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第4回文京区新たな公共の担い手専門家会議会議録

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第4回文京区新たな公共の担い手専門家会議会議録
第4回
文京区新たな公共の担い手専門家会議
日時:平成23年10月31日(月)
13時00分~16時00分
場所:2103会議室
文京区企画政策部企画課
第4回
「委
員」
文京区新たな公共の担い手専門家会議
会議録
座
長
各
務
茂
夫
委
員
井
上
英
之
委
員
菊
地
端
夫
委
員
安
藤
哲
也
委
員
丁
1
寧
○各務座長
それでは開始させていただきます。
本日、後ほど成澤区長も遅れてご出席ということですので、あらかじめ、途中からお越しにな
る場合には、この会としては区長にもご参加いただくということで、よろしゅうございますね。
それでは、最初に委員の出欠状況を。明確だと思いますけど、事務局からご説明をいただきま
しょうか。
○政策研究担当課長
安藤委員が遅れるということで、連絡を受けております。それ以外の委員
につきましては全員出席という形でございます。
配付の資料につきましては次第、あと資料第14号。今回のテーマにさせていただいておりま
す「場」についての資料、それと今後のスケジュールです。そちらを全部で3種類、配付させて
いただいております。
○各務座長
それでは、本日の議題に入りますが、まず最初にこの資料について、事務局からご
説明をお願いいたします。
○政策研究担当課長
資料14号の説明に入りたいと思います。
前回、第3回の会議のところでは、子どもを地域全体で育てるまちづくりという、具体的テー
マを設定させていただきまして、そこで、例えば27年4月に設置が予定されております青少年
プラザみたいな施設の設置も予定しているというところを視野に入れて、どういった協働をとい
うところでお願いしたところですが、具体的な解決策というか、着地点というところのテーマま
では行きませんで、若干会議としては迷ってしまったかなという状況で終わったという形での経
緯があります。
その中でいろいろと、豊島区の委託事業というか協働事業というものも一つ例として、行政と
NPO法人との協働という事例を一つ挙げさせていただいた中で、いろいろと議論をいただいた
ところでございます。
子育て、高齢者という、そういった行政としての分野の着地点となると、なかなか情報も少な
かったでしょうし、委員の先生方もそちらの方面の専門の先生方ではないということで難しかっ
たのかなと思っております。
今回、テーマに挙げさせていただきましたのが、協議の「場」ということで、以前も、第1回
・第2回の議論の中で、広い意味ではフューチャーセンターとか、サロンの場とか、プラットホ
ームとか、いろいろな形でお互いに話し合って課題解決していく「場」というのが出てまいりま
した。
そこで、私どもとしましては、広い「場」よりも、どちらかというと行政の方が、どうしても
この課題について解決したいという特定のミッションについて、NPO・事業者等と連携して達
成したいと考えた場合の、NPO等との事業を構築していくための「場」というところを議論の
テーマとして挙げさせていただいたところでございます。
資料14号、別紙で、我々が考えているイメージ図というのを、つくらせていただきました。
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行政が特定のミッションを実現するために、NPOとか企業と協議する「場」をつくっていこ
う。ここをどういうふうにしていったらいいのか、どういうふうに盛り上げていったらいいのか
というところでございます。
今まで委員の方々からの意見も出ているように、単なる話し合いの場ではだめなんだと。その
中から何かビジネスみたいなものが生み出せて、また、できれば実践してもらえるためにはどう
していったらいいのかというところまでが大切なのかなと思っております。ですから、事業化案
というところが、より具体的な、実践的なものであるという必要がある。そのためにはどういっ
た形で、どういった方に参加してもらって、どういったルールで、この「場」を運営していった
らいいだろうかというところを、ご意見としてお聞かせ願えればと思っております。
その後に、もしお時間があれば、その下の半円、事業化案を受けて、仮に行政で事業の実施主
体となってやったときに、行政の一定の事業実施のルールというのがあります。そこでもPDC
Aサイクルというものに乗せていって、いろいろと契約の方法、またリスクの管理、評価制度と
いったところを整備していかなければいけないと考えております。
本来はここは、行政で検討する分野ではありますけれども、この辺のところでもしお考えがあ
れば意見をいただけたらと思っております。
ここで、あと、前回の会議のところで出ましたけれども、行政、区の方の意識改革というのも
必要だと思います。行政が公平性・平等性というところを基本とする中において、対応が難しい
と考えるケースについてNPOとか企業にやっていただきたいというメリットがある一方で、い
まだNPOとの協働の必要性や価値というものは非常に我々も認識しているところではあるんで
すけれども、NPOが持っている能力についてはまだ行政側としても100%の信頼性を持って
いるというイメージではないのかなと思っています。そこをどうしていくか。その中で、行政と
してもどういう形で連携・協働を進めていったらいいのかというところも一つの課題なのかなと
思っております。
そういったところで、実際に「場」がどんなものなのかというところのご意見をいただきなが
ら、できれば来年度、実際にこういったテーマに基づいて、「場」というのを一回やってみたい
と思っております。具体的なミッションというのは、まだ出せないという状況ではあったのです
けど、何かしら、前回の青少年プラザを例にとるのもいいでしょうし、高齢者の地域貢献、また
ネットワークみたいなのも例にとってもいいのかもしれません。実際、こういった「場」という
ものを一回開いてみようと思っているところでございます。
資料に沿ってという形にはならなかったのですけれども、そういったイメージ、考えで今回の
テーマを設定して、先生方にお示しをさせていただきました。
主な論点というのは下の方に、あと、我々が思っている課題については、何点か例示という形
で示させていただいているという状況でございます。
事務局からの説明は以上になります。
3
○各務座長
ありがとうございました。
実際のディスカッションに入る前に、私も若干補足させていただきます。井上先生は前回おら
れなかったこともありますので。私の一方的な見方になるといけませんので菊地委員、丁寧委員
もつけ加えていただきたいと思うのですが。
前回の3回目のディスカッション、事務局からご説明いただいたように、子どもたちを地域の
中でどう育んでいくのかというテーマがございましたし、その一つとして青少年プラザという、
具体的に建設が企画されているものを議論したわけでございます。
私は少し言い過ぎているかもしれませんが、文京区さんが具体的に、何を最終的に行政として
やっていきたいのかという物事の考え方があって、そしてそこで、では自分たちが足りないもの
は何だろうということを問いかけたときに、それがNPOであれ、民間企業であれ、文京区とし
てできないもの。あるいはスピード感を持ってできないもの。皆さん優秀な方ですから時間をか
ければできるのでしょうけど、すぐにはできないものは何かという問いかけがあり、さすれば、
それができるところは、ある特定のNPOがあるのであればそれはどこですかと。したがって、
目的変数ありきでやり方が決まるのではないかというふうに私は問いかけたのです。
今の時点で、具体的にもし目的変数がないまま、じゃあ、どうやってNPO、それから企業と
やるのかということを考えた場合に、きょうの問いかけ、私の解釈は、仮に明確なものがあった
としても、ある種の「場」を設けるとか、その「場」を設けるにあたって適正なプロセスとか、
あるいは、どういう方々に来ていただくと、その「場」が成立するのか。あるいは「場」で実際
に何をやるのか。
それこそ、前回の議論でいいますと、「私はこれをやります」というビジネスプランの提案を
してセレクションして、文京区は、文京区の事業だけれども完全に任せ切るということができる
のかどうか。あるいは、任せた後で、そうは言っても文京区の事業だとすれば、どういうガバナ
ンスを利かせるのかとか。そういう、ある特定の目的変数が今のところはないのですけれども、
仮に、NPO・民間企業と一緒にやるとした場合に、どういうプロセスと、どういう場があって、
最終的には、どう文京区としてはモニタリングをしながら、それが継続的にいいアウトプットを
行政として生み出すことができるのかといったあたりにフォーカスしたらどうかというのが、き
ょう事務局からの提案と受けとめております。
こんな理解を持っているのですけど、丁寧委員、菊地委員、いかがでしょうか。そういうご理
解になりますか。
○菊地委員
そうですね、前回も申し上げた仕組みづくりを議論するのか、それとも具体的な、
新たな公共を象徴するような事業そのものを議論するのかということでしたが、前回は、仕組み
づくりというよりは青少年プラザというものを一つの事例として、具体的な事業を検討する場合
にどういうことができるのかという、「場」からプロセスを考えることをやってみたわけかと思
います。
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私自身は前回いろいろ議論させていただいたことで、何となく私の中で頭の整理がついたのか
なという印象を持っております。「場」の話をする前に、何を解決すべき課題にするのかという
ことが本来は先に来るはずであるのです。それによって、「場」の性質ですとか、中身が規定さ
れるような気もするのです。「場」をつくって、PDCAに合わせるという中の一連のプロセス
の中で、どういうことに留意すべきかということも含めて、きょうは議論できるかなと私は思っ
ております。
○各務座長
○丁委員
丁寧委員、いかがでございますか。
そうですね。おっしゃるとおり、個別の問題というか、具体的な案件を前回は出して
いただいて、安藤委員からは、割と箱物ありきのように感じられて、それで少しご意見があった
と思うのですけど。ただ、具体例があって、いろいろディスカッションを深めることもできたの
かなと思っています。
○各務座長
井上委員にも、今のこの時点でご質問をいただいた方がいいと思うのですが。
事務局のお話をそのまま、言葉尻をとらえるようで、他意はないので、私が誤解しているよう
であれば謝りますが、NPOと、あるいは民間企業とを含めて何かをやらなきゃいけないという
ことに、何か文京区としてはやり方を模索しているのかなと。ただ、一方でNPOが本当にリラ
イアブルかどうかというのは、まだクエスチョンマークである。でも、何かやらなきゃいけない
という印象も一方で受けるのです。
そうは言っても、一つには、他区もNPOといろいろ取り組んでいるということを考えるとす
ると、現実は、恐らくNPOなり民間企業との連携の中に、今までにない新しい行政の形がある。
これは区の考え方としてあるという、そのような考えでよろしいのですかね。
○政策研究担当課長
はい。行政だけでは解決できない課題があるということを非常に認識して
いるということが一つ。あと、すべてを行政だけでやる、行政が肥大化していくというところを
避けなければいけないだろうというのが一つあります。そういったところで、社会・地域的課題
を解決しているというところでの存在というところで、NPOとかCSR企業というのが出てき
ているのかなという認識もあります。
ただ、具体論として、じゃあ、どうしてそこと協働が必要なのか、なぜ、そのNPOを協働の
相手方と選定するのか、なぜ、この事業をそういったところの分野で任せるのかというところの、
行政として、そういったところの判断のプロセスというのも、こちら側ではしっかり持っていな
ければいけないなというところは、前回の会議の中でもしっかりとあったと思います。
ですから、そこのプロセスは、しっかりとこちらの行政側でも受けとめなければいけない。「
M&AをやろうとしてM&Aをやったところは絶対うまくいかない。その手法をとって、こうし
たいという目的があるからこそ、それをやる価値があるんだ」と。まさにそういうことで、区側
としてもそういったところをしっかりと審査、検討する「場」というのは絶対必要なのかなとい
うところは。ただ、それは、今度、「そこをどうしたらいいですか」という話ではないので。そ
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れは、今度は行政側としては問題点として、しっかりと受けとめていきたいと思っております。
○各務座長
井上委員にもお話ししておくと、前回、事務局サイドからは、事によると、文京区
というのは、果たしてNPOが一緒に仕事をしていく上でやり易い区なんですかという問いかけ
もあったのですね。
そういうご意識もあって、何か文京区が本来、新しい問題解決に向けた、あるいは新しい行政
のあり方をめぐって、こういうところが文京区は足りないんだなという認識のもとで、本格的に
事業をやるときに、本来、文京区の受け入れ体制として具備しなきゃいけない条件等々について
も、前回、事務局サイドからも問題意識としてあるとのこと。
そんなようなことを受けて、今日は議論をできればと思っています。
井上先生から、まず、今までの話を聞いて、ご懸念点とか、ご心配とか、あるいはご質問とか
があったら最初に承っておきます。
○井上委員
いや、すごくおもしろかったのですけど。
一つ、最初に大事なのは、公の担い手は行政だけではないと同時に、NPOだけではないと思
うのです。大事なのは、NPOを立ち上げる個人である市民一人一人であり、それは豆腐屋のお
じさんかもしれないし、事業者かもしれない。そこにNPOがないからといって、ここのまちに
公共性がないわけでは全くないと思うのです。
そういう意味では、今の時点でいいNPOがないから、公共の担い手がないというのは少し早
いかなと。むしろ、どのようによいNPOを生み出していくのか。それを一緒に育てていくため
にも、「基本構想」の中に、「みんなが集うおせっかいなまち」というのがあるわけで。
今回、「みんなが集うおせっかいなまち」というので、恐らくこのビジョンに一つ加えるとい
いのは、それに具体的なゴールや、出口をつける。そのアイデアが、恐らくこの紙にある、事業
化をし、反映し、成長していくという、出口もつくっていこうと。そうでないと、おせっかいし
ろ、しろとだけ言っても、なかなか。お父さん・お母さんのお手伝いをするのはおせっかいなの
か、よくわからない。
その中で恐らく、この話というのは、僕もいろいろなNPOや社会起業の創業支援であったり
とかインキュベーションを見てきたのですけれども、大きく分けると、すごく大ざっぱに言うと、
初回の議論にもありましたけれども、成長段階があって、一つがシードからプランの段階、2つ
目がスタートアップしていく、事業化していく段階。それから3つ目が事業化したものをどのよ
うに成長、もしくはサステナブルにしていく。できれば、願わくは展開していくものがある。大
きく公に訴えていって、公共サービスの担い手となっていく。
私の実感からすると、②の事業化をして成長していくというのは、世の中的なノウハウとして、
企業やビジネス分野にある程度ノウハウはあると思うんです。ただ、問題は、恐らく気持ちのあ
る、先ほど出てきた市民の方々が、それをどのように、小さな火種をプランにしていくか。その
プランの段階で我々もしくは行政が、「まだまだだよね」とか、「いいのがないですよね」と言
6
ってもしようがない。ここの段階で、いかに、その「場」を使ってよりよいもの、現実的なもの
にしていけるかどうか。
特に、僕もビジネスプランコンテストを社会起業分野でやってきたので非常にわかるんですけ
ど、いきなりいいものはないんですよ。あるぐらいならやっているので。そのときにいきなりい
いのがないのは幾つか理由があって、一つは具体的なスキル・経験等が足りない、専門家との組
み合わせをしていくということ。もしくは、人手が足りない。この点はまた時間があったときに、
後ほど話しますけれども。1つ目は、どのようにキャパシティを追加していくかということ。
もう一つが、実は、いきなりいいのがないというのは、一つは背景があって、社会の変化が早
過ぎるので、今いいと思ったものが、今は新しい社会問題が非常に多いので、例えばひきこもり
の子どもたちにどうすればいいのかわからない。
そうすると、2つ目のすごく重要なことは、小さくやってみて、プラン段階、実験段階だった
ものをまたやり直して、進化させてよりよい事業案にしないといけない。つまり、事業計画書を
行政に提出した時点で完成していないのです。それが、一年後までの計画を詳細に記して、間接
費の使い方も全部ちゃんと出してこいと言っても、意外とそうはいかない。
そのとき、実験してやり直して、再提出するプロセスがつくれないかどうかという、新しい形
の助成金なり補助の仕方というのは恐らくあると思うのです。初回にも少し話しましたけど、横
浜市でそういうことを始めたりしている。途中から一緒に考える。そういうことだったら、こう
いう大きなゴールに向けて、こういう組み方があるよね、こういうやり方があるよねという形で、
というふうに、やって、やり直して次に行くというプロセスを組み込んでいかないといけない。
そういう意味でも、この「場」というのが、恐らく、事業化案作成という前に、もう幾つかク
ッションが必要で、「場」があって集まって、そこで小さな発表だったりとか、ブラッシュアッ
プの機会だったり、実験ができる機会が必要になっていく。これは具体的に考えるところで、一
緒に考えられるのですけれども、幾つか条件があるので、また後でお話ししたいと思います。
恐らく、腹をくくったプロデューサーが必要であったり、最初の立ち上げのときに、だれをバ
スに乗せるのかとか、幾つかポイントはあると思うのですけど。
そういう意味で、この「場」というのを、恐らく「場」をつくれば事業化案がすぐ出るのでは
なくて、プロセスをどうデザインするかというのは、ここにいる方々の知見を含めて、具体的に
検討すれば、必ず来年に何か実験的なものができると思うので。
○各務座長
そうですね。
○井上委員
これは非常に現実性が、実現性が高いし、僕もいろんな知り合いがいるので、でき
