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知的エージェントの協調による 分散電源と配電網制御システム 講演内容

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知的エージェントの協調による 分散電源と配電網制御システム 講演内容
知的エージェントの協調による
分散電源と配電網制御システム
横浜国立大学大学院工学研究院
濱上 知樹
(財)人工知能研究振興財団 第14回成果発表会
2013/9/18
講演内容
1. 研究背景
2. マルチエージェント配電系統事故復旧
1. 分散リソース型遺伝的アルゴリズム
2. 選択的サンプリングによる事故点の決定
3. 今後の展開
1. パワートリアージ
自律的コミュニティ形成による階層型制約回避
2. System of Systems (SoS)の社会実装へ
2
背景
• 電力自由化・震災後の分散電源への期待
• 分散電源の利点:
– 送電ロス・コストが低い
– 環境負荷が低い
• 分散電源の課題:
– 安定性の確保
– 制御が複雑
3
配電系統事故復旧問題
事故により停電が発生した場合,開閉器を切り替えて,
他のフィーダから電力を融通し,復旧する。
• 系統中に分散電源が入っていると復旧時の制御が
複雑となり,従来の中央集中型の制御が困難となる。
• 系統の状態に応じて適応的に復旧戦略を見つける
4
自律分散制御が望ましい。
マルチエージェント(MA)による
配電系統自律分散制御
開閉器
X
X
負荷 発電機 負荷
エリア
エージェント
• エリア:
エリア
開閉器に囲まれた区間
• 各エリアにはエージェントが
配置され,各エージェントは
担当エリアの状態を監視す
る
• エージェント同士はMA協調
契約ネッ
手順の一種である契約
契約ネッ
トプロトコル(CNP:
: Contract
トプロトコル
Net Protocol) によって他
エリアエージェントとの協調
ネットワークを形成する
自律分散協調動作により事故の影響を
最小限に食い止める開閉器状態を決定する
5
契約ネットプロトコル(CNP)
社会における交渉過程をエージェントの
合意形成に利用した協調フレームワーク
• 告示されるタスク
タスク告示
落札
入札
タスク告示
落札
– 連結タスク
連結指数
により連結評価を行う
– 切断タスク
切断指数
切断指数
により切断評価を行う
• 各エージェントが持つ「指
数」によって,系統復旧
のための仮想ネットワー
6
クが自律的に形成される
遺伝的アルゴリズムによる
指数の組み合わせ最適化
適切な指数の獲得する問題を組合せ最適化問題として解く
仮想事故による
シミュレーション
(適応度計算)
個体評価
・・・
個体集団
選択
・・・
・・・
交叉
突然変異
配電系統に応じた復旧戦略を自律的に獲得する
7
事故点サンプリングの必要性
配電系統内で起きうる事故点をすべて扱う
と膨大な時間がかかる
N objective functions
Fitness
S objective functions
S
S点サンプリング
平均未復旧負荷量計算
ランダムに事故点を選択(サンプリング)することで
すべての可能性を試すことなく個体を評価する
8
Scale free性を有する
自律分散ネットワーク
実応用にむけての課題
1. 戦略決定のための最適化プロセスが
集中制御となっている
– 事故後の制御が自律分散であっても,そのための指
数を最適化するプロセスが集中制御になっているた
めに,冗長性が確保されない
2. ランダムサンプリングにより,非効率な最適化
になっている
– 復旧の難易にかかわらず,未復旧負荷量で評価が
なされるため,安易な戦略が選ばれることがある
問題解決の方法
• 最適化プロセスの分散化
分散リソース型遺伝的アルゴリズム
• 復旧難易度を反映した評価
選択的サンプリングによる仮想事故評価
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分散リソース型遺伝的アルゴリズム(DRGA)
• 目的:
最適化のための計算リソースを分散配置する
ことで,最適化プロセスのフォールトトレラント確保と
オンライン最適化システムを実現する。
1. 個体情報を分割
– CNPエージェントに個体情報を分散管理
– 最適化プロセス中断による情報喪失を防ぐ
2. 2種類のエージェント
– コントロールエージェント(CNP)
– ファシリティエージェント
12
個体情報の分割と管理方法
分散リソース型GAの個体
sGAの個体
Key1
Key2
Key3
・・・
・・・
Key N
1個体情報を
1エージェントが保持
ファシリティ
エージェント
コントロールエージェント
個体情報を分割し冗長性を持たせてネットワーク中に分散。
13
あるエージェントからの情報が失われてもGAプロセスは進行。
ファシリティエージェントと
コントロールエージェント
• ファシリティエージェント
– Keyと適応度のリストを所持
– GAのオペレーションを実行
– モバイルエージェント
• コントロールエージェント
エリアの管理・監視
染色体断片を所持しKeyで管理
交叉・突然変異を実行
14
故障時の振る舞い
• 染色体を分割・冗長に分散させているため,一
部のエージェントが停止しても,GAプロセスが停
止することがない。
