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日ブラジル外交関係樹立120周年 兵庫県パラナ州友好提携45
BOLETIM No. 968 (会報) VERÃO 発行 一般財団法人 日伯協会 (夏) 理事長 三 野 哲 治 TEL/FAX O BRAS IL 2015 URL http://www.nippaku-k.or.jp E-mail [email protected] 平成27年7月31日 (季 刊) 神戸(078)230−2891 〒650−0003 神戸市中央区山本通3丁目19−8 海外移住と文化の交流センター2階 編集 会報編集委員会 第45回神戸まつり・パレード参加者が全員集合 今号の主な記事 ブラジル初訪問記 P. 2 移住ミュージアムだより 8月の記念行事に兵庫県から大型訪問団 P. 3 移住者を支えた宗教家、 コーヒーブレイク P. 10 P. 8-9 神戸まつり P. 4-5 ブラジルトピックス、 ブラジル経済情報 P. 11 日伯協会からのお知らせ P. 6-7 書籍紹介、編集後記 P. 12 印刷/菱三印刷株式会社 〒652-0803 神戸市兵庫区大開通2丁目2-11 TEL (078) 576-3961 ブラジル初訪問記 一般財団法人日伯協会 常務理事 竹内 康雄 私は、昨年4月1日付で住友ゴム工業㈱から 一財 日伯協 会へ出向いたしました。1年を経過する段階で、一時も早く ブラジルの地を経験すべしということで、4月12日から18日 の7日間の旅を経験してきました。 この時期にブラジル出張の機会を得たのは、今年8月に 予定されている兵庫県・パラナ州友好提携45周年記念事 業としてのブラジル訪問団参加者のサポート役となるべく、 その下準備という目的のもと、住友ゴムの田中副社長の出 張に同行という形で実現したものでした。 ▶やっとの思いでサンパウロ到着 4月12日㈰深夜、関西空港を出発(エミレーツ航空317 便)、10時間半の長時間フライトでドバイに到着。ホッと一 息つけたのと「これで往路のやっと半分か」の思いで飛行 機を降りたのを思い出します。ドバイでのトランジットは3 時間半でしたが、ラウンジで軽食と缶ビールがとれてあっと 言う間の時間でした(気が張っていたのでしょうか)。さあ 出発と乗継機までの移動バスの所要時間が長かったのに は驚きました。ドバイ空港の中央から端まででしたが、それ だけ空港がデカイということを思い知らされました。 次のサンパウロまでのフライト (EK216便)も15時間弱という ことでしたが、読書∼映画鑑賞 ∼うたた寝∼機内食」を繰り返 し、サンパウロ グアルリョス空 港にようやく到着しました。合 計25時間強のフライトは、運動 不足と胃の充満感を引きずらせ、 ブラジル現地での未知なる4日 間のスタートを切りました。 の信号無視の横断」です。阿吽の呼吸というのでしょうか、 車と車の切れ間を危なっかしくタイミングよく渡っていまし た。何度か、ヒヤッとしたのを思い出します。 ▶ 残る2日間、SRB本社・工場と クリチバ領事館を訪問、そして帰路へ 翌日はSRB本社・工場への初訪問でしたが、クリチーバ 市内から本社までの道路が予想以上に渋滞し、予定から 20分遅れの到着。歓迎された(?)のでしょうか、原因は、 早朝での市民抗議デモでした。SRBの本社・工場は建屋・ 設備そして人も新しく、躍動と将来性を感じさせてくれまし た。昼食は、バイキング方式の工場給食でしたが、内容は 中々良く、しかも従業員負担を少なくするという福利厚生 施策は、法律で守られているとの事、感心させられました。 ステーキやフェジョアーダや新鮮野菜など、ついつい食べ すぎました。 ▶翌日、サンパウロ市内の各所を表敬訪問 2 No.968 翌朝、SRB(住友ゴムブラジル)駐在員・中西Dと同行、 兵庫県人会顧問尾西氏のご紹介をいただき、サンパウロ新 聞、ニッケイ新聞、ブラジル日本文化福祉協会、サンパウロ 日伯援護協会、ブラジル日本都道府県人会連合会を表敬 訪問し、日頃のご支援のお礼と、今後の尚一層のご支援・ 協力のお願いをして参りました。 