令 5条)。
・ 最 低制 限 価 格制 度 の 禁止 ( 特 例政 令9条 )
・随意契約の要件は,①緊急の場合②競争入札に付し入札者がいないか,再
入札においても落札者 がいない③落札者が契約を結ばない ④芸術品や特許
等調達相手が特定でき る⑤既契約の関連調達の場合などに 限られる(特例
政 令 10条 )。
- 76 -
(2) 入札公 告, 民 間事 業者 への 説明 等 の実 施 , 質 問受付 ・ 回答
入 札 につ い て 公 告す る と とも に , 民間 事 業 者か ら 質 問 を 受け 付 け, 疑問 点
を 解 消す る必要 が あり ます 。
ア
総合評価一般競争入札を行うに当たっては,入札に参加する者に必要な資格,
入札の場所及び日時その他入札について必要な事項等を公告するとともに,総合
評価一般競争入札の方法による旨及び総合評価一般競争入札に係る落札者決定基
準についても公告する必要があります。
イ
入札説明書,要求水準書及び契約書案をホームページ等で公表するとともに,
入札に参加しようとする民間事業者に配布します。
ウ
必要に応じて,入札説明会を開催し,民間事業者に対する説明等を行い,公告
した内容に対する疑問点を解消するために,民間事業者から質問,意見を受け付
け,回答を行います。
エ
質問・回答に当たっては,民間事業者が充分な検討が行えるよう入札公告から
質問受付期限までの期間を余裕を持って確保する必要があります。また,県が質
問に対し充分な検討ができるよう質問提出期限から回答までの期間についても同
様の対応が必要です。
オ
質問・回答の方法は,公平性,透明性を確保するため,全て書面で行い,その
内容は民間事業者独自の技術,ノウハウ等に係る事項を除き,原則として全ての
民間事業者に公表することが必要です。
(3) 入札参 加資 格 の確 認
民 間 事業 者 か ら 入札 参 加 資格 確 認 申請 書 の 提出 を 受 け , 資格 審 査を 行い ま
す。
民間事業者から,当該事業の入札への参加表明書と資格確認申請書の提出を
受 け 付け ま す。
提出を受けた資格確認申請書をもとに,応募者が,入札説明書に記載してい
る 応 募者 と して 備え る べき参 加 資格 要件を 満た して いる ことを 確 認 します 。
資 格不 備 の 場合に は , 失格 と し ます。
資 格審 査 の 結果は , 応 募者 に 通 知する と と もに公 表 します 。
- 77 -
(4) 入札
入 札 参 加 資 格 の 確認 を 得 た 民間 事 業 者 か ら, 入 札 書 ,提 案 書 等 を受 け 付 け
ます。
入札参加資 格の確 認の通知を受けた応募者から,入札 書,提案書,設計図書
等 の 提出 を 受 け付 け ま す。
応募者の立 会いの もと,入札書の開札を行います。入 札価格が,予定価格を
超 え てい る 場 合に は , 落札 で き ませ ん 。
※
予定 価 格 につ い て
通常,予定価格は,現在価値に換算する前の名目値で設定しますが,①PS
Cをベースとする手法と,②特定事業選定時のPFIのLCCをベースとする
手法の2通りの考え方があります。どちらの方式を使用すべきかガイドライン
等では明示されておらず,現状では個々の事業ごとに自治体が判断する必要が
ありますが,いずれにしても,競争原理の適切な機能と,民間事業者からより
付 加価値 の 高 い 提 案を 得 る た め の環境 の整備 が重要 で す。
(5) 審査 委 員 会 の開 催 ( 第3 回 )
審 査 委員 会 を 開催 し , 落札 者 決 定 基準 に 従い , 優 秀 提 案 者を 選 定 し ます 。
審査委員会 (第3 回)を開催し,民間事業者からの提 案書について審査しま
す。
審査委員会 では, 公平性,透明性,客観性を確保した 中で,入札公告時の落
札者決定基 準に従 って,民間事業者からの提案書 や入札金額について,点数に
よ る 総合 評 価 を行 い , 県に と っ て優 秀 な 提 案を し た 者 を 選定 し ま す。
