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事例:主体的な学びのための 教学マネジメント
平成24年度文部科学省大学間連携共同教育推進事業 事例:主体的な学びのための 教学マネジメントシステムの構築 関西国際大学 学長補佐 藤木清 2 Contents Ⅰ 関西国際大学の紹介 1. 基本情報 2. 使命・目的等 Ⅱ 取組の概要 1. 取組の背景 2. 本取組で目指すこと 3. HIPによる教育方法の充実 4. 学修成果の測定 5. 教学マネジメントの確立 Ⅲ 今後の活動 6. 目標 7. 学生支援型IR 8. 取組の実施体制 9. 財団法人大学入試センター の「新しい試験」モニター 3 Ⅰ 関西国際大学の紹介 4 1.基本情報 ≪学部学科≫ 教育学部 教育福祉学科 英語教育学科 人間科学部 人間心理学科 経営学科(2011~) ビジネス行動学科 (2011募集停止) 保健医療学部 看護学科 (2013~) ≪大学院≫ 人間行動学研究科 ■学生数 学部:1,816人 大学院:20人 ■専任教員数:96人 ■事務職員数:95人 (※嘱託・パート・派遣含む) (2013年5月現在) 5 2.使命・目的等 • 学校法人濱名学院の建学の精神(1950) 「以愛為園」 ⇒「愛の園幼稚園」と命名 • 関西国際大学の教育理念(1998) 関西国際大学は、世界的視野に立ち、人間愛にあふれ、創造性豊かで 行動力のある人間の育成をめざす、知性あふれる学問の場である。 ◇自律できる人間であろう 自己に厳しく、たえず努力し続ける人間になろう ◇社会に貢献できる人間であろう 自ら創造し、積極的に行動する人間になろう ◇心豊かな世界市民であろう 世界の人々と共に生き、互いを高めうる人間になろう • KUIS学習ベンチマーク (2006) KUIS学修ベンチマーク (2012) Ⅱ 取組の概要 平成24年度 「大学間連携共同教育推進事業」 選定取組 取組名称:主体的な学びのための教学マネジメントシステムの構築 取組大学:関西国際大学(代表校)、淑徳大学、北陸学院大学、くらしき作陽大学 主体的に考え行動できる力を持ち、予測困難な時代に対応できる人材育成の要請を受けて、以下の取組を実施する。 (1)アクティブラーニング(能動的学修)及びインパクトのある教室外体験学習プログラムなど、学生が主体的に学ぶ教育方法を充実。 (2)学修成果を可視化するため、ルーブリック及び到達テストを開発。 (3)全学的な教学マネジメントのもと、カリキュラムを見直し、科目間・教員間連携を充実して組織的教育を確立。 さらに、学生支援型IRを用いて学生データを蓄積し、本取組の評価・改善を行う。 7 8 1. 取組の背景 ≪①社会からの要請、質的転換答申などから≫ 1. 予測が難しい社会で、「答えのない問題」を発見してその原因 を考え、最善解を導いて自ら行動を起こせる人材の育成。 2. 学修時間の実質的な増加・確保を始点とした学士課程教育へ の質的転換を図り、主体的に学習する学生の育成への転換。 質の高い学士課程教育 教員と学生とが意思疎通を図りつつ、学生同士が切磋琢磨し、 相互に刺激を与えながら知的に成長する課題解決型の能動的学 修(アクティブラーニング)によって、学生の思考力や表現力を引 き出し、その知性を鍛える双方向の講義、演習、実験、実習や実 技等の授業を中心とした教育。 9 1. 取組の背景 ≪②大学の現状≫ 1. 学生の多様化は、学習目的、学習意欲、学習習慣、学力の各 側面で進行。 2. 小規模の私立大学においては、様々な学生を受け入れつつ、 限られた資源の中で、学士課程教育の質保証を実現する“仕 組み”をいかにして確立するかが課題。 3. この課題解決のためには、個々の教員任せではなく、教育目 標やマネジメントの手法を共有するというように、教員集団の 意識を転換させ、組織的教育の実施が可能となる教学マネジ メントを確立していくことが必要。 10 2. 本取組で目指すこと 1. HIP(High-Impact Practices)による教育方法の充実 2. 学修成果の可視化 3. 組織的教育を可能にする教学マネジメントの確立 11 3-(1) HIPによる教育方法の充実 -HIPとは- 1. AAC&U(Association of American Colleges and Universities)が提唱。 2. アクティブラーニング(能動的学修)の手法を用いた授業や教 室外体験プログラムなどを構造化し、学生に強いインパクトを 与えるよう工夫した教育プログラムの総称。 3. 