午後は夕方のクリチーバへのフライトまでの空き時間で、 移民史料館を見学させていただき、貴重な資料等を拝見 し、日伯の関係の深さと広さを改めて感じました。また、残 る時間で「日本人街」(今は東洋人街)を視察することがで きました。 この街は、地名の変遷どおり日本人が少なくなり、台 湾・中国系人が活躍している姿が多く見られるようで、少 し残念な気持と時代の流れを感じさせられました。 ここで、チョットした発見と驚きがありました。一つは 「バス3両連結」の力強さと美しさです。もう一つは「歩行者 翌日16日、クリチバ総領事との会食という機会をいただ きました。政治・経済情勢から、芸術文化・一般情報などな ど、広範にわたるお話をお聞きし、大いに勉強になる楽し いひと時を過ごさせていただいた。 最後に8月の「県民交流団」渡伯の際にまたお会いでき るようお願いして、お別れしました。 ブラジル4日間の突貫行程を無事終えて、その日の夕刻、 駐在メンバーに見送られ、クリチーバ空港を後にし、復路 ほぼ2日(クリチーバ∼サンパウロ∼ドバイ∼関空)という 長い旅で戻ってきました。 関係各位のご尽力、ご協力に感謝申し上げます。 兵庫県パラナ州友好提携45周年・ブラジル兵庫県人会創立55周年 8月の記念行事に 兵庫県から大型訪問団 今年は日本とブラジルが国交樹立して120年、パラナ州 入植100年にあたり、両国で多彩な記念事業やイベントが 年間を通して実施されています。 兵庫県関連では、パラナ州友好提携45周年、ブラジル 兵庫県人会創立55周年の節目を迎えています。このため 記念行事が、8月にクリチーバとサンパウロで開催される ため井戸知事をはじめ、当協会と兵庫県国際交流協会の 31名からなる「兵庫県民交流団」のほか全体で6団・80 名がブラジルを訪問します。 ブラジル兵庫県人会創立55周年 8月23日㈰には、サンパウロ市内でブラジル兵庫県人会 主催の創立55周年記念式典と祝賀会が開かれ、井戸知事 の一行、県議会議員団と共に、県民交流団は全員出席し ます。県人会長は、尾西貞夫氏から松下マルリ瞳氏に替わ りました。20年間会長を務められた尾西前会長を労うと同 時に、初の女性3世会長をお祝いしたいと思います。 リオデジャネイロやイグアス見学 7月14日県民交流団の結団式 兵庫県民交流団は、8月17日夜関西空港を出発、8月26 日に帰国する10日間の日程や参加者が確定しました。7月 14日、旅行説明会と結団式が神戸国際会館で行われ、交 流団を編成した公益財団法人兵庫県国際交流協会・齋藤 富雄理事長、日伯協会・三野哲治理事長の挨拶や団長・ 副団長選任があり、団長に秋武宏氏、副団長に柿聡氏が 指名されました。その後、関係者から兵庫県とパラナ州の 交流概要、ブラジル情報、旅行の詳細などが説明され、参 加者全員の紹介があり、旅行気分が盛り上がりました。 記念 行事が開かれる2 都市 だけでなく、ブラジル屈指の観 光地で2016年夏季オリンピック、 パラリンピックが開催されるリ オデジャネイロの見所、世界自 然遺産イグアスの滝をアルゼン チンとブラジル両国側から見学 することになっています。 兵庫県パラナ州友好提携45周年 特に、今回はアルゼンチンのプエルト・イグアス市にあり、 ホテルから滝が眺望できるシェラトン・イグアス・リゾート &スパに宿泊するのも楽しみのひとつです。 8月20日㈭には、パラナ州の州都クリチーバ市(姫路市 の姉妹都市)で、パラナ州政府主催の記念式典、リッシャ 知事主催の歓迎昼食会が開かれる予定で、今回訪問の全 員が招待されています。 また同夜、芸術文化センターのグアイリーニャ劇場で開 かれる、ブラジル人と日本人歌手共演の記念コンサートな どにも参加することになっています。 