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Twitter上のアイコン画像とユーザ行動の関係の調査と

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Twitter上のアイコン画像とユーザ行動の関係の調査と
情報処理学会 インタラクション 2016
IPSJ Interaction 2016
161B29
2016/3/2
Twitter 上のアイコン画像とユーザ行動の関係の調査と分析
冨永 登夢1,a)
土方 嘉徳1,b)
概要:近年,Twitter や Weibo などのマイクロブログサービスにおいて,ユーザの利用目的やリンク特性
などについて調べるユーザプロファイリングに関する研究が盛んである.これらの研究は,ユーザが持つ
もともとの性質(デモグラフィック情報や性格,利用目的など)がマイクロブログサービス上でのユーザ行
動に影響を与えると考えている.このようなユーザの性質は,ユーザ行動だけでなく,上記サービス上で
のユーザのアイコン画像の選択にも影響を与えると思われる.なぜなら,アイコン画像は Twitter 上での
ユーザの顔となるシンボル的存在であるため,ユーザの嗜好や目的の影響を受けると思われるからである.
我々は,アイコン画像とユーザ特徴,及びその他ユーザ行動に関する研究の手始めとして,まずは Twitter
上のアイコン画像を 13 種類のカテゴリに分類し,それぞれのカテゴリに属するユーザ行動とそのアイコン
画像の関係を調査した.また,いくつかのカテゴリ間で有意なユーザ行動の差が確認された.
キーワード:アイコン画像,ユーザ行動,Twitter,ユーザプロファイル
An Investigation and Analysis on the Relationship between Profile
Images and User Behaviors on Twitter
Tominaga Tomu1,a)
Hijikata Yoshinori1,b)
Abstract: In recent years, many researches on user profiling based on users’ usage objectives or link properties have arisen on micro-blog services such as Twitter or Weibo. These studies assume that users’ behaviors
(e.g. posting, sharing) are influenced by their characteristics such as their demographic information, personality, or usage objectives. We believe that these characteristics of users also have an impact on what kind of
images they set as their profile images on micro-blog services. This is because profile images are regarded as
visual symbols of the owners. In this study, we firstly categorize profile images on Twitter into 13 types, then
investigate the relationship between the types of profile images and users’ behaviors of those who belong to
the type. We find several statistically significant differences of users’ behaviors across types of profile images.
Keywords: Profile images, User behaviors, Twitter, User profiling
1. はじめに
Twitter
*1
は,我々の日常生活に浸透したマイクロブログ
ザを対象に,ユーザがもともと持つ特性や,Twitter 上で
の行動について把握するユーザプロファイリングに関する
研究が行われている [1], [2], [5].
サービスの一つである.Twitter はユーザ同士のコミュニ
これまでユーザプロファイリングの研究は,その本人の
ケーションツールとしての側面と,情報発信獲得ツールと
プロフィールや,投稿されたツイートのテキスト情報を使
しての側面とを併せ持ち,これを用いるユーザの本質に迫
うものが多かった [7], [9], [10], [11].我々はこれに対し,
ることは学術的に興味深いことである.近年これらのユー
ユーザ特性は,上記のテキスト情報だけでなく,プロフィー
1
a)
b)
*1
大阪大学大学院 基礎工学研究科
1-3, Machikane-yama, Toyonaka, Osaka, Japan
[email protected]
[email protected]
https://twitter.com
© 2016 Information Processing Society of Japan
ルに設定されたアイコン画像とも関係があると考えた.本
稿において,ユーザ特性とは,ユーザの性別や年齢などの
デモグラフィック情報,内向性や外向性などの性格,そし
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てソーシャルメディアを利用する目的や意図を指す.実際
表 1: アイコン画像のカテゴリとその説明
に,オンライン上のユーザインタラクションシステムにお
カテゴリ
定義
いて,ユーザのアバターの見た目が彼らの行動に影響を与
本人一人 (On)
ユーザ本人の顔写真
えることが示唆されており [15],この関係が Twitter 上で
自画像 (Sp)
ユーザの顔がイラストで描かれたもの
も確認できる可能性があると期待される.アイコン画像と
顔隠し (Hf)
顔がはっきりと確認できない写真
本人複数 (As)
友人や家族と一緒に写っているもの
他人 (Dp)
芸能人やスポーツ選手などの有名人の写真
文字 (Le)
文字のみで構成される画像
ユーザ行動の関係を分析する研究は本稿が最初である.
