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第14章 安全監査

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第14章 安全監査
2014 年度安全報告書
第 4 章 輸送の安全を確保するために講じた措置
4-1 国から受けた行政処分または行政指導等
2015 年 1 月 30 日付けで安全管理上の不適切な対応があり、国土交通省航空局より文書による厳重注
意を受けました。
(1) 事態の概要
平成 27 年 1 月 20 日、ボーイング式 737-800 型機の操縦系統の一部不具合を持ち越したまま運
用を継続するために必要な整備作業の実施状況について確認したところ、本来毎日の運航開始前
に実施すべき整備作業(操縦系統の作動点検)の記録のうち、1 月 19 日の記録がないことが判明し
ました。当該機を担当した整備従事者は、1 月 19 日の運航開始までに当該整備作業を実施しなけ
ればならないという認識はあったものの、他の整備作業が輻輳し、出発までに当該整備を実施で
きそうになかったこと及び操縦系統に特段の不具合が見受けられなかったことから、整備を実施
しないまま機体を出発させてしまいました。
(2) 講じた措置
厳重注意を受け、確実な整備作業を実施するため以下の是正対応を行いました。
① 作業指示の方法を変更するとともに、作業内容の組織的な点検を実施する体制を整えました。
② 人員計画も含めた生産計画、および整備計画の評価方法を整備規程等に定め、日々の計画を確
実に実行すべく、標準人員数の設定管理体制の強化を図りました。
③ 第三者による確認も含めて、整備記録を適切に残す作業手順を定めました。
④ 使用する航空機全機を対象に、確実な整備作業が実施され、かつ適切に記録等が管理されてい
ることについて再確認を行いました。
⑤ 全運航乗務員に対して、出発前の確認の徹底を図るため、厳重注意に至った事例について緊急
周知を行いました。
⑥ 全社員に対して、コンプライアンス教育を含む安全教育を実施し、安全意識とコンプライアン
スの重要性について再徹底を図りました。
4-2 安全管理目標
2014 年度の安全管理目標および実績評価、2015 年度の安全管理目標は以下のとおりです。
(1) 2014 年度安全管理目標達成度評価
①
全社安全管理目標
「航空事故ゼロ」
航空事故はゼロで、目標は達成されました。
② 部門別重点項目
1) 運航乗務員関連
・不適切な Operation の防止
安全上のトラブルに関する不具合事象を周知することで再発防止をはかりました。
・不適切な資格、乗務割管理の防止
担当者と管理職層での相互確認を徹底しました。
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2014 年度安全報告書
2) 地上運航従事者関連
・Weight & Balance の誤作成の防止
チェックリストを確実に使用するとともに、相互確認を行うことにより誤作成を防止し
ました。
3) 客室乗務員関連
・不適切な Door
Stopper 操作の防止
日々の客室業務において確実なドア操作、及びギャレー内のロックの安全確認の徹底を
意識づけるとともにラインモニターで確認を行いました。
・不適切な資格、乗務割管理の防止
訓練投入時及び訓練終了時には、チェックリスト及びフローチャートを活用し、資格要
件の確認を確実に実施しました。またシステムを使用して乗務時間、勤務時間、インタ
ーバルの確認を毎日確実に行いました。
4) 整備関連
・J-Log の誤記載・記載漏れの防止
記載に関する疑義が生じた場合、間接支援部門や管理者との相互確認を実施し、ご記載
を防止に努めました。
・不適切な資格、教育実績管理の防止
複数の担当者により内容をレビューし、チェックリストに記録を残すことで確実な教育
管理を行いました。
5) 旅客関係
・旅客数の不一致の防止
過去発生した不具合事象や不具合を起こし易い題材を各種会議等で取り上げることで、
安全意識の向上に努めました。
6) ランプ関係
・不適切な GSE 操作の防止
各空港で発生した事象について随時、全支店へ事例紹介を行い事故防止に努めた。
7) 空港・運送管理関係
・不適切な資格、教育実績管理の防止
各支店より提出される訓練書類の確認を複数の担当者で行うと共に、管理表等を用いて
訓練実施状況の適切な管理を行った。
③
2014 年度安全管理目標の総括
2014 年度は年間を通して「基本動作の励行」と「確認行為の徹底」を業務の基本姿勢と位
置付けるとともに、管理職による安全姿勢の確立と職場規律の向上に関わる活動を展開し
ました。しかし、2015 年 1 月 30 日、国土交通省より厳重注意『整備の確実な実施につい
て』を受けるに至りました。これにより、弊社は顧客に安全運航に対する不安を与え、信
頼を失うこととなりました。この失った信頼を取り戻すためには、社員一人ひとりが厳重
注意の重みを充分に理解した上で、全社的にコンプライアンスの姿勢を一貫する必要があ
ります。
その一方で、航空事故や重大インシデントはもとより、業務上の人身事故もなく過ごすこ
