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Page 1 2016.4 VOL-26 N . 2 医療経営情報 ぶれいくたいむ 須 平成28

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Page 1 2016.4 VOL-26 N . 2 医療経営情報 ぶれいくたいむ 須 平成28
勒
湯
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一●
医療経営情報
平成28年 度診痣報蜃改定惰轍②
彗 鬱 暉 O會
検査 トピックス
個別億医療 の現状 と展望
ラボ ニュース
0●
■P豊
00 0 0FS
母子感染症シリープ①
トキゾプラズマ症 00蓼 ・ 彗豪ン7
ぶれいくた い輸
―ソィドツプ… 難・ ゆ・ 。鬱P9
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機生鞠綴介
爺中璽h鶴 ム・・ 0疇 書。・ 。Pll
測定方法鰯介
多項 目自動 量彗分析畿置 り會機P13
吻絣鉤翁捩学爾又曰
理′
念
「信頼 と満足.の できる臨床検査を提供 し地域社会 に1貢 献するJ
スローガン
―
の要 望 に、
私たちは│お 客様 ―
迅速 にお応 えします
専 F5‐ 知識でお応え します
1全 社 をあ―
げて│お 応 えします
心のこ―
もったお応えをします
満足 されるサービスをします
表 紙 :姫 路城と桜
撮影者 =増池‐昇
●
平成時 虜謝隷瑚嚇碇精報 ②
社 会 医療 法人 愛 仁 会
本 部 企 画 部 松 田孝 緒
I.平 成 28年 度 診療 報酬 改定 の基本的考え方
平成 28年 度 診 療 報 酬 改 定 で は、 引 き続 き 2025年 (平 成 37年 )に 向 けて地 域包 括 ケ ア シ
ス テ ム の構 築 と効 果 的 ・ 効 率 的 で 質 の 高 い 医療 提 供 体制 の 充 実 を図 る こ とが 目的 と され
ま した 。病 床 の機 能 分化 ・ 強 化 、連携 を進 展 させ さ らに推 進 を図 る と ともに 、制 度 の持
続 可能性 を高 め る こ とを 目的 と して 、以 下 の 4つ の 基本 的視 点 が示 され た 。
W
改定の基 本 的視 点
視点 1
レ 連携 」や「 かか りつ け医機能」等 の充実を図 りつつ 、
「病 床 の機能分 イ
「イノベーション」、「アウトカム」等を重視 。
⇒ 地域 で暮 らす 国民を中心 とした、質 が高 く効率 的な医療を実現 .
「病床 の機能分化・連携」を含む医療機関 の
「地域包括ケアシステム」の推進 と、
分 化・強 化・連 携 を一 層 進 め ること
〇「病床の機能分化・連携」の促進
「勤務環境の改善」
〇 他職種の活用による「チーム医療の評価」、
・
「
〇 質の高い 在宅医療 訪間看護」の確保 等
視点2
安全な医療を実現すること
「かか りつ け医等」のさらなる推進など、患者にとつて安心 口
〇かか りつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤 Ern.薬 局の評価 等
V
視 点3
重 点 的 な 対 応 が 求 め られ る医 療 分 野 を充 実 す る こと
〇 緩和ケアを含む質 の高いがん医療の評価
○ 認知症患者へ の適切な医療の評価
〇 イノベーションや 医療技術の評価 等
視点4
効率化・適正化を通 じて制度の持続可能性を高めること
01麦 発 医 療 品の 価 格 算 定 ル ー ル の 見 直し
〇 大 型 門 前 薬 局 の 評 価 の 適 正 イヒ
〇 費 用 対 効 果 評 価 (ア ウ トカム 評 価)の 試 行 導 入 等
Ⅱ.認 知 症 医療 と小 児 医療
今 回 の 診 療 報 酬 改 定 で は 、 医療 機 能 分 化 。強 化 、 連 携 の 視 点 を踏 襲 した うえ で 、 各 論
の 部 分 に認 知 症 対 策 、 小 児 医療 対 策 が加 え られ た こ とが 特 徴 に 挙 げ られ る 。 病 院 に 関 わ
る診 療 報 酬 改 定 に お い て も、 総 合 入 院 体 制 加 算 の 算 定 要 件 に認 知 症 ・ 精 神 疾 患 患 者 等 の
受 け入 れ 体 制 に 関す る要 件 が 新 た に追 加 され た 。 診 療 所 に 関 わ る部 分 で は 、認 知 症 患 者
に対 す る主 治 医機 能 及 び 小 児 か か りつ け 医 の 評 価 が 新 設 され た 。 具 体 的 に は 、認 知 症 患
者 に対 す る 主 治 医機 能 と して 、認 知 症 地 域 包 括 診 療 料 と認 知 症 地 域 包 括 診 療 加 算 が 新 設
され 、認 知 症 患 者 に対 す る継 続 的 か つ 全 人 的 な 医療 を実施 す る主 治 医機 能 が 評 価 され た。
小 児 か か りつ け 医 で は 、 乳 幼 児 期 か ら学 童 期 ま で 、 継 続 性 の あ る小 児 科 外 来 診 療 を評 価
