Comments
Transcript
ESRI Discussion Paper Series No.189 ドイツ移民法における統合
ESRI Discussion Paper Series No.189 ドイツ移民法における統合コースの現状及び課題 By 丸尾 眞 August 2007 内閣府経済社会総合研究所 Economic and Social Research Institute Cabinet Office Tokyo, Japan ESRIディスカッション・ペーパー・シリーズは、内閣府経済社会総合研究所の研 究者および外部研究者によって行われた研究成果をとりまとめたものです。学界、研究 機関等の関係する方々から幅広くコメントを頂き、今後の研究に役立てることを意図し て発表しております。 論文は、すべて研究者個人の責任で執筆されており、内閣府経済社会総合研究所の見 解を示すものではありません。 ドイツ移民法における統合コースの現状及び課題 丸尾 眞 2007年8月 ∗ 本稿を執筆するにあたり、佐々木寿子前在独日本国大使館専門調査員には貴重なご助言、ご示唆を頂き、 大変お世話になった。在京ドイツ連邦共和国大使館、外務省欧州局中・東欧課には多大なご協力を頂い た。また、レンツ青山学院大学法学部教授には法律の翻訳の際に多くの示唆を頂いた。本稿の公表にあ たり事前審査として行った所内セミナーでは、黒田昌裕経済社会総合研究所所長はじめ、出席者の方々 には大変有益なコメントを頂いた。記して感謝したい。 なお、本論文の内容は全て筆者の個人的見解であり、内閣府経済社会総合研究所の見解を示すものでは ないことを付記する。 1 (要旨) ドイツは第2次世界大戦後の奇跡的経済復興の中で、多くの労働者をトルコ、イタリア、 ギリシャ等から受け入れてきた。1973年の「外国人労働者募集取り止め」により、労 働者の流入は減少したが、その後の家族呼び寄せ、難民の受け入れ等で、外国人の数は増 加していった。 このような状況の下、2005年1月、新移民法が施行された。移民法の重要な内容の 一つに移民のドイツ社会への「統合」 (Integration)が挙げられる。その背景には、ドイツ では、ドイツ社会から遊離した移民による「並行社会」が形成されつつあり、これが将来 のドイツ社会に脅威を与える強い蓋然性があることから、移民をドイツ社会に統合するこ とが不可欠であるとの認識がある。 移民法発効後、統合コースの枠組みの中で600時間のドイツ語コースと30時間のオリ エンテーション・コースが連邦予算で実施されている。本稿では統合コース概要を紹介す ると共に、2005年度、2006年度の統合コースの実施状況及び直面する課題をとり まとめた。 2 Integration Course in the German Immigration Law Current Situation and Challenges Shin Maruo Economic and Social Research Institute, Cabinet Office I. Abstract Postwar Germany accepted a large number of workers, especially from Turkey, Italy, and Greece, in the course of the “German Wirtschaftswunder,” or “Economic Miracle.” After the ban on recruitment in 1973, the inflow of foreign workers to Germany decreased; however, due to the inflow of the summoned families and refugees, among others, the overall number of foreigners increased. On 1 January 2005, a new immigration law took effect. One of the most important contents of the new law is the issue of integration. In Germany, a “Parallel Society” that is alienated from mainstream German society has come into existence, and people understand that integrating immigrants is essential because there is a strong probability that such a “Parallel Society” could threaten German society in the future. After the immigration law took effect, a German language course (600 hours) and an orientation course (30 hours) were implemented in the framework of the integration course as a federal budget item. This paper gives an overview of the integration course as well as the situation regarding its implementation as of FY2005 and FY2006 followed by a discussion of the challenges that it faces. 3 目次 I はじめに 6 II 第2次大戦後のドイツにおける移民問題の経緯 9 III ドイツにおける外国人・移民問題の現状 13 IV ドイツにおける外国人・移民受け入れの背景 15 1.「並行社会」形成の阻止 15 2.潜在的労働力の活用 16 3.グロバリゼーションの中での移民受け入れ 16 4.貿易大国としてのドイツ 17 V 移民法成立後の統合コースを巡る動き 18 VI 20 統合コースの概要 1.全般 20 2.統合コース受講対象者 22 (1)概要 (2)「統合コース実施ガイドライン」等に基づく統合コース受講資格・義務 (3)2005年・2006年における統合コース受講対象者 3.統合コースの実施主体 30 4.統合コース受講に至るプロセス 31 5.統合コースの内容 34 (1)語学コース (2)オリエンテーション・コース (3)クラス分け試験 (4)修了試験 6.統合コースの予算 39 VII 統合コースの評価 40 1.概要 40 2.移民法に基づく統合コースのランボール・マネージメント社の評価報告 (2006年12月) 41 4 (1)全般 (2)具体的改善分野 (イ)行動分野1:統合コースの成果の管理及び運営 (ロ)行動分野2:統合コースの成果の向上 (ハ)行動分野3:オリエンテーション・コースの評価の向上 (ニ)行動分野4:地域的及び需要面で公正な統合コースの機会の提供の確保 (ホ)行動分野5:統合コースの持続性 (へ)行動分野6:行政経費の制限 (ト)行動分野7:目標に導く財源確保制度 3.ドイツ連邦内務省のランボール・マネージメント社の評価に関するコメント (2007年1月17日) 46 4.滞在法43条5項に基づく統合コースの実施及び財源確保に関する連邦議会への VIII 連邦政府状況報告(2007年6月27日) 49 国家統合計画(2007年7月12日) 53 IX 終わりに 57 (参考)移民法における統合コース関連法令 1.連邦領域における外国人の滞在、職業活動及び統合に関する法律(滞在法) (2005年1月1日施行)43条、44条、44条 a、45条 59 2.連邦領域における外国人の滞在、職業活動及び統合に関する法律(滞在法) (2007年7月15日施行)43条、44条、44条 a、45条 (参考資料) 65 73 5 ドイツ移民法における統合コースの現状及び課題 I はじめに 1.2005年1月1日、ドイツで新移民法(注1)が発効した。この移民法の目玉は、ド イツに滞在する外国人・移民のドイツ社会への統合強化である。この法律では、移民の統合 (注2)が謳われ、ここに初めて、国により統一的に規定された統合プログラムが誕生し た。統合のためのコースとして、ドイツ語コース(600時間)とドイツの法令、文化、歴史 に関する知識習得のためのオリエンテーション・コース(30時間)が設けられている。 2.現在、ドイツには約700万人の外国人がおり、米国(約3500万人)、ロシア(約 1300万人)に続き、世界第3番目の移民受け入れ国である。それにも拘わらず、ドイ ツは長い間、移民受け入れ国(Einwanderungsland)(注3)であることを否定してきた が、この法律で、その本音と建前の差異を克服することにより、『移民国家としてのドイツ』 (Deutschland als Einwanderungsland )を認めるに至った。 3.2005年には、ドイツ居住外国人が676万人(ドイツの全人口に占める外国人の 割合は8.2%)であったのに対し、後期帰還移住者(注4)等の「移民の背景を有する 人々」(Personen mit Migrationshintergrund)(注5)は約800万人で、その数は外国 人の数を上回る。ドイツで「移民問題」が意味するところは、「外国人問題」と「移民の背 景を有し、ドイツ国籍を有する人々の問題」の双方である。「移民の背景を有する人々」と いう概念はドイツの移民問題を考察するうえで極めて重要である。 4.本稿では、2007年7月12日にドイツ連邦政府が国家統合計画(Nationaler Integrationsplan)を策定したのを受け、また7月15日に2005年の移民法の改正案が 発効する機会を捉え、可能な限り最新の資料を使用し、統合コースについてまとめた。本 稿では、ドイツに於ける移民問題の経緯、現状、背景につき概観した上で、2005年、 2006年の統合コースの実施状況及び評価につき紹介する。今後、国家統合計画、移民 法改正案に基づき新たな規定が策定されることから、本稿記述の一部は近い将来に過去の ものとなるが、この2年間の試行錯誤の過程も参考になると考える。 (なお、連邦政府の連 邦議会報告(2007年6月27日)と国家統合計画(2007年7月12日)の内容の 一部はほぼ同じであるが、その章ごとの一貫性を維持するため、あえて重複して記載した。) 6 5.我が国における2006年末の外国人登録者数は約208.5万人(我が国総人口の 1.63%)で、ドイツに居住している670万人の外国人と比較すれば、その数は少な く、その状況、歴史的背景等は大きく異なっている。しかしながら、我が国においても、 外国人と如何に取り組むかという問題は、グローバル化の中で、今後益々重要な課題にな ると考えられる。かかる観点から、我が国としても、ドイツをはじめ、他国の経験から学 ぶことにより、可能な限り寄り道をせず、外国人の取り組みにおいて最も適切な選択肢を 選ぶことが必要である。そういう意味で、本稿が今後の我が国の外国人政策に取り組むう えで、少しでも役に立つことがあれば幸甚である。 (注1) 移民法(2005年1月1日施行)の概要 1.滞在許可の簡素化 (1)従来4種類あった在留資格(滞在許可、滞在権、滞在認可、特別滞在)は、期限付きの滞在許可及び無期限の定 住許可の2種類に整理 (2)従来の労働許可と滞在許可の二重許可手続きは不要 (3)行政能力強化のため、連邦難民認定庁を改組し、連邦移民・難民庁を設置 2.労働移民の原則(EU加盟国国籍者を除く) (1)需要が高い高度な技術や知識を有する外国人に対しては、滞在許可基準を緩和。 高度な技術・知識を有しない専門家は、基本的に受け入れず (2)100万ユーロ以上を投資して、10人以上の雇用を創出する自営業者は滞在許可を得る資格があり、3年後に は定住許可を得る資格がある。 (3)卒業後の外国人学生には、1年間の滞在許可を付与 3.人道的理由による滞在許可の拡大 4.外国人の社会統合の強化 (1)長期滞在する外国人・移民の社会への同化の一層推進。統合のためのコースとして、ドイツ語(600時間)とオ リエンテーション・コース、ドイツの法令、文化、歴史に関する知識習得のためのコース(30時間)を設ける ことを規定(連邦政府負担)。 (2)ドイツ在住の両親が子供を呼び寄せる場合には、子供の社会統合を確保するため、呼び寄せ可能な子供の年齢に ついて上限を新設(移民の場合には原則16歳まで、難民の場合には18歳まで) 5.治安の強化 国外退去の手続きの明確化と迅速化、テロ対策関連の退去理由・処罰の拡大・強化 6.旧ソ連、中・東欧からの後期帰還移住者(Spätaussiedler)にドイツ語の知識を義務化 7 15章からなる移民法(『移民の調整と制限並びに欧州連合市民及び外国人の滞在と統合の規制に関する法律』、 Gesetz zur Steuerung und Begrenzung der Zuwanderung und zur Regelung des Aufenthalts und der Integration von Unionsbürgern und Ausländern; Zuwanderungsgesetz)の中核となるのは、第1章の滞在法(『連邦領域におけ る外国人の滞在、職業活動及び統合に関する法律 』、Gesetz über den Aufenthalt, die Erwerbstätigkeit und die Integration von Ausländern im Bundesgebiet ,Aufenthaltsgesetz ) 、第2章のEU自由移住法(『欧州連合市民の一般 的移動の自由に関する法律』(Gesetz über die allgemeine Freizügigkeit von Unionsbürgern)で、第3章以下は既 存の法令の改正、廃止、施行手続きに関する法律である。滞在法は10章107条からなり、第3章で統合コースの奨 励が謳われており、その内第43条、44条、44条aは統合コースに関する規定である。 (注2)「統合」(Integration)とは「これまで部外者であった人物乃至は集団が、より大きな社会的集団乃至は社会 の一部になる過程」を意味する。「統合」及び「共生」の概念については、「外国人労働者研究」(手塚 和彰著、信山 社、2004年8月)p5-p20 に詳しい。 (注3)移民受け入れ国(Einwanderungsland)との表現は政治的に意図的に回避されていた。移民法の名称は 『Zuwanderungsgesetz』であり、『Einwanderungsgesetz』ではない。『Einwanderung』が「長期的な滞在」を意味 するのに対し、『Zuwanderung』には、「期限付き滞在」と「長期的な滞在」の2つの意味があり、法律の名称にも入 念な配慮がなされている。 (注4)後期帰還移住者(Spätaussiedler)とは、第2次世界大戦の結果、ドイツ民族であることにより激しく迫害さ れ、戦後も数十年に渡り、相当不利な扱いを受けた、ドイツ民族に属する者で、連邦追放者法(Bundesvertriebenen gesetz)が定める強制移住地域(旧ソ連、旧東欧ブロック)を1992年12月31日以降受け入れ手続きにより離れ、 それから6か月以内にドイツに定住した者をいう。1992年12月31日以前に帰還した人々は帰還移住者(Aussi edler)である。なお、旧東独から旧西独に移住したドイツ人は Übersiedler という。 帰還移住者、後期帰還移住者等については「統一ドイツの外国人問題」(近藤 潤三著、木鐸社、2002年2月)に 詳細な分析がある。 (注5)後期帰還移住者、帰還移住者:約450万人、ドイツに帰化した者:約160万人、国際結婚による子供:約 150万人等 。「移民の背景を有する人々」という用語はドイツの文献では、「外国人を含む広義の意味」と、「外国 人を含まない狭義の意味」の双方で使用されることがあり、注意を要する。 8 II 第2次大戦後のドイツにおける移民問題の経緯 1.50年代のドイツにおける奇跡的経済復興により、国内労働力のみでは足りず、ドイ ツは、イタリア(1955年)、スペイン(1960年)、ギリシャ(1960年)、ト ルコ(1961年)、モロッコ(1963年)、ポルトガル(1964年)、チュニジア (1965年)及びユーゴスラヴィア(1968年)と次々に外国人労働者募集協定を締結 した。これが、いわゆる「ガストアルバイター」(注6)の受け入れである。 2.1961年のベルリンの壁の構築により、当時の東ドイツからの西ドイツへの労働力 流入が減少した。60年代末においては、イタリア人、スペイン人、ギリシャ人のガスト アルバイターが多かったが、次第にユーゴ人、トルコ人の割合が増加し、1968年には、 トルコ人の外国人に占める割合は11%弱であったが、1973年には23%に増加した。 3.本来は、『ローテーション原則』(Rotationsprinzip)により、外国人労働者は、滞在 期間が過ぎたあと、本国に帰国すると考えられていたが、60年代末になると、経済界の 要請、ドイツで働くことによる高収入等の理由により、外国人労働者の滞在期間は長期化 していくことになる。更に、73年の「外国人労働者募集取り止め」により、外国人労働 者は、一端帰国すれば二度とドイツで働けないという理由からそのままドイツに滞在し、 家族呼び寄せが加速していった。(注7) 4.1973年―79年は外国人の数は比較的安定していたが、1986年―96年に、 280万人増加し、730万人に達した。この要因としては、家族呼び寄せ、外国人の出 生による増加のほか、85年から急増したボスニア・ヘルツェゴヴィナからの難民流入が 挙げられる。 5.1989年、東西冷戦終結に伴い、中・東欧、旧ソ連地域のドイツ人が大量にドイツ に帰還する。1991年、外国人法、雇用促進法が改正され、滞在許可証、労働許可証の 発給要件が厳格化される。1993年には雇用情勢の急速な悪化を背景に労働許可証発給 の運用が厳格化されると共に、難民受け入れに制限が加えられる。 6.90年代末に「(ドイツへの)移住ではなく統合を」 (Integration statt Zuwanderung) という考え方が生まれ、政治的、社会的には統合(Integration)の重要性が高まっていっ た。その背景としては、第2世代、第3世代の移民の若者が義務教育を終了せず、また就 職出来ないこと等により、ドイツ社会と遊離した「並行社会」 (Parallelgesellschaft)が生 まれ、それが将来、社会不安、武力衝突に繋がる可能性があるという不安や恐怖感をドイ ツ人の中に惹起したことが挙げられる。 9 7.2000年、IT 技術者等専門的知識を有する外国人の導入要請が経済界で強まり、高 度 IT 技術者の受け入れを可能とする『グリーンカード』省令が導入される。他方、CDU/CSU は制度濫用者の規制厳格化を含めた『包括的立法』の必要性を指摘する。 8.2000年の夏から翌年の夏にかけて、政党のみではなく、経済界、労働組合、教会、 ドイツ及び非ドイツの諸団体は、移民に関する基本的な立場につき共通点を見出すに至っ た。ドイツでは移民問題に関する考え方のパラダイムの大転換が起こった。新たな認識は 次の4点に要約される。 (1)ドイツは事実上「移民受け入れ国」 (Einwanderungsland)である。ドイツは数十年 に渡って多数の移民を受け入れてきており、移民は既にドイツに定住している。 (2)ドイツは、難民や亡命者に対して、人道的な責務を有している。 (3)ドイツは、その移民統合能力に対応した、移民の移住及びその調整と制限に関する 移民法を必要としている。 (4)移民と統合はメダルの両面である。統合は移民政策上、最重要課題である 9.2000年9月、ジュースムート(注8)を委員長とする「新移民法の準備に関する 独立委員会」(通称「ジュースムート委員会」)(注9)が設置され、2001年7月、 「移民受け入れを設計し、統合を促進する」と称する、将来の外国人・移民政策に関する 提案・勧告を内容とする報告書が提示される。 10.2001年11月、移民法案は閣議決定され、2003年1月1日の法律施行に向 け、作業が進められていたが、2002年12月、連邦参議院の採択を巡り、連邦憲法裁 判所により違憲判決(注10)が出されたため、新移民法案は廃案となった。しかし、2 004年7月に妥協案が両院協議会で採択され、8月5日に公布され、2005年1月1 日、移民法が発効した。 