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コンピュータを中心として はじめに 今回のお話

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コンピュータを中心として はじめに 今回のお話
総合科目「未来社会を拓く情報エレクトロニクス」
エネルギー問題を解決するデバイス・ 情報技術
コンピュータを中心として
はじめに
東京大学 大学院情報理工学系研究科
東京大学工学部 電子情報工学科
教授 坂井 修一
[email protected]
http://www.mtl.t.u-tokyo.ac.jp/~sakai/
2012/6/4, 11
コンピュータを中心に
東大・坂井






2012/6/4, 11
自己紹介
コンピュータとは何か
コンピュータと私
省電力コンピューティング
MITと私
研究者をめざす人に
おわりに
コンピュータを中心に
コンピュータを中心に
東大・坂井
自己紹介
今回のお話

2012/6/4, 11
PIE64
(相互結合網のアイディア)
教科書(単著):3
専門書(共著):2
入門書(単著):2
EM-4
RWC-1
(基本アイディア+方式・論理設計) (基本アイディア+方式設計)
IEEE, ACM, 情報処理学会(フェロー),電子情報通信学会(フェロー),
人工知能学会
IEEE Outstanding Paper Award、日本IBM科学賞、市村学術賞 等
東大・坂井
2012/6/4, 11
歌集(単著):7、評論集2、鑑賞本:1、入門書:1
選集:1、
現代短歌全集(収録)
東京書籍「国語総合」(高校教科書)等に採録
コンピュータを中心に
迢空賞 若山牧水賞
寺山修司短歌賞 現代歌人協会賞
日本歌人クラブ評論賞 等
「NHK短歌」選者(第三週担当)
東大・坂井
コンピュータといえば‥
コンピュータとは何か
2012/6/4, 11
コンピュータを中心に
東大・坂井
2012/6/4, 11
コンピュータとは何か?

コンピュータとは?

コンピュータは万能か?
×
– Computer + Sensor + Actuator

プログラム = アルゴリズムを記述したもの
– アルゴリズム = 問題を解決する手順
○
プログラム可能な問題は何でも解決できる

– 人間の仕事はプログラミングだけ?
→ 定式化できない問題は扱えない!!
•
•
•
コンピュータ = プログラムを実行する機械
– 電気で動かなくても良い (Babbage 19C)

•
東大・坂井
プログラムとは何か?
× 計算をする機械
○ プログラムを動かす機械

コンピュータを中心に
例.行列の積を計算するプログラム
for (i = 0; i < N; i++)
for (j = 0; j < N; j++){
c[i][j] = 0;
for (k=0; k < N; k++) c[i][j] = c[i][j] + a[i][k]*b[k][j];
}
確率的な事象
あいまいな事象
因果関係がはっきりしない事象
人間はコンピュータか?
– YES!
十徳ナイフ
2012/6/4, 11
コンピュータを中心に
東大・坂井
2012/6/4, 11
コンピュータを中心に
東大・坂井
コンピュータはどうやってプログラムを実行するか?
ソフトウェアとは何か


(1) プログラムを格納する
(2) 次のことを順番に繰り返し実行する
ソフトウェア = プログラム
種類
–
–
–
–
– 基本ソフトウェア = Operating System
• コンピュータとアプリケーションを制御するプログラム
• Windows, Linux, IOS, Android
プログラムの一つ一つの手順を取り出す (フェッチ)
取り出した手順を解釈する (デコード)
解釈の結果出てきた計算を行う (実行)
実行結果を格納する (結果格納)
(3) 格納された結果を出力する
– アプリケーション
取り出し (フェッチ)
• ユーザが直接使う応用プログラム
• ウェブブラウザ、メーラ、ワープロ、表計算、作図、動画編集・再生、事務計
算、科学技術計算
データ
手順
– コンパイラ

演算器
(実行)
高級言語 → アセンブラ → 機械語 (2進数)
– プログラムをコンピュータにわかる形に直すのもソフトウェア
プログラム
解釈
(デコード)
• コンパイラ
• アセンブラ
格納
コンピュータを中心に
2012/6/4, 11
東大・坂井
人間が書くプログラム、コンピュータが実行す
るプログラム

人間の書くプログラム
変換
for (i=0; i<N; i++) a[i] = a[i]+2;

