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平成25年度舌筋等トレーニングによる 口腔機能維持・向上モデル事業

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平成25年度舌筋等トレーニングによる 口腔機能維持・向上モデル事業
平成25年度舌筋等トレーニングによる
口腔機能維持・向上モデル事業
実施報告書
平成25年9月
広
島
県
広 島 県 歯 科 衛 生 連 絡 協 議 会
目
次
■1.背景
・・・1
■2.結果
(1)平成24年度モデル事業参加者の追跡調査
(2)3ヶ月トレーニング実施による効果検証
(3)医療機関取り組み用標準モデルの作成
(4)新規口腔機能訓練導入による経済効果の試算
・・・1
■3.今後の展開
・・・26
平成 25 年度舌筋等トレーニングによる口腔機能維持・向上モデル事業報告書
1. 背景
口腔機能は,「いつまでもおいしく,楽しく,安全な食生活を送るため」の重要な機能であり,
高齢者において,できるだけこれを維持させ,向上させることは,本人の生きがいに関わること
は勿論のこと,誤嚥性肺炎の予防や食事介助・嚥下調整食作製費用節減等において医療費
および介護費の抑制に大きく貢献すると考えられる。
平成 24 年度舌筋等トレーニングによる口腔機能維持・向上モデル事業(以下,“平成 24 年度
モデル事業”とする)において,現行の口腔機能向上の取り組みに対し,
広島県で産学連携し
て開発された JMS 舌圧測定器(株式会社ジェイ・エム・エス(広島市)製)により測定
される舌圧値は,口腔機能の新しい数値評価の一つとして注目されており,口腔機能向
上プログラムへの応用の期待も全国的に高まっていることから,舌圧値の管理という新
たな数値指標の設定とこれに基づく改善プログラムを設定・実施し,現行の方法と比較した即時
的効果の有無を明らかにした。本年度は,前年度事業の継続事業として,これらの結果を共有
化し,改善プログラムに対する課題を整理し,その展開方法について深く堀下げて検討すること
を目的とし,平 25 年度舌筋等トレーニングによる口腔機能維持・向上モデル事業(以下,“平成
25 年度モデル事業”とする)を実施した。
事業着手に際しては,まず平成 25 年度モデル事業の実施事項を絞込むため,平成 24 年度
モデル事業参加施設等関係者による運営委員会を開催し,事業に対する数多くの問題点・改
別紙1
別紙1
善点などを明確化した(
参照)。
そこで,平成 25 年度モデル事業として,その実施目的に照らし合わせ,特に以下検討に取り
組むこととした。
(1)
平成 24 年度モデル事業参加者の追跡調査
(2)
3 ヶ月トレーニング実施による効果検証
(3)
医療機関取り組み用標準モデルの作成
(4)
新規口腔機能訓練導入による経済効果の試算
2. 結果
(1)平成 24 年度モデル事業参加者の追跡調査
平成 24 年度モデル事業参加者の内,新規口腔機能訓練を実施した者を対象に,追跡調査
を行った。追跡調査のタイミングは,平成 24 年度モデル事業での訓練終了後1~3 ヶ月後およ
び 4~6 ヶ月後の 2 回実施することとした。その間,訓練継続を望んだ高齢者には訓練を継続し
てもらい,平成 24 年度モデル事業実施時と同様に訓練記録をとりながら,上記 2 回のタイミング
で検査を行った。また,訓練継続を望まなかった高齢者には,各タイミングで検査のみ行った。
SST”と
検査項目は,BMI,咀嚼機能スコア,嚥下機能スコア,反復唾液嚥下テスト(以下,“R
する),改
訂水飲みテスト(以下,“MWST”とする),最長発声持続時間,および最大舌圧とし,
特記事項として,食事
別紙2
別紙2
認を行った(
ついて確
状態の変化,発熱回数,健康状態の変化,ならびに訓練継続の有無に
一部抜粋。詳細は,平
参照(平成 24 年度モデル事業プロトコルの
報告書を参照))。また,各検査項目において,性別,施設利用方法(入所(入
成 24 年度事業
院)または通所(通院)),および要介護度(要支援または要介護)による群分けでの確認も行っ
1
た。
示す。データは,平成
以下,各検査項目についての追跡調査結果を
最終データ(訓練開始
おける
査結果(追跡
4
24 年度モデル事業に
週間後(訓練終了後))をベースラインとし,1~3
ヶ月後追跡調
1 回目),4~6 ヶ月後追跡調査結果を比較した(追跡 2 回目)。さらに,性別,施設
利用方法(入所(入院)と通所(通院)),要介護度(要支援・要介護)で群分けし,追跡期間での
変化に関する統計解析は,Friedman
の検定を行い,
p<0.05
以下であった検査項目について
Fisher の PLSD 多重比較を行ない,p<0.05 以下であったものを有意差有りとした。検査期間ごと
群間比較に関する統計解析は,Mann-Whitney の U 検定を行い,p<0.05 以下であったものを
の
意差有りとした。
有
均年齢
1) 対象者数と平
8 名であった。この内,
平成 24 年度モデル事業から継続して追跡調査に参加した高齢者は 4
平成 24 年度モデル事業における訓練終了後1~3 ヶ月後(追跡
1 回目)および 4~6 ヶ月後(追
両方で追跡可能であった高齢者は 33 名であった。
跡 2 回目)の 2 回のタイミングの
さらに,特記事項として記
載を依頼した食事状態の変化,発熱回数,健康状態の変化,なら
認を行ったところ,食事状態が悪化した者 1 名,発熱があった
びに訓練継続の有無について確
者2
名,健康状態が悪化した者 3 名(内 2 名は発熱があった者と重複),および訓練を継続した
者 4
名と少数であったため,合計 9 名を解析対象から除外することとし,食事状態悪化なし,発
熱なし,健康状態悪化なしで,且つ訓練を中断した者
24
