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次世代エネルギーシステムの提言

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次世代エネルギーシステムの提言
次世代エネルギーシステムの提言
2011年9月16日
株式会社日本総合研究所
創発戦略センター
Copyright (C) 2011 The Japan Research Institute, Limited. All Rights Reserved.[tv1.0]
1-1.次世代のエネルギーシステムの前提
■ エネルギーシステムに関する三つのリスク
① エネルギー供給システムの技術的なリスク
個々の発電施設、送配電網の技術的信頼性を高めると同時に、災害時等におけるシス
テム崩壊リスクを最小にする。
② 資源調達リスク
安定した資源の調達環境の確保とともに、将来の需給ひっ迫への耐性を高める。
③ 温暖化リスク
地球レベルのリスク低減について、世界有数の経済大国に相応しい貢献を示す。
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1-2.次世代のエネルギーシステムの前提
■ 次世代エネルギーシステムの視点
① 多様性
特定の技術、資源、供給システムに頼らない多様なエネルギーシステムを構築する。そのために
は、大規模集中型から分散型への電力供給理念の転換が必要。
② 持続性
特定の資源への依存度が少なく、持続可能な地球環境に貢献し得るエネルギーシステムを構築す
る。そのためには、エネルギー関連諸税を視野に入れた改革も必要。
③ 効率性
限りある資源と再生可能エネルギーの効用を最大限に発揮する効率的なエネルギーシステムを構
築する。そのためには、省エネルギー事業者の育成等が必要 。
④ 透明性
需要サイドでの供給状況の把握、供給サイドでの需要状況の把握が可能なエネルギーシステムを
構築する。そのためには、スマートメーターの普及等による透明性の向上が必要。
⑤ 自律性
需給が自律的に制御されるエネルギーシステムを構築する。そのためには、電気事業者のデマン
ドサイド・マネジメント機能の向上、エネルギー資源の自由なやり取りができる制度が必要。
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1-3.次世代のエネルギーシステムの前提
■ 追加すべき視点
① 原発事故に伴う電源への影響
・ 東京電力福島第一原発の事故の収束には20年から30年を要する。
・ この間、原子力発電所の新規建設は困難で、寿命を40年とすると、2030年には原子
力発電の発電容量は半減。
⇒ 原子力発電の縮小を踏まえた需給対策が必要
② 電源立地負担の解消
・ 東京電力管内への電力供給のために起こった福島内の被災。
・ 電源立地対策交付金制度による二つの問題。
⇒ 箱モノ行政の助長
⇒ いわゆるNIMBY(Not In My Back Yard)の助長
⇒ 大都市部等の需要家の意識の低下
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1-4.次世代のエネルギーシステムの前提
【原子力発電所の設備容量の推移】
50000
容量(MW)
40000
40年
50年
60年
30000
20000
10000
0
2010
2020
2030
2040
2050
2060
year
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2-1. 分散型エネルギーシステムの導入
【分散型エネルギーシステム】
「需要側でエネルギー源を確保し、自律的にエネルギーの需給バランスを図るシステム」
【大規模集中型エネルギーシステム】
「原子力発電所を始めとする大型発電所を需要地から遠く離れた地域に建設し、広大なエリ
アに送電線を張り巡らせて需要家に電気を供給するシステム」
■ 大規模集中型システムが主流となってきた理由
① 発電効率が高い
② 発電所が集中的に立地するため燃料供給や管理が容易
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2-2. 分散型エネルギーシステムの導入
■ 大規模集中型エネルギーシステム
① 燃料の利用効率が低い
⇒ 分散型エネルギーシステムはコジェネレーションにより熱エネルギーを有効利用できる。分散電
源を上手く使えばエネルギー効率を20、30%程度改善することができる。
② 送電ロスが生じる
⇒ 分散型エネルギーシステムでは送電ロスは無視できるほど小さい。
③ 送電線網の敷設と維持管理に膨大なコストと土地を必要とする
⇒ 分散型エネルギーシステムでは送電線によるロスを大幅に低減できる。
