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講演要旨 - 北海道

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講演要旨 - 北海道
北海道における微小粒子状物質(PM2.5
北海道における微小粒子状物質(PM2.5)問題について
PM2.5)問題について
北大の村尾でございます。
大学で、大気汚染の調査、解析などをずっと行ってきました。皆さんもそうでしょうけれども、
この国で大気汚染が新聞の一面を飾るということはもう恐らくないであろうというふうに思って
おりましたので、今回は大変驚きまして、この問題をどういうふうに扱ったらいいのだろうかと
いうことを考えてまいりました。今日は、できるだけ皆さんのお役に立つようなお話をしたいと
思っております。
新しい大気汚染物質 微小粒子状物質(PM2.5
微小粒子状物質(PM2.5)
PM2.5)
ここに新しい大気汚染物質して PM2.5 と書いてございます。何が新しいかというと、それは環
境基準のことで、年平均値と日平均値を定めるものになっております。これは、これまでの多く
の大気汚染物質の環境基準が、1時間値と1日平均値を指定していることと比べますと時間スケ
ールが一段階大きくなっていて、仮に1時間値がかなり高くても、日平均値が基準を満たしてい
ればいいというような意味合いを持っております。それは何を意味しているかというと、PM2.5
は基本的には長期的な影響を問題にしている物質であるということです。それに対して、これま
で環境基準が決まっていた物質というのは、短期的な影響を中心に考えていたという意味で、問
題にしている健康影響がかなり異なるという点をまず最初に申し上げておきたいと思います。
平成 22 年度の PM2.5 の環境基準達成率は 32%と低くなっております。
PM2.5 の顕微鏡写真
私どもは、古くから大気中の1ミクロン以下の粒子に注目して、さまざまな観測を行ってまい
りました。例えば、左側は長崎県の福江島で採ったエアロゾル、右側が札幌で採ったエアロゾル
の電子顕微鏡写真です。福江島では、私どももそうですが、全国の大学、研究機関が中国からの
流れ出しを見ようということで、たくさんの機器を置いて分析を行っています。
左側の福江島で一番大きく見えるような大きさがちょうど直径が1ミクロンの粒子になりま
す。右側の札幌の方を見ていただくと、糸くず状の粒子が随分あるのがわかるかと思います。こ
れが、いわゆるディーゼルなどから出るすす粒子になります。丸く見えているのは、酸性雨に関
係するような硫酸あるいは有機物の粒子、それから、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、
左側に真四角で見えるような小さな粒が見えますが、これが海の飛沫みたいなものです。このよ
うに PM2.5 はさまざまな成分から構成されています。
PM2.5 濃度は減少傾向にあった
実は、最初に PM2.5 の環境基準が作られるという話を聞いたときに、おそらく、これは都市部
では全滅だろうと私どもは考えておりました。例えば、左端が平成 13 年ですが、赤で書いた都市
部の値を見て、年平均値の15μg/m3 の基準は達成できそうもないと思っておりました。
先ほど、32%の環境基準達成率が低いと申し上げましたが、32%まで達成できるようになった
というのが実感でして、全体的には濃度は下がる傾向にあり、改善の方向にありました。その背
景としては、もちろん、ディーゼル車の排ガス規制や、燃料脱硫(サルファフリーの軽油)など
があげられます。オレンジ色が年平均値の環境基準ですので、都市部でもかなりいい状況になり
つつあったというときに北京の映像が流れて、みんなびっくりしてしまったというのが今回の問
題かと思います。
環境基準達成状況(平成 22 年度)
この図は環境省の資料で、どの辺で環境基準が達成でき、どの辺で環境基準が達成できてない
かを見ると、明らかに環境基準が達成できない黒い点は西日本にあります。これは、もちろん都