【 総 合評 価 方 式の 比 較 】
除 算 方式
概要
評 価 のポ イ ン ト
加算 方 式
提 案 内 容 の 性 能 点 を 価格 で 割
性能と価格の配分を事前に決
っ て 出 た 点 数 を 総 合 評 価点 と す 定 ・ 公 表 し てお き , そ れ ぞ れ を
る 方 式 で , 点 数 が 最 も 高い も の 加 え て 総 合評 価 点 とす る 方 式 。
を 選 定す る 。
[ 総 合評 価 点 =性 能 点 /価 格 ] [ 総 合 評 価点 = 性 能点 + 価格 点]
コ ス トパ フ ォ ーマ ン ス
提案 内 容 と審 査 上 の重 点 項 目
メ リ ット
コ ス ト ( 単 価 ) 当 た りの 性 能
総合評価点に価格が及ぼす影
の 割 合が 明 確 にな る 。
響 を 調 整 でき る 。
デ メ リッ ト
総 合 評 価 点 は 価 格 に 依存 す る
価格と性能の総合的な評価と
と こ ろが 大 き い。
い う 意 味 にお い て 難が あ る 。
「 高 コ ス ト 高 性 能 」 の提 案 と
除算方式に比べ,総合評価点
「 低 コ ス ト 低 性 能 」 の 提案 の 差 に 差 が で にく い 。
別 評 価が 難 し い。
- 78 -
(6) 落札者 の決 定 ・公 表
審 査 委員 会 に お ける 審 査 結果 を も とに , 落 札者 を 決 定 し ,そ の 結果 を公 表
し ま す。
事業所管課は,審査委員会における審査結果をもとに,落札者を決定し,そ
の 結 果を 速 やか に公 表 します 。
公表に当たっては,公表することにより,民間事業者の権利,競争上の地位その他
正当な利益を害するおそれのある事項を除き,選定過程の透明性を確保するために必要
な資料(審査の経過,審査方法(審査項目と審査基準),審査結果等)を併せて公表し
ます。
最終的に,応募者がいない場合,あるいは,VFMの達成が見込めない等の理由に
より,当該事業をPFI事業として実施することが適当でないと判断した場合には,落
札者を選定せず,特定事業の選定を取り消すことが必要です。
なお,民間事業者の募集に当たっては,そのような場合があり得ることを募集の際
にあらかじめ明示しておくことが必要です。
特定事業の選定を取り消した場合,判断の透明性を確保するためにその理由を所要
の資料とあわせて,速やかに公表します。
- 79 -
5
契 約 締結 段 階
(1) 契約書 の作 成
事 業 所管 課 は , 選定 事 業 者と 契 約 条件 の 交 渉を 行 い , 契 約書 の 条文 の文 言
を 明 確化 する必 要 があ りま す 。
落 札者 が 決 定した 段 階 で, 契 約 書の詳 細 を 決定し ま す。
契約書の作成に当たっては,事前に公表した契約書案に基づき,契約の細部
の調整を行い ますが,当事者間の権利義 務関係を取り決めるもので すから,で
きるだけ曖昧 さを避け,記載内容を具体 的かつ明確に取り決める必 要がありま
す。
総合評価一般競争入札の場合では,入札公告時において公表された契約書案
について,事 業者選定後,交渉によりそ の内容を変更することはで きませんの
で,契約書案 の内容を変更しない範囲内 で,要求水準を達成するた めの事業の
実施手順や民 間事業者から提案のあった 項目に関する契約の細目な どを交渉す
る こ とに な りま す。
また,公募型プロポーザル方式では,条件規定書を補完し,民間事業者の提
案を取り込ん でいくために契約交渉を行 います。ただし,選定され なかった他
の民間事業者 との間で不公平な取扱いに ならないよう,条件規定書 で定められ
た 基 本的 な 事項 につ い ては, 変 更す べきで はあ りま せん 。
【留意事項】
・ 総務省からは,
「他の競争参加者が当該落札者よりもより有利な条件や価格を提
示することが明らかに可能となる条件変更を行うことは,競争性確保の観点から