プログラム(命令)は、2進数に符号化され
てメモリに格納される
機械の実行するプログラム
– コンピュータが解釈実行できる「命令」の列
ForLoop:
addi r1, r0, 0
addi r2, r0, N
lw r4, 0(r3)
addi r4, 2, r4
sw r4, 0(r3)
addi r1, r1, 1
addi r3, r3, 4
blt r1, r2, ForLoop
コンピュータを中心に
プログラム
(命令)
命令
…
2012/6/4, 11
東大・坂井
プログラム(命令)はどうやって格納されるか

– 計算の流れをわかりやすく抽象化
コンピュータを中心に
2012/6/4, 11
メモリ
プロセッサ
東大・坂井
2012/6/4, 11
コンピュータを中心に
東大・坂井
プログラム実行のしくみ (足し算の実行)
コンピュータ中枢部の構成
シーケンサ
①命令フェッチ
命令レジスタ
命令アドレス
+
入力 入力 出力
1
2
プログラム
カウンタ
②読み出しレジスタ
アドレス
命
令
メ
モ
リ
命令デコーダ
③演 算
制御
レジスタ
ファイル
演算器
② 命令デ コード
命
令
メ
モ
リ
選
択
回
路
+1
分岐先アドレス
命令フェッチ
命令レジスタ
分
岐
信
号
③ 演算実 行(+)
④書き込みレジスタ
アドレス
③結 果デ
ータ の決定
演算
制御
命令デコーダ
演算結果
フラグ
④結 果の格 納
メモリ制御
メモリ
アドレス
レジスタ
ファイル
演算器
デ書 デ読
ーき ーみ
込
出
タ
み タし
レジスタアドレス
(3種)
デ
ー
タ
選
択
結果の格納
データメモリ
データメモリ
2012/6/4, 11
コンピュータを中心に
東大・坂井
もっと小さく


コンピュータの大きさを小さくする
コスト減
低消費電力化
速度向上


シリコンチップ
どうやって小さく、速くするか
– シリコン(珪素)の回路: 信号線をできるだけ細くする
2012/6/4, 11
コンピュータを中心に
微細化 = 速度向上
微細化以外に..
–
–
–
–
–
–
–
• 信号は光速以上では進まない → 短い距離にすればいい

東大・坂井
もっと速く
コンピュータの歴史 = もっと小さく、もっと速く
微細化
–
–
–
–
コンピュータを中心に
2012/6/4, 11
東大・坂井
2012/6/4, 11
キャッシュ
パイプライン
並列処理
アウトオブオーダ処理
リネーミング
投機処理
ソフトウェア最適化
コンピュータを中心に
東大・坂井
Deeper Lecture
今のマイクロコンピュータの構成例
パイプラインステージ

PC
フェッチ
命令レジスタ
リオーダバッファ+
分散型命令ウィンドウ
書き込み(リタイア)
リオーダバッファ

add r10, r4, r11 add r12, r11, r13
add e17, wait(e12), 38
ITと電気
× ITは電気で動く情報システム
○ Turing Machine + Internet Protocol
歯車と狼煙でコンピュータとインターネット
を作ることができる
レジスタファイ
ル
デコード1
ディジタルとは?
× N進数表現
○ 「数」で「量」を表すこと
命令キャッシュ
アナログ
ディジタル
add e18, 38, 3
フォワーディング
デコード2
タグ
タグ
命令
タグ
命令
命令
× add e11, 32, wait(e5)
○
mul e13, 5, -2
× sw e15, 0 (wait(e10))
○
×
mul e14, wait(e8), 2
○ lw e16, 4 (0x343)
sub e12, 2, -40
リザベーション
ステーション(3)
リザベーション
ステーション(2)
リザベーション
ステーション(1)
実行
演算器群
結果格納
2012/6/4, 11
MUL
ALU
Load/
Store
データ
キャッシュ
コンピュータを中心に
Sir Charles Babbage
東大・坂井
コンピュータ(CPU)の歴史

(1791~1871)
2012/6/4, 11

– Pascal (1642)
– Babbage (1834構想)
• 歯車式
ナチス・ドイツの暗号機械
電気機械式
文字の交換による暗号化
解読: 数学者の活躍
• Marian Rejewski による解読(1932)
• ナチスによる難読化
• Alan Turingによる理論的解析(1937)
Babbageの解析機関
ENIGMA
– 「解読成功」 = 極秘事項
– Ada
• コベントリー空襲 (1940.11)
Zuseの計算機
– Z1 (1938): 電気+機械
– Z2(1941): リレー式

