...

内容4 - 高田農業高校

by user

on
Category: Documents
21

views

Report

Comments

Transcript

内容4 - 高田農業高校
7 農業土木科の取り組み
研究項目
水質調査と炭コンクリートの基礎研究
対象学年
農業土木科 3年 39 名
研究担当者
農業土木科 安田吉則 山田隆一 石田理恵 小黒雄一郎
(1)目
的
上越市の象徴である高田公園は、私たちの憩い
の場所として昔から親しまれている。公園やその
周辺に植えられた約 4000 本の桜は、日本三大夜桜
の一つに数えられ、県内外から多くの観光客が訪
れる。夏になると、外堀にはハスが開花し美しい
風景をみせてくれる。このような美しい風景をい
つまでも残し、心安らげる空間を守っていくこと
が大切だ。しかし、残念ながら堀の水質はあまり
良くないのが現状である。そこで本研究では現在
の堀の水質を調査し、有機物や汚れの吸着に優れ
ている炭を利用して堀の水質浄化を研究し、身近な環境保全を意識させることを目的とする。
また、昨今、温暖化をはじめとして、地球規模での環境問題が取りざたされている。
「土木」の分野
においても自然にやさしい地域社会の創造・改善・保全は、大きな課題となっている。今までのよう
に経済性や機能性・利便性のみを追求するだけでなく、環境保全性を重視した自然にやさしい、安心
して暮らせる地域環境に整備することがこれからの土木には必要となってくる。そこで、二酸化炭素
固定や吸湿・吸着性などに優れた効果を持つ炭をコンクリートに混入し、さまざまな効果を基礎研究
し、環境変化への対応と意識変化を促し、さらなる環境保全型農業教育に結びつけることを目的とす
る。
(2)実施計画
4・5月: 測量士補国家試験受験対策学習
5月~11 月: 炭コンクリートの基礎実験
6月~11 月: 高田公園外堀・内堀の水質調査、
11・12 月: 炭コンクリートの基礎実験と水質調査の研究発表資料準備
1・2月: 炭コンクリートと水質時調査のまとめ
(3)研究課題
① 水質調査(COD、BOD、pH)
② コンクリート実験(スランプ試験、空気量試験、塩分含有量試験、圧縮強度試験)
③ 炭を用いた融雪実験
④ 炭コンクリートの利用法や実用化に向けての取り組み
70
(4)教育課程上の位置づけ 学科・コースと科目
農業土木科3年生(測量設計コース 24 名・水利科学コース 12 名)
1学年
総合実習
(4 単位)
2学年
3学年
総合実習
(2 単位)
総合実習
(2 単位)
課題研究
(2 単位)
課題研究
(2 単位)
水と土の科学(2 単位)
水と土の科学(2 単位)
農業土木設計(2 単位)
環境科学
(2 単位)
農業土木施工(4 単位)
(5)実施内容・結果及び考察
① 高田公園堀の水質調査及び炭コンクリートの水質浄化作用の研究:COD、BOD、pH
(ア)COD
平成 20 年度から3年間の COD データはほぼ同じ結果となった。平成 20 年度は、10 月から 11
月にかけて数値が高くなった。この時期は晴天が長期間続き、降雨がほとんどなかった。その
71
ため堀の水位が低下し、COD の数値が高くなったと考えられる。また、今年度 6 月の COD 値が
過去 2 年間と比較すると高いが、これも降雨量が関係していると考えられる。この調査を継続
していくうちにその日の天候や日当たりや気温などが水質に影響することが徐々にわかってき
た。 この調査実験を通して、単純な作業こそ毎回の積み重ねがとても重要であり、失敗を恐れ
ず積極的に取り組むことが大切だとわかった。
(イ)浸漬実験
ヌルヌル
浸漬7ヶ月後
水が濁っ
ている
10%炭
3%炭
0%
平成 21 年度は高田公園の外堀の水を採取してきて炭コンクリートを浸水させ 0%の標準コン