は許容できないが,入札前に明示的に確定することができなかった事項について,
入札前に公表した契約書案,入札説明書等の内容について,契約締結時に変更が
一切許されないものではない。」という考え方が示されています。(「 P F I 事 業
に 係 る 民 間 事 業 者 の 選 定 及 び 協 定 締 結 手 続 に つ い て 」 平成15年3月31日付け
総行行第43号総務省自治行政局行政課長,総行地第44号総 務 省 自 治 行 政 局 地 域
振 興 課長通 知)
・
PFI事業の契約締結については,契約に 関するガイドラインを参 考に
し ます 。
- 80 -
(2) 仮契約 の締 結 ,議 会の 議決 (契 約 事案 )
施 設 等の 買 入 れ 又は 借 入 れに 要 す る経 費 ( 維持 管 理 , 運 営に 関 する 経費 を
除 く 。) が 5 億 円 以 上 と な る P F I 事 業 に つ い て は , 事 業 所 管 課 と 選 定 事 業
者 と の間 で 仮 契 約を 締 結 し た上 で , PF I 事 業契 約 の 締 結 議案 を 議会 に提 出
し , その 議決を 得 る必 要が あ り ます 。
P F I 法 第 12条 及 び 同 法 施 行 令 の 規 定 に よ り , 県 に お い て は , P F I 契 約 の
予定価格の金 額のうち維持管理,運営等 に要する金額を除いた施設 等の買入れ
又は借入れの 金額が「5億円以上」とな るPFI契約については, あらかじめ
議 会 の議 決 を経 なけ れ ばなり ま せん 。
ま た , P F I 契 約 に 関 す る 議 決 を 経 た 場 合 は , 地 方 自 治 法 第 96条 第 1 項 第 5
号(工事請負 契約)及び第8号(財産の 取得)の規定に基づく議決 は不要とさ
れ て いま す。( 自治 省 自治 大臣 官房 企 画室 平 成12年5 月 2日 回 答 )
なお,選定事業者は,仮契約締結前までに,当該PFI事業に関する業務を
目 的 とす る 特定 目的 会 社(S P C) を設立 しま す。
【 PF I 法 】
第12条 ( 地 方公 共 団 体の議 会 の 議決)
地方公共団体は,事業契約でその種類及び金額 について政令で定める基 準に
該当するものを締結する場合には,あらかじめ,議会の議決を経なければなら
ない。
【 PF I 法 施行令 】
民 間 資金 等の活 用 によ る公 共 施 設等 の 整 備等の 促 進 に関 す る 法律( 以 下「 法」
と い う 。) 第 12条 に 規 定 す る 政 令 で 定 め る 基 準 は , 契 約 の 種 類 に つ い て は , 次
の表の上覧に定める ものとし,その金額につ いては,その予定価格の 金額(借
入れにあっては,予 定賃借料の総額)が同表 下欄に定める金額を下ら ないこと
とする 。
千円
都 道府 県
法 第 二条 第 五項 に規 定 する選 定 事業 者
が 建 設す る 同条 第一 項 に規定 す る公 共
施 設 等( 地 方公 共団 体 の経営 す る企 業
で 地 方公 営 企業 法( 昭 和二十 七 年法 律
第 二 百九 十 二号 )第 四 十条第 一 項の 規
定 の 適用 が ある もの の 業務に 関 する も
の を 除く 。)の 買入 れ 又は 借入 れ
5 0 0 ,00 0
地 方 自 治 法 ( 昭 和 22年 法 律 第 67号 )
第 252条 の 19第 1項 に 規 定 す る 指 定 都
市( 以 下こ の 表 にお い て「 指 定都市 」
と いう 。)
3 0 0 ,00 0
市 (指 定都 市 を除く 。)
1 5 0, 00 0
町村
5 0 ,00 0
※ この場合におけ る金額は,PFI契約の 予定価格の金額のうち維 持管理,
運 営 等 に 要 す る 金 額 を 除 い た 金 額 に よ り 判 断 す る 。(「 地 方 公 共 団 体 に お け る