現在の暗号技術 (RSAなど)
– 文字の交換などによっては解けな
い
• 2進数
• 浮動小数点
• プログラミング言語!
2012/6/4, 11
東大・坂井
ENIGMA (1918-1944)
–
–
–
–
• 歯車式加減算器

Beacon, The Lord of the Rings
戦争とコンピュータ ― ナチスの暗号解読 ―
機械式計算機
• 演算機能と記憶機能
を分離
• プログラミング!
コンピュータを中心に
Babbageの解析機関
Zuse Z1: 復元機
コンピュータを中心に
東大・坂井
2012/6/4, 11
コンピュータを中心に
Alan Turing
東大・坂井
天才の最期 by Wikipedia
戦争とコンピュータ ― 弾道計算 ―

ENIAC (1945): by Eckert & Mauchly

– 真空管17,468本, 167m2, 30トン, 160KW
– 弾道計算用: 後に汎用化
– 1秒間に5000回の足し算
–
–
(参考) 現在のPC: 1秒間に30億回
– 当時の真空管の寿命*: 2000 時間程度
– 平均6分に1本が故障 → ENIAC停止
– さまざまな工夫によって50~90%の稼働率に
ENIAC


John von Neumann(1903-1957)
コンピュータを中心に
–
–
ENIACの修理作業
* http://www.infonet.co.jp/ueyama/ip/history/eniac.html
東大・坂井
東大・坂井
スパイの嫌疑がかけられ、イギリス情報局秘密情報部の監視下に。入獄或いは化学的去勢
を条件とした保護観察かの選択を与えられ、入獄を避けるため、同性愛の性向を矯正するた
めに、性欲を抑えると当時考えられていた女性ホルモン注射の投与を受け入れた。その結果
副作用として胸が膨らんだ。
1954年6月8日、自宅で死んでいるのを発見された。検死の結果、青酸中毒による死であるこ
とが判明。ベッドの脇には齧りかけのリンゴが落ちていた。リンゴに青酸化合物が塗ってあっ
たのかの分析はなされなかったが、部屋には青酸の瓶が多数あった。彼の死は自殺である
という説がある。 しかし母は、実験用化学物質を不注意に扱ったために起こった事故である
と主張している。 その他、事故に見せかけた暗殺ではないかと言う説もある
von Neumann
–
– ハンガリー系ユダヤ人
– 原爆設計、物理学、数学、ゲーム理論、経済学
等々に業績
– ENIAC後継機開発に携わる
– 「ノイマン型コンピュータ」
2012/6/4, 11
Turing
太平洋での核爆弾実験の観測やロスアラモス国立研究所での核兵器開発の際に放射線を
浴びたことが原因となって、1955年に骨腫瘍あるいはすい臓がんと診断された(同僚のエン
リコ・フェルミも1954年に骨がんで死亡している)。癌は全身に転移。
1956年にウォルター・リード病院に入院。死が間近になると、以前は信仰に熱心でなかったに
もかかわらず、一度目の結婚時に改宗したカトリック教会の司祭と話すことを望んで、周囲を
驚かせた。
猛烈な痛みに苦しめられながら最期を迎え、ニュージャージー州のプリンストン墓地に埋葬さ
れている。
2012/6/4, 11
コンピュータの発明
コンピュータを中心に
東大・坂井
東大・坂井
大型コンピュータの時代

IBM360と後継機: 1964年~1980年ごろ
– IC(集積回路)の利用
– 1秒間に100万回の命令実行(IBM360/65, 1965)
I:思想と構想
T:部分的試作
R:システムの実現
U:応用を含めた実用
コンピュータを中心に
2012/6/4,
- 11
星野力『誰がどうやってコンピュータを創ったのか?』(共立出版)より
東大・坂井
2012/6/4, 11
IBM360
コンピュータを中心に
東大・坂井
ミニコンピュータの発展

