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「トロトロ層」の形成で雑草発生が激減
No.419 2014 3-7 島根県農業技術センター 「トロトロ層」の形成で雑草発生が激減 長 期 間 湛 水 を 続 け た 有 機 栽 培 試 験 水 田 で 2012年 に 「 ト ロ ト ロ 層 」 の 形成を認めました。同水田では、多くの雑草種子が出芽できない深さ に 分 布 し て お り 、 2013年 に は 雑 草 の 発 生 量 が 激 減 し ま し た 。 有機栽培水田などでは、作土層の上部に手ざわりが滑らかで有機物に富む膨 軟な層、いわゆる「トロトロ層」が形成されることがあります。 2012年 に 8月 上 中 旬 を 除 く 4月 か ら 11月 ま で 湛 水 管 理 し た セ ン タ ー 内 の 有 機 栽 培 水 田 に お い て も 、 イ ト ミ ミ ズ が 多 く 発 生 し 、 11月 に 「 ト ロ ト ロ 層 」 の 形 成 が 認 め ら れ ま し た 。 土 壌 を 調 査 し た と こ ろ 、 深 さ 0~ 3cmの 浅 い 部 分 は 深 さ 3~ 15c mに 比 べ て 、 粒 子 の 細 か い 土 が 多 く 、 雑 草 種 子 が 少 な い こ と が 分 か り ま し た ( 図 1) 。 そ の 後 、 同 じ ほ 場 で 湛 水 を 継 続 し 、 2013年 6月 に 代 か き 、 田 植 え を 行 い 、 そ の 8日 後 に 土 壌 を 調 査 し た と こ ろ 、 0~ 3cmの 浅 い 部 分 に は 雑 草 種 子 が 少 な い 状 態 で し た 。 こ の た め 、 2013年 は 前 年 と 比 べ て 、 雑 草 発 生 が 極 め て 少 な く ( 写 真 1) 、 水 稲 の 生 育 は 良 好 で 、 10a 当 た り 収 量 は 547kgに な り ま し た 。 現在は、トロトロ層を短期間で確実に形成させる技術について研究を進めて います。また、雑草種子の埋没以外での抑草要因を調査する予定です。 土壌中の深さ ノビエ 0~1cm イヌホタルイ コナギ 1~3cm 3~15cm 0 20,000 40,000 60,000 80,000 2012年 7月 (層 形 成 前 ) 2013年 7月 (層 形 成 後 ) 種子数(粒/㎡) 図1 トロトロ層形成ほ場における 雑草埋土種子の垂直分布 写真1 雑草発生の状況(同一ほ場) ※埋土種子は2012年11月8日採取 【抑草効果が期待できるトロトロ層】 湛水条件下でイトミミズが頭を土中に突っ込んで細かい土や有機物を食べ、水中に突き出し たお尻から排泄した糞等が堆積した層。大きくてイトミミズに食べ残された雑草種子等は下方 へ埋没します。ある深さより下方に埋没した雑草種子は出芽できなかったり休眠に入るため、 抑 草 さ れ る と 考 え ら れ て い ま す ( 例 : 雑 草 が 出 芽 し や す い 深 さ : ノ ビ エ 0 ~ 3cm、 コ ナ ギ 0 ~ 0. 7cm) 。 問 い 合 せ 先 : 栽 培 研 究 部 作 物 科 ( 担 当 :安 達 康 弘 、 高 橋 眞 二 ) TEL 0853-22-6946 E _mail:nougi@ pref.shimane.lg.jp