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サブプライム会計の批判的研究

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サブプライム会計の批判的研究
大阪経大論集・第59巻第6号・2009年3月
179
サブプライム会計の批判的研究
高
寺
貞
男
草
野
真
樹
未確定の 先取り利益 (up-front gain) を全
く報告しないためには〔サブプライムローンの
ディール
証券化〔取引〕はほぼほとんどの事例で売却よ
りも〔保証された借り入れ〕金融として構成さ
れなければならない。
Rosenblatt et al., p. 29.
Ⅰ
サブプライム会計の先達となった証券化取引の売却会計
昨今のアメリカ会計の主たる動向に関して,「サブプライム貸し出し問題に関連する会
計」(Porter and Chanyshev, p. 2) またはそれを略称した「サブプライム会計」(Kuyk, p. 1;
Leone, p. 1) は,公正価値評価を通じて会計「短期主義 (short-termism) の主たるドライ
ヴァーになりつつある」(NRTEE, p. 34) と特徴づけることができる。
たしかに,銀行の貸し出し様式が (満期までローンを保有し続ける) 簿価記帳/満期保
有モデル (book and hold model) から (ローンを証券化して売却する) 組成/販売モデル
(originate and distribute model) への移行を象徴するかのように,サブプライム会計はそ
の先達として (証券化取引を売却として処理する) 売却会計 (sale accounting) と公正価
値会計が連係した短期主義会計によって利益 (またはマイナスの利益を含む損益) を早期
認識 (先取り) している。
したがって,「売却として会計〔処理〕される証券化〔取引〕は将来に期待される利益
の〔現在〕資本化の容認によって利益〔または損益〕に影響する」(Karaoglu, p. 5) が,
証券化取引を対象にしても直ちに利益に影響しないよう (証券化取引を特殊な金融として
処理する) 保証された借り入れ会計 (secured borrowing accounting) との描写の違いにつ
いて説明すると,売却会計においては,「譲渡人は〔売却した金融〕資産を貸借対照表か
ら取り除き,売却収入と売却資産の簿価の差額として計算された損益を〔損益計算書を通
じて〕報告する」のに対して,保証された借り入れ会計においては,「金融資産は〔その
まま担保として〕貸借対照表に残される〔が ,譲渡人は〔現金〕収入に対する負債〔と
して償還義務〕を認識する」(Shipper and Yohn, p. 61)。
そうした「保証された借り入れ会計と比較して,売却会計は報告負債を減少し,売却益
が〔早期〕認識される時に報告される所有者持分と純利益を増加する」(Chen et al., p.
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1188) 以上,「売却〔会計〕処理はかなりの会計上の便益をもっている」(Dechow and
Shakespeare, p. 1) といってよい。
いずれにしても,一定の要件を満たすかぎり,財務会計基準書第140号『金融資産の譲
サーヴィシング
渡と回収業務ならびに負債の消滅に関する会計』は売却会計を容認しているので,「ほと
んどすべての企業は売却会計の〔構成〕要件が満たされることを確保するように証券化取
引を構成する」(Dechow et al., 2008, p. 3) のが常であった。
そこで,以下,本稿においては,まず初めに,その代表的事例として1995年に設立され
たが,2007年4月7日に連邦破産法第11章の適用を申請して破綻した「New Century
Financial 社〕の〔サブプライム会計の〕失敗から学ぶべき教訓」(Missal, p. 10) を引き
出すために,当社の証券化取引の売却会計について (問題を多分に内包しているローン買
い戻し損失引当金と残留受益権に限って) 検討する。
次いで,外部「金融を必要とする現金が足りない企業」や「現金があまりない企業はよ
り大きな〔売却〕益を報告する」のに対し,「強力な会社統治をしている企業はより少な
い〔売却〕益を報告する」傾向がみられるが,その場合に,売却会計における「利益管理
タ イ ミ ン グ
が〔売却〕益の金額〔と計上時期〕を決定する役割を演じている」(Dechow et al., 2004, p.