市は大きな汚染源であるわけですが、その都市の汚染を大陸からの汚染が押し上げるような形で、
環境基準を上回ってしまうというのが状況を示しています。逆に、北海道は書いていませんが、
東北から北海道の状況は、それに比べるとかなりいいというのが現状です。
PM2.5 の変動(北京、2005
の変動(北京、2005~
2005~2007 年)
今、私たちは、年平均値が 15μg/m3、あるいは日平均値が 35g/m3 になったら基準を達成しない
とか、暫定基準を超えると問題だと言っているわけですが、実は、北京というのは、もともと汚
染が高いところでした。今年の1月には、アメリカ大使館の測定で濃度が 500μg/m3 を超えたり、
あるいは中国の発表だと 350μg/m3 くらいでしょうか、大変な高濃度だったわけですが、この図
にあるとおり、2005 年、2006 年、2007 年も日本の 10 倍くらいの濃度になっておりまして、もと
もとひどかったのが、ことしの冬は特にひどかったという状況でした。
PM2.5 の特徴(1)
PM2.5 の特徴として二つ挙げます。一つ目は、2.5 ミクロン以下と粒形が小さいことです。粒形
が小さいということは、一度大気に排出されますと、重さがないものですから、なかなか地面に
落ちてこない。そのため、大気中を1週間から2週間漂います。1週間から2週間漂ってしまう
と、風に乗って、かなり遠くまで運ばれます。
東アジアの PM2.5 直接排出量
この図は、直接排出される PM2.5 量を示していて、赤い方がたくさん排出があります。もちろ
ん推定ですので、全くこのとおりとはいきませんが、赤い場所の多くが北京から南の場所にある
ことがわかります。したがって、南から風が入らないと北海道には来ないということになって、
今日のように高気圧の後ろに入って、南東風が入ったときに、中国からの汚染物質や黄砂が観測
されることになります。
発生源地域別寄与(東京、3月)
私どもは、いろいろな計算を行っているのですが、例えば、ある場所で観測される粒子濃度に
対してどの地域の排出が一番影響しているだろうかという計算をします。ここでは、中国からの
流れ出しが一番多い 3 月の結果を示します。東京の場合は、首都圏で排出されているものが60%
ぐらいあり、中国の中央部や少し北から来ているものもありますが、いずれにしても、東京での
PM2.5 対策というのは、自分のところで出ているものについてまずは行わなければならないとい
うことになります。
発生源地域別寄与(長崎、3月)
長崎で同じことをやりますと、中国の中心部から来るものが半分近くを占めており、近隣で排
出されているものは非常に少ないということになります。したがって、長崎で濃度が上がる場合
は、大陸から来ているものもがほとんどということになりまして、これは対策のしようがありま
せん。西日本から九州にかけてはそのような状況と考えられます。
発生源別地域別寄与(札幌、3月)
それに対して、札幌周辺で計算してみるとどうなるかというと、中国の中心部から来ているも
のはそんなに多くなく、むしろ、中国の東北部あたりから来ているものが4割ぐらいを占めると
いうことになります。札幌やその周辺が出ているものは2割ぐらいしかないだろうというのが私
どもの推定です。
大陸からの輸送を確認する清浄地での測定
今のは計算ですけれども、そういったことを事実として捉えられないかということで、私ども
が行っているのが、近隣の発生源がない場所での測定です。北大の演習林が天塩にございますの
で、そこにあるタワーで、すすの濃度変動を測っております。これは、2012 年 12 月の例ですが、
普段はすごく濃度が低いのですが、時々、数日規模で濃度が上がるときがあります。後でお見せ
しますが、中国などからの長距離輸送があると、北海道全体にわたって濃度が上がるというよう
な広域の濃度上昇が見られます。さらに、高低気圧による輸送ですので、1日だけ濃度が上がる
のではなく、数日規模で濃度が上がります。
昨年 12 月中旬の高濃度現象
ちょうど、この 12 月中旬が小樽とか室蘭で時間値で 60μg/m3 を超えた日で、北海道新聞の方