名を解析対象として,下記検査項目
期間中の変化について示すこととする。
における追跡
図1及 表1
年齢
解析対象者数(性別)およびその平均年齢を
[歳]
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
24名
86.0
10名
81.1
全体
男
び
示す。
に
図1.解析対象者数と
解析対象者数と平均年齢
2
14名
89.4
女
表1.解析対象者数と
解析対象者数と平均年齢
解析対象者
体
男
女
24
10
14
86.0±6.5
81.1±6.0
89.4±4.2
全
[ ]
人数 人
均年齢[歳]
平
(平均値±標準偏差)
状態の悪化,発熱あり,健康状態の悪化,および訓練継続した者について
2) 食事
状態が悪化した者 1 名,発熱があった者 2 名,健康状態が悪化した者 3 名(内 2 名は発
食事
熱があった者と重複),および訓練を継続した者 4 名についてみると,まず食事状態が悪化した
者
1 名については,追跡期間中に気管支炎を発症し,約 2 週間入院を余儀なくされた。発熱が
あった 2
名については,風邪や吐き気による発熱であった。また,健康状態が悪化した 3 名のう
ち 2 名は発熱があった者と重複し,残り 1 名は歩行が悪くなり,リハビリ目的で入院した。
訓練継続したもの 4
名については,いずれも吹き戻しの訓練のみを継続していた。
3) BMI
図2 3
期間中の BMI の変化について,
追跡
対象者全
,
表2
および
示す。
に
体では,この期間における変化は認められなかったが,施設利用方法,すなわち入
所(入院)と通所(通院)で群分けしたところ,全ての検査期間で有意差が認められた。今回の対
利用方法によって元々体格の違いがあったことが考えられる。しかしながら,
象者において,施設
他の検査項目について施設利用方法による有意な差が認められなかったことから,他の検査
体格差の影響を受けにくいことが示唆された。
項目は,
30.0
25.0
BMI
20.0
15.0
22.5
22.4
22.7
訓練終了後
追跡1回目
追跡2回目
10.0
5.0
0.0
図2.BMI の変化
3
30.0
25.0
BMI
20.0
入所
通所
15.0
23.2
10.0
19.9
23.5
23.1
19.8
19.7
5.0
0.0
訓練終了後
追跡1回目
追跡2回目
図3.施設利用方法の
施設利用方法の違いにおける BMI の変化
表2.BMI の変化
BMI
解析対象者
人数(人)
(平均値±標準偏差)
訓練終了後
追跡 1 回目
追跡 2 回目
全体
24
22.5±3.7
22.4±3.7
22.7±3.5
男
10
23.0±4.1
23.2±4.0
23.6±3.6
女
14
22.2±3.5
21.8±3.5
22.1±3.5
入所
5
19.9±1.2
19.8±1.4
19.7±1.8
通所
19
23.2±3.8
23.1±3.8
23.5±3.5
要支援
3
25.5±6.6
25.0±7.0
26.3±5.1
要介護
21
22.1±3.1
22.0±3.1
22.2±3.1
4
4) 咀嚼機能スコア
図4
期間中の咀嚼機能スコアの変化について,
追跡
表3
および
示す。
に
期間における変化は認められなかった。平成
咀嚼機能スコアもこの
群の訓練開始時と訓練開始
いて,新機能訓練
4
24 年度モデル事業にお
週間後(訓練終了後)の咀嚼機能スコアは有
意に上昇していたことから,その後半年間,これは維持されることが示唆された。
[点]
120.0
咀嚼機能スコア
100.0
80.0
60.0
40.0
75.0
75.2
70.8
訓練終了後
追跡1回目
追跡2回目
20.0
0.0
図4.咀嚼機能スコア
咀嚼機能スコアの
スコアの変化
表3.咀嚼機能スコア
咀嚼機能スコアの
スコアの変化
咀嚼機能スコア
解析対象者
人数(人)
(平均値±標準偏差)
訓練終了後
追跡 1 回目
追跡 2 回目
全体
24
70.8±22.4
75.0±23.2
75.2±23.6
男
10
64.0±26.1
65.0±29.7
67.5±30.5
女
14
75.7±18.8
82.1±14.4
80.7±16.3
入所
5
71.0±12.9
76.0±10.2
82.0±9.1
通所
19
70.8±24.6
74.7±25.7
73.4±26.0
要支援
3
78.3±17.6
86.7±14.4
85.0±21.8
要介護
21
69.8±23.2
73.3±23.9
73.8±24.0
5
5)
嚥下機能スコア
図5 6
期間中の嚥下機能スコアの変化について,
追跡
まず嚥下機能スコア
A
,
表4 5
および
,
示す。
に
図5 表4
期間における変化は認められなかった(
では,追跡
,
)。平成
群の訓練開始時と訓練開始 4 週間後(訓練終了後)
24 年度モデル事業において,新機能訓練
の嚥下機能スコアは有
意に低値となっていたことから,その後半年間,これは維持されることが
示唆された。
1.4
嚥下機能スコア_A
1.2
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.3
0.3
0.2
0.0
訓練終了後
追跡1回目
追跡2回目
図5.嚥下機能スコア
嚥下機能スコア A の変化
表4.嚥下機能スコア
嚥下機能スコア A の変化
嚥下機能スコア A
解析対象者
人数(人)
(平均値±標準偏差)
訓練終了後
追跡 1 回目
追跡 2 回目
全体
24
0.3±0.7
0.2±0.5
0.3±0.9
男
10
0.2±0.4
0.2±0.6
0.3±0.9
女
14
0.4±0.8
0.2±0.4
0.4±0.8
入所
5
0.4±0.5
0.4±0.5
0.6±1.3
通所
19
0.3±0.7
0.2±0.5
0.3±0.7
要支援
