...

Ⅳ 情報基盤整備とその在り方

by user

on
Category: Documents
20

views

Report

Comments

Transcript

Ⅳ 情報基盤整備とその在り方
参考資料
Ⅳ 情報基盤整備とその在り方
新学習指導要領の実施に向けて,教育の情報化への取り組みが進み,コンピュータの導入とともに校
内のネットワーク化が不可欠になってきた。校内LANやイントラネットを構築し,インターネットに
接続することによって学習活動の内容がさらに幅広く展開できるようになる。従来はネットワークの構
築には専門的な知識が必要で,費用もかかるのではないかという印象があった。
しかし,現在ではネットワークを組むための機器も格段に安くなり,必要なソフトウェアも基本ソフ
トに標準で付属し大変使い易くなっている。あとは少し技術的な知識さえあれば,自分で簡単に費用も
安く構築することができる。
1 数台のコンピュータを接続するには(ピア・ツー・ピア型)
① コンピュータにNIC(Network Interface Card)を増設する。
・ NICとはネットワークに接続するための機器で,デスクトップ型には拡張スロットに
LANカードを,ノート型にはカードスロットにLANアダプタを用いて増設する。
・ NICに付属するドライバーFDで,コンピュータにLANカードの設定をする。
② 接続する台数に応じたポート数のHub(ハブ)を準備する。
③ LANケーブル(ストレート型)で,NICのコネクタとHubのいずれかのポートを
接続する。
④ 各コンピュータにネットワークの設定をする。
・ Windows の場合,
[スタート]→[設定]→[コントロールパネル]→[ネットワーク]
アイコンから必要な設定をする。
・ ピア・ツー・ピアの接続をするには,
「Microsoft ネットワーククライアント」
「プロトコル」
,コンピ
ュータ名,ワークグループ,パソコンの共有設定といった設定する必要がある。
Hub(ハブ)
集線装置
LANケーブル
LANボード
LANボード
LANアダプタ
デスクトップ用
デスクトップ用
ノート用
LANボード
ユーティリティ
【解説】
● 【NIC】 ネットワーク・インターフェース・カードの略。パソコンをネットワークに接続するインター
フェース機器。別名,LANカード,LANボード,LANアダプタという。対応するOSや伝送速度を考
慮して選ぶ必要がある。
●
【Hub】 ネットワークに不可欠な集線装置。接続されたコンピュータ間を結びデータのやりとりをする。
●
【LANケーブル】 ネットワークを結ぶケーブル。ケーブルの品質によってカテゴリ3,4,5の3種類
があるが,100BASE-TXという伝送速度に対応するためには,カテゴリ5のケーブルを選択する必要
がある。
● 【ピア・ツー・ピア】 ネットワークに接続されたコンピュータがそれぞれ対等の権限をもち,各コンピュ
ータが互いにファイルや周辺機器を共有する形態のネットワーク。
― 90 ―
参考資料
2 さらに多くのコンピュータを接続するには(ピア・ツー・ピア型)
① 接続するコンピュータの台数や設置場所に応じて,Hubの台数を増やす。
② HubとHubの間をカスケード接続(継続接続)する。
Hubにカスケード接続用のポートがある場合は,ストレートLANケーブルを使用し,
それがない場合はクロスLANケーブルを使用して接続する必要がある。
③ さらに多くのコンピュータを接続するには,Hubをさらにつないでポート数を増やすこ
とができる。しかし,10BASE−Tの規格では,一番遠いコンピュータ間に4段以上
のHubを入れると,お互いのコンピュータが認識されなくなることに留意する。また,
100BASE−TXの規格では2段までになっている。どうしても増やす必要がある時
は,HubにスイッチングHubを使用することでその制限を解決することができる。
Hub
Hub
Hub
Hub
【解説】
● 【10BASE−T】 ネットワークの伝送路を信号が伝わる速度を示す規格。
“10”は10Mbps(Mega
bit per second)を意味し,0または1で表される最小単位(bit:ビット)の情報を1秒間に,1000
万(=10M)個伝送する速度を表す。
“BASE”はベースバンド方式を表し,
“T”はLANケーブルに
ツイストペアケーブルを使うことを表している。LANの主流として使われている。その他に10BASE
−5,10BASE−2という規格もある。
● 【100BASE−TX】 100Mbpsの伝送速度をもち,カテゴリ5のUTPケーブルを使用する高速