クリートと、3%、10%の炭コンクリートをそれぞれ比較して、1週間ごとに COD、BOD、pH を
測定したが、どれも大きな変化は見られなかった。しかし、浸漬して7ヵ月後、炭コンクリー
トを取り出そうとしたら、炭コンクリートの周りにだけヌルヌルしたものを感じた。また、浸
漬した水を比べてみても、明らかに炭コンクリートを入れてあった水槽の水は濁りがなく、標
準コンクリートのものは濁っており、あきらかな違いが見られた。また、平成 21 年度は炭コン
クリートを河川に設置して、どのような変化があるか観測しようとしたが、台風による増水で
すべて流され失敗しまった。そのため平成 22
年度は本校敷地内の用水路2箇所に設置して
炭10%
炭3%
0%
状況を観察することにした。1ヶ月後、観測
してみたが、少しコケが生えているくらいで
大きな変化は見られなかった。しかし、3ヶ
月後に観測したら、炭コンクリートに、より
多くの何らかの卵が付着していた。これをピ
ンセットで静かにとって、顕微鏡で観測し写
真をとって見た。この写真をもとにいろいろ
と調べた結果、この卵は巻貝系のものである
設置後、3ヶ月
だろうと思われる。さらに、炭コンクリート
を観察してみると、巻貝らしきものも動いて
おり、コンクリートの隙間にいるのを発見し
た。ヌルヌルしたものは、おそらくバイオフ
ィルム(生物膜)であろうと思われる。さま
ざまな菌類の集合体である透明な粘着性の膜
で、このバイオフィルムに水中を浮遊してい
る泥や砂や汚濁物の粒子が固着し、たくさん
の微生物が分解することで水質浄化が進行し
ていくものと思われる。これらの研究を通し
72
顕微鏡写真(×150)
て炭によって微生物の力がアップし活性化し
ていくことが発見できた。
隙間に発見
②炭コンクリートの基礎研究:スランプ試験、空気量試験、塩分含有量試験、圧縮強度試験
(ア)スランプ試験
炭の含有量については、
この3年間、いろいろと
試行錯誤を繰り返してき
た。1 年目は木炭のみで
実験を行ってみた。テス
トピース1個体の重量が
12.415kg でこの重量に対
して3%、5%、10%と
してみたが、予想以上に
炭の水分吸収量が高く、
単位量に対して 3.29ℓで
はコンシステンシーが低
く、調整をしながら加水してみた結果、配合量である 3.29ℓより2ℓ多い 5.29ℓもの水分が必要
であった。そのため炭の含有率 0%の標準コンクリートも同じ条件でないと比較対象ができな
いと考え、同量の 5.29ℓの水を加えたら今度は明らかに水分含量が多くなり過ぎて、ほとんど
分離寸前状態となり、スランプ値が測定できなかった。そこで2年目は、水分量を減らすため、
テストピースの重量に対してではなくセメント量に対して3%、5%、10%として実験を行っ
た。さらに炭の種類も木炭のみでなく、竹炭とさらには木炭と竹炭を 50%ずつに混合した3種
類を準備し、それぞれの炭の含有量を変えて実験を行った。さらに平成 20 年度の実験の失敗か
らみても、配合設計通りの水分量では、炭がかなり水を吸収し水分不足になってしまうため、
2年目は、昨年度の経験値をもとに、
どの供試体にも配合設計の 3.29ℓに
800mℓのみ水を混ぜることにして実験
を行った。しかし、今回の実験では、
水分量を固定したため、分離する状態
にはならなかったが、炭コンクリート
に比べると、やはり0%の標準コンク
リートではかなりスランプが大きく、
炭がかなりの水分を吸収していること
が分かった。また、炭の含有率が多く
なるほど、スランプ値は低かった。竹
炭においては、どの含有量に関係なく、
73
ほぼ一定であった。そこで平成 22 年度は、スランプ値を5cm 前後に統一するように、それぞ
