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Gillette
Gillette Vol.77 刃物の発祥は石や木、 動物の骨 などの割れた断面が尖ったことで、 モノを切ることができることを 人類が覚えたことに始まる。 やがて製鉄の技術が確立され、 青銅器から鉄器へと刃物は 緩やかに進化していった。 そして金属の道具を持つことで、 人類は他の動物群から飛躍を遂げた。 グルーミングの概念、 あるいは衛生の概念がいつから 始まったのかは定かではないが、 男が髭を剃るための刃物は 長い間、 直刃のI字型であった。 世紀が始まった1903年頃まで、 男たちは顔や首に カミソリの刃をあてて、 血だらけ、 傷だらけになりながら ヒゲを剃っていたのである。 産業革命以降のアメリカでは この時代、 多くの発明家が生まれた。 セールスマンであった キング・C・ジレットも、 そんな発明家の一人だった。 ジレットはある朝、 髭を剃りながら ひとつのアイデアを思いつく。 それは、 剃り味の悪くなった カミソリの刃を定期的に研ぐのは 面倒だし、 いっそのこと刃を薄くして 取り換えられるようにしたら どうだろうか、 と。おそらく、 人類の発明史の中でも 特筆すべき発明となった ﹃ジレットT字型カミソリ﹄ の誕生である。 130 131 ジレット登場以前の男の髭剃りは 一枚の刃を使って行い、 切れなくなると、 砥石や馬の革で出来た 革砥 (かわと) というタッチアップ用の 道具を使っていた。 この革砥はいまで言うコードバンで 高級シューズに利用される硬い革だ。 mono SINCE 1901~ ●[ジレット] Photo / Tomoaki Tsuruda (WPP) Gillette Text / Teruhiko Doi (WPP) ↑1952年の広告に登場した ジレットのイメージキャラク ター 「Sharpie the Parrot」 ←1907年のジレット・セーフ ティレザーの新聞広告。5 ド ルという価格は当時としては かなり高級品。 20 シェーバーの世界における 技術開発競争はシビアだ。 数年おきに素晴らしい完成度の シェーバーが市場導入される。 裏を返せば、 シェーバーの世界は 奥深く、 もうこれ以上の開発は 無意味だという完成形は まだ登場していないことになる。 しかも 世紀初頭に誕生した 最初の形から、 基本的なスタイルが変わっていない ということは、 ジレットの発明が 最初からいかに理想形に近かった かの証左ともいえる。 そのジレットの正統派の血を受け継ぐ 2015年の新製品が、 フレックスボール搭載の新モデル ﹃ジレット プログライド フレックスボール﹄である。 2011年の発売以来、 世の中のトレンドとなった 極薄5枚刃採用のシェーバーである 同社のプログライド シリーズに加えて、 前後だけでなく左右にもカートリッジを可動させ、 顔の輪郭面への接触面を 従来品よりも最大化した フレックスボール テクノロジーを 搭載した新モデル。 フェイスラインに吸いつくように密着し、 ジレット最高の剃り味を実現した このシェーバー、 使ってみないわけにはいかない。 132 133 フレックスボール テクノロジーは ジレットが約 5 年の歳月をかけて 開発した新技術。 剃り残し、 という従来のシェーバーに 課せられた命題をクリアするために 顔の凹凸のある部分でも肌と密着するよう 考えられた技術が搭載されている。 mono 20 『ジレット プログラ イド フレックスボ ール』 にはマニュア ルホルダーとパワー ホルダーの 2 種類が 用意されている。 ピ ンポイントで剃りに くい場所も仕上げら れる 「+ 1 ピンポイ ントトリマー」 搭載。 1960年に発売された 「スーパー ブルーブレード」 は 刃にシリコンコーティングを応用した 安全カミソリ発明以来の 画期的な技術として称賛された。 これによって、 剃り味や安全性、 快適性などが飛躍的に向上した。 〝権利〟が生まれ始めたのもこ の頃から。人権や土地の所有 来事であった。工業化された 資本主義社会に、さまざまな 観をより強固に印象付ける出 た。そしてある朝、突然彼は 閃いた。早速、材料となる真 良い、安全なカミソリはない かと鏡の前で思案にくれてい ぐに顔が傷ついたり血を流し たりする状況を見て、切れの ちょっと手入れを怠れば、す 鍮、時計のスプリング材、万 力、ヤスリなどを金物屋で調 達し、新しいアイデアのカミ ソリをスケッチして自ら開発 に取り組んだ。しかしその開 発には6年を要すことになる。 最大の問題は、薄い鋼で焼き を入れても曲がらない材料を 探すこと。コツコツと研究を 権くらいしか知らなかった一 般の人々が、知的所有権や意 匠権、発明による特許などで 利益を得られることを知った のである。発明王のトーマス・ エジソンが活躍したのもこの 時期だ。知恵とアイデアがあ れば誰もが発明家の夢を見ら れたこの時代、多くの発明家 たちがアメリカに誕生した。 1895年、当時 歳だっ たアメリカ人のセールスマン、 キング・C・ジレットもその 一人。ジレットは、ほとんど 総てと言っていい 大人の男性の 身だしな みであ る〝髭剃り〟 が、実に効率の悪 い作業であることにイラ イラしていた。