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2010 - ダイキン工業株式会社
アニュアルレポート2010 2010年3月期 グループ経営理念 1. 「次の欲しい」 を先取りし、新たな価値を創造する 2. 世界をリードする技術で、社会に貢献する 3. 企業価値を高め、新たな夢を実現する 4. 地球規模で考え、行動する 5. 柔らかで活力に満ちたグループ ①しなやかなグループハーモニー ②関係企業と刺激し合い、 高め合う 6. 環境社会をリードする 7. 社会との関係を見つめ、行動し、信頼される ①オープンである、 フェアである、そして知ってもらう ②地域に対して、私たちにしかできない貢献を 8. 働く一人ひとりの誇りと喜びがグループを動かす力 ①一人ひとりの成長の総和がグループの発展の基礎 ②誇りとロイヤリティ ③情熱と執念 9. 世界に誇る 「フラット&スピード」 の人と組織の運営 ①参画し、納得し、 実行する ②チャレンジャーこそ多くのチャンスをつかむ ③多彩な人材を糾合し、 個人の力をチームの力に 10. 自由な雰囲気、野性味、ベストプラクティス・マイウェイ 見通しに関する注意事項 このアニュアルレポートには、ダイキン工業の将来の計画や戦略、業績に関する記述が含まれていますが、これらの記述は過去の事実ではなく、当社が現時点 で入手可能な情報に基づいた会社の判断によるものです。実際の将来の業績は、経済動向や業界の競争激化、為替レート、税制や諸制度に影響される可能性 があります。このような事由により、これらの見通しは潜在的なリスクや不確実性を含んでおりますことをご承知おきください。 DAIKIN INDUSTRIES, LTD. 目次 グループ経営理念 業績ハイライト 業績ハイライト ▶ 1 売上高/営業利益率 (億円) ダイキンの戦略 CEOメッセージ 「環境技術」 で未来を拓く 2 (%) 15,000 15 12,000 12 ダイキングループは、いま大きなチャンスを迎えています。それは、地球環境保全をふまえた世界経済・産 9,000 9 6,000 6 COOインタビュー 単年度の利益創出から持続的な成長軌道へ 4 3,000 3 世界同時不況と円高に直撃された2009年度、ダイキングループは経営体質の強化に取り組み、既存商品 0 業のパラダイムシフトです。当社の強みである「環境技術」という揺るぎない基盤を活かした事業展開で、 業績のV字回復と過去最高益の早期実現をめざします。 0 でのシェアアップ、環境商品の拡販、トータルコストダウンなどにより、計画を上回る営業利益を確保、今 06 後は、グローバル規模で需要を創造・獲得していきます。 売上高 (左軸) グローバル市場で戦う: 「環境技術」を核にビジネス戦略を展開 10 ダイキングループはインバータエアコンのパイオニアとしてグローバル市場に参入し、家庭用ルームエアコ ンからアプライド(業務用大型空調)機器までフルラインナップを提供。地球のよりよい未来をめざして、 07 08 09 10 営業利益率 (右軸) 当期純利益/自己資本利益率 (ROE) (億円) (%) 800 20 600 15 400 10 200 5 あらゆる市場やお客様の空調ニーズに応えています。 事業の概況と今後の見通し 事業一覧 16 事業の概況と今後の見通し 国内空調事業 18 グローバル空調事業 20 化学事業 22 油機事業 24 特機事業 25 0 0 06 07 08 当期純利益 (左軸) 09 10 自己資本利益率 (右軸) 純資産/自己資本比率 (億円) (%) 6,000 経営および会社にかかわる情報 60 5,000 50 コーポレートガバナンス 26 4,000 40 役員一覧 28 3,000 30 コンプライアンス、内部統制 29 2,000 20 CSR (企業の社会的責任) 30 1,000 10 0 財務セクション 0 06 7年間の要約財務データ 32 財務報告 34 連結貸借対照表 40 連結損益計算書 42 連結株主資本変動計算書 43 連結キャッシュ・フロー計算書 44 連結財務諸表の注記 45 独立監査人の監査報告書 63 会社情報 64 07 08 純資産 (左軸) 09 10 自己資本比率 (右軸) 1株当たり配当金 (円) 40 30 20 10 0 06 07 08 09 10 1 Annual Report 2010 CEOメッセージ 「環境技術」 で未来を拓く ダイキングループは、いま大きなチャンスを迎えています。それは、地球環境保全をふまえた世界 経済・産業のパラダイムシフトです。当社の強みである 「環境技術」 という揺るぎない基盤を活かし た事業展開で、業績のV字回復と過去最高益の早期実現をめざします。 地球温暖化防止がグローバルイシューとなって久しく、各国・地域で温室効果ガス排 出量削減への動きが活発化しています。