2) 事態について論及する。
トレード
続けて,かつてクロス売買会計としてしばしば盛んに行われたように,売却会計におい
て早期認識される評価益は (未確定の) 未実現利益に外ならないので,そうした先取り利
益は無かったと報告するためには,サブプライムローンの証券化 (取引) は事実上あらゆ
る事例において売却よりもむしろ保証された借り入れ (金融) として構成されなければな
らない理由について解明する。
そして,最後に,証券化取引の売却会計と「公正価値〔会計〕によって引き起こされる
プ ロ シ ク リ カ ル
〔信用〕循環同調的
増幅効果という悪〕影響を最小化する」(
p. 129) だけでは
カ ウ ン タ ー シ ク リ カ ル
なく,さらに信用循環対抗的安定効果を納めるためには,売却会計とそこに導入される公
正価値会計の代替会計として保証された借り入れ会計とそれを吸収する (形成当初から伝
プリューデンス
統的に会計保守主義を 慎 重 の原則として包容してきた) 歴史的原価会計に依らざるをえ
ないという結論的所見を開陳する所存である。
ア カ ウ ン タ ン ツ
よって,本稿が「もしも企業がその会計管理者の短期 (short-term) のヴィジョンによ
ル ー ル
って支配されるならば, 重要な長期の構造的なリスクと機会が軽視または無視されるの
で〕長期の将来性をもちえない」(Hodgson, p. 213) という認識を深めるのに少しでも貢
献することができれば幸いである。
Ⅱ
New Century Financial 社における証券化取引の売却会計
2006年に合衆国において2番目に大きいサブプライム住宅ローンの組成者であった
New Century Financial 社の破産手続きを進めるに当たって,2007年6月1日に「あらゆ
る会計と財務報告の反則,誤謬または誤表示を調査する」(Missal, p. 1) 検査人 (examiner) として任命された Mihael J. Missal は,2007年11月21日の中間報告書に続き,2008
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年2月29日に最終報告書を発表した。
それによると,「New Century Financial 社〕は,ローンの買い手 (投資家) と販売契
プレミアム
約を結び,ほとんどのローンを額面価額以上の超過金付きで売却した」が,「売却後すぐ
に借り手がローンに対する債務を履行しなかったか,または New Century Financial 社〕
がローン購入契約に含まれる事項説明と誓約 (representations and warranties) を守らなか
ったならば,New Century Financial 社〕は〔販売契約に従い〕概ねローンを投資家から
買い戻さなければならなかった」(Missal, p. 177)。
そして,「New Century Financial 社〕は,ローンを買い戻した時に……起こりうる損
失をこうむった」。なぜなら,「New Century Financial 社〕はローンの額面相当額を投資
家に支払う必要があったばかりではなく,さらに当初の販売時に支払われた超過金を投資
家に返すことが要求された」からである。
したがって,New Century Financial 社は期待された買い戻しに関わる損失に対して引
当金を設けなければならなかったが,「New Century Financial 社〕は買い戻し〔損失〕
引当金 repurchase loss reserve〕を適切に計上することができなかった」ので,その
点について説明すると,「New Century Financial 社〕は2005年と2006年に四半期会計期
間末までの90日以内に売却されたローンのみが起こりうる買い戻しにさらされていると仮
定して,90日以前に売却したローンに関わるかなりの成長する買い戻し遡及請求 (large
and growing backlog of repurchase claims)
を無視したために,それ〕に対して引当金を
計上することができなかったので,買い戻しされる必要のあるローンの金額を著しく過小
推定した」(Missal, p. 178)。
いずれにしても,「要求された買い戻し〔損失〕引当金の重大な過小推定という結果に
