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インクアート株式会社 POD機のリプレースで印刷通販事業を拡充 匠の町、東大阪を地盤とする印刷のプロとして 高品質と対応力を武器に果敢に市場を開拓 導入の狙い 既存カラーPOD機の印刷クオリティ を改善したかった 封筒印刷にも一台で対応したい より正確な色でカンプを出力したい 導入システム カラーPOD機 『RICOH ProC5100SHT』 ×2 RICOH製複合機 導入効果 色再現性に優れたプリントを実現 封筒も1台のマシンで対応できるよ うになった 厚紙印刷の速度向上 ランニングコストの削減 「企業の思いと人の思いに共鳴し、共に豊かな価値を創造する」 という理念を掲げ、印刷技術を核に企業のコミュニケーションを支援する 「プリントアース」の名で印刷通販事業を展開するインクアート株式会社は、企画か ら印刷・発送までの一貫対応を強みにする印刷会社だ。同社は2011年、 「プリント アース」の名で印刷通販事業を開始。後発ながら、高い技術力を背景に、事業を確 — U S E R P R O F I L E ——————————————————— インクアート株式会社 ●業種:印刷業 ●事業内容:企画・制作、 製版、印刷、加工、 実に伸長させてきた。業容拡大に伴い、既存カラーPOD機や複合機の機能面での 限界に直面した同社は、色乗りが良く、封筒印刷まで一台で対応可能な『RICOH ProC5100』へとマシンをリプレース。色再現性をはじめとする品質向上と、ラン ニングコスト削減の両立を実現した。 ロジスティックス、オンデマンド印刷、印 刷通販およびそのアフターフォロー ●従業員数:40名 (2014年12月現在) POD機で印刷物の品質、用紙対応力が向上。 トー タルコストの削減も達成した、インクアート株式会社 2014年12月取材 認知された印刷通販サービス 質が問われる時代に 刷通販事業を展開するインクアート株 式会社(以下、インクアート) だ。 東大阪市を基盤とする印刷会社で 2009年に市内の中小企業が力を ある株式会社ハマナ (当時、平和紙工) 合わせた人工衛星「まいど1号」の打 の製造本部として1988年1月に設立 ち上げが話題になるなど、高度な技術 された同社の売上構成はチラシが8 を有する中小企業の集積地として知ら 割、名刺・冊子が各1割。パンフレット、 れる大阪府東大阪市。ものづくりで栄 ダイレクトメール、POPなど販促ツー えるこの街の一角に営業本部を構え ルの印刷制作がその強みだ。 るのが、 「プリントアース」の名称で印 同社の代表取締役社長は、親会社 1 インクアート株式会社 である株式会社ハマナ代表取締役社 作業的にさばいていることが一般的で 長の濱名 俊明氏。店長というポジショ す。しかし当社は担当者制を採用し、 ンで陣頭指揮を執るのが、濱名 宏明 一人のオペレーターが受付から発送 氏だ。 に至るまで責任を持つようにしていま もともとは株式会社ハマナの制作・ す。また、協力会社に全面的に業務を 印刷部門として事業を行ってきた同社 委託する会社も多いようですが、当社 が、営業レスの新事業として当時勃興 の場合、ベテランのオペレーターがそ したいわゆる印刷通販への参入を決 ろっているため、対応力には当初から 断したのは2011年のことだった。同 自信がありました」 年4月に「プリントアース」の名称でサ 印刷工程を熟知するオペレーターが イトを立ち上げ、印刷通販事業への参 一貫して対応するため、顧客から、い 入を果たした。 つ、どのようなことを質問されても即 印刷通販は近年、大手業者のテレビ 答できる。厳しい業界内の競争の中、 C Mもあって広く認知されるようにな これが同社の競争力の源泉となった。 り、急速に普及している。ユーザーの 社内に印刷部・製版部・加工部の各 メリットは、部数や印刷仕様に基づく 部門を備え、完全内製の体制を構築し 印刷価格や納期が明示されているこ ていることも強みの一つだ。 とや、より安価で短納期の印刷が可能 「印刷通販の世界は一時期、異業種 になったことなどだ。 