本研究では,Twitter 上のアイコン画像を 13 種類に分類
し,各カテゴリに属するユーザ群のユーザ行動の特徴を比
ロゴ (Lo)
会社や学校,その他組織のロゴ
較した.アイコン画像のカテゴリは,動物,たまご,自画
オタク (Ot)
アニメ/漫画調で書かれた美少女キャラクタ
像,顔隠し,文字,ロゴ,オブジェ,オタク,本人一人,
キャラクタ (Ch)
くまモンやふなっしー,ドラえもんなどの
キャラクタの画像
本人複数,景色,他人,キャラクタの 13 種類である.各
カテゴリの詳細は次節以降で説明する.また,本稿におい
て対象とするユーザ行動は,ツイート,リツイート(他の
ユーザの投稿を引用し再投稿する行為)
,被リツイート(リ
ツイートされる),リプライ(他の人のユーザに返信する
動物 (An)
犬や猫,鳥などの動物が写った写真や画像
オブジェ (Ob)
好きな車や趣味で使う道具などの物体
景色 (Sc)
風景の写真や画像
たまご (Eg)
ユーザが Twitter に新規登録した時にデフォ
ルトで設定されている画像
投稿)の 4 つとする.各ユーザ行動においてカテゴリ間の
違いを統計的検定で比較したところ,いくつかの有意差が
確認された.例えば,ロゴと文字のアイコン画像に属する
ユーザは,ツイートする回数は少ないが,被リツイートさ
表 2: ユーザ行動に関する取得データ
データ
説明
ツイート数
対象期間内における投稿したツイートの数
れる割合が高い結果が得られた.具体的な分析手法や上記
リツイート数
他ユーザのツイートを引用し再投稿した数
以外の結果は,5 章で説明する.
被リツイート数
自身の投稿をリツイートされたツイートの数
リプライ数
他ユーザに返信するツイートの数
本稿の構成は以下のとおりである.まず本研究の位置づ
けについて述べる.続いて,アイコン画像のカテゴリ分け
について説明する.そして,ユーザ行動の取得について述
験者によってそれぞれ 300 人の Twitter ユーザのアイコン
べた後,結果について報告する.最後に,本研究の課題と
画像を分類させたところ,Siegel の一致係数は 0.70 とな
結論を述べる.
り,実質的に一致しているとみなされた.以降,定義され
た 13 種類のカテゴリに属するユーザ行動の違いについて
2. 本研究の位置づけ
これまで,ソーシャルメディア
分析を進める.
*2
上におけるプロフィー
ル画像とユーザ特性の分析を行う研究 [4], [6], [13], [14], [16]
4. データ収集
や,プロフィール情報,投稿情報からユーザ特性を推定を
我々はまず,定義された 13 種類のカテゴリに属するアイ
試みる研究 [1], [2], [3], [8], [10], [11], [12] は多くみられる
コン画像を利用しているユーザを,Twitter 上から人手に
が,ユーザ行動とプロフィール画像の関係を分析したもの
よってそれぞれ 100 ユーザ収集した.次に,収集した全て
は我々の知る限り存在しない.そのため,どのようなユー
のユーザに対し,Twitter REST API を利用してユーザ行
ザ特性に注目して分析すればよいか探すため,まずはアイ
動に関するデータを取得した.Twitter 上でユーザは様々
コン画像とユーザ行動の関係を網羅的に調査する必要があ
な行動を示すが,本稿では,Twitter において基本的な操
る.上記の関係が明らかになれば,それらを引き起こした
作となる,投稿,引用(被引用)
,返信に関するデータを対
ユーザの内面的特徴についての推察ができるようになると
象とする.対象となるデータを表 2 に示す.取得データの
思われる.この推察とそこから引き出される仮説について
対象期間は 2014 年 2 月 23 日から 3 月 25 日である.以降
は,将来の研究で検討する予定である.
では,ツイート数を Ntweet ,リツイート数を Nrt ,被リツ
3. アイコン画像の分類
我々は,アイコン画像に描かれている対象として 13 種
類のカテゴリを定義した.表 1 に定義されたカテゴリとそ
の説明を示す.
ここで定義された 13 種類のカテゴリに対し,10 人の被
*2
本稿では簡易のため,SNS とマイクロブログサービスを合わせ
てソーシャルメディアと呼ぶ
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イート数を Nrted ,そしてリプライ数を Nreply と書く.