消費者の環境意識も高まり、金融危機以前と は異なった価値観の需要・市場が現れてくるに違いありません。いま経済・産業界は、 パラダイムシフトを迫られているのです。 これはダイキングループにとってチャンスです。私たちは、温暖化と深い関連性をも つ空調機器のメーカーとして、早くから最先端のR&Dに取り組み、インバータ、ヒートポ ンプ、デシカント空調、新冷媒といった多くの優れた環境技術に磨きをかけています。 それらを武器に、高度な環境商品を他社に先駆けて実現するなど、ビジネスを拡充 してきました。こうした力によって空調機器を差別化するにとどまらず、機器周辺や暖 房と換気を含めたHVACソリューション事業への進化を図り、収益力の強化につなげ ます。同時に、コスト削減、在庫圧縮やクレームの撲滅など、経営体質の強化にも引き 続き取り組みます。 新興国の空調市場が急成長する今日、エアコン普及に伴って温暖化が助長されるこ とを防がねばなりません。私たちは、省エネ効果の高いインバータを搭載した低価格機 種を商品化し、新興国の空調ニーズをも的確にとらえています。 ダイキングループは、これからも環境への貢献と快適性など生活の向上を両立させ、 新しい需要・市場に対応することで、企業価値のさらなる向上に全力を傾けます。 目下、私たちの最重要課題は業績のV字回復です。早期の過去最高益達成をめざし、 株主の皆様のご期待に応えてまいります。 2010年6月 代表取締役会長兼CEO 井上 礼之 2 DAIKIN INDUSTRIES, LTD. 代表取締役会長兼CEO 3 Annual Report 2010 COOインタビュー 代表取締役社長兼COO 岡野 幸義 単年度の利益創出から 持続的な成長軌道へ 世界同時不況と円高に直撃された2009年度、ダイキングループは経営体質の強化に取り組み、 既存商品でのシェアアップ、環境商品の拡販、 トータルコストダウンなどにより、計画を上回る営業 利益を確保することができました。 10年度も事業環境は予断を許さない状況ですが、早期の最高益更新をめざし、さらなる経営体質 の強化に取り組んでまいります。 11年度からの次期戦略経営計画 「FUSION15 (仮称) 」 では、環境商品の開発・投入、新興国での市 場開拓、機器販売からサービス・ソリューション事業への転換をいっそう進め、グローバル規模で需 要を創造・獲得していきます。 4 DAIKIN INDUSTRIES, LTD. ▶ 2009年度の業績をどのように評価・分析していますか。 前年度比で減収減益となったものの、中長期の成長・発展の土台づく りは着実に進展しました。 ▶ 2009年度の世界経済は、後半に明るさが見えたものの、全体としては過去にない厳 しい状況が続きました。日本の景気は一部に持ち直しの兆しも見られましたが、厳しい 雇用情勢やデフレなど、 自律回復への懸念材料も残る状況でした。 こうした環境下、当社グループは09年の年頭方針として 「いまこそ、3Cの徹底を― Creative, Challenge & Change―」 を掲げ、短期利益の創出を最優先とし、既存商品 でのシェアアップ、環境関連商品の拡販、 トータルコストダウンの推進といった 「重点課 題49テーマ」 に全社で取り組みました。固定費削減についても、 コンティンジェンシー プラン (緊急的な経費削減策) を臨機応変に発動するなど強力に実行しました。 しかしながら需要の減退や円高の影響もあり、連結業績は、売上高1,023,964百万 円、営業利益44,038百万円、 当期純利益19,391百万円となりました。 一方、 コスト削減の半面、例えば、ダイキンマッケイアプライド開発センター (米国) に おける省エネ効果が高いアプライド (業務用大型空調) 機器の開発、珠海格力電器 (中 国) と共同開発したインバータ搭載普及機の市場投入、 ヒートポンプ暖房給湯機 (ダイ キンアルテルマ) のラインナップ拡充、 インド新工場の稼動、 ブラジルでのマーケットリ サーチなど、将来の飛躍につながるテーマについてはむしろ前倒しで積極的に投資を 行いました。これらにより、中長期の成長・発展の土台づくりは着実に進展したと考えて います。 ▶ 2010年度の挽回に向けた決意を聞かせてください。 過去最高の販売数量に挑戦し、業績のV字回復を図りたいと考えてい ます。 ▶ 2010年度は、 これまで強化してきた経営体質を基盤に、新興国の高成長に下支えさ れた世界経済の緩やかな回復傾向を最大限にとらえ、為替換算の影響を除く数量ベー スで過去最高の販売に挑戦し、業績のV字回復をめざします。 各国・地域の需要動向、為替、施策効果などをタイムリーに把握し、拡販施策を矢継 ぎ早に打つことで、 目標達成に最大限の努力をしたいと考えています。 