れの供試体ごとに水分量を変えてみることにした。また、炭の含有量の5%と 10%は大きな差
が生じなかったので、今回の実験では違いをはっきり出すために、炭の含有量は3%と 10%の
2つで比較してみることにした。その結果、スランプ値が 4.3~4.8cmの間に収まり、供試体
ごとの加水分量は、標準コンクリート0%では 300mℓ、炭コンクリートの3%では 500mℓ、10%
では 800mℓが適切であった。結果としては、炭の含有量に応じた最適含水量があることが分か
り、供試体ごとに水分量を変えることで均一な品質となり、他の実験で比較検討しやすくなっ
た。
(イ)空気量試験
空気量試験は、コンクリートのワーカビリティーや耐久性や強度などの品質に大きな影響を
及ぼす他、コンクリートの配合設計や施工時の管理に役立つ。平成 22 年度の結果では、いずれ
も竹炭の方の空気量が高い結
果となった。これは、木炭に
比べて竹炭の方がより多孔質
であるためと考えられる。ま
た、一般にコンシステンシー
が増えると空気量も増大する
が、今回のデータではスラン
プとの関連は見ることができ
た。
(ウ)塩化物含有量試験
塩化物含有量試験は、コン
クリート中の練り水に含まれ
る塩化物量を測定するもので、
塩化物イオンがコンクリート
中にあると鉄筋を腐食させ、
膨張が生じ、そこから錆やひ
び割れ等が生じてしまう。こ
の結果より考察すると、同じ
骨材を使用しているため、炭
の含有量に対する変化は、見
られなかった。
(エ)圧縮強度試験
圧縮強度試験では、スランプ試験に用いた
コンクリート試料を使用して、万能試験機で
圧縮をかける。この試験結果より炭の含有率
が多くなるに従って、強度自体は弱くなる傾
向がある。圧縮強度は、空気量との関連もあ
り、同じ炭でも竹炭は混入量が多くなればな
るほど空気量も多いため、強度自体も弱くな
万能試験機
ることが分かった。
74
③ 炭を用いた融雪実験:2m四方のエリアで木炭を散布し、融雪状況を観測。
融雪実験では、2月上旬に積雪 160cm くら
いの時に木炭を散布し、その後の融雪状況を
観測した。炭を散布したエリアの方が早く溶
け始めたが、結果としてすべて雪が解けたの
は同じ時期であり、大きな違いは見られなか
った。さらに、散布後日数がたつにつれ、炭
が飛散したのか雪で解けたのかはわからない
が、炭の量がかなり減っていった(右上写真)
。
また、同じ場所で完全に雪が消えた後の炭に
よる草の生育状況についても観察してみたが、
大きな変化は見られなかった。融雪には、そ
の時期の日照時間や風の状態など天候状況が大きく左右するため、風の影響の少ないところで、今
後も実験していく必要がある。また、エリアも2m四方と比較するには、小さすぎたように思う。
75
④ 炭コンクリートの利用法や実用化に向けての取り組み
炭コンクリートの活用として、植木鉢を作ってみた。通常の植木鉢の多くは「素焼き」で作られ、
多孔質で植物の栽培に適している。今回はこれを炭コンクリートで作製してみた。ポリエチレン製
の容器を加工し、コンクリート型枠を作製したが、これがなかなかうまくいかずに一番苦労した。
炭の量はその都度、練り具合を見て変えてみた。コンクリート製なのでとても重く、持ち運びに不
便であるという欠点などクリアしなければならない課題は多くあるが、粒の粗い炭をもっと多量に
混ぜることでコンクリート製の鉢にはない「通気性」や「吸水性」
、
「排水性」など、素焼きの鉢と
同じような効果が生じるのではないかと期待している。この他にも、炭コンクリートの鉢による植
物体への保温効果など、今後は様々な点で検証していきたい。
(6)実施の効果と評価
① 生徒の意識の変容について
生徒たちは、
「MOTTAINAI プロジェクト」を通し
て、身近な環境について考えるきっかけになった。