から、この日は広域的に上がっていますというのを聞いて、私の方でも調べ少し計算をしてみま
した。よい例なので、中国から汚染がどんなふうに流れてくるかというのを見ていただければと
思います。
12 月3日から始まりますが、このように汚染は塊状で流れてきます。12 日あたりに北海道に流
れてくるのが見られます。これが先ほど見ていただいた天塩で濃度が上がったときです。秋山さ
んにお聞きしたら利尻でも日平均値が 40μg/m3 を超えていたようです。したがって、中国から北
海道への輸送は、比較的頻度は少ないのですが、一回一回の規模は、それだけで日平均値の環境
基準を上回るぐらいの輸送もあるということになります。
PM2.5 問題とは
逆転層による汚染空気の封じ込め
接地逆転
大気汚染の変化
一方、ある日一日、すごく濃度が上がってしまうというような都市規模の局所的な高濃度もあ
ります。羽田空港に飛行機で降りて行くときに、こんな汚いところに降りていくのかと思うとき
がありますが、秋から冬にかけて逆転がきつくなります。逆転が強いと、排出量が少なくても、
狭いところに閉じ込められますから、濃度が上がってしまうわけです。おなじみの言葉で言うと、
あしたは放射冷却で冷え込むでしょうというような天気予報がある日です。秋から冬にかけて、
晴れて風が弱い日は、地面付近が非常に冷えて、下に冷たくて重たい空気、上に軽くて暖かい空
気がありますから、全く混ざらない状況になります。非常に狭いところに汚染物質が閉じ込めら
れてしまって、仮に排出が少なくても濃い汚染層ができてしまうということです。昼間、ようや
く少し温まってきても、やはり、ある高さまでで汚染が閉じ込められて高濃度が続きます。
ヒートアイランドがまねく大気汚染の悪化
もう一つの都市の問題としてはヒートアイランド現象があります。街中ではエネルギー使用や
土地利用の改変が多いということで、街中が暖かくなります。そうなると、上昇流が起こりまし
て、周りから街に向けて気流が入ってくるような状態になります。それを、私たちは、ヒートア
イランドで、都市内の汚染がちょうど閉じ込められて、この上に逆転層があるという形なので、
ダストドームという名前で呼んでおりますが、そういったことで汚染がひどくなることもありま
す。
盆地での接地逆転
また盆地では、先ほど申し上げたような逆転層が平地よりも厚く発達して濃度が上がるという
ことが起こりやすく、旭川や北見などではこういうことで濃度が上がることもあるのではないか
と思っております。
PM2.5 その影響は?
粒径が小さい PM2.5 のもう一つの特徴は、肺の奥まで入って健康に影響を及ぼすことです。一
般的に私たちが住んでいる都市大気には、1cc 当たり大体1万個くらいの粒子があります。呼吸
のたびに、私たちは数百万個の粒子を体の中に入れているという、何か聞くだけで気持ち悪くな
る話です。
肺胞に沈着したすす粒子(黄色)
大変珍しい写真ですが、これは肺胞にすす粒子が入っているのを撮ったものです。大きい粒子
ですと、例えば、鼻から呼吸すると、流路が複雑ですので、いろいろなところにぶつかって肺の
奥までは入っていかないのですが、小さな粒子はこんなふうに肺胞まで届いてしまいます。
長期暴露研究
放射線の影響もそうですが、大気汚染の長期影響を見いだすのはなかなか難しいことです。例
えば、今年の冬の北京では短期的な影響が出るくらいの濃度でしたが、長期影響を見つけるのは
非常に難しく、それは疫学で行われています。これは、世界最大の疫学調査で、アメリカで 55 万
人を 16 年間追跡調査したものです。そこで出た結果は、PM2.5 が 10μg/m3増えると死亡が 1.06
倍になるというもので、最近EPAは、こういったデータから、年平均の基準値を 15μg/m3から
12μg/m3までさらに厳しくしました。
中国での健康影響
実は、PM2.5 によってどれだけの命が失われているかというような評価も行われています。こ
れは、2005 年の中国について、もし粒子汚染がなければ、寿命があと何年延びるかということを
表したもので、中国中で真っ赤です。一番ひどい重慶あたりだと 100 カ月になりますから、粒子