す る と と も に 、 重 症 小 児 等 の 診 療 に 積 極 的 に 取 り組 ん で い る入 院 ・ 在 宅 医 療 が 評 価 され
た。
-1-
Ⅱ-1.認 知 症 に対 す る主 治 医機 能 の 評 価
複 数 疾 患 を有す る認 知 症 患者 に対 して 、継続 的 か つ 全 人 的 な医療等 を実竜す る場合 に、
主 治 医機 能 と しての評価 を行 う。
(新 )
設基準 ]
[施
[算 定要件 ]
地域包括診療料 の届出を行 つていること。
下記のすべ てを満たす認知症患者
(1)認 知症 以外 に 1以 上の疾 表を有する。
(2)以 下の いずれ の 投薬も受壼玉聖蜂主宝
① l処 方につき1垂藝磁甕返る血殿菫
② l処 方につき3種 類を紹え為向繕繰薬
(3)そ の他の地域包括診療料の算定要件を満たす。
X対 象とする疾病の重複がなけれ ば、地の保険医療機関 において地域 包llI診療料を算定可
(新 )轟 霊 虚 醜 轍 割 機 翁 證 唾 簑 童 漁 塵 転 鎧 襲 量 量 2鋤 薩 箋
[施
[算 定要件 ]
下記の全てを満たす認知症 患者
を有する。
(1)認 知症量
の投薬も
下のいずれ
(2)以
① l処 方につき
② l処 方につき3種 籍存紹元る向繕締糞
設基準 ]
地域包 括診療料 の 届出を行 つていること。
(3)そ の他の地域包括診療料の算定要件を満たす。
※ 対象とする疾病の重複がなけれ ば、他の保険医療機関 において地域包括診療料 を算定可
認 知 症 地 域 包 括 診 療 料 と認 知 症 地域 包 括 診 療 加 算
診療 内容
対象疾患
翁
認 知 症地 域包播 診無 料
1,515点 (1月 につきXl〕
内 服薬
内見
艮薬
睡
以下
うち向精 神薬
華
以下
認知症 +1疾 患以上
主な施設基準
○診療所又は2∞廉未満の病院
○研修の受講
0病 院の 場合以下の 全て (X2)
蠅 域包i舌 ケア病錬の届 出
・在宅療養支援病Fi あ ること
地 域 包 括 診 療料
1,503点 (1月 につきXl)
下 記 のうち2疾 患以上
・高 血圧症
・脂 貢異常症
"糖 尿病
・認知症
担 当医を決 め、
・療養上の指導
・他 の医療 機関での
多状況等 の把 握
受言
・服薬管理
・
漑
認知 症 地域 包括鰺療
加算
30点 (再 診料 に加算)
地 域 包 括 診 療加 算
20点 (再 診料 にカロ
算)
認知症 +1寮 患 以上
麟
0診 療所の 場合以下の全て
なし)
(喜響キ
'時 間外対応加算 1の 届 出
備 艶医師が 2人 以上 (X3)
・在宅痣養支援診療所であること
壼
・介菱保険簾
対応
薦[饒
・在宅碧ヨJDi是 僕
鑓 戴 椰
・24時 間の対応
等を実施
下記 のうち嫉 患以上
血圧症
=高
・
脂貢異常症
・糖尿病
・認知症
うち向精 神薬
罐 蒙以下
鮮
…2-
なし)
○診痣所
0研 修の 受講
○以下のいずれか 一つ
・時間外対応力]算 1又 は2の 届出
・常動医師 2人 以上 (X3)
・在宅療養支援診療所であること
Ⅱ -2.小 児 か か りつ け 医 の 評 価
小 児 科 の か か りつ け 医機 能 を評 価 す る観 点 か ら、 小 児 外 来 医療 にお い て 、 継 続 的 に受
診 し 、 同意 の あ る患者 に つ い て 、 適 切 な 専 門 医療 機 関 等 と連 携 す る こ とに よ り、 継 続 的
か つ 全 人 的 な 医療 を行 う こ とを評 価 す る。
源
始
肺り 《ξ
製
露
よ
ξ
軋
も
]望
幼児 期
乳児期
新生 児 期
(新 )耀 ヽ児 か か りつ け診 療 料
1健 方 せ ん を交 赫 す る場 合
2鶴
W
'
方 せ ん を責 討 しない 場 合
驀
① ②
対象 は、鮮締 的に春診 [´ ている夫就単 鞭 (3歳 以上の 表者 にふつて│ま _3歳 未満から当該診蒋糾存宣 帝 [´ てい
る手Jの に戻る_)で あって 、当該保険医療機関 の医師をかか りつ け医とす ることについ て同意を得ている患者 。
③ ④ ⑤
[主 な算定要件 ]
原則 として 1人 の 患者 につき1か 所 の保険医療期 間が算定することとし、他の保 険医療 機関 と連 携 の上 、患者
が受診 している保険 医療機関をすべ て把握するとともに、必要 に応 じて専門的な医療を要する際 の紹介等を
行う。
当該診療 科を算 定する患者 からの重簾 事による閣い合わせ に対 [ン て、原則│と L´ て当該 俣陰 戻療機 関にないて
こと。
児の 構診 膠及 r灘 診結果存綱握するとと手]に 、登獲 時階に応 l〕 を助言・指聾存行い_保 護者 かムの健 康相談 に
麻 [〕 ること。
児 の予防li糖 暦券綱握するとと半,に 、予防椿種 の有効伴・安全性に闇する指導 やスケジュール管理事 に閣す
こと。
[施 設基準]
①
小 lF科 夕1央 診 蒋 料 弁 宣 宇 して い る保 険 医 療 機 関 で あ る こと。
② 時間外対応加宣 1又 は2の 届出姜行っている保険医療機関であること。
③ 小児科又は小児外来を専任する常勤の医師が配置されていること。
④
すること。