入学後、早期の段階で、強い経験を与えることにより、学生の 大学生活への適応を早めるという効果に期待。 12 3-(2) HIPによる教育方法の充実 -達成目標・成果- ≪①教室(講義科目など)でのアクティブラーニング≫ 1. 各教員が手法を修得。 2. 学修目標の設定(確認)から、学修目標に見合った授業内容及 び授業方法の準備、授業外での学修、評価方法まで一貫性の ある授業デザイン力を修得。 3. 学生同士が授業時間外に自主的にグループワークが行える機 会や場を充実。 ⇒学生が、修得すべき知識、技能、態度・志向性を理解し、実際 に活用できる。 13 3-(2) HIPによる教育方法の充実 -達成目標・成果- ≪②教室外体験プログラム≫ 1. 教室内では得られない学びを体感する機会の提供。 2. 学修目標の設定(確認)から、活動内容、ふりかえりの方法、評 価方法まで、学修目標に到達できるプログラムのデザイン。 3. プログラムの開発・見直しにより、汎用性のあるプログラムに。 ⇒学生が主体的に考え、活動できる。 14 3-(3) HIPによる教育方法の充実 -内容- ≪①学内≫ 個々の科目において授業外での学修を明確に設定することによ り、学修時間を増加させ、学生自身でディスカッションやプレゼン テーションの訓練ができるような機会を充実。 1. アクティブラーニングの活用、授業全体のデザイン力の向上を 目指すため、各連携校のFD研修、連携FD、勉強会を実施。 2. 学内のオープンスペースを有効活用し、学生がディスカッショ ン、プレゼン、グループワークを自主的に行える場を整備。 15 3-(3) HIPによる教育方法の充実 -内容- ≪②学外≫ 国内外の教室外体験プログラムについて、主体的な学びにつな げるよう充実を図る。 1. 本取組で扱うプログラムは①調査型プログラム、②インターン シップ、③サービスラーニングの3種類を対象。 2. 各連携校で実施されている教室外体験プログラムについて、 内容のレベル、実施方法、ふりかえりの方法、評価方法の基準 を共通化し、インパクトのあるプログラムに発展。 3. 評価方法は、ルーブリックの活用方法を共通化。 16 4-(1) 学修成果の測定 -達成目標・成果- ≪学修成果の測定≫ 1. HIPによる教育方法の充実 学生の学修成果 ⇒ 測定+蓄積 2. 学修成果の量的な測定に、ルーブリックと到達テストを使用。 ⇒学修成果の可視化により、学生自身が、これまでに身につけた 知識や技能、あるいは今後身につけるべき知識や技能を認識 することができる。 17 4-(2) 学修成果の測定 -内容- 1. ルーブリックと到達テストを開発。 2. 個々の学生の評価に使用および教育方法及びプログラムの効 果測定に活用。 3. 学修ポートフォリオ とともに、学生のふりかえりを支援する ツールとして活用。 18 4-(3) 関西国際大学版 コモンルーブリック 1. 海外先進事例の参照 n AAC&U(全米大学協会)等への視察 • ルーブリック開発に向けた着想 2. 学内での開発 n 本学の課題を念頭に当初から全学導入を意図 n 学士課程教育の多くの科目で共通して求められる基本的な スキルに焦点化 1. ライティング 2. プレゼンテーション 3. リサーチ n 主にAAC&UのThe VALUE Rubricsを参照して開発 4-(3) 関西国際大学版 コモンルーブリック 19 20 4-(4) ルーブリックの利点 1. 定性的な評価に向くといわれているパフォーマンス評価の方法 の一つ。 2. 課題と同時にルーブリックを学生に提示することにより、学生 が到達目標を意識することが可能。 3. 評価後のルーブリックを学生に返却することにより、自分が現 在どのレベルにあるのかを、学生自身で確認することが可能。 4. 評価基準が明確なので公平な評価が可能。 (ただし、複数教員で使用する場合、すり合わせ必要) 21 4-(5) ルーブリックの導入 n FDを活用した全学的導入と改善 • ルーブリックの必要性と展開計画の共通理解 • ルーブリックのワークショップ – 導入に向けたワーク – 評価のすり合わせのためのワーク n 非常勤講師にもルーブリックの活用を勧奨 • 非常勤講師説明会にてワークショップを実施 n 連携校で、ルーブリックの開発 • インターンシップ、チームワーク、多様性理解など 22 4-(6) 到達テスト 1. 設定された範囲における知識等の修得状況の測定に向く。 2. 学部学科で求められる専門基礎知識の修得度や日本語や英 語などの運用能力の程度を測定するのに有用。 3. 