土木イコール「環境破壊」というイメージがなく
なり、環境に配慮するにはどうしたらよいかを真
剣に考えるようになっていった。また、
「炭」を共
通のテーマとして学校全体で研究や調査に取り組
んだことにより、他学科が何を研究しているのか
についても興味を持つようになっていった。今ま
では、自分の所属する学科のことだけしか興味を
持たなかった生徒が「あの学科ではこんなことを
やっている。
」または、
「あの研究、面白そうだよな。
」など他学科の研究にも興味を持ちはじめてい
った。これにより「MOTTAINAI」を共通課題として教育活動を展開することで校内の連帯感も強まっ
ていったように思う。また、研究発表会を行うことで相手によりわかりやすく説明するために「ど
の写真を使う」とか、
「どのような言葉による表現がよいか」などの工夫も多々みられ、表現力の養
成にもかなりの効果があった。そして、研究自体の成果はまだまだ途中であるが、それなりに「や
った」という成就感は味わえたようだ。今年度の3年生は入学と同時に目指せスペシャリスト事業
がはじまり、今年で最終年度になったのだが、学校全体で 1 つのことに取り組んでいたために学習
意欲も高かった。その結果、資格取得においても測量士補7名、2級土木施工管理技術検定6名と、
ここ数年で最も多い合格者数であった。
② 職員の意識の変容について
「炭」の研究をすればするほど「炭のチカラ」には驚かされる一方だった。炭の力で微生物の
76
力をアップさせ、活用していくことは半永久的に活用できるということにつながり、炭コンクリー
トをより実用化させることで微生物やプランクトンが殖える環境を作ることでき、さらに水もきれ
いになり、魚も殖え生き物たちが戻ってくる池や川を増やすことができるのではないかという期待
が持たれるようになった。この3年間で生徒との放課後や長期休業中など授業以外でのかかわりが
増え、なんとなくマンネリ化していた教育活動が変化していったように思う。地域企業との連携や
外部団体との折衝など自分たちの視野を外へ向けることができるようになったことも大きな収穫で
あった。また、水質調査などは、3年間のデータだけでは分析しにくく、
「継続は力なり」で今後も
継続的に調査していくことが大切であることも認識できた。この研究を通して、身近で小さな環境
問題を考えることが大きな環境問題への解決につながっていき、問題解決能力が身についていくの
だと実感した。また、目標を持った生徒たちが活き活きと実験している姿こそが最も大きな収穫で
あったと感じる。
(7)研究開発実施上の問題点及び今後の研究開発の方向
① 問題点
・炭コンクリートについては、炭の含有量が変わっても水分量を調整し、スランプ値を一定にする
ことで、各物理実験のデータを比較しやすくする。
・実用化に向けて、炭コンクリートで植木鉢を作成してみたが、通気性や保水性、さらには植物の
根の張り方などを検証する必要がある。
・水質調査は、降水量や気温との関わりも強くあるため気象要素についてもデータを取って関連性
も調査する。
② 今後の方向
・炭自体は、万能でないが各種実験のデータを見ても興味深いものがある。コンクリートに混入す
ることで、強度自体は低下するが、微生物の着床が多くなり、水質浄化作用に期待が持てるため、
実用化に向け実験を継続していく。
・水質調査については、3年間のデータだけでなく、データを積み重ねることでデータ分析が可能
となるので今後も継続して調査する。
・地域に貢献するためにも、地域企業や研究機関との連携は、必要不可欠になってくる。地元を知
るという観点からも今後も積極的に連携を強化していく。
8 地域連携の取り組み
(1)各科・コースでの取り組み
① 生物資源科
(ア) 農業生産コース
○ 野菜専攻