とが出来たのは、各職場に報告の文化が年を追うごとに定着し、不具合事象を見逃さない
安全意識が職場に確実に浸透して来た結果と捉えております。
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2014 年度安全報告書
(2)
2015 年度安全管理目標
基本的には 2014 年度の安全管理目標である「航空事故ゼロ」を踏襲しますが、
『コンプライア
ンスの姿勢を一貫する』を基軸に「基本動作の励行と確認行為の徹底」
「安全の確保を優先に
する」「正確な報告を行う」が醸成される活動を展開することとします。
また、管理職に対しては、
「職場巡視による潜在する不安全要素の発掘と対応」
「業務品質と職
場規律の向上を図る職場研修の実施」にすることにより、『管理職による安全姿勢の確立と職
場規律の向上』を更に醸成させていきます。また、引き続き 全社共通項目とは別に部門別に
『重点取組項目』を定め各部門ごとにより具体的な活動を展開いたします。
①
2015 年度 全社安全管理目標
航空機事故・重大インシ
デント ゼロ
安全の確保を最優先にする
基本動作の励行と確認行為の徹底
コンプライアンスの姿勢を一貫する
正確な報告を行う
管理職による安全姿勢の確立
と職場規律の向上
管理職の職場巡視による潜在する不
安全要素の発掘と対応(最低 1 日 1
回)
業務品質と職場規律の向上を図る職
場研修の実施(最低 3 ヶ月に 1 回))
②
2015 年度 部門別 重点取組項目
運航乗務員部門
地上運航従事者部門
客室乗務員部門
整備部門
旅客部門
ランプ部門
空港・運送部門
重点取組項目
運航に関わる規程に則した Operation の実施
SOP に則した資格、乗務割管理の運用
AIP に則した ATS 飛行計画送信
SEP Manual に則した Door・GLY LOCK の操作
SOP に則した資格、乗務割管理の運用
整備規程に則した Journey-Log の記載
SOP に則した資格、教育実績管理の運用
Take Off 後の旅客数不一致の防止
GSE 操作による航空機及び施設損傷の防止
SOP に則した資格、教育実績管理
(3) 具体的活動要領
①
安全の確保を最優先にする
1) 基本動作の励行と確認行為の徹底
a. 決められたことは確実に実施します。
全社員は、規定、チェックリストに定められている手順を確実に実施します。
手順は過去不具合事例から学び、不具合が発生しないように設定されたものであり、個
人の判断で勝手に手順の変更はできません。
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2014 年度安全報告書
b. 実施した作業は確実に確認します。
全社員は、自分の仕事に責任と誇りを持って、実施した作業はチェックリストをもって
第三者の眼でセルフチェックを徹底するとともに、共同作業者は他の担当者の業務につ
いて確認し、エラーを発見します。
c. 正しい要因分析と適切な対策の策定
事象の再発を防止するためにリスクマネジメントを実施して適切な対応を図るとともに、
担当者に対して確実な教育を実施し、有効活用を図ります。
d. 対策(再発防止策)の有効性の評価(三段階評価)の実施
・
部門長は、再発防止策が適切に機能しているかを確認し、効果の判定をします。再
検討の必要性がある場合は、速やかに代替の再発防止策を実施します。
・
各 Division 管理部門長は、評価を確認し、不足等があれば再度評価を実施させます。
効果を確認できた場合は書面をもって、評価状況を事務局長に提出します。
・
事務局長は評価内容の最終評価を行います。
・
風化させないための PDCA サイクル活動を行います。
2) コンプライアンスの姿勢を一貫する
a. 全社員は、『法令』『社内規程』『マニュアル』『SOP』等を理解し、これに従って日常業務
を行います。
b. 全社員は、年 2 回のコンプライアンス教育を受講し、コンプライアンスが持つ意味と重要
性についての認識を深めます。
3) 正確な報告を行う
a. 全社員は、規定された業務内容に責務を負い、正確な情報を収集します。
b. 全社員は、自身が果たす役割を理解する責任があり、収集した情報をすみやかに報告しま
す。
c. 全社員は、業務遂行の行動規範である『法令』
『社内規程』への不適合があった場合には、
安全管理規程『3-2-2 報告・指揮命令系統』により報告します。
② 管理職による安全姿勢の確立と職場規律の向上
1) 管理職の職場巡視による潜在する不安全要素の発掘と対応
最低 1 日 1 回、職場巡視を実施します。
実施記録には、良い点、改善点を点検表に記録として残し、規律ある職場を
目指します。
2) 業務品質と職場規律の向上を図る職場研修の実施
最低 3 ヶ月に 1 回、職場研修を実施するとともに、ブリーフィング時間などの活用し過去
の不具合事象を題材にして原因・対策・現状確認を繰り返し学び続けます。
研修内容として、
『なぜこの不具合が発生したか(要因)、それを防ぐために何を定めたか
(対策)
』のレビューを四半期ごとに繰り返し、実施して実行性の確認を継続します。
以 上
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