5. 結果
5.1 投稿頻度
ユーザによってツイートを投稿する頻度は異なるため,
ツイート数でカテゴリ間の違いを観察することは適切でな
い.そこで我々は,ユーザの全ツイート数を Twitter に登
録し利用を始めた日数で正規化し,1 日当たりの投稿数を
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0
0.3
0.0
10
0.1
20
0.2
30
R rt
R tw
40
0.4
50
0.5
60
70
0.6
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On
Sp
Hf
As
Dp
Le
Lo
Ot
Ch
An
Ob
Sc
Eg
On
Sp
Hf
As
Dp
Le
Lo
Ot
Ch
An
Ob
Sc
Eg
Profile Image
Profile Image
図 1: 1 日当たりの投稿頻度(Rtw )
図 2: 投稿数に対するリツイートの割合(Rrt )
比較することにした.Twitter REST API により,ユーザ
る.ユーザによって投稿数が異なるため,単純にリツイー
のこれまで投稿してきたツイートの数(以降,NAllT weet と
トの数を比較するのではなく,投稿数に対するリツイート
表記)と利用日数(以降,Days と表記)を取得した.ユー
の割合を比較する.投稿数に対するリツイートの割合を
ザの一日当たりの投稿頻度を Rtw とすると,
Rrt とすると,
Rtw = NAllT weets / Days
と表現できる.
図 1 に各カテゴリごとにユーザの Rtw を箱ひげ図で表現
している.横軸はアイコン画像のカテゴリ(表 1 の略記に
対応),縦軸は Rtw を意味する.例えば,この図からたま
ごユーザ(Eg)は全体的に低い傾向にあり,オタクユーザ
(Ot)は全体的に高い傾向にある,といったことが分かる.
続いて,カテゴリによってユーザの Rtw の分布がどの
程度異なるかを多重比較により統計的に検証する.我々は
Steel-Dwass 法を用いてこの検証を行った.その結果を,表
3 の最左列(Rtw の列)に示す.表内には,各カテゴリの
Rtw の中央値と,多重比較によって得られた統計量が示さ
れている.例えば,Rtw において,本人一人(On)カテゴ
リとオタク(Ot)カテゴリを検定した結果,統計量は 6.55
となり,有意確率は p < 1.0 · 10−7 となる.
オタクユーザ(Ot)は,1 日当たりの投稿頻度が他カテゴ
リよりも有意に高い傾向が確認された.自身の趣味や嗜好
を積極的に表現している可能性がある.ロゴユーザ(Lo)
は,組織や団体のアカウントとして利用されることが多い
が,Rtw は低い傾向にあり中央値は 2 番目に小さい.投稿
が多すぎると,フォロワーのタイムラインに出現する回数
が多くなり,フォロワーに倦厭されるかもしれない.彼ら
は宣伝や広告を目的としていると推定されるため,この現
象を避けようとしている可能性がある.
5.2 引用頻度
Twitter 上では,他のユーザのツイートを引用し,自分の
ツイートとして再投稿できる.これはリツイートと呼ばれ
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Rrt = Nrt / Ntweet
(1)
(2)
と表現できる.上記の計算式により,全てのユーザの Rrt
を算出した.
図 2 に,ユーザの Rrt を各カテゴリごとに分布として箱
ひげ図で示す.図 1 と同様に横軸はアイコン画像のカテゴ
リを示しており,縦軸は Rrt となっている.
1 日当たりの投稿頻度(Rtw )と同様に,Rrt に対して各
カテゴリ間の多重比較を行った.その結果を表 3 の中左列
(Rrt の列)に示す.
引用行為は,カテゴリ間で大きな差がなく,中央値から
考察するとほとんどのカテゴリは 10 回∼20 回に 1 回引用
を行う結果となった.しかし,たまご(Eg)ユーザは極端
にリツイートが少なく,どのカテゴリと比較しても有意に
引用頻度が低いことが分かった.たまごの画像は,Twitter
を始めた時に標準設定されている画像であるため,初心
者が多い可能性がある.従って,彼らがフォローしている
ユーザが少なく,引用する情報源がそもそも他のユーザよ
り少ないことがこの結果につながったと思われる.