ると思います。
○各務座長
大変、最初から一番良いご意見をいただいたような感じがします。
私も、直観的に、「場」というのは、今、井上委員のシードからプランの段階にあるのかなと
思います。私も大学でビジネスプランコンテストをやっておりますが、主としてソーシャルでは
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なくてコマーシャルの方ですが。このプランというのは通常、大体5、6回大幅修正されて、最
後は最初のプランに中身が影も形もなくなって初めて、やっと事業化としてのニオイがしてくる。
ということは最初の段階で、今、井上先生がおっしゃったように、最初のプランをベースに、一
連の育むプロセスを経て、つまり次なるグルグル回りの段階に入っていく。
したがって、この上でもPlan
Do
Check
Actionが結構回っていかなきゃ
いけないということと、それと今おっしゃった、ビジネスの世界ですとちょっとした試作品をつ
くるとか、プロトタイプをつくるという。通常、これは「ギャップファンド」と言うのですけど、
このお金・助成金がないがために発明はあるのに先に進まない。
ある意味では、そういう場を
文京区が提供することによって、事によると、公共というものが何たるかは、すべて市民から、
区民からいろいろ上がってきたものを育むプロセスをやることが行政の立場であるという考え方
をもって「場」とするということですかね。
したがって、そこにはさっきのプロデューサーがいて、ビジネスだと「メンター」と言います
が、ある種の指南役がいっぱいいて、いろんな意見を言って。私たちの中でよくあるのは、特に
ソーシャルアントレプレナーシップの場合ですと、高邁なビジョンはいいのですけど、でも帳尻
合わせは効いていないとか。要するに、したたかさがないというか。そういったものを補完する
ようなグループがいて。
私は、今の井上先生がおっしゃったようなことが、最初の取っかかりの議論としては、「場」
というものをどういうふうにして考えていくかというのに、いいご提案を最初にいただいたよう
に思うのですけど。
○井上委員
今、座長がおっしゃった中で、もしかすると僕が言った助成金等ではなくて、実験
をしてみるためのファンドを市民が出すのはいいのです。周りの人が共感すれば、投票のかわり
にお金を出す。それで小さく、まずは10万円でも100万円でも、この半年なりやってみて、
その成果を必ずフィードバックして。やってみた結果、今の子どもたちはこういうことだよとい
うことを、転んでもちゃんとシェアをする。そうすると転んだことが、こうすれば転ぶんだとい
うことが、ほかで子ども系のことをしたがる人がたくさんいるので、そこに共有できて、「場」
自体のナレッジが高まっていく。
○各務座長
なるほど。
大川さん、今のお話の中で言うと、どんな感じを受けられますか。
○政策研究担当課長
今お話のあった「場」は、本当に最終形といいますか、理想形のところだ
と思うのです。
いきなりそれを、試作品をつくって、それと、いろんな市民・区民の方から意見をいただいて
というところを、うまく話し合ってというところは、本当に将来的にはすごく理想形というか、
目指すべきところはそこだと思うのです。
ただ、現実問題、じゃあ来年それをやれるかと我々が考えたときに、なかなかピンと来ないと
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いうのが正直なところで。我々がやりたいことがまず一つあって、そこで一回話し合って、それ
が、どうやればできるのだろうかというところで一回やってみたいというのが正直なところです。
最初から、いきなり提案が行政側にわっと来て、じゃあそれをどうやりましょう、また、別に、
ほかにプロデューサーが、ドンと腹をくくった、やる気満々というか、しっかりした人がいて、
それを最終形で受けたときに、行政にそこまでの、すぐ動けるような体制があるかどうかという
ところは大きな問題なのかと思っているので。ただ目指すべきところは、最終形はそこなのかな
とも思いますけれども。
○井上委員
やっている側からすると、あまりそんな大げさな、最終形というほどのことでは。
そこら中で普通にやっていることでもあるので。
ただ、具体的な一歩として、恐らく、今おっしゃったように、具体的なテーマをちゃんと出し
て、絞ったところで小さめに、例えば、千駄木二丁目の特定の公園をどうするかとか、そういう
ところで始めていくと区の方も抵抗なく、「場」をつくる民間の方も抵抗なく、普通にいられる。
○政策研究担当課長
それを積み重ねることによって、すごくいい形に持っていけるのかなと思
うのですが。
○井上委員
ジェネラルする前に、点で、特定の具体的テーマでやると大分やりやすいんじゃな
いかと。
○各務座長
今のディスカッションは、両委員はいかがですか。どんなふうにお受けとめになり
ましたか。
○菊地委員
私の中での「場」のイメージは、理念的には、ここでソーシャルマーケティングの
ようなものが行われるというものです。さらに、区というコミュニティの中で解決すべき問題に
ついて、文京区役所という基礎自治体だけではなくて、私自身のこだわりとして、都や国も含め
て議論して、じゃあ、どういうソリューションの仕方ができるのかという形で、マッチングが行
われているというものです。
その結果として、これは区が全部やるべきだという結論が出て、逆に、行政がそれによって肥
大化するということになったとしても、そういうことが平場の議論で行われる「場」があるとい
うこと、それは別に、結果としてそういうふうになってもいいのかなと考えています。
ただ、どうしても具体的なテーマが本当は必要だと思うのですが、おっしゃるとおり、何か小
さい事例を積み重ねていく。ただ、「場」の議論の中で、行政が協働したい事業と、NPOや事
業者が協働したい事業が異なるということが出てくると思うのです。そういう、まさしくニーズ
のずれみたいなことについても、お互いが認識できる。それ自体が「場」の、まさしく共有され
た知識となっていくのだと思います。
ですので、ある事業について幾つか具体的な事業を来年度やるといった場合でも、結果的に事
業化にならなかったということ自体も、私自身はいいのかなと。事業化といいますか、事業あり
きではないという意味で、こういう「場」をつくるというのは一つあると思います。
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○政策研究担当課長
そうですね。必ずしも事業化という答えが出るということではないのが一
つ。そこで検討した結果、どうなるか。それが事業化となればいいのかなと思っています。
それで行政側と、そのほかの関係者の方との立場も全然違うというところも、しっかりと認識
した「場」でなければいけない。
要するに、既にこちらで既定路線をつくっておいて、それをやってくださいというものでもい
けないですし、単に意見を聞くだけの「場」になってもいけない。お互いにメリットがないとだ
めだな、やった価値があるというところが。結果的には、行政がやらなくても、参加していただ
いているどなたかにやってもらえれば、それはそれでいいことですので。それが一つの課題解決
になる、というところになるので、そこはいいのかな。
逆に、事業化されなかったとしても、そういったところでいろいろと情報共有しながらやると
いうことが、一つ大きい価値があるのかなと。ただ、その部分が、ある程度こちらとしても受け
入れるという部分がなければいけない。
○各務座長
来たものを全部咀嚼して、文京区が全部返すということではないのです。何回もや
るので、一回こっきりで、最初やって全部済むんじゃなくて、私どもは、毎年、何回も何十回と
それをやっているということですから。
丁寧委員、いかがでしょう。
○丁委員
基本的に皆様のおっしゃることに非常に賛成ですが、ただ、井上委員がさっきおっし
ゃった、いろいろ取り組んでいる、こういう取り組みというのは、一番大きいのは内閣府とか経
産省が出している雇用創出のためのソーシャルセクターの育成、シードからプランまでいろいろ
あるのです。そういう中で、国とか行政はあまり入っていないのですよね。経産省の方も時々見
に来ていたかもしれないですけど、文京区で、地方自治体でやる非常に斬新なところというのは、
もっと地に足がついているというか、行政がまさに一緒にやれる体制にあるというのが一番斬新
かなと思うのです。というふうに感じました。
○菊地委員
区としてこういった、協働事業とか新たな公共事業をやる場合に、他の主体をNP
O法人だけにこだわる必要はないと思っています。行政が、NPOとか企業に対して持っている、
比較優位がある資源というのは結構あると思うのです。そういったものについても、この事業を
例えばどこかでやりたいといった場合、だけどこれが足りないといった場合、どういうふうにメ
ニューとして足りない部分について提供できるかということについても、こういう「場」の中で、
民間事業者側、NPO側に理解してもらうことが重要です。よく言われるのは、「信頼のバッジ
」として、区とか行政の後援事業、後援名義をもらうということ自体が、大きな資源提供となり
ます。
○各務座長
「信頼のバッジ」。
○菊地委員
ええ。それ自体が、事業者もしくは事業そのものの信頼性を高めるということもあ
るわけです。
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そういったことについて、まさしく、さっきおっしゃった「場」の中にもPDCAがあるのだ
と思うのですが、そういったことが整理されていくということだと思います。
○各務座長
先ほど、井上委員がおっしゃったことでいうと、私も、自分の身近な類推をしてし
まうので間違えているのかもしれませんけど。
いろんな方から、区民であれば、あるいは区民でなくても、文京区の、いわゆる社会的な問題
解決に向けて、いろいろ提案を募ってみる。文京区さんとしては、こういうカテゴリー、こうい
うカテゴリー。それがお子さんのことなのか、ご年配のケアのことなのか、あるいはこういう。
幾つかのカテゴリーで、これについて提案を募りますと。簡単なプロポーザルのようなものでも
いいけど、そういうようなものを、ある種、スクリーニングするのか、持ち寄るのかわかりませ
んが、一つ一つについて、それで膨らませて、だんだん議論をして、だんだんブラッシュアップ
していけるような。
箸にも棒にも引っかからないものがいっぱい出てくると思うのですけど、でも、そういうよう
なことの中から、例えば、さっきのETICの話もあったし、例えば井上委員に、これについて、
ある種のメンタリング的な機能をやってもらう。これについては、こういった意味を付加して議
論すると、さらにブラッシュアップ。そういう、教育機能みたいなものが働くのですかね、ある
種の指南をしていくプロセスといいますか。また、さらなるフィードバックが返ってきて、だん
だん、より現実的に、いわゆる事業の“ニオイ”が、ぼちぼちし始める。
それが、さっきのところでいうとスタートアップということかもしれませんけど。だから、そ
の間、じゃあ行政として、これはおもしろい、なかなか今までやりきれなかったと。そこに、あ
る種、文京区として一つの方向性も見えてくると、それが、積極的に文京区も一緒になってやっ
ていきたい事業群の候補になってくる。まだ決まったわけじゃないですが。さらに、またこれを
もんでいくプロセスが入っていくというイメージを持ってしまうのですけど。
○井上委員
今お伺いしながら、うまくいくパターンと、うまくいかないパターンがあって、昔
はなかったのですけど、今やプランコンテストはいっぱいあって、うまくいっているものと、そ
うでないものがあって。
うまくいっていないものはテーマコミュニティしか活用していない。つまり、福祉に興味があ
る人とか、環境に興味がある人というのが、ばらばらにアイデアを出してきて、集まった人が、
プランのキャンディレートとして、個人として振る舞って、自分のプランしか興味がない。最終
的に、賞金がほしいとか、せいぜいメンタリングがほしいぐらい、アドバイスをもらって。そう
すると、結果的に、プランコンペが終わったらそれで終わりです。
以前、東京都がやっていた学生向けのプランコンテストは、僕は参加者を知っていましたけど、
みんなお金目当てでした。都は何とかコミュニティをつくりたかったのですけど、そこが伝わら
ず、結局お金目当てで終わってしまっていた。
そうでない方は、恐らく、何らかの地縁なり、人間のつながりのコミュニティがプランコンペ
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なり、その主催の周辺に生まれていて、互いにブラッシュアップをしたり。つまり、こちらが全
部面倒を見なくても、今、ETICで目指しているのもそっちなのです。今までは、どちらかと
いうと引き上げていたのを、そうではなくて、そこはこちらの手を緩めて、事務局は軽めにして、
どうしたら互いにホストしあえるか。それがホスピタリティだと思うので。
いかに「場」のホストをふやせるかというところが、非常に大きなポイントになると思うので
す。その点を非常に上手にやってきているのが、最近話題になっていますけれども、コミュニテ
ィデザインの山崎さん。日本のあちこちでやられていて、それこそ有馬の公園でしたっけ。あの
ケースとかでも、この公園をいかにサステナブルでなおかつたくさんの人に来てもらうかという
ために、公園内にある施設や場所に関連するような市内のNPOを、彼は最初に一軒一軒回って、
数十団体集めてワークショップをして、ここをどうやって活用するか、それぞれみんなに考えて
もらう。
そうすると、会場が必要な団体、場所を使ってみんなでおもちゃをつくったりとか、昆虫の取
り方をする、生き物について知りたいというワークショップをしたい団体等々が、お客さんでは
なくて、公園の主催者としていろんなワークショップを次々とやっていくと、その団体にひもづ
いて、いろんなお客さんが来て。しかも、自分が何かやっていると、隣で別なこともしている。
そこにまたコミュニティが生まれて、当事者意識が生まれていく。私の公園なんだという形で、
また次のアイデアが出てくるという仕掛けを彼はたしかずっとやってきていて、そこでのポイン
トは、その中で、例えば、子どもですら、子どもは教わる側ではなくて、受け取る側ではなくて、
子どもも発信して、次のプログラムを考えるように、子どもの中にまたリーダーを育成して、そ
のリーダーの子どもは、次の子どもに何かを教えていくという仕掛けをつくっていく。
そういう自発的・自立的なコミュニティをいかにつくれるかというのが、一見同じプランコン
ペ、プラン募集でも、そのプロセスの設計によって全然違う結果が出るということです。
○各務座長
今のお話ですと、山崎さんは、先ほどお話があったプロデューサー、コーディネー
ターということですか。
○井上委員
プロデューサーですね。
○各務座長
という役割を担っている。したがって、継続性を持って、コミュニティをつくって
いくというイニシアチブが、場合によっては、ある方から、すなわちプロデューサーが担うと。
○井上委員
必要ですね。
○各務座長
必要になってくると。
さっき大川さんがおっしゃったようなことは、それを文京区が今やれといったら、難しいかも
しらんということに結構近いのですかね。
○政策研究担当課長
そうですね。
ここの公園をどうにかしたいという課題を持っていたときに、こういう動きがあるならば、そ
こに入っていくということは可能かと思いますが、ただ、そういうところを我々がつかんでいな
12
いときに、行政としてどうやって「場」をつくっていって、そこでうまく解決していったらいい
のかというところが一つあるかと思うのです。
そういった情報収集は絶対必要だと思うのです。NPOを一軒一軒歩くとか、そういった形で、
どんな人に、その「場」に入ってもらおうかというのは、そこの、選定と言っては失礼ですけれ
ども、どういった方々と一緒に話をしていくかという、相手方を見つけるというところ。それと、
そこの「場」でどうやっていこうかというところですね。
より実現性を高めていくために、一緒に協働、企画していく、魅力あるところを高めていきな
がら、どうやって一緒に事業化していこうかというところが、我々としては「場」の中で解決し
ていきたいテーマといいますか、課題といいますか。
○各務座長
井上委員にご質問です。山崎さんであって、有馬公園であってと。ここに行政とい
うのは、どういう具合にかかわってきているのでしょうか。
○菊地委員
公園自体の設置者は都道府県でしたか、県立ぐらいの大きな公園ですので、仕組み
としては指定管理を使っています。それを、山崎さんというコミュニティデザインのプロデュー
サーとして、言ってみればPFIでいうようなSPC、もしくはJVをつくり上げるプロデュー
サーとして関わるというイメージです。井上委員がおっしゃったように、いろんな「場」、そこ
を使って、それぞれのNPOが、それぞれの事業ができる。
ですので、NPOにとっても事業を実施する「場」が提供されるし、そこにお客さんがついて
くるという意味では、設置者である県にとっても、公園というものが有意義に利用されるという
意味では両方にとってメリットがでてきます。
○井上委員
このときに一つ理解しておいた方がいいかなと思うのは、有馬の公園の場合は、恐
らく、通常の千駄木何丁目の公園とは違っていて、もともとそこに新しくつくった公園で、いわ
ゆる地元の公園ではない。つまり、ゼロスタートでコミュニティをつくることができる。
ここで、僕もすごく悩ましいのは、例えばETICでいうと、ETICはインターン事業をや
ってきた中で、ETIC周辺に非常に、そもそもテーマで集まったけど、人間がつながりあって
いるコミュニティが存在している。それを使ってやっている。
それが、既にある区の区民公園だと、僕も知っている千駄木のある公園があって、そこだと、
若いお父さん・お母さんと、暗くて蚊がいっぱい出るのでどうしようかというときに、地元の元
々いたおじいちゃんとか、非常に昔からいる方とコミュニケーションが全然うまくいかなくて、
そこのマネジメントが、当事者同士ではなかなかうまくいかない。だから、もしかしたら、そこ
にプロが入ると変わるかもしれないのですけど、そういう地縁コミュニティを引っ張ったところ
でやるのか、それとも、そうではなくて、もう少し新しめのテーマで、今から人が集まって、そ
こからつくっていくのかで大分違うと思うんです。やりやすいのは、もう何もないところから。
例えば、東大が絡んできたりとか、いろいろあると思うのですけど。