3
0.0±0.0
0.0±0.0
0.0±0.0
要介護
21
0.3±0.7
0.2±0.5
0.4±0.9
6
次に嚥下機能スコア C
期間を追うごとに平均値が下がっていったが,有意な差は
では,追跡
図6 表5
認められなかった(
,
群の訓練開始
)。平成 24 年度モデル事業において,新機能訓練
始 4 週間後(訓練終了後)の嚥下機能スコア C は有意に高値となっていたことから,
時と訓練開
半年間これは維持され,少なくとも悪化しないことが示唆された。
その後
16.0
嚥下機能スコア_C
14.0
12.0
10.0
8.0
6.0
11.6
11.8
訓練終了後
追跡1回目
11.2
4.0
2.0
0.0
追跡2回目
図6.嚥下機能スコア
嚥下機能スコア C の変化
表5.嚥下機能スコア
嚥下機能スコア C の変化
嚥下機能スコア C
解析対象者
人数(人)
(平均値±標準偏差)
訓練終了後
追跡 1 回目
追跡 2 回目
全体
24
11.6±2.7
11.8±3.0
11.2±3.3
男
10
10.2±3.0
10.6±3.2
11.1±3.1
女
14
12.6±2.0
12.6±2.6
11.2±3.5
入所
5
12.4±0.9
12.6±1.9
12.4±2.3
通所
19
11.4±3.0
11.6±3.2
10.8±3.4
要支援
3
11.3±1.5
11.7±2.5
11.0±3.6
要介護
21
11.6±2.8
11.8±3.1
11.2±3.3
7
6)
SST
R
図7
期間中の RSST の変化について,
追跡
表6
および
示す。
に
期間における変化は認められなかった。なお,平成
この
24 年度モデル事業における新機能
群の訓練開始時と訓練開始 4 週間後(訓練終了後)における有意差も認めていなかった。
訓練
RSST
[回/30秒]
5.0
4.5
4.0
3.5
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
3.2
3.2
2.7
訓練終了後
追跡1回目
追跡2回目
図7.RSST の変化
表6.RSST の変化
RSST
解析対象者
人数(人)
(平均値±標準偏差)
訓練終了後
追跡 1 回目
追跡 2 回目
全体
24
3.2±1.4
3.2±1.3
2.7±1.0
男
10
3.4±1.3
3.3±1.1
3.0±1.2
女
14
3.1±1.5
3.1±1.4
2.5±0.9
入所
5
4.4±1.7
4.4±1.7
2.4±0.9
通所
19
2.9±1.1
2.8±1.0
2.8±1.0
要支援
3
3.7±2.1
3.3±1.5
3.7±2.1
要介護
21
3.1±1.3
3.1±1.3
2.6±0.7
8
7)
WST
M
図8
期間中の MWST の変化について,
追跡
表7
および
示す。
に
期間における変化は認められなかった。なお,平成
この
24 年度モデル事業における新機能
群の訓練開始時と訓練開始 4 週間後(訓練終了後)における有意差も認めていなかった。
訓練
6.0
MWST
5.0
4.0
3.0
4.6
4.6
4.6
訓練終了後
追跡1回目
追跡2回目
2.0
1.0
0.0
図8.MWST の変化
表7.MWST の変化
MWST
解析対象者
人数(人)
(平均値±標準偏差)
訓練終了後
追跡 1 回目
追跡 2 回目
全体
24
4.6±0.7
4.6±0.7
4.6±0.6
男
10
4.3±0.8
4.4±0.8
4.6±0.7
女
14
4.8±0.4
4.7±0.6
4.6±0.6
入所
5
4.6±0.5
4.4±0.9
4.8±0.4
通所
19
4.6±0.7
4.6±0.7
4.6±0.7
要支援
3
4.0±1.0
4.3±1.2
3.7±1.2
要介護
21
4.7±0.6
4.6±0.7
4.8±0.4
9
8) 最長発声持続時間
図9
期間中の最長発声持続時間の変化について,
追跡
表8
および
示す。
に
最長発声持続時間は,期間を追うごとに平均値が下がっていったが,有意な差は認められな
群の訓練開始時と訓練開始
かった。平成 24 年度モデル事業において,新機能訓練
(訓練終了時)の
4
週間後
最長発声持続時間が有意に延長していたことから,その後半年間,これは維
示唆された。
持されることが
[秒]
最長発声持続時間
25.0
20.0
15.0
10.0
14.3
14.5
13.3
5.0
0.0
訓練終了後
追跡1回目
追跡2回目
図9.最長発声持続時間の
最長発声持続時間の変化
表8.最長発声持続時間の
最長発声持続時間の変化
最長発声持続時間[秒]
解析対象者
人数(人)
(平均値±標準偏差)
訓練終了後
追跡 1 回目
追跡 2 回目
全体
24
14.3±6.7
14.5±6.7
13.3±6.7
男
10
16.4±8.4
16.7±9.5
13.9±7.6
女
14
12.9±5.1
12.8±3.2
12.8±6.2
入所
5
12.9±7.1
11.1±5.4
13.7±8.8
通所
19
14.7±6.8
15.3±6.9
13.2±6.3
要支援
3
10.5±3.9
10.3±2.6
10.5±3.2
要介護
21
14.9±6.9
15.1±7.0
13.7±7.0
10
9) 最大舌圧
図10
期間中の最大舌圧の変化について,
追跡
表9
および
示す。
に
最大舌圧については,この期間での変化は認められなかった。平成 24 年度モデル事業にお
群の訓練開始時と訓練開始
いて,新機能訓練
4
週間後(訓練終了時)の最大舌圧は有意に上
昇していたことから,最大舌圧も,その後半年間,維持されることが示唆された。
[kPa]
35.0
30.0
最大舌圧
25.0
20.0
15.0
24.7
22.7
23.5
追跡1回目
追跡2回目
10.0
5.0
0.0
訓練終了後
図10.