5.3 被引用頻度
前節で述べたように,Twitter 上には引用する機能が存
在するため,自身の投稿が引用されることもある.フォロ
ワーにとって興味深かったり,有益であると思われたツ
イートが引用されやすいと考えられる.
Rrt の分析と同様に,投稿数がユーザによって異なるた
め,投稿数に対する被引用回数の割合で比較する.投稿数
に対する被引用回数の割合を Rrted とすると,
Rrted = Nrted / Ntweet
(3)
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表 3: カテゴリ間の多重比較の結果(統計量 t に対する tn ... n = 1 の時 p < 0.05,n ≥ 2 の時 p < 1.0 · 10−n の有意確率)
Rtw
M edian
Rrt
Ot
Lo
本人一人 (On)
3.69
6.557
1.23
自画像 (Sp)
5.19
4.944
2.70
顔隠し (Hf)
12.7
本人複数 (As)
2.77
7.53
他人 (Dp)
7.35
5.59
5
4.48
3
7
文字 (Le)
3.43
6.14
ロゴ (Lo)
2.80
6.588
オタク (Ot)
25.4
キャラクタ (Ch)
–
5.32
動物 (An)
2.81
M edian
5.48
5
3.80
2
3.55
1
Rrted
Eg
M edian
Rreply
Lo
Eg
As
Lo
0.079
7.5511
0.069
3.711
8.3912
0.365
4.423
6.417
0.084
7.4411
0.030
4.653
6.829
0.100
10
0.031
5.65
5
5.97
6
5.47
5
7.32
12
0.067
7.75
10
0.058
7.16
3
0.046
0.034
M edian
0.270
5.645
5.295
10
0.337
3
4.38
5.976
12
0.519
–
9.1112
7.14
7.84
10
7.35
12
0.351
1
6.097
12
3.65
0.74
0.029
4.57
0.341
0.38
8.48
0.025
9.21
1.60
–
0.040
5.916
0.311
–
8.7112
0.071
9.1112
–
6.58
5.11
4
5.96
6
2
2.74
8
10
0.076
2.33
7.31
7
0.043
0.17
6.35
9
0.062
6.98
0.025
0.026
0.013
5.70
6
4.97
4
6.60
8
8
9
6.98
8
6.58
3
4.45
0.284
0.383
0.253
5
5.455
1
6.167
6
4.393
3
5.50
3.43
6.04
オブジェ (Ob)
6.54
4.22
景色 (Sc)
3.27
6.187
0.22
0.044
5.315
0.021
5.655
5.625
0.141
6.929
1.98
たまご (Eg)
0.79
6.498
2.50
0.000
–
0.000
8.7112
–
0.002
8.1812
1.84
0.045
7
6.32
0.019
6.73
5
5.48
0.331
4.63
5.184
1.0
ると考えられる.文字ユーザにも同様の傾向が見られる.
たまご(Eg)ユーザは,引用する頻度も低かったが,引用
0.8
される頻度も全てのカテゴリと比較して有意に低い結果と
なった.彼らは Twitter の初心者である可能性が高く,引
0.6
用されるためのフォロワーがそもそも少ないことがこの結
0.4
R rted
果の原因であると思われる.
5.4 返信頻度
0.2
Twitter では,他のユーザの投稿に返信する形でツイー
トすることができる.これはリプライと呼ばれる.特定の
0.0
ユーザとインタラクションを取る行為であるため,親しい
On
Sp
Hf
As
Dp
Le
Lo
Ot
Ch
An
Ob
Sc
Eg
Profile Image
図 3: 投稿数に対する被リツイートの割合(Rrted )
友人や知人と連絡を取り合う目的で利用されやすい.
Rrt の分析と同様に,投稿数がユーザによって異なるた
め,投稿数に対するリプライ数の割合で比較する.投稿数
に対するリプライ数の割合を Rreply とすると,
Rreply = Nreply / Ntweet
と表現できる.上記の計算式により,全てのユーザの Rrted
を算出した.
図 3 に,ユーザの Rrted を各カテゴリごとに分布として
(4)
と表現できる.上記の計算式により,全てのユーザの Rreply
を算出した.
箱ひげ図で示す.図 1 と同様に横軸はアイコン画像のカテ
図 4 に,ユーザの Rreply を各カテゴリごとに分布として
ゴリを示しており,縦軸は Rrted となっている.図 3 を見
箱ひげ図で示す.図 1 と同様に横軸はアイコン画像のカテ
ると,ロゴ(Lo)ユーザと文字(Le)ユーザの Rrted が目
ゴリを示しており,縦軸は Rreply となっている.