a在 宅当番医制度等により初期小児救急医療に参加し、休 日または夜間の診療を月1回 以上実施
b.市 町村を実施主体とする乳幼児の健康診査を実施
c.定 期予防接種を実施
d.過 去 1年 間に15歳 未満の超重症児又は準超重症児に対して在宅医療を提供
e.幼 稚園の園医又は保育所の嘱託医に就任
Ⅲ 。多 剤 投 薬 の 患 者 の 減 薬 を伴 う指 導 の 評 価
(制 度 の 持 続 可 能 性 を高 める施 策 )
複 数 の 疾 患 を 有 す る 高 齢 者 に 、 多 種 類 の 服 薬 を要 す る こ とが あ る。 薬 斉1に 起 因 す る 有
害 事 象 の 防 止 を 図 る と と も に 、 服 薬 ア ドヒ ア ラ ン ス を 改 善 す るた め に 、 多 種 類 の 服 薬 を
行 つ て い る患 者 の 処 方 薬 剤 を 総 合 的 に 調 整 す る取 組 を行 い 、 処 方 薬 剤 数 が 減 少 した 場 合
に評 価 す る。
‐
3-
○
ヨ多種類の服薬 (内 服薬)を 行 つている患者 に対 し
て受診時 に薬剤 が減少 した場合を評価
医療機間
自宅
1樫 質IIItti■ ■l猛
=:
【
受診後】
2種 類与t上 減少
■1■ ■ IⅢ ■)
薬局≧連携
Ⅲ‖ 歳111縦
平成 28年 度 診 療 報 酬 改定
後発医薬品の使用推進 と多剤投薬 の適正化
Jヽ=ヽ
医療 の効率化・適 正化を推進するため、後発医薬品の使用促進 に向けた対応を実施する
▼
とともに、不適切な多剤投薬の削除に向けた評価を実施。
O後
発 医薬品に係わ る目標値達成のため、
・院内処旋 獨 診療所における後発医薬品使用体市‖こ関する評価の新設
“病院、葉 局 の後発医 薬 品使 用 齢 Wこ 関する評価の基準尋│き 上 :ず
全てめ医薬品を‐般名で処施 た場合の評価の新設
“
等 を実 施
‐
・
0高
て、薬剤 に起因する有 害事象の 防止や服薬アドヒアランスの
齢者等 におし`
改善 等を図るため、処 か れている薬剤 の評礎菱 行い、減難 た場合の評 価
を実 施 。
7年 (平 成ガ嚇 央 にFillギ 以上
① 節■
60%‐
80%日 標
達成時期独
20%
抒
定
H2亜 2Cl17Dtt」 珪
∫ ポ ∫ ∫
注 〕数 量 シェアとは、「 篠発医整品 のあ:登 覧難 整品』及 び 餞 発医鋼
-4-
う
を分導 とした r後 発医整轟 Jの 数量シェア 乱 ヽ
個 別 化 医 療 の 現 状 と展 望
シ ス メ ック ス 株 式 会 社 LSビ ジ ネ ス ユ ニ ッ ト
ライ フサ イ エ ンス プ ロ ダ ク トエ ンジ ニ ア リ ン グ本 部
市 場 開発 部 濱 村 将 史
が ん 治 療 の 分 野 で は 、 患 者 さん一 人 ひ と りに 最 適 な 医療 を提 供 す る個 別 化 医療 の 実 現 ・ 普 及
が望 まれ て お り、 医薬 品 の 効 果 や 副 作 用 を投 薬 前 に予 演1す る 「コ ンパ ニ オ ン診 断薬 」 へ の 期 待
が 高 ま っ て い ます 。 EGFR遺 伝 子 検 査 を代 表 例 とす る固形 腫 瘍 関連 遺 伝 子検 査 は、平成 25年 には、
⇒
約 96,000件 とな り、 4年 間 で3倍 以 上 とな つ て い ます 。 ま た 、 大 腸 が ん患 者 にお け るRAS遺 伝 子
(KRAS/NRAS遺 伝 子 )変 異 の 測 定 に 関す るガ イ ダ ンス が 昨年 4月 に 改 訂 され るな ど、従 来 の 検 査
で は調 べ られ な か つ た遺 伝 子 変 異 型 の 患 者 さん に対 して も適 切 な 治 療 を選 択 す る こ とが 可 能 と
な り、 よ り精 度 の 高 い 個 別 化 医療 が 実 現 され て きて い ま す 。
・
●
シ ス メ ック ス は 、 コ ン パ ニ オ ン診 断薬 の 研 究 開発 を加 速 す るた め に、 新 た な 開発 お よび 受 託
ア ッセ イ サ ー ビス 拠 点 を神 戸 ・ ポ ー トアイ ラ ン ド内 に 開設 し、 高感 度 Digital PCR法 「BEAMing
法 」 を用 い た 受 託 ア ッセ イ サ ー ビス を 予 定 して い ま す 。 今 回 は 、 そ のBEAMing法 の 原 理 説 明 か
ら、 将 来 に期 待 され る臨床 有 用 性 や 起 こ り うる検 査 の 変 化 に つ い て 紹 介 しま す 。
BEAMing法 は 、 米 国」ohns HOpkins大 学 で 確 立 され た 高感 度 Digital PCR法 で 、 Bead,Emulsio
n,Amplification,and Magneticsの 各 単 語 の 頭 文 字 を並 べ て 命 名 され た も の で す 。
大 き く3つ の STEP ① 血 漿 か ら分 離 され た DNAを 増 幅 す るPre Amplificationo ② 泊 適 中 に磁 気
ビー ズ とDNA一 分 子 が 封 入 され た 油 滴 エ マ ル ジ ョンの 中 で が ん遺 伝 子 を増 幅す るEmulsion PCR.
