Comments
Description
Transcript
Page 1 Page 2 「高等脊椎動物の歴葉分化を特徴づける分子マーカーの
\n Title 高等脊椎動物の胚葉分化を特徴づける分子マーカーの探索 及び細胞系譜追跡法を用いた三胚葉層形成機構の解析 Author(s) 豊泉, 龍児; 茂木, 和枝; 松下, 晋; 保井, 考太郎; 宇津 木, 和夫; 竹内, 重夫 Citation 年報, '93.'94: 57-63 Date 1995-03 Type Departmental Bulletin Paper Rights publisher KANAGAWA University Repository 「高 等脊 椎 動物 の 胚 葉 分 化 を特 徴 づ け る 分子 マー カ ーの探 索及 び 細 胞系 譜 追跡 法 を用 い た 三 胚 葉層 形 成 機 構 の解 析 」 豊 泉 龍 児1・ 茂 木 和 枝1・ 松 下 1.神 奈 川 大 ・理 ・応 用 生 物 、2.東 晋2・ 保 井 考 太 郎3・ 宇 津 木 和 夫2・ 竹 内 重 夫1 京 女 子 医 大 ・生 物 、3.都 神 経 研(代 表者 竹 内 重 夫) 脊 椎 動 物 の か らだ を構 成 す る組 織 は 、外胚 葉 ・中胚 葉 ・内胚 葉 に起 源 を もち、各胚 葉 か ら 生 ま れ た胚 性 組 織 同士 が 相互 作 用 しな が ら、成 体 の器 官 を構 成 す る組織 に分化/成 熟 して い く。成 体 を構 成 す る様 々 な組 織 とい え ど も、元 を辿 れ ば3つ に色 分 け され るこ とに な る 。 三 胚 葉 の 出現 は 、見 か け上 の均 質性 を保 ってい た胚 体 に 、最初 に 現 れ る組織 の 形成 、即 ち 組 織 特 異 的 な細 胞 の変 化 で あ る とみ な しうるの で 、発 生 学 の 最重 要 問 題 で ある分化 研 究 ・ 形 態 形 成研 究 の最 も魅 力 的 な接 点 とな る。 そ れ に も関 わ らず、正 常胚 の な かで 、どの よ うに 中胚 葉組 織 や 内胚 葉 組織 が 生 まれ る の か? とい う問題 に関 して は、胚 性 腫 瘍 細 胞 の細胞 株 を用 い た 分化 研 究 が永 年 栄 えて きた とい う 歴 史 的 な経 緯 か ら、大 き く立 ち後 れ て い る。 本研 究計 画 は 、総合 理 学 研 究 所 の助 成 の もとに 、正 常 胚 の'nsituに お ける胚 葉形 成 ・胚 葉 分 化 の 問題 に取 り組 ん で きた の で、 そ の結果 に つ い て報 告 す る。 今年 度 は、主 に内胚 葉 の形 成 に 関 す るinvitroの 再 現 系 の作 出 に 力 を注 い だ。 以下 の培 養条 件 の検 討 は 竹 内 研 究 室 の 茂 木 和 枝(現M1)が 竹 内 の指 導 の も とで行 った。 受精 卵 の入 手 し易 さ と組 織 分 取 の確 実 さか ら、今 回 は ニ ワ トリ胚 を実 験 材 料 に用 い た。 (因 み に 鳥 類 胚 は、哺 乳 類 に 初 期発 生 の様 式 が酷 似 して い る こ と が知 られてい る。) [τ 内胚 葉 の組 織培 養 の 試 み1 組 織 間相 互作 用(誘 導)の 視 点 で胚 葉 分 化 を研 究 す るに あ た って 、inv'troの 培 養 モデ ル の 作 出 は必 須 条 件 と な る。 その 上 、組 織 培 養 に 通 常用 い られ る血 清 に は様 々 な誘 導 因子 が 含 ま れ てい るの で、 誘 導 研 究 に は培 養 条件 の 無 血 清化 が 要 求 され る。