環境循環型社会を目指して、地域と連携して生ごみの堆肥化プロジェクトを行なった。詳しく
は研究開発の内容にまとめた。ここでは、概況について報告する。
(a)汚泥リサイクルパーク見学
平成 21 年5月 上越市小泉汚泥リサイクルパークへ見学
(b)東城町1丁目生ごみ堆肥化プロジェクト
平成 21 年5月 生ゴミ回収に関するアンケート調査(東城町1丁目全世帯)
6月 アンケート結果を回覧板にて東城町1丁目住民に報告
8月 町内会館へ出向き、町内会長へ生ごみの回収方法について意見交換
回収用バケツ準備と回収用ポスターの作成
77
生ごみの回収開始(町内会館前)
これ以降、毎週木曜に生ゴミ回収用のバケツを町内会館へ、毎週金曜に生ごみを回収、毎週
火曜日に臭いのチェックを行なった。
11 月 生ゴミ回収中止(コンポストが満杯になったため)
平成 22 年4月 コンポストの増設
生ゴミ回収の再開の依頼(町内会館へ出向き、地区役員へ依頼)
回収場所の増設(町内会館前の他に新たに第1遊園地へ)
前年度活動の理解度等のアンケート調査(東城町1丁目全世帯)
これ以降、毎週木曜に生ゴミ回収用のバケツを町内会館へ、毎週金曜に生ごみを回収、毎週
火曜日に臭いのチェックを行なった。
11 月 生ゴミ回収中止(研究結果をまとめるため)
平成 23 年2月 今までの研究結果を回覧板にて東城町1丁目住民へ報告
○ 作物専攻
平成 20 年9月 上越市大潟区 自家製有機質肥料栽培農家研修
「栽培体験談・栽培方法等」
ぼかし肥栽培の実践方法などの体験談
10 月 上越市吉川区 自家製ぼかし肥農家研修
「栽培・農産物販売方法」
ぼかし肥を使用した栽培品目や農産物販売方法など使用方法談
12 月 上越市吉川区 自家製ぼかし肥農家研修
「ぼかし肥造り」
ぼかし肥造りを生徒自ら体験
平成 21 年6月 北興化学工業株式会社 新潟工場 施設見学・講話
「農薬の安全性と役割」
農薬と聞いて生徒の反応は「危険な感じ」、「環境汚染」、「人体
に有害」、「水質汚染」など様々な農薬に対するマイナスのイメージ
が多くあった。農薬に対し正しい知識と情報を得るために企業と連携
し講話、施設見学を計画した。
10 月 えちご上越農業協同組合
食味分析依頼 (食味比較のため)
平成 22 年 11 月 上越農業改良普及指導センター 食味分析依頼 (食味比較のため)
(イ)森林資源コース
森林資源コースでは実習で出た端材や本校に設備されている木工機械を使いコミュニケーシ
ョン能力向上・地域交流の一環として NPO 法人「木と遊ぶ研究所」と連携協力して「大人も
遊ぼう木工講座」と題し木工教室をおこなってきた。
三年間の活動記録
実施回数
参加人数
20 年度
3回
45名
21 年度
4回
76名
22 年度
4回
54名
78
参加者の感想
・ 見たこともない様な機械がたくさんあり良かった。
・ 親切丁寧に指導していただいて良かった。
・ ボランティアの生徒さんが親切に教えてくれた。
・ 初参加でしたが親切にアドバイス、指導していただき作品を完成することができ満足して
います。
・ 農業高校はおもしろいです。また、おじゃまします。
・ 道具の基本的な使い方を教わった。
・ これからの物作りに役立てたい。
・ 作品が曲がってしまったが、自分なりの作品が出来て良かったです。作る過程が結構、楽
しかったです。
・ 自宅に飾ってある作品は我が家の宝物です。訪問者が作品を褒めてくれます。
・ 来る楽しみが出来てはりあいになります。
年に 3,4 回大人を対象に開催し3年間で 175 名と多くの地域住民に参加して頂くことができ
た。
今回の木工教室を通し森林資源コース2・3年生を各開催2~3名選出し材料準備・会場案
内・生徒講師としておこなってきた。実施当時、生徒は始め緊張した面持ちでしたが、授業の