○政策研究担当課長
項目の中の課題としても、実施主体じゃない関係者、地域等の意見をどこ
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に関与させるか、どのレベルで入れたらいいか。この「場」にやるのか。ここはここで、一つの
事業化的な案をつくる。また別に、どこでそういった考えを入れたらいいのかというのは、非常
に行政としても悩むところだとは思います。
○各務座長
先ほどの山崎さんの例は、一つの例として学ぶべきものは多いと思うのですけど、
先ほど大川課長から、そうは言っても、何かオーガナイズするのでも、取っかかりとなる最初の
起点といいますか、例えば、ある種のプランを、でも、そこにプロデューサーがまだいない、そ
れから、まだ、いわゆるそこに集まって、これはある種のメンタリングなのか、コミュニティを
アレンジしてやっていくような。ややもすると、じゃあ山崎さんに頼めばいいという話なのか。
そうじゃなくて、そういう専門とする、コミュニティをオーガナイズするという方の力を、あ
る意味では借りてくる、万博をやるときに特定の人がプロデューサーとして結構活躍するのと同
じで。そういうことなのか、最初の起点を、文京区としてどう考えていくということでしょうか。
最初の一番取っかかり、一番最初というのは何でしょうか。
○菊地委員
当然、行政が絡むものですので、事業化ということを将来、念頭に置いている場合
には、利益相反にならないようなポジションの人が必要でしょうし、場合によってはこのメンバ
ー、それこそ各務座長や井上委員でも十分いいのかなと思っています。アクショナルブルな提言
を出すということなので、我々が絡むという手もあるのかなと思います。
○各務座長
そうですね。井上委員をはじめとして、事によると、何人か日本の行政でそういっ
たことをやってこられた方。契約としては民間企業の方がいるかもしれません。世の中で、俗に
言うコンサルタントという方かもしれませんけど。
その方がいて、「場」をうまくプロデュースしてくれる方。そのスペックは文京区でちゃんと
出さないといけないかもしれませんけど、アレンジメントとかコミュニティをつなげるノウハウ
というのは、ある人にはあって、それを文京区としては、したたかに使っていく。
ただ、その中でグルグル回りがだんだん起きていますから、その中で、文京区としては、これ
についてイニシアチブとしてやっていきたいものと、そうではないものを選別していくと。最初
はわからなくて、見切り発車の部分があっても、「場」が出てくると、自問自答することで、い
かにつくるかという。小さなPlan
Do
Check
Actionをどんどんやっていく
しかないのかなという感じもするし。
○井上委員
すごいざっくりとした話でいうと、例えば、文京区なので、「文化のアントレプレ
ナー求む」みたいな形で、それでアイデアを募集して。その中で、条件として文京区の特定のフ
ァシリティを使いますと。事務局の場所が必要かどうかわからないですけど、例えば事務所のこ
の場所を使います、それから、ほかに鷗外記念館とか、いろいろなものがありますよね。それぞ
れ、完全にフリーではないけど、要相談で、これこれこれの、文京区に存在する文化的資産もし
くは資料などを使える。
例えば、SFCの学生で、大学院生の女の子で、日本中の職人を見つけて、その職人のすばら
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しい仕事を今いろんなところで連載したりとか、その伝統工芸品を、若者のセンスでつくり直し
て販売するということをしようとしている女の子がいるのです。例えば、そういう子が、文京区
にいる伝統職人であったりとか、もしくは文学のさまざまな物語がついた場であるとか、うまく
活用するアイデアとかを恐らく出してくれる。
そういう人たちを、例えば最初は第1期で10人とか、とにかくコミュニティになるような人
数をそろえて相互支援のコミュニティをつくっていただいて、期限を半年なり、3、4か月なり
区切りながら、必ず、どういうPlan
Do
Check
Action、どう転んで、どう
立ち上がったかというのを、何週回したかというのを、何らかの目標をつくっていって、管理し
ていって。ある程度クリアしたら、場合によってはファンドから何かが出る、お金が出る。
ファンドは、文京区によるマッチングファンドでもいいかもしれないし、つまり、彼らの価値
に対して、日本全国もしくは海外もしくは文京区内の市民からお金も出てきて、マッチングをし
ていくみたいな。今はSNSを使ったファンディングとか、いろいろ知恵はあるので。僕も一つ
立ち上げたところで。レスポンスというのがあるのですけど。
海外の市民に呼びかけて、日本の被災地で起きている、大きくない、国際的には知られていな
いけど、非常にいい動きの、復興のための事業のNPOに対して、寄附したい人が海外には結構
多いのです。でも、彼らは赤十字しか知らないので、そこをマッチングするサイトを立ち上げた
ところです。というように、いろんな仕掛けはつくれるので。例えば、そういうふうに特定のテ
ーマでコミュニティをつくる。そしてそこでPlan
Do
Check
Actionで、彼
らの中で回していく、プロセスを設計する。
○各務座長
これは一つの考え方ですね。
私も例を出しますと、これは東大生ですけど、東大には柏キャンパスがありますのでそれにも
関係することですが。実は今、「買い物難民」という言葉があるのです。要は、スーパーとかへ
買い物に出かけるのですけど、お年寄りだけの問題じゃなくて、近くで買い物ができない人が結
構多いんです。彼は、そういうロジスティクスの研究者で、したがって、交通システムみたいな
ものをうまくやることによって、買い物難民を解決したいというので、今でも柏市と千葉県と動
いている学生がいます。でも、結構、活発な動きを示していて、ホームページはちゃんと持って
いるし、いろんなコミュニティはついてくる。
ただ、私もそういう提案を、文京区として、ざっくりとしたカテゴリーでいいのかもしれませ
んけど、こういう「新しい社会起業家を求む」とやった場合に、いろんな提案をしてくる方がい
て、学生さんかもしれませんし、住民の方かもしれませんけど、それを何らかの形でスクリーニ
ングするのかもしれないけど、ある程度まとまった人数のコミュニティをつくる。それを最初の
スターティングポイントにする。
○政策研究担当課長
それは、こちらからお願いに行くのではなくて、求む。どちらかというと
公募をしてしまうということですか。
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○井上委員
公募ですね。
○各務座長
ええ、公募するという形ですね。
○丁委員
先生がさっきおっしゃられた柏で活動されている学生は、どういうきっかけで、そう
いうことを。
○各務座長
自分の研究分野の中で、研究を生かす実践のフィールドを求めるという意識がある
のでしょうね。
○丁委員
○各務座長
その学生自身が、地方の行政を対象に。
車のトランスポーテーションみたいなものを研究していて。結構、東大では、広い
ので、柏でいろいろと実験をやっているのです。彼も、実はそういうことをやりたいということ
で、実際にやろうとすると、行政が必ず絡んでくる。そうすると、柏市にも、それから千葉県に
も行って。私も、彼の学生を連れて千葉県の別の人にも会わせたりして。そんなコミュニティを
だんだんつくってきて。かなり、図柄としてはまっとうなプランをつくるのです。
ただ、本当に、長期的に、経済的に持続可能かとか。じゃあ、行政のどういうサポートがある
のか、具体的に考えなきゃいけないので。そこから、どんどん膨らませていく、あるいは削って
いくというプロセスを一緒にやっていきましょうという。
だから、その学生には、何人かメンター的な人がついていて、行政の人もウォッチしていて。
でも、最後は、圧倒的に行政から、最初にお金を出しますので、何も約束しません。ただ、育ん
でいくというプロセスは、千葉県も、柏市も、時間は使っているのです。
千葉県も柏市も、問題だとは認識しているのです。特に震災以後、郵便局だけじゃなくて、そ
ういう買い物難民というのが出ているという認識を千葉県は持っていて、そこに提案してきた学
生がいるという。だったら一緒にもんでいきませんかという。そういう人が10人いれば、確か
に、彼らはそういう中でコミュニケーションするのです、お互い学び合うというか。だから、そ
れが、井上委員がおっしゃったことに近いかなと、私は思ったのです。
○政策研究担当課長
そこで、行政側からするならば、そういった活動をしている方があって、
そこに支援をしようと行政側が考えるときには、恐らく、そこの方々でないとできないノウハウ
というか、任せるのはそこの方々しかいないとなれば、行政側としても、それなりにすぐ支援が
できる。ただ、競合相手がいるじゃないかとなったときには、その方々に任せるというのを、念
頭に置いて、できない場合が出てくる。
そうすると、どういった形で、最初に「場」の中に呼んでくるか。その方が、そのまま実施主
体として任せられるという唯一のノウハウを持っているとか、その人じゃなきゃできないという
理由があれば、しっかりとその人に支援していきますというのは、区民にも議会にも説明はでき
るかと思います。「いや、ほかにこっちでもこういったものをやっているし、競合がいるじゃな
いか」といったときには、こちらとしては、競争原理が働きますので、「我々はあなた方にすぐ
支援しますよ」という約束ができないまま一緒に参加をしていくという状況になってくるわけで
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すよね。
○各務座長
そこは常にオープンだと思うのです。競合者もどうぞ入ってくださいと呼びかけて。
独占しようと思っている人たちよりも、むしろ。
○政策研究担当課長
そうすると、今度は逆に、悪くとっちゃって、自分の意見だけを反映させ
たいとか、そういったところで、いろいろと出てこないのですか。そこで、なかなか「場」がま
とまらなくなっていくとか。逆に、そういったリスクみたいなものが出てきてしまうのかなと。
そこが行政側としては。
○丁委員
文京区にとっては、独自で解決できない喫緊の課題と、あと、行政の肥大化を防止し
て、新しい公共をうまく拡大させていくという中長期的な両方の側面があるのですけど、短期的
な、行政独自ではできないと焦っているような課題に対しては、スペシフィックにやった方がい
いのでしょうけど、今まで、割と時間を割いて議論しているのは、どうやって新しい公共を育て
ていくかという中長期的な話だと思うのです。
その中で、例えば募集を出して、要は、問題設定を出してもらうのですよね。今、既にわかっ
ている問題が喫緊な問題と、もしかしたら問題意識はあるのですけど、一般市民から問題設定を
より広く募集することによって、問題解決へのアプローチが多様化して、問題解決のコミュニテ
ィができてしまう。そのコミュニティをつくる分は、特に固定のスペシフィックは1人じゃない
ので、その部分は問題ないかと思うのですけど。両輪で、区にとっては喫緊の方があるんじゃな
いかなと。
○政策研究担当課長
○菊地委員
どっちを選ぶのかで、話の中身も変わってくるかもしれません。
丁寧委員がおっしゃったように、先ほど、井上委員と各務座長がおっしゃったこと
というのは、どちらかというと育てる場所をどういうふうにつくるかというものだったと思うの
ですが、それが交通対策であったり、おっしゃっていた伝統文化の継承であったりというお話で
あろうかと思います。
ただ、それが果たして行政としてかかわる、もしくは文京区としてかかわるだけ、社会的な価
値や社会的な需要があるかどうかということ自体も、「場」のところで議論されるべきで、マー
ケティングリサーチみたいなことが、この「場」の中できちんと前捌きとして何かあるべきなの
かということです。
その関連で、先ほどから私が申し上げているのは、テーマを特定しない方がいいのかなという
ことです。テーマを特定しないと何も出てこないというのはあるのですが。むしろ、文京区が何
らかの支援・コミットメントをするだけの社会的な価値がある事業というものが、解決すべきミ
ッション、社会的なミッションというものが、まず筋論として先にで出てくるべきなのかなとい
う印象も持ちます。
○井上委員
その辺は、恐らくマーケティングの問題で、僕自身が最初に始めた社会起業のプラ
ンコンペは、完全ノンジャンルだったのです。だから集まったんです。若者にとって、福祉の何
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とかを求める、環境の何とかでは出てこない。
だけど、ソーシャルアントレプレナーとか、当時は非常に新しくて、生き方として、あなたが
やる仕事として、世の中の変化に貢献をしようと。「本物の挑戦に火をつける、情熱に火をつけ
て挑戦しよう」というコピーだったのですけれども。そうすると、今まで引っかからなかった層
が引っかかってきて、なおかつ、メンターをしたりするビジネスパーソンや投資家からすると、
すごく新鮮だったのは、結果、わかるのは、テーマは違うけれども、みんな違う窓から同じ社会
を見ていて、非常に今の世の中が、例えば多様性を認めていないとか、いろんな共通項が見えて
きて、何か明らかにあるのです。
なので、完全オープンでも、時代がまた変わってきているのであれですけど、どう設定するか
によって、ノンジャンルでも行けると思うのです。だから、そこは打ち出し方の問題。
○各務座長
さっき、大川課長からご心配があったのは、いざそうなったときに、でも、行政は
何か頼まなきゃいけないといったときの心配が出てくるという話ですよね。
心配だったら絶対に発注すべきじゃないです。その中の、納得性のプロセスというのを、この
「場」がどう醸成できるか。「これだな」と思えるものが納得でなければ。もし納得しなかった
ら、それは、従来どおりNPOが、みずからの民間の発意としてやっていただいていいことで、
それにどう文京区としてお墨つきをつけるかどうかは、文京区がその都度考えたらいいと思うの
ですけど。
ただ、本当にこれは文京区にとって大事だ、何としても助成して、さらにスピードを速めて、
先ほどの井上委員の言葉を使うと「スタートアップから成長に、さらには事業化をサステイナブ
ルに」というのを早くやった方が文京区にとってもいいと思うのであれば、それは起点として、
ファンドなり、マッチングファンドなりの、糊代を出す。でも、これは文京区としても重要だし、
文京区で責任を持ってやる事業だからと納得できるものと、いや、これは基本的に民間の努力だ
なと、距離を置いてやろうというものと。距離を置くんだけど、少しポータルではなくて、エン
ドースメント、裏書だけをしようと。さっき言うところの、ある種の「信頼のバッジ」はつけて
あげるけど仕組みとしては違うものにしようとか、それが、だんだん「場」の中で醸成されて、
文京区さんとしても納得されるものに行くんじゃないかと思うのですけど。
○井上委員
レベル2までは、ジャンルは何でもいいんです。スタートアップすることに価値が
ある。立ち上がるところまでが重要なので、起業の数は多い方がいい。その後に本当に成長して、
維持し、成長していくという段階になったときは、非常に数少なく重点的に、区として支える意
味があるものを支えるというので。シードからプラン段階という1つ目と、それからスタートア
ップをするというところまでと、その後の、公の機関として成長に寄与するというのは全く別の
ものだと思うので。
ステージ2までは、市民のアントレプレナーシップを育むというところが社会的な価値で、ス
テージ3に至っては、特定分野の公共サービスをつくるというところになってくると思うのです。
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これは初回の議論と一緒だと思うのですけど。なので、そこは分けて考えて。
そういう意味でいうと、少なくとも言えるのは、ステージ2までで一番重要なのはアントレプ
レナーシップだと思うのです。この世の中に対して被害者意識を持って、だめだよね、難しいよ
ねというのではなくて、自分がおかしいと思うならみずから動き出す人をいかにふやせるか。そ
のときに、初めから行政が支えてくれるからやる、行政が契約してくれそうだからやるのではな
くて、何であろうが子育ては重要で、何であろうが自分の病児保育の問題は大事だからと立ち上
げたのは、例えば駒崎君であって。駒崎君は最初、みんな行政からけられて、けられて、全くも
って不遇の中で、それだったら助成金がなくてもやっていけるモデルを考えようとした結果、助
成金がもらえるようなものになる。なので、後に契約してもらえる約束なんてなくて当然です。
だって、市場で戦ってやるのが当たり前なので。だから、ステージ2まで、そこがすごく大事だ
と思うんですよ。
○各務座長
今の駒崎さんの場合は、フローレンスですね。それは皆さんが、この前の議論があ
ったように。でも、最初の取っかかりは、アントレプレナーシップですから、ベンチャーキャピ
タルも金を出さないのと同じで。
○菊地委員
あとは、行政として、可能性に対して資金を提供するというか、将来の成果が見え
ないものに対して、随契のような形で競争によらない契約をするということの対外的な説明責任
というのが発生する。そこをどういうふうにクリアできるのかということが、恐らく課題となる
でしょう。
そのロジック構成をどういうふうに組み立てるのかということが非常に悩ましいんだと思うの
です。ここの提言として、ある意味、シームレスな形で行政がコミットメントするということを
しないといけない。そういう意味では、これまでの行政側のやり方自体も変わるという意味で、
勇気を持って、一部、行政側もアントレプレナー側になるといいますか、試しにやってみるとい
う覚悟というのは恐らく必要になるでしょうし、組み立て方としては、いろんな方法があると思
うのです。
たとえば、資格審査の段階で我々が今回言っている「場」のプロセスを踏んだところにのみ入
札に入っていける資格を与える。指名競争みたいな形にするという方法など、仕組みとしてはい
ろんな方法ができると思います。我々の提言自体が、意味で行政としてもやってみるんだという
覚悟を促す必要があろうかと思います。
○各務座長
菊地先生に伺った方がよろしいですか。
さっきの、要するに行政のイニシアチブ、行政の傘の中でそういうものをやるんだ、少なくと
もソーシャルアントレプレナーシップというのは重要なんだと考えてみずからやるのか、あるい
