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ODAを活用した 中小企業等の海外展開支援
ODAを活用した 中小企業等の海外展開支援 平成25年3月1日 外務省 国際協力局 開発協力総括課 企画官 品田 光彦 1 目次 1.なぜODAで中小企業支援か 2.経済産業省・JETRO等との連携 3.中小企業を対象とする予算事業 4.来年度事業の見通し 1.なぜODAで中小企業支援か 経済のグローバル化と国内の厳しい経済状況から、 企業の生き残りには新興国や途上国の成長を取り 込むことが必要 中小企業をはじめ日本企業の優れた技術や製品を 途上国の開発に活用することで、途上国の開発と 日本経済の活性化を両立 地方の重視・地域の再生を通じた経済成長、中小 企業対策による地域活性化は、新政権の重要施策 の一つ 3 2.経済産業省・JETRO等との連携 我が国中小・中堅企業のネットワークや知見を、JICAが有する途上国への支援ツールと組み合わせ、中小企業等の海外進 出意欲の向上や海外ビジネス拡大を促進。昨年3月より地域中小企業海外展開支援会議にJICAも参加。 経済産業省 外務省 ◎ JICAが地域中小企業海外展開支 援会議に新メンバーとして参加 地域中小企業海外展開 支援会議 • 北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、 四国、九州、沖縄で開催。 • 自治体、中小企業支援団体、地元金融 機関(信用金庫等)等も参画。9地域のJI CAセンター長等も参加。 • 24年3月から実務担当者会議にJICAも 参加。 地方経済産業局 中小機構 JETRO • 意欲ある企業の発 掘・支援等 • ビジネス情報の提供、 展示会出展支援等 産業人材育成 • 現地人材育成、大卒人 材確保等 ◎ 無償・技術協力事業の情報提 供・企業の参加機会の提供 JICA ・援助案件形成 ・途上国政府職員向け人材育成・人 脈形成 ・途上国の法整備・制度構築支援 ・無償・技協での製品・技術の活用 (例:医療・介護機器、省エネ技術) (※)中小企業の参画拡大に向けた方策に ついて検討。 ◎ 優れた企業の紹介 ◎ 途上国の制度整備の要望 両省間での情報共有・意見交換 中小企業等と途上国関係者の人脈形成、中小企業等の技術・製品の途上国での活用を通じた販路拡大 3.中小企業を対象とする予算事業 無償資金協力の活用 中小企業と連携したプロジェクト型の無償資金協力 中小企業を含む我が国企業の優れた技術を活用し, 再生可能エネルギー分野での環境・気候変動対策支援無償を推進。 ・小水力利用による地方電化計画 中小企業と連携したノンプロジェクト型の無償資金協力 途上国の要望を踏まえ,我が国中小企業の製品を途上国に供与。 具体的には: ・国内中小企業の製品の中から,被援助国の経済社会に資する 供与対象として適当な調達品目のリストを作成。 ・職業訓練や医療等のテーマごとにパッケージとして調達品目リストを被援助国に提示。 ・被援助国側の要請内容に基づき,中小企業が生産している品目を供与。 ・資機材の調達は調達代理機関が競争入札にて行う。 ODA事業に有益と考えられる製品分野の例 分野 具体例 環境・エネルギー・ 廃棄物処理 バイオトイレ、雨量監視システム 等 水の浄化・水処理 水質測定機材、浄水器 等 職業訓練・産業育成 研削盤、工作用機器、検査・測定機器 等 福祉 車いす、リハビリ用品、介護機材、点字プリンター 等 農業 灌漑ポンプ、収穫・加工用機械 等 医療保健 X線診断装置、分娩監視装置、歯科機器 等 教育 理科教材、理科実験器具 等 防災・災害対策等 仮設用照明器具、災害救助用機材 等 ODAを活用した中小企業等の海外展開支援に 係る委託事業 ニーズ調査 案件化調査 途上国政府への 普及事業 概要 中小企業等の製品・技術 等の開発援助案件化を念 頭に置いたニーズ調査 中小企業等からの提案に 基づく,ODA事業への展 開のための案件化調査 中小企業等からの提案に基 づく,製品・技術等の途上国 政府関係機関における試用・ 導入の働きかけ 実施日程 (24年度) 24年6月18日 公示 11月下旬~ 事業実施 25年2月頃 報告書提出 公募対象 開発コンサルタントや 商社等からの提案が基本 採択件数 8件(応募24件) 32件(応募117件) 10件(応募28件) 単価 上限5千万円 上限3千万円 上限5千万円 負担経費 ・人件費 ・旅費 等 24年6月18日 公示 11月下旬~ 事業実施 25年2月頃 報告書提出 中小企業とコンサルタント等による共同提案が基本 ・人件費(コンサルタント 経費) ・旅費 等 ・人件費(コンサルタント経費) ・旅費 ・運搬費 ・製品紹介や試用・実証等に 要する経費 等 7 ニーズ調査:エネルギー分野 沖縄の知見を活かした小島嶼地域に適した太陽光発電システム ソロモン諸島、モルディブ、セーシェルの開発課題 遠隔の小島嶼で燃料費がかさむ中、 近年の燃料費高騰で発電コストが上 昇。 