③ 油 滴 エ マ ル ジ ョン を破 砕 して 放 出 され た磁 気 ビー ズ 上 の が ん 遺 伝 子 変 異 を蛍 光 プ ロー ブ とHy
bridizeさ せ た 後 、 フ ロー サ イ トメ ー タ ー 法 で 解 析 します (図 1)。
図 l BEAMing法 に よ る ctDNA遺 伝 子 変 異 検 査 フ ロー
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Oil EmuisHIer Mixture
対 象 サ ンプル を無 数 の 油 滴 存 在 下 、 1油 滴 当 た り1分 子 に な る よ うに分 配 し、個 別 にPCRを 行
う こ とで リア ル タイ ム PCRを は るか に超 え る高感 度 を実 現 して い ます 。
こ の 手 法 の 特 徴 は従 来 の リアル タイ ム PCR法 で あれ ば 、 野 生 型 数 万 分 子 に 1分 子 しか 変 異 型 DN
Aが 含 ま れ な い 場 合 、相 対 蛍 光 量 と して 読 み 取 る と、 ノイ ズ と見 分 け る事 が で き な か つ た も の
-5-
と比 較 して 、 1分 子 ず つ PCR増 幅 し、 デ ジ タル カ ウ ン トす る事 に よ り、稀 な変 異 型 DNAも 確 実 に
検 出 で き る事 に あ りま す 。 結 果 と して ゝ 0.01%と 通 常 の リア ル タイ ムPCRよ りも約 10-100倍 の
高 感 度 で 標 的 遺 伝 子 の 変 異 を検 出す る こ とが 可 能 とな りま した 。
こ の 高感 度 検 出技 術 BEAMing法 を用 い て 、 血 液 中 に 微 量 に流 れ て い る が ん 由来 の 変 異 型 遺 伝
子 Circulating Tumor DNA(ctDNA)を 検 出す る研 究 が 盛 ん に行 われ て い ま す 。 近 年 、 これ らは
血 液 な どの 液 状 検 体 を用 い る事 か らLiquid Biopsyと 言 われ て い ます 。 Liquid Biopsyが 注 目 さ
れ て い る理 由 と して 、 1)通 常 の 組 織 検 体 と比 較 して 採 取 が容 易 な事 、 2)繰 り返 し採 取 も可 能
な 事 、 が 上 げ られ ま す 。
現 時 点 で 有 効 性 の 高 い 分 子 標 的薬 の 投 薬 の 判 断 基 準 と して 検 査 が 保 険適 応 され て い るが ん の
遺 伝 子 検 査 項 目に は 、 EGFR、 ALK、 RAS、 BRAF等 が あ ります 。 これ らは主 に腫 瘍 組 織 検 体 を検 査
対 象 と して い ま す が 、 例 え ば EGFR遺 伝 子 変 異 検 査 の 対 象 とな る肺 癌 で は 、腫 瘍 の 部 位 に よ り、
組 織 採 取 の 為 の生 検 が 困難 な ケ ー ス が あ り、 EGFR遺 伝 子 変 異 検 査 さ らに は分 子 標 的薬 に よ る治
療 の 機 会 を逸 して い る患者 様 が い ら っ しゃ い ます 。 そ の よ うな 患 者 様 に対 して 、 血 液 を対 象 と
して EGFR遺 伝 子 変 異 検 査 が可能 に なれ ば 、患者 様 に と つて の メ リッ トは大 き い と考 え られ ます。
ま た 、 分 子 標 的 薬 に よ る治 療 を受 けた 患 者 様 で 、 分 子 標 的治 療 薬 に対 して 遺 伝 子 変 異 に よ る
獲 得 耐 性 の 問題 が 報 告 され て い ま す 。 耐 性 見 極 め の 為 の 繰 り返 し生 検 お よび 遺 伝 子 検 査 が 望 ま
れ ま す が 、侵 襲 性 の 高 い 生 検 を繰 り返 し行 う事 は容 易 で は あ りませ ん 。 そ の 際 に血 液 を対 象 多
して BEAMing法 で 遺 伝 子 変 異 を モ ニ タ リ ン グ す る事 が で きれ ば 、 よ り容 易 に 検 査 を実 施 で き る
可 能 性 が あ ります 。 (図 2)。
BEAMing法 は 、 測 定 の 煩 雑 さや 所 要 時 間 の 長 さに よ り、 ラ ボ ア ッセ イ か ら の サ ー ビス とな り
ま す が 、 将 来 は 、 簡 略 化 、 自動 化 を実 現 し、 病 院 や 検 査 セ ン タ ー で も使 用 で き る事 を 目的 と し
て い き ます 。 今 後 も シ ス メ ック ス は 、 が ん 治 療 に お け る新 た な検 査 技 術 の 創 出 に取 り組 み 、 患
者 さん 一 人 ひ と りに最 適 な 医療 を提 供 す る個 別 化 医療 の 発 展 に貢 献 して い き た い と思 い ま す 。
図 2 BEAMing技 術 に期 待 され る臨床 的意 義
がん診療 の各ステップ
抗 がん剤治療
外科手術
ン
て
③ 再発予測
壁響撃!子 fぶ欅守還蟹 携貪嘩員__│
黎
正常細胞 T・ がん細胞
θ 治療抵抗性遺伝子変異がん細胞
BEAMing技 術 でctDNAを 測 定す る事 に よ り、 コ ンパ ニ オ ン診 断薬 は現状使 用 され て い る
① 抗 がん剤選 択 用 途 だ けで な く、②抗 がん斉J投 与後 の獲得耐性 のモ ニ タ リング や
③ 再発 予測 ④ 手術 前段 階 で のス ク リー ニ ン グ な どへ の応 用 も期待 され て い ます 。
*参 考資 料
1)「 第 7回 遺伝 子 。染 色 体検 査 ア ンケ ー ト調 査 報告 書」
平成 26年 3月
日本衛 生 検 査所 協会
…6-
遺伝 子検 査 受託 倫理審 査委員 会
母子感染シリーズ① トキソプラズマ症
【母 子 感 染 】
Nahmiasら は 1971年 に、 トキ ソプ ラ ズマ (Toxoplasma)、 風 疹 (Rubella)、 サ イ トメガ ロ ウ
イ ル ス (CMV)、 新 生 児 ヘ ル ペ ス (Herpes simplex virus:単 純 ヘ ル ペ ス )の 4種 類 の 病 原 体 が
母 子 感 染 症 を疑 う亭L児 の 3分 の 1の 原 因 を 占 め る こ と を報 告 し、 各 頭 文 字 か ら 「ToRCH」 と呼 称