は、これは事務局も場合によってはご関心があるかもしれませんけど、何かワンクッションある、
中間組織みたいなものが介在して、その中である程度自由にやれるようにする。だから、距離を
置いて文京区は見るとか。この辺はどういうふうに考えていったらいいのでしょうか。
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○菊地委員
何らかの事業を行う場合には行政との契約になる。その際、契約の場合、一方で競
争性、公平性を担保しないといけない。一方で、ずっと育ててきたのに、競争入札のふたをあけ
てみたら負けてしまうということも起こりえます。そうすると、育ててきた分のコミットメント
が、何だったのかということになってしまう。そこをどうするかということだと思うのです。
お金の出し方としては、例えば基金化みたいな形にして別立てをするという方法もあるでしょ
うし、指定管理者のような場合には、これは自治法上の契約ではありませんので、実はある程度
自由な制度設計が可能です。
○政策研究担当課長
○菊地委員
議決は必要です。
議決は必要ですけれども、自治法上の契約ではないので、協定という形になります
ので、同法に規定する入札の対象とはなりません。議会側を説得できれば、制度上はできなくは
ないという仕組みです。
○各務座長
今のお話は、指定管理して、ある特定の機関。それは今までのプロセスでいうと、
第3段階まで行って、最終的に提案して、文京区がやってくださいとするときのプロセスとして
先生からご指摘があった点ですよね。
○菊地委員
公募しないといけないということについては、実は、指定管理者は自治法上の契約
ではありませんので、競争入札をしないといけないという原則が適用されないのです。制度上は
1社でもいいのです。
○各務座長
したがって、さっきの3段階方式でいうと、ある種、アントレプレナーシップを育
んでいくというのと、それから、また糊代を出して、スタートアップから事業化へ行くというの
と、それから今度は、もう一つは、文京区がそこの機関とどう向き合って、どういうやり方で公
平性を担保しながら事業化するかというのと。何か幾つかのステップがあるように思いますね。
○井上委員
なので、本当に願わくは3段階目がたくさんあると、世の中に見える形で、文京区
には公共の担い手があり、実際に幾つ、幾つの契約をし、本来行政がやっていたサービスを既に
渡していますと。しかも、このようにモニターもしていますと。イギリスで起きているような状
況。イギリス社会全体は、いろいろ問題はあるけれども、起きている状況。
ただ、いきなりそこはいないというので、逆算すると、先ほど出てきたプランコンテストであ
ったりとか、事業者の卵のコミュニティをつくって動かしていくという、2段階目に当たるよう
なスタートアップの支援があり得ていて、もっとさかのぼると、いかに市民の方が当事者、さっ
き「ホスト」という言葉を使ったのですけど、ホスティング、この地域をホストする気持ちにな
るかというところのつくり方が非常に大事かなと思って。
機会があれば、ぜひご紹介なり、行ってみていただきたいのですけど、それこそ最初にお話を
しました、前々回のフューチャーセンターであるとか、それからアウトオブホスティングをやっ
ている西村さんという、「未創」というNPOで、そこもやっていたり、そういう方たちが今、
日本のあちこちでやっています。
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それこそワールドカフェとか、それからOST、オープンスペーステクノロジー。ひととおり
のディスカッションで、いろいろの話をした後に、例えばOSTという技術だと、円になったま
ま、今までのいろんな議論を踏まえて、自分が話し合ってみたいテーマを自分で紙に書いて、こ
れこれこうなのかとか、「よりよい文京区における父親をつくるには」とか、自分でテーマを出
して、その場でスケジュールがあって、1時間目・2時間目、場所がA・B・C・Dとある。そ
こに張ると、自分がそこのディスカッションのホストになるのです。なので、オーディエンスと
して参加してきたはずのワークショップが、今度は、自分がテーマと「場」の提供者になってい
く。3段階目は、そこで話し合った結果、次は自分が何をするのかという議論の進め方の技術が
出てきていたり。
なので、何となく人が集まって、「文京区のためにどうするのか話してください」ではなくて、
技術として、こうこうこう進めると、いろんな話が出てきた結果、自分の中でしばらく静かな時
間を持って、浮かび上がってきた気持ちを、文字や事業にしていくプロセスの設計が動きとして
あるので。例えば、そういうものを、区は、区としてだれか専門家に頼むとしても、主催をした
ときに、こういうやり方で。
○各務座長
いわゆる、ベストプラクティスがどこかに出来つつあるということですね。
○井上委員
いっぱいあるのです。なので、技術的に可能になってきた。デモクラシーというの
は抽象論じゃない、具体的なデザインの手法論なので。というので、一番最初のシードをプラン
にしようと思うような人たちの層をふやしていく方法がありますよというので、この前、1つの
例としてフューチャーセンターの話をしたのです。
○各務座長
なるほど。
これも、さっきの目的に近くなるのですけど、そもそも、そういうソーシャルアントレプレナ
ーシップを育むかどうか。そういう「場」もつくるかどうか。そこから上がってきたものを、さ
らに次のステップに行くために、文京区としてコミットするか。そこに中間の組織を介在した方
がいいのかどうか。
最後のところは、実際に文京区としてそれをやりますといったときに、主体になるのか、やっ
てもらうのか。あるいは、やってもらうとなれば入札の話も含めて、公平性をどう担保するのか。
それから、やってもらった後に、ずっとウォッチしながらガバナンスをきかせるためにどうして
いくのかという、だから何段階の、こういう「場」のあり方という話になってきているというこ
とでしょうか。
○井上委員
そう簡単に、すぐに契約して、公共サービスを渡せるような民間団体なんて、あっ
たらやっているし、出るわけがないじゃないですか。
でも、僕は、文京区は物すごいレベルが高い方だと思うので、ほかのところでやるよりも、腰
を据えてやると少し早くそういうものが出てくるのは間違いないと思っているのですけど。
○各務座長
安藤委員もいらしたので、途中でまた。
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さっきの井上委員の話の中で、文京区の、区民の当事者意識。これは「区民とともに」という
ことでしょうか。それとも、押しなべて、それはどういうNPO法人になっても、必ずしもロケ
ーションなり、あるいは区民とこだわらず、ある意味では区民そのものをだんだんと高めていき
ましょうということなのか。文京区はあくまで行政としてやるのであって、NPO的な主体をど
こに置こうが、あるいはどの住民であろうが、それは関係ないととらまえるのか。
さっきの井上委員のお話だと、当事者意識、住民の意識というものもお話をされたのですが、
それはどうしたらいいですか。
○各務座長
安藤委員、途中ですみません、スパッとキャッチアップされたんじゃないかと思う
のですが。
○安藤委員
これまでの例で言うと、私もかかわっていた「小中学校の将来ビジョン」という計
画があって、それは、具体的には小中学校の統廃合というところがあって、何ら事前の説明もな
く、文京区がいきなりそれを発表して、当時僕がPTA会長をやっていたある小学校ほか数校で、
反対というか、議論の場を設けてもらうことにした。その協議体ができて、その後、60何人の
協議体だったのですけれども、自治会長とか、いろんなステークホルダーが入ったのです。
そこで、統廃合計画だけではなくて、幅広く奥深く、文京区のそもそもの教育理念は何だっけ
とか、文京区ならではの特質をどう生かして子どもたちを育むのか、みたいな、割と深い議論が
できたのです。
結果的に、その統廃合は一たん白紙撤回してもらって、今は猶予期間みたいになっていて。ま
た数年たつと、少子化が進んでみたいなことになると思うのですけど。
あの会議の行方というか、僕も実際にかかわってきて、区長が言っている協働・協治というも
のを一つ具現化した形ではあったかなと思う。結論から言えば、それは区民側からしっかり声を
上げて、それをしっかり受けとめてくれて実ったことだと思っているので。
そういった、本当の意味でのデモクラシーというか、きちんとしたことをやるんだという意識
が双方にあると、ああいう、ある種のいいアウトカムがあったんだなというのは思います。だか
ら、両方、依存してはいけないというか、特に我々は、子どもたちの学校の話だったので非常に
熱を帯びた議論ではあったのです。
別に、けんかをしているということは、僕は思わなかったし、よりよく意見をぶつけ合って、
実際、統廃合に賛成派の人たちもいたし、でも、そうではない、もっと子どもたちにとって本当
にいい教育の現場とは何かという議論を、僕もいろんな方と知り合って、できたので、それはす
ごくよかったと思っています。
○各務座長
最初のシードの段階は、基本的に住民から、あるいは地域から上がってくるもの。
ただし、さっきのお話で、プロフェッショナルで、多少プロデューサー的なものについては、む
しろベストプラクティスを持っている方に、当初は依存するようなものが、物によってはあるの
でしょうね。
22
○井上委員
さっきの、プロデューサーが必要なのは、ステージ2のところで既に動こうとして
いる人たちを、別にステージ1の人たちが盛り上がるまで待つ必要はないので。なので、彼らに
手を挙げてもらって、10人とかを集めるというところにプロデューサーは必要だよねという話
です。
○各務座長
今までのところで、何かつけ加えていただいたり、何かございませんでしょうか。
○菊地委員
恐らく、ステージ1の場合には、さっきからこだわって申し上げている、マーケテ
ィングリサーチのようなことが行われて、文京区にとって何が解決すべき課題なのかという部分
も含めて、その後に、個別具体的な解決すべきミッションというのが出てきて、それについてい
ろんなプロポーザルというのが出てくると思います。育て上げて、事業化できるぐらいまでのレ
ベルになったら、行政として随契のような形で一定期間やってみる。そのプロセス、プロセスご
とに、ある意味でチェックポイントみたいなものが、アドバイザリーボードであったり、ガバナ
ンスの仕組みとして評価があると思うのです。そういうようなイメージになります。
文京区にこだわるのか、区民にこだわるのかということに関しては、メンターですとかファシ
リテーター、もしくは事業者とか、いろんなステークホルダーのどれかが文京区に入っていれば
問題ないのかなという印象があります。
ただ、単に受益者が文京区で、わいわいがやがや、ファシリテーターとか、事業者・メンター
も含めて、文京区民以外の人たちが、がやがややっていて楽しくやっているんだけど、受益者は
文京区民だけ。「よくわからないけど、何かいいことをやってくれている」というだけでは意味
がないのかなと思っています。
○各務座長
それと、ステージとしてはずっと後の方のステージになるのかもしれませんけど、
一時、これはアメリカですとカリフォルニアなどに多かったことですけど、要は、多様性という
ものを、とにかく育まなきゃいけないということで、特に公共のサービスをいろいろ提案してい
く、これは入札ですね。
それについて言うと、マイノリティで、たとえば女性とか、これは30%ぐらい、コストに下
駄を履かせて入札し易くなる。これはアファーティマブ・アクションと、通常アメリカなどでは
言っていますけど。これは、したがって、行政が、マイノリティで、ディスアドバンテージが本
来的に今まであったと思われているものを積極的に取り入れ、多様性を育むのだという。
したがって、NPO法人でも、そうやって生まれたものについては、文京区として最初のお客
様になるか、あるいは積極的に入れていくというタイプの話もあるのです。このあたりは「場」
ということではなくて、さっきの入札や何やらを含めてということとして。
○菊地委員
政策入札として、そういうような仕組みをつくっていくとことはできると思います。
○各務座長
そうすると、少なくとも「場」の中で育まれてあるところまで行ったものについて
は、それで文京区さんが納得するというころであれば、それは公平性の原理から言うと、もう一
度、一からスタートして全部やるというよりは、積極的に採用するという政策もあるわけですね。
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○菊地委員
あとは別の形での競争性を担保という形では、私は、もともと内閣府で官民競争入
札というのにかかわっておりますので。入札に行政もかかわる、要するにプロポーザルを出して
いくという仕組みもあると思います。提案する、対抗する事業者が1社であったとしても、少な
くとも現状行政が行っている事業に対して、費用対効果も含めていいものができるということが
担保されるということもあるのかなと思います。
日本ですと、なかなか官民がガチンコでやるというのは少ないのですが、実は、海外にも事例
がありますし、国内にも幾つかそういう事例があります。割合、官の方が100戦連敗ではなく、
結果は半々ぐらいだったりするのですけれども。
○各務座長
これは、さっき丁寧委員から時間軸の話も出たのですけど。これは、井上委員に伺
いますが、さっきのシードからプランの段階で、例えば、文京区でシードからプランにしていこ
うと。
「文京区」という現場があったときに、その提案者というのは、決して1人の、例えば学生や、
若い個人ではなくて、既存にあるNPOでもいいわけですよね。
○井上委員
ええ。
○各務座長
そうすると、そこは比較的、NPOにある種のノウハウの蓄積が、他区であって、
その問題解決を文京区にやりたい。事によっては、そこは豊島区にもあるかもしれないけど。
こういうようなものは、ある種、物によっては即効性がある。この3段階でいくと最後の段階
まで行くようなものもあるということでしょうか。
○井上委員
なるほど。それはそうだな。
○各務座長
そこは幅広に、個人として、住民としての1提案ですというものもあれば、既存の
NPOで、そこが提案してくる。そこは、ある種のノウハウを他区では持っていて、それが文京
区の行政とうまくヒットするかどうかはわかりません。文京区はもうできているという話だった
ら、やる必要はないかもしれませんけど。
そうすると、時間軸で言うと比較的早いものも、事によったらあるかもしれない。だから、物
すごい時間待たなきゃいけないかと思うようで、ご心配があるとすれば、そうじゃないものも出
てくるかもしれない。
○井上委員
新手のNPO誘致みたいな感じですけど。
○各務座長
そうですね。
○井上委員
でも、すごくおもしろいのは、「社会起業」と言われて立ち上げた若手の中で非常
に多いのは、初めからスケールを志向している。我がまちの、我がことだけをやるんじゃなくて、
テーマ全体として、ホームレスの数は全国にいるわけだし、障害者しかりだし、お父さん・お母
さんも全国にいるので、自分のまちでとどまっていいと思っていない人がすごくふえている。
ただ、スケールしようとすると非常にコストがかかるのです。まず、自分がやって生きている
ことが、どれだけほかの場所に転用可能かということを問い直さなきゃいけない。
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意外と、例えば安藤さんの魅力だけで回っている。そういう意味じゃないですよ。僕がやって
いるSVPでも、自分の力業で回しちゃっている部分がすごくある。それをほかの場所で回そう
というときに、自分の仕組みをもう一回チェックするのです。それには、かなりの時間と手間が
かかって。
ただ、それが、例えば、よそに移転したときに、事業によるのでわからないですけど、何らか
の形で事務所のサポートが入ってスケールしやすくする。これは、オバマのオフィスオブソーシ
ャルイノベーションの、ソーシャルイノベーションファンドがやっていることです。既に、ある
地域である程度の実績があるNPOや事業者に対して、スケールに対してお金を出す、支援をす
る。もしくは、経営支援をする、キャパシティビルディング、専門家の派遣。そこに、中間支援
組織を間に入れるのですけど。というのは、非常に行政の役割として大きなものがあると思いま
す。どこもスケールに問題があるので。
○各務座長
ある種、一種のフランチャイジングみたいなものですね。
○井上委員
ソーシャルフランチャイズです。
○各務座長
そこで、核で持っていて、そこで成功しているものを、安藤さんがおやりになって
いることを、例えば今度は関西でやるとか。でも、安藤さんと同等の人を育て上げるところのコ
ストというのが、さっきおっしゃった初期コストになりますよね。
○井上委員
はい。もしくは、ノウハウをもう一回客観的に全部見直して、それを仕組みにした
らどうなるのか。どこは削っていいけど、どこは削っちゃいけないとか。
本人が、あれも大事、これも大事、全部大事だと思っちゃうんです。でも、意外とそぎ落とし
て、6割ぐらいの再現性でよそに行って、結構ボトムラインを超えられるわけです。最低限のこ
とを果たせる。でも、創業者はこだわっちゃうので、そこに第三者が入ることによってスケール
の機会を得るんですよね。
○菊地委員
NPOの主たる住所地といいますか、契約の相手方が文京区民といいますか、文京
区にかかわる者に限定するのかしないのかということのお話だったと思います。
さきほどJVの契約の話が出ていたとおり、文京区に所在を持っている、例えば安藤さんのと
ころですとか企業でもいいですけれども、そういうところと必ずアライアンスを組んで応募させ
るという制約をかけることで、「文京区」ということにこだわりを持たせることもできますよね。
文京区をフィールドとするわけですから、文京区をよく知っている同様のNPOと協働する形で、
事業のプロポーザルをださせるのです。
ただ、JV契約の際の帰責性の問題が議論も出てくると思います。そういった契約上のサポー
トというのは、恐らく行政側にもアドバイザリーが必要になってきますし、NPO側にもアドバ
イザリーが必要になってくると思います。
井上委員や安藤委員にお聞きしたいのですけど、NPO同士で何らかの事業を協働でやるとい
った場合に、きちんと契約書は交わしますか。
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○安藤委員