10.最大舌圧の
最大舌圧の変化
表9.最大舌圧の
最大舌圧の変化
最大舌圧[kPa]
解析対象者
人数(人)
(平均値±標準偏差)
訓練終了後
追跡 1 回目
追跡 2 回目
全体
24
24.7±7.6
22.7±7.1
23.5±8.3
男
10
24.7±7.8
23.0±7.5
23.1±8.0
女
14
24.7±7.7
22.5±7.1
22.9±8.8
入所
5
22.9±6.2
19.9±4.8
22.0±5.0
通所
19
25.2±8.0
23.4±7.5
23.9±9.1
要支援
3
26.2±12.9
25.4±8.1
25.3±9.2
要介護
21
24.5±7.0
22.3±7.1
23.3±8.4
11
(2)
3 ヶ月トレーニング実施による効果検証
別に,訓練期間を平成 24 年度モデル事業での 1 ヶ月から 3 ヶ月に延長するこ
追跡調査とは
場所は,広島県熊野町にある「介護老人保健施設
とによる効果検証を実施することとした。実施
熊野ゆうあいホーム」を選定し,平成
24 年度モデル事業のプロトコルをそのまま活かしたプログ
ラムを実施した。
最長発声持続時間と最大舌圧の測定は毎週実施し,4 週間に一度はベースラインと同様,
SST,MWST,最長発声持続時間ならびに最大舌圧
BMI,咀嚼機能スコア,嚥下機能スコア,R
測定を実施した。
の
ベースラインと 4 週間後,8 週間後,12 週間後の比較結果を示
以下,各検査項目についての
す。また,施設
週
数について
利用方法について入所(入院)と通所(通院)による群分け,および訓練実施回
未満と週
3 回
群分けを行った。統計解析は,Friedman
3 回以上による
の検定を
p<0.05 以下であった検査項目について Fisher の PLSD 多重比較を行ない,p<0.05 以下
行い,
であったものを有
意差有りとした。検査期間ごとの群間比較に関する統計解析は,
ann-Whitney の U 検定を行い,p<0.05 以下であったものを有意差有りとした。
M
均年齢
1) 対象者数と平
本プログラムの参加者は
の平
14 名であり,全員
離脱することなく訓練を実施した。14 名
3 ヶ月間
均年齢は 88.7± 6.8 歳であった。性別 の内訳 は,男 性 1 名,女 性 13 名であったが,
Utanohara
ら
1)
,
津賀
2)
により,
最大舌圧については,60 歳以上は性差がないことが示されてい
解析では性別での群分けは行わないこととした。
ることから,ここでの
なお,この
14 名の内 13 名は,平成 24 年度モデル事業に参加していた者であり,一旦,各検
認する機能が向上した者と想定される。本プログラム実施までの間,3~4
査項目で確
空白の期間が存在したが,(1)平成
練を実施していない
示したとおり,この空白期間であれば,平成
査で
程訓
ヶ月
24 年度モデル事業参加者の追跡調
状態を
24 年度モデル事業での訓練終了時の
変化については,有意な改
維持していると考えられるため,本プログラム実施による検査項目の
善だけでなく,
変化なし,すなわち維持しているという結果も本プログラムの有効性を示す一つ
判断指標となることを示しておきたい。
の
12
2) BMI
図11
変化について,
BMI の
表10
および
示す。
に
顕著な変化は認められなかった。
BMI に
30.0
25.0
20.0
I
M
B 15.0
10.0
21.5
21.4
21.5
21.2
ベースライン
4週間後
8週間後
12週間後
5.0
0.0
図11.
11.BMI の変化
表10.
10.BMI の変化
BMI
解析対象者
人数(人)
(平均値±標準偏差)
ベースライン
4 週間後
8 週間後
12 週間後
全体
14
21.5±3.1
21.4±3.1
21.5±3.2
21.2±3.1
入所
3
20.4±4.5
20.5±4.3
20.5±4.6
20.3±4.7
通所
11
21.8±2.8
21.7±3.0
21.7±2.9
21.4±2.8
訓練週 3 回未満
7
21.5±1.9
21.2±1.8
21.3±1.9
21.0±1.8
訓練週 3 回以上
6
22.2±4.1
22.3±4.2
22.3±4.3
22.1±4.3
13
3) 咀嚼機能スコア
図12
変化について,
咀嚼機能スコアの
表11
および
示す。
に
均値は訓練経過に伴って上昇しているようであったが,有意差は認められなかった。
平
100.0
90.0
80.0
70.0
60.0
50.0
40.0
30.0
20.0
10.0
0.0
アコ
ス能
機嚼
咀
61.1
64.3
67.9
68.2
ベースライン
4週間後
8週間後
12週間後
図12.
12.咀嚼機能スコア
咀嚼機能スコアの
スコアの変化
表11.
11.咀嚼機能スコア
咀嚼機能スコアの
スコアの変化
咀嚼機能スコア
解析対象者
人数(人)
(平均値±標準偏差)
ベースライン
4 週間後
8 週間後
12 週間後
全体
14
61.1±22.6
64.3±20.4
67.9±20.8
68.2±23.3
入所
3
46.7±20.2
50.0±18.0
50.0±18.0
48.3±20.8
通所
11
65.0±22.5
68.2±19.9
72.7±19.4
73.6±21.6
訓練週 3 回未満
7
61.4±23.2
65.7±14.8
67.9±21.2
61.4±16.5
訓練週 3 回以上
6
60.8±26.2
65.0±27.7
65.8±23.5
71.7±29.3
14
4) 嚥下機能スコア
まず,嚥下機能スコア
図13 14
図13
A の変化について,
体では顕著な変化は認められなかった(
全
,
表12
および
示す。
に
)。
3.5
3.0
A_ 2.5
アコ2.0
ス能
機下1.5
嚥1.0
0.5
0.8
0.6
ベースライン
4週間後
1.1
0.5
0.0
8週間後
12週間後
図13.
13.嚥下機能スコア
嚥下機能スコア A の変化
群のスコア A
しかしながら,訓練回数が多い
図14
向がみられた(
少ない群よりも低値になる傾
の数は訓練回数が
可能性を示唆している。
)。訓練回数が多い方がより改善する
4.5
4.0
3.5
_Aア3.0
コス2.5
能
2.0
機
下
嚥1.5
訓練週3回未満
訓練週3回以上
1.0
0.5
1.6
0.7
0.8
0.8
0.7
4週間後
8週間後
0.4
0.0
ベースライン
0.9
0.2
12週間後
図14.
14.訓練回数の
訓練回数の違いによる嚥下機能
いによる嚥下機能スコア
嚥下機能スコア A の変化
表12.