マイクロプロセッサの発明

DEC ミニコンピュータ
Intel 4004: 電卓用マイクロプロセッサ (1971)
– サイズ3×4mm
– プロセス10μm
– トランジスタ2,300個
– PDP-11(1970-)
– VAX-11 (1977-): 1秒間に100万回の命令実行
• 今のプロセッサ: 10億個以上
– クロック741kHz
• 最新プロセッサの約5千分の1
2012/6/4, 11
コンピュータを中心に
VAX11/780
東大・坂井
マイクロプロセッサの発展

ムーアの法則

→ 常に指数関数的な進歩を遂げてきた
マイクロコンピュータ
– IBM PC/AT型
• Intel CPU + Microsoft
Windows
– Apple Macintosh

小型情報機器
–
–
–
–
カーナビ
PDA
携帯電話
ユビキタスデバイス
• スマートダスト
マイクロプロセッサ
– 1970年代はおもちゃ
– 1980年代はワープロ、表計算
– 1990年代から、インターネットとともに情報処理
の主役
2012/6/4, 11
コンピュータを中心に
東大・坂井
マイクロコンピュータ全盛~情報機器の多様化
– マイクロプロセッサの集積度・性能、メモリの集積
度は毎年1.5倍~1.6倍になる

コンピュータを中心に
2012/6/4, 11
東大・坂井
デスクトップPC
(DELL Optiplex)
2012/6/4, 11
カーナビ
iMac (Apple)
(Carrozeria)
コンピュータを中心に
タブレット端末
携帯電話
(iPad3)
(Xperia Acro)
東大・坂井
スーパコンピュータの開発マップ

Peak Performance (FLOPS)
スーパコンピュータ
スーパコンピュータ:超高速計算機
–
–
–
–
天気予報・環境シミュレーション
科学計算: 量子力学、有機化学、原子炉、宇宙
流体計算: 宇宙船、自動車
Etc.
1P
京
ASCI Blue
Gene
ASCI Purple
地球シミュレータ
100T
10T
ASCI Blue Pacific
ASCI Blue Mountain
1T
CP-PACS
100G
10G
1G
京コンピュータ (2011)
スーパコンピュータCRAY-1 (1975)
CRAY-1
1975
東大・坂井
2012/6/4, 11
これからのコンピュータ


もはや/もうすぐ
だいぶん先?
•
超小型情報機器
• 障害のカバー: 可視化など
•
どこにも、いつでも、どんな用途にでも
• インターネットを「脳」で操作!?
•
姿は見えないが静かに役に立つ
• 倫理問題
– 情報家電・個人用情報機器
インターネット~家庭内LAN
•
介護用ロボット
• 癌細胞除去
•
すべての機器がコンピュータ制御される時代
• 遺伝子修復
コンピュータは人間か? → NO!

× 自分で考えることができない
→ 上位概念を生み出すことができない
強い人工知能 = 人間の「意識」を作る!
•

– 機械が本当の知能をもつ
3D 電子会議
• 「特異点を超えて」:カーツワイル
•
情報公開社会
• ターミネーター
•
オープンガバンメント
•
直接民主制
1995
2000
2005
2010
東大・坂井
Year
レイ・カーツワイル
→ 強い人工知能の発明は「人類最後
の発明」となり、あとは機械が自発的に
発明をするようになる!
東大・坂井
以後のすべてのものは、人工知能自身が発明 する!
“強い人工知能“の光と影
○ 宇宙開発
○ ナノテクロボットによる癌治療
× 機械による人間の支配

• マトリックス
コンピュータを中心に
1990
コンピュータを中心に
– レイ・カーツワイルの”特異点” (singularity)
= 「科学技術の進展の速度は、人類の生物学的限界を
超えて意識を解放することで加速される」
– 強い人工知能の発明は、“人類最後”の発明
•
2012/6/4, 11
1985