P F I事 業につ い て」 平成 12年 3月 29日 付け自 治 事 務次 官 通 知)
- 81 -
(3) 契約の 締結
事 業 所管課 は, 議会 の 議決 後 ,PF I 事業 者と 本 契約を 締 結し ます 。
議会での議決後,PFI事業者(SPC)とPFI事業に係る契約を締結し
ます。
原則として,締結した契約は公表することとしますが,公表することにより
民間事業者の 権利,競争上の地位,その 他正当な利益を害するおそ れのある事
項については ,あらかじめ民間事業者と 合意の上,これを除いて公 表します。
なお,PFI事業者(SPC)が,国又は地方公共団体の出資又は拠出に係
る法人(当該 法人の出資又は拠出に係る 法人を含む)である場合に は,県は,
具体的かつ明 確な責任分担の内容を,P FI事業者(SPC)の利 害関係者に
対し明らかに し,透明性を保持するよう ,特段の配慮をする必要が あります。
※
直 接 協 定(ダ イ レ クト ア グ リー メント ) の締 結
PFI事業者(S PC)の経営が行き詰ま った場合,県としては事 業破綻の
リスクを軽減するこ とを,金融機関としては ,事業破綻時の貸出金の 回収不能
リスクを軽減するこ と等を目的として,県と 金融機関との間で直接協 定を締結
する場 合 が あり ま す 。
県 と 金融 機関と の 間で 締結 さ れ る主 な 事 項は次 の と おり で す 。
① 民間 事業者 の 事業 実態 や 経 営状 態 等 に関す る 相 互の 通 知 義務
② 経営 立て直 し に関 する 介 入 権( Step-in-Right) の 認証
③ スポ ンサー 企 業保 有株 式 の 処分
④ PF I事業 者 (S PC ) が 有す る 債 権の譲 渡 , 質権 設 定
- 82 -
6
事 業 の実 施 段 階
(1) 事業の 実施 , 事業 の監 視( モニ タ リン グ )
P F I事 業 者 ( SP C ) が事 業 を 実施 し , 事業 所 管 課 は ,事 業 の監 視( モ
ニ タ リン グ)を 行 い, サー ビ ス 提供 の 対 価を支 払 っ てい き ま す。
ア
事業 の 実施
契約締結後,PFI事業者(SPC)は契約に基づき事業を実施します。
イ
事業 の 監視 (モ ニ タリン グ )
事業所管課は,施設の設計,建設,維持管理,運営の各段階において,契
約 に定 め た 範囲内 で , 下記 の よ うな事 業 の モニタ リ ング等 を行 い ま す。
①
P F I 事業者 ( S PC ) に より提 供 さ れる公 共 サービ ス水 準 の 監視
②
PFI事業者(SPC)からの契約の義務履行に係る事業の実施状況報
告の定 期 的 な提出
③
PFI事業者(SPC)からの公認会計士等による監査を経た財務の状
況についての報告書(PFI事業の実施に影響する可能性のある範囲に限
る。) の 定 期的な 報 告
④
PFI事業の実施に重大な悪影響を与えるおそれがある事態が発生した
ときには,PFI事業者(SPC)に対し報告を求めるとともに,第三者
である 専 門 家によ る 調査の 実 施 と, そ の 調 査報 告 書 の提 出 を求 め るこ と
また,モニタリングにより,PFI事業者(SPC)の提供するサービス
が,県の要求水準に達しているかどうかを評価,確認し,契約書に定める範
囲 内で , そ の結果 を サ ービ ス 料 に反映 さ せ て,対 価 を支払 いま す 。
ウ
リス ク が顕 在化 し た場合 の 対応
事業所管課は,事業期間中に顕在化したリスクについては,契約に従い,
速 やか に 対 処しま す 。
また,契約に記載されていない想定外のリスクが顕在化した場合には,速
やかにPFI事業者(SPC)と協議を行い,対応を検討することが必要で
す。
【留意事項】
モニタリングについては,モニタリングに関するガイドラインを参考に
し ます 。
- 83 -
7
事 業 の終 了 段 階
(1) 事業の 終了 , 事後 評価