NPO同士ではやったことがないですね。
○菊地委員
基本的には、安藤委員のところでNPO同士の協業はしていないということですね。
○安藤委員
していますよ。それは別に、うちの場合は文京区ではないし。
○菊地委員
ほかのNPOと。
○安藤委員
全国のNPOから。
○菊地委員
その場合に、何か契約を交わすということは。
○安藤委員
契約書はないです。1事業に対しての参画を求められて、日程とか条件が合えば行
きます。
○菊地委員
事業レベルで何か動くとということは。
○井上委員
契約書ですか。おもしろいな。
○菊地委員
NPO同士で契約書を交わすということです。たとえば企業とは、CSRの一環で
何かをやるという場合、必ず契約を結ぶと思うのです。
○井上委員
そうですね。
○安藤委員
NPO間はないと思いますね。
○菊地委員
JV契約は。
○丁委員
内容ですよね。個人情報とか、そういうところにかかわるNPO同士だったら、そう
いうものを交わさざるを得ないでしょうけど。
○井上委員
そういうのはあるね。
○菊地委員
そういうような契約文化というのは、今後、必要になってくると思いますが。
○政策研究担当課長
○菊地委員
行政が入ると、絶対に必要になってくると思います。
ええ。JV契約という場合には、おそらく、行政と主たる会計責任になる側のNP
Oとの契約を一本にして、そのNPOと、JVを組むNPO同士の契約という形で、二重契約に
なると思います。
○井上委員
あまり、JV的な組み方をしていない。
○各務座長
そうですね。私の視点から見ても、これは行政がやると難しいのでしょうけど、本
来は、安藤さんがやってらっしゃるものは、安藤さんがおやりになるから成功して、そこにアン
トレプレナーシップの発露があって物事がクリエイティブに進んでいくとすると、本来的にはフ
ランチャイズであっても、ノウハウをある程度移転しても、ある種のいろんな意思決定や何かは、
安藤さんに帰着しないと世の中がうまくいかないと思うのですよ。
○安藤委員
うちは、そういうガバナンスでやっています。
○各務座長
そうですよね。何事を決めるときも、あっちから全部ガバナンスが入ってくると、
まずスピードが遅くなる、やりたいこともできなくなると、本来の目的がかなわなくなっちゃう
可能性を、心配しますね。
○菊地委員
例えば今回、東京都の新たな公共支援事業というのが各区へ出されていますが、文
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京区からは応募がありましたか。
○政策研究担当課長
なかったです。幾つかの協議会の中で、5団体か何かを含まなきゃいけな
いと。あれがなかったので。
○菊地委員
仕組みとして変わっているのは、行政と行政以外の主体の組み合わせで出して、都
の事業として認めよう、認めないという議論をするのです。
あそこは、NPOとNPOが出してもいいはずです。1団体じゃなくて必ず協議会をつくると
いう形であったと思います。
○政策研究担当課長
○菊地委員
そうです。
そこで、ガバナンスというか責任の問題を、どういうふうに管理していくのかとい
うことが重要となります。
○各務座長
これは、菊地先生に伺ったらいいんでしょうか。行政が必要とする行政としてのサ
ービスというのが、今、文京区そのものがやってはなかなかうまくいかない、あるいは物すごく
時間がかかる。そこにもってきて、他区にあるものが、大変進んだものをやって成功をおさめて
いる。そこが文京区さんと直接やりたい。でも当然、入札のプロセスがあります。そこは公平性
を持ってやればいいんですけど、そのときにJVである必要はないですよね。
○菊地委員
JVである必要はないです。ただ、さっきも申し上げたとおり、単なる受益者が文
京区であるという意味では、あまり新たな公共にならないのかなと思いまして。そこに文京区が
何らかの形で絡むとした場合に、文京区内のどこかとJVを組んで出してくるということがある
と思ったものですから。これは政策入札の一つの形態です。
先ほど座長の質問として、文京区民がどう絡むべきか、絡まなくてもいいのかということの議
論で言うと、単に受益者が文京区民だけであるんだったらあまり意味がないのかなという印象を
持ちましたので。
○井上委員
会社の場合はオーナーシップが非常に重要だと思うので、協働する場合も契約をし
て、どういう形でとガバナンスを決めて、ですけど。NPOの場合は、別に、どの事業、だれの
ものというよりも、個人ベースの方が非常に強いので。
僕が知っている範囲だと、例えば「ハタチ基金」というのが震災後に、語り場の今村久美さん
の発想で始まったのですけど、あれはフローレンスの駒崎さん等々、数人の教育分野のNPOの
人たちで新たに理事会をつくり直しちゃって、別会社にしちゃって、別法人を立ち上げちゃうの
です。そのときに、事務局機能はどこどこで、結局は日本財団が請け負ってみたいな。新しくス
キームをつくり直してしまうんです。そうやって始まるので、結局ミッションをもとに新しく全
部つくり直して動かしちゃう。
だから、そこの中に文京区民はだれとだれが入ってとか、エリアは文京区なのかとか、文京区
の入り方はいろいろあると思うのですけど。結局、ミッションありきなので、そうやって見たと
きに、やっている側からすると文京区と台東区の微妙な境目はどうでもいいですし、その辺をど
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んどん乗り越えていく。僕は谷根千エリアに住みたかったので台東区にいたり、文京区にいたり
していたので。その辺は、住んでいる方の感覚なのかなと。
○各務座長
そうですね。だから、「新たな公共」と言ったとき、これは冒頭に出しましたけど、
ストラクチャーとして言っているのか、公共というもののサービスそのものが、もう行政がやっ
ているものではなくて、民間企業もやっているものを含めてあるのかという考え方によるのかも
しれませんね。
そうなってくると、事によったら、文京区の役割があったとしても、そこにNPOが立ち上が
ってきていろいろやっていて、ベストプラクティスが充実してきて実績もある。じゃあ、文京区
も導入してください。最初の初期設定だけ、ある種の支援なり初期コストは文京区が出すとして
も、基本的には民間でやっていいようなタイプのものがあった場合には、文京区としては少し太
っ腹といいますか、最初の初期はあるけど、新たな公共の担い手としてNPOが文京区のサービ
スについてもやっていくような考え方ですね。それを、だから受容していけるのかどうか。
○企画政策部長
それは、区内にそういうNPO団体がなければ、区外の団体と協働するという
ことも、それによって社会的な課題を担っていただくということは考えられると思います。
○政策研究担当課長
一つの「場」として考えたときには、今の方が、より「場」の中に入って
くる人数が特定されている。ある意味、行政とNPOが1対1でもいいわけですよね、そこの「
場」と考えたときに。
さっきも言ったような、最初からアントレプレナー的にやるのであれば、公募するならば、も
っと対象、参加する人はたくさん出てきて、その中でどうやっていきましょうか。ただ、行政側
も、NPOも、ここという特定するものがお互いにあるならば、そことそことの「場」の協議だ
けでも済む。だから、「場」というのはそこで大きく規模が変わってくるというところだと思う
のです。
○各務座長
私は、どっちかということじゃなくて、さっき申し上げたのは本当にアントレプレ
ナーシップを育むような、個人で、区民としてこういうものを持っていて、ぜひ提案させてくだ
さいというのもあるし、同時に既存のものの提案でもいいという。少しこっちの方がショートタ
ブになる可能性も高くて、すぐのっけからビジネスのことを考えられるものもあれば、長期軸に
なるけど少し育んでいこうと。こっちは3段階のプロセスだから、もっと悠長に考えないといけ
ない。でも、両方あるような感じがするのです。
○各務座長
私は、行政の立場から言うと、ビジネスで言うと食いぶちも稼がなきゃいけないし、
同時に長期にやるということで考えると既存のNPOとうまく組むという方も考える。長期で育
むというものも同時に考えるということがあっていいかなと。
○井上委員
この前、さっきの山崎さんがつくった鹿児島にあるデパート、マルヤガーデンとい
うのを見に行って、非常におもしろいのは、つくり直したのはすごく老舗のデパートなんです。
社長は女性の方で、非常におもしろい方で、ぜひやりましょうといってやったのが、普通、デパ
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ートというのはフロアごとの1平方メートル敷地単位ごとの売上利益を全部見て、一個一個厳密
に決めるわけじゃないですか。
それを、フロアごとの一定区画、コミュニティスペースとしてオープンしちゃう。クレージー
に穴をあけたのです。穴をあけて、それが全部フロアごとに、女性の衣料のフロア、男性衣料、
スポーツのフロアというフロアではなく、医療・健康とか、まちづくりとか、子どものフロアと
か、コミュニティテーマの名前がついて意味のわからないデパートになって。
そうすると、先ほどの公園の話と一緒で、そのデパートをつくる段階で地域のテーマごとのN
POや市民団体の方に来ていただいて、このスペースをどう使いたいかということを開店前に数
か月かけて話し合って、そこを彼らにつくってもらう。そうすると、普通だったら、デパートに
は各ブランド目当ての決まったお客しか来ないのに、普通だったらデパートに来なかった人が、
NPOのコミュニティフロア目当てに来るのです。しかもNPO団体は大体、1団体ごとにファ
ンがいて、1団体ごとに例えば100人のファンがいたら、10個入れば100×100だから
1万人来るわけです。
というふうに、もし文京区をこのデパートとして考えたら、よそのNPOさんと組んでここに
来てもらうことによってひもづいて、いろんな人が来る。さらに新しい会員を地元でふやしてい
くので、そういう意味で1NPOの向こうにいる、しかも結構NPOつながりは強いつながりで
もあるので、そういう意味で、もし経済効果でなくて、コミュニティ効果みたいなものがあると
したら、幾つかのレバレッジのきいた、よいNPOを選定して、ここに来てもらうことでのコミ
ュニティインパクト、ひいては、もしかしたらそこから事業が始まるとしたら、ソーシャルエコ
ノミカルインパクトは結構ある可能性がある。そういう意味では、外から集めてくるというのは
結構おもしろいです。
○各務座長
そうですね。
一回休憩した方がいいでしょう。じゃあ45分ぐらいからにしましょう。
○各務座長
それでは、じゃあ再開させていただきます。
安藤委員にご質問したいのですが、前半のディスカッションの中で、いわゆる社会起業家をも
っと育んでいこうというお話が井上委員からも出まして、だんだんとステージをあがってスター
トアップからある程度まで成長していく。さらに大きく事業化して長期的にサステイナブルなビ
ジネスになっていく。幾つか、3段階にしろ、前提として区の住民の意識の高まりというか、当
事者意識という話もあったのですが。
例えば、あまり具体的に話してもいけないのかもしれませんけど、私のイメージは、安藤さん
が、それこそそういう目ききをやっていらして、そういう提案がシードとして挙がってくる、住
民の声が挙がってくる。私は、一母親としてこういう行政サービスがあったらいいと思うとか、
あるいはこういうことを提案したいと、いろいろことが出てきますよね。仮に、20提案、いろ
んなものがあって、全く箸にも棒にもかからない、既存のものでやっているとか。
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これを安藤委員からごらんになると、じゃあこれはおもしろいから育んでみようというものが
出てきて、仮に10集めるとすると、ある種のコミュニティが生まれる。そこで、いろんなやり
取りをする中で、だんだんとビジネスのにおいがしてくるようなものが、安藤さんのような方が
いて、全体をまとめられたり、メンターされたり、あるいは、場合によっては別の方が入ってき
て、ああだこうだ言いながらも、だんだんいいものになってくる。
こういうようなものを少し考えていったらどうかという、ご提案があったと思うのです。こう
いうのはイメージがわきますか。あまりわきませんか。
○安藤委員
理想論に聞こえちゃいますね。僕は、社会起業家って別になろうと思ってなれるも
のじゃないと思っていて、僕は全然、自分のことをそう思っていないのですけれども。
何でもリーダーを育てるしかないんですよね。育てるというか、リーダーもなるべくしてなっ
ているはずなんです。「リーダー育成」とかよく言うんだけれども、小さいころから遊びの中心
にいて、いつも何か開発して、既存のものにも新しいルールを加えて、みんなを楽しませるよう
な人がリーダーだと思っているのです。そういう人は大人になってからも同じことをやるのです。
つまり、「寄らば大樹」で組織に組み込まれていかないような、まさに社会起業家はそうじゃ
ないと何もできないと思うので。そういう素質を持った人をまず見つけて、その人がそれで食っ
ていけるような仕組みをつくってあげれば、幾らでも僕は社会事業というのは生まれてくると思
うのです。だから、「社会起業家育成」なんて言っても、もともとのリーダーの資質がない人が
やったら、結局、最終的に行政が全部それを尻拭わなきゃいけないという話に、僕はなると思い
ます。
○各務座長
なるほど。そうすると、ご本人が気づいているかどうかは別問題として、何らかの
形でそういう方が。
○安藤委員
資質を持った人。
○各務座長
持つ人に来てもらえるようにすると。
○安藤委員
それを見つけ出していくということが、僕は非常に重要だと思います。
○各務座長
なるほど。それは、ある種のプランコンテストみたいなものではないのですか、難
しいですか。
○安藤委員
だから、よく僕も、そういったプランコンテストなんかに時々顔出してよとかと言
われるんだけれども、アイデアは立派だけれども、本当にこいつはこれができるのかなという感
じの人がいっぱいいますよね。
結局、保険を掛けながら夢を持っているだけみたいな感じになっちゃって。そんな人はリーダ
ーに向いていないというか、みんながついてくるような人ではない。
○各務座長
私も、実はビジネスプランコンテストをよくやっているものですから、井上先生も
おやりになっていると思います。
私の感覚で言うと、実際、歩留まりとしてはすごく悪いです。100人いれば2、3人。ただ、
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10人ぐらいは、その人たちと一緒にやってくれるグループがいるのです。ただ、そういう意味
で言うと、ビジネスプランコンテストを押しなべて考えると、歩留まりはそんなに高くないです。
でも、その中でも1人、2人見つけたり、自分たちが気づきを持ってくれると核になってくれ
る。だから、ある意味においては、そういう方がお山の大将とか、それぞれ学校にいた人が、そ
ういう自分の持っているものに気づいてやっていくようなプロセスをどうアレンジできるか。で
も、歩留まりは悪いかもしれません。でも、やんなきゃいけない感じもするし。
○政策研究担当課長
「しょせん人です」という答えはごもっともですけど、こちらからすると
非常につらい。一生懸命、ステージ1、2をやってきても、「いや、人だからね」となってしま
うと。
○各務座長
でも、そのプロセスは、実際は人を見るプロセスなんですよ。決してコンテンツを
見ているわけじゃないんです。こいつをたたいたらどう返ってくるかなとか、折れないなとか、
そういうのを見ているんですよ、実際は。
○井上委員
だから、本当は変態人間コンテストなんですよ。
○各務座長
奇人変人コンテストかもしれません。
○安藤委員
虎の穴とかもそうだけどね。
○丁委員
安藤さんがおっしゃられた、リーダー育成というのを、本当はもっと子どものときか
ら、例えば文京区の教育においても。
○安藤委員
○丁委員
そうです。僕はそれをずっと言っているのです。
既に、将来新たな公共の担い手になれるような教育とか「場」をつくればいい。
○安藤委員
群れ遊びをさせろと僕は言っていますけれども、なかなか今の環境は、そうならな
いですよね。
○井上委員
潜在しているリーダーがどこにいるかというと、もともとクラスに1人ぐらいそう
いうやつがいて、その人がどこかの職場で埋もれて折れたままでいて、もったいない状態。それ
を掘り起こす。
○安藤委員
僕はそれが重要だと思います。
○井上委員
そうですよね。即戦力が本当はそこにいる。
○安藤委員
そこにいるのです。
○井上委員
あともう一つが、投資としての子どもたち。なるべくお山の大将経験を。今は芽を
摘むこともいっぱいあるので。
この数年、慶応の学生でも、3年ぐらい前からかな、顕著に空気の読み方がより強くなった。
「勝手に好きなことを言っていいよ」と言っても、昔だったら1人ぐらい、アホなことを言って
ウケをとろうとする男の子がいなくなってきた。この数年、顕著です。
○安藤委員
リーマンショック以降ですよね。非常に萎縮している。大人が萎縮している。失敗
を許さない空気がある。子どもたちも、その鏡として空気を読んでしまう。
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○井上委員
絶対、キャラ的には変なことを言い出しそうなやつも言わないんですよ。
○安藤委員
言わないですよね。
○井上委員
あの顔は絶対おかしいと思うんだけど、言わないんですよ。
○各務座長
それも「場」で、安藤さんと会ったときに、こういうロールモデルが格好いいなと
思うから言うんだと思うのです。そういう「場」をつくっていかなきゃいけないと思う。
○井上委員
「ありだよ」と言うだけでいいんですよ。
○各務座長
ええ。我々大人の責任のような感じがしますけど。
今年度、文京区さんと東大でやっている社会アクションラーニングというプログラムで、住民
の方にいろいろ提案してもらいました。
皆さん、サラリーマンの方です、あるいは自営業の方もいるし、主婦の方もいますけど。でも
皆さん、そういう意味で言うと、安藤さん的に考えると、結構何かやりたくてしようがなかった
というか、海外にいました、文京区に帰ってきた。でも、自分のエネルギーの発露がない。それ
で今回提案してきているわけです。結構とんがっていて、だから、中では、けんかしちゃったり
するわけです。
でも、そういう方は、今回を通して、そういう人がいる。すべての人がそうではないです、で