現在ブラジルには1∼6世までの日系人160万人のうち、 サンパウロ州に70%、パラナ州に10%が暮らしており、今 回の訪問を通じてそれらの方々と交流ができることを期待 しています。 次号(10月31日発行)では、交流団の詳しい報告記事を 掲載する予定です。 3 No.968 神戸 まつり 日伯協会 がフラワーロード 5月17日㈰抜けるような青空の下で神戸まつりが行われ、 日伯協会・神戸ブラジル協会合同チームは69番目に スタートした。 ブラジル人ダンサーに先導された参加者250名は 「ミニ鯉のぼり」 を振りながら、 フラワーロード∼三宮 中央通り∼大丸前まで行進した。今年は日ブラジル外交関係樹立120周年・兵庫県パラナ州友好提携45周年 を記念して華やかな飾り付けを行い、強烈なサンバのリズムに乗って一段と元気の良いパレードとなった。 先頭を行く チームリーダーと サンバ隊 日ブラジル外交関係樹立120周年 兵庫県パラナ州友好提携45周年を掲げた広報車 参加受付場所の兵庫トヨタでは 本年度受付第1号は加茂周治さん 12時30分の受付開始ですが、早々 と12時に。今年の初めに足を痛め 松葉づえを使っていたが、元気 回復して待ちきれずに。 ハリマ化成の広報部 畠山さん・矢野さん 広報誌の取材も兼ねて 参加しました。 受付では帽子とTシャツを進呈。 MかLかそれともLLか受付も大忙し。 住友ゴム経理部の高木さん (北海道出身の入社2年目) 4 No.968 ブラジルが大好きで希望して参加者のお世 話役を。早くから頑張っていました。 田代さんご一家 子供さんはミニ鯉のぼりに喜んで早速パレードの練習 を 大 行進。 サンバのリズムがさく裂する中、三野理事長を先頭に パレード隊もフラワーロードヘ 老いも若きも 元気よく 日本サンバ界の草分け 山田さん お父さんと一緒に祈里ちゃん 家族そろってまり子ちゃん・ゆり子ちゃん 先頭へ行きたがる計人君と支える和ちゃん 参加者の感想 初めて参加しました。多数の見物人に見守られてフラワー ロードの真ん中を歩ける快感に大感激。 (E・Kさん) 昨年は沿道から見るだけでしたが、今回は娘と共にパレード の一員として楽しみました。 (Y・Oさん) 来年のリオ五輪の開会式で使われる 予定の鯉のぼりをパレードで披露 ブラジル各地に鯉のぼりを提供されている徳 永深二さん。リオ五輪では日系団体に「ミニ鯉の ぼり」5000本を寄贈する。 この写真はNHKワールド「みんなのエピソード でつなぐ日本・ブラジル120年」に選ばれホーム ページに掲載されます。 5 No.968 会 日伯協 からの せ お知ら Relatório レポート 決算理事会・評議員会を 開催 平成26年度の事業報告・決算を理事会・評議員会へ上 程し、決議承認を得ました。 そごう神戸店でブラジル展 5月5日から5月18日の14日間にわたって、 そごう神戸店で ブラジル展が開催されました。 当協会は、パネル16枚でブラジルとはどんな国かを知って もらう展示を行い、多くの方に見てもらうことができました。 ●6月4日定例理事会 平成26年度決算案、公益目的支出計画実施報告案、 理事・評議員辞任に伴う候補者の選任について審議、 決定 ●6月23日定時評議員会 平成26年度決算案、公益目的支出計画実施報告案、 理事・評議員辞任に伴う候補者の選任について審議、 決定 ●6月24日 内閣府へ公益目的支出計画実施報告書を提出 ●6月24日 法務局へ役員変更登記申請、登記完了 第13回移住ミュージアム企画展 5月23日∼7月26日の2カ月間にわたって開催 テーマは、笠戸丸移民はこうして始まった (日ブラジル外交 関係樹立120周年記念事業 認定番号24) アメリカ・コーネル大学の学生を インターンシップで受け入れ 当協会評議員で京都精華大学の呉教授の依頼で、アイオ ワ州にあるコーネル大学の学生Miss Vivianaを当協会事務 所で2か月間にわたって受け入れました。 