を含め、新規参入がかなりありました 「業界内では後発でしたが、ネット上 が、ここのところ減っているようです。 で広告を掲載し、新規会員の募集をか また、この2〜3年、熾烈な価格競争 けたところ、当初から多くのご注文を が繰り広げられてきましたが、業者が いただきました。 『これならいける』と 淘汰されてきた印象があります」と濱 いう手応えがありましたね」と濱名 宏 名氏は業界の現状を説明する。 明氏は当時を振り返る。 「私たちのお客様の中にも『他社を 会 員 募 集 の 決め手になったのは、 試してみたが、サービスの質に満足で 「初回無料」というキャンペーンだっ きなかった』 とおっしゃる方が少なくあ た。現在、その会員数は2万に達しよ りません。特に法人のご発注担当者様 うとしている。 の場合、 『 絶対に失敗は避けたい 』と 次に取り組んだのが、リピーターを いう思いが強くあります。これに応え 増やすためのさまざまな施策だった。 て、一切不安を感じさせないようにす 印刷通販業界は、広告出稿量や価格 るのが私たちの務めです。高い品質を 設定による差別化が図りにくいのが 維持し、納期を厳守するのは当然とし 実情だ。それにもかかわらず、順調に て、オペレーターには、作業では、でき 売上を伸ばすことができた背後には、 るだけ細かいところを意識するよう、 「対応力」の高さがあったと濱名氏は 日々、うるさく言っています」 分析する。 “印刷の匠” としてディテールにこだ 「印刷通販会社の多くは、受注は受 わり、細部をないがしろにしない努力 注、データチェックはデータチェックと の積み重ねが違いを生んでいるとい いうように分業制を採り、注文を流れ えそうだ。 2 店長 濱名 宏明氏 「印刷業界だけでなく、さまざまな業種・業 界との取引がある大塚商会の情報提供は とても貴重です。またカラーPOD機のオペ レーターが『何かあると、すぐに駆けつけて くれるので安心だ』 と言うとおり、サポートの 充実も魅力です」 色乗りと用紙対応力を重視し マシンをリプレース 大塚商会からの、経費削減と画質 向上を目的としたカラーPOD機の提 案があったのは、ちょうどその時期の インクアートが印刷通販事業のス ことだった。他社製マシンも含め、入 タートにあたり導入したのは、当時同 念 な 検 討 を 進 めた 濱 名 氏 が 最 終 的 業他社の多くが導入していた国内メー に選定したのは、大塚商会が提案し カー製のカラーPOD機だった。 た『RICOH ProC5100SHT』だっ 「初めてのカラーP O D機でしたか た。色乗りの良さと用紙対応力がその ら、その性能に驚きました。無版で刷 決め手だったという。濱名氏がこうし れる。すぐに出てくる。しかも両面印 た特長を実感したのは、RICOHショー 刷ができる。これは凄い、と」 ルームで行われたデモンストレーショ 当時をそう振り返る濱名氏だが、実 ンだった。 際に運用を開始するといくつかの課題 「実際のデータを持ち込み、試し刷り も出てきた。 をしたところ、ほかの機種よりオフセッ 「 そ のマシンで封 筒を印 刷するに トに近 い 品 質で仕 上がると感じまし は、ユニットを交換しなければなりま た。厚紙でも出力を試しましたが、き せんでした。そこで、封筒印刷専用機 れいに上がることに感心しました。封 として複合機を新たに導入したのです 筒をメイントレイから出せるという設 が、機械が別々なため使いづらいとい 計も気に入りました」 う難点がありました。また厚紙印刷の またベンダーとしての大塚商会の スピードが遅いこともネックでした。ま 存在も、選定理由の一つだった。 た長く使っていくうち、一枚の用紙で 「大塚商会さんにはカラーP O D機 トナーの乗りが異なる面内ムラの症 のほか、照明についてもL E Dへの切 状が現れるようになりました。そこで り替えを相談しています。大塚商会の 新しいマシンに入れ替えようか、と考 技術力、実績、サポート体制、コスト、 えるようになりました」 営業力を信頼しています。マルチベン ダーとしてほかのメーカーの製品も扱 い、業界全体の事情に通じている点も 頼りになりますね」 仕上がりの美しさは 社内でも高く評価される 『RICOH ProC5100SHT』の導 入は2014年10月。