細 胞 の栄養 要 求性 を 少 な い因子 で満 た そ う とす るの で、通 常 無 血 清 培 養 は困 難 であ る とさ れ る。 三胚 葉形 成 期 の ニ ワ トリ胚 か ら最初 期 の 内胚 葉 の微 小 組 織 片 を採 取 し、 その長 期 培 養 の為 の 培 養 条件 の 検 討 を行 っ た。既 に豊泉 らが、 ニ ワ トリ胚 の 三胚 葉 の起 源組 織 であ る(胚 体 に と って最初 に形成 され る上 皮 で あ る)胚 盤 葉 上 層細 胞(Epiblast)の に よ る長 期 培 養 に成 功 して い る('93,'94動 RPM11640高 物 学 会 大 会/'94科 完 全無 血 清 培地 研 奨 励(A》報 告 書)。 栄 養培 地 に ハ イ ブ リ ドー マ培 養用 の 無血 清 培 地 補 助 剤 「Mito+TM」の原 液 を 0.1-0.2%(v./v.)の 割 合 で 加 え る こ とで 、Epiblastの 可 能 で あ った 。Mito+TMは 、Insulin,Transferrin,亜 栄 養 成 分 が 配 合 され た もの で あ る。 57 外 植 体 は1週 間 に わ た る長 期 培養 が セ レ ン酸 を主 成 分 とす る、11種 類 の Epiblastは 鰐 卵 開 始 時 に は上 皮 を形 成 して お り、初 期 内胚 葉 は鰐 卵20時 間 前 後 で形 成 され る こ とか ら、両 者 の 栄 養要 求 性 は類 似 してい る の で は ない か と考 え 、同 じ条件 で初 期 内 胚 葉 の 無 血 清 培 養 を試 み た(実 内 胚 葉 組 織 片 は、3日 験 回 数7回/例 数42)。 以 内 にtypeicollagenま た はEHSgelと 培 養 皿 表 面 で 単 層 に伸 展 し、 数 日間 は弱 い 増 殖 を示 し、1週 い う細 胞 外 基 質 を塗 布 した 間 の 生 存 を した(図 上 段)。 この こ とか ら、 「Mito+を 加 え た完 全 無 血 清 培 地 は 、初 期 内胚 葉 の 組織 片 の培 養 液 と して 必 要 な要 件 を満 た して い る」 こ とが明 らか とな った。 組 織 片 は 、5日 目 ご ろ か ら 、 単 層 に 伸 展 し た 細 胞 シ ー ト内 部 で 、 ・索 状 の 細 胞 集 合 塊 が シ ー トの 表 層(apicalside)に ・単 層 の シ ー トの 基 底 側(basalside)が 出現 球 状 に 浮 き 上 が る(vacuolization) と い う現 象 が 見 ら れ た 。 しか しな が ら、 こ うい った現 象 は 一 般 に 「比 較 的 弱 い分 化状 態 の反 映 」 と言 わ れ る。 古 典 的 な漿 尿 膜 上 へ の 組織 片 の移 植 実 験 の 結 果 か ら、 「初期 内 胚 葉 は 自立 分 化 能 が高 い」 と さ れ てい る。 そ こ で 「更 に入 念 な培 養 条 件 を与 えれ ば 、内胚 葉 の 自立 分 化 能 が'nvitroで 再 現 され、 内胚 葉 が よ り一 層 分化 した形 質 を発 現 す る」 、 とい う期 待 が持 た れ た 。 以 上 の理 由 か ら、我 々 は次 に 、上 記 の 無血 清 培 養 液 を用 い て 「よ り顕 著 な組織 分 化 を引 き 起 こ す培 養 条 件 の検 討 」 を行 っ た。 以 下 のA,B,Cに 大 別 され る 三 つの 条 件 を検 討 した。 A.