す る よ うに な っ た 。 今 日、 TORCHは “0"を Othersと して 独 立 させ 、 HIV(ヒ ト免 疫 不 全 ウイ ル
ス )、 HTLV(ヒ トT細 胞 自血 病 ウイ ル ス )、 B型 肝 炎 ウイ ル ス 、 C型 肝 炎 ウイ ル ス 、 水 痘 帯 状 疱
疹 ウイ ル ス 、 B群 レン サ 球 菌 、梅 毒 な どを含 めた 母 子 感 染 症 とな つ て い る。
現 在 、妊 娠 初 期 に行 う血 液 検 査 項 目で 、 HBs抗 原 、 HCV抗 原 、風 疹 抗 体 、梅 毒 ス ク リー
ニ ン グ 、 HTLV l抗 体 、 HIVス ク リー ニ ン グ が 産 婦 人 科 診 療 ガ イ ドライ ン産 科 編 2014で 推 奨 レベ
ル A(実 施 す る こ と等 が 強 く勧 め られ て い る)と な っ て お り、公 費 補 助 の も と、 全 妊 婦 に感 染
υ 症 の ス ク リー ニ ン グが行 われ て い る。
一 方 、 トキ ソプ ラ ズ マ 抗 体 に つ い て は 、 全 例 に対 す る ス ク リー ニ ン グ を支 持 す る エ ビデ ン ス
は な く、推 奨 レベ ル は C(実 施 す る こ と等 が 考 慮 され る)に 留 ま っ て い る。 胎 児 感 染 診 断 へ の
手 順 や 方 法 が 標 準 化 され て い な い こ とが 、 ス ク リー ニ ン グ実 施 の 妨 げ とな っ て い る。 ま た CM
Vに つ い て は 、 妊 娠 初 期 検 査 の 項 目に も あ が つ て い な い 。 今 回 は母 子 感 染 症 シ リー ズ と して
“トキ ソプ ラ ズ マ 症 "に つ い て お伝 え い た しま す 。
一
υ
【先 天 性 トキ ソプ ラ ズ マ 症 感 染 経 路 】
トキ ソプ ラ ズ マ はネ コ を終 宿 主 とす る人 畜 共 通 感 染 性 の 細 胞 内寄 生 性 原 虫 で あ る。 ヒ トか ら
ヒ トヘ 感 染 す る こ とは な く、 日本 にお け る トキ ソプ ラ ズ マ 抗 体 の 陽性 率 は近 年 、 低 下傾 向 に あ
り、妊 婦 で の 抗 体 陽性 率 は 7.1%と の 報 告 が あ る。 妊 娠 中 の 初 感 染 は先 天 性 トキ ソプ ラ ズ マ 症
の 発 症 に つ な が る。 加 熱 処 理 の 不 十 分 な 肉 (馬 刺 、 牛 刺 、 鳥 刺 、 レバ 刺 、鹿 刺 、 レア ス テ ー キ
な ど)に 生 存 す る シ ス トや 、 土 や ネ コ の 糞 に 存 在 す るオ ー シ ス トが経 目的 に 初 感 染 (小 腸 粘 膜
か ら進 入 )す る こ とに よ つ て妊 婦 に寄 生 虫血 症 が 生 じ、 そ の 後 トキ ソプ ラ ズ マ は血 行 的 に胎 盤
に感 染 ・ 増 殖 し 、胎 児 の脳 な どの実 質 臓 器 に波 及 す る。
母 体 感 染 か ら胎 内感 染 の成 立 まで は数 ヶ月 を 有 す る と され て お り、 ほ とん どの 症 例 にお い て、
母 体 は免 疫 能 正 常 で 無 症 状 で あ るが 、妊 娠 中 の 初 感 染 の 約 30%が 経 胎 盤 感 染 し、 数 %か ら20%
に典 型 的 な先 天 性 トキ ソプ ラ ズ マ 症 状 (顕 性 感 染 :胎 内死 亡 、流 産 、網 脈 絡 膜 炎 、 小 眼球 症 、
水頭 症 、小 頭 症 、脳 内石 灰 化 像 、肝 牌 腫 な ど)を 発 症 す る。 しか し、 出生 時無 症 状 で あ って も、
成 人 に な るま で に網 脈 絡 膜 炎 や神 経 症 状 (て ん か ん 様 発 作 、痙 攣 な ど)等 を呈す る こ とが あ る。
鰤
飲料水
トキ ソプ ラズマ原 虫 の電子顕微鏡 図
-7-
【先 天 性 トキ ソプ ラ ズ マ 症 の 検 査 ・ 診 断 】
トキ ソプ ラ ズ マ 感 染 の ス ク リー ニ ン グ 検 査 と して は 、 トキ ソプ ラ ズ マ 特 異 的 IgGを 測 定 す る
方 法 が 国 際 的 に 一 般 的 で あ る。 IgG抗 体 陰 性 の 場 合 は未 感 染 だ が 、妊 娠 中 の 感 染 を 防御 す る必
要 が あ る (ネ コ の 糞 便 を触 らな い 、 ガ ー デ ニ ン グ を控 え る な ど)。 IgG抗 体 陽性 の 場 合 は トキ
ソプ ラ ズ マ に対 す る IgM抗 体 検 査 を行 う。 妊 娠 11週 日以 降 の 検 査 の 場 合 は 、 IgG抗 体 、 IgM抗 体
の 両 検 査 を 同 時 に行 う。 IgM抗 体 検 査 で 陰 性 の 場 合 は既 往 感 染 で あ るた め 胎 児 へ の 感 染 は な い
が 、 陽性 の 場 合 は、 IgG抗 体 の Avidity lndex;AIを 行 い 、 そ の 結 果 、AI高 値 の 場 合 は既 往 感
染 、低 値 の 場 合 は初 感 染 が 推 定 され る。
妊娠11週 目以降の場合
同時検査
t
,
低値
※ 2016年 4月 1日 受 付 よ リ トキ ソプ ラ ズ マ 受 身 赤 血 球 凝 集 反 応 法 (PHA法 )は 試 薬 製 造 中 止 の た
め 受 託 中 止 とな りま した 。
【トキ ソプ ラ ズ マ か ら胎 児 を守 るた め に・ ・ ・ 】
肉 に含 ま れ た トキ ソプ ラ ズ マ は 67℃ に な るま で加 熱 しな い と死 な な い 。
・ 生 肉や 加 熱 不 十 分 な 肉 を食 べ な い 。 肉 は 中 心 部 の 赤 み が な くな るま で しつ か り火 を通 す。
・ 殺 菌 され て い な い ミル ク を飲 む こ とは避 け る。
・ 包 丁 や ま な板 な どは生 肉用 と野 菜 用 に 分 け て使 用 。 こま め に洗 浄 し清潔 に保 つ 。
感 染 した て の ネ コ が公 園 や 庭 、畑 で 糞 を して い る可 能 性 が あ る。 ま た そ れ らの 上 で 川 や 井 戸
亀