なった」(Missal, p. 205) ので,「New Century Financial 社〕の買い戻し〔損失〕引当金
と同業他社の同種引当金よりもはるかに少なかった」(Missal, p. 210)。
ここで,貸借対照表の右側から左側へ視線を移すと,「New Century Financial 社〕は
……自らが組成した多くの住宅ローンを投資家への販売のために証券を発行した〔特定目
的事業体 (SPE) である証券化〕トラストに売却した」(Missal, p. 231) が,そうした「証
券化〔取引〕が〔会計処理上〕 売却』として構成されたならば,New Century Financial
社〕は多種多様な〔サブプライム〕ローンの証券化トラストへの売却益 (gain on the sale)
を記録し,これらのローンを資産から取り除き,……証券化〔過程〕から取り残された残
留受益権 (residual interests) を……独立した資産として記録,開示した」(Missal, p. 234)。
これに対して,「証券化〔取引〕が〔会計処理上保証された借り入れ〕 金融』として構
成されたならば,多種多様なローンは New Century Financial 社〕の貸借対照表に〔担保
資産として〕残るので,New Century Financial 社〕はこれらのローンの証券化トラスト
への譲渡益 (gain on the transfer) を記録しなかった」。そして,その場合に,「New
Century Financial 社〕の証券化〔過程〕における〔取り残された〕残留受益権は独立し
〔た勘定科目とし〕て認識されなかった」(Missal, p. 234)。
なお,「残留受益権は……〔流通市場である証券〕取引所では取引されなかった」(Mis-
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sal, p. 237) ので,「New Century Financial 社〕は〔同業他社もそうであったように〕そ
の残留受益権の公正価値を記録するために〔外部市場の代わりに内部評価〕モデルを利用
した」(Missal, p. 238)。
もちろん,その場合に,「いわゆるモデル・リスク」を「評価〔過程〕において〔判断〕
ミスが起こる確率」(
, p. 124) として無視できない。当然のことながら,「評価モデ
アサンプション
ルによって算出される結果の精度は主要な 想 定 (条件) に大きく依存した」が,「これ
らの想定 (条件) の多くは〔不適切であったので,結果として〕New Century Financial
社〕の残留受益権の〔意図的な〕押し上げ評価 (inflated valuations) をもたらす傾向にあ
る点で欠陥をもっていた」(Missal, p. 229)。
さらに,「2005年に New Century Financial 社〕の同業他社が15%から21%に及ぶ〔内
部〕割引率を使っていた」ことを考えると,「New Century Financial 社〕は…… 当該〕
会計期間中に少なくとも15%や17%の割引率を使うべきであった」が,「2005年と2006年
の双方で (ある残留受益権には12%,それ以外には14%という) 不当に低い割引率の使用
に固執した」ので,(その他の理由も加わって) 「New Century Financial 社〕の残留受益
権の過大評価をもたらした」(Missal, p. 230)。
Ⅲ
証券化取引が全額利益操作に直結する売却会計
以上考察した New Century Financial 社の事例でも明らかなように,「証券化〔取引〕の
売却会計は……利益認識を早期化する」(Ryan, 2007, p. 219) ばかりではなく,「証券化
〔過程〕から取り残された残留受益権の〔公正〕価値の過大評価によって……
売却〕益
を……増加する」(Karaoglu, p. 6) ことができた。
事実,外部の市場で観察できない (残留受益権や劣後受益権といった) 「留保受益権
(retained interests) の公正価値」の内部評価モデルを利用した「推定過程〔特にそれを支
える判断〕の主観性は,留保受益権の公正価値を過大推定する裁量機会を〔証券化ローン
の〕組成者〔である売り手〕に提供した」。その結果,「売却された〔ローン〕構成部分に