も、おもしろい人がいたり。よく、普段の仕事は平気かなと思うぐらい時間を使って、土曜日、
日曜日のほとんどの時間を使ってやっているわけです。NPO法人に行って、そこでいろいろも
んでいる。実際に提案するフィールドがあるという。これも、何回か継続してやってくると、実
際に、その中から事業が生まれるような感じがしてしようがなくて。
○安藤委員
そうなると、結局、行政側も少しラジカル性を持たないとついていけないんです。
均衡しないというか、行政のいろんな正統派の人たちが入ってきちゃうと中和されてしまうとい
うか。
○各務座長
出る杭を打つようになってきちゃうと、だめだと。
○安藤委員
日本は、出る杭は打たれる社会なので、そうやったとんがりぐあいを、どう許容し
ながら一緒に楽しめるかということを、行政も体質改善をしていかないと、そういう人たちのア
イデアやリソースを、むざむざ失うことになると僕は思います。
実は、であるがゆえに、僕は文京区とは組まないようにしていたのです。今は、区長が変わっ
たのでやっていますよ。でも、昔やったら絶対つぶされると思ったから組みませんでした。それ
が僕の結論です。
○各務座長
菊地委員に伺うと意地悪な質問になっちゃうかもしれませんけど。
ガバナンスとか、こういう視点で考えているときに、私はアントレプレナーシップと、私もど
っちかというと奇人変人好きなんです。
ただ、組織の評価ということをついついやると、実績は、組織がどうなっていますかというこ
とと、ある特定の人の能力なり、バイタリティなり、折れない心なりというものを評価するのと、
32
そこがなかなか相容れないもので。それが、アントレプレナーシップには常につきまとう。
ただ、したがって、一大勝負した人がお金を、エンジェルとして出し、そういうものに見聞き
のあるベンチャーキャピタルに出して、いわゆるイノベーションが起きている。
相対的な度合いが、悲しいかな、今のところはアメリカが強いのでそうなっているかなという
感じもします。もちろん、そこにはビジネスであれば知的財産とかという、ハードコアとしての
競争優位基盤というのはあります。
でも、特に行政ということになってきたときに、まさに折れない心でやりきるような、何かそ
ういうもの。知的財産の基盤があるから公共の担い手になるわけじゃないですものね。
だから、そのあたりをうまく行政として説明責任に応じながらやっていけるか。あの人はこう
いうのがいいから、説明できませんと、なかなか言えないものを説明するという手法というので
しょうか。
○菊地委員
おっしゃるとおりで、これまで行政の中での評価もそうですし、行政が対外的な組
織関係においてガバナンスを評価する視点というのは、属人的であってはいけないというか、公
務員というのは官としての存在であって、その人がだれであるということではないのです。です
から、属人として評価をされる、要するに、この人だから頼むとか、企業同士でありふれた当た
り前のことは、行政上の評価の軸としては成り立ちえないということが大原則であったのです。
属人的な観点から評価をしてはいけない。
それが、実は、変わりつつある部分も相当あります。そういう意味で、さっき申し上げたとお
り、行政側のそのような“常識”も、勇気を持ってやや変えないといけない。先ほど、競争原理
と随契の理由をどういうふうに立てるのかという部分とも関係してきます。行政側も変わらない
といけないということを、我々は、この専門家会議として言うことも大事だと思います。
○各務座長
それは、先ほどの行政の意識改革というお話になると思うのです。
私が想定すると、短期的には、さっきソーシャルフランチャイジングという言葉がありました
けど、どこかほかで成功しているモデルがあって実績がある。じゃあ、それを文京区としてもや
りたい。そのためにどういうやり方がありますかと考える方が、比較的、組織の論理として流行
りやすいのでしょうね。
○政策研究担当課長
第1ステージからとなると、いろんなところで。そもそも第1ステージを
行政がやるというと、すごく難しいと考えちゃうんですよね。
○各務座長
ある種、そういうものを文化として育んでいくというものすら、なかなか難しいか
というと、それは一つのロジックとしてあり得るんじゃないかと思うのです。そういう発露を大
事にしていく。
○政策研究担当課長
○各務座長
柏市の話は、まさにそういう感じなのかなという気がします。
柏市も、別に組織挙げてやっているわけじゃないんです。ある特定の人でやってい
ます、私も、何とかさんという人と。それでつながっていっているわけですよね。
33
○安藤委員
結果が出れば、それがスタンダード化していくだけです。
○各務座長
一回一回、全部評価して決めたとか、議会で決めたわけでも何でもなくて。そうい
うものは、そういうもので、ちゃんと脇を固めてやんなきゃいけない部分と、もっと自由度があ
ってやれる部分とあるかなと。
○井上委員
第1ステージの話は、もともと世の中にあったやり方を、方法論だけ抽出してノウ
ハウ化しようとしている人たちが出てきただけで、そういうのは、名前が違うだけで、もともと
やっていると思うのです。お祭りとか、井戸端とか。結果的に、この効果を、つまり、自分も担
い手だと思って、何かやっちゃおうぜと思う場所は物すごくシンプルなことでやる。
大分県の温泉、別府じゃなくて、何でしたっけ。
○菊地委員
湯布院ですか。
○井上委員
湯布院は、最初たしかジャズフェスティバルですよね。別に、町おこしをしような
んて言っていないんですよ。ジャズフェスティバルをやって盛り上がっちゃって、人が集まっち
ゃったもんだからどうしようといって、また次の手を打っているうちに、だんだん町おこしにな
っていったので。そういう、トム・ソーヤのペンキ塗りというか、トムがペンキを楽しそうに塗
っているから、ほかの人も集まって手伝い始めて、トムが後で楽しちゃったみたいな話ですけど。
別に、ミツバチは受粉させようと思って動いているわけじゃなくて、花粉を探して動いているわ
けで。
だから、僕たちが仕掛けるのは、その花とか花粉をどうやって設定するかという話であって、
別に、「新しい公共の担い手になってください」とお願いして回るわけじゃない。第1ステージ
は、もしかしたら、そういう話が行政のやることとしては一番自然なんじゃないか。
○各務座長
直接的に、これは行政としてイニシアチブを持って、行政の手柄として何かになり
ましたという世界とは違うものがあるでしょうね。もっと長期軸の、自然にそこに集まってくる
というものが、何か違うものがあるのかもしれません。
○井上委員
もしかすると、既存のお祭りのつくり方を徹底的に変えてしまって、数人のリード
で何となく続いてやっているんじゃなくて、何か別のプロセスをインストールするとか。
例えば、お祭りを始める人がお祭りを始めやすいようにするとか、何かあるかもしれないね。
○各務座長
一点、このお話とずれるかもしれませんが、実際にこれは安藤さんに伺った方がよ
ろしいでしょうか。区によって、NPO法人の活動というのがやりやすいところとやりにくいと
ころというのはあるのですか。あまりそういうのは意識されてないですか。
○安藤委員
僕のやっている分野はまだ新しいので、あまりそういう比較はしたことはないです。
担当者の温度差とかは感じますけど。本気度とかというのは。
そういう目では見たことがないですね。それも、だから人が変わると、また変わっちゃうレベ
ルの話なのかなという気がするのです。
○菊地委員
ソーシャルビジネスの場合のビジネスプランコンテストで、プランそのものと提案
34
する人、さっきの属人性の話ではないですが、これが必ず一体である必要はあるのですか。企業
において、例えばプランそのものを買うということもあると思いますが。
○各務座長
それは、“プラン”コンテストかソーシャル“ビジネス”コンテストかによります。
少なくとも学生の間はまだ“プラン”コンテストでやっていると思います。
○菊地委員
企業ですと、それ自体がある意味で知的財産になって、自分で事業を実施しなくて
も儲かるという仕組みをつくれるわけですが。ソーシャルビジネスもしくはソーシャルビジネス
プランといった場合には、そういったことが一般的にあるかどうか。プランと事業が必ずくっつ
いているということが半ば常識になっていると思うのですが、それを切り離すという議論ができ
るのかどうか。
○各務座長
例えば、私もベンチャーなどの関係で言うと、これはJSTという、ああいうとこ
ろが、実は起業家研究のための3年間、私が今サポートしているのは年間1,500万をもらっ
て、ある研究者に事業をつくりなさいという研究助成金なんです。その研究者は発明を持ってい
るのです。でも、さっきもありましたけど、試作品をつくらなきゃいけないとか、そういうお金
で調査しなきゃいけない。どういう事業セグメントを決めて、最初にスタートアップするかも決
めなきゃいけない。食いぶちで結構稼げるものと、長期深掘りして谷深くやらなきゃいけないも
のとを見極めなきゃいけない。その3年間を使って、約4,500万もらう計画になってやるわ
けです。
そのときに、私みたいな者がついてメンタリングさせる。3年間やって、会社にならなくても
いいんです。その間、プロセスとしては評価されるのです。でも、私から見ると、ある一時、お
金が出るのであれば、最初のシードからやる必要はないのです。あるところまで行って、これは
ビジネスの“ニオイ”がしそうだなと、例えば、それを安藤さんなり井上さんが思ったら、それ
に少しお金をつけてあげて、フィージビリティしなさいよ。でも、あなたが最初に言い出しっぺ
でやってくださいねと。
でも、それは文京区がのっけから受注を決め込む必要はないんです。でも、それをサポートし
て、芽が出るところまで、あんたが当事者意識でやってくださいねというサポートは、文京区と
してあってもいいなという感じがするんです。そういうイメージです。
○井上委員
少なくとも言えるのは、どの事業も当事者がしっかりいないと絶対に動かないとい
うことだけは確か。
日本の場合は、1人の起業家に全部求め過ぎ。特にNPO分野は顕著で、立ち上げたファウン
ダーに、経営者としての資質も求めるし、組織を大きくすることも求めるし、全部求めていて、
そんなスーパーマンはめったにいない。どちらかというと、海外の大きくなったNPOというの
は、創業者を、例えば次の代はなるべく経営経験のある人にかなり早い段階で渡しちゃうんです。
ちょうどヤフーのジェリー・ヤンと一緒で、ヤフーを立ち上げたかなり早い段階で、IBMの元
社長か何かに渡してしまうという、ライフサイクルが発展に向けて変わるものだという前提があ
35
るのはすごく大きいかなと。
ただ、僕が今まで見ている中で言うと、知っている範囲で言うと、大学初の理系の技術系ベン
チャーがなかなか出ないのは、そこを分けてしまうことで、どうしても、人のアイデアを引き受
けて、お金になりそうだから動き出す人の多くが、基本的に組織の人出身で、立ち上げ経験もな
く、魂が入らないまま、あまりうまくいかない。
特に社会ものというのは、まだ市場もできていないところで、そこに当事者性がなくて、アイ
デアとしてよさそうだというときに、まず発案者も、自分の「どうしても」という原体験や実感
がなしに出てきたアイデアは大したことがない。また、同時に社会的なニーズは、先ほどの最初
の議論で出てきたように、だれかのところで試してみて、子どもに使ってもらってとか、お父さ
んたちに聞いてみてとかという、そこのグニュグニュグニュという、やってみた、試してみたと
いう試作、プロトタイピングをしていないで出てきたアイデアなんて大したことはないのです。
結局、どれだけ練って、転んで立ち上がってきたかというアイデアにこそ価値があるので。当
事者性と事業プランというのは、最初の段階ではある程度連続性がないと、いいものの出る確率
が下がるかなとは思っていた。プランコンテストは、本当につまらないんですよ。はいはいはい、
どこかで聞いてきたような話。何とか首相から始まる文章が書いてあったりとか、統計から始ま
っていたりとか、我々は何々すべきであるとか、大学入試の小論文みたいなのが出てきたり。お
もしろくないので、だれがなぜというのが一番大事ですね、最初は。
○各務座長
そうですね。
区長がお見えなって。どうもありがとうございます。
簡単にこれまでの議論の整理だけさせていただくと、きょうは、文京区としてこれがやりたい、
従ってこれをやるためにどうするかということではなしに、仮にNPOなり企業なりと、文京区
が連携してやるといった場合に、どういう条件が具備されると一緒にやっていけるのかというこ
とを、「場」という概念で議論しました。
「場」そのものはどんなものかということで、きょう、最初からご意見があったのは、新しい
公共の担い手を、俗に言う社会起業家と言われる人だとすれば、そういう起業家を、区民、住民
含めていろいろ育んでいく、アントレプレナーシップといいますか、ソーシャルアントレプレナ
ーシップを育んでいくようなことから始めるんだけれども、そういったところから始めて、例え
ば、そういう提案をした人を、何らかのスクリーニングをするのかもしれませんが、10人集め
ることができれば、そこから一つのコミュニティがスタートするんじゃないかというご意見もご
ざいました。
ただ、それだけではすぐに事業にならないわけで、何回もそこでもんだり、メンターが来て指
南したり、それから経済的な帳尻合わせができるのかも含めて、幾つかのプロセスがあって、や
っとそこでビジネスのにおいがしてくる。そしてさらに、もっと大きな事業になっていくために
どうするかということも考えて、幾つかの段階化説がある。
36
そこで、どういうふうに文京区が絡むかということになったときに、これは文京区のやりたい
事業だなと、そういうプロセスの中で出てきたものがあったとして、それを受け入れるときに、
文京区というのは、それこそ入札をして、また札を入れて、ほかの競争を含めて公平にやってい
くようなプロセスも考えなきゃいけないし、同時にそこのプロセスに文京区がずっとかかわって
いることができるならば、仮にある特定の事業を文京区として、やり方も考えながら随意それを
積極的に取り上げるというやり方もある。
文京区からということじゃなくて、今ある、他の区で活躍しているようなNPOを、これは「
ソーシャルフランチャイジング」と言うらしいんですが、実際に文京区の行政のサービスの一環
としてやってちょうだいと。もちろん提案してもらうわけで、そこには、ある種の競争メカニズ
ムの仕組みがあってもいいのかもしれませんけど、既存にあるもので、ある程度実績があるもの
を、文京区は積極的にNPOの活動として取り組んでいくんだと。
ただ、あるところで成功しても、文京区でやるとなると多少コストの糊代も出なきゃいけない
ので、そこは文京区が助成するとしても、今あるもので、もう既に成功のベストプラクティスが
あるんだったら積極的に取り入れるという考え方もあるんじゃないかということを、ずっといろ
いろ議論しながら、同時に文京区としてそういう社会起業家を育むために、今、文京区の中にも
恐らく分散して、ご本人はまだ気づいていないような起業家の卵と言われる人が事によってはい
るかもしれない。そういう人たちをどう発見して活用していくかという。
時間軸としては結構長いことかもしれませんけど、でもそういう方がいるとしたらどうするか
ということの中で、先ほどお話ししたのは、具体的に提案してもらって、そういう人がいるんだ
ったら、自分で提案をして、自分でやりますという当事者意識を持ってやってもらうようなやり
方も考えられるのではないかという、そんな話をこれまでしてきたように思います。
足りない部分があるかと思いますが、そんなイメージで議論しております。今までの議論の中
でもれている視点とか、丁寧委員、何かございませんか。
○丁委員
大丈夫です。
○各務座長
菊地先生、何か。
○菊地委員
そういうことを実施していく過程において、文京区側の組織やマネジメント、意識
改の部分において、これまで持ってきているような“常識”についても変わってもらう勇気とい
いますか、そういうものについても、きちんと提言の中で入れていく必要があるのかなと思いま
す。シームレスに「育てる」から事業化、そして、そこに事業を委託していくといった場合に、
当然そういったことを長期契約の随契でやるということについて、果たしてどこまで対外的に説
明できるのかということが浮かんでしまうのですが、そういうこと自体が、価値があるんだとい
う理解を、ロジックとしてきちんとこの会議の提言としても出す必要があるのかもしれませんし、
それをきちんと行政側としても、全部変わるということじゃないですけど、実験的にそういうも
のをやってみるという部分を書き込む必要があろうかと思います。
37
当然、そこに新たなガバナンスの仕組み、モニタリングとか評価を含めて、違う形でのチェッ
クポイントを入れる必要があるでしょうし、これは本当に随契でいいのか、理由が立つのかとい
うことについて、論理構成を含めてきちんと提言しないといけない。実現の可能性を高める上で。
○各務座長
ありがとうございます。
それと、もう一点、これは、できれば区長にお伺いしようと思うのですけど。
ある種、そういう新たな行政の担い手を育み、発見し、そしてだんだんやっていく。これも、
実はいろんなノウハウの塊のようなもので、日本全国を捜すと、そういうある種のノウハウを持
っている方が、きょうも固有名詞で何人か出てきたのです。事によると、これは行政として考え
たときに、仮に、過去にベストプラクティスがある、あるいはそういう担い手が今いたとして、
そういう方が文京区として、ある種のコミュニティのプロデューサー的な役割を担っていきなが
ら、それはもちろん文京区のニーズもとらまえ、文京区の方向性もわかった上でやっていくよう
な、ある種のプロデューサー的な方の役割というのがすごく重要なんじゃないか。これを全部、
文京区がお膳立てして、オーガナイズしようと思うと大変じゃないかというご議論もあって。
このあたりは、区長からごらんになると、どういうふうにごらんになりますか。
○成澤区長
あり得ると思います。それは、1人なのかアドバイザリーボードなのかはマッチン
グ次第だろうと思うのですけれども。特定の1人に頼ってしまうことのデメリットも当然あるで
しょうし、そこが、うちの区とうまくマッチングする方であれば単体でもいいし、複数の方によ
って、そういうボードをつくっていただくという形でもいいのかなと思います。
余談ですけど、昨日、本郷いちょう祭りというイベントを本郷台中学校でやっていたときに、
ひろせさんや、ラボカフェの杉本さんとか、あの辺が近寄ってきて、もうとまらないわけです。