12.嚥下機能スコア
嚥下機能スコア A の変化
嚥下機能スコア A
解析対象者
人数(人)
(平均値±標準偏差)
ベースライン
4 週間後
8 週間後
12 週間後
全体
14
0.8±1.2
0.6±1.2
1.1±2.0
0.5±0.9
入所
3
1.0±1.7
1.0±1.7
1.0±1.7
0.3±0.6
通所
11
0.7±1.1
0.5±1.0
1.1±2.2
0.5±1.0
訓練週 3 回未満
7
0.7±1.3
0.4±1.1
1.6±2.6
0.9±1.2
訓練週 3 回以上
6
0.8±1.3
0.8±1.3
0.7±1.2
0.2±0.4
15
図15
次に嚥下機能スコア C の変化について,
表13
および
示す。
に
体では顕著な変化は認められなかったが,平均値はやや増加しているようである。
全
16.0
14.0
_Cア12.0
コス10.0
能機 8.0
下嚥 6.0
4.0
8.9
9.9
9.5
ベースライン
4週間後
8週間後
10.5
2.0
0.0
12週間後
図15.
15.嚥下機能スコア
嚥下機能スコア C の変化
表13.
13.嚥下機能スコア
嚥下機能スコア C の変化
嚥下機能スコア C
解析対象者
人数(人)
(平均値±標準偏差)
ベースライン
4 週間後
8 週間後
12 週間後
全体
14
8.9±3.6
9.9±3.9
9.5±3.9
10.5±3.8
入所
3
11.7±2.1
12.3±2.1
11.7±2.1
13.3±1.2
通所
11
8.1±3.6
9.2±4.1
8.9±4.1
9.7±3.9
訓練週 3 回未満
7
9.1±3.4
10.0±3.7
10.4±4.3
10.1±4.3
訓練週 3 回以上
6
9.2±4.0
10.3±4.6
8.5±3.8
11.7±3.0
16
5)
SST
R
図16
SST の変化について,
R
表14
および
示す。
に
顕著な変化は認められなかった。
特に
[回/30秒]
5.0
4.5
4.0
TS
SR
3.5
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
2.4
1.9
1.5
1.9
0.0
ベースライン
4週間後
8週間後
12週間後
図16.
16.RSST の変化
表14.
14.RSST の変化
RSST
解析対象者
人数(人)
(平均値±標準偏差)
ベースライン
4 週間後
8 週間後
12 週間後
全体
14
1.5±1.0
1.9±2.7
2.4±1.8
1.9±1.6
入所
3
1.7±1.2
0.7±0.6
1.0±1.0
1.3±0.6
通所
11
1.5±1.0
2.2±3.0
2.7±1.8
2.0±1.7
訓練週 3 回未満
7
1.4±1.3
2.6±3.7
2.7±1.8
2.0±2.2
訓練週 3 回以上
6
1.7±0.8
1.2±0.8
2.0±2.1
1.7±0.5
17
6)
WST
M
図17
WST の変化について,
M
表15
および
示す。
に
顕著な変化は認められなかったが,12 週間後に全員がスコア4(嚥下あり,
特に
むせなし
, 呼
吸変化・湿性嗄声なし),すなわち正常として評価されたことは,本プログラムによる改善の結果
示しているのかもしれない。
を
5.0
4.5
4.0
3.5
TS 3.0
WM 2.5
2.0
3.9
1.5
4.0
3.1
3.4
4週間後
8週間後
1.0
0.5
0.0
ベースライン
12週間後
図17.MWST の変化
表15.MWST の変化
MWST
解析対象者
人数(人)
(平均値±標準偏差)
ベースライン
4 週間後
8 週間後
12 週間後
全体
14
3.9±0.9
3.1±1.3
3.4±1.1
4.0±0.0
入所
3
4.3±0.6
2.7±2.3
4.0±0.0
4.0±0.0
通所
11
3.7±0.9
3.3±1.0
3.2±1.2
4.0±0.0
訓練週 3 回未満
7
3.6±1.1
3.0±1.2
3.1±1.1
4.0±0.0
訓練週 3 回以上
6
4.2±0.4
3.3±1.6
3.5±1.2
4.0±0.0
18
7) 最長発声持続時間
図18
期間中の最長発声持続時間の変化について,
追跡
体的に顕著な変化は認められなかった。
表16
および
示す。
に
全
[秒]
18.0
16.0
間時 14.0
続持 12.0
声発 10.0
8.0
長最 6.0
4.0
9.4
12.2
11.1
10.7
4週間後
8週間後
12週間後
2.0
0.0
ベースライン
図18.最長発声持続時間の
最長発声持続時間の変化
表16.最長発声持続時間の
最長発声持続時間の変化
最長発声持続時間[秒]
解析対象者
人数(人)
(平均値±標準偏差)
ベースライン
4 週間後
8 週間後
12 週間後
全体
14
9.4±3.9
12.2±4.0
11.1±3.8
10.7±3.1
入所
3
9.0±2.0
9.0±3.0
9.3±3.5
9.0±1.7
通所
11
9.6±4.4
12.8±3.9
11.6±3.9
11.2±3.2
訓練週 3 回未満
7
10.6±4.9
11.1±4.3
11.6±4.9
11.5±3.9
訓練週 3 回以上
6
9.1±1.4
15.3±3.5
10.4±2.8
9.7±1.9
19
8) 最大舌圧
図19 20
図19
期間中の最大舌圧の変化について,
追跡
,
体的には顕著な変化は認められなかった(
全
表17
および
示す。
に
)。
[kPa]
35.0
30.0
値
25.0
圧
舌
20.0
大
最
15.0
25.2
27.3
ベースライン
4週間後
10.0
24.8
26.1
8週間後
12週間後
5.0
0.0
図19.最大舌圧の
最大舌圧の変化
しかしながら,訓練回数が多い
図20
傾向がみられた(
る
群の最大舌圧が,訓練回数が少ない群のそれよりも高値にな
可能性を示唆している。
)。訓練回数が多い方がより改善する
[kPa]
40.0
35.0
30.0
値25.0
圧20.0
舌
大
最15.0
10.0
訓練週3回未満
訓練週3回以上
23.7
27.5
26.0
28.8
23.3
26.8
24.6
27.3
5.0
0.0
ベースライン
4週間後
8週間後
12週間後
図20.