当初1台のみ導 入する予定だったが、同年12月には、 早くも2台目を導入している。 「当社ではこれまで、カンプの出力 はメーカーが異なる2機種の複合機 導入したPOD機は、ポストカードや名刺、DMなど多品種・小ロットの印刷物出力をメインに使用している 3 で行ってきました。しかし、ときおり インクアート株式会社 赤が強くなるなど波があり、色目が という課 題を抱えていました。大 塚 後加工の充実で さらなる競争力を追求 商会の 担 当 者に相 談したところ、提 今後は、営業マンが顧客先へ出向い 案されたのがカラーP O D機の増設 て要件を聞き、見積書をもらい、発注、 だったのです」 校正を確認して印刷、納品という流れ ま た 既 存 複 合 機 のうち 1 台 は 、 で仕事をしている既存の印刷会社は安 2,000枚程度の月間印刷枚数を想 穏としていられない、と濱名氏は危機 定したマシンだったが、実 際 の 月間 感を感じている。 印刷枚数は1万枚近くに及ぶという 「印刷会社にとって印刷通販とバッ キャパシティオーバーの問題も抱え ティングする領域では、料金面でとて ていた。 も勝負にならないのが実情です。バッ 「『RICOH ProC5100』を実際に ティングしない領域に果敢に踏み込 運用し、色再現性の高さはすでに確 み、攻めていくべきでしょう。一方、印 認済みだったこともあり、複合機から 刷通販のほうも、営業レスでどこまで カラーPOD機への移行を決断しまし 新たな仕事を獲得できるかがカギと た。決断を後押ししたのは、お客様へ なります。すでにこのあたりでも熾烈 安定せず、色見本にするのが難しい の品質に対する責任感でした。色合い な奪い合いが始まりつつあります」 という面で、お客様にご納得いただけ さらなる付加価値を求め、濱名氏が るものを確実に提供していくことはと 打つ一手は後加工工程の拡充だ。 ても大切なことです。多少コストがか 「紙折機、無線綴じ機、型抜き機、ス さんでも、しっかりした仕組みを作っ ジ入れ機、ミシン目加工機などのマシ ておきたいと考えました」 ンを2015年1月に導入し、多品種・ 現在同社は、新たに導入した2台の 小ロットへの内製による対応の一層の カラーP O D機で、ポストカードや名 拡充を図っていく予定です。商品パッ 刺、DMなど多品種・小ロットの印刷物 ケージやスイングP O Pなど、後加工 をメインに、現在、月に3万枚のペー 込みの商品開発に積極的に取り組む スで出力している。 ことで、印刷通販の商品ラインナップ 「大塚商会さんのサポートもあり、 を広げるつもりです」 出力は安定しています。厚紙でもス インクアートは経験豊富な印刷の ピードを落とさずに印刷できていま プロとして最新の機器を駆使し、印刷 す。封筒印刷に関しては、角型0号ま 通販において、品質とサービス、低価 で対応することや、一度にセットできる 格を同時に追求している。 「匠のまち、 容量が大きいことが魅力ですね」 東大阪から全国に出荷」というキャッ 社内の評判も上々だ。親会社の営 チフレーズのもと、さらなる事業展開 業担当からも、仕上がりの美しさを評 を積極的に図る同社の挑戦はこれか 価されているという。 らも続く。 当初1台のみ導入する予定だったが、同 年12月には、早くも2台目を導入。現在、 月に3万枚のペースで出力している 「またランニングコストもトータルで 見るとだいぶ下がっています。この点 インクアート株式会社のホームページ http://www.inkart.jp/ も満足しています」 と濱名氏は語る。 ・会社名、製品名などは、各社または各団体の商標もしくは登録商標です。 ・事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は取材当時のものであり、配付される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。 ・この記事は2015年1月に作成されました。 Copyright©2015 OTSUKA CORPORATION All Rights Reserved. 4