日本に到着して、 すぐに5月17日の神戸まつりのパレードに 参加してくれたり、企画展会場の管理や見学者への対応な ど、 どんな仕事も進んでこなしてくれました。 本来の目的である、移住経験者体験の聞き取りは、10人 を超える人たちの協力で実現しました。彼女は、7月16日にア メリカへ 帰 国し ましたが 、今 回 の 経 験が 彼 女 の大学生活や 人 生 経 験に役 立ってくれること を願ってやみま せん。 パネル枚数30枚 リオ山元毅総領事が日伯協会を訪問 6月3日㈬在リオデジャネイロ総領事館の山元毅総領事と 桑野倫奈副領事が当協会を訪問され、三野理事長以下関 係者でお迎えしました。懇談の席上山元総領事から 「リオデ ジャネイロ州概観」をいただき、W杯ブラジル大会、オリン ピックと続くリオデジャネイロの近況を聞かせていただきまし た。 その後、お2人は移住ミュージアムと日ブラジル外交関係 樹立120周年を記念しての企画展を見学されました。 日本国及伯刺西爾合衆国間修好通商航海条約批准書 提供:外務省外交史料館 6 No.968 内容は、世界の移民史に触れ、鎖国が終わった日本の 海外移住を取り上げ、日本ブラジル修好通商条約が実現 したことの歴史を取り上げました。 (入場実績1410人) Notícias 今後のスケジュール 神戸市広報紙KOBEの7月号で 「神戸とブラジル」の特集記事 かねてからの念願であった神 戸市広報紙KOBEでの「海外移 住と文化の交流センター・移住 ミュージアム」の紹介が実現しま した。発行されて、多くの市民か ら、場所はどこか、中南米音楽会 への申し込みをしたいなど、問い 合わせをいただきました。 1928年3月に「国立移民収容 所」として誕生して以来、ブラジ ルへの移住者19万人を送り出し た施設、今「海外移住と文化の交流センター・移住ミュー ジアム」として整備保存されています。この施設の存在を、 より多くの人に知ってもらうこと、そして、移住した先人た ちが築いたブラジルにおける日系人社会が、どのように機 能しているかを伝えていきたいと思っています。 ポルトガル語講座 2015年度第1回の講座を5月23日㈯から6週間にわ たって開講し、6月27日㈯閉講しました。受講者は、 会話コースが14名、文法講読コースが7名でした。 2月からの継続受講者が多く、皆さんの熱心さに先生 も圧倒されていました。 第20回中南米音楽会開催 7月12日㈰80数名の参加者を得て、盛大に開催しました。 神戸市広報紙KOBEで紹介いただいたことが大きな効果 となり、申し込みが殺到しました。これまでにない多くの参加 者を得て演奏グループの皆さんも大喜び、熱のこもった演 奏会となりました。 ブラジル・パラナ州への 県民交流団に参加 兵庫県とパラナ州が友好都市提携して今年で45周年、5 年毎の周年行事の都度、訪問団が訪伯しています。今年も 兵庫県国際交流協会と当協会が合同で募集する県民交流 団に、当協会会員が多数参加します。…詳細3ページを参照 ください。 ポルトガル語講座 本年度第2回のポルトガル語講座は、10月3日㈯から 6週間のスケジュールで開講します。 募集要項は、8月下旬に当協会ホームページでご案内 します。 秋季企画展 ―北パラナ入植100年記念― 日本人なくしてブラジル・北パラナの開拓はなかった(仮称) で準備を進めています。 会期は、10月24日㈯から12月23日㈬の2か月間です。 ご期待ください。 第21回中南米音楽会 10月25日㈰14時開演 SMK/Brasil66とBicho Papão による演奏です。 詳細は、一般の方には、当協会ホームページで、9月中 旬にご案内します。 SMK/Brasil66は、サンバ、ジャズが融合したボサノバ を!!「マシュ・ケ・ナダ」をはじめ、セルジオ・メンデスの名 曲を!! Bicho Papãoは、関西各地の音楽イベントやライブハウ スで活動している、ボーカルとギターのボサノバ・デュオ・ ユニット。サポートメンバーを加えて、ボサノバのスタン ダードナンバーを!! 