20.訓練回数の
訓練回数の違いによる最大舌圧
いによる最大舌圧の
最大舌圧の変化
表17.最大舌圧の
最大舌圧の変化
最大舌圧[kPa]
解析対象者
人数(人)
(平均値±標準偏差)
ベースライン
4 週間後
8 週間後
12 週間後
全体
14
25.2±6.6
27.3±5.3
24.8±5.6
26.1±6.0
入所
3
22.3±6.5
25.5±4.0
24.0±1.9
26.3±3.7
通所
11
26.0±6.7
27.8±5.7
25.0±6.3
26.0±6.7
訓練週 3 回未満
7
23.7±6.4
26.0±5.2
23.3±5.6
24.6±6.0
訓練週 3 回以上
6
27.5±7.3
28.8±6.1
26.8±5.9
27.3±6.7
20
(3)
医療機関取り組み用標準モデルの作成
広島県内 7
本事業は,
支援・要介護高齢者に対して実
施設にて,嚥下機能に問題のある要
リハビリ専門職,すなわち歯科医師,歯科衛生士,
施した。これら施設において,口腔・嚥下機能
言語聴覚士を配置する施設とこれら専門職を配置しない施設が存在したことから,本項では施
体制に応じた標準モデルの作成について検討を行うこととする。
設の
専門職を配置していない施設向け
1)
専門職がいない施設においては,口腔機能の維持向上を目的としたトレーニングプログラム
に対する基
礎知識の習得が先決であるということが明らかとなった。口腔機能の維持向上の意
義を正しく理解できなければ,その施設での積極的な取り組みは期待できず,通常業務に積み
単なる“負荷”として捉えられ,その後の展開が非常に困難となる恐れがある。
上げられた
礎知識習得にあたっては,最も好ましいのは地域連携による歯科
トレーニングプログラムの基
師,歯科衛生士,言語聴覚士らによる指導・協力の場を設けることである。さらに施設がより自
医
主的・積極的に取り組むための簡易マニュアルがあることが望ましいと考えられた。この構成は,
意義とその実施方法や評価方法などをまとめた形とする。意義については,厚
口腔機能向上の
労働省の分担研究班により示された「口腔機能向上マニュアル(改訂版:平成 21 年 3 月)」に
生
記
載された内容を噛み砕いて説明する内容とし,具体的な実施方法や評価方法については,
衛生的口腔ケアや機能的口腔ケア(口腔機能訓練など)に関する専門のテキスト等も参考にし
表18
て(
に
一例を示す),より取り組み易い内容にまとめることとする。また,これらと併せて,本
含
モデル事業(平成 24 年度,25 年度共に
関しては,
る者の舌
図24
(
紹
図21 表19
得られた結果もこの中で
む)で
先行研究例として,健常者における舌圧標準値(
圧(
図22 23
触
,
5)
) についても
)
3,4)
,ならびに本事業でも
)
1,2)
用した舌トレーニング用
,嚥下に問題があ
具による訓練効果
圧の目標値を示すこととし,舌筋等トレーニングにより口腔機能の
れ,舌
強
期待されることを
維持・向上が
使
,
圧に
介する。また舌
容とする。
調する内
表18.衛生的口腔ケア
衛生的口腔ケアや
ケアや機能的口腔ケア
機能的口腔ケアに
ケアに関する専門
する専門マニュアル
専門マニュアル・
マニュアル・テキスト等
テキスト等の一例
書籍名
第 4 分野「摂食・嚥下リハビリテーションの介入Ⅰ」
口腔ケア・間接訓練
~日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 e ラーニング対応~
第 4 分野「摂食・嚥下リハビリテーションの介入Ⅱ」
直接訓練・食事介助・外科治療
~日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 e ラーニング対応~
21
著者
日本摂食・嚥下
リハビリテーション学会
出版社
医歯薬出版
医歯薬出版
図21.健常者における
健常者における舌圧
における舌圧の
舌圧の標準値
標準値
1)
表19.健常者における
健常者における舌圧
における舌圧の
舌圧の標準値
標準値と目安
<標準値>
2)
<目安>
図22.嚥下に
嚥下に問題がある
問題がある者
がある者の舌圧(
舌圧(食事中の
食事中のムセ有無
ムセ有無での
有無での比較
での比較)
比較)
3)
22
図23.嚥下に
嚥下に問題がある
問題がある者
がある者の舌圧
4)
(藤島の嚥下グレードと舌圧の関係(左),RSST と舌圧の関係(右))
20
)a15
Pk
(10
圧舌
大最5
0
2)
訓練開始時 1ヵ月後
2ヵ月後
図24.舌トレーニング用具
トレーニング用具に
用具による訓練
よる訓練効果
訓練効果
5)
専門職を配置している施設向け
ズ
専門職を配置する施設においては,本事業で設定したプログラムはスムー
た。
但
し,プログラムに
採
用した訓練方法の効果をより
必
1 ヶ月ではなく,もう少し長い期間が
独自
法に施設
結果的に
良
の改
そこで,
すための指
見 寄
う意
見
が
摘
として,訓練
期間は
せられた。また,訓練方
ケースが 受けられた。そのような施設ではその訓練方法が
従来
当初
間や訓練方法については,導入
ね
判断に委
き
要なのではないかとい
が加えられた
通常訓練として定着し,
ては施設の
引 出
受け入れられ
に
の訓練に取って
代
わったよ
うである。このように,訓練期
示すこととし,実際の継続的運用にあたっ
のための目安を
ろである。
たいとこ
専門職配置施設向けのプログラムとして,
別紙3
別紙3
の
通り
置しない施設向けマニュアルは,今後これを基に専門用語の
容にまとめることとしたい。
りやすい内
23
見直
十分
な
しを行った。
専門職を配
解説をくわえるなど,分か
(4)
新規口腔機能訓練導入による経済効果の試算
1)
障害患
嚥下
推計
者数
北海道にてまとめられた『平成 17 年度要介護高齢者に対する摂食嚥下障害対策実態調査報
告書』において、要支援・要介護高齢者における嚥下障害保有者は 18.1%であり、その内訳は病
院患者 7.4%、介護施設入所高齢者 3.5%、在宅患者・高齢者 7.2%であったことが報告されている。
平成 25 年 3 月時点での要支援・要介護認定者数が 5,715,400 人であったことから、北海道の
調査結果を基に嚥下障害保有者の全国推計を行うと約 103 万人となり、病院患者約 42 万人、介
護施設入所高齢者約 20 万人、在宅患者・高齢者約 41 万人となる。
障害保
障害保
約 0. 万
広島県における嚥下
上記と同様に,
147,800
が
万
約 1.1
者
2)
【
人であったことから,嚥下
5
うと,要支援・要介護認定者数
を行
有者の
所高齢者
人,介護施設入
推計
推計
在宅患
有者の
万
約 1.1 万
約 2.7
(全数)が
人,
病院患
人となり,
者・高齢者
人となる。
連する試算
誤嚥性肺炎に関
】
連医療費
誤嚥性肺炎関
① 道脇
日
(3
診 報酬
診 報酬請求
6)
ら
により,誤嚥性肺炎に関する
日
112
~
院分の
),入
療
療
院期間は平均
② 山脇
.0%
42
障害患
7)
ら
により,嚥下
,
均 168,675.5±81,699
既往歴
ショ
者の内,誤嚥性肺炎
老人保健施設で
%訪 看
.