10 (表1)ドイツにおける外国人数と失業率、実質国民所得の変遷(1951−2005年) 年 総人口 外国人の 割合(%) 外国人数 外国人の 増減率(%) 実質経済 成長率(%) 失業率(%) 1951 50,808,900 506,000 1.0 1961 56,174,800 686,200 1.2 + 35.6 4.6 10.4 1967 59,926,000 1,806,653 3.0 + 163.3 -0.3 2.2 1968 60,345,300 1,924,229 3.2 + 6.5 5.5 1.5 1969 61,069,000 2,381,061 3.9 + 23.7 7.5 0.8 1970 60,650,600 2,976,497 4.9 + 25.0 5.0 0.7 1971 61,502,500 3,438,711 5.6 + 15.5 3.1 0.9 1972 61,776,700 3,526,568 5.7 + 2.6 4.3 1.1 1973 62,090,100 3,966,200 6.4 + 12.5 4.8 1.3 1974 62,048,100 4,127,366 6.7 + 4.1 0.2 2.7 1975 61,746,000 4,089,594 6.6 - 0.9 -1.3 4.7 1976 61,489,600 3,948,337 6.4 - 3.5 5.3 4.6 1977 61,389,000 3,948,278 6.4 - 0.0 2.8 4.5 1978 61,331,900 3,981,061 6.5 + 0.8 3.0 4.4 1979 61,402,200 4,143,836 6.7 + 4.1 4.2 3.8 1980 61,653,100 4,453,308 7.2 + 7.5 1.0 3.9 1981 61,719,200 4,629,729 7.5 + 4.0 0.1 5.6 1982 61,604,100 4,666,917 7.6 + 0.8 -0.9 7.7 1983 61,370,800 4,534,863 7.4 - 2.8 1.8 9.2 1984 61,089,100 4,363,648 7.1 - 3.8 2.8 9.1 1985 61,020,500 4,378,942 7.2 + 0.4 2.0 9.3 1986 61,140,500 4,512,679 7.4 + 3.1 2.3 8.9 1987 61,238,100 4,240,532 6.9 - 6.0 1.5 8.9 1988 61,715,100 4,489,105 7.3 + 5.9 3.7 8.7 1989 62,679,000 4,845,882 7.7 + 7.9 3.6 7.9 1990 63,725,700 5,342,532 8.4 + 10.2 5.7 7.2 1991 80,274,600 5,882,267 7.3 + 10.1 5.0 6.3 1992 80,974,600 6,495,792 8.0 + 10.4 2.2 7.7 1993 81,338,100 6,878,117 8.5 + 5.9 -0.8 8.9 1994 81,538,600 6,990,510 8.6 + 1.6 2.7 9.6 1995 81,817,500 7,173,866 8.8 + 2.6 1.9 9.4 1996 82,012,200 7,314,046 8.9 + 2.0 1.0 10.4 0.8 1997 82,057,400 7,365,833 9.0 + 0.7 1.8 11.5 1998 82,037,000 7,319,593 8.9 - 0.6 2.0 11.1 1999 82,163,500 7,343,591 8.9 + 0.3 2.0 10.5 2000 82,259,500 7,296,817 8.9 - 0.6 3.2 9.5 2001 82,440,400 7,318,628 8.9 + 0.3 1.2 9.4 2002 82,536,700 7,335,592 8.9 + 0.2 0.0 9.8 2003 82,531,671 7,334,765 8.9 - 0.01 -0.2 10.5 2004 82,500,849 6,717,115 8.1 - 8.4 1.3 10.6 2005 82,437,995 6,755,811 8.2 + 0.6 0.9 11.6 (出典:連邦統計庁2007年、Bundesbank 統計、連邦雇用庁統計により作成)(注11) (注6)Gastarbeiter。「ゲストワーカー」。ドイツ語の「Gast」は「客」で、「Arbeiter」は「労働者」。1950 年代以 降、ドイツの労働力不足を補うために外国から招かれた労働者のこと。ガストアルバイターは「客」であるので、一時 的に滞在し、本国に帰国するものと考えられていた。 (注7)スイスの作家マックス・フリッシュ(1911∼1991、MAX Frisch)は彼の日記の中で、「スイス経済 は労働者を呼んだのに、来たのは人間であった」 (Die schweizer Wirtschaft hat Arbeitskräfte gerufen,und es kamen Menschen)と記したが、ドイツではこのマックス・フリッシュの言葉は「労働者を呼んだのに、来たのは人間であっ た」(Wir riefen Arbeitskräfte ,und es kamen Menschen)という形でしばしば引用される。 11 (注8)リタ・ジュースムート(Rita Süssmuth)。国際比較教育学教授としてボッフム、ドルトムンド、ゲッティン ゲン大学で教鞭をとる。1985年、青少年・家庭・健康担当連邦大臣、1988年―98年、連邦議会議長。ジュー スムート女史は、2000年に連邦政府により設置された「新移民法の準備に関する独立委員会」委員長、「移民と統 合専門家委員会」委員長を歴任するとともに、2005年にアナン国連事務総長に報告書を提出した「移住(Migration) のための世界委員会」のメンバーである。2006年からは、「少数民族の弱者を社会及び労働市場に統合するための EU 高級顧問グループ(High Level Group)」議長。 (注9)ジュースムート委員会報告(2001年7月4日)の正式題名は「移民の受け入れを設計し、統合を促進する」 (Zuwanderung gestalten-Integration fördern)である。少子高齢化及び国際競争が激化する中、ドイツの生活水準 を長期的に維持することが重要であり、そのためには労働市場の動向に即した外国人受入れが必要であるという問題意 識の下、具体的な移民受入れ制度として次の提案をしている。 (i)将来、45歳以下の健康な専門的な知識を有する外国人をポイント・システムに基づいて選別し、移民として受け 入れること、 (ii)滞在期間5年を上限とし、短期的な労働需給のボトルネックを充足するため、労働需要の存在を前提として年間2 万人の外国人を受け入れること、 (iii)負担能力のあるビジネス構想を有している外国人、学生及び経済・研究分野における最優秀の人材の受け入れ に量的規制を設けないこと、難民の手続きが1年以内に終了すべく、手続きの迅速化を行うこと、 (iv)より良き統合のため、第二語学として移民の子弟にドイツ語を教える教師の養成を行うこと、等 (注10)新移民法成立の経緯については、 「欧州および北米各国における外国人の在留管理の実情に関す る調査報告書」、外務省領事局外国人課、2006年2月、p 16∼p17が詳しい) (注11)1951年から2005年までの、ドイツにおける外国人数、失業率、実質国民所得の変遷を表で示してい る。外国人数、失業率、実質国民所得の間には一定の相関関係が見られる時期もあるが、全体的に強い相関関係を読み 取ることはできない。これは、欧州、とりわけドイツにおいて、国家的変革、体制の崩壊、制度の変更・構築(「ベル リンの壁構築」 (1961年)、 「外国人労働者募集取り止め」 (1973年)、 「ベルリンの壁の崩壊」 (1989年)、ボ スニア・ヘルツェゴヴィナの独立(1992年)による難民流入(約32.5万人)、 「マーストリヒト条約の発効」 (1 993年)、「ドイツにおける庇護申請者の再統合と移住計画」)等の歴史的な大変革、移民政策の転換等の要素があま りにも大きかったこと、またEU原加盟国を除いては原則的に労働移動の自由が限定的であったことから、本来考えられ 得る相関関係は特定の時期を除いては明確には顕れていない。 12 III ドイツにおける外国人・移民問題の現状 1.2005年末におけるドイツの総人口は82,437,995人で、そのうち外国人 は6,755,811人(8.2%)であり、外国人のなかでは、トルコ人は1,764, 041人で、全体の26.11%を占めており、その数は飛び抜けて多い。これに、イタ リア人(540,810人、8.01%)、ポーランド人(326,596人、4.83%) 、 ギリシャ人(309,794人、4.59%)が続く。外国人の内EU(14カ国)の国籍 保持者は24.5%、EU新規加盟国(10カ国、2004年5月1日加盟)の国籍保持者 は7.3%、第3国の国籍保持者は68.2%である。なお、ロシア人は、185,93 1人で、外国人数としては7番目であるが、旧ソ連からの後期帰還移住者が多く、ドイツ 国籍を有しながら、ドイツ語を解さない者が多いことから、後期帰還移住者をドイツ社会 に統合する取り組みはドイツ政府にとり、重要な課題のひとつとなっている。 (表2)ドイツにおける国籍別外国人(2005年12月31日現在) 平均値(単位:年) 国籍 人数 年齢 滞在期間 外国人に占 ドイツの全人口 める割合 に占める割合 (%) (%) 1 764 041 33.7 19.9 26.11% 2.14% イタリア 540 810 38.7 24.3 8.01% 0.66% ポーランド 326 596 36.1 9.5 4.83% 0.40% ギリシャ 309 794 39.5 23.3 4.59% 0.38% セルビア・モンテネグロ 297 004 32.2 15.4 4.40% 0.36% クロアチア 228 926 42.5 24.7 3.39% 0.28% ロシア連邦 185 931 35.3 5.5 2.75% 0.23% オーストリア 174 812 46.7 25.7 2.59% 0.21% ボスニア・ヘルツェゴヴィナ 156 872 36.6 17.1 2.32% 0.19% ウクライナ 130 674 39.2 5.7 1.93% 0.16% オランダ 118 556 45.7 25.0 1.75% 0.14% ポルトガル 115 606 37.4 19.3 1.71% 0.14% スペイン 107 778 42.5 26.1 1.60% 0.13% フランス 102 244 39.8 17.3 1.51% 0.12% 米国 97 864 42.6 15.8 1.45% 0.12% 英国 96 245 43.0 18.2 1.42% 0.12% ベトナム 83 446 30.7 11.1 1.24% 0.10% イラク 75 927 26.2 5.9 1.12% 0.09% 中華人民共和国 73 767 30.4 5.4 1.09% 0.09% ルーマニア 73 043 34.4 8.0 1.08% 0.09% モロッコ 71 639 33.4 14.0 1.06% 0.09% マセドニア 62 093 34.2 17.2 0.92% 0.08% イラン 61 792 37.4 12.3 0.91% 0.07% カザフスタン 59 370 33.7 5.1 0.88% 0.07% アフガニスタン 55 111 29.2 9.1 0.82% 0.07% 6 755 811 36.0 16.8 100% 8.20% トルコ 総合計 (ドイツ連邦統計庁外国人中央登録簿をもとに作成) 13 2.外国人人口が多いのはノルトライン・ヴェストファーレン州(1,927,383人)、 バーデン・ヴュルテンベルグ州(1,277,968人) 、バイエルン州(1,179,7 37人)、ヘッセン州(697,218人)、ニーダーザクセン州(534,001人)の 順である。外国人人口比率が高いのはハンブルグ州(14.22%)、ベルリン州(13. 74%)、ブレーメン州(12.75%)、バーデン・ヴュルテンベルグ州(11.90%)、 ヘッセン州(11.44%)の順である(注12)。 (表3)ドイツ各州における外国人数(2005年12月31日現在) 州 ドイツ全体の人口 に占める 州の人口の割合 人口数 外国人数 州の人口に占める 外国人の割合 バーデン・ヴュルテンベルグ州 10,735,701 13.02% 1,277,968 11.90% バイエルン州 12,468,726 15.12% 1,179,737 9.46% ベルリン州 3,395,189 4.12% 466,518 13.74% ブランデンブルグ州 2,559,483 3.10% 67,029 2.62% 663,467 0.80% 84,588 12.75% ハンブルグ州 1,743,627 2.12% 247,912 14.22% ヘッセン州 6,092,354 7.39% 697,218 11.44% メックレンブルグ・フォアポンメルン州 1,707,266 2.07% 39,394 2.31% ニーダーザクセン州 7,993,946 9.70% 534,001 6.68% 18,058,105 21.91% 1,927,383 10.67% ラインラント・ファルツ州 4,058,843 4.92% 312,926 7.71% ザールランド州 1,050,293 1.27% 87,627 8.34% ザクセン州 4,273,754 5.18% 119,786 2.80% ザクセン・アンハルト州 2,469,716 3.00% 46,723 1.89% シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州 2,832,950 3.44% 152,566 5.39% ブレーメン州 ノルトライン・ヴェストファーレン州 テューリンゲン州 全ドイツ 2,334,575 2.83% 47,773 2.05% 82,437,995 100.00% 7,289,149 8.84% (出典:連邦統計庁及び各州統計局、2007年) (注12)旧東独地域(ブランデンブルグ州、メックレンブルグ・フォアポンメルン州、ザクセン州、ザクセン・アン ハルト州、テューリンゲン州、旧東ベルリン地域)における外国人は少なく、外国人人口比率は1%∼2%台である。 ドイツには16の州があり、そのうちベルリン州、ブレーメン州、ハンブルグ州の3州が州としてのステータスを備 えた「都市州」Stadtstaatであり、残りの13州が「(都市州ではない)州 」(Flächenland)である。 14 IV ドイツにおける外国人・移民受け入れの背景 1.「並行社会」形成の阻止 (1)外国人・移民問題でドイツにとり最も重要なことは、ドイツ社会から遊離した「並 行社会」が生まれることを阻止し、社会の不安定化を招かないことである。 ドイツにおける、基幹学校(Hauptschule、(図1)参照)未修了の外国人の子弟は、ドイ ツ人の8%に対し、20%である(2003年)。また、大学進学コースのギムナジウムに はドイツ人の子弟の37%が通学しているのに対し、外国人の子弟については16%であ る(2003年)。 (図1)ドイツの教育制度の基本パターン(義務教育は9年、一部の州では10年) (注13) 基礎学校 (Grundschule)4年 (6歳∼10歳) ギムナジウム 実科学校 基幹学校 (Gymnasium)9年→ (Realschule)6年 (Hauptschule)5年 大学 →高等専門学校 →職業養成学校+見習 (Fachoberschule) い ドイツ語を母国語としない外国人子弟はドイツ語で実施される授業について行けないこ とから、一般的にドイツ人生徒に比べ成績がよくない。ドイツ人生徒と外国人生徒間のこ うした格差は、その後の高等教育、職業選択に大きく影響するだけでなく、落ちこぼれた 外国人生徒はドイツ人社会そのものに馴染めず、非行に走り、反社会的行動を起こさせる 要因になる(注14)。 (注13)義務教育はドイツでは通常9年であるが、ベルリン州、ブランデンブルグ州、ブレーメン州、ノルトライン・ ヴェストファーレン州、ザクセン・アンハルト州の5州では10年。 (注14)2006年3月3日に起きた、外国人子弟が大半を占めるベルリンの学校の事件。ベルリンのノイケルンに あるリュテゥリ(Ruetli)基幹学校の教職員は、ベルリン州教育相に対し、「生徒の校内暴力に対応できないので学校 を閉鎖して欲しい旨の嘆願書を提出した。この学校の生徒数は224人で、そのうち83.2%が移民の子弟で、生徒 の34.9%がアラブ系で、26.1%がトルコ人であった。 15 (2)このようなドイツ人社会への疎外感は、成人外国人にも当てはまる。外国人の失業 率は、ドイツ人の失業率の約2倍であり、これは生活保護に係わる財政の負担増の問題の みではなく、社会の大きな不安要因になっている。そのような状況のなかで、共通の言語、 習慣、文化を有する者同士が集まり、ドイツ人社会とは別の共同体を形成することも少な くない。このような場合、ドイツ人社会の中にいわゆる「並行社会」というドイツ社会と は遊離した民族的・文化的社会が生まれることになり、社会の不安定化要因となり得る。 ドイツでは、移住の意志決定を自ら行った1世とは異なり、アイデンディティが希薄にな っている2世、3世のトルコ人が特に問題となっている。 このような状況の下、連邦政府の喫緊の課題は、生活の基本となるドイツ語の習得支援 により、就学率、就職率を高め、ドイツ社会から遊離するグループが生まれることを阻止 することである。このような観点から連邦政府は、ドイツ語教育による統合に最大の重点 を置いている。 2.潜在的労働力の活用 必要最低限の学業の修得を経ず、またこれを条件とする職業訓練を受けることもできな い場合には、ドイツのような資格社会では就業の機会に恵まれないことが多い。こうした 問題を抱える外国人に対し、ドイツ語教育をはじめ、適切な職業訓練の機会を提供し、労 働力として活用することにより、社会や経済の活性化につなげるべきとの考えの下、外国 人労働力の活用が期待されている。かかる観点から、外国人失業者を経済の過程に組み入 れるための職業訓練等種々のプロジェクトが企画・実施されている。 3.グロバリゼーションの中での移民受け入れ 2006年9月14日、15日の両日、「移民と発展」が初めて国連総会の議題にのぼ った。国連の統計によれば、移民からの送金は、2国間及び多国間のODAの額の3倍に及 んでいると推定されている。 ドイツでは将来の移民受け入れについてのコンセンサスはなく、高度な専門知識を有す る移民を除いては、移民の受け入れについては厳しい姿勢で臨んでいるが、「移民は貧困 に対する最古のリアクションである」との観点から、グロバリゼーションが進む中で、移 民問題に経済協力的な意味を付与する考え方も出てきている。この考え方によれば、バイ・ マルチの ODA 供与により移民の流入を阻止しようとする従来の考え方は変わりつつある としつつ、移民を受け入れることにより、グロバリゼーションによる勝者と敗者のギャッ プを緩和することができるとしている。かかる状況の下、グロバリゼーションが進む中で、 ジュースムート元ドイツ連邦議会議長の著書「移民と統合:我々の社会のための試練」 に見られるように、ドイツでは移民と経済協力とを関連づけて考える傾向が強まってきて いる。(注15) (注15)Migration und Integration:Testfall für unsere Gesellschaft,DeutscherTaschenbuchVerlag GmbH&Co.KG 2006 16 4.貿易大国としてのドイツ ドイツの2005年の貿易総額は14,118億ユーロで、内輸出は7,862億ユー ロであった。ドイツは世界第1位の輸出国であり、国民総生産の3分の1は輸出によるも のである。ドイツには、270万人の従業員を抱える2.2万の外国企業が拠点を置いて おり、2003年の対独直接投資額は5,446億ドルであった。 このようにドイツは貿易大国であり、対独直接投資額も大きい。ドイツの輸出に支障が きたし、対独直接投資が激減すれば、ドイツ経済は多大な痛手を被ることになる。かかる 観点から、良好な対独イメージをドイツ在住の外国人に持ってもらうことは極めて重要で あり、このことは中長期的に良好な2国間関係を維持するためには不可欠である。従って、 このような状況の下、ドイツは、移民をドイツ社会に組み入れ、暖かく受け入れることに 多大なメリットがあると考えている。 