原因は切れ味 の悪いI字型の西洋カミソリ。 40 続けてようやく1901年に 最適の材料と焼き入れの技術 を完成。その年、ジレットの 発明に共鳴したウィリアム・ れていたのかもしれない。そ E・ニカーソンと共同で﹁ア メリカン・セーフティ・レザ ーカンパニー﹂を設立。翌年 には社名を﹁ジレット・セー フティ・レザー・カンパニー﹂ に改名し特許を申請。190 3年に、ようやく世界で初め てのT字型替刃式安全カミソ リを製造し、販売を開始した。 ただ、この年の売り上げは 個のホルダーと168枚のブ レードのみ。時代がその便利 さに気が付くのには、ジレッ トの発明は進み過ぎていたの かもしれない。なぜなら替刃 式ということは、切れなくな った刃は使い捨てするという こと。カミソリを研ぐことが 男のたしなみだった時代には、 その発想はあまりにも斬新過 ぎるスタイルだった。 初年度こそ売り上げに苦労 したが、1904年にジレッ 51 なる革新を続けている。 ックスボール﹂を発売。さら ﹁ジレットプログライドフレ 常に製品の改良と研究開発を 続ける企業になった。196 0年には安全カミソリ発明以 来の画期的技術﹁ スーパー ブルーブレード﹂を発表し、 1 971年には世界初の2枚刃 システム、1977年には世 界初の首振り式2枚刃システ ム、1980年代にはスムー サーで世界を驚かせ、199 8年にはカミソリの革命と評 された3枚刃システムを発表。 2006年からは5枚刃の時 代をけん引している。その新 しい発想と改良の歴史は、人 間の顔の肌にいかに快適に刃 をあてるのかを追及する歴史 でもある。ジレットの最初の 発明が生まれた瞬間から同社 の製品には、当時まだだれも 意識していなかった〝人間工 学的感性〟の機能やデザイン を、追い求める使命が課せら してついに今年、シェービン ェービングにこだわり続け、 以降、ジレットは質、安全 性、快適性、剃り味のいいシ トのT字型カミソリが正式に 米国の特許を取得すると、1 905年の終わりには 万個 のレザーセットと 万個の刃 のパック︵ 枚入り︶を売り 上げた。軌道に乗った商売は 約 年後の1916年には、 刃のパックを年間700万個 生産する企業にまで成長。さ らに第一次世界大戦︵191 4年∼1918年︶中、米国 政府は何百万人という兵士の ためにジレット社に350万 個のレザーセットと3600 万枚の刃を発注し、ボストン の工場はフル稼働で生産に追 われた。当時、まだ安全カミ ソリの存在を知らなかった兵 士たちはその便利さに驚き、 それまで床屋で髭剃りをして いた者も自分で剃るという習 慣を身につけるようになった。 結局、この戦場で身についた 習慣は、帰国後の家庭内でも 25 続き、全米にジレット製品が 10 グに新時代をもたらす新製品 12 一挙に広がる契機ともなった。 10 134 135 刃物という道具に科学的知見をもってその魅力を伝えよう としたのは、 おそらくジレットが初めてではないだろうか。 上の図は、 世界初の 2 枚刃システム 「GⅡ (TracⅡ) 」 がヒゲ をカットする構造を解説したもの。 1951年、創業50周 年を記念した広告。 宇宙開発時代が始 まった時期でもあ ったことが、 広告 のイメージからも 伝わってくる。 ジレットはシェーバーだけではな い。 シェービングフォームやシェ ービングジェルなどのプレシェー ブ用品も市場に送り出している。 歴史的にはエアゾール式フォーム を1953年に世界で初めて発売し ている名門。 オープン価格 誕生時から人間工学的な感性を 製品に持たせていた、歴史に残る傑作品 世紀のアメリカで起きた 戦争、いわゆる南北戦争︵1 861年∼1865年︶は大 農園主が支配する南部と、産 業革命を果たしてモダンな社 会にシフトしつつあった北部 の戦いでもあった。そして北 軍の勝利は、移民と開拓の歴 史であったそれまでのアメリ カに、工業という新しい価値 19 mono ジレットの製品に関する お問い合わせは P&Gお客様相談室 0120-113937 http://www.gillette.com/ja-JP/ ↑イギリスのリーディング イノベーションセンター ↑ジレットの創業者である キング・キャンプ・ジレット。 男のグルーミングは 深遠なるサイエンスでもある 100年以上もの間、世界中の男性のシェービング技術の先駆 者として君臨するジレット。その研究開発チームから上が ってくるデータが、同社の製品技術に反映されている。実 際にシェービングを行いながらモニターを行う個人は8000 人以上。世界の 4 つの大陸、71の国々に広がっている。 Gillette 現行品LINE UP 137 ジレット プログライド フレック スボール パワーホルダー 替刃 1 個付き 価格/オープン ジレット プログライド フレックス ボール マニュアルホルダー 替刃 2 個付き 価格/オープン ジレット フュージョン 5+1 5 枚刃+ピンポイント トリマーで完璧に。 替刃 2 個付き 価格/オープン マッハシンスリー ターボ アンチフリクション 3 枚刃で大ヒットした製品。 替刃 1 個付き 価格/オープン ジレット プログライド フォーム 価格/オープン ジレット プログライド マニュアル替刃 4B 価格/オープン 136