– ナノテクとの合体
•
1980
強い人工知能は可能か?
– 脳や人体との合体
– ユビキタスコンピューティング
– 電子政府・電子化社会
SR2201
100M
コンピュータを中心に
2012/6/4, 11
ASCI Option Red
T3E
NWT
T3D
VPP700
S-3800
SX-4
VPP500
T90
SX-3R
SX-3
SP2
SR2001
C90
S-820
Paragon
CRAY-2
SP1
VP2600
VP100
SX-2 Y-MP/8
S-810
X-MP/4
Paragon
アイザック・アシモフ
批判
–
–
危険すぎる! → アシモフの3原則
3原則の問題点
•
「あれかこれか」問題
•
ジスカルドのジレンマ: 人類か個人か
アシモフのロボット3原則
第1原則:ロボットは人間に危害を加えてはならない.またその危険を看過
することによって,人間に危害を及ぼしてはならない.
第2原則:ロボットは人間に与えられた命令に服従しなくてはならない.ただ
し,与えられた命令が第一法則に反する場合はこの限りではない.
第3原則:ロボットは前掲の第一法則,第二法則に反するおそれのない限り
2012/6/4, 11
コンピュータを中心に
,自己を守らなければならない.
東大・坂井
東大・坂井
専門: コンピュータシステムとその応用

コンピュータと私
コンピュータの処理方式、構成方式の研究
– 並列処理
– 新世代マイクロプロセッサ

ソフトウェア
– コンパイラ
・ 学生時代
・ EMー4
・ RWCー1
・ 最近の研究
2012/6/4, 11
コンピュータを中心に

– アタック防止
– 認証
– 信頼性向上

東大・坂井
学科選択: 理学部 情報科学科

– 今思えば何とかなったような気がします
• 電気、航空、機械なども考えたが、情報科学のほうがお
もしろそうだった
– 理学部から工学系大学院に転向
• 理学系の人々に比べて、自分は、普通の人間だと思っ
た
2012/6/4, 11
コンピュータを中心に
東大・坂井
東大・坂井
就職
– 博士2年の終わりに電子技術総合研究所(現在の産業技術総
合研究所)から誘い
→ そのまま就職
– 会社の研究所なども後からお誘いいただいたし、大学に就職
する可能性もあったが、当時は電総研が一番魅力的だった
• 物理、数学、天文なども考えたが、就職難でやめた
大学院選択: 工学系研究科 情報工学専門
課程
コンピュータを中心に
なぜコンピュータを専攻したか?: 体験談(2)
– 深い考えはなかった

マルチメディア応用
2012/6/4, 11
なぜコンピュータを専攻したか?: 体験談(1)

ディペンダブル情報処理
• 予算が潤沢
• 雑用が少ない

コンピュータは好きか?
– 嫌いではないが、職業にすると苦しいことのほうが多い
– 私はマニアではない ⇒ 研究者はマニアでないほうがいいと
きも多い
2012/6/4, 11
コンピュータを中心に
東大・坂井
博士論文

EM-4
Interconnection Networks in Highly Parallel MIMD
Computers (1985)

–
–
–
–
(高並列MIMD型コンピュータの相互結合ネットワーク)
– ネットワーク設計の方法論と自動負荷分散機能の研究
– 大英図書館(British Library)に入っています
オメガ・ネットワーク コンピュータを中心に
(80 PE)
東大・坂井
RWC-1
シングルチッププロセッサEMC-R
コンピュータを中心に
2012/6/4, 11
東大・坂井
最近の研究
RWC-1 (1997): 超快適な並列コンピュータ

「通信」と「計算」を融合させた並列コンピュータ
汎用性があるという意味で世界初 (Wikipedia)
EMC-R: プロセッサとルータを同一チップに
IBM科学賞、市村学術賞など受賞
EM-4
CCC: 超立方体環
(Cube Connected Cycles)
2012/6/4, 11
EM-4 (1990)

– 超高速通信と超高速計算の融合
– ユーザ支援技術
– IEEE Outstanding Paper Award (1995)など受賞
省電力・高性能CPU
– マルチコア:NEKO (1999-2005)
– 次世代マイクロプロセッサ(2005-)

ディペンダブルコンピューティング (2002-)
– 情報化社会に必要な安全性・信頼性・堅牢
性・拡張性をもつシステム
– 超ディペンダブルCPU、OS、ミドルウェア
1筐体64プロセッサ
128プロセッサ版を実装・稼動
2012/6/4, 11
コンピュータを中心に
東大・坂井
2012/6/4, 11
コンピュータを中心に
東大・坂井
省エネ情報処理: ICTの立場から
Green by ICT