契 約 に定 め る 事 業の 終 了 時期 の 到 来に よ り ,P F I 事 業 が終 了 し, 事業 所
管 課 は, 問題点 や 課題 等に つ い て事 後 評 価を行 い ま す。
ア
事業 の 終了
契約に 定 め る事業 の 終了時 期 の 到来 に よ り ,P F I 事業 は 終了 し ます 。
この際,土地等の明け渡し等あらかじめ契約で定めた資産の取り扱いに関
す る措 置 を ,適切 に 講 じま す 。
イ
事後 評 価
事業所管課は,PFI事業終了時に,発生した問題とその対応方法,県の
事業運営,管理体制の問題点とその改善方法,当初の事業開始時点から変化
し た内 容 等 ,今後 の 課 題等 に つ いて事 後 評 価を行 い ます。
ウ
事業 継 続の 可能 性 検討
契約において,事業終了時の選択肢として事業の継続を定めている場合,
P FI 事 業 者との 再 契 約を 行 う ことも 可 能 となり ま す。
その際,新 た に公 募( 公告)を 行うな ど の 様々な 選 択肢が 考 え られる た め,
事業開始前に,あらかじめ契約において,具体的に取り決めておくことが必
要 です 。
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【参考資料】
1
PFIに 関 す る ホーム ペ ージ
PFIに関しては,以下のホームページで,PFIに関する様々な情報,資料
が公開され てい ま す。
(1) 内閣府 PF I ホー ムペ ージ
内閣府 民 間 資金等 活 用 推進 室(PFI推進室)が運営するホームページです 。
民 間 資 金 活 用 推 進 委 員 会 ( PF I 推 進 委 員 会 ) の ペ ージ で は , P F I 推 進 委
員会の審 議 状況 や全 国 のPF I事業の例が 紹介されています。
< http://www8.cao.go.jp/pfi/ >
(2) 自治体 PF I 推進 セン ター のホームページ
自治体 P F I推進 セ ン ター が運営するホームページです。
推 進 セ ン タ ー は , 地 方 自 治 体に お け る P F I 事 業 の 円滑 な 推 進 に 資 す る こ と
を目的として,PFI事業に関心のある地方自治体間の意見交換及び情報の共
有の場等 と して,平 成14年 度に設立され ,PFI事業に関心のある 地方自治体,
全国知事会,全国市長会,全国町村会及び(財)地域総合整備財団により構成
されてい ま す。
また, 総 務 省がオ ブ ザ ーバ ーとして参加しています。
自治体 の P FI情 報 を 中心 に紹介しています。
(会員 ペ ー ジ有り : 鹿 児島 県庁として会員登録)
< http://www.furusato-ppp.jp/ >
(3) 日本P FI 協 会の ホー ムペ ージ
特定非 営 利 活動法 人 日 本P FI協会が運営するホームページです。
全国の P F I事業 の 統 計や 分析がされています。
(会員 ペ ー ジ有り : 鹿 児島 県庁として会員登録)
< http://www.pfikyokai.or.jp/ >
(4) PFI イン フ ォメ ーシ ョン
PFI ネ ッ ト社が 運 営 する ホームページです。
全国の P F I事業 の 最 新情 報が日々紹介されています。
< http://www.pfinet.jp/ >
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2
資料集( 法 令 , 通知等 )
〔法律〕
・「民間資 金等 の活 用 によ る公共施設等の 整備等の促進に関する法律」
(平成 11年 法律第 117号 )
〔政令〕
・「 民 間 資 金 等 の 活 用 に よ る 公 共 施 設 等 の 整 備 等 の 促 進 に 関 す る 法 律 施 行 令 」
(平成 11年 政令第 279号 )
・「民間資 金等 活用 事 業推 進委員会令」(平成11年政令第280号)