創立90周年記念事業 実行委員会立ち上げ 1926年創立の当協会は、来年90周年を迎えます。祝賀 会を開催するための実行委員会を立ち上げます。会員皆さ んのアイデアを事務局へお寄せください。 7 No.968 移住ミュージアムだより コーヒーは霜が大敵 コーヒーの実を収穫 当協会では何とかコーヒー木を育てたいと思い、移住 ミュージアム屋内の霜を避けられる日当たりの良い場所を確 保し育ててきました。 コーヒーの木はサンパウロ州とパラナ州が一大生産地でした が霜害発生で全滅、 中部地区のセラード (熱帯・乾性)へ移って いきました。 この歴史が示す通りコーヒーには霜が大敵です。 1月下旬に入り、 ある朝うっすらと色づき始め、 更に1か月後 の2月下旬に収穫す ることができました。 収 穫した実( 食 べ られました) は、 皮をむ き、種を取り出し、2∼3 日少量の水に浸して ぬめりを取りました。 そ の後、乾 燥させて出 来上がりです。 2011年にコーヒーの苗木を頂いて 私たちが、 コーヒー栽培を始めた きっかけは、4年前にUCCコーヒー博 物館で、 コーヒーの苗木をいただい たのが始まりです。その後、会員の 鈴木信幸さんより、 自宅で栽培して いたコーヒーの木の受け入れ要請 があり、 この2本を大切に育ててきま した。 UCCコーヒー博物館の苗木は、 10㎝程度の小さな木で、 こんなものが育つのかと半信半疑 でしたが、少し大きな鉢に植え替え、水と肥料を欠かさず根 気よく世話したことで、 大きく育ってくれました。 大事なポイントは、鉢に水の受け皿を置き、受け皿の水が なくなって葉が下を向くまで水遣りを我慢することでした。水 をやりすぎないための見極めだったと思います。肥料は、最 初のうちは2週間から3週間に1回少しずつ与えました。 花を咲かせたコーヒー 果実を付ける木は、 「もも、 くり3年柿8年」 といわれるように 芽を出して一定の年数を経ないと花も実もなりません。 コー ヒーの木は、 4年目から花を咲かせ、 実を付けます。 鈴木さんの木も、昨年初めて花を咲かせました。開花時期は、 5月末で、一斉に開花した可憐な花は3日しか持ちませんでした。 花が終わって1、2か月後には実が付くものと思っていまし たが、 いつまでたっても何も起きず、今回は失敗だったかとあ きらめかけていたところ、半年後の12月のある日、突然枝の 節々の小さな茎状のものが膨らみ始めました。 これがコー ヒー豆かと、 みんなで喜び合いました。 ところが、 1カ月たっても 豆は青いままで、 何時になったら赤く熟すのかと大いに気をも んだものでした。 大 量にあれば 焙 煎機を使うことがで きますが、僅か(150 粒) でしたから、手動 式の小さな焙煎器で 10分間程度火にか け焙煎しました。 ガス コンロの火から10㎝ 程度離して焦げない よう、 ゆっくりと焙煎するのが、 コツでした。 出来上がったコーヒーは、 香りは十分あり、 さわやかな味 を体験することができました。 今、3本目の木を育成中で すが、 これらの木から多くの コーヒーを収穫することを楽し みに、 これからも頑張っていき たいと思っています。 会員の皆 様におかれまし ては、移 住ミュージアムの見 学がてら、 コーヒーの木の生 長過程を覗いていただければ 幸いです。 (指導:UCCコーヒー博物館) 8 No.968 マチュピチュ村長のお孫さん来館 4月9日㈭、 日系ペルー人の野内セサル良郎さんが当移住ミュージアム を見学された。案内する中で、祖父の野内与吉(福島県安達郡大玉村 出身) がペルー・マチュピチュ村の初代村長であったと告げられた。 MBSで放映される 「世界ふしぎ発見」で4月18日放送の「開拓の灯を ともせ マチュピチュに村を創った日本人」で紹介された野内与吉さんは、 良郎さんの祖父です。与吉さんは1917年にペルーに渡り、 アメリカ、 ブラ ジルなどを経て1923年再びペルーに戻られました。