文京区でこうやりたいんだ、ああやりたいんだという熱い思いをどーっと語ってくれて。その人
たちの素性がどうなのか、どれだけのパワーがある人たちなのかわからないけれども、いるんだ
なという気はするのです。
その人たちがプロデューサーになれる立場の人なのか、それとも、これから起業を目指してい
る立場の人なのかも全然わからない話ですけど、そういう人たちが文京区に住み始めている、文
京区というところをフィールドとして、いろんな活動をし始めているというのは事実なので、役
所が関係ない存在でいるのももったいないなというのは、昨日つくづく思いました。
○各務座長
杉本さんというのは東大の学生なんです。いろんな提案をしています。だから、そ
ういう学生もいれば、住民の方もおられて。問題は、そういう提案に対して文京区がつき合おう
とすると、ある特定の人のそういうすばらしい発露があって、それを組織的に評価して、じゃあ
受け入れますと言ったときに、個の評価と組織の評価というと、行政は個の評価が難しいですよ
ね。ビジネスは結構、個の評価をしていまして、あの人がいるからやる、ビジネスそのものより
も、あの人がいるから金を出すということが、実際には結構多いと思うのです。その部分が、行
政とNPO、あるいはNPO候補者の人たちとのおつき合いの中で今後出てくる。それが行政の
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意識改革の一つの部分でもあるかなというのが、先ほどの菊地先生のお話かと思ったのです。
今のお話で、アドバイザリーボードかプロデューサーみたいな話で、プロセスみたいなことで、
「場」のあり方みたいなもので言うと、区長がおっしゃったことで言うと、例えばアドバイザリ
ーボード的なものがグループとして、さっきも冒頭にあった山崎さんの機能を果たすということ
でしょうか。
○井上委員
今、だれがいいのかなとか考えていたのですけど。
○菊地委員
山崎さんは関西の方ですから、遠いですね。
○井上委員
でも、よくこっちへ来ているので。おもしろそうなにおいを出せば来ますよ。
○菊地委員
あそこは、自分の事務所以外に、必ずどこかと絡んでやっていますよね。
○井上委員
そうですね。アドバイザリーボードがあって、リアルなプロデューサーを集めてと
いうのはあり得ると思うので。文京区地域で動いている若者とかは、ETICとかを聞けばある
程度いますし、東大のネットワークもあると思いますし。特に若手中心だったら、この辺のネッ
トワークで結構出てくるんじゃないかな。
○各務座長
井上委員の認識は、結構そういうノウハウが蓄積しつつあると。
○井上委員
文京区で。
○各務座長
文京区とは限らないです、多くは外なのかもしれません。ただ、それを生かさない
手はないというご提案です。だから、文京区が独自に全部やるというんじゃなくて、今あるもの
を積極的に使いましょうと。積極的に使うための、文京区の糊代はどこに入れるかということで
す。
○丁委員
アドバイザリーボードとなると、事務局は結局、区がやるということになるのですけ
ど。それ以外にも、そもそもNPO、中間支援団体のようなものと区が協働して、「場」をつく
るということもできるので。どちらの手法をとるかという選択もあるなと。
○各務座長
これは、事務局からすると、中間支援団体をどうするかというのが一つの論点とし
ておありですけど、中間支援団体はどういうふうに考えたらいいのですか。
私は、何かあるとすぐにクッションがあるというのは、なかなかうまくいかないという発想に
至っちゃうのです。直接ニーズをとらまえるフェーズを持たないと、なかなかラーニングがきか
ないと思っちゃうんですけど。
○菊地委員
日本では、往々にして中間支援組織が弱いと言われていますが、おっしゃるとおり、
中抜きみたいになってしまうので、いらないのかなという印象です。アドバイザリーボードは、
恐らく両方に必要だと思うのです。受けとめる行政側にも必要で、行政側が変わらないといけな
い部分について、提案・助言するという機能が必要です。
専門委員のような形で、アドバイザリーボードと「場」を共有する人たち、対行政のような構
図にならない仕組みが必要かなと思います。本来は、きちんとファンクションする中間支援組織
が間にあればいいのですが。
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○各務座長
幾つか、この前見せていただいた中である程度機能しているところもあるのですか。
○政策研究担当課長
○各務座長
中間支援組織ですか。
はい。
○政策研究担当課長
行政が運営しているというところだと、あまりないです。要するに、完全
にNPOが独立して、しっかりとしてやっているというところが。
○菊地委員
文京区の場合は社協が。
○政策研究担当課長
○菊地委員
○丁委員
そうです。そういうところが多いので、そんなに。
むしろ、絡まない方がいいような気がします。
「中間支援組織」という言葉を使ったので誤解があったかもしれないですけど、要は、
単純に「場」をつくっているNPOでもいいのですよね。そういうところと区が一緒にジョイン
トを、事務局でもいいので、そういうふうにやった方がいいかなと思っていて。その時点からN
POと一緒にかかわる方がいい気がするのです。
○井上委員
今のエンパブリックみたいなところもそうですし、機能はノウハウの蓄積なので、
恐らく、先ほどから議論に出ているリーダーシップは属人的で、だれとだれが知っていて、だれ
を信頼できるということが非常に重要だと思うのです。それと同時に、それがどう引き継がれる
か。それを考えたときに、恐らく事務局が、行政側の人と、それから異動しないNPOの人がこ
こにいて、そこの人のところに、彼なり彼女が顔になってノウハウと人脈が蓄積されていかない
と続かないので。
そういう意味では、地域プロデューサーの塊が一つあって、その中に、もしかしたら、やりな
がら、もしくは当初から、チーフプロデューサー的な人が出てくると思うので。この辺の人たち
は動きたがる、目立ちたがり屋がいっぱいいると思うので、そういう人が出てくる、コアグルー
プができる。と同時に、それをバックアップする事務局の中に、ここで動いているものをもう一
歩外側から見て、何が起きてきたか、過去はこんなことがあった、こうやって組むとうまくいか
なくて、こう組むとうまくいくということをためていく人は必要だと思うのです。
それと同時に、アドバイザリーボードがより外部から、それこそコミュニティデザインの山崎
さんだったり、富士ゼロックスの野村さんだったり、フューチャーセンターのプロフェッショナ
ル、それからダイアルのプロフェッショナルとか、いろんな人たちがいるので、こういう人たち。
もしくはコラボレーション、企業とNPOの組み方に詳しい人であったり、いろんな人がここに
いることで有機的な連鎖が起きるんじゃないか。
そういう意味で、必要なのはアドバイザリーボードと、それから具体的な地域プロデューサー
たちを、名前ベースで見つけること。それから、事務局として組んでくれる可能性のある、文京
区内のNPOを見つけるということなのかなという感じがします。
○各務座長
私は極端なことを言うので、間違えたら教えていただきたいのですけど。
これは菊地先生にお伺いしたいと思うのですが。私は、こういうアントレプレナーシップの世
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界というのは、変革のマネジメントと言った方がいいのかもしれませんけど、シャッポになる人
のリーダーシップがすごく重要で、その人のアントレプレナーシップの発露が組織ミッションを
決める。ただし、危険なのは、よほどひどいことになっちゃう場合に、どういうガバナンスがき
くかということなので、私はこれを通訳するとき、いつも「強いブレーキ」という言い方をする
のです。アクセルが小さくてブレーキも小さかったら何もできない。強くアクセルを踏まなきゃ
いけないと同時に強いブレーキを持っている。一種のガバナンスで言うと、どこかでやっている
ときには、その人のリーダーシップの発露が出ないとうまくいかない、でも、どこかでくくらな
きゃいけないという考え方を持っているとすると、行政のサービスだと、どういうガバナンスの
きかせ方がいいのかなと。
変革を起こすわけですから、相当リーダーシップがなきゃいけなくて、エクスキューション能
力というか、それもなきゃだめですよね、変革を起こすわけですから。ある種、日向と日影をつ
くるような側面も、今までの行政のやり方と違うことをやるわけですから、どこかに出てくるは
ずです。そうなったときに、やりきる力というのは相当リーダーシップのある方じゃなきゃいけ
ない。ある意味では、力ずくでもやるとか、強引にやるという側面もなきゃいけないわけです。
でも、行政からすると心配ですから、それをどこかでくくったときに、最後は伝家の宝刀で、言
葉を選ばずに言うと、首が切れるということをしていかないと、うまくいかないと思うのです。
○菊地委員
行政、特に自治体の場合には、そういった均衡抑制の関係というのは、成澤区長が
選挙で選ばれると同時に、議会が選ばれる。二元代表で、均衡抑制の関係になるという意味では、
とても大きいアクセルと、ブレーキ、双方を兼ね備えています。首長、議会がそれぞれの局面に
おいてアクセル役、ブレーキ役を果たす。特に議会は予算の議決権もありますので、ガバナンス
といいますか、ある意味で暴走をとめるというより、むしろ強過ぎるくらいの関係にあります。
○各務座長
私の中では、プロセス責任よりも結果責任のようなもののメカニズムが入ってこな
いと、それは断ち切れないですよね。要するに、すべて事前で防御するという発想になるとうま
くいかない感じがするのです。結果というものをするために、行政はどういうメジャメント、つ
まり、尺度で図るかというのを事前に持っていなきゃいけない。
ただ、形式論に入っちゃいけないのですが、メジャメントを持って、それでガバナンスをやっ
ていくという、普通の民間のことだったら、握りがちゃんとできていないとくくれない感じが一
方でするのです。事前にやっちゃうと、心配事が全部増えてきちゃって、何もかもだめになっち
ゃうような感じがするのです。そうすると、安藤さんのように直接区とは一緒にやらないという
ことになってくると、なかなかやりきれないという。一種の、どっちもどっちの意識改革のよう
なものかなと思うのです。
○井上委員
大ざっぱなことを言えば、この前の「新しい公共」の円卓会議でもあった認定NP
O。間口は広げてチェックは厳しくみたいな。アメリカの大学みたいに入試は甘いけど進級が大
変だぞと。そういうパフォーマンスとかレポートできちんと管理していく。そのかわりコミュニ
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ティに入りやすいとか、基本原則としてはそういう形なのかなと。そうでないとイノベーション
の火種はどれだかわからないわけで。
○各務座長
戻るようですけど、文京区としての行政サービスというのは、どういうことを目指
しているという目的変数と、それがメジャメントとリンクしてくるということはあるのだと思う
のですけど。
○菊地委員
あとは、それこそ住民が区長の次の選挙でマニフェストの達成度を見て判断をする
という意味では、非常に大きなアクセルとブレーキが入っていると思うので、その他へのガバナ
ンス、もちろん行政事業としての効果がどうだったかということについては、それこそ外部評価
という項目もありましたし、そういった中立的な観点から評価をしていくということはあり得ま
す。
政治的な責任のとり方というのはプロセスに組み込まれているという部分がありますので、区
長には思い切ってかじを切ってほしいと思っています。
○各務座長
urpose
組織論の細かい話であれですけど。さっきのSPC。これは、Special
P
CompanyでSPCでしたっけ。
○菊地委員
はい。
○各務座長
これは、行政の中でいうと、どういうような文脈の中で入ってくるわけですか。何
か事例はあるのでしょうか。
○菊地委員
契約相手という意味でのSPCみたいなものをつくるということがあるのかなとい
うことです。
契約相手が、ゼネコンですとか建物をつくった後に運営する事業者などがいくつかまとまって、
SPCをつくる。ただし債権が遡及しないノンリコースローンによるストラクチャードファイナ
ンスになります。
これまで、行政が何かの事業を行う場合には、契約相手方というのは、1事業者であったのが、
SPCのようなものをつくることによって、複数の事業体とバーチャルに契約をできますし、契
約自体は一本になる。かつ、その中での責任関係というのは、リスク分担というのはSPCの中
での契約になるという意味で、既存の制度をベースとしたときに、ある程度、行政としてやりや
すい形態というものが存在するのかなという意味で申し上げた。
○各務座長
そうですか、わかりました。
○安藤委員
ガバナンスとか組織のあり方は変化していくものですし、事業の成功体験によって
もまた鍛えられるかと思うので、あらかじめ、そこにあまり高いハードルを設けない方が、僕は
いいと思います。さっきおっしゃったように、アクセルとブレーキというのは、経験値から、そ
れが、どこまで踏めばいいかというのが出てくるし。ある事業によっては思い切り踏んだ方がい
いときもあるし、それはいろんなマクロ環境によって違ってくるので。
ただ、僕がNPOの運営で心がけているのは、おっしゃるように、ある程度アクセルを踏み込
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まないと社会変革は起きませんから、代表である僕は、要するに企画は独裁権を持っているので
す。だけど、議論は民主的にという。だから、毎月の理事会で必ずコンセンサスを得てからしか
進められないという、そういった縛りがあります。
でも、それがすべて、失敗をしたから責任を取らなければいけないということでもないですし、
株主もいるわけではないので、そこは自由闊達に意見を言い合えるような空気というか、そうい
った風土をどうキープできるかということが大事。その核にあるのが楽しさであり、実際的に社
会が少しずつ動いているという実感を我々が手にしているかどうかということが、僕は一番重要
だと思います。
幸いにも、うちにはいろんな人材がいて、僕は「ブレーキの壊れたダンプカー」と言われてい
ますけれども、サイドブレーキもいれば、バックミラーもいれば、エアバッグもいれば、いろん
なやつがいてくれるので、すごく安心してアクセルを踏んでいけるという。だから成果が出てく
るのだろうなと。
○各務座長
そうですね、それもすばらしいことですね。
○菊地委員
NPOで理事会がきちんと機能しているのは少ないようです。
○安藤委員
そうみたいですね。話を聞くと、全然やっていなかったりして。
○菊地委員
安藤委員のところはすごくファンクションしているイメージがあります。
○安藤委員
それ自体が活動の一環で、それこそパパの集まりになっているので。そういった楽
しみも含めての理事会がきちんと機能しているので。
きょうのテーマでいくと、さっき井上委員が言ったように、具体的なプロデューサーチームを
早く招聘して、このメンバーがメンターというか、アドバイザリーになって、区長ももちろん入
っていただいて。
つまり、そこから指名を受けたということ自体が、すごく勲章なわけです。お呼びがかかった
ということですから。あとは、2年後、3年後に何か成果を出してよということで、その間に彼
らに動いてもらって、いろんなリサーチも含めて活動して、2か月に一遍ぐらいちゃんと報告さ
せて、ここはもうちょっとこうした方がいいんじゃないかとアドバイスをしつつ、足りないリソ
ースについては行政が、文京区がこういったものを用意する。総合的にうまく進めていけば、人
選を間違わなければということですけれども、3年後ぐらいには何かおもしろいことが文京区で
起きているんじゃないかという気がします。
○各務座長
今の安藤委員のお話ですと、まず最初に、区長がちゃんとレコグニションする形で、
そういうものがスタートする。
○安藤委員
そうです。
○各務座長
ある意味では、プロデューサーの集まりの方がいろんな企画提案をして、報告もし
ながら、文京区で糊代を出せるものがあったら出してもらうということですか。
○安藤委員
そうです。かつ、まだ少し足りないんだったら、井上委員や僕や、丁委員のネット
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ワークから、また新しいコマをどんどん投入していって、そのミッション達成のために、いかに
早期にそれが達成できるかということを、僕らが外でコンサルすればいいんじゃないかと思うの
です。
○成澤区長
そういうのはありがたいです。というのは、役所に、もともとそのノウハウはない
でしょう。
○安藤委員
ないですね、ネットワークもないんじゃないですか。
○成澤区長
我々は、プロデューサーになる人で、どの人が信用できるのか、どのNPOや、ど
の社会起業家を選べばいいのか、実は、正直言ってわからないわけです。だからこの会をつくっ
たのであって。だから、「新しい公共の担い手と一緒に、新しい分野を開拓するんだ、行くぞ」
とは言ったけれども、さて、どうすればいいんだと。
だから、今みたいな話であれば、最近、安藤さんをよく例にさせてもらうんだけど、僕は昔、
安藤さんは役所のクレーマーだと思っていたと、前にここで話したことがあるし。この人のプロ
フィールの経歴を見ると、こんなに転職を繰り返しているし、従来の役所の評価基準があるかど
うかわからないけど、それからすると絶対信用しちゃいけない人なんです、ほぼ間違いなく。
だけど、NPOファザーリング・ジャパンとしては、日本のパパ支援の活動としては、ここし
かないわけじゃないですか。そこは、我々を大きく乗り越えているわけです。そのことについて
は、ここと一緒に仕事をすることが大事だと思うわけです。今までだったら、安藤さんなんかど
うも危ないし、どこか似たような、もうちょっと経歴のきれいな人を探して、そっちに頼もうと
思ったかもしれないんだけど。そういうノウハウがないと、そういう心配をしちゃうわけです。
それを、この「場」がアドバイザリーボードになるなり、この「場」が選んだプロデューサー
なりの人が、そのことをお手伝いいただけると、我々としては、正直とてもやりやすい。
○安藤委員
外から見てもそうだと思うのです。こういった正式な委員が選んでいるということ
で、そこで保険がかかっていると思いますから。
○成澤区長