省電力コンピューティング
– 先端情報技術を使った電力制御
• 例. 東大グリーンプロジェクト
– スマートグリッド
– 電子会議/メール/SNS
JST 戦略的基礎研究推進事業
「情報社会を支える新しい高性能情報処理技術」
「アーキテクチャと形式的検証の協調による超ディペンダブルVLSI」
STARC「超ディペンダブルプロセッサ」
科研費「超セキュアプロセッサ」
などによる
2012/6/4, 11
コンピュータを中心に
東大・坂井
省エネ情報処理: ICTの立場から

• 人間の移動を抑制: 交通機関によるエネルギー消費を抑える 等
Green of ICT

– コンピュータの省電力化
– ネットワーク機器の省電力化
コンピュータを中心に
2012/6/4, 11
東大・坂井
VLSIの消費電力
次世代マイクロプロセッサ

動的消費電力
静的消費電力
新世代プロセッサ・テストベッド
3要素は互いに矛盾する場面も多い
→ 用途によって最適な組み合わせをとることが重要
2012/6/4, 11
コンピュータを中心に
東大・坂井
2012/6/4, 11
コンピュータを中心に
東大・坂井
動的消費電力の削減
静的消費電力の削減


2012/6/4, 11
コンピュータを中心に
東大・坂井
2012/6/4, 11
コンピュータを中心に
東大・坂井
最近の研究

ディペンダブルコンピュータ
– マルチコア:NEKO (1999-2005)
– 次世代マイクロプロセッサ(2005-)

コンピュータを中心に
東大・坂井
ディペンダブルコンピューティング (2002-)
– 情報化社会に必要な安全性・信頼性・堅牢
性・拡張性をもつシステム
– 超ディペンダブルCPU、OS、ミドルウェア
JST 戦略的基礎研究推進事業
「情報社会を支える新しい高性能情報処理技術」
「アーキテクチャと形式的検証の協調による超ディペンダブルVLSI」
STARC「超ディペンダブルプロセッサ」
科研費「超セキュアプロセッサ」
などによる
2012/6/4, 11
省電力・高性能CPU
2012/6/4, 11
コンピュータを中心に
東大・坂井
ディペンダブルアーキテクチャ:成果
超ディペンダブルCPU

プログラム以外 プログラム
エラー/アタック要因が多階層に渡る
原因と結果が予測困難
様々な要因によるエラー/アタックに体系的に対処
プロセッサを基点として、エラー/アタックの伝搬を止める

エラー耐性 物理的な外乱
エラー/アタック要因(対応する現象)
ディペンダビリティ
外乱による誤動作
機能
統合的なアーキテクチャによる実装
エラー耐性
データの盗聴・改竄
リソース麻痺
製造ばらつき、経年故障
耐タンパ
プログラム
監視
2012/6/4, 11
○宇宙線、熱
製造ばらつき、経年故障
-

○脆弱性を利用したのっとり
○正規ユーザが動かす不正
○リソース浪
処理内容の追跡
費プロセス
ブラック/ホワイトリストとの照合
プロセスコンピュータを中心に
東大・坂井
– アドレスの乱数化

プログラムの動的監視
– ホワイトリスト、ブラックリスト統合
一時エラー耐性:
対策
外部メモリ暗号化
内部メモリアクセス保護
○電気的盗聴
○統計的推測
– データ暗号化
暗号回路:RSA暗号回路
– 高基数SRT除算方式
-
冗長化
動的再構成
○宇宙線、熱
耐タンパ技術
– モンゴメリ乗算方式

統合HWによる実装

– コアプロセッサ設計
– 性能・電力シミュレータ
耐タンパ
プログラム
監視
超ディペンダブル
プロセッサ
基盤
耐ソフトエラー
統合ディペンダブルアーキテクチャ