一環で地域の方と接する機会があるため、時間が経つにつれ積極的に会場を回りアドバイスを
だし参会者のサポートをしてくれました。そして卒業生も数名講師として参加し木工教室が在
校生と卒業生そして地域の方々との和が生まれコミュニケーションが計れるとても貴重な場に
なりました。生徒にとって今回の経験が社会に出て将来役に立つものになった。地域の方にと
っても木工教室を通し参加者同士「木工仲間」が作れる場にもなった。
② 食品科学科
食品科学科では、このプロジェクトを地域に広げ、生徒の生きる力の養成やコミュニケーショ
ン能力の向上を目的に小学生・中学生や上級学校及び企業との連携教育を行った。
(ア)地域小中学生との連携・交流活動
(a)新潟県キャリア教育パイロット事業・雄志中学校生徒 12 名 職員1名
<日
時>
8月 25 日(水)午前8時 30 分~12 時
<本校生徒>
3年 食品加工コース
<内
クッキーの製造
容>
クッキー作りを題材に取り上げ実習を行い、農業高校の学習の一端を理解してもらうと共
に食についての安全性や、農業高校の学習と仕事との関わりについて理解もらうことを目的
に行った。
<雄志中学生感想>
・高校生が親切に教えてくれ楽しく実習が出来た。
・進路選択に役に立ち入学したい気持ちになった。
・修学旅行での自作クッキー販売体験に向けてがんばりたい。
<本校生徒の感想>
・教わる側から教える側になり最初は戸惑いもあったが実習を通して農業高校の良さを伝え
る良い機会になった。
・言葉では説明しにくい所もあり、実際にやって見せなくてはならない難しさがあった。
79
・実習を行いながらコミュニケーションの大切さを学んだ。
・自分自身も勉強になり社会に出てもこの経験を生かしていきたい。
(b)体験学習・上越市立高士小学校3年8名
<日
時>
11 月 24 日(水)午後1時 30 分~4時
<本校生徒>
3年 食品加工コース
<内
ぶどうジャムの製造
容>
高士小学校で栽培したぶどうをジヤムにしたいと依頼があり、本校生徒が先生役になり取
り組んだ活動である。実習中は糖度計に興味を示し砂糖を加えることに先を争い計測をして
いた。2種類のジャムを作りパンと一緒に試食をした。自分たちの栽培したぶどうがジャム
になりビン詰めされたことに感動していた。本校生徒も火加減や砂糖の量などを真剣に子ど
も達に説明していた。子供たちからは、『家族と食べたらとてもおいしかった』という感想
をもらった。
(c)発酵の学校・上越市謙信キッズ事業児童 25 名
<日
時>
11 月 27 日(土)午前9時~12 時 30 分
<本校生徒>
3年 食品加工コース
<内
ロールパンの製造
容>
パン作りを題材に取り上げ実習を行った。パ
ンの製造だけでなく、発酵に仕組みやパンの起
源、原料、酵母について、本校生徒の手作り紙
芝居で説明を行った。4年目の取り組みで今回
も好評を得ることが出来た。
(イ)上級学校との連携
<日
時>
1月 24 日(月)午後1時 30 分~3時 30 分
<本校生徒>
1,2年 食品科学科 80 名
<内
栄養学講演
容>
北里大学保健衛生専門学院・管理栄養科・専任講師 多賀昌樹先生を招き「栄養はおもし
ろいこれからの管理栄養士」と題し講演を頂いた。ポテトチップスやコーラなど身近なもの
を題材にして糖・油脂などどのくらい含まれているかクイズ方式で分かりやすく説明を行っ
た。栄養素・これからの栄養管理・栄養学の最前線などについてもふれ、生徒の栄養学への
関心を高めることが出来た。
(ウ)企業との連携
(a)株式会社岩の原葡萄園
<日
時> 5月~11 月実習7回・講義1回
<本校生徒> 3年 食品科学科 39 名
2年 食品科学科 40 名
<内
容> ワイン用葡萄栽培・醸造実習
昨年の11月に2年生が剪定から始まり今