化石燃料に依存せず,環境負荷の小 さい安定した電力の供給が必要。 日本は,第6回太平洋・島サミットで、 島嶼である沖縄の経験を活かし、気 候変動等共通課題への取組みを宣言。 中小企業の技術・製品 沖縄の知見を活かした蓄電池を使わ ない島嶼地域に見合った技術。 小型の市販品を組み合わせたシステ ムにより故障からの迅速な復旧が可 能。 シンプルなシステムにより取替コストの 縮減が可能。 企画書で提案されているODA事業 及び期待される効果 技術協力により,太陽光発電システムの系統連系を構築するための制度・基準の導 入。 無償資金協力により,従来より低いコストで発電施設を導入。 途上国でのエネルギー貧困解決に資するとともに,途上国環境で得られた経験を日 本の国内事業にも生かせる。 日本の中小企業のビジネス展開 沖縄県内の太陽光発電に係る中小企業の技術活用・海外展開 を図り,日本の経済振興,地域社会への貢献を目指す。 8 ニーズ調査:医療分野 東九州メディカルバレー透析医療技術 タイ、インド、南アフリカの開発課題 中間層の生活水準の向上で,生活習 慣病に起因する死因が上位を占める ようになった。 慢性腎不全の潜在リスクが高い高血 圧や糖尿病罹患率が高く,透析医療 の患者ニーズが高い。 中小企業の技術・製品 大分県と宮崎県は血液や血管に関す る医療関連産業を中心に「東九州メ ディカルバレー構想特区」を推進。 透析医療技術において,高精度の医 療機器に加え,質の高い患者サポー ト体制を構築。 企画書で提案されているODA事業 及び期待される効果 東九州地域が官民一体で研修実施の中核となり,相手国透析関係者による日本の 透析医療技術の理解向上,政府関係者との人脈形成を図るとともに,各国病院との 連携体制を確立する。 途上国の保健医療環境改善に資するとともに,日本式医療システムの海外展開にも 貢献する。 日本の中小企業のビジネス展開 各国の病院において透析技術の導入が進み,日本の中小企業の製品・技術が活用さ 9 れる。 ニーズ調査:職業訓練・産業育成分野 造船・船舶修理及び造船周辺産業育成 インドネシア、フィリピン、タイ、インド、 ブラジルの開発課題 島嶼国,沿岸国では船舶が重要な輸送 手段。内航海運の整備が優先課題だが, 経済力,技術力が不足。 労働・資本・技術集約型という特徴を有 する造船業とそれを支える周辺産業の 発達が未熟。 中小企業の技術・製品 日本の中小造船業には、輸出船の建 造、内航船舶の建造技術・ノウハウが 蓄積。 船舶の部品製造、国内船主と協力した 調達システムを含む海事産業の複合体 が発達。 企画書で提案されているODA事業 及び期待される効果 技術協力により,内航コンテナ船等の現地建造による造船業を育成。 造船・船舶修繕施設更新による造船業の強化。 JICAシニア海外ボランティアを活用した造船技術者及び技能者の育成。 途上国の産業育成に資するとともに,本邦企業の海外展開にも貢献する。 日本の中小企業のビジネス展開 中小造船業及び造船周辺産業の技術・製品を活用し,相手国造船業の育成に伴う事業機 10 会の増大。 案件化調査:防災分野 安全な貯蔵地下タンク ベトナムの開発課題 中小企業の技術・製品 経済発展で増加したガソリンスタンドに、 安全な貯蔵タンクが設置されていない。 鋼製地下タンクは発ガン性物質を含む アスファルト塗装がされており,健康被 害,漏洩事故発生の危険がある。 危険物の地下漏洩と土壌汚染への対 処が急務。 漏洩検知装置の付いた鉄と繊維強化プ ラスチックの2層のタンクで独自のブラン ドを確立。 高い安全性・経済性を評価され福島第 一原子力発電所の汚染・高濃度塩水の 貯蔵タンクに利用されている。 企画書で提案されているODA事業 及び期待される効果 技術協力により,ベトナムの消防法等の関連法整備を通じ,安全性の高い製品・技術の導 入を促進。 無償資金協力により,経済性・安全性・環境性能に優れた地下タンクを設置し,ベトナムの ガソリンスタンド・化学工場等における操業環境を改善。 ベトナムの環境・防災能力向上に資するとともに,日本の関連技術の普及にも貢献する。 日本の中小企業のビジネス展開 危険物貯蔵地下タンクに係る中小企業の技術を活用し,事業機会の増大。 11 案件化調査:水の浄化・水処理分野 太陽光発電を用いた小規模分散型浄水システム ケニアの開発課題 中小企業の技術・製品 家屋敷地内で水道にアクセスできる人 口は19%にとどまる。 