-
キャッシュ
– ディペンダビリティマネジャ
-
演算回路
– 冗長リソース管理技術
– 動的コード変換
耐タイミングエラー
– 統合化、全体シミュレータ、HDL
-
演算回路
-
レジスタ読み書き
設計、ハード量評価、処理スルー
プット・電力評価
永続エラー耐性:再構成可能アーキ
– 実装
テクチャによる障害時代替
コンピュータを中心に
2012/6/4, 11
東大・坂井
超ディペンダブルコンピュータの開発
ディペンダブルCPU: 制御方式と要素技術の統合
隣接FPGAカードと接続
多数決回
路部
超ディペンダブルCPU = 冗長・代替 + 認証 + 監視 + 制御
エラー信号伝達
ネットワーク
LLLL
LLLL
FPGAカード
BBBB
OS ディペンダブルモジュール
ディペンダビリティマネジャ
エフェクティブコア
ホワイト/ブラックリスト作成
フラグ作成
例外/動的コア情報
プロセス
認証
trace REG flag
cache
$
core
コ ミッ ト
Switch
Box
プロセッサ状態
…
…
LSQ
LRF
RB
……
……
……
……
…
……
…
……
…
……
…
……
MMU
D$
…
…
暗号・認証回路
TF
スタビライズ・ステージ
off-chip bus
コンピュータを中心に
Switch
Box
Voting
Block
耐永久故障FPGAアーキテクチャ
ROB
on-chip cache
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Network
FPGA
(Spartan3)
BBBB
Voting
Block
Connection
Block
耐永久故障FPGAテストベッド
……
trace REG flag
cache
$
core
コ
ネ
ク
タ
ADR
……
D-ISA
code
コアに合わせた
最適化
•リソースの調整
•adaptiveな実行
•動的な冗長化
監視ハードウェア
flags
コ
ネ
ク
タ
データにフラグを付加、
情報フローを追跡
User Logic
FPGA
(Virtex 4)
提案アーキテクチャ
東大・坂井
2012/6/4, 11
コンピュータを中心に
東大・坂井
トレードオフ

これからの情報システム
性能、省電力、ディペンダビリティ

次々世代情報システム
高効率コア
roll back
• (例)ディペンダビリティのためには、ゆっくり動かし
て性能を犠牲にするか、多重回路+多数決にして
電力を増やすか、どちらかになる
→ 2つは満足されるが、3つ同時は困難
scheduler
– このうち2つを同時に達成することは比較的や
りやすい
– 3つ同時に達成するのはむずかしい
issue
REG/tag
ECC
REG/tag
ECC
REG/tag
ECC
REG/tag
ECC
REG/tag
ECC
REG/tag
ECC
check
roll back
?=
exception
front-end
front-end
fetch
dependability
manager
encryption
cache
(value/tag)
ECC
dependability
manager
坂井・五島研 クラスタサーバ
encryption
integrity
checker
decryption
decryption
安全・安心機構
BEFORE
知的コミュニティ
階層型
AFTER
ネットワーク型
・「中心」の存在しない世界
指導者は「中心」ではなく、「奉仕者」
・知識、権力、資源などはその管理も 含めて分散共有・情報公開
2012/6/4, 11
コンピュータを中心に
問題解決
第一原理+演繹
型
制約充足型
・ディシプリンは重要
・三段論法からの脱却
・内部矛盾や対立も積極的に扱う
価値観
産業万能主義
人間中心主義
・持続可能社会の実現
・物量ではなく、社会的達成度を!
・進歩史観の修正 = 人間は進歩しているか?
コンピュータを中心に
東大・坂井
東大・坂井
2012/6/4, 11
MITと東大の違い(1)

根本的には同じことをしています
– 教育・研究をする機関
MITと東大

先生 (Faculty)
– テニュア制度: 競争社会
• 講師が(永住権のある)准教授になるためには厳しい審査がある。
なれるのは20%程度。なれなければ追放される。教授になれる
人はもっと少ない。
– インブリーディングの禁止: MIT出身者をストレートに教
授にしない!
– 研究予算の一部が自分の給料や学生の奨学金にあてら
れる
• 予算獲得に失敗すると、研究室の維持が困難になり、自分の給
料も減る
– 週に一日は企業のコンサルタントをしなければならない
2012/6/4, 11
コンピュータを中心に
東大・坂井
2012/6/4, 11
コンピュータを中心に
東大・坂井
MITでの研究
MITと東大の違い(2)


潤沢な研究費
– 自由: 誰に対して何を言ってもいい
– MITがボストン近郊の企業から得る寄付金の総額は、GDPに直すと17,
8位の国家に匹敵する(これ以外に国からの助成金などがある)



– 予算獲得、テニュア獲得などのプレッシャーは私にはなかった
• 講師・准教授は「世界で一番大変な仕事」と言われる
世界中からトップの学生が集まる
奨学金は豊富、高額なアルバイトもある
東洋系(日本人を含む)は優秀
就職: 一番優秀な学生は大会社(IBM,GEなど)に就職しない→ベン
チャーへ