〔省令〕
・「 民 間 資 金 等 の 活 用 に よ る 公 共 施 設 等 の 整 備 等 の 促 進 に 関 す る 法 律 第 20条 第
2 項 の 規 定 に よ り 読 み 替 え て適 用 さ れ る 商 法 第 290条 第 1 項 及 び第 293条 の 5
第 3 項 の 内 閣 府 令 で 定 め る 場合 及 び 内 閣 府 令 で 定 め る金 額 等 を 定 め る 内 閣 府
令」(平 成 15年内 閣 府 令第24号)
〔基本方針 〕
・「 民 間 資 金 等 の 活 用 に よ る 公 共 施 設 等 の 整 備 等 に 関 す る 事 業 の 実 施 に 関 す る
基本方 針 」(平成 12年 3月 13日総理府告示第11号)
〔ガイドラ イン 〕
・「PFI 事業 実施 プ ロセ スに関するガイ ドライン」(平成13年1月22日)
・「PFI 事業 にお け るリ スク分担等に関 するガイドライン」
(平成 13年 1月22日 )
・「 V F M ( Value For Money) に 関す るガ イド ラ イン 」(平 成13年 7月 27日)
・「契約 に 関 する ガ イ ドラ イ ン−PFI事業契約における留意事項について− 」
(平成 15年 6月23日 )
・「モニタ リン グに 関 する ガイドライン」(平成15年6月23日)
・「公共施 設等 運営 権 及び 公共施設等運営 事業に関するガイドライン」
(平成 25年 6月6 日 )
〔アクショ ンプ ラ ン〕
・「PPP /P FI の 抜本 改革に向けたア クションプラン」
(平成25年6月6日)
〔通知等〕
<総務省 関 係>
・「地方公 共団 体に お ける PFI事業につ いて」
(平成 12年 3月29日 付 け自 治事務次官通知)
・「 民 間 資 金 等 の 活 用 に よ る 公 共 施 設 等 の 整 備 等 の 促 進 に 関 す る 法 律 に 基 づ い
て地方 公 共 団体が 実 施 する 事業に係る地方財政措置について」
(平成 12年 3月29日 付 け自 治省財政局長通知)
・「 地 方 公 共 団 体 に お け る P F I 事 業 に 関 す る 透 明 性 の 確 保 及 び 情 報 提 供 に つ
いて」( 平 成14年 8 月 28日付け総務省大臣官房総括審議官依頼)
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・「 P FI 事 業 に 係 る 民 間 事 業 者 の 選 定 及 び 協 定締 結 手 続 きに つ い て」( 平 成15
年 3 月 31日 付 け 総 務 省 自 治 行 政 局行 政 課長 ・ 総 務 省 自 治 行 政 局 地 域 振 興 課 長
通知)
・「地方自 治法 の一 部 を改 正する法律の公 布について」
(平成 15年 7月17日 付 け総 務省自治行政局長通知)
<国土交 通 省関 係>
・「PFI 事業 者の 公 物管 理法上の位置づ けについての考え方について」
(平成 14年 8月29日 付 け国 土交通省総合政策局政策課通知)
・「 地 方 公 共 団 体 が P F I 事 業 を 実 施 す る 際 の 補 助 金 等 の 適 用 に 関 す る 国 土 交
通省基 本 方 針」( 平 成 16年3月国土交通省)
・「 P F I 方 式 に よ る 建 設 工 事 を 請 け 負 う 建 設 業 者 の 資 金 調 達 の 円 滑 化 に つ い
て」(平 成 16年7 月 7 日付け国土交通省総合政策局建設業課通知)
<国税庁 関 係>
・「売買と され るP F I事 業について(法 人税の取扱い)」
(平成 14年 12月国 税 庁 取扱 通達)
・「売買と され るP F I事 業について(消 費税の取扱い)」
(平成 16年 7月国 税 庁 取扱 通達)
- 87 -
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