が 汚 染 され て い る可 能 性 が あ る。
・ 土 を い じる 作 業 中 は手 袋 や 眼鏡 、 マ ス ク を装 着 し、作 業 後 は十 分 に手洗 い す る。
・ す べ て の 野 菜 や 果 物 は皮 を しつか り洗 浄 す る。
・ 濾 過 あ る い は蒸 留 処 理 され た 水 道 水 以外 の生 水 を何 も処 置 しな い ま ま飲 ま な い 。
ネ コ、 ネ コ の 糞
。ネ コ用 トイ レの 掃 除 は毎 日し、 で きれ ば 他 の 人 にお願 い す る。
・ 飼 い ネ コ は外 に 出 さな い 。
・ ネ コ に生 肉 を あ げ な い 。
・ 妊 娠 中 に新 た にネ コ を飼 い 始 め な い 。
(参 考資料 )
ベ ックマ ン・ コーー
ル ターQuality LeadersDigest Vol.31
産婦人科診療 ガイ ドライ ン2014
トキ ソプ ラズマ・ トー チ の会 toxo cmv.org/toxo,html
-8-
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プ ー ケ ッ トは 常 夏 の リゾ ー ト。 暖 か く て 澄 ん だ 水 、 白 い 砂 浜 、 青 い 空 。 とて も穏 や か な気 持 ち で い
られ る 場 所 で す 。 広 く は 知 られ て い ま せ ん が 、 実 は サ ー フ ィ ン を で き る波 が い た る と こ ろ に あ り、 波
乗 り天 国 で も あ りま す 。 波 は ほ ど よ く ゆ つ く りな フ ァ ン (中 間 ) ウ ェ イ ブ 。 5月 ∼ 10月 は サ ー フ シ ー
ズ ン (雨 季 )で ビー チ が 混 雑 して い る こ と は め っ た に な い の で 、 友 達 と ビー チ を貸 し切 りな ん て こ と
Dな い 。
も夢 じ ヽ
メ イ ン タ ウ ン の パ ト ン は ビー チ か ら も 近 く 、 サ ー フ ィ ン も街 で もパ ワ フル に遊 べ 、 シ ョ ッ ピ ン グ は
も ち ろ ん 、 ス パ や マ ッサ ー ジ を満 喫 す る こ と も で き ま す 。 そ して 、 賑 や か な街 の 魅 力 よ りもサ ー フ メ
イ ン で 楽 しみ た い とい う人 に は ビー チ フ ロ ン トで い つ で も波 乗 り を満 喫 で き る カ タ ビー チ な ど、 どん
な 旅 を した い か に よ っ て プ ラ ン 変 更 も 可 能 。 欲 張 りな 気 持 ち を満 足 させ て くれ るサ ー フ ァ ー に と つ て
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極 上 の リ ゾ ー トで す 。
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パ トン ビー チ ロの 前 の ビー チ ロー ドに あ る郵 便 局 の そ ば に あ ります 。
青 と 自 の ス トライ プ の 屋 根 が 目 印 の こ の お 店 。 夕 方 に な る と行 列 も で き る
ほ どの 人 気 店。
グ リー ン カ レー や 、春 雨 サ ラ ダ に 、 サ テ に トム ヤ ム ク ン 、 チ ャ ー ハ ン な
どの 人 気 の 定 番 メ ニ ュー は どれ も美 味 し く、価 格 も リー ズ ナ ブ ル 。 化 学 調
味 料 も無 添 加 に こ だ わ り、 素 材 の 美 味 し さ を生 か した 調 理 法 は パ トン ビー
チ に訪 れ た 観 光 客 だ け で は な く、 地 元 民 の ハ ー トも掴 ん で い る よ うです 。
パ トン ビ ー チ に あ る 老 舗 の タ イ 王 官 料 理 が 人 気 の バ ー ン リ ム パ 。 お 店 の
日 の 前 は 海 が 広 が っ て い て 、 パ ト ン ビー チ を 一 望 で き る そ の 景 色 は 最 高
│
ピア ノの生 演 奏 を聴 き な が ら食 事 が 楽 しめ る この レス トラ ン は高 級 感 も
り、デ ー トに うつてつ け の 場所 で す。
メ ニ ュー も豊 富 で 、 日本 人 に も選 び や す い よ う日本 語 の メ ニ ュー も あ り、
「タ イ 官 廷 料 理 」 が 思 う存 分 味 わ え ま す 。 値 段 は少 し張 りま す が 、 パ トン
に行 っ た 際 に は 絶 景 を堪 能 しな が ら ロマ ン テ ィ ッ ク な レス トラ ン で 、 ひ と
あ じ違 つ た タイ を満 喫 して は い か が で し よ うか 。
饒
ン
2011年 12月 初 旬 に オ ー プ ン した ば か り の ス パ 。 場 所 は カ ト ウ 、 パ ト ン ん
10分
タ ウ ン の セ ン トラル デ パ ー トか ら
も 10分 の 便 利 な 場 所 に あ りま す 。 トロ ピ カ ル テ イ ス トが 好 き な 方 に は 、
た ま らな くハ マ る ス パ です 。
らは 車 で
(混 ん で い な けれ ば )。
手 軽 な 2時 間 コ ー ス で タ プ テ ィ ム (ザ ク ロ )の ス ク ラ ブ +リ ラ ワ デ ィ ー
(プ ル メ リア )オ イ ル で の ア ロ マ マ ッサ ー ジ (各 50分 )に 30分 の サ ウ ナ &
ジ ャ グ ジー が付 い て い ます 。
…10-
オ喫 勤 盤 И ttИ 漑 間 ″
メ チ シ リ ン 耐 性 黄 色 ブ ドウ球 菌 (methicillin resistant Staphylococcus aureus:MRSA)
は 医療 関連 感 染 を起 こす 代 表 的 な菌 で あ り、 院 内 で 分 離 され る耐 性 菌 と して 最 も分 離 頻 度 が 高
い 。 各 医療 機 関 に よつ て そ の 頻 度 は異 な り、入 院 患 者 か ら分 離 され て い る黄 色 ブ ドウ球 菌 の50
∼ 70%を MRSAが 占 めて い る と され て きた が 、 近 年 は 院 内感 染 対 策 の 充 実 に よ り減 少 傾 向 に あ る。
