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Web 環境を利用した協調形3D グラフィックス教育支援システムの試作

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Web 環境を利用した協調形3D グラフィックス教育支援システムの試作
Web 環境を利用した協調形3D グラフィックス教育支援システムの試作
高山文雄 いわき明星大大学
科学技術学部
大表良一 いわき明星大大学
科学技術学部
福島県いわき市中央台飯野5-5-1, [email protected]
諾した場合、POV-RAY スクリプトを公開する
1.はじめに
ICT が急激な進歩を遂げる昨今、高度なシステム構
築が出来る技術者の育成がますます重要になりつつあ
る。一方、わが国は少子高齢化時代を迎え、大学全入
(iii) 閲覧したグラフィック作品等に対するコメントの書き込
みと閲覧が出来る
(iv) (i)、(ii)、(iii)は Web 上で実現する
時代にいたっている。入学してくる学生に 興味を持っ
て学ばせるカリキュラムや教材が重要である。近年、
2.2. システムの構成
PC の高機能化により3D グラフィックスソフトウェア
システムを構築するに当たり、処理系は html と PHP
の高度な CG 生成機能の充実は著しい。理工系の学生
で開発した。作成したシステムは、3 つの部分から構成
に3D グラフィックスを学ばせて、3D 技術や関連する
される(図 2):
数学などの学問に興味を持たせることが出来るのでと
(a)画像表示部
考えている。著者らは、フリーソフトウェア POV-RAY
POV-RAY で作成した画像ファイルが、その名前をクリ
を用いて、少人数での3D 作成の授業をやった結果、
ックすると閲覧できる。また、アップロードした学生
学生は興味を持つことが分かった。教育経験から、他
が、POV-RAY ファイルのスクリプトを見せること予め許
学生の作品を閲覧することやコメントなど書き込めれ
諾した場合は、それも表示できる。これらのことが出
ば一層の教育効果が上がることが考えられる。本報告
来ることにより、他人の作品に刺激されたり、あるい
は、Web 環境を利用した協調形3D グラフィックス教
は参考にしてよりよいものの作成に繋がると思われる。
育支援システムの構築について述べたものである。
画像表示部
3D グラフィックサーバ(Linux Web サーバ)
処理:PNG 形式画像ファイルへのリンク、許
諾のある POV-RAY ファイルへのリンク
POV-RAY CG 作成と閲覧
……
(受講学生 1 )
画像登録部
処理:学籍番号入力、ファイル名入力、
POV-RAY CG 作成と閲覧
POV-RAY ファイル表示の許諾、ファイルのア
(受講学生 n)
ップロード、ファイル名の変更、POV-RAY
図 1 協調型3D グラフィック教育支援システム
による画像ファイル生成
2. 協調型 3D グラフィック教育支援システム
掲示板機能部
2.1 システムの仕様
処理:コメントの入力と書き込み
協調型のシステム(図1)の仕様として、3D グラフィック作
成ソフトには POV-RAY を利用し、次のことが出来る:
(i) ある受講学生が作成した POV-RAY のグラフィックスの
描画結果を、速やかに受講している全学生に見せること
が出来る
(ii) その受講学生が POV-RAY ファイルを見せてよいと許
社団法人 私立大学情報教育協会
平成20年度 教育改革IT戦略大会
図 2 協調型3D グラフィック教育支援システの構成
(b)画像登録部
完成したPOV-RAYファイルをサーバへの登録を行う。
アップロード登録されたファイルをPOV-RAYシステム
に読み込ませて、画像ファイル(png形式)を生成する。
(c)掲示板機能部
ルをアップロードする学生は、学籍番号の入力、
他学生が作成したグラフィック作品をみて、賞賛した
POV-RAYファイルスクリプト表示の許諾のラジオボタ
り、質問したり、あるいはアドバイスを行う機能であ
ン(チェックで許諾を与える)、POV-RAYのファイル名を
る。自分とコメントしたい学生の学籍番号、コメント
テキストボックスから入力する。Submitボタンを押す
記述の入力を行う。
ことによって、ファイルをサーバへアップロードする。
さらにアップロードしたファイルをサーバ上の
POV-RAYシステムのコマンドラインから読み込ませて
3. システムの実装
図2に示す構成でシステムを実現した。画像表示部の
画像ファイルを出力する。
処理としては、システムのディレクトリー内を調べて、
登録されたファイル名などをhtmlに書き、保存する。
図3は、生成されたhtmlファイルをブラウザで表示した
ものである。
図 5 画像登録部のページ
図 6 は、掲示板機能部のページである。建設的なコメン
トが書き込まれれば、学習意欲の増すことが期待される。
図 3 画像表示部のページ
camera{
location <0, 5, -3>
look_at <0, 0, 0>
}
light_source { <10, 20, 0>
図 4 画像表示部における POV-RAY 画像とそのス
図 6 掲示板機能部のページ
クリプト(一部)
図3において、POV-RAYファイルの登録は、画像登録
部のページ(図5)にジャンプする(下線はハイパーリン
4. まとめ
クを示す)。Discussionは、図6の掲示板機能部にジャ
Web 環境下で3グラフィックの協調学習を目指した教育
ンプする。***.pngは、学籍番号***の学生の3Dグラフ
システムを試作した。その特徴は、受講学生が作成した3
ィック画面が表示される。****.povは、そのPOV-RAYフ
DCG を Web サーバ上に登録すれば、即座に受講生同士
ァイルの公開を許諾したスクリプトが表示される(図
が閲覧できるシステムである。今後いろいろなケースを考
4)。
えて不備な部分を洗い出し、改良して本年度後期から
図5は、画像登録部のページである。POV-RAYファイ
社団法人 私立大学情報教育協会
平成20年度 教育改革IT戦略大会
の利用に備えたい。
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