初 期 内胚葉 と初期 中胚葉 との外植 体 の共培養 ニ ワ トリ胚 は黄 身 が多 く卵 黄 表 面 で発 生 が進 む端 黄 卵 で あ るの で、三 胚 葉期 に は 内 胚 葉 層 と中胚 葉 層 とが互 い に裏 打 ち し合 う構 造 に な って い る(理 学 部NewsLetterNo.4の 表紙 絵 参 照 〉 。 両 者 の 密 接 な相互 作 用 が 、 内胚 葉 の 分 化 に必 須 であ る と考 え 、上 記 の 無血 清 培 養 条件 下 で 、共 培 養 を試 み た(実 その 結 果 、4日 験 回 数1回/例 数2)。 以 内 に 中胚 葉 の凝 集 塊 の コ ア と、 それ を取 りま く内胚 葉 の単 層 シー トに 細 胞 選 別*が 生 じた 。特 に中 心 部 分 の 中 胚 葉 組 織 は急 激 な増殖 を示 した。 しか しな が ら、 内胚 葉 の シー トは形 態 的 に す ら、 あ ま り変 化 を示 さ な か った。 増 殖 に よ る両 者 の 細 胞 数 の 違 い が5日 目 ごろ か ら極 端 に な っ た の で 、1週 間 で培 養 を打 ち切 っ た。 *(2種 類の組織の接着性の違いによる、各々の選択的集合,両 者の分離) B.内 胚 葉 外 植 体 の ゲ ル上 での 培 養 組織 は 、細 胞 と 細 胞 の分 泌 タ ンパ ク質 を成 分 とす る細 胞 外 基 質(ECM;extracellular matrix)か らな る。 細 胞 培養 は通 常 、培 養 皿 に 特 定 の 細 胞 外基 質 を薄 く塗 布 して細 胞 に 親 和 性 を持 た せ た状 態 で行 う。 接 着 依 存 性 細 胞 は 、基 質 面 に接 着 で き ない と数 時 間 で死 ん で しま う。 近 年 、細 胞 外基 質 を薄 く塗 布 した表 面 で上 皮 性 の 組 織 の外植 体 を培 養 す る と、基 底 膜 面 側(皿 の表 面 に近 い側)か らの栄 養 供 給 が満 足 に 行 わ れ ない こ とが原 因 で 、組 織 の十 分 な 58 }マ 調『』T 分 化 形 質 の発 現 を引 き出 せ な い こ とが あ るこ とが分 か っ て きた。 この 問 題 の対 応 策 と して 、次 の2点 が考 え出 され た。 ・高濃 度 の細 胞 外基 質 成 分 に厚 いゲ ル 層 を形 成 させ 、 そ の上 で培 養 す る こ とに よ り、 増 殖 因 子 の 基 底 膜 面 側 か らの滲 入 を促 進 させ る。 ・特 定 の細 胞外 基 質 の みの 塗 布 して も培 養 細 胞 の分 化 が乏 しい 場 合 、 よ り'ns'to(生 内)の 体 基 底膜 に近 い成 分 組 成 の そ れ にゲ ル 層(基底 膜 再 構 成 ゲ ル と呼 ば れ る)を形 成 さ せ て培 養 基質 に用 い る と 、更 に 良 く分 化 す る場 合 が あ る。 そ こ で我 々 は、EHS肉 腫 の分 泌 す る基 底 膜 ゲ ル の一 種 で あ るEHSgel上 残 念 な が ら、初 期 内胚 葉 に と っ て は 、collagenの で の培養 を行 っ た 。 塗 布 表 面 上 での 培 養 とEHSgel上 培 養 とで、 外植 体 の 分 化 状 態 に 違 い は認 め られ なか った(実 での 験 回 数5回/例 数25)。 C.内 胚葉外植 体/単 細胞 のゲル によ る包埋培 養 組 織 細 胞 は、 通 常 自分 自身 の 栄 養 因子 を分 泌 して い る 。 ゲ ル で細 胞 や組 織 片 を包 埋 して 培 養(包 因 子 が(拡 散 しに くい の で)細 埋培 養)を 行 う と、 自身 の 分泌 す る微 量 の栄 養 胞 近 傍 に 留 ま る。 