」ANIS(厚 生 労働 省 院 内感 染 対 策 サ ー ベ ラ ンス )の 検 査 部 門 の 2011年 報 に よ る と、 MRSAの 分
離 率 (MRSA分 離 患 者 数 /検 体 提 出患者 数 × 100)は 施 設 に よ り異 な るが 、 中央 値 と して 8.8%を
示 し、 耐 性 菌 の 中 で 最 も高 い 害1合 で あ つ た 。 全 入 院 患 者 部 門 サ ー ベ ラ ンス で は 、 全 耐 性 菌 の 新
規 感 染 症 患 者 の うちMRSAは 約 90%を 占 めて い る。
MRSAが 分 離 され た 症 例 の 疾 患 割 合 は 、 VAP(人 工 呼 吸器 関連 肺 炎 )等 を含 む肺 炎 が 40%、 菌
血 症 が 20%、 皮 膚 ・ 軟 部 組 織 感 染 症 が 10%、 手 術 創 感 染 症 が 10%、 尿 路 感 染 症 が 5%と な っ て
い る。 た だ しMRSAが 分 離 され た と して も原 因菌 で あ る とは 限 らな い 。 そ の た め 、 例 え ば呼 吸器
検 体 か ら最 も多 く分 離 され て い るが ヾ それ らの 菌 の 中 で 実 際 に 肺 炎 の 原 因菌 で あ る割 合 は低 い
と考 え られ て い る。
MRSAは 従
associated MRSA(HA■ RSA)
と し て community associated MRSA(CA一 MRSA)が 存 在 し て い る (表 1)。
⊂矢日ら れ て い る hospital
来 か ら院 内感 染 型 と し■
に 市 中感 染 型
【院 内 型 MRSAI(hospital
と 男」
associated MRSA:HA MRSA)
従 来 、 MRSAは 院 内感 染 で 問 題 と な る耐 性 菌 で あ つ た 。 乾 燥 環 境 中 で も長 期 生 存 で き 、 手 指
等 を 介 した 接 触 感 染 で 容 易 に伝 播 す る た め 、 感 染 管 理 上 の 問 題 が 大 き い 。 従 来 の MRSAの 病 原
性 は強 くない と考 え られてお り、院 内の免疫不全患者 に 日和見感染 を起 こす のがMRSA感 染症
の典型像 であつた。
【市 中型 駅 SA】
(collllllunity associated MRSA:CA― MRSA)
CA MRSAは 危 険 因 子 を有 さな い 小 児 や ス ポ ー ツ選 手 な どの健 常 人 に皮 膚 ・ 軟 部 組 織 感 染 症
(skin and sOft tissue infections i SSTI)を
起 こ す 。 ま れ に 壊 死 性 肺 炎 を起 こ し致
命 的 とな る 報 告 も あ り、従 来 のMRSAと 比 べ て病 原 性 は高 い と推 浪1さ れ て い る。
表 1.病 院 感 染 型 と市 中感 染 型 MRSAの 比 較
国 内 の 外 来 患者 か ら分 離 され て い る 黄 色 ブ ドウ球 菌 の うち 、 10∼ 30%を MRSAが 占 め てい る。
外 来 に お け るMRSAは HA一 MRSAと CA一 MRSAが 混 在 してい る と考 え られ るが 、そ の 割 合 は不 明 で あ る。
MRSAの 感 染 拡 大 の 防 止 に は他 の 耐 性 菌 と同 様 、標 準 予 防策 にカロえ て 接 触 予 防策 の 実 施 が重 要 で
あ る。 ま た 入 院 時 な どに保 菌 の 有 無 を積 極 的 に確 認 し、 そ の 後 の 感 染 予 防 に 役 立 て るア クテ ィ
ブ ・ サ ー ベ ラ ンス (active surveillance)も 有 効 と され て い る。
-11-
[感 受 性 ]
MRSA薬 は 、 VCM、 TEIC、 ABK、 LZD、 DAPの 5種 類 で あ る 。 Clinica
l and Laboratory Standarda lnstitute (CLSI) と European Committee on Antimicrobial
Susceptibility Testing(EUCAST)基 準 の 感 受 性 分 類 を (表 2)に 示 し た 。 ABKの 基 準 は な い の
で GMの 基 準 を 代 用 し た 。 CLSIと EUCASTの 感 受 性 (S)基 準 を 比 較 す る と 、 VCM、 LZD、 DAPは 同 一
′
で あ る が 、 TEICは 4倍 の 開 き が あ る 。 CLSIは 中 等 度 耐 性 (I)の 基 準 は あ る が EUCASTに は な い 。
両者 を耐性 (R)基 準 で 比 較 す る とVCMは 8倍 、 TEICは 16倍 の 差 が あ り、 EUCASTの 方 が 厳 しい 基
我 が 国 で 認 可 され て い る抗
準 を設 けて い る。
表
2.各 種 抗 MRSA薬 の Staphylococcus spp
CLSIと EUCASTOD上 七車交
に 対 す る breakpoint
し
[治 療 ]
MRSA皮 膚 疾 患 の 治 療 は切 開排 膿 と化 学 療 法 を基 本 とす る。 米 国 で は 、最 も代 表 的 な皮 下膿 瘍
に対 す る化 学 療 法 と して 、 VCM、 RFPと ST合 斉」あ る い は LZDの 使 用 が提 案 され て い る。 た だ し、
黄 色 ブ ドウ球 菌 性 皮 膚 疾 患 の 場 合 、感 受 性 を示 さな い 薬 斉」で も実 際 に は快 復 して い る例 が 報 告
され て い る 。 これ に 対 して 、壊 死 性 肺 炎 な どは毒 素 (PVLを 想 定 )に よ る疾 患 で あ る と考 え ら
れ て お り、 抗 PVL活 性 を もつ 注 射 用 免 疫 グ ロブ リ ン や 中和 抗 体 の 使 用 が 検 討 され て い る。 我 が
国 に お け るそれ ぞれ の 抗 MRSA薬 の 保 険 上 の 適 応 症 は (表 3)に 示 した 。
表 3.抗 MRSAの 承 認 され て い る適 応 症
[お わ りに ]
市 中感 染 型 MRSA感 染 症 が 世 界 中 に拡 大 しつ つ あ り、 注 目され て い る。 市 中型 MRSAの 特 徴 は、