年度5月から月1回の割合で実習をさせてい
ただいた。収穫までには摘心や摘房など色々な管理があることを生徒は理解した。ぶどうの
栽培概論・ワイン醸造の基礎などを講義していただいてよりいっそう理解を深めた。
80
(b)株式会社じょうえつ東京農大
株式会社じょうえつ東京農大では毎週
金曜日に、市内のスーパーで販売を行っ
ている。そこに、加工食品(製菓)を提
供し販売をさせていただいている。製造、
販売し地域の方々との交流を通して生徒
にとっては非常に有意義なものになって
いる。販売が出来ないB級野菜を加工し
て商品に出来ないかという依頼を受け材
料を提供していただいて商品開発の研究
に取り組みを始めた。
(2)高農ショップ『結』の活動報告
① 出店のねらい
高田農業高校の情報発信(学校行事・地域奉仕
活動・農業関連相談)の場として、また、地域と
学校との多岐にわたる「結」の場として、平成
20 年に開店した。さらに、学校農産物を販売す
るだけの目的とせず、生徒が自分たちの作った農
産物を販売することにより、自信とコミュニケー
ションをとる場としても活用されている。
② 今年度の活動について
今年度は、おおよそ第3木曜日5・6限の2年生総合実習を活用し、以下のとおり「結」を開店
した。昨年度の反省を生かし、
「結」開店日には、当日の販売物や開催時間などを記した生徒自家
製のチラシを町内外にも配り集客率の向上を目指し活動を行った。
4 月 15 日(木)
14:30~
5 月 20 日(木)
14:30~
6 月 17 日(木)
14:30~
7 月 15 日(木)
14:30~
9 月 16 日(木)
14:30~
10 月 20 日(水)
14:00~
11 月 13 日(土)
10:00~(高農祭)
その他4月 29 日に上越市主催「みどりのフェスティバル」にも苗木や食品加工品など販売を行い、
高い評価を頂いた。
③ 販売物
生物資源科
食品科学科
農業生産コース
米・キュウリ・ジャガイモ・タマネギ・トマト・ネギ等
草花園芸コース
シクラメン・マリーゴールド・サルビア・シネラリア
森林資源コース
シイタケ・竹炭・杉炭・木酢液
食品加工コース
マドレーヌ・ジャム・ロールケーキ
81
④ 3年間の活動について
(ア)農産販売物の計画的栽培は毎年行っ
てきたが、気象条件・収穫時期の微妙な
ずれが生じ、安定的数量の供給ができな
かった。また、食品加工コースで新商品
を販売し、好評を得ているので今後につ
なげていきたい。
(イ)宣伝広告の発進遅れなどもあったが、
本年度は生徒が製作したチラシを当日
配り、集客率の向上はみられた。また、
チラシ配布範囲を広げたことも集客率
に影響が出たと考えるので、宣伝範囲や
宣伝方法など生徒・職員で考える。
⑤ 今後の「結」について
今後の活動として、定期的販売はもちろんであるが、販売日の固定ではなく、高農ショップ「結」
が常に開店している状況を作ることが望ましいであろう。当初のねらいのとおり、地域の交流の場
として活用し、生徒が自分で育てた農産物・農産加工品など自信を持って販売し、コミュニケーシ
ョンを行う場として活用していきたいと思う。
そのためにも、全生徒・全職員で取り組む姿勢を作っていく必要がある。また、消費者ニーズを
反映させ、安全でおいしく、安定的に供給する農業の原点を忘れないようにしていきたい。さらに、
農業経営的に生徒に学ばせる場としての活用も考えるべきである。
循環型農業教育を実践する本校として、
「結」をとおし情報の発信源としていきたい。
9 農業クラブの取り組み
高田農業高校の農業クラブの目標を平成 20 年度「農クが発信○○ブーム ~新潟県を巻き込むぜ!!~」
、
平成 21 年度「意識改革 ~友達1000人出来るかな~」
、平成 22 年度「自然に感謝!農業で仲良く!!