その た め 、塗 布 面 や ゲル 面 での培 養 で は 分 化 しな か っ た組 織 も分 化 して くる場 合 が あ る こ とが知 られ て い る。 そ こ で 、内胚 葉組 織 片 の 包埋 培 養 を行 っ た。 意 外 に も、包 埋 培養 に よ っ て組 織 全 体 が3日 (実験 回 数2回/例 数10)。 前 後 で大 き くダ メー ジ を受 けて しま った 不 健 康 な細 胞 は肥 大 化 した り、細 胞 内 に 空砲 や泡状 突起 を 形 成 す る と され るが 、 そ うい っ た もの が認 め られ た。初 期胚 細 胞 の 細 胞寿 命 が短 い ため に 死 細 胞 の発 生 率 が高 く、 それ らが生 き て い る細 胞 の 回 りに 留 ま る こ とが原 因 と思 われ た。 一 般 に 、 タ ンパ ク質分 解 酵 素 を用 い た 上 皮 シー トの単 細 胞 へ の細 胞 分散 は、高 度 の ダ メ ー ジ を伴 うと され る。 豊 泉 らは、 「カル シ ウム の み 不含 のSpinner'sMEM培 切 り刻 ん だ細 胞 組織 片 を5分 に一 度flashingし 穏 和 な条 件 で 、(不 思 議 な こ とに)鰐 なが ら15-30分 放 置 しす る」 とい う、 大変 卵 数 時 間 後 のStage)皿 一盟 のEpiblastの 組 織 片 は 単 細 胞 への 自発 的 な解 離 を示 し、分 散 後 の単 細 胞 の 大半 が 培 養基 質 表 面(基 あ るlamininやEHSの ゲ ル 上)に 生 着 す る こ と を発 見 した(投 そ こ で、初 期 内胚 葉細 胞 の 起 源 細 胞 で あ る初 期 原 条 細 胞 や(上 購 卵0時 間 の)StageXのEpiblastを 養液中で、 底膜主成分で 稿 中)。 皮 層 を形成 した直 後 で あ る こ の方 法 で単 細 胞 に 分 散 し、EHSgelに よ る包 埋培 養 を行 った。 単 細 胞 へ の 分 散 は良 好 で あ った が殆 ど翌 日に 全 滅 して しま っ た(そ れ ぞ れ、 実 験 回 数3回/例 数5と 実 験 回数1回/例 数3)。 上 記 の 分散 方 法 で、初 期 内 胚 葉 の 組織 片 の単 細 胞 へ の 分 散 ・培 養 基 質 面 へ の生 着 も良 好 で あ っ た(実 験 回数1回/例 数4)。 しか しなが ら、 これ ら はEHSgel上 に数 時 間 しか接 着 せ ず 、翌 日に は死 滅 して しまっ た の で 、 包 埋培 養 の適 用 は見 送 る こ とに した。 上 皮 組 織 細 胞 に とって 、細 胞 間 の 接 触 に よ るcouplingが い こ と を考 え あ わせ る と、Epiblas似 生 存 の た め に必要 であ る こ とが 多 上 に上 皮 化 した初 期 内胚 葉 細 胞 は 単 細 胞 に分 散 す る こ と で簡単 に死 滅 して しま う と推 察 して い る。 59 1.の結 論 と して 、 「初 期 内 胚 葉 細 胞 の1週 間 の長 期 に わ た る完全 無 血 清 培養 に 成功 した。 しか しな が ら、 内 胚 葉 由 来 の 組 織 の 明 確 な 分 化 を引 き起 こ す に は至 ら な か っ た 。」 __と 言 え る。 2.中 胚 葉 細 胞 ・内 胚 葉 細 胞 の 陥 入 行 動 の'nvitroモ デ ル の作 出 上 皮 シー トの形 成 す る球 面 と して存 在 して い た動物 胚 に とって、 原腸 形成 運 動 と呼 ば れ る 局部 か らの シー トの折 れ 曲 が り と、 そ れに伴 った閉 空 間 内部 に進 入す る間 葉性 細 胞 群(中 胚 葉)の 出現 は大 きな事 件 とい え るだ ろ う。 