子 供 を含 む 健 康 な人 が 病 院 で な く市 中 で感 染 す る点 に あ る。 一 般 的 に は、 流 行 性 の 市 中感 染 型
MRSAは PVL遺 伝 子 を も ち 、 SCCmecⅣ 型 を示 し、 一 部 の 皮 膚 疾 患 に 関連 し、 時 に壊 死 性 肺 炎 な ど
の 重 篤 な疾 患 を惹 起 す る と考 え られ て い る。
PVL陰 性 の 市 中型 MRSAの 中 に は 、 ス ー パ ー 抗 原 毒 素 の TSST lと SEC陽 性 株 、 表 皮 剥 離 毒 素 陽
性 株 な どが存 在 す る 。 病 原 性 の 観 点 か らも市 中型 MRSAの 監視 が必 要 で あ る。
引用文 献
1)MRSA感 染症 の 治 療 ガイ ドライ ン
2)厚 生 労働省
院 内感 染対 策 サ ー ベ ラ ンス 検 査部 門公 開情報 (2011年 報 )
3)厚 生 労働省
院 内感 染対 策 サ ー ベ ラ ンス全 入 院部 門公 開情報 (2011年 報 )
http : //www.nih― janis.jp/report/open_report/2011/3/1/ken_Open_Report_201100 pdf
http : //www.nih― janis.jp/repOrt/open_report/2011/3/2/zen_Open_Report_201100 pdf
4)東 邦 医学会雑 誌
第 59巻 第 6号 :318319、 2012
-12-
藪笏彦笏屹卵饉 彦飩夢
仄艤財ゾ魏 呟
"ゑ
杏 和 総 合 医学 研 究 所 で は血 球 計 数 検 査 測 定 において、多 項 目 自
動 血 球 分析 装 置 XE-2100(以 下、 XE-2100)を 二 式採 用 してい る。
今 回 は このXE-2100の 概 要 に つ い て 紹 介 す る。
メトリーとは 、 細 胞 や そ の 他 の 生 物 学 的 な粒 子 の 物 理 的・化 学
サイト
的性 質 を測 定 す る こ とで 、 フロ…サイト
メトリーとは 、 細 い 流 れ の 中 を細
胞 や 粒 子 を通 過 させ て 測 定 を行 な う為 の 方 法 で あ る。 一 般 的 に
゛
は 、 レーサ 光 を細 い 流 れ の 中 を流 れ る細 胞 や 粒 子 に照 射 し、 そ こ
か ら得 られ る 光 学 的 情 報 を 検 知 す る。
光 学 的 情 報 と して は 、散 乱 光 ・ 蛍 光 な どが あ り、 測 定 す る 目
゛
的 に よ り得 られ る情 報 は異 な る。 XE-2100で は 、 半 導 体 レーサ ―を
●
曇 銭 :は X兇 ≧ 駄 蓬 ミ 巣 」 i鷲諾 ふ 響 屏 計 髯 奮
で 、 白血 球 5分 類 、 有 核 赤 血 球 、 網 赤 血 球 、 光 学 式 測 定 血 小 板
の 波1定 を行 な う。
CBC≠ Dノ FF≠ RE丁 チrVRBC
定 目
測項
ロ
′ フ
メト,い法
裁 ト
義 郵 珈 姥 ″ ″
WBC、 RBC、 HGB、 HCT、 MCV、 MCH、
MCHC、 PLT、 NEUT%、 ビYMPH%、
MONO%、 EO%、 BASO%、 NREC%、
NEUW、 LYMPH#.MONO#、 EC囃 、
BASO#、 NRBC#、 RET%、
RET#
RDW CV、 PDW、 MPV、 PCT、
P― LCR`HFR、 MFR、 LFR、 lRF
解析
項目
RDVV― SD、
所要検
体量
CPサ ンプラーモード :約 200μ L
キヤピラリーモード :約 40vL
マニュアルモード
:約 130μ L
測定データ :10,000検 体
患者情報 :5,000検 体
測定情報 :1,000件
精度管理 :16フ ァイル
① 前方散 乱光
粒 子 な どの 障 害 物 が 光 の 進 行 方 向 に 存 在 す る と、 光 は そ の 進 行 方 向 を変 え る。 この 現 象 は 、
光 散 乱 と呼 ばれ て お り、 この 散 乱 光 を 検 出す る こ とに よ つ て 、微 粒 子 の 大 き さや 材 質 に 関す る
情 報 を得 る こ とが で き る。 ま た 、 前 方 散 乱 光 か らは 、 大 き さに 関す る情 報 を得 る こ とが で き 、
゛
血 球 粒 子 に レーサ ―光 が 照射 され た 場 合 も 同様 で 、 血 球 粒 子 に よ る 光 の 散 乱 が 起 こ る。 XE 2100で
は、前 方 散 乱 光 強 度 の粒 子 径 依 存 性 を利 用 して 、 自血 球/好 塩 基 球 の 測 定 、 有 核 赤 血 球 の 測 定、
網 赤 血 球 /光 学 演」定 血 小 板 (PLT O)の 測 定 に応 用 して い る。
② 側 方 散 乱光
側 方 散 乱 光 か らは 、粒 子 内部 の 情 報 を 得 る こ とが で き る。 XE 2100で は この 特 性 を利 用 して
自血 球 /好 塩 基 球 の 測 定 、 自血 球 4分 類 の 濃1定 に応 用 して い る。
e③
響菟置撃で染色 された血球に光 を照射すると、照射 した光 より長波長 の光 を
発 す る。 蛍 光 の 強 度 は 、 よ く染 色 され て い れ ば強 くな り、 この 蛍 光 強 度 を測 定 す る こ とに よ つ
゜
て 、 血 球 の 活 性 化 状 態 が 把 握 で き る 。 XE-2100で は 、 蛍 光 染 料 (ホ リメチン系 色 素 )に よ つ て血 球 を
染 色 し、 白血 球 の 4分 類 、有 核 赤 血 球 、網 赤 血 球 、 血 小 板 の 光 学 測 定 を行 な って い る。
<参 考 >DIFFchス キャッタク゛ラム(X軸 :側 方 散 乱 光 、 Y軸
…13-
:側 方 蛍 光 )
KYOWA
SYNTHETIC
MEDICAL
LABORATORY
合 医学研究所
杏和総‐
〒663‐ 3142
兵庫県西宮市鳴尾浜 2丁 目 1‐
TEL 0798(43)2031
FAX 0798(41)2257
24
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