ネットワークの規格。その他に100BASE−FX,100BASE−T4がある。さらに高速な1Gb
ps(=1000Mbps)といった高速なLANも実用化されている。
● 【Hubの機能】 Hubはネットワークの集線機器として,LANを構
成する最も重要な機器である。一般的なHubは,リピータHub,シ
ェアードHubなどと様々な名で呼ばれているが,すべて同じものであ
る。このHubはすべてのポートに一度にデータを送るため2台以上か
らデータが送られるとデータの衝突が発生し,伝送速度が遅くなる。
● 【スイッチングHub】 このHubにはCPUが内蔵されており,つな
[一般的なHubの働き]
がれているLANボードが持っている固有の識別番号(MACアドレス)
を覚えている。Hub内に送られてきたデータの行き先を読みとり,目
的のコンピュータがつながっているポートのみにデータを送るため,他
のポート間で同時にデータを流すことができ,効率的で高速な伝送が可
能である。
[スイッチングHubの働き]
― 91 ―
参考資料
3 イントラネットを構築するには(サーバ/クライアント型)
イントラネットは,他のコンピュータを管理し,ファイルやデータの共有や各種のサービス
を提供するサーバ用コンピュータと,サービスを受けるクライアントと呼ばれるコンピュータ
で構成される。サーバとなるコンピュータは,比較的高性能で信頼性の高いコンピュータが用
いられる。また,その基本ソフト(OS)には,UNIX,Windows2000,PC-UNIX(Linux・FreeBSD
等)が多く使われる。
サーバ
クライアント
Hub
Hub
Hub
Hub
クライアント
クライアント
クライアント
【主な各種サーバの種類と働き】
日経BP デジタル大事典 1999-2000 年版より
●メールサーバ(mail server)
:
電子メールシステムを構成するためのメッセージの送受信機能,メールボックス機能,メッセージ管理機能などを備えたコンピュータ。
●WWW サーバ(world wide web server)
:
ウエブ・サーバともいう。WWW のクライアント(ブラウザ)にファイルやデータを提供するソフトウェア。サーバ・ソフトウエアだけでなく,サーバ
のハードウエアやコンテンツを総称してウエブ・サーバあるいはウエブ・サイトということも多い。
●プロキシ・サーバ(proxy server)
:
内部ネットワークからインターネット接続を行う際,セキュリティ確保と高速アクセスを実現するために設置されるサーバ。「プロキシ」とは代
理の意味。内部ネットワークへの不正な侵入を防ぐなどのセキュリティを実現しつつ,内部ネットワークから外部のインターネットへのアクセス
を中継,管理するのに利用されている。また,クライアントが WWW(world wide web)サーバへアクセスする際,インターネットから送られてきた
データを一時プロキシ・サーバでキャッシュしておくことで,クライアントの次回 WWW アクセスを高速化できる。
●プリント・サーバ(print server)
:
LAN 上でプリンタ共有サービスを提供するコンピュータまたはソフトウェアのこと。自身に接続されているプリンタをネットワーク上に公開,
他のコンピュータから送られてくるプリント・リクエストをスプーリング(蓄積)して順次出力する。
●ファイル・サーバ(file server)
:
LAN などのネットワークでクライアントが共有する,ハードディスクなどにあるファイルを管理するサーバのこと。ファイルへのアクセス管理や
書き込みに関する制御を行い,ファイルを共有の資源として保護し有効活用ができるようにする。
●DNSサーバ(Domain Name System server):
DNS サーバは,ホスト名と IP アドレスの対応表を持つ。通常,UNIX マシン上のソフトで実現する。通信したい相手ホストの IP
アドレスが分からない場合,DNS サーバにホスト名を問い合わせると,そのホストの IP アドレスを通知してもらえる。ある DNS
サーバで IP アドレスが分からなければ,上位の DNS サーバに問い合わせる。
― 92 ―
参考資料
4 インターネットへ接続するには
ISDN(総合ディジタル通信網)回線を利用し,複数のコンピュータでインターネットを
利用するには,次のような接続をする。その後,契約するプロバイダの指定する内容で,コン
ピュータや機器の設定をする。
①TA(Terminal Adaptor)を使った接続法
【例1】図のコンピュータAのように,DSU(Digital Service Unit)にTAを接続し,TA