しか も原 腸形 成 運動 は 三胚 葉 性動 物 全 てに 、 即 ち ウニ や ヒ トデ か ら ヒ トまで に共 通 す る現 象 で あ る。原 腸 形成 時 に 、中 胚葉 や 内胚 葉 の 細胞 は、陥 入(ingression>と 呼 ば れ る細 胞 運 動 に よ って 、上 皮 シー トか ら離脱 し、潜 り 込 む こ とが知 られて い る。 ニ ワ トリや ヒ トの胚 で は 、細胞 の陥 入 行動 は 原 条 と呼 ば れ る部 域 にほ ぼ一 致 して起 こる 。 鰐卵 数 時 間後 に は単 層 上 皮 とな る胚 盤 葉 上 層Epiblastは 、 か な り成 熟 した基底 膜 に裏打 ち され てい る。 従 って 、三 胚 葉 形成 の端 緒 とな る陥 入行 動 は、 こ れ を通過 しない と達成 出来 な い。 原 条 期 のEpiblastの 基底 膜 は 、原条 部 分 で消 失 してい るこ とが 、抗一(基底 膜構 成 タ ンパ ク》を用 い た免 疫 染 色 や 電 顕 に よ る組 織 観 察 か ら分 か って い る。 その為 鳥 類胚 の gastrulationに お け る陥 入行 動 は 、陥 入細 胞 に よ る基 底 膜 の 分解 が道 を開 くもの と考 え ら れ て きた。 この 「常識 」 に対 す る納得 の い く証 明 は、1989年 のSandersら の報告*を 待 た な けれ ば な らな か った と我 々 は認 識 して い る。彼 らは 初 期 原条 期 の原条 近 傍 のEpiblastの 微小 片 を、基 底 膜 ゲ ル(MatrigelT''")上 で培養 した。 その結 果 、数 日後 に は 伸展 した細 胞 シー トの一 部 の細 胞 がゲ ル 中 に浸 潤(invasion)し て い た 、 と報 告 して い る。 本 計 画 の 目的 と関連 の 深 い この研 究 に関 して 、我 々 は以 下 の問 い に答 え られ るよ うに 実験 デザ イ ンを 更 に工 夫 す るべ きで あ ろ う と考 え た。 ①Epiblastが 浸 潤能 を獲 得 す るの は何 時 か?初 ② 個 々の細 胞 が浸 潤 能 を発 揮 す るの か?予 communicationは 期 原 条 が 出現 す る以 前 か? 定陥 入細 胞 同士 のcell-to-cell 必 要 か? ③ 血 清 成 分 ま たは基 底 膜 ゲ ル に含 まれ る成 長 因 子 の影 響 で、人 工 的 に浸潤 能 が 誘導 され た懸念 はな い か? ④invitroで も予 定 中胚 葉/内 胚 葉細 胞 の み が 、浸潤 能 を発 揮 す るの か? ⑤ 浸潤 能 の 獲 得 は、誘 導 現 象 か?自 立 分化 か? 禽 Sanders,E.J.andPrasad,S.(1989).J.CellSci.92,497-504. 60一 こ れ らの疑 問 をも とに 、無血 清 培 養 系 で陥 入 行 動 の 素過 程 の再 現 を試 み 、 それ に成 功 した 。 方 法 の詳 細 か ら述 べ る。 【 方 法】 前原 条 期(初 期 原 条 細 胞 塊 の 出 現 前)の 明 域(胚 体 域)中 央 部 か らEpiblastか ら単 離 した 単細 胞 を、国 に記 した組成の培養液 で、完全無血清培養 した。ゲルへの浸潤 が生 じてい るか否 か を、位相差顕 微鏡並び に(標 本 を金蒸着 して)走 査型電子顕微鏡 で観 察 した。 圖 ガ ラ ス 針 で 明 域 中 央 部 か ら 、200-300オm四 方 のEpiblastを 切 り 出 し た 。 