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UI に Android を利用したラジコン送信機の開発
UI に Android を利用したラジコン送信機の開発 古屋 雄介 はじめに 日本遠隔制御(株)のラジコン送信機「28X」は、複雑化するラジコン送信機の設定をユーザーに優しく、か つ、 操縦者に有用な情報を分かり易く伝えることを目的として UI に Android を利用した送信機である(図 1)。 弊社はこの送信機のソフトウェア開発を日本遠隔制御(株)と共同で行った。本記事では 28X の特徴について 紹介する。 1. 28X の紹介 28X は最大 28ch の制御を可能にする日本遠隔制 御フラグシッププロポシステムである。従来機種に はない便利な機能を多数備えており、最高難度の演 技への挑戦や、思い描いた航跡を実現するテクニッ クの獲得を可能にする。複雑化するラジコン送信機 の設定を簡便化するために UI に Android を採用し 図 2 ている。 プログラムメニュー グラフィックと数値で表示 ホーム画面は 5 画面分用意されている(図 3)。 1 画面は 4×4 マスでウィジェットを自由に配置 可能である。各種テレメトリー機能の表示は航 空機のアナログ計器を意識したデザインを採用 している。これにより、操縦中でも一瞬で数値 が読み取れる視認性と臨場感を両立している。 また、デジタル表示を併設することで正確な数 値の確認にも対応している。 図 1 28X の概観 2. UI の特徴 図 3 28X の UI の特徴について以下に記載する。 アプリケーション化されたプログラムメニュー ホーム画面 自由に設定可能なマルチポイントカーブ 各種設定を行うためのプログラムメニューは ラジコン送信機のレバーを倒す角度とエンジ すべてアプリとして用意されている(図 2)。各種 ンのスロットルの出力は正比例しているわけで プログラムは視認性の高いアイコンで表示され はない。実際にはスロットルカーブと言う曲線 るので検索も容易である。また、タッチパネル に従ってスロットル出力が決められ、これを設 を指でスワイプ(スライド)させることでスムー 定することで快適な操縦が可能になる。スロッ ズに目的のプログラムを呼び出すことが可能で トルカーブ機能では様々なフライトシーンに対 ある。 応可能なように、中間 8 か所までポイント設定 ができ、ポイントも 0.1 単位で設定可能である (図 4)。併せて、INPUT と OUTPUT も数値入 力できるので自在に繊細なマルチポイントカー ブを描くことが可能である。 3. 2CPU 構成 28X では操縦用と設定用で CPU を使い分けた構 成になっている。操縦用 CPU はユーザの操作入力及 び設定値を元に各サーボモータへの出力値を計算す るために使用される。一方、設定用 CPU は設定及び 各種表示を行うために使用され、Android により制 御される。このような構成にすることで仮に設定用 CPU にて異常が発生したとしても操縦用 CPU には 影響が伝わらず、耐障害性を向上させることができ る。 図 4 マルチポイントカーブ設定画面 便利なハードウェア設定アプリ 4. CPU 間通信 2 つの CPU 間の通信方式には UART を採用して 従来モデルにあったデバイスセレクト機能は おり、送受信は全二重で行われる。通信データはモ ハードウェア設定アプリとして刷新されている デルデータ、電圧値、アップデート用ファームウェ (図 5)。スティックモードの切替えをはじめ、多 岐に渡る入力デバイスはすべてこの機能で設定 ア等、多岐に渡り、独自プロトコルを用いる。 Android 内部には複数の通信主体(アプリ、ウィジェ 可能である。設定時は送信機のグラフィックが ット、常駐プログラム)が存在するため、仲介プログ 大きく表示されるので確実な設定が可能である。 ラムを経由して通信が行われる(図 7)。仲介プログラ ムは複数の通信主体から同時に接続を受け付けるこ とが可能なサーバとして動作する。 図 5 ハードウェア設定画面 従来固定だった 1~4ch も変更可能 従来モデルでは固定であった 1~4ch(スロッ トル、エルロン、エレベータ、ラダー)はチャン ネルセッティング機能でチャンネル出力デバイ スを自由に変更して割り当てることが可能であ 図 7 る(図 6)。より幅広い RC モデルの操縦に対応す ることが可能である。 CPU 間通信 5. まとめ 28X の紹介を記載した。筆者はまだラジコンを操 縦したことがないので、いつか 28X で操縦してみた い。 筆者紹介 古屋 雄介(Yusuke Furuya) 組込制御開発部 プロダクト開発室所属。2011 年 入社。2012 年よりラジコン送信機ソフトウェアの 開発に従事。 図 6 チャンネルセッティング画面