汚染によって8年ぐらい寿命を失っているというような予測になっていて、それはヨーロッパの
ほぼ 10 倍です。こういったことを根拠にして、対策費がかかっても十分それに見合う利益がある
というふうな指摘を行っているわけです。
PM2.5 問題とは
以下はおまけですが、今回起こった PM2.5 の問題を、私自身はリスクコミュニケーションの問
題と捉えた方がいいのではないかと思っておりました。それは、先ほどお話ししたように、この
国の大気汚染の状況はよくなってきておりますし、急に今年だけ濃度が上がったということでも
なかったためです。
リスクコミュニケーションは連戦連敗
私どもは、環境問題を含めて、リスクコミュニケーションが大事だと学生に教えたりしていま
すが、実はリスクコミュニケーションは連戦連敗です。例えば、ダイオキシン問題、環境ホルモ
ン問題、BSE問題、放射線の問題などを思い出していただければいいかと思います。いずれに
しても、リスクコミュニケーションはすごく難しいというのがこれまでの経験でした。
PM 問題の発火剤は北京の映像
何がしかの問題が起こったとき、市民がそれを大きな問題として捉えるときには、必ず発火剤
と燃料があります。今回の PM2.5 の問題では、北京の強烈な映像が流れたのが発火剤になりまし
た。
燃料は人の心
燃料として加わったのは、それが自分の問題だというふうに感じる人の心です。PM2.5 という
言葉をおそらく初めて皆さんがお聞きになって、それは一体何者だということから不安が始まり
ます。少し話を聞いてみると、遠い将来に影響が出るかもしれない、長期影響が問題なのだとい
うことらしい。直ちには健康に影響しないというような言い方をしてしまうと、人の心は実際の
リスクをかなり過大視して、大きな不安を抱くものです。したがって、PM2.5 の問題が出たとき
に、この問題をリスクコミュニケーションとしてどのようにお伝えしなければいけないかという
ことを意識してきました。
細かい点はお手元で確認していただければいいのですが、自分でコントロールできるか、死に
至るものなのなのか、それから、将来世代への影響はどうか、リスクは増大しつつあるのか、観
察できるものなのか、あるいは、後で影響が表れるものなのか、というところで、実際のリスク
に心理的なバイアスが加わります。
恐ろしさを感じるものは?
恐ろしさを感じるものは、個人では予防できそうもない、よく知らない、あるいは新しいもの、
この辺は PM2.5 問題に関連します。さらに、人工的なもので、将来に影響がありそうだ、後の世
代に影響がありそうだという点も同じです。それから、情報源から矛盾した情報が伝わるという
ことが起こると、非常に不安が高まって、最悪、究極の自己責任状態になってしまうと、過剰防
衛をしなければいけないということになります。
低確率領域での過大評価
人の心について、心理学の本を読むとこんなことが書いてあります。この図は横軸が確率で、
縦軸は主観的なリスク認知です。リスクの大きいところではリスクが半分になれば感じ方も半分
になるのですけれども、非常に低いリスクのところでは、リスクの大きさが変化しても主観的な
リスク認知は余り変化しません。ですから、リスクが小さいですよと言っても、受け取る側はそ
ういうふうに感じないということになってしまうわけです。
リスク情報に振り回されて、市民が過剰な不安を抱え込まないために
そんなときに、過剰な不安を抱かないために私たちがしなければいけないことは随分あると思
うのです。
まず第一に、リスク情報が迅速に伝えられることです。これにつきましては、皆さんのご努力
で、ホームページが非常に充実してきまして、1時間値がどんどん目に入るようになりました。
伝えるべきことは
ほかに伝えるべきことはどんなことでしょうか。まず、どんな影響なのか、対象は誰なのか、
何をどれくらい気にしなければいけないのか、そして、今なぜ情報提供をするのかというような
点です。
リスク情報に振り回されて、市民が過剰な不安を抱え込まないために
これは、後でもお話ししますが、少しこういう点に注意してホームページを工夫していただけ
ればいいなと思います。その際に、リスクの大きさを理解するための物差しは必ず必要だと考え