小 片 は パ ラ フ ィ ン を 溶 か し込 ん だ シ ャ ー レ に 移 し 、 そ の 上 で ガ ラ ス 針 で 可 能 な 限 り 細 切 した 。 こ れ を マ イ ク ロ ピ ペ ッ トに 吸 い 込 み 、 浮 遊 培 養 用 のSpinnerのMEM(Ca2+-free)を200オn満 た し た 中 に 移 し 、5分 に1回 ず つflashingし な が ら15- 30分 間 室 温 で 放 置 し た 。 こ う して 得 ら れ た 接 着 能 を 失 わ な い 状 態 の 単 細 胞 を 培 養 液 中 に 蒔 い た 。 圖 高 栄 養 培 地RPM11640に 、Mito+SerumExtenderTMを0.2%の こ の 培 養 液 で 、Epiblastの 組 織 小 片 は1週 と を確 認 し て い る 。"Mlto+"の も 、Epiblastの 割 合 で 添 加 した 完 全 無 血 清 培 養 液 を用 い た 。 間 、 最 も初 期 の 中 胚 葉 は(少 主 成 分 で あ るlnsulin,Transferrin,亜 組 織 片 は 数 日 間 増 殖 し、1週 な く と も)4日 間 培 養可 能 であ る こ セ レ ン酸 をRPM11640に 添加 するだけで 間 は 生 存 可 能 で あ る こ と も確 認 し て い る 。 匿養基則 2mg/m珍laminin溶 液 を薄 く引 き 延 ば し 、37℃ で 数 時 間 放 置 し 、 ゲ ル 化 さ せ た も の を用 い た 。lamininは 基 底 膜 の 主 要 な 構 成 蛋 白 質 で あ る 。 基 底 膜 ゲ ル 並 び にtypeIcollagengelも 、 用 い た。 【結 果 】 8時 間 後 に は単 細 胞 は ゲ ル に潜 り始 め 、16-24時 間後 に は単 細 胞 の 半数 は浸潤 し、 ゲル に 穴 を掘 り進 ん で 、 その 底 や 穴 の 側 壁 に付 着 した状 態 で存 在 して い た(図 下 段 、実 験 回数 4回/例 数19)。 しか しな が ら、1日 を経 過 して も浸潤 を認 め られ ない細 胞 も半 数 存 在 し た 。1.-C.に 記 した基 底 膜 ゲル を用 い た場 合 、単 細胞 の 多 くは2日 不 思 議 な こ とに 、typelcollagenゲ 浸 潤 は観 察 され な か っ た(実 間 は生 着 した 。 ル 上 でEpiblastの 単 細 胞 を培 養 した場 合 、全 く細 胞 の 験 回 数4/例 数13)。 を掘 らず 同 じゲ ル の上 を葡 旬 運 動 した(実 陥 入 した後 の 、初 期 中胚 葉細 胞 は 、穴 験 回 数3/例 数8)。 上 述 の よ うに 、 内胚 葉 細 胞 は 単 離 す る と大 半 が1晩 ベ ル での浸 潤 能 の測 定 は困 難 で あ った。 61 で死 滅 して しま っ たの で、単 細 胞 レ 以 上 の 結 果 は 、 単 純 な が ら 豊 富 な 含 意 を持 っ て い る 。 (理学 部NewsLetter表 紙解 説 か ら以 下3行 転 載) ・陥入 す る(予定 の》細 胞 自身 が 、基 底 膜 を溶 か す能 力 を持 って い る。 ・基底 膜 を溶 か す為 に 、周 りの細 胞 の サ ポ ー トは必 要 ない。 ・浸潤 能 は 、特定 の 時期 を過 ぎ る と 失 われ る 本 実 験 系 に 関 す る今 後 の展 開 と して 、次 の 二 つ を主 に考 え てい る。 1 陥 入 行動 を起 こ した 細 胞群 は 予定 中胚 葉/内 胚 葉細 胞 と一 致 す るの かに つ いて 、表 面 抗 原 に対 す る特 異 抗体 を用 い て判 定 した い と考 え て い る。