大学入試センターが開発中の新テスト(後述)を活用 4. テスト結果を学生に返却することにより、学生のふりかえりの 材料にすることが可能。 23 5-(1) 教学マネジメントの確立 各校が自らの使命や教育理念に基づいて掲げたディプロマ ポリシー(学修到達目標)の達成に向けて、 1. DP、CPを見直す。 2. 体系的な教育課程を構築する。 3. 教員一人ひとりの教授スキルを向上する。 4. 教員間・科目間連携を図る。 5. 学修成果を可視化するため測定方法を開発する。 6. 組織的な教育を実現する。 24 5-(2) 教育課程の体系化及び科目間連携 ≪教学マネジメントの確立≫ 【日本の大学のカリキュラムの問題点】 1. 米国と比較して、1学期に履修する科目数が多い。 2. 課題レポートの提出時期が一時に集中。 3. 一つひとつの科目の内容理解が表面的なものに陥りやすい。 【改善策】科目統合・連携、1科目の学修時間増加、質的な充実 1. 関連性のある科目やプログラムを同時期に開講 2. 担当者間で目標、内容、評価方法の連携(同一テーマなど) 3. 知識と体験を総合化しながら理解を深化。 ※学生の視点に立ち、相互に関連付けた内容に。 25 6. 目標 1. 学生の授業外での学修時間の伸び 2. アクティブラーニングを導入する授業数の増加 3. 教室外体験プログラムへの学生参加の増加 4. 原則として、本連携取組の対象となるすべての教室外体験プ ログラムにルーブリックを導入 26 7-(1) 学生支援型IR 1.経営のためのデータ収集と分析 1.政府関係諸機関への報告 重要視 2.教育や学生・学習支援のための データ収集と分析 学生支援型IR 27 7-(2) IRのデータ集積イメージ 学習支援 センター(教務課) Ø 日本語テスト Ø 欠席調査 など 教務課 Ø 学籍 Ø 学業成績 など 高等教育研究開発センター (教務課) Ø 適応調査、BMチェックデータ など 入試・広報課 GAKUEN Universal Passport Data Dr. Sum 評 価 室 Information Knowledge 教員 Ø 入試種別 など ・・・ 学長・副学長 28 7-(3) 分析事例:進路について 3年次(MA%) ガイダンスを除いて、「少数 の人がやるしんどいこと」を 行っている既・内定群 自分の近辺で情報 収集をしっかり行っ ている未・内定群 29 7-(4)学生支援型IRの活用 1. 学修成果、学業成績、学修活動状況や態度・意識を学生パネ ルデータとして定点観測し、状況を把握。 2. 学修成果の評価には開発するルーブリックや到達テストの データ、及びベンチマークチェックのデータを用いる。 3. 本取組の主要な項目であるHIPを導入した授業やプログラム の評価、科目間連携の評価についても、学生パネルデータを 用いて評価する。 ⇒多様化する学生の特徴や背景に合致したプログラムの開発に 活用可能。 30 8.財団法人大学入試センターの「 新しい試験」モニター 1. AO入試や推薦入試なども含め、大学に進学する幅広い学力 層の学生の基礎的な学力を診断・評価することを目的。 2. 大学での履修に必要な基礎的な学力を「言語運用力」と「数理 分析力」の分野から測定する問題を作成。 3. 結果は、受検者にフィードバック。 4. 継続的に受験することで伸長を確認(学修成果のひとつ)。 5. IRのデータとしての活用を検討。 31 9.実施体制 【初期段階】 各連携校の担当者(教員)が代表校の関西国際大 学に出向し、プログラムの開発、連携FDの実施、学修成果の測 定方法を協働して開発。 ⇒信頼関係の醸成、協働体制のフレームワーク作り 【中期段階以降】 1. 担当者が帰学し、ファシリテーターとして当該担当者を中心に 取組を全学に波及させ、自律的かつ継続的に展開。 2. 学修成果の測定などの開発に関する取組は、連携校間との会 議(参集会議もしくはウェブ会議)を定期的に開催。 【支援期間全体】 定期的に、学長・副学長クラスが出席する全体 会を実施してチューニング。 ⇒進捗や課題の共有、内容調整等の意思決定 32 Ⅲ 今後の活動予定 【行事】 • 6/29 公開講演会の開催 Dr. Terrel Rhodes(AAC&U副会長) • 8月・9月 全学FD、「主体的な学び」を促進する勉強会の実施 【HIP】 • 授業時間内におけるアクティブラーニングの促進 • 教室外プログラムの充実 【学修成果の測定】 • ルーブリックの開発 【教学マネジメント】 • アセスメントポリシーの整理 ご清聴ありがとうございました。 [email protected]