• 冗談がわからなくて困った
– 年に一度家族連れで研修会がある
• 私のときはCape Codのリゾートホテルで (1家族1棟)
• ヨットハーバーつき。豪華夕食会

「コンピュータ」への取り組み
– 日本とそれほど違わない
– (あえていえば)人のやらない新しいこと、とっぴなことをするのを良しと
する
2012/6/4, 11
コンピュータを中心に
エピソード
– 毎週水曜日に教授昼食会がある
「自由」を重視する風土
「ノーベル賞をとるのはあたりまえ」
– 同じ学科の教授がとっても、昼食会が開催される程度

• ノーベル賞受賞者をファーストネームで呼ぶ世界
学生
–
–
–
–
若い研究者には「楽しい」の一言
東大・坂井
日本に帰りたくなくなったが。。。
– 新しいことをぞんぶんにできる社会
– 大リーグ的「微分社会」
• 過去の業績があってもそのときそのときでいい仕事をしていないと忘れられ
る
– 徹底した「資本主義」: 功罪あり
コンピュータを中心に
2012/6/4, 11
東大・坂井
研究者はよさそう!

研究者をめざす人に
社会的地位・名誉
– 大学教授や有名研究所の研究員
• かっこいい
– ノーベル賞


一生好きなことができる
世の中全体に貢献できる
–
–
–
–
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コンピュータを中心に
東大・坂井
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宇宙の真理
生活の向上
癌治療
「人間」の理解
コンピュータを中心に
東大・坂井
それでも研究者はお薦めできる
研究者はたいへん!

競争が激しい、不安定
– 受験、学位、論文、就職、予算獲得、先取権争い
– 大学、研究所のポストが少ない
– 渡り鳥生活: 世界中を転々として暮らす


世界に夢を与え続ける仕事

業績が蓄積される
– 成果はなくならない
成果・社会貢献

– いい成果を出せる可能性は低い
– 世俗的な地位や経済力ではない
• 運によるところが大きい
– 変人であることが許される?
– 社会にどう貢献しているのか見えにくい

• これは疑わしい。。
一生研究だけ、というわけにはいかない

– 教育
– 大学や研究所・企業の経営
– 政府の委員会や産業界
コンピュータを中心に
2012/6/4, 11
俗世間とは違う価値観で生きられる
一生は短い
– 好きなことを続けることがいちばん大切
– 教育や経営も研究の役に立つ
東大・坂井
2012/6/4, 11
コンピュータを中心に
東大・坂井
コンピュータを中心に
東大・坂井
電気系の勧め

電気系のメリット
– 教育がいい
おわりに
• 人間味あふれる先生方
• わかりやすい授業
• 磨き上げられたカリキュラム、実験
– 研究がいい
• 最先端のテーマ: 環境からメディアコンテンツまで
• 世界的な業績
– 就職がいい
• 電気・電子・通信・情報の全分野にわたるヘゲモニー
– 日本を代表する技術系の会社社長は東大電気系出身が多い
• 同窓会
• 大学・研究機関への就職も多い
2012/6/4, 11
コンピュータを中心に
東大・坂井
2012/6/4, 11
おわりに
コンピュータとはなにか

– プログラムを貯蔵し、実行する機械
レポート問題
– コンピュータの歴史: 指数関数的な成長が続く
– 質的な変化
• 高速性から省電力・ディペンダビリティへ
コンピュータと私

– 博士論文
– EM-4
– RWC-1

省電力コンピューティング

MITと東大

研究者をめざす人に
コンピュータを中心に
2012/6/4, 11
東大・坂井
レポート問題: 坂井

問題
– マイクロプロセッサの消費電力が(どうがんばっても)今の100倍
かかると何が起こるか、検討して結果を報告せよ。
• PC、モバイル、制御用など、さまざまな応用で考えよ。
• 携帯電話がなくなる、パソコンの速度が数十分の1になる、などは
(書いてもいいが)当然だから高い評価は与えられない

書式・〆切など
– 本総合科目で決められた書式・〆切に従うこと
– 枚数はA4で3枚以内とする。長さは採点の対象としない(1行で
も独創性等があれば優になる場合がある)
2012/6/4, 11
コンピュータを中心に
東大・坂井
2012/6/4, 11
コンピュータを中心に
東大・坂井
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