住民は飲料水を含む生活用水を不衛 生な水源に頼っており、疾病の要因と なっている。 電力供給が十分でなく、水の浄化に必 要な電力を確保するのが困難な地域が 多い。 水処理・供給システムの設計、調達、施 工、販売、維持管理のノウハウを提供。 太陽光発電と分離膜を組み合わせた 技術により、無電化地域でも水の浄化 が可能。 汚濁物、バクテリア、ウィルス、鉄、マン ガン、ヒ素などの除去が可能。 企画書で提案されているODA事業 及び期待される効果 無償資金協力,技術協力により,ナイロビ及び近郊を管轄する水道供給公社に対し小規模 分散型浄水システムを導入し,水道事業を改善。 ケニアの衛生環境改善に資するとともに,本邦企業の水関連ビジネスの展開にも貢献する。 日本の中小企業のビジネス展開 部品調達やマーケティング・製造等のプロセスを委託できる現地パートナーを確保し,生産 の一部現地化を図る。 生産コストを削減し,ナイロビ周辺以外への水道供給公社や民間企業へも展開する。 12 途上国政府への普及事業:水の浄化・水処理分野 浄化槽汚泥の脱水装置の普及 フィリピンの開発課題 中小企業の技術・製品 家庭,事務所の浄化槽の汚泥管理がで きておらず不衛生な環境。 適切な汚泥処理が課題であるが,汚泥 脱水機は高価なものとの認識が高く、導 入を見合せているケースが多い。 汚泥脱水機の専業メーカーで民間企 業・日本の自治体が主な顧客。 目詰まりがない,省エネ,メンテナンス の負担が少ない,長寿命という特長あり。 すでに工場廃水等で発生する汚泥の脱 水として途上国でも活用されている。 企画書で提案されているODA事業 及び期待される効果 横浜市が進めるセブ市との協力事業とも連携し,本邦研修や草の根技術協力事業を実施 することで,市等の関係者と人脈を形成し,汚泥脱水機の導入に係る理解向上を実現。 フィリピンの衛生環境改善に資するとともに,本邦企業・自治体の水関連ビジネスの展開に も貢献する。 日本の中小企業のビジネス展開 現地販売代理店を設置し,フィリピン国内の浄化槽汚泥処理場へ汚泥脱水機の普及を促進 する。民間,工業団地の排水処理施設への販売を強化。 13 3.中小企業を対象とする予算事業 技術協力 技術協力・青年海外協力隊の活用 研修員受入:途上国の政府関係者等を招き,中小企業等が参加する本邦で の技術研修等を実施。 専門家派遣:中小企業等の人材を専門家として途上国に派遣。 途上国政府関係者と の人脈作りや 途上国で活躍できる 人材の育成を支援。 民間連携ボランティア制度 青年海外協力隊やシニア海外ボランティアを活用して,中小企業等の人材を 途上国に3カ月~2年程度派遣。 【具体的な支援メニュー】 ・青年海外協力隊に参加する社員の人件費及び一般管理費等を所属先に補填。 ・派遣先(国),派遣期間,活動内容(職種)等は,企業の要望に応じて調整。 ・派遣前訓練,健康管理,安全管理等を実施。 4.来年度の事業の見通し (25年度当初予算67億円) 中小企業を活用したノン・プロジェクト無償資金協力 【25億円:外務省予算(政府案)】 (途上国の要望を踏まえ、中小企業等の製品を途上国に供与) ODAを活用した中小企業の海外展開支援委託事業 【20億円:外務省予算(政府案)】 (ODAによる途上国支援と中小企業の製品・技術のマッチングのためのニーズ調査、ODA案件化調査) 中小企業の製品・技術を活用した民間提案型普及・実証事業(仮称) 【20億円:JICA運営費交付金(政府案)】(中小企業からの提案に基づく、途上国の開発課題への早期適 用可能性の高い優良な製品・技術についての普及・実証事業[中小企業職員の出張旅費、製品・機材の運搬費、 据付費等を支援]) 中小企業のグローバル人材の育成 【2億円:JICA運営費交付金(政府案)】 等 (民間連携ボランティア制度) (24年度補正予算20億円) 中小企業の国際展開支援 【20億円:JICA運営費交付金(政府案)】 (中小企業からの提案に基づく、途上国の開発課題への早期適用可能性の高い優良な製品・技術についての普 及・実証事業[中小企業職員の出張旅費、製品・機材の運搬費、据付費等を支援]) 15 外務省相談窓口 外務省国際協力局ODA中小企業等支援タスクフォース TEL:03-5501-8000(内線2585又は3095) FAX:03‐5501‐8372 MAIL: [email protected] 〒100‐8919 東京都千代田区霞が関2-2-1 JICA相談窓口 国際協力機構(JICA)民間連携室 TEL:03-5226-6960 FAX:03-5226-6326 MAIL : [email protected] 〒102-8012 東京都千代田区二番町5-25 二番町センタービル