君はクラブ員だ!!!」として活動に取り組んだ。これらの目標には 3 つのテーマを念頭に考案した。それ
は『一般クラブ員の行事参加率の向上』
『地域の方々との更なる交流』
『県連盟事務局として新潟県農業クラ
ブの活性化をはかる』である。この3つのテーマを達成するため、例年以上に活動の充実、拡大を目標に取
り組んだ。
また、新潟県学校農業クラブ県連盟事務局校として(平成 22 年度は、北信越ブロック連盟事務局兼務)
、
各校が交流できるように夏季大会など工夫をしてきた。
これから、継続している活動を紹介する。
(1)上越市みどりのフェスティバル
上越市が毎年昭和の日(旧みどりの日)に行っている行事で、日本三大夜桜の一つで有名な高田公
園へ行き、我が校で栽培・加工した品を販売している。とても地域の方に好評である。
また、MOTTAINAI の研究の取り組みを展示し、市民への理解を得られるように努めた。
畜産科学コースでは、体験コーナーとしてミニ動物園を開催した。ヒツジ、ウサギ、ヤギなどの動
物にふれあい、子どもたちは大騒ぎだった。今年度(平成 22 年度)は、実行委員会より依頼があった
園芸講座を草花園芸コース所属の役員を中心に開講した。テーマは花の「鉢替え」と「寄せ植え」で
各 15 分間、市民の皆さんに説明した。これにより少しでも市民の方がみどりに興味を持ち、植物を育
ててくれればと思って取り組んだ。
82
(2)かなやの里花壇・菜園作り
知的障害者更生施設かなやの里の園生と一緒に
花や野菜苗を植え付けながら交流・活動をしてい
る。今年も生徒会にも声をかけ、生徒会・農ク合
同の活動として行った。
めったにない経験なので役員達はとても貴重な
体験をした。またこの活動は 20 年以上続いている
活動である。
(3)高農祭(文化祭)
主催は生徒会であるが、農業クラブも一緒にな
り、行っている。オープニングセレモニーでは、
花の種を付けた風船とばしを行った。
また、展示では毎年ミニ農業鑑定を開き、農業高
校では普段何を学んでいるのかを、地域の方に知
ってもらえるよう工夫した。
(4)農ク新聞
本校がある東城町1丁目地域の人たちへ学校
の情報を発信するために季節ごとに発行してい
る。
また、一般クラブ員にも我々の活動を知って
もらい、活動に参加してもらえるよう、各クラ
スにも発行、掲示している。
83
(5)地域行事の参加
地域行事のへ参加として東城町1丁目の行事に参加している。5月のさつき展、6月のクリーン作
戦、11 月の地域と語る会に参加した。いつも販売でお世話になっている町内の方と、活動をして直接
色々な話を聞くことができ、我々も貴重な体験ができた。
(6)地域小学生との交流
地域の子どもたちと交流をしたいという思いから、交流会を企画した。平成 20 年度は学校で栽培を
したサツマイモ掘り、平成 21 年度はスイートポテト作りの講座を行った。平成 22 年度も計画を行っ
たが参加者募集がうまくいかず実現できずに終わった。来年度はさらなる工夫をして、多くの参加者
を集め、交流会を成功させたいと考えている。
(7)2009 食育フォーラムin上越
平成 21 年度には、11 月 28 日に上越市市民
プラザで行われた食育フォーラムに参加した。
地域の方たちに食育を広める活動で、小学校
やJA、スーパー、ホテルの調理関係など多
くの参加がある中での活動だった。目指せス
ペシャリスト研究開発事業「MOTTAINAI プロ
ジェクト」の研究成果の展示や学校で栽培し
たものの販売を行った。来場者から励ましの
言葉をいただきさらに積極的な活動が必要で
あると感じた。
84
(8)他校との交流
研究開発の共同事業などから、交流が生ま
れ、高農祭に海洋高校の生徒が海産物を販売
にきてくれたお返しに、生徒会と農業クラブ
の生徒が海洋高校で農産物販売を行った(平
成 20・22 年度)
。
また、平成 20 年度には海洋高校の 110 周年
記念校内カッターレース大会への出場のお誘
いがあり、生徒会・農業クラブ合同で参加し
た。オールを漕ぎ、カッターを操ることは難
しかったが、海洋高校漕艇部の皆さんの指導
により、レースを終えることができた。とて
も貴重な経験ができたと同時に、海洋高校を
身近に感じることができた。
85
Fly UP