④ リスクが広範囲に拡大する可能性がある
⇒ 分散型エネルギーシステムでは、トラブルの範囲が限られ、回復にかかる期間も短い。
⑤ NIMBYを助長する
⇒ 分散型エネルギーシステムはエネルギー利用のあり方を考える機会を提供する。
⑥ 再生可能エネルギーの利用に必ずしも適していない
⇒ 分散型エネルギーシステムでは、できるだけ自家利用、近隣利用に供する等、電源の性格に合
わせた利用が可能となる。
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3-1. 次世代エネルギーシステム
「需要家主導のエネルギーシステム(DEmand Side Driven Energy System:DES2)」
■ 賦存量と技術開発可能性の最も大きな太陽光発電を軸とし、他の再生可能エネルギーや高効率エネ
ルギー利用技術、エネルギー管理技術を組み合わせた家庭、施設単位の需給一体管理型のエネル
ギーシステムを普及する。
■ 前項のエネルギーシステムの安定化、効率化を図るために、家庭間、施設間のエネルギー融通シス
テムを取り入れる(前項と合わせ、以下、需要家レベルのエネルギーシステムという)。
■ 需要家レベルのエネルギーシステムの供給安定性を高めるために、地域単位で収集されるバイオマ
ス、未利用地での太陽光発電や風力発電、小水力等の利用、あるいは産業を巻き込んだエネルギー
のカスケード利用(工場等から排出される熱や燃料資源を地域に供給すること)による供給システムを
構築する(以下、コミュニティレベルのエネルギーシステムという)。
■ コミュニティレベルのエネルギーシステムは、将来太陽光発電の変換効率が向上した場合、需要家レ
ベルのエネルギーを融通するエネルギー基盤ともなり得る。
■ コミュニティレベルのエネルギーシステムの供給安定性の向上とバックアップ、及び情報通信、交通な
どの社会基盤を含む大口需要家へのエネルギー供給のために、全国に張り巡らせた送電線を基盤と
する信頼性の高いエネルギーシステムを構築する(以下、ナショナルレベルのエネルギーシステムと
いう)。
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3-2. 次世代エネルギーシステム
【需要家主導のエネルギーシステム 】
エネルギー融通
需要家
レベル
家庭
家庭
家庭
家庭
小規模事業所
小規模事業所
小規模事業所
小規模事業所
住宅用太陽光発電、住宅用コジェネレーション、小型蓄電池、小型HP 等
コミュニティ
レベル
公共施設、業務商業用ビル、大規
模集合住宅、等
公共施設、業務商業用ビル、大規
模集合住宅、等
エネルギー
バックアップ
中大規模コジェネレーション、小水力発電、小規模風力発電、大規模HP、バイオマス施設
(下水、廃棄物、農林水産廃棄物) 等
ナショナル
大規模産業施設、交通インフラ 等
レベル
大規模風力発電、地熱発電、火力発電、大規模水力発電、原子力発電
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3-3. 次世代エネルギーシステム
【次世代エネルギーシステムのロードマップ】
段
階
基盤構築
段階
期
~
2025年
間
目
的
実施内容
・システムパッケージ形成
・規制緩和、導入促進策等
事業環境整備
・先行モデルの形成
・新規参入の促進
・FIT・RPS・炭素税整備
・太陽光発電の採算性を確保
・コジェネレーションを普及
・バイオ燃料、水素の供給体制整備
・クラスター形成
・エネルギー供給拠点形成
・系統スマート化の推進
ネットワーク
構築段階
2025年
~
2040年
・パッケージのネットワーク化
・レベル間の連携構築
・低炭素基盤の拡大
・スマートグリッドの完成
・太陽光発電の商業ベース化
・バイオ燃料、水素燃料を普及
・地域ネルギー補完システム構築
・エネルギーマネジメントシステム構築
・化石燃料火力の縮減
グレード
アップ段階
2040年
~
2050年
・機能の一層の向上
・低炭素化の一層の促進
・太陽光発電、燃料電池、蓄電池等の
新技術への転換
・各レベルでの制御機能を向上
・化石燃料利用の最小化
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3-4.次世代エネルギーシステム
電力網
【需要家レベルの例】
最適管理
地域燃料電池
スマートハウス
スーパー
コンビニ
地域太陽電池
太陽光発電
学校
EMS
ニュータウン EV・PHV
太陽光発電所
Smart
Meter
分電盤
EV・
蓄電
池
地域施設
HEMS
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燃料
電池
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