55 5
35 3 ,
問
点(22 53 ~
病棟
がある者は,医療機関(
護ステー
%
.7
ンで 56
日
, 9
点数は平
87,479 点)であったことが報告されている。
2
. ±31
について,入
であることが
)で
示されてい
る。
③② 示
仮
出
障害患
既往歴 割
発症リ ク率
( )- )
障害患 推計
発症リ ク患
病院患
約 18 万
所
約7万
在宅患
約 万
計約 8 万
ち
障害保
約 %
発
症リ ク患
④
( )- ) 推計 広島県
障害患
発症リ ク患
出
推計約 1 , 00
訳 病院患
約 , 00
所
約 1,800
在宅患
約 , 00
⑤ ③④
国 広島
治 必
推計
で
と
した嚥下
定して, 4
算
すると,
者
23
者における誤嚥性肺炎
1 の嚥下
者では
4
合を誤嚥性肺炎
から誤嚥性肺炎
人,介護施設入
人となり,合
ス
人,すなわ
ス
高齢者
嚥下
ス
者・高齢者数を
人,
有者の
者・高齢
46 が誤嚥性肺炎
者・高齢者となる。
また, 4
1 にて
した
者・高齢者数を算
人,介護施設入
上記
者数
の
,
の嚥下
すると,
2 6
高齢者
より,全
者数をもとに,誤嚥性肺炎
人となり,その内
人,
,
者・高齢者
における誤嚥性肺炎の
は
6 2
療に
ス
者では
4 6
人となる。
要な医療費の
は以下
通りとなる。
の
【 国】
【広島】
全
【
約 48
万
万円掛
約 170 万円掛
約 170
人に対し,誤嚥性肺炎医療費が
8,160
かるとして,
約 12,600 人に対し,誤嚥性肺炎医療費が
1
かるとして,2 4
】
新たな数値指標と新規口腔機能訓練による誤嚥性肺炎予防がもたらす経済効果
約 48
的口腔
万
率
%
仮
0 低下すると
が 6
広島県の場合,128
億円
適切
圧測定を行い,その結果に基づく
者に舌
針 決
億円
ケア,ならびに新規口腔機能訓練方法の方
発症
肺炎
障害患
人の嚥下
※
,896
定すると ,4
削
の医療費
を
摂
な経口
億円
億円
衛生
取と
定し,実施することにより,誤嚥性
削
の医療費
期待される。同様に
減が
期待できることとなり,非常に大きな効果をもたらす
減が
ものと考えられる。
24
※
Yoneyama ら
8)
の研究によると,衛生的口腔ケア実施群は口腔ケア未実施群よりも誤嚥性肺炎発
症率が 40%低下することが示されている(誤嚥性肺炎発症率:口腔ケア未実施群 19%→口腔ケア
実施群 11%)。これに加え,適切な経口摂取(食事形態の最適化)および機能的口腔ケア(新規
口腔機能訓練)を実施することにより,更に 20%低下すると想定した場合の仮定である。
当
仮
圧測定ならびに新規口腔機能訓練を実施した場合にかかる一人
舌
万円 仮
と
万
約 48
定すると,
億円
掛 総
,800
かる
の医療費
れたとしても,4
12,600 人に
掛 総
削
. 億円
人に
かる
約2
費用は
億円
約 96
費用は
となる。
険 賄
保
にこれらが
で
わ
ちらも広島県の場合にあてはめると,
減が維持される。こ
5
たりの年間費用を 2
約 125
となり,
億円
削
の医療費
言える。
減効果
<舌圧測定ならびに新規口腔機能訓練を実施した場合にかかる年間費用の算定根拠>
一人当たり年間 20,000 円
○
JMS 舌圧測定器舌圧プローブ(定価 500 円)を毎月使用・・・6,000 円/年
○
吹き戻し(定価 250 円)を隔週で交換・・・6,000 円/年
○
舌トレーニング用具(定価 800 円)を 2 ヶ月毎に交換・・・4,800 円/年
○
プチ美ザージュ(定価 3,200 円)を交換無しで使用・・・3,200 円/年
48 万人×2 万円=96 億円
3)
嚥下調整食作製費用に関する試算
栢
下ら
下食を
により,
提供
勤務
本
ショ 学
リハビリテー
食・嚥下
している対象者数および作製に
構に
機
日 摂
9)
栄養士
ゼリ 状 品
管理
して 5 年目の
ン
掛
給
議
評
会
勤務
員が
する施設を対象に嚥
かる費用が調査されている。費用は
の基本
出
を基に算
されており,嚥下食
1
国立病院
当
食
たりの
件
主 109 円 副 11 円 ペ
状 品 主 77
円 副 100 円
応
主
8円 副
円
示
栢
一般病床
養病床 院患 うち
摂
患
ち
障害患 主
8.9 万
副
1.9 万
推計
更
訳
ゼリ 状 品 主 .9 万 副 7.7 万 ペ 状 品 主
8.7 万
副 9.7 万
応
主
. 万
副
. 万
ぞ 計 件 ゼリ 状 品 主 8 . 億円 副 9 . 億円 ペ
状 品 主 7 .1 億円 副 10 .9 億円
応
主 9 .8 億円 副 1 .7 億円
推
総額 99. 億円
率 広島県
障害患
約 .7 万
副
9 .8% 8.9 万 ÷ 1.9 万 ×100%
約 . 万
主
仮
広島県
ゼリ 状 品 提供
主 0. 万
副 0.