米人のハイラム・ビン ガムがマチュピチュ遺跡を発見した12年後のことです。数家族しか住ん でいなかったマチュピチュに住み、湧水を引いて水道とし、小さな手作り ダムを利用してタービンを回す水力発電を造って村に初めて電気をもた らしました。 また、温泉を発見するほか、1935年には村に初めての木造3 階建ての「ホテル・ノウチ」 を建築し、 1階を郵便局や交番として無料開放 しました。 一方の良郎さんはクスコの出身で、 16歳で来日し働きながら高校・大学 を卒業し、現在名古屋市の南山大学で与吉さんやペルー日系人移民に ついて研究されており、 日本マチュピチュ協会(名古屋市中村区中村本 町3-21) の副会長としても各地で講演されております。良郎さんは多くの 日本人がマチュピチュに関心を寄せてくれることを願っておられます。 日伯協会との今回のご縁が、 ペルーの情報を多くの人に伝えていただ く機会となれば幸いです。 ブラジルから夫婦して里帰り 4月23日㈭パラー州にお住いの本多さんご夫婦が移住ミュージアムに来られた。 ご主人は 9歳の時の1959年2月にアメリカ丸で、 奥さんは1966年7月のサクラ丸で13歳の時渡伯、 共に トメアスに入植された。 (奥さんは4歳でドミニカに移住され、 帰国後に渡伯されている。) ご夫婦は館内を見学され、神戸で生活した当時を思い出し感激されていた。出発時の 集合写真を差上げると、 家族の姿を見つけ懐かしそうに見入られていた。 ご夫婦はリタイアーしてベレンの近郊に住まわれている。旅先として欧州か、 日本かと考え たが、 やはり安心して楽しめる日本にしたとのこと。 それぞれの郷里を訪れ、 更に各地を回られているが、 4月の天候が悪く、 富士山が雲に隠 れていたことを残念がっておられた。 ご主人は渡伯時に交流センター入口の柱の前で撮った写真を大事にされており、今回 はご夫婦での記念の写真となった。長年異国で苦労されたでしょうが、 ご主人の仕草には 奥様への感謝と思いやりが感じられた。 本多幾夫さん (大分県出身) 本多美子さん (鹿児島県出身) 9 No.968 ブラジル移住者を支えた宗教家 ブラジル仏教の祖・茨木 日水 (本名:茨木友次郞・僧名:現樹 後に日水) 笠戸丸の水野龍は本門佛立宗(法華宗) の信徒であった。 過酷な移民生活に仏の教え、 信仰の力は欠かせないと考え、 浅草清雄寺の御牧日教に「是非ともお弟子をブラジルに移 民させ、 南米に仏教を伝えてもらいたい」 と要請した。 日教は、 海外布教の絶好の機会と考え希望者を募りましたが、過酷 な生活は明らかで、誰も手を上げませんでした。 日教は22歳 の青年僧に「現樹行かんか」 と言ったところ 「私が行きましょ う」 と応じた。 日水は熱心な本門佛立講の信徒の子として1886年京都 に生まれた。1905年僧名現樹として大津の寺に入門したが、 飛び出して清雄寺にたどり着く。 この不義理の青年僧を御牧 住職は寛大な心で受け入れ ていたが、 これに対する報恩 の思いが「私が行きましょう」 と言わしめた。 移民契約では僧侶の職で は行けず、弟信太郎と、清雄 寺の安村千代女を妻として 構成家族を整えた。笠戸丸 乗船名簿にある東京都3名 である。 ブラジルへ仏教伝来 信者も増えて行った。 この時期に上塚周平も信徒となってい る。 しかしこのままでは仏教伝道という初志は遂げられないと 考え、 1926年支援要請の為に帰国するが、 国も仏教界もキリ スト教大国での支援に応じなかった。 2年過ぎて弟が急逝し、妻の千代に日本へ戻るように手紙 を出しましたが、先輩の梶本日颯に「骨を埋める誓いを忘れ たか」 と励まされ再びブラジルへ。そこで千代女の帰国を 知った。 失意の中での再出発 1929年日水は43歳、移民生活22年を経て総てを失い、振 出しに戻って仏教伝道に邁進する。菩薩行に精進する日水 の声に引かれるように布教の輪は次第に広がり、 1936年には ユニオン植民地に親会場(後の大宣寺) が建立された。