配分される帳簿価額の〔相対的な〕過小評価と証券化〔取引〕に関わる〔売却〕益の過大
評価をもたらした」(Niu and Richardson, p. 1110) が,問題はそれだけにとどまらなかっ
た。
なぜなら,「証券化〔取引の売却会計〕は〔かつて盛行したクロス売買会計がそうであ
ったように,未実現の評価〕益を〔証券化益 (securitization gain) または売却益に分類
(範畴)変更した形で〕認識して,報告利益を増加する能力を〔会計情報作成者である〕
経営者に提供する」(Dechow et al., 2004, Abstract) ことができるからである。
もちろん,証券化取引の「いかなる未実現損失/未実現利益も認識しない」(Matherat,
p. 59) で済む「担保付き借り入れ〔会計〕処理 (collateralized borrowing accounting treatment) の下では,利益操作能力は利用できない」が,それとは異なり,「売却〔会計〕処
理は留保資産の評価と損益計算書に〔証券化の売却益として〕記録される〔未実現の評価〕
タ イ ミ ン グ
益の金額〔と計上時期〕を〔証券化取引操作として〕決定するかなりのしなやかさを提供
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する」(Dechow and Shakespeare, p. 2) ことができる。
以上のように,経営者は報告「利益……を操作するために,証券化の時期を選定し,証
チェリーピック
券化される〔金融〕資産を選り好みして,留保受益権を評価するために用いる想定 (条件)
を操作する」(Ryan, 2007, p. 222) ことができるので,売却会計の下では,証券化取引操
作がそのまま利益操作に直結していることを見逃してはならない。
Ⅳ
証券化取引の売却会計に代替すべき保証された借り入れ会計
コントロール
さて,財務会計基準書第140号は「支 配に焦点を当て,金融資産……を複数の要素に分
割できる財務構成要素アプローチ (financial component approach)」(SFAS140, para. 7) を
採用しているが,分割された各々の要素が信頼性をもって測定できることを前提とする。
しかし,これまでの論考で明らかなように,サブプライムローンの証券化取引に売却会
計を適用すると,上記の前提が成立しない可能性がある。
そこで,「会計とリスク管理の観点のつながり」(BCBS, p. 4) を重視して,国際会計基
準第39号『金融商品:認識と測定』が採用しているリスク/リワード (移転) アプローチ
(risk and reward approach) に従って,証券化取引の会計処理について考察を進めると,
リコース
譲渡資産を買い戻す譲渡人にとっての「償還
義務〕は単にリスク留保の一形態にすぎな
い」(Shipper and Yohn, p. 62) が,「取引の〔支配的な〕性格が会計〔処理〕を決定する」
以上,「所有のリスクとリワードのすべてまたは大部分が譲渡人に取り残されるならば,
その時には, 金融〕資産は売却されたとは考えられないので, 証券化〕取引は保証され
た借り入れとみなされる」(Adhikari and Betancourt, p. 77)。
したがって,サブプライムローンの「証券化〔取引〕が現実に (リスクが移転された)
売却または (リスクが移転されない) 保証された借り入れかどうかを調査する」(Cheng et
al., p. 2) と,「証券化〔過程〕では信用損失のリスクが分割されて,投資家,保証人と組
成〔金融〕機関を含む異なる当事者間に配分される」が,販売「契約上の信用リスクの銀
行組織による留保」(OCC et al., p. 2) として販売「契約上の償還義務 (すなわち “explicit
サポート
recourse”)」ばかりではなく,さらにそれを超えて「証券化〔取引〕の自発的救済 (すな
わち “implicit recourse”)」(Cheng et al., p. 4) または「事実上の償還 (moral recourse)」
(OCC et al., p. 1) として「インプリシットな償還から生じるプット・オプション (すなわ
リピュテーション
ち信
認 を護るために譲渡資産の全額まで損失を吸収する義務)」(Niu and Richardson, p.