ております。
諸外国で用いられているAQI
実は、中国やアメリカでは、環境基準とは別に、大気質指標 AQI(エア・クオリティー・イン
デックス)というものが使われています。大事なところは、濃度に対して健康アドバイスが、い
わゆる脆弱な人々、つまり心臓、肺疾患の患者、高齢者及び子どもに対するアドバイスと、普通
の健康な人へのアドバイスをきちんと区別して与えられていることです。たとえば、緑のところ
は、わが国の年平均値の環境基準までの濃度に対応する良好な濃度範囲です。次の黄色のレベル
は、脆弱な人たちが屋外の活動、特に激しい運動、たとえば野球はいいけれども、サッカーは控
えることを検討してくださいというレベルで、日本の日平均値の環境基準レベルまでに対応しま
す。オレンジ色のレベルになると脆弱な人たちに対してそういった活動の減少を強く勧告します
が、ここまでの今回の暫定基準以下のレベルでは、一般の人々に対するアドバイスは何もありま
せん。暫定基準以上となる赤のレベルでは、いわゆる脆弱な人たちに対しては長時間あるいは激
しい屋外運動の中止、健康な人に対しては、そういった活動の減少の検討がアドバイスされます。
環境基準あるいは暫定基準という言い方をすると、それをちょっとでも超えたら大変なことが起
こるのではないかという伝わり方になってしまいます。そうではなくて、それぞれの人の危険レ
ベルがどこにあるかというリスクの物差しを示し、さらにその値をどう解釈すればいいのかとい
うことをぜひ測定値と同時に丁寧にお伝えいただければと思っています。
Air Pollution in Asia:RealAsia:Real-time Air Quality Index Visual Map
この図はアメリカ大使館だったと思うのですが、既に民間レベルではアジアの地図の上にその
日の濃度を載せて発表されています。先ほどの色使いと同じです。赤が大阪で見られますが、一
番ひどい茶色が中国に散らばっております。こういったリスクの物差しをきちんと見れば、さほ
ど心配するようなことにはならないのではないかと考えている次第です。
中西準子の感想
リスク科学の中西準子先生がこんなことを書いていました。「PM2.5 による行動規制というの
は、放射線の場合以上に負の大きな影響を与えるような気がしてならない。自主的な判断ができ
なくて、結局、環境省の勧告だけが基準になってみんな動くようになる。」最後は、冗談でしょ
うけれども、「暫定基準が決まったのを見たときに、日本にサッカー選手がいなくなると私は思
った」と述べています。子どもたちが運動不足になる方がよほどリスクが高いのではないかとい
うことさえ言われております。
リスク情報に振り回されて、市民が過剰な不安を抱え込まないために
もう一つ大切なのが信頼できるリスク管理体制で、動物園やフグにはリスクがあっても私たち
は何も気にしていません。しかし、福島の事故時の経験から言うと、やはりリスクコミュニケー
ションというのは相手に対する何らかの信頼感がないと全くコミュニケーションが成り立ちませ
んので、その辺の信頼感は非常に大事だと思います。
まとめ
以上お話したことをまとめますと、PM2.5 は長期影響を問題にしていて、1日のみの高濃度汚
染というのはさほど問題になりません。北海道では今測定が行われている自治体の全てが年平均
値15μgをクリアしておりますので、全般的に問題はありません。環境基準の 35μg/m3gとい
うのは、感受性の高い人のみが屋外での激しい活動を減らした方がよいという程度の値だと見て
ください。中国からの長距離輸送のみで 35μg/m3gを上回るのは一冬にせいぜい数回であろうと
いうことです。それから、暫定基準は、感受性の高い人が屋外で激しい活動を中止する。そして、
健康な人はそれを減らすことを考えるようなレベルだということを、ぜひホームページなどでお
知らせいただければと思います。また、中国からの長距離輸送だけで暫定基準を上回ることは、
少なくとも北海道では考えなくていいということです。
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