(現 在 実 験 中) 2. カエ ル の原 腸 胚 細胞 を用 い た場 合 、 同様 な解 離 単 細 胞 に よ るゲ ル へ の浸 潤 が生 じ るの か を 調 べ たい と も考 えて い る。 何 故 な らば 、 力エ ル胚 で は 、動物 局 側 の細 胞 の シー トの面 積 の 増 大 に よ る物 理 的 な外 力 が 、陥 入 運 動 の主 な駆 動 力 に な る と考 え られ て い るか らで あ る。 その ため 、浸 潤 に よ る陥入 メ カ ニ ズ ム は余 り想 定 され て い ない 。 力エ ル原 腸胚 の細 胞 が浸 潤 行 動 を起 こ した場 合 、発 生 学 の教 科 書 の説 明 を書 き換 え る だ け の 大 きな結 果 とな り うる。 2.の 結 論 と して、 「三 胚 葉 形 成 に お け る最 初 の 細 胞 運 動 で あ る 陥 入 行 動 の 、 培 養 モ デ ル を作 出 した 。 実 験 結 果 は 、Eiblastか ら中 胚 葉 細 胞 や 内 胚 葉 細 胞 が 陥 入 す る 現 象 は 細 胞 浸 潤 の メ カ ニ ズ ム に よ る との 説 を強 く裏 付 け た 。 」 __と 言 え る。 禽 ☆ 費 ★☆★☆ ☆☆曹★禽☆★曹禽★☆★★★☆★★嚢禽★ 禽★ 禽 ★ ★ 禽 ☆☆ ☆ 噛r★ ★ 脅 総論 高 等 有羊 膜 類 の三 胚 葉 形 成 に つい て、 ニ ワ トリ胚 を材 料 に 、2つ の 実験 を行 った 。 初 期 内胚 葉 細胞 の 長 期 培 養 並 び に 、胚 葉形 成 の初 動 をなす 陥 入 行動 の培 養 モ デ ル を 完 全 無血 清 培養 条 件 下 で成 功 した 。 今 後 は、 こ れ らの 成 果 も とに 、正 常胚 内 で の細 胞 行 動/分 化 を常 に意 識 しな が ら、 分 化 マー カー を駆 使 して 胚 葉 形成 の研 究 を推進 して い きた い と考 え てい る。 一謝 辞 一 本 研 究 に様 々 な助言 を下 さっ た、 日本 動物 学 会会 員 の諸 氏並 び に応 用 生物 科 学 科教 員 各 位 に こ の場 を借 りて 御 礼 申 し上 げ ます。 一S2 電 瀞鷺 霧 綜 嚢 ㌍. 謙翫 懸 議騨 漁献 鍵難 羅 馨 欝驚馨欝 蝿 な ψ墾1¥ ㍑ ヘ ト1灘メ ご ゴ ず ・ 膿 ◎髭恩 乏攣 琳 隻ン ∵(騨 ㍉ 記ン ダ ︽ !為 【図の 説 明 】 一上 段 一 ブ タ 腱 由 来 のtypeIcollagenを 薄 く塗 布 した プ ラ ス チ ッ ク 培 養 皿 上 で 培 養 した 、 ニ ワ ト リ 胚 の 発 生 段 階5の 初 期 内 胚 葉 シ ー ト。 培 養6日 目。 大 部 分 が 単 層 に 伸 展 し て 生 育 し て い る が 、 所 々 水 泡 化 し て 接 着 面 か ら浮 き上 が っ て い る 部 分 が あ る こ とに注 意 。 倍 率X15倍 。 一下 段 一 マ ウ スEHS肉 腫 由 来 の 基 底 膜 ゲ ル 上 で 培 養 し た 、 ニ ワ ト リ 胚Epiblastの Eyal-Giladi&Kochavの 培 養1日 発 生 段 階X川 の 予 定 胚 体 域 中 央 のEpiblastを 単細胞。 単 細 胞 に分 散 、 後 に固 定 を行 い、 標 本 を金 蒸 着 し、走 査 型 電 子 顕 微 鏡 で観 察 した。 細 胞 が ゲ ル を溶 か し、 か つ 接 着 し な が ら潜 り込 ん で い る の が 分 か る 。 倍 率X2000倍 。 63一