17 V 移民法成立後の統合コースを巡る動き 1.2006年1月、連邦内務省は、統合コース評価報告書をランボール・マネージメン ト社(注16)に委託した。 2.2006年7月、第一回統合サミット(注17)が開催された。統合サミットでは、 政府の目標は、一層の統合を実現するため、「統合コースを更に発展させる」を含む6の分 野につき討議され、「統合コース」の他、5のワーキング・グループが設置された。 3.2006年7月、連邦内務省は移民法評価報告を発表した。右報告は、移民法全体に 関するものであるが、第4章の「統合と社会」の中で、統合コースにつき言及している。 (詳 細については VII 1.(1)を参照願いたい。 ) 4.2006年12月、 ランボール・マネージメント社は統合コース評価報告書を連邦 内務省に提出した。(詳細については VII 2.を参照願いたい。) 5.2007年1月、連邦内務省はランボール・マネージメント社の統合コース評価報告 書にコメントを行った。 (詳細については VII 3.を参照願いたい。) 6.移民法改正案は2007年3月28日に閣議決定された。統合コースに関しては、滞 在法第43条、第44条、第44条 a、45条に追加・修正がある。主要な追加・修正点は 以下の通り。 (1)滞在法第44条(統合コース受講の権利)第4項に、統合コース受講可能な空席が ある場合には、「十分なドイツ語の知識を有せず、特に統合される必要があるドイツ国籍保 有者」は、統合コースを受講できるとの文言が追加された。これまでは、滞在法第44条 第4項は、受講資格がない外国人のみに適用されていた。 (2)滞在法第44条 a(統合コース受講の義務)第2項の後に、「滞在法第38条 a に基 づく滞在許可を保有し、過去に長期的滞在有資格者としての法的地位を得るために他の EU 加盟国で統合措置に参加したことを証明できる外国人は、オリエンテーション・コースの 受講義務を免除される。 」との文言が追加された。 (3)滞在法第44条 a(統合コース受講の義務)第3項は、「外国人が、自己の責めに帰 する理由により、統合コース受講義務の履行を果たさない場合、また修了試験に不合格の 場合には、外国人局は滞在許可の延長に、このような行為が影響を及ぼす可能性があるこ とを外国人に指摘する。外国人局は、行政的強制力により、当該外国人の受講義務の履行 を促すことが出来る。・・・」と修文された。 7.2007年6月14日、移民法改正案、連邦議会を通過。 8.2007年6月27日、連邦政府、連邦議会に統合コースの実施状況、財源確保に 関する報告書を提出。 内容については VII4.を参照願いたい。 18 9.2007年7月6日、連邦参議院、移民法改正案可決 10.2007年7月12日、メルケル首相、国家統合計画を発表 内容については VIII を参照願いたい。 11.2007年7月15日、移民法改正案発効 改正移民法の統合コース関連条文については末尾「参考」を参照願いたい。 (注16)ランボール・マネージメント社は250人以上のコンサルタントを有するスカンジナヴィア系の欧州で最も 大きいコンサルティング会社の一つである。ハンブルグ、ミュンヘン、ベルリン、コペンハーゲン、アーアルフス、オ スロ、ストックホルム、ブラッセルに事務所を有する同社は、戦略的マネージメント、IT、イノベーション、研究、サ ーベイ等の分野で、公的機関及び企業等に対し、コンサルティングを実施している。 (注17)統合サミット(第一回統合サミット、於ベルリン)は2006年7月14日に開催された。政府の目標は一 層の統合を実現するため、次の6の分野で発展することである。(イ)統合コースを更に発展させる(ロ)初期段階か らドイツ語を奨励する(ハ)良好な教育と職業教育を確保し、労働市場への機会を高める(ニ)女性及び女性の児童の 生活状況を改善し、男女同権を実現する(ホ)現場での統合を支援する(ヘ)市民社会を強化する 連邦政府は、「移民の統合は、ドイツにおける、最も重要な政治的、社会的挑戦の一つである。政府は、そこに政治 的課題を解く鍵があると見ている。」とし、会議中に6のワーキング・グループ(イ)統合コース(ロ)ドイツ語(教 育、職業教育、職業教育市場(ニ)女性及び女性の児童の状況(ホ)現場での統合活動(ヘ)共有する市民社会強化に 向けての統合活動、が設置された。メルケル首相は、統合サミットについて、「ほとんど歴史的出来事」と述べ、非常 に満足していたが、トルコ人団体、SPD 等からは批判がでた。 19 VI 統合コースの概要 1.全般 (1)統合コースは、2005年1月1日に施行された移民法に基づき実施される。移民 法成立以前にも統合コースは存在していたが、これにより、初めて、国家による、統一的 に法律で規定された統合プログラムが誕生した。このプログラムによる統合コースは63 0時間であり、その内600時間(45分授業)がドイツ語習得コースで、30時間がオ リエンテーション・コースである。ドイツ語習得コースの目標は、欧州議会が定めた「欧 州言語を対象とする共通の語学力基準」(GER)のB1水準に相当する「十分な語学能力」 の習得及びドイツの法秩序、歴史、文化に関する基本的知識の習得である。これにより、 移民はドイツの日常生活における全ての事項について、第三者の助けや仲介を受けること なく、自律的に行動できるほどドイツの事情に精通することになるとしている。 統合コースの調整は連邦移民難民庁が実施する。なお、統合コースに係わる移民法のな かの関連条文は、滞在法第3章第43条、第44条、第44条 a、第45条である。 (2)移民法の統合コースが導入されてから2年が経過した。2005年、2006年の 合計の、長期滞在外国人、新規外国人、後期帰還移住者の統合コース受講者の割合は、そ れぞれ58.6%、28.7%、12.7%であった。 統合コース受講資格者数は、2006年には対前年比約3分の1減少しているが、14 3,392人という高いレベルにあった。2006年には同様に、統合コース新規受講資 格者数は若干減少した。2005年には、31,478人、2006年には76,401 人の受講者が統合コースを修了した。統合コースを2005年、2006年に修了した1 07,879人のうち、68,434人がドイツ語修了試験(Zertifikat Deutsch)を受験 し、48,750人が合格した。修了試験合格者は、修了試験受験者の71.2%で、統 合コース修了者の45.2%である。 2006年12月31日現在の統合コース数は9,800、統合コース受講者数は14 0,803人、認可された統合コース実施主体数は1,851である。 (3)2006年12月に公表されたランボール・マネージメント社のアンケート(注1 8)(質問:あなたは何年間学校に通学しましたか)によれば、ドイツに滞在している外 国人の通学年数では、10年以上が53.5%で圧倒的に多かったが、全く学校教育を受 けていない外国人(3.9%)を含め、学校教育を受けた期間が6年以下の外国人の割合 は16.4%であった。このように、外国人間での教育格差は大きく、統合コースの運営 において重要な課題となっている。 (注18)アンケートには750人以上の統合コース受講者が参加。アンケートは原則としてドイツ語で、 対面アンケートで実施されたため、回答者はドイツ語上級者である。但し、ドイツ語で実施することが不 適当と考えられるアンケートについては、12カ国語に翻訳されたアンケート用紙で実施された。 20 (図2)質問:あなたは何年間学校に通学しましたか 60.0% 53.5% 50.0% 40.0% 28.7% 30.0% 20.0% 9.4% 10.0% 3.9% 3.1% 全く受けていない 4年以下 1.3% 0.0% 4年∼6年 7年∼10年 10年以上 無回答 (出典:移民法に基づく統合コースの評価、ランボール・マネージメント社、2006年12月) (4)2006年12月に公表されたランボール・マネージメント社のアンケート(質問: 自宅及び友人とどれだけ頻繁にドイツ語を話しますか)によれば、ドイツ語を、自宅及び 友人と「ほとんど話さない」外国人が全体の50%以上を占め、「全く話さない」外国人 を併せると、60%に及び、事態の深刻さが伺える。他方、自宅及び友人と「常に話す」、 「頻繁に話す」外国人については、友人宅でドイツ語を話す機会が多いとの結果が出てい る。 (図3)質問:自宅及び友人とどれだけ頻繁にドイツ語を話しますか(アンケート数766) 60.0% 50.5% 50.0% 50.0% 40.0% 30.0% 24.3% 自宅 友人 26.2% 20.0% 10.3% 12.8% 12.7% 9.3% 10.0% 2.1% 1.8% 0.0% 常に話す 頻繁に話す ほとんど話さない 全く話さない 無回答 (出典:移民法に基づく統合コースの評価、ランボール・マネージメント社、2006年12月) 21 (5)2006年12月に公表されたランボール・マネージメント社のアンケート(質問: なぜ統合コースをやめましたか)によれば、統合コースをやめた理由としては、妊娠(7 0.5%)、就業(68.4%)が一番多く、モチベーションの不足(39.1%)と答え た回答者も多かった。 (表4)統合コースをやめた理由 統合コースをやめた理由 数 % 妊娠 673 70.5 就業 653 68.4 心理的乃至は他の健康上の問題 479 50.2 子供の世話 377 39.5 モチベーションの不足 373 39.1 低過ぎる、あるいは高過ぎる統合コースの要求 272 28.5 母国への帰国 210 22.0 統合コースの時間の不都合 162 17.0 病気の親族の世話 158 16.6 (出典:移民法に基づく統合コースの評価、ランボール・マネージメント社、2006年12月) 2.統合コース受講対象者(2005年の移民法に基づく) (1)概要 ( イ ) 統 合 コ ー ス 受 講 対 象 者 に は 、 (i) 既 に 長 期 的 に ド イ ツ に 滞 在 し て い る 外 国 人 (Bestandsausländer、以下「長期滞在外国人」),(ii)2005年1月1日以降初めて1 年以上の滞在許可を取得した、新規にドイツに移住してきた外国人(Neuzuwandernde Ausländer,以下「新規外国人」)、(iii)後期帰還移住者(Spätaussiedler)、の3つのカテ ゴリーがある。 (ロ)統合コースは、原則としてドイツ語を話すことのできない新規外国人に対して義務 化されているが、長期滞在外国人にも統合コースを受講する権利が付与されている。新規 外国人は外国人局に在留許可を申請した際に、統合コースの受講を義務付けられることと なっている。長期滞在外国人は、在留許可更新時に係官との会話を通じて、ドイツ語能力 の評価が行われ、不十分であると判断される場合には、統合コースの受講が勧められる。 (ハ)長期滞在外国人は、原則として統合コース受講の義務はないが、統合コースに空席 がある場合には、申請をすることで受講が許可される。長期滞在外国人は、統合コースに 空席があり、かつ当該外国人が生活保護を受けている場合には、統合コース受講が義務付 けられることがある。 22 (ニ)新規外国人が統合コース受講の義務を履行しなかった場合には、滞在許可延長を決 定する際にその旨が考慮され、場合によっては、滞在許可が延長されないことがある。失 業保険を受給し、統合コース受講を義務付けられた外国人は、統合コース受講義務を履行 しなかった期間に応じて受給が10%減額される。 (ホ)新規移民の統合コース受講義務については次の3つの例外がある。第1は、移動の 自由が認められているEEA諸国民、第2は、二国間協定に基づく季節労働者等。但し、 労働者の扶養家族は義務を免除されない。第3は、企業内転勤による駐在員等で長期在留 する意思がないことが明白な外国人、である。 (2)「統合コース実施ガイドライン」等に基づく統合コース受講資格・義務 以下では、「統合コース実施ガイドライン」(2006年3月14日版)を中心に、 「外国 人及び後期帰還移住者のための統合コース実施に関する規則」(2004年12月13日) を参考にしつつ、統合コース受講対象者を、(イ)外国人、(ロ)後期帰還移住者の2つの カテゴリーに分類し、統合コース受講資格・義務等につき更に具体的に見ていくこととす る。なお、ドイツ国籍保有者は法的には統合コースを受講する権利はない。これは、ドイ ツ旅券の他に、外国旅券を所持している場合においても同様である。 (イ)外国人 ドイツに「長期的」(dauerhaft)に居住している外国人(長期滞在外国人)は1回に限 り、統合コースを受講することを要求することができる。(「長期的」居住とは、原則とし て1年間以上の滞在許可を有する外国人乃至は18ヶ月以上滞在許可を有している外国人 で、一時的な滞在であることが認められる場合を除く) ケース1:次の目的、理由等により、初めて滞在許可を取得した外国人 (i) 就業目的のための滞在許可(滞在法18条、21条)、 (ii) 家族の呼び寄せ(滞在法28条、29条、30条、32条、36条)、 (iii) 滞在法25条第1項、滞在法2条に基づく人道的理由 ケース2:滞在法23条第2項に基づき無期限定住許可を取得した外国人 但し、(i) ドイツで学校教育を受け、あるいはドイツでこれまでの学校教育を継続し ている子供、青年、若い成人の外国人 (ii) 統合の必要性が少ないことが認められる外国人 (iii) 十分なドイツ語の知識のある外国人(既に十分なドイツ語の知識がある場 合には、オリエンテーション・コースのみを受講する資格がある。) は統合コース受講を要求する資格がない。(統合コース受講に際しては、支払い能力を考慮 し、適当な額の費用を徴収しなければならない。) 23 統合コース受講資格がある外国人で、(i)口頭にてドイツ語で簡単な意思疎通が出来ない者、 (ii)外国人局から、可能で、無理のない距離にある 統合コースの受講を勧められ、社会保障給付を 受給し、給付を承認した部署から受講を提案さ れた者 (iii)特に統合の必要性がある者、 は統合コース受講義務がある。 但し、次の外国人は、統合コース受講義務が免除される。 (i) ドイツで、職業教育、その他の教育を受けている者、 (ii) 類似の教育機会への参加を証明する者 (iii) 長期的な統合コース受講が不可能か受講を押しつけることが不適当な者 「外国人及び後期帰還移住者のための統合コース実施に関する規則」によれば、大学卒 業あるいは類似の資格を有する外国人、国の援助がなくても、ドイツの経済、社会、文化 生活に統合できると見なされる外国人等は例外とされている。 統合コース受講資格を有しないか、資格を失った者で、可能な統合コース実施場所があ る場合に連邦難民移民庁から認められた外国人は統合コースを受講することが出来る。同 様のことが、EU 市民及びその家族にも適用される。 2005年1月1日より前にドイツ語による教育課程に参加していない以下の外国人は、 滞在法第44条第1項に基づき、一回限りの統合コース無償受講の権利を有する。 (i) 2004年1月1日から2004年12月31日までの間に、庇護を受ける権利の ある者として認められた者 (ii) この時期に、外国人法第51条第1項に基づき、諸前提の存在が確認された者、 (iii)この時期に、1980年7月22日の、人道的支援活動の枠組みの中での受け入れ られた難民に対する諸措置に関する法律第1条に基づき、あるいは前述の法律の同 様な適用により、無期限の滞在許可を付与された者 (ロ)後期帰還移住者 後期帰還移住者、その配偶者及び卑属は受講資格がある。但し、ドイツで学校教育を受 け、あるいはドイツでこれまでの学校教育を継続する子供、青年、若年成人は例外である。 2004年12月31日までにドイツに入国した後期帰還移住者は、社会法典 III の当 時の諸規則に基づき、以前に語学コースを修了していない場合には、統合コース受講許可 申請をすることができる。 24 (3)2005年・2006年における統合コース受講対象者 (イ)2005年・2006年における統合コース受講有資格者 2005年1月の移民法施行から、359,047人が統合コース受講資格を取得して いる。2006年には、新規受講資格者は14,392人で、2005年に比し、その数 は約3分の1減少しているが、この要因としては、とりわけ(i)長期滞在移住者の統合コー スへの関心の減少、(ii)後期帰還移住者数の減少に起因する。 2006年の統合コースへの義務的受講者は45.1%で、2005年の29.9%を 大きく上回っている。その背景としては、(i)受講者全体に占める新規移住者の割合が増加 したこと、(ii)外国人局により、統合コース受講が義務化された長期滞在移住者数が増加 したことが挙げられる。 (表5)統合コース受講有資格者(2005年、2006年) 有資格者 2005年 % 2006年 % 合 計 連邦移民難民庁により 受講資格を付与された 長期滞在外国人 96,606 44.8 58,383 40.7 154,989 外国人局により 受講を義務付けられた 長期滞在外国人 19,266 8.9 20,828 14.5 40,094 外国人局により 受講資格を付与された 新規外国人 64,404 29.9 58,778 41.0 123,182 そのうち 受講を義務付けられた 新規外国人 45,161 後期帰還移住者 35,379 16.4 5,403 3.8 40,782 合 計 215,655 100.0 143,392 100.0 359,047 43,809 (出典:2006年の統合の成果、連邦移民難民庁、2007年3月31日) 25 88,970 (ロ)2005年・2006年における各州別統合コース新規受講者 各州別統合コース新規受講者数は概ねその州の外国人数に比例している。統合コース新 規受講者数については、ノルトライン・ヴェストファーレン州が2005年、2006 年とも全体の22.9%、24.8%を占めており、圧倒的に多い。ノルトライン・ヴェ ストファーレン州にバイエルン州、バーデン・ヴユルテンベルグ州、ヘッセン州、ベル リン州が続く。旧東独州は外国人数が少ないことから新規受講者数も少ない。 (表6)各州別統合コース新規受講者(2005年、2006年) 州 名 2005年新規 コース受講者 2006年新規 コース受講者 % % バーデン・ヴュルテンベルグ 16,808 12.9 16,274 13.8 バイエルン 18,033 13.8 16,637 14.1 ベルリン 8,780 6.7 9,764 8.3 ブランデンブルグ 2,896 2.2 1,734 1.5 ブレーメン 2,695 2.1 2,035 1.7 ハンブルグ 5,805 4.4 4,670 4.0 ヘッセン 8,898 6.8 10,109 8.6 メックレンブルグ・フォアポンメルン 1,956 1.5 1,054 0.9 ニーダーザクセン 9,871 7.6 8,628 7.3 29,917 22.9 29,298 24.8 ラインランド・ファルツ 6,037 4.6 5,579 4.7 ザールランド 2,075 1.6 1,321 1.1 ザクセン 4,264 3.3 2,727 2.3 ザクセン・アンハルト 3,076 2.4 1,677 1.4 シュレスヴィヒ・ホルシュタイン 4,607 3.5 3,258 2.8 テューリンゲン 2,081 1.6 1,285 1.1 居住地未確定 2,929 2.2 1,904 1.6 130,728 100.0 117,954 100.0 ノルトライン・ヴェストファーレン 合 計 (出典:2006年の統合の成果、連邦移民難民庁、2007年3月31日) 26 (ハ)資格別統合コース新規受講者、資格別統合コース修了者及び資格別統合コース受 講者(2005年、2006年) 2005年、2006年の資格別統合コース新規受講者、資格別統合コース修了者及 び資格別統合コース受講者は(表7) (表8) (表9)の通りである。 (表7)資格別統合コース新規受講者(2005年、2006年) 2005年 新規外国人 うち義務的受講 長期滞在外国人 うち義務的受講 うち受講資格付与 後期帰還移住者 合 計 女性の比率 2006年 29,087 21,269 78,554 9,753 68,801 23,087 130,728 61.4% 合 計 42,236 33,224 67,197 16,196 51,001 8,521 117,954 65.5% (出典:2006年の統合総決算、連邦移民難民庁 % 71,323 54,493 145,751 25,949 119,802 31,608 248,682 63.3% 28.7 21.9 58.6 10.4 48.2 12.7 100.0 2007年3月31日) (表8)資格別統合コース修了者(2005年)及び資格別統合コース受講者(200 5年12月31日) 資 格 統合コース 修了者 統合コース 受講者 % 新規外国人 5,317 うち義務的受講 3,493 義務的受講の長期滞在外国人 1,361 4.3 8,392 8.5 16,086 51.1 52,715 53.1 8,714 27.7 14,373 14.5 31,478 100.0 99,250 100.0 連邦移民難民庁によって受講資格を 付与された長期滞在外国人 後期帰還移住者 合 計 16.9 % 23,770 23.9 17,776 (出典:2006年の統合の成果、連邦移民難民庁、2007年3月31日) (表9)資格別統合コース修了者(2006年)及び資格別統合コース受講者(200 6年12月31日) 資 格 統合コース 修了者 新規外国人 22,427 うち義務的受講 16,716 義務的受講の長期滞在外国人 統合コース 受講者 % 29.4 43,579 % 31.0 34,284 7,816 10.2 16,772 11.9 連邦移民難民庁によって受講資格を 付与された長期滞在外国人 31,716 41.5 72,000 51.1 後期帰還移住者 14,442 18.9 8,452 6.0 合 計 76,401 100.0 140,803 100.0 (出典:2006年の統合の成果、連邦移民難民庁、2007年3月31日) 27 (ニ)コース種類別統合コース新規受講者、修了者(2005年、2006年) コースの種類としては、一般統合コース、青少年統合コース、父兄・女性統合コース、 アルファベット教育を含む統合コース等があるが、全体の5分の4以上が一般統合コー スである。 (表10)コース種類別統合コース新規受講者(2005年、2006年) コースの種類 一般統合コース 2005年 新規受講者 2006年 新規受講者 % % 117,906 90.2 99,623 84.5 青少年統合コース 2,063 1.6 899 0.8 父兄・女性統合コース 7,875 6.0 10,063 8.5 アルファベット教育を含む統合コース 2,884 2.2 7,331 6.2 0 0.0 38 0.0 130,728 100.0 117,954 100.0 その他の特殊統合コース 合 計 女性の比率 61.4% 65.5% (出典:2006年の統合の成果、連邦移民難民庁、2007年3月31日) (表11)コース種類別統合コース修了者(2005年、2006年) コースの種類 一般統合コース 2005年 コース修了者 2006年 コース修了者 % % 30,207 96.0 71,695 93.8 青少年統合コース 818 2.6 1,003 1.3 父兄・女性統合コース 191 0.6 2,372 3.1 アルファベット教育を含む統合コース 262 0.8 1,331 1.7 31,478 100.0 76,401 100.0 合 計 (出典:2006年の統合の成果、連邦移民難民庁、2007年3月31日) 28 (ホ)国籍別統合コース修了者及び統合コース受講者(2006年) 2006年末の統合コース受講者はトルコ人が26.8%と最も多いが、統合コース 修了者については、ロシア人の受講者はトルコ人の約4分の1であるにも拘わらず、ほ ぼ同じ数である。 (表12)国籍別統合コース修了者(2006年)及び統合コース受講者(2006年 12月31日) 2006年 統合コース修了者 2006年12月 31日時点の 統合コース受講者 % % 1 トルコ 10,904 14.3 37,692 26.8 2 ロシア 10,895 14.3 10,907 7.7 3 ウクライナ 5,309 6.9 5,805 4.1 4 ポーランド 2,213 2.9 4,671 3.3 5 カザフスタン 4,116 5.4 3,776 2.7 6 セルビアモンテネグロ 1,355 1.8 3,592 2.6 7 イラク 1,700 2.2 3,544 2.5 8 タイ 1,117 1.5 3,513 2.5 9 ベトナム 1,171 1.5 2,707 1.9 10 モロッコ 662 0.9 2,619 1.9 その他の国籍 22,517 29.5 53,525 38.0 合 計 61,959 81.1 132,351 94.0 後期帰還移住者 14,442 18.9 8,452 6.0 統 計 76,401 100.0 140,803 100.0 (出典:2006年の統合の成果、連邦移民難民庁、2007年3月31日) 29 3.統合コースの実施主体 ベルリン、ハンブルグ、ヘッセン、ノルトライン・ヴェストファーレン、ザールランド、 シュレスヴィヒ・ホルシュタインを除き、2006年には、前年に比し、統合コース実施 主体の認可件数は減少している。 2006年12月31日現在、1851の実施主体が、5800の統合コース実施施設 で、統合コース実施の認可を取得している。その内、国民学校、市町村の施設565、教 育施設(Bildungswerk)255,語学・専門学校346である。 (表13)州別統合コース実施主体 州 名 統合コース実施主体 % 231 263 108 45 20 46 134 48 127 386 102 42 111 65 57 66 1,851 12.5 14.2 5.8 2.4 1.1 2.5 7.2 2.6 6.9 20.9 5.5 2.3 6.0 3.5 3.1 3.6 100.0 バーデン・ヴュルテンベルグ バイエルン ベルリン ブランデンブルグ ブレーメン ハンブルグ ヘッセン メックレンブルグ・フォアポンメルン ニーダーザクセン ノルトライン・ヴェストファーレン ラインランド・ファルツ ザールランド ザクセン ザクセン・アンハルト シュレスヴィヒ・ホルシュタイン テューリンゲン 合 計 (出典:2006年の統合の成果、連邦移民難民庁、2007年3月31日) (表14)統合コース実施主体の種類 実施主体の種類 % 国民学校、市町村の施設 語学・専門学校 教育施設 市民運動グループ カトリック実施主体グループ 26.8 17.9 16.9 15.6 3.8 3.8 3.7 3.5 2.2 2.0 1.2 1.1 1.4 国際的な連合 職業教育所 自由な実施主体グループ 労働者福祉団体 福音派の実施主体グループ 外国の機関 ドイツ・外国の機関 その他の実施主体 (出典:移民法に基づく統合コースの評価、ランボール・マネージメント社、2006年12月) 30 4.統合コース受講に至るプロセス 連邦移民難民庁作成の「統合コース実施ガイドライン」で示されている、新規外国人、 長期在住外国人(義務的受講を含む)及びEU市民に関する統合コース受講プロセスは以 下の通り。(後期帰還移住者の統合コース受講に至るプロセスは省略) (図4)新規外国人の統合コース受講へのプロセス 外国人局 外国人 連邦移民難民庁 統合コース実施主体 ①統合コース受講の要 求の前提を滞在法第4 4条1項及び第44条3 項の除外構成要件に基 づき審査 ②受講義務の有無を確 認 ③受講資格失効時期の 確認 ④個人データの確認 統合コース受講資格、 受講義務に関する証明 書を作成し、それを外国 人に手交し、データを連 邦移民難民庁に送付 データの掌握 必要に応じ統合コース 受講費免除の許可 必要に応じ統合コース 受講費免除の申請 説明書及び必要に 応じ更なる情報を 外国人に手交 地域の統合コース 実施主体リストを 外国人に手交 統合コース 実施主体の選定 統合コースの実施 (出典:統合コース実施ガイドライン、連邦移民難民庁、2006年3月) 31 (図5)長期滞在外国人及びEU市民の統合コース受講へのプロセス 連邦移民難民庁 外国人 統合コース実施主体 統合コース受講の 許可申請 ︵ ①滞在法第44条4項の前提を 審査 ②受講資格失効時期の確認 ③個人データの確認 ︶ 必 要 に 応 じ 同 時 に 行 う 必要に応じ統合コース 受講費免除の確認 必要に応じ統合コース 受講費免除の申請 統合コース受講許可証明書を 作成し、外国人に送付 証明書及び必要に応じ 更なる情報を外国人に送付 地域の統合コース実施主体 リストを外国人に送付 統合コース 実施主体の選定 統合コースの実施 修了試験の免除 必要に応じ、修了試験の費用 免除申請 (出典:統合コース実施ガイドライン、連邦移民難民庁、2006年3月) 32 (図6)長期滞在外国人の統合コースの義務的受講へのプロセス 外国人局 外国人 連邦移民難民庁 統合コース 実施主体 社会法典Ⅱに 基づき受講を提案 滞在法第44条a 第1項に基づく 提案 乃至は、滞在法第 44条a第1項に基 づく特別な統合の 必要性の確認 ①統合コースに空 席があるか、地域 的に離れすぎてい ないかを調査(必 要に応じて、交通 費支給の提案) ②受講義務の 期限終了を確認 ③個人データの 確認 必要に応じ 交通費助成 必要に応じ交通費 助成を受ける (連邦移民難民庁 と実施主体精算) 統合コース受講義 務に関する証明書 を作成し、それを 外国人に手交し、 データを連邦移民 難民庁に送付 データの掌握 必要に応じ 受講費免除の 申請 必要に応じ免除 証明書及び必要 に応じ更なる情報 を外国人に手交 地域の統合コース 実施主体リストを 外国人に手交 社会福祉事務所 統合コース実施 主体の選定 統合コースの 実施 (出典:統合コース実施ガイドライン、連邦移民難民庁、2006年3月) 33 5.統合コースの内容 統合コースのプログラムでは、600時間のドイツ語授業と30時間のドイツの法律、 文化、歴史等に関する授業が実施されている。受講者は原則として、受講する統合コース の一つの授業(45分)に対し、1ユーロを支払うことになっている。しかし、低所得層、 失業者等については、一定の手続きを踏めば、受講料の支払いが免除されることがある。 なお、後期帰還移住者及びその家族は授業料支払いを免除されている。 ドイツ各州における統合コースの種類及び受講者数は以下の通りである。 (表15)コース別、州別統合コース(2006年開始分) 州 名 アルファドット 一般的 青少年 父兄・女性 教育を含んだ 統合コース 統合コース 統合コース 統合コース その他の 特殊統合 コース 合 計 % バーデン・ヴュルテンベルグ 861 21 67 96 1 1,046 12.8 バイエルン 849 4 68 74 2 997 12.2 ベルリン 604 2 58 75 - 739 9.1 80 - - 21 - 101 1.2 ブレーメン 95 - 7 28 - 130 1.6 ハンブルグ 253 3 20 20 - 296 3.6 ヘッセン 674 3 47 95 - 819 10.0 ブランデンブルグ メックレンブルグ・フォアポンメルン ニーダーザクセン ノルトライン・ヴェストファーレン ラインランド・ファルツ ザールランド ザクセン ザクセン・アンハルト シュレスヴィヒ・ホルシュタイン テューリンゲン 属する州が不明 合 計 66 - - - - 66 0.8 525 4 28 92 - 649 7.9 1,586 18 261 195 - 2,060 25.2 353 4 18 41 - 416 5.1 1.1 71 1 1 17 - 90 199 2 4 6 1 212 2.6 96 - - 8 1 105 1.3 201 2 9 19 - 231 2.8 86 - - 4 - 90 1.1 74 - 30 14 - 118 1.4 6,673 64 618 805 5 8,165 100.0 (出典:2006年の統合の成果、連邦移民難民庁、2007年3月31日) 以下では、語学コース、オリエンテーション・コース、クラス分け試験、修了試験の概 要を見ていくことにする。 (1)語学コース (イ)語学コースは全体で600時間であり、ドイツ語で実施される。語学コースは基礎 コース(Basissprachkurs)と上級コース(Aufbausprachkurs)に分かれ、それぞれが更 に能力別の3のコースに分かれている。受講者は、600時間の受講修了後も、経費自 己負担で、語学コースを受講できる。 34 (ロ)ドイツ語授業では、日常生活に充分な水準の独語力を身につけられるよう、「欧州 言語を対象とする共通の語学力基準」(GER)のB1水準の達成が目標とされている。 語学コースには、授業の進捗の速度に応じて3のタイプがある。 (a) コースタイプ A(速い学習速度)(Kurstyp A, Schnelles Lerntempo) 目標:250時間後 A2レベル、500時間後 B1レベル (b) コースタイプ B(平均的学習速度)(Kurstyp B, Durchschnittliches Lerntempo) 目標:300時間後 A2レベル、600時間後 B1レベル (c) コースタイプ C(遅い学習速度)(Kurstyp C, Langsames Lerntempo) 目標:300時間後 A1レベル、600時間後 A2以上のレベル、 B1レベル達成のための有料による受講継続の可能性 (表16) 欧州言語を対象とする共通の語学力基準 能力 応用 基本 初歩 水準 概要 C2 全て苦労なく理解することができ、とても流暢に正確に表現できる。 C1 難解な文章を理解でき、有効かつ社交的に話すことができる。 B2 主要な内容を理解でき、明確かつ詳細に話すことができる。 B1 要点が理解でき、簡単かつ理路整然と話すことができる。 A2 文章や頻度の高い表現を理解でき、画一的な場面での意思疎通が可能である。 A1 非常に簡単な文章を理解し、簡単な方法での意思疎通が可能である。 (出典: 「英独仏における外国人問題への取り組み及びその課題に関する調査研究報告書」、三菱 UFJ リサ ーチ&コンサルティング) (ハ)語学コースの頻度については、全日制では最大週25時間、定時制では最低週5時 間である。 (ニ)一クラスの定員は原則として25名を超えてはならない。(注19) クラスには可能な限り異なる母国語の生徒が集まるように編成されなければならない。 (ホ)受講者及び教師用の教材は、連邦移民難民庁が提供する。必要な場合には、特別な ターゲット・グループに対して、アルファベットから始める特別な語学コース等の授業 を行うことが出来る。 (ヘ)「外国人及び後期帰還移住者のための統合コース実施に関する規則」第15条第1 項及び第2項によれば、ドイツ語が母国語でない教師が統合コースで教えるためには、 「外国語としてのドイツ語」(DaF)乃至は「第2外国語としてのドイツ語」(DaZ)の 修了証書を取得するか、連邦移民難民庁が指定した資格取得コースに参加する必要があ る。しかし、第15条第3項によれば、2009年12月31日までは、統合コース実 施主体の申請があった場合には、連邦移民難民庁は第15条第1項及び第2項の前提を 満たさない場合においても、ドイツ語を母国語としない者を、統合コースの教師として 認可することができる。(注20) 35 (ト)語学コース開始時に、統合コースの実施主体は、クラス分け試験を実施し、その費 用は連邦移民難民庁が負担する。 クラス分け試験は、教育、職業資格に関する14の質問に関する面接及び50の筆記試 験問題の2つの部分からなる。筆記試験は A1から B1レベルである。筆記試験は、語彙、 文法、読解力に関する問題であり、50点満点である。 (2)オリエンテーション・コース オリエンテーション・コースは、移民に、ドイツの国家体制についての理解を喚起させ ることである。とりわけ、自由・民主主義の基本的秩序、政党制、ドイツの連邦制、社会 的国家、平等、寛容、宗教の自由の意味を伝えることが重要であるとしている。目的は、 移民が、早期に新たな社会での勝手が分かり、ドイツの社会との一体感を作り出す可能性 を創出することであるとしている。 (表18)(表19)(表20)にある試験テーマで出題されている問題に 具体的には、 ついての理解力を高めることである。 30時間のオリエンテーション・コースは、語学コース修了後開始される。 (3)クラス分け試験 (表17)取得点数とクラス分け 取得点数、クラス分け、授業時間の関係は以下の通り。 取得点数 コース 授業時間 0−13 基礎コース 1 0−100 14−26 基礎コース 2 101−200 27−40 基礎コース 3 201−300 41−49 上級コース 301−600 (注19)現在の一クラスの平均受講者数は16.7人。教育専門家は12人∼15人が最適の人数としている。 (注20)筆者がミュンヘンの市民大学における統合コースを参観したときには、ルーマニア系の教師が授業を行って いた。市民大学側の説明によれば、クラス、生徒によっては教師はドイツ人でない方が良いとの説明がなされた。 36 (4)修了試験 (イ)ドイツ語修了書(Zertifikat Deutsch)は、筆記試験及び会話試験でそれぞれ60% 以上得点したときに授与される。筆記試験は全体で150分間、読解力、文法、ヒアリン グ、文書作成能力について試験が実施される。会話試験は2人一組で、15分間、対人折 衝、前もって提示されたテーマに関する会話、前もって提示された課題の共同解決につい て試験が実施される。 (ロ)修了試験不合格の場合には、あるいは修了試験の筆記試験乃至は会話試験のいずれ かに不合格の場合には、経費自己負担で両方あるいは片方の試験を再受験できる。 (ハ)2006年には、76,401人が統合コースを修了し、内50,952人が修了 試験を受験した。受験者のうち36,599人が合格(71.8%)し、ドイツ語能力証 明書を取得した。 2006年には、50952人が修了試験を受験したが、2005年の17,482人 に比し大幅に伸びている。これに伴い、2006年の統合コース修了者の合格率は、20 05年の38.6%から47.9%に上昇している。 37 (ニ)修了試験のオリエンテーション・コースに関する試験テーマは以下の通り。 (複数回答) (表18)歴史分野における試験テーマ 試験テーマ 数 % 1945年以降のドイツ 491 83.4 統一後のドイツ 479 81.3 ドイツ分裂から統一まで 421 71.5 欧州統合 336 57.0 地方の歴史 226 38.4 ドイツ人の移民の歴史 217 36.8 (出典:移民法に基づく統合コースの評価、ランボール・マネージメント社、2006年12月) (表19)法分野における試験テーマ 試験テーマ 数 % 自由、民主主義の基本的秩序: 民主主義、選挙、議会、政党 561 94.1 国民の権利 530 88.9 国民の義務 521 87.4 法治国家としてのドイツ 457 76.7 ドイツにおける行政と立法 447 75.0 社会原則及び社会的安全 417 70.0 州及び市町村レベルの民主主義 347 58.2 欧州と欧州連合 286 48.0 社会的市場経済 198 33.2 政府のコントロール 185 31.0 (出典:移民法に基づく統合コースの評価、ランボール・マネージメント社、2006年12月) (表20)文化分野における試験テーマ 試験テーマ 数 % 文化的・地域的多様性 471 81.5 ドイツにおける宗教的多様性 460 79.6 ドイツにおける日常生活の基本原則: 時間の理解及び規則に対する態度 431 74.6 ドイツにおける支配的な人間像 328 56.7 シンボル 215 37.2 就業分野と私的分野の区別 178 30.8 (出典:移民法に基づく統合コースの評価、ランボール・マネージメント社、2006年12月) 38 6.統合コースの予算 2005年度の連邦政府の統合コースの予算は約2億1000万ユーロであったが、こ の他、約2、800万ユーロが移民に対する初期の相談、約2、100ユーロが種々のプ ロジェクトの費用として見積もられていた。連邦政府は、2006年度には約1億370 0万ユーロを、2007年度には、約1億4000万ユーロを統合コースに支出している。 但し、統合コースについては、連邦政府の他、州政府、市町村も何らかの形で関連予算を 計上していると考えられることから、このような経費をも含めれば、統合コースに充当さ れている予算額全体は連邦政府が計上している額を遙かに超えるものと考えられる。 なお、2008年度予算は1400万ユーロ増額され、約1億5480万ユーロとなる 予定。統合の促進のため、連邦政府は、2011年まで中期的に 7 億5000万ユーロを 拠出する予定。(注21) (注21)各国の統合コースへの予算はランボール・マネージメント社の評価によれば、オランダ:2. 7億ユーロ(2007年)、デンマーク:約2億ユーロ(2005年推定)等である。各国の予算額は、 一般的には初年度が多く、次年度から減少するが、各国によりそれぞれの事情があり、正確な額を把握す ることが困難な場合がある。 39