1971 年日水は死に際し紙切れに「お世話になりました」 と書き残し 人生の幕を閉じたが、笠戸丸で渡ってきた僧侶の苦労は報 われ7つの寺院を持つほどに広まった。 日水の遺志を継いで ブラジル本門佛立宗は現在、11の寺院があり、 日系人から ブラジル人へと輪を広げている。教区長は第15世コレイア経 伯・日友(ブラジル人)。7月にはサンパウロ市郊外の61万7千 坪という広大なブラジル佛立聖地に法塔を建立予定。 「1908年6月18日」笠戸丸は52日の航海を終えてサントス港 へ着岸、 この日がブラジル仏教伝来の日である。 下船名簿の「茨木友次郎」の職業欄には「僧侶」 と明記さ れている。 そこにブラジルでの仏教伝道に懸ける日水の覚悟 を窺い知れる。 ブラジルでは農業移民として耕作地に配置された。配耕 先は最も過酷と言われたドゥモント耕地。朝は5時の鐘で起床、 夕方は6時まで働き続け、 生き延びることがやっとで仏教の伝 道どころではありませんでした。 その後植民地を転々として通訳等の仕事で生計を立てる ようになり、 移住者の相談を受けお題目を唱えることで次第に Coffee break コーヒーブレイク ファヴェーラの名はどこから ファヴェーラはブラジル北東部のステップ気候の地方に生息する植物の名前で、学 名を 「Cnidoscolus Phyllancatus」 と言います。緑の葉を付け無数の大きな棘を持つ 植物です。 北東部の干ばつ地で貧困の中に暮らす人々 (sertanejo) はバイーヤ州北部にカヌー ドスという街を建設し、周辺の丘にはファヴェーラが生えていた。1895年のカヌードスの 反乱が起き、 ブラジル政府は軍隊を派遣し史上最悪と言われる虐殺で鎮圧し た。 リオに戻ると軍からの給料は停止し、生活に困った兵隊は周辺のプロヴィ デンシアの丘に自ら集めた材木で簡易な住居を作った。カヌードスを知ってい 10 No.968 る兵隊たちが、 その劣悪な環境を皮肉って「ファヴェーラ」 と名付ける。やがて 元兵士に代わって、解放された黒人がファヴェーラに流入しスラムへとなった。 「ポル語る.COMより」 Tópicos (Brasil) トピックス ラヴァ・ジャット作戦によるリオ五輪への深刻な影響 ペトロブラス汚職でブラジル大手の建設会社オデブレヒト社・アンドラーデ社の役員が12人逮捕 された。昨年の大統領選の選挙資金の75%が建設会社からの献金であり、密接な繋がりが噂されて きた。建設会社等の民間資金が利用されているオリンピック公園は、サッカー場165個分の広さで9 施設 (16競技に使用) を建設中。主力2社の汚職問題で、遅れている建設現場にさらに遅延が出な いか憂慮されている。 (ラヴァ・ジャットは洗浄機の意味) 6月18日フォーリャ・デ・サンパウロ紙が 日ブラジル外交関係樹立120周年特集別冊 「Union Estiavel (婚姻関係) 」10頁を刊行 表紙には1世から5世までの末広がりの絵柄が描かれ、 日伯関係という “結婚”から多くの子孫が 生まれ繁栄している様子を示している。 ブラジル経済 政権の弱体化が一層進む SMBC日興証券 武田泰典 ルセフ政権の支持率は景気の悪化や国営石油会社ペトロブラ スなどを巡る汚職問題を背景に低下が続いている。ルセフ大統領 は政権2期目に従来の拡張的な財政政策を見直す方針を示し、昨 年12月以降、電力会社や国営銀行への補助金削減、燃料税引き 上げ、社会保障費抑制などの財政再建策を相次いで打ち出した。 しかし、増税や補助金削減に伴う公共料金等の引き上げにより、6 月の拡大消費者物価指数は前年比+8.9%と6ヵ月連続で加速。景 気も歳出削減や増税等の影響で、1-3月の実質GDPが前期比▲ 0.2%と3四半期ぶりのマイナス成長となった。 汚職問題を巡っては、連邦検察が7月17日にルラ前大統領の捜 査を開始したと発表。ルセフ大統領はルラ前大統領から後継指名 を受けて当選した経緯から、両者の関係は非常に密接であり、前大 統領が逮捕された場合は政権にとって大きな打撃となる。