万 ペ 状 品 提供
主 0. 万
副 0. 万
応
提
供
主 1. 万
副 1. 万
ぞ 件 ゼリ 状 品 主
.8 億円 副
. 億円 ペ
状 品 主
.1 億円 副
. 億円
応
主
. 億円 副 9. 億円
総額 8. 億円 推
0% 常 摂 へ
う 仮
国 約 179.8
億円 広島県 11. 億円 件 削 期待
作製にかかる人
,
食
費は,
ー
,咀嚼対
食で
下らの調査から,
いる
者,すなわ
にその内
食で
おり,それ
食
と
で
嚥下
食
ー
の人
4
いると
5
で,
ースト
2
食 4
,
食 6 2
3
人
を
食
5
食
では
3
5
4
ー
人,
,
人と
人,
人,
2 5
食
食
食
6
取して
されている。
ースト
食で 24 4
,
食で
者数を
人
食
食
6
ースト
で,
が
の人
食
3
食
費
は
人となって
6 3
,
食
,
食
ースト
42
人とし,その全員が
2 5
されている者は
食
6
人,
食
人となり,それ
れ人
で
,
2
取
減が
25
2
)である
を
されている者は
新規口腔機能訓練により 3
,
,咀嚼対
で
,嚥下調整食を
食で
食
食
されている。
食で 4
食で 23 2
で
ースト
)。
(3
食 6 2
,
食
6
内で
食
されている者は
ー
食
人,
食は
,
者の
人,
食で 6
4
であることが
の入
食で 3
は
食
食 53
内における嚥下
定すると,
人,
食
費は,
,
調整し,その内の
,
,
人,咀嚼対
定されている(
同様の比
食
食 3
者は
食で
れ合
で
および療
として,
人,
食
食 5
と
人が
食
6
4
食 6 6
食を調整して
人,
人,咀嚼対
費は,
ー
食
,咀嚼対
定される。
の改善に向か と
できる。
定して,全
食を
では
食
5
食を
で
食で
3.
今後の展開
短期
追跡調査の結果,平成 24 年度モデル事業で実施した
的介入による舌筋等トレーニング
による口腔機能維持・向上プログラムは,介入終了後,訓練を
中断したとしても,多くの場合で
示された。また,訓練期間を 1 ヶ月から 3 ヶ月に延長して新規口腔
その機能が維持されることが
場合,顕著な改善は認めなかったものの(平成 24 年度モデル事業参加者
機能訓練を継続した
ほ
が本プログラム参加者の
占
とんどを
違いが機能の改善に
めたためと考えられる),訓練回数の
影響する可能性が一部の項目(嚥下機能スコア A
最大舌圧)でみられた。すなわち,訓
および
増やすことで機能の維持・向上につなげることができる。
練回数をできるだけ多く
以上より,平成 24 年度,平成 25 年度で実施した本プログラムは,要介護高齢者の口腔機能
可能性が示された。
維持・向上,ならびに医療費等抑制に貢献する
側 立場
言語聴覚士
勤務
しかしながら,実際に取り組む
の
科医師,歯科衛生士,
の
意
類
見
もあり,
等)が
策
応じたプログラムの
必
定が
場所の
市町
動
更
ターンのプログラムに
広島県の
国
見
内での
種
修正
利用できる可能性
には予防事業として
市町
臨学産官 連携
健康福祉 産 振興
柱
に取り組んでいくことで,
場所の
パ
一方で
での介護予防事業として
意義と考えられる。今回の事業をきっかけに
させていき,いずれは
解が難しいと
の理
・施設など取り組み
に合わせて数
を継続しつつ,
ることも有
なる活
種類
利用できる可能性が生じ,
での
もある。したがって,医療機関向けの活
浸透 図
更 動
病院
要かもしれない。
本事業の基本的考え方を各取り組み
することによって,
へ
していない施設では取り組み
広く取り組むことができるようにするためには,
に
を
容のままでは専門職(歯
から,本事業のプログラム内
,
の
業
を維持しながら,
の 2 つの
ぞ
をそれ
発展
れ
ゆる分野において「広島モデル」が
本,標準モデルとしてあら
広まっていくことを期待したい。
文
参考
献)
Y Hayashi , Yoshikawa , et al: Standard values of maximum tongue pressure
taken using newly developed disposable tongue pressure measurement device, Dysphagia,
: 8 - 90, 008.
2) 津賀一弘: 簡易型 圧測 装置
最
圧 測 , 『顎
評価』, 日 顎
学 , 1- , 010.
3) 児玉 穂 , 菊谷 武 , 吉田光由 , 他 :
所
低栄養
圧
,
老 歯学, 19: 1 1-1 8, 00 .
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障害
構音障害
患
最
圧測
―
発
圧測 器
―, 日摂
リハ 誌 ,
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利
ジ
, 日 歯科評 , 7
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ケ
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00
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8) Yoneyama T Yoshida
atsui T et al:Oral care and pneumonia Lancet
: 1
1) Utanohara ,
23 2 6 2
R
M
2
舌
口腔機能
会 4
定
を用いる
施設入
年
6
6
2
定の有用性
65
4 2
新たに開
36 2
,
年
,
コ
または
し た舌
んだ」を
と舌
との関係
定
を有する
を用いて
者における
食嚥下
会
用した舌のレ
スタンス訓練
本
論
3
3
,
3 2 5,2
,
要介護高齢者に対する口腔
アの費用効果
,
3.
誤嚥性肺炎の
,
本
2
「
33
口腔機能の
高齢者にみられる
嚥下
6 2
定
4
内
大舌
の
44 2
実
( )
大舌
M,M
,
合
,3
,
2
5,2
.
,
1999.
26
,345 5 5,
9)
栢 淳 越 ひろ 田 広士
リハ 誌 1 ( ) 09 011
下
下
,大
会
, 5 2 ,2
,前
,2
,
他:嚥下調整食の作製にかかる費用の調査,
.
27
日摂
食嚥
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