1108) が存在していると考えられる。その意味で,証券化資産から生じる見込み損失から
投資家を保護する信用補強 (credit enhancement) プログラムによって,譲渡人が保有す
る償還義務と「留保受益権は〔ローンの売却先の〕特別目的事業体の債権者に対する保証
として機能する」(Landsman et al., p. 9) ので,「譲渡資産に関わるほとんどまたはすべて
のリスクは組成者〔である譲渡人〕に留保する」(Niu and Richardson, p. 1108) ことにな
る。
以上考察したように,「多くの〔サブプライムローンの〕証券化〔取引〕の経済的実質
は事実上保証された借り入れである」(Niu and Richardson, p. 1113) と解釈できる以上,
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そうした「証券化〔取引〕は〔金融資産の〕リスクとリワードの〔留保の〕観点から
〔(借方) 現金+留保受益権=(貸方)ローン(簿価)+売却益に代えて,(借方)現金=(貸方)
ローン買い戻し義務と仕訳される〕保証された借り入れとして会計〔処理〕されるのが明
らかに適切である」(Ryan, 2007, pp. 217218)。
Ⅴ
信用循環同調的増幅 (金融不安定) 効果をもたらす売却会計に代わるべき
信用循環対抗的緩和 (金融安定) 効果を納める保証された借り入れ会計
あらためて指摘するまでもなく,「現行の〔サブプライム〕危機は会計基準の適用上の
ギャップ
弱さと金融商品評価に関係する欠陥を露呈した」(Caruna and Pazarbasioglu, p. 15) ので,
サブプライム会計の先達を務めた証券化取引の売却会計と「公正価値会計にサブプライム
危機の責任を負わせる」(Ryan, 2008, pp. 1607 and 1633) 動きが生じている。
たしかに,証券化取引の売却会計と公正価値会計は信用拡張期における金融資産の「未
実現〔評価〕益の記帳」を通じて「評価が上がる〔金融〕資産の一層の買い入れとそれに
よる〔景気の〕頂点を押し上げる」働きをしたばかりではなく,さらに信用「循環が逆転
した時に〔金融〕資産価値の下落傾向と不確実性が〔景気の〕谷を強調するネガティブな
ダイナミックをもたらした」(Caruna and Pazarbasioglu, p. 15)。
換言すれば,証券化取引の売却会計と「公正価値会計は〔短期主義会計の特性を十二分
に発揮して〕現行の〔サブプライム〕危機〔とそこに至る途中経過〕において〔信用循環
同調的に作用して,信用循環を増幅する〕特殊な〔ネガティブな〕役割を果たしてきた」
(Matherat, p. 53)。
しかし,近時提案されているように,「危機の最中に〔緊急避難的措置として〕会計基
準を変更することは〔適用の一貫性を欠くばかりではなく,さらに〕投資家の信頼に悪く
影 響 す る 危 険 を 冒 す こ と に な り か ね な い の で , 避 け る べ き で あ る 」 (Caruna and
Pazarbasioglu, p. 17)。
では,どうすべきか。これまでの論述から容易に推察できるように,証券化取引の売却
会計と公正価値会計を適用すると,信用拡張期における過大利益の (内外部への) 報告と
それに続く信用収縮期における過小利益または過大損失の報告 (逆平準化された不安定な
利益報告) によって信用循環同調的増幅(金融不安定)効果をもたらすので,それに代替
する反短期主義会計として,(金融資産の公正価値が歴史的原価以下となる信用収縮期に
は,公正価値評価と条件付き保守主義による低価評価は相等しくなることを考慮して)信
用循環の谷間から脱出して再スタートした時から信用循環を通じて (thorough-the-cycle)
長期にわたり平準化された相対的に安定した利益報告によって信用循環対抗的緩和 (金融
安定) 効果を納める保証された借り入れ会計とそれを吸収する (形成当初から伝統的に会
計保守主義を慎重の原則として包容してきた) 歴史的原価会計をもってサブプライムロー
ンの証券化取引を処理すべきである。
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《参 考 文 献》
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高寺貞男「短期指向機関投資家の下での攻めの会社利益管理戦略」 大阪経大論集』第58巻第
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(付記)
本稿は,科学研究費補助金基盤研究 (C) (課題番号:20530431) による研究成果の一部であ
る。
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