とコンピュータを接続する。図のように,ISDNが2回線同時に使用できることを
活かして,TAに従来の電話やFAX等を接続し,一方でインターネットをしながら
同時に電話をするといった使い方が可能である。
【例2】コンピュータBのように,TAに接続したコンピュータをHUBを利用してネット
ワークに接続すると,コンピュータBに接続されたTAを,ネットワーク上の他のコ
ンピュータと共有することができる。
TAにDSUを内蔵した製品もある
【参考】
DSUから最大50mの間に8台までの機器
が接続可能であるため,1本のISDN回線
を少し離れた部屋で利用することもできる。
②ダイヤルアップルータ(Dial Up Router)を使った接続法
ダイヤルアップルータは,外部のディジタル通信網とLANとの間でデータの受け渡し
をする機能をもち,LAN上のコンピュータから要求があるとプロバイダに接続をする。
このようなルータは,DSUやTAの機能を内蔵し,複数のコンピュータを接続するHU
Bの機能もあるため,下図のような接続ができる。
さらに,多くのコンピュータを接続するにはHUBを増設することで対応できる。
5 IPアドレスの基礎知識
インターネットやイントラネット等のネットワークに接続されたコンピュータのうち,どの
コンピュータとデータのやりとりをするかを特定するために,
「IPアドレス」が使われる。I
Pアドレスは電話番号に近い性質をもち,同一ネットワーク内に同じIPアドレスを割り当て
ることはできない。
― 93 ―
参考資料
IPアドレスは,一般的に “ XXX.XXX.XXX.XXX ” のようにピリオドで区
切られた4つの数値で表される。XXXには0から255までの数値を入れる。
【IPの表記法】
192.
168.
123.
45 (10進表記)
11000000 0101000 01111011 00101101 (2進表記: 32bit)
①グローバルIPアドレス
インターネット上でただ一つだけコンピュータに割り当てられるIPアドレスである。
IPアドレスの数は有限であるため,日本ではJPNICという団体によって管理されて
いる。
②プライベートIPアドレス
インターネット上に流さないという条件付きで,組織内で自由に使用できるアドレスで
ある。学校内のLANに接続されたコンピュータには,必ずプライベートIPアドレスを
割り当てる。例として192.168.0.0∼192.168.255.255 のI
Pアドレス群が,プライベートIPアドレスとして決められている。
6 ネットデイの取り組み
学習の道具としてインターネット等を活用するには,パソコン教室や職員室だけでなく図書
館や普通教室,特別教室など,児童生徒たちの学習する場にコンピュータを設置することが望
ましい。そのためには,数十台のコンピュータをネットワーク(LAN)で接続する必要があ
る。しかし,そのような規模のネットワークを構築するためには多くの労力や資金,技術的知
識が必要で,学校独自で解決することは容易ではない。
そこで,
学校と地域のボランティア等がともに協力しながら,
このような学習環境を構築し,
その利用の支援を進めていこうという試みが「ネットデイ」という活動である。
ネットデイは,1996年にアメリカで始まり,現在は日本の各地でも活動が進められてい
る。
【ネットデイ活動団体】
・群馬県インターネットつなぎ隊:
http://www.tsunagi.org/a/index.htm
・あぶくま地域展開ネットワーク研究会:
・柏インターネットユニオン:
・Netday2001 in Wakayama:
http://www.abu.ne.jp/
http://www.kiu.ad.jp/
http://www.nwdl.ne.jp/netday2001/
・ネットワークサポートセンターinかんさい:
http://www.nes-k.gr.jp/
【技術資料】
・ アライドテレシス ネットワーク講座:http://www.allied-telesis.co.jp/sol/educate/index.html
・ 愛三電機(株)LAN 結線資料&テキスト:
http://www.aisan.co.jp/products/s-index-wiring_text.html
・シスコ・ネットワーキングアカデミー・プログラム
http://www.cisco.com/japanese/warp/public/3/jp/event/training/academy/index.html
― 94 ―
Fly UP