立って高いことが分かる.
1 日当たりの投稿頻度(Rtw )と同様に,Rrted に対して
各カテゴリ間の多重比較を行った.その結果を表 3 の中右
列(Rrted の列)に示す.
1 日当たりの投稿頻度(Rtw )と同様に,Rreply に対し
て各カテゴリ間の多重比較を行った.その結果を表 3 の最
右列(Rreply の列)に示す.
本人複数(As)ユーザは,他のどのカテゴリと比較して
ロゴ(Lo)ユーザは,文字(Le)ユーザ以外のすべてのカ
も有意にリプライの頻度が高い.中央値で評価すると,2 回
テゴリと比較して有意に引用される頻度が高い.前述した
の投稿に対して 1 回は返信を行っていると言える.彼らは
ように,ロゴユーザは組織や団体のアカウントであること
友人や知り合いと一緒に写った写真をアイコン画像に用い
が多いと考えられるため,フォロワーにとって有益な情報
ており,人とのコミュニケーションへの関心の高さがユー
が発信されている可能性が高い.また,その情報を拡散さ
ザ行動にも表れる結果となった.一方,ロゴ(Lo)ユーザ
せることを目的にフォローしているユーザも多いかもしれ
はほとんどのカテゴリと比べてリプライを積極的に行わな
ない.これらが,ロゴユーザの Rrted の高さに寄与してい
い傾向が見られた.組織や団体を代表するアカウントが多
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1.0
彼らがフォローされているユーザの少なさによるものと
推察される.ロゴユーザは引用される頻度が非常に高く,
0.8
フォロワーの関心をひくツイートを投稿していると考えら
れる.本人複数ユーザは返信の頻度が高い結果となり,コ
R reply
0.6
ミュニケーションへの積極性がユーザ行動とアイコン画
像に現れていると言える.対象ユーザが日本人に限定され
0.4
ており,投稿されたツイートの内容を確認していないとい
う課題が残されているが,我々は本研究がアイコン画像と
0.2
ユーザ行動の関係を明らかにする最初に第一歩となると考
0.0
えている.
On
Sp
Hf
As
Dp
Le
Lo
Ot
Ch
An
Ob
Sc
Eg
Profile Image
参考文献
[1]
図 4: 投稿数に対するリプライの割合(Rreply )
[2]
いと思われるため,特定の個人とのコミュニケーションを
避けている可能性がある.
6. 本研究の課題
[3]
本研究は,アイコン画像のカテゴリ間でユーザ行動に違
いを明らかにすることを試みた最初に研究であるが,調査
と分析にあたっていくつか課題が残されている.
まず,分析対象となるユーザが日本人に限定されている
[4]
点である.文化の違いは,自分が移る写真の提示やソー
シャルメディア上のアイコン画像の選択に影響を与えると
報告されている [16], [17].より一般的な知見を得るために
は,国籍や言語などの文化的背景の異なるユーザを対象に
[5]
調査を進める必要があると言える.
また,今回の調査と分析において,ユーザから投稿され
たツイートの内容は確認していない.投稿や引用,返信の
[6]
頻度だけでなく,その内容にもユーザ特性が反映され,カ
テゴリごとに違いが確認される可能性は高い.本稿では網
羅的な調査を行うため簡易なデータを対象としたが,将来
[7]
的にはツイートの内容の違いも検証していく必要がある.
7. 結論
[8]
本研究は,Twitter 上のアイコン画像のカテゴリごとに
ユーザ行動の違いを分析した最初の研究である.我々は,
アイコン画像を,動物,たまご,自画像,顔隠し,文字,
[9]
ロゴ,オブジェ,オタク,本人一人,本人複数,景色,他
人,キャラクタの 13 種類のカテゴリに分類し,各カテゴ
リに対して 100 人のユーザを人手で集め,彼らの投稿,引
[10]
用(被引用),返信の頻度の違いを分析した.
その結果,以下の結果が確認された.オタクユーザは投
稿頻度が高く,自身の趣味や興味の対象について頻繁に投
稿している可能性がある.
.また,たまごユーザは引用,被
引用ともに頻度が低く,彼らのフォローしているユーザや
© 2016 Information Processing Society of Japan
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