• ファシリティエージェントの冗長性
– CAからKeyリストを取得して集団データベースを再構
築できる
• コントロールエージェントの冗長性
– 欠損を補うために,複数のCAを組み合わせて個体を
再構築できる
15
実験(DRGAとsGAの比較)
発電容量:400~900
負荷量:1~71
送電線容量:125,455
GAのパラメータ:
世代数 : 100
個体数 : 200
交叉率 : 0.5
突然変異率 : 0.2
サンプリング数 : 20
16
結果(DRGAとsGAの比較)
ランダム事故発生時
集団平均適応度
各世代で得られた
エリート個体の復旧能力
提案手法の方が収束が若干早く
優秀な復旧戦略がsGAにくらべ早期に獲得できる
17
実験(DRGAのロバスト性)
最適化中の事故発生に対する評価
GAのパラメータ:
世代数 : 100
個体数 : 200
交叉率 : 0.5
突然変異率 : 0.2
サンプリング数 : 10
CAが故障する世代として10,20,40世代の3パターン
CAが復帰する世代を80世代としてそれぞれ20回実験を行った。
18
結果(DRGAのロバスト性)
10
世代CA故障
世代CA故障
40
20
世代CA故障
19
考察
• DRGAの方が個体多様性を維持する傾向が
あり,より良い解が得られる可能性が高い
• 故障個所・故障のタイミングによって,復旧性
能に大きな違いが生じる
– 問題依存の性質
– 解が安定しない?
20
選択的サンプリングによる
仮想事故選択
• ランダムサンプリングによる事故点は,復旧
難易度の偏りがあり,効率的・安定的な最適
化ができない場合がある
• 未復旧負荷量の確率分布から
優先して対応すべき事故点を選択する。
21
仮想事故選択アルゴリズムの構造
事故エリア候補に
重みを持たせる。
重みテーブル
重みの値を基に
仮想事故点の選択確率
を決定
復旧シミュレーション
を行い,結果を記録
評価リスト
評価リストから
次世代の重みテーブル
を更新
22
仮想事故選択アルゴリズム
1. 選択パラメータを初期化
2. 重みテーブルから事故
候補点の選択確率を計算
確率に基づき事故点決定
3. 復旧シミュレーション結果を
評価リストと個体評価へ
4. 選択した事故点の選択
パラメータを0にする
5. 2~4をS回繰り返す
23
実験(仮想事故選択アルゴリズム)
sGAのパラメータ:
世代数 : 100
個体数 : 200
交叉率 : 0.5
突然変異率 : 0.2
サンプリング数 : 20
比較対象として,アルゴリズム無の場合と,
サンプリング数 N=すべてのエリアと比較を行った。
実験では100世代最適化の後
各世代のエリート個体での全エリアの復旧能力を調べた。
24
結果(仮想事故選択アルゴリズム)
集団平均適応度
各世代で得られた
エリート個体の復旧能力
集団平均適応度:平均未復旧負荷量が大きくなる
エリート能力:従来に比べ優良な解が早期に発見できる
25
シミュレーション
まとめ
• 分散リソース型GAと 事故点の選択的サンプリ
ングを用いた分散電源を含む自律分散型配電
系統事故復旧システム
• 分散リソース型GA
個体情報をkeyを介し分散することにより
復旧性能を低下させずにロバスト性が向上した。
• 選択的サンプリング
難度の高い評価対象を優先的に選択することで,
正しく評価値を算出する
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ご清聴ありがとうございました。
本研究をご支援いただいた
(財)人工知能研究振興財団 様に
深く感謝申し上げます
本研究に関する参考文献
– Masao Murakami, Hongbo Shi and Tomoki Hamagami, Autonomous
restoration method for electric power network, Proceedings of the
International Conference on Electrical Engineering 2012 (ICEE 2012),
2012.7.
– 加藤能史,濱上知樹,配電系統事故復旧の困難さに応じて解空間を選択的
にサンプリングする遺伝的アルゴリズム, 電気学会論文誌電子・情報・シ
ステム部門誌, vol.131-C, No. 5, pp. 1031-1037, 2011.
– 進化技術ハンドブック 第II巻: 応用編,第19章 マルチエージェント
応用,電気学会進化技術応用調査専門委員会編,近代科学社2011
– 児玉優,濱上知樹,2層型契約ネットプロトコルを用いた配電系統事故復
旧の分散処理システム,電気学会電子情報システム部門論文誌C,Vol.130,
No.2 pp. 201-208, 2010.
– Yu Kodama and Tomoki Hamagami, Autonomous Electric Power
Distribution Network Restoration System using a Standard Multiagent Framework, Proceedings of the International Conference on
Electrical Engineering 2009 (ICEE2009) 2009.7.
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