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Vol.45

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Vol.45
Colin Information Service
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脈波バージョン
風鈴の音が心地よい季節になりましたが、先生方におかれましては、いかがお過ごしでしょうか。
今回は、糖尿病家族歴が無く、罹病期間が長い症例ほど、血管合併症を進行させていたとの発表をご紹介
いたします。家族歴が無い場合でも、早期発見・早期介入で未病にとどめる事が重要です。
家族歴無くても積極的に検診や人間ドックを受診し、早期発見・早期介入が重要
2型糖尿病の家族歴と罹患期間が 2型糖尿病患者の臨床像に与える影響
-糖尿病合併症を未病にとどめるために-
慶應義塾大学医学部附属腎臓内分泌代謝内科
田中正巳 、伊藤 裕
日本未病システム学会雑誌 18(1):19-26, 2012
2型糖尿病家族歴の有無、罹病期間の長短が2型糖尿病の臨床像に与える影響を
調べるために血糖管理目的で入院した209例(男性121例、女性88例)を検討した。
男性60.9±13.5歳、女性66.9±14.0歳
糖尿病罹病期間(13.6±9.3年)
糖尿病家族歴を認める例(n = 119)、認めない例(n = 90)で、年齢、血管合併症の有無と重症度、
血中、尿中Cペプチド、尿中アルブミン、クレアチニン比、CVRR、meanIMT、baPWV、ABI、高血圧
と脂質異常症の合併頻度を比較した。また、糖尿病罹病期間を長(18年以上n=70)、中(8~17年n = 71)、
短(7年以下n = 68)の3群に分け比較を行った。
脳血管障害、冠動脈疾患、 ASOの既往を37、37、21例にそれぞれ認め、単純性、前増殖性、増殖性
網膜症を51、13、22例で、微量アルブミン尿、顕性腎症を49例、34例でそれぞれ認めた。
また高血圧・脂質異常症の合併をそれぞれ141例、170例に認めた。
家族歴を有する症例は欠く症例に比べ低年齢で罹病期間は短く、CVRRは高値、baPWV、meanIMT、
BNPは低値であった。 糖尿病罹病期間の長い症例でインスリン分泌能は低下し、重症の網膜症、
神経障害を高頻度に認め、baPWV、meanIMT、BNPは高値であった。
脳血管障害、冠動脈疾患、ASO,頸動脈プラークを罹病期間の長い症例で高頻度に認めた。
家族歴を欠く症例、罹病期間が長い症例ほど、細小動脈、大血管合併症の重症度、合併頻度の高い事
が示された。家族歴を欠く症例で罹病期間が長かった原因は不明であるが、罹病期間が長いと血管合併
症は進行する。糖尿病合併症を未病に留めるためには、たとえ糖尿病家族歴が無くても積極的に検診や
人間ドックを受診し、糖尿病の早期発見、早期介入につなげることが大切である。
糖尿病家族歴が糖尿病の臨床像に
与える影響について
家族歴あり
HbA1c(%)(JDS)
9.8±1.8
CVRR(%)
2.35±1.20
家族歴なし
P
8.9±1.5
< 0.001
1.88±0.88
0.009
baPWV(cm/s)
1,700.1±406.1
MeanIMT(mm)
0.76±0.17
0.84±0.24
0.015
BNP(pg/mL)
42.9±58.2
75.4±119.6
0.041
72.0±25.2
65.3±23.7
0.050
ACR(mg/gCr)
74.5±28.2
35.2±57.5
0.19
ABI
1.12±0.12
1.13±0.25
0.68
eGFR
(mL/min/1.73m2 )
1,813.7±492.4
0.034
カ
ス
タ
マ
ー
サ
ポ
ー
ト
通
信
vol.
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今回はフリーダイヤルでお問い合わせ頂くご質問等をQ&Aにまとめてご案内致します。
Q:近年、動脈硬化性疾患の増加に伴い、整形外科を受診する患者に、末梢動脈疾患(PAD)と腰部脊椎
管狭窄症(LCS)を合併する患者が増えてきました。ABIを用いた両者の鑑別方法を教えてください。
A:松山幸弘先生(浜松医科大学整形外科学)
腰部脊柱管狭窄症とPAD合併の鑑別
われわれの脊椎外来で最も多い疾患の一つが間欠跛行を呈する腰部脊柱管狭窄症(lumbar spinal canal
stenosis;LCS)です。足に痛みがある、痺れるといった自覚症状がある場合は、整形外科を受診することが最も多
いのが現状です。その間欠跛行の原因疾患にはLCSと末梢動脈疾患(PAD)が主にあげられますが、近年、動脈
硬化性疾患の増加に伴い、LCSに血管性であるPADを合併した間欠跛行の患者も増えてきました。したがって、こ
の両者を鑑別し、適切な治療が施されることが望まれています。
間欠跛行の原因疾患とLCS、PADの合併の鑑別
間欠跛行は、歩行によって下肢の痺れ、痛みを訴えますが、休息によって寛解する症候のことをいいます。わ
れわれはその原因疾患であるLCSを主に診察しています。しかし、同様の症状を呈する疾患として血管性疾患で
あるPADがあり、年齢的にも同様に60歳代以上に発症することから、PADの合併が見逃されている可能性が指
摘されるようになりました。
同じ症状の間欠跛行ですが、PAD患者は動脈硬化性疾患のために、冠動脈や脳動脈疾患の合併症も多く予
後も悪くなります。201例に対し、触診など通常の診断方法に加え、足関節/上腕血圧比(ABI)が0.9以下、あるい
は足趾/上腕血圧比(TBI)が0.6以下をPADと診断し、PADの合併割合を検討してみました。その結果、ABI低下
例7例、TBIのみ低下例45例であり、PADを合併していた症例が52例(26%)にも及びました(図1)。また、PADを
合併している患者は、下肢冷感を感じることが多く、血液検査としては高脂血症が有意に多く認められました。
鑑別に大切な足背動脈と後脛骨動脈拍動も調べてみましたが、足背動脈の感度、特異度は68%と70%、後脛
骨動脈の感度、特異度は60%と64%でした。この動脈測定では見逃しが多くなる可能性があり、PADのスクリー
ニングとしてはいささか不十分と言えます。 したがって、腰部脊柱管狭窄症の患者でも、既往に糖尿病、高血圧、
高脂血症があったり、また、下肢の冷感が強い場合には、
【図1 201例の調査結果】
積極的にABI、TBIを測定したほうがよいと思われます。
PAD:52名(26%)
このようにLCSの患者のなかにはPADを合併している方
も多く、整形外科医としては常にPADの存在を認識して
LCSを診る必要があると思われます。
学術担当者によるフォルムに関するセミナーの開催案内
(2012年度):7/28(松山市)、7/29(岡山市)、
8/4(大阪市)、8/5(京都市)、8/26(さいたま市)、
9/29(名古屋市)、10月下旬(千葉市)
*近隣地域には別途詳細なご案内を送信させて頂きます
本社:〒112-0002 東京都文京区小石川1-12-14 日本生命小石川ビル
ホームページ:http://www.colin.omron.co.jp/
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