役所だと近しい人に頼んでいるんじゃないかと。
○安藤委員
そうです。そういう疑念が出ると思うのです。
○成澤区長
ズブズブの関係だと。
○安藤委員
そうです。
○各務座長
事によると、この役割というのは、事業をつくったり何かよりも、人を選ぶという
ことですかね。
○安藤委員
そこがほとんどですよね。
○各務座長
これが一つの方向性だとすれば、これは、今すぐにでも、さっきも名前を書いてい
ただいていると思いますけど。
さっき安藤さんとお話ししていた、私が文京区さんとご一緒しているプログラムで、僕は、E
TICの代表の宮城さんに来てもらって、一緒にこうやっていこうと。
44
一つのアイデアとしては、文京区がそれこそ本当にやってくれる人を外部から招聘して、その
人に任せる。年収はこれですよというのも一つの方法だと。
でも、そのときはなかなかその人がどうかというのをエンドースできないけれども、ETIC
の宮城さんが言ったらとか、あるいはこのグループで何かそういう形で人を挙げたらこうだとい
うのはあり得るのでしょうね。
その方に、1人では見た目に偏りがあるとすれば、複数そういう方を、プロデューサーのグル
ープと言ったらいいんでしょうか、そういう方に来ていただいて、実際にその方からのご提案も
見て、我々も一緒にしながら進めていくと。
○安藤委員
あとは、報酬とか身分保障というか、そういったものをどこまで見られるかという
仕組みの話になると思うし。僕は、大学駅伝方式で、最初に、10人ぐらいはこの推薦枠に入れ
て。
○各務座長
だんだん落としていく。
○安藤委員
予選からはい上がって、ビジネスコンテストで上から5人ぐらいをここに入れると
か。
○各務座長
それはガバナンスがきいていいかもしれませんね。
○安藤委員
緊張感も少し必要かなと。入れかえもあるみたいな感じで。さぼっていると落ちる
みたいな感じにした方がおもしろいと思います。成果は出るような気がする。
○各務座長
一たん、それに関連して、また別で。
さっき井上委員から、お金の面の話で、こういうものが出たら、場合によっては、区が必ずし
もすべてお金の担い手である必要はない。住民だって、自分たちのサービスにかかわるものであ
れば、それは本当にマイクロクレジットなのか、マイクロファイナンスなのかわかりませんが、
そういう形で住民も入っていくようなものもあるんじゃないかというお話がありました。
あるプロジェクトが進展しているときに、そこに何かファイナンスをつけていくという仕組み
はどういうふうにして進んでいったらいいのでしょうか。
○井上委員
ありだと思います。でも、それは具体的な案件ベースなので。
○各務座長
例えば今の話を私から見ると、例えば、安藤さんがもうエンジェルで、最初にポン
と出して、「安藤さんが出しているなら」というのでそこに集まるのはありますよね。場合によ
っては、そこに文京区が入れるのかどうかというのは議論があるかもしれませんけど、お金の面
の話も、プロデューサーのいろんな起案の中に、いろいろ議論していくうちの内数ですかね。
○井上委員
普通の市民ファンドを募集して、どれだけ集まるかというのがあると思うのです。
もしかしたら集まるかもしれない。でも、今はネットを使ったほかのいろいろなファンドの仕組
みが広がってきていて、ジャストギビング的に、「僕はこれからダイエットするので、みんな乗
ってくれ」とか、今は寄附の仕方が広がっていて。それこそ、クラウドファイナンスみたいな、
SNSとリンクして、それを見て共感した人が寄附をするとか、今どんどん動きがあるので、新
45
しいアイデアをつくれると思うのです。
もしかすると、アドバイザリーボード的なもの、コアチームの外側に入る人として、例えば、
もう少しテクノロジーがわかる人とか、SNS等の世界を見ていて、アメリカの寄附は明らかに
ネットに移っちゃっている。今、毎年倍々でふえているのです。これは間もなく、こっちにも届
き始めていると思うので。
そういう意味でも、かなり寄附というものが、社会の中であり方が変わりつつある。特に若い
世代にとっては、かなり簡単に出しているので、ジャストギビングとか、本当にかなりノリで出
すようになっているし。
それを見て、それは一つの主観評価のようだけれども、客観評価じゃないですか。何人の人が
幾ら寄附しているというのは、実は主観性を客観的に評価するツールでもあると思うので、それ
を見て、区としてマッチングファンドとして出すというのもできると思うのです。そうすると人
も評価できるし。
○各務座長
実際、今回の震災を見ていましても、例の堀江さんがやったジャストギビング、あ
れが一番多くお金を集めたんですよね。
○井上委員
そうなんですか。
○各務座長
堀江さんが、震災で、これだというプロジェクトを上げて、そうすると、そこに寄
附が集まって、トータル額というのは、みんなコンペティションとして出てくるんですけど。
NPOとか、どこの公共的な組織に寄附をするかもちゃんと決めて、プロジェクトベースに寄
附をするような仕組みもオンライン上でやって。それをオンライン上でやって、決済する仕組み
もつくっている人もベンチャーの経営者というか、NPOの人とかがやっているわけです。
そういう仕組みを何か積極的につくるとなると、ある意味では技術面でそういうことを全部ア
レンジしてくれるというか、システムとしてつくってくれる人も必要になってくるでしょうね。
○井上委員
文京区オリジナルでやってもいいし、もしくはジャストギビングで組む手もあるし、
もしくは、ジャストギビングにやってもらっているけど表は文京区という。システムは向こうに
渡して、表はこちらで出してもらうという条件で契約をする手もあるし。
ジャストギビングじゃなくても、ジョルコナという、シアトルに同様のサイトがあるのです。
僕は抑止っているのですけど。彼らは表に何が出るのか全然気にしていないので。ジャストギビ
ングよりもずっとずっと安くそれをやろうとしていて、彼はNPOなので。オフィシャルでいっ
ぱい出てきているので、やりようはいろいろあると思います。
○各務座長
区長からごらんになると、今まで行政というのは、もちろんいろんな意味で税金等
々があって、行政としてやってきたものを、新たな公共というときには、実はある特定のプロジ
ェクト、本来であれば行政が全部やってもいいのかもしれないけど、そこに住民の方の寄附が入
ってやっていくという物事の考え方は、区長からごらんになると、どうごらんになりますか。
○成澤区長
ありだと思います。
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○各務座長
もう既におやりになっていますか。
○成澤区長
行政としてやっているとは言えないと思いますけど。復興支援で言えば、うちのシ
ビックホールをただで貸します。サッカー日本代表の岡田元監督とワタミの社長が1,000何
人の前で好き勝手にしゃべります、入場無料です、出口で募金箱に入れていってください。とい
うので、幾ら集まるか楽しみにしているのですけど。そんなようなのが、区としても、会場をた
だで貸すだけでそれができて、それを被災地へ送れるのであればやってみようと、今度やるので
すけど。
要は、新しい公共で行う行政サービスは、狭い意味での行政の役割からすると手が出なかった
ところの部分が多いと思うのです。本来、すべて税金でやるべきなのか、税金プラスアルファ、
市民の寄附も入ることによって、本来行政だけだったらやらないとあきらめていたところに手を
出すチャンスにもなるのかもしれないし。
それが、前にも言っていたおせっかいの分野まで一歩踏み出すためには、市民のファンドが入
ってくれた方が手は出しやすいですよね。
○各務座長
そうですね。それこそ、今パッと思うのは、行政として、これが本当に実るかどう
か、リスクがある行政サービスもありますよね、でも、それをやってみたい。5,000万が集
まれば3年間ぐらいの給料が出る可能性があります。例えば、ある特定の人に。それは、どこか
でガバナンスをするのだけど、いろんな実験もし、それについて、文京区も、100%のマッチ
ングじゃないかもしれないけど、エンドースする形でやる。
プロジェクトは全部トランスペアレントにして、どう行われたか区民の人も全部わかっている。
いいものはさらに進むし、だめなものはどこかで消えなきゃいけないけど、それもある意味では、
民主主義で考えると、ものすごいトランスペアレントな事業を区としてつくっていく。区民のお
金が入っていますから、住民も当事者意識があるし、ウォッチしているし。緊張感のある中で事
業をつくっていくという、そういうことができたらすばらしいと思いますけどね。
○井上委員
住民と区のマッチングファンドは、発想としてすごくありだと思って。要は、住民
が、自分が100円なり1,000円寄附すると、それが倍になって相手に届く。自分の意思表
示にレバレッジがかかる。しかも、それは区がエンドースもしてくれる。
その場合、区側としては上限を幾らと決めると思うのですよ。総額は1,000万の予算にな
りますとか、1億の予算になりますとか。区民が投資し、意思表示をすることによって自動的に
民主的なスクリーニングというか、区民が選んだものの意思表示に対して、我々が幾らまで応援
しますと。無限は不可能だし、同時に上限額があるというところがすごく大事だと思うのです。
ここまであるんだから、皆さんも自分でお金を出してくれれば、あなたのお金が倍になって、
インパクトで出す上にエンドースがつく。
○各務座長
今の話も、プロデューサーの方が、ある程度事業をもんで、我々みたいな者も少し
絡んで、こういうものが事業だと。ただ、ある種の実験もしないといけないし、少し試作品が必
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要なものがあるかもしれないし、それは、ある特定のプロデューサーでやっていくということの
ために、その人の、さっきの給料面も含めて、少なくとも、せめて3年間は確実に事業化できる、
実験ができるお金は区も出して、お互いリスクをとりながらウォッチしますよと。
事業になったら、これはもう大変すばらしいことだし、その人にとっては、さらに続けてくだ
さいという事業になるかもしれません。そういうプルーフ・オブ・コンセプトじゃないのかもし
れないけど、ある種のベンチャーファイナンス的な機能を、寄附という、そこもある種、住民か
らのそういう支持があったから寄附が集まると考えれば。
○安藤委員
それは、一つのチャーミングな仕組みとして映ると思うので、ないよりはあった方
がいいかなと思います。
ただ、若者だけを対象にした事業だけではないような気がするので。例えば、それが中高年に
対してだったら、ペットボトルのリサイクルをみんなやって、そこから寄附しますよとか。ある
いは、文京区のブンブンカードとかから少し還元させるとか。
その世代に応じた寄附の仕方というのがあると思うのです。それはまた仕組みとして、ディテ
ールを考えていけばいいと思います。
○菊地委員
私がかかわっているところで、杉並区がやる事業に対して区民が寄附をするんじゃ
なくて、杉並区内のNPO活動に対して支援する基金というものを持っていまして、これは杉並
区民からの寄附です。指定寄附みたいな分野を指定して寄附できますし、それに対して、行政も
毎年お金を積み上げる。ある種のマッチングファンドになっていると思います。形としては、委
任経理になっているんだと思います。
○成澤区長
杉並の基金は、でも、中でしょう。
○菊地委員
行政の中に入っています。
○成澤区長
だから一般予算の中に入っているんですよね。
○菊地委員
予算に入っています。ですので、それを外に出して、一般会計から繰り出すという
形もあるのかなと思います。その出資額が全体の半分以下だったら。
○成澤区長
財政援助団体にならない。
○菊地委員
ならないですね。
○成澤区長
でも、その予算を通さなきゃならないですからね。
○菊地委員
その予算は通さないとですね。
○各務座長
東大でもそういうのがあって、これは民間企業で、そのときにあった例は、民間企
業が100億、東大の別庫に100億積んでもらって、その本来期待されていた金利収入以上の
パフォーマンスをあげた場合は、その予想を超えた部分だけ東大に寄附するというやり方です。
ほかの大学でもそういう仕組みがあるかもしれません。
したがって出した方の元根っこは全然痛まないというやり方。もし、文京区にある企業さんな
りが、例えばトヨタさんも文京区になるのですか、後楽ですか。飯田橋の後楽だとすれば、ああ
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いった企業さんが、そういう文京区の行政に対する資するものということでご理解いただいて、
ある程度積んでいただいて、その中の金利分だけ、例えばそういうものに充当するというやり方
もあるかもしれません。
○井上委員
飛んじゃうかもしれないですけど。本当はもし寄附2.0みたいなものがあるとし
たら、寄附そのものが、今は寄附すればいいというぐらいだと思うのです。1%は、きっといい
ことだよねと。本当は、寄附というのは、自分の寄附を、1年間で例えば10万円していたとし
たら、その10万円の中のポートフォリオをちゃんと考えることだと思うのです。
そうすると、まず僕は保守的だから半分ぐらい赤十字に入れてとか、堅めのところで固めて、
10%ぐらいは怪しい文京区のいっちゃっているような感じのNPOに入れてみようとか。ただ
し、もしかしたら、ここは、いっちゃっているがゆえに不安定だけれども、物すごい変革を起こ
すかもしれないとか、自分の中でポートフォリオを組む。
そうすると行政がかかわっているものがこのぐらいにしておいて、もしくは今回の話でいうと、
マッチングファンドといったときに、その人の目ききによって、本来はこのぐらい失敗もするか
もしれないけれども、いけるかもしれないというもの。この若者にかけてみたくて入れるものと、
それからプラン・ジャパンに入れるもの、セーブ・ザ・チルドレンに入れるものと、違う感覚で
本来は入れる。それが公共に対して自分が投資しているという感覚だと思うのです。
だから、そういう意味では、残念ですけど、現時点ではアメリカの方がもう少し進んでいるの
は、例えばチャリティーナビゲーターというサイトがあって、そこに行くと財務情報が大きめの
NPOはほとんど全部乗っているのです。そこに行くと、大体自分が寄附をした内訳のポートフ
ォリオがどこにどう行くか、その予算内訳が出ていて、人件費は何%ぐらいかけていて、現場に
は何%ぐらい行っていてとか。おもしろい指標でいうと、その団体が1ドルの寄附を集めている
のに幾らかけているかというのがわかるのです。そうすると、ワーストランキングもあるのです。
ひどい団体だと1ドル集めるのに1ドル30セントかかったりしているのです。
○安藤委員
赤字だ。
○井上委員
そうなんです。広報ばかりしていて、あまり集まっていない。ものすごい優秀なN
POだと、1ドル集めるのに15セントぐらいで済んでいる。そうすると、そういうところを選
んだり。本来、試行品をつくるというのは、そういうことなので。それによってウォッチして、
寄附市場が生まれて、寄附市場の中でそれぞれの団体が競争もし、出す方も投資だと思ってやる。
本当はそこまで行きたいんです。
○安藤委員
似たような何かということだね。投資効率ですよね。
○井上委員
投資効率なんです。
○安藤委員
本当はそこで選ばせたいですよね。本当はうちもやんなきゃいけないんだ。
○菊地委員
来年度から寄附控除が大きく変わりますので。環境自体が大きく変わりますよね。
○安藤委員
よくなっていきますからね。
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○各務座長
10分前になりました。
これで、最終的な着地点としてのイメージがより固まってきたのかどうかわかりませんけど、
事によると、今の議論というのは、我々専門家会議のアウトプットはどういうものか、役割は何
か。それから、どうやら人に帰属する部分が多いとすると、ここの役割は、事業あるいはコンセ
プトなりストラクチャーというより、ある特定の人を選んで、そこのグループが行政の担い手を
やる、いろんなことをするプロデューサーとしての機能を果たしていただくようなことができな
いか。同時に、継続的に何か専門家会議の役割もあるとして。
それの一つの応用問題として、寄附の話とか何かもいろいろ出てきたわけです。きょう一連の、
特に後半の議論というのが、専門家会議のある種の一つの結論として、それから、もちろん行政
の意識改革の問題だとかも含めて。
暗中模索がずっと続いているというよりは、少し見えてきた。見えてきたということですか、
まだ。
○政策研究担当課長
○各務座長
そうですね。
次回が5回目ということですけど、日程のことだけ、事務局からお願いします。
○政策研究担当課長
次回が16日です。6時半からという形になります。ここで今お話しした
ような形で、一つの方向性として大きなものをまとめておきたいと思っております。
その後、年明けに1回。その間にまとめの文章とか、やり取りをさせていただきまして、大体
の完成形になったものについて年明けに1回、確認という形でお願いしたいなと。その間で、提
言の中身、それと後半に出てきたものの方向性、今後の方向性も含めてどうしたらいいかという
ことで、やり取りさせていただきたいというイメージで思っております。
○各務座長
わかりました。きょうは事務局からご提案していただいた話がそういう方向で、結
果的にいいディスカッションができたように思いますけど。だからご提案がよかったと。
○政策研究担当課長
○各務座長
ありがとうございます。
次回は11月16日にやります。
6回目は近々になりますので、もし6回目をやるということ前提とすれば。
○政策研究担当課長
できれば、1月中旬を。年明けで本当に皆様も忙しい時期かなと思ってお
りまして、日程が組めるかどうかというところもありますので、ご都合だけお聞かせ願えればと
思っております。
議会が2月から始まってしまいますので、その前に確認させていただいて、一つのものとして
まとめた完成形にしていきたいと思っております。
提言の方向性というのは今のような形で、こちらである程度まとめてお見せするという形でよ
ろしいですか。これについては1項目みたいなものは。後でも、それは言っていただければ。
○安藤委員
座長と事務局で、たたき台というか、最後の議論に備えていただければ。
○各務座長
どうもありがとうございました。またよろしくお願いします。
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