加えて、 ルセフ大統領自身にも疑惑が浮上している。ペトロブラスからの不 正受注の疑いで逮捕された大手建設会社社長が6月25日、昨年の 選挙キャンペーンで大統領側の陣営に違法な献金をしたと発言。 野党側はこの件に関して大統領を捜査するよう検察庁に要請して おり、決定的な証拠が出た場合は大統領の弾劾手続きに入るとし ている。財政収支の「粉飾」疑惑も政権に影を落としている。政府 が国営銀行への補助金支払いを遅らせることによって昨年の財政 収支をかさ上げしていた問題について、連邦会計検査院は財政責 任法に違反するかどうかの最終的な判断を8月に下す予定である。 野党側はこの件についても、違法と判断された場合には大統領の 弾劾手続きに入るとしている。弾劾には上下両院3分の2以上の賛 成が必要であり、現状では与党が上下両院で約6割の議席を占め ていることから、野党単独での弾劾議決は難しい。ただ、与党内で も財政再建や汚職問題を巡って対立が深刻化しており、与党から 多数の造反が出た場合には弾劾の可能性もあるとみられる。 70 (%) ルセフ大統領の支持率 不支持 60 どちらでもない 50 40 30 20 10 0 13年3月 支持 13年9月 14年3月 14年9月 15年3月 (出所:調査会社ダッタフォーリャよりSMBC日興証券作成) 11 No.968 ブラジル食文化交流教室に参加して 兵庫県国際交流協会が兵庫県・パラナ州友好提携45周年の節目に開催した食文化交流教室に参加しま した。 (6月25日 神戸倶楽部で) 参加者は60名を超え、CBK代表松原さんによるブラジル食の紹介があり続いて食事会。タボーリサラダ、 フェジョアーダ、ムケッカ、パステルが出され皆さん美味しそうに食べられ、神戸倶楽部のシェフも各テー ブルを周り皆さんに料理の説明をしていた。デザートは焼きプリン・コーヒーで仕上げ。同じテーブルに座 られた女性の方々も、大きな皿に盛られたブラジル食を堪能されていた。 LIVROS ブラジル、住んでみたらこんなところでした! ようこそ!おいしい食と可愛い雑貨の国へ 岡山裕子著/清流出版社/1,500円+税 TBS系列の女子アナとして活躍、夫の海外赴任に伴いブラジルへ。サンパウロに住む日本人主婦とし て見たことや経験したことをベースに、住んでみないとわからないブラジルの姿や、現地で直ぐに使える実 用的な情報が書かれている。 ●ブラジルは各国の移住者が自分たちの故郷の味を持ち込み守り続けている。イタリアン、 フレンチ、ス ペイン、アラブ、和食、巻きずしを揚げた 「hot roll」。ブラジル料理はシュラスコ、ムケッカ、 ランチには重 さで量り売りのポルキロが便利。 ●世界的に注目されているブラジルファッション、素敵な雑貨屋も紹介されている。女性にお勧めのカ フェ・レストランも。フェジョアーダ、ムケッカのレシピも案内されている。 セキュリティが厳しいマンション事情・出産体験・愛想が良くて人懐っこいブラジル人との日常生活。サッカー観戦の案内もあり観光ガイド 本と一寸違った内容で書かれていて面白い。掲載された写真もカラフルで夢がある。 Nota do Editor 編 集 後 記 青空の下での神戸まつりのパレードは素晴らしく、どの写真を選ぶか非常に苦労しました。ポルトガル語の初級会話講座を受講しましたが皆さんの 熱意に圧倒されました。この講座より3名がブラジルへ行かれる予定です。県民交流団の結団式では皆さん未知の国に期待を膨らませておられました。 秋季号ではブラジル現地報告を満載いたします。一方でインフレと高失業率で治安の悪化が心配される。リオのオニラ枢機卿は昨年9月の災難に続い て7月2度目の強盗被害に遭われた。移住ミュージアムで育てた貴重な珈琲を賞味しましたが、今迄で最高の味でした。 編集】編集委員会:池田光昭、鹿子嶋栄三、加茂周治、竹内康雄、辻信一、南部真知子、西田裕、三井敏明(50音順)