5 Annual Report 2010 ▶ V字回復のための、2010年度の経営方針を聞かせてください。 いま克服すべき経営課題を見定め、攻めの戦略を果敢に実行していき ます。 ▶ 一言で表せば、攻めの戦略です。09年度、 「重点課題49テーマ」 に全社挙げて取り組 んだ結果、10年度、全社挙げて成果創出に取り組むべきテーマがはっきりしました。こ れらを 「全社課題9テーマ」 と位置付け、経営トップも加わって徹底的に解決し、持続的な 成長につなげます。 ①業務用パッケージエアコン事業を抜本的に強化し、 グローバルNo.1事業を構築 ②国内工場のトータルコストダウンを推進し、 グローバルでコスト競争力を強化 ③最大の成長市場である中国での飛躍的な拡販 (空調、化学、油機) ④ヒートポンプ暖房・給湯事業の欧州、中国、米国での急拡大 ⑤アプライド事業のグローバル展開を加速 ⑥家庭用ルームエアコン普及機の競争力強化によるグローバル拡販を加速 ⑦インド・ブラジル (中南米) 市場の攻略 ⑧光速ストリーマ技術を核とする商品展開の拡大とグローバル展開 ⑨品質やサービスなど総合的な顧客満足の向上 ▶ ダイキングループの成長(2006-2010) 2008.2 欧州暖房事業拡大に向けて営業力を強 化。当社で初めて暖房事業主体の販売会 社「ダイキンスウェーデン社」を設立 2006.5 空調事業で北米やアジアに充実した ネットワーク網とアプライド(業務 用大型空調)機器に強みをもつOYL インダストリーズ社の買収を発表 6 2008.3 珠海格力電器有限公司と、インバータルーム エアコンの生産委託、共同開発、共同購買に ついて協業の検討を開始 2008.5 戦略経営計画「FUSION10 (フュー ジョン・テン) 」後半計画を策定 地球環境への貢献と事業拡大の両 立という基本方針を明確化 2008.9 ダイキンアメリカ社のディケーター 工場で、熱溶融性フッ素樹脂『ETFE』 の設備を増強し、生産能力を倍増 2008.10 欧州住宅用暖房市場への本格参入を 目的に、ドイツの暖房機メーカー「ロ テックス社」を買収 DAIKIN INDUSTRIES, LTD. ダイキングループの未来を見据え、中長期的な成長をめざすための戦 略はどう描いていますか。 ▶ 3つの大きな枠組みのなかで中長期的な成長戦略を構築・展開してい きます。 ▶ 中長期戦略の第1の枠組みは、環境対応です。産業界で持続的な成長へのパラダイ ムシフトが本格化するなか、地球温暖化防止に大きく貢献すべき空調事業を主力とす る当社グループには、 そのシフトを先導する使命があると認識しています。 とりわけヒー トポンプとインバータは私たちが誇る技術であり、いっそうのレベルアップを図ります。 また、化学事業およびその他の事業においても、環境関連商品の充実を図ります。 第2は、新興国市場の攻略です。この市場の成長はスピードの鈍化こそあっても、中 長期的に続くものと予測しています。特にインドとブラジル (中南米) に対しては、2010 年度 「全社課題9テーマ」 の一つに掲げ、徹底したマーケットリサーチに基づく、当社独 自の事業拡大策を展開していきます。 第3は、新たな空調ビジネスモデルの構築です。例えば、 エアネットによる省エネ運転 管理や遮熱塗料による空調負荷の低減、廃熱を有効活用し、建物全体を省エネ化する “熱まるごと” ビジネスなどがあります。また空調機のサービス・保守・メンテナンスは、 不況に伴って買い替えサイクルが長期化するのとは表裏一体に需要が伸びる点で重要 です。この分野では当社グループの強みであるきめ細かな提案を行い、能動的に需要 を創造していきたいと考えています。 2009.3 珠海格力電器有限公司と空調機器の 基幹部品および金型の生産合弁会社 を設立 (中国広東省珠海市) 2009.5 ダイキンマッケイアプライド開発セ ンター (米国・ミネアポリス) に最新鋭 の開発試験設備を導入 2009.8 中国の暖房給湯市場への本格参入を 目的に『ヒートポンプ式住宅用温水 暖房機』の現地での生産を開始 2009.9 省エネルギーに貢献している事業として 「ゼッフル遮熱塗料」 が 「Lloyd’ s List Global Awards 2009」にてエナジー部門賞を 受賞 2009.10 国内エアフィルター事業トップの日本無機 株式会社を買収。アメリカン・エアフィル ター・インターナショナル社とのシナジー でグローバルエアフィルター事業No.1を めざす 2010.5 米国・ニューヨークに 「ダイキンマッケイ ソリューションプラザ」 を開設 7 Annual Report 2010 グローバルNo.1の空調事業を実現するカギともなる中国市場にはど う臨みますか。 ▶ 普及機市場、暖房市場など新事業領域での事業拡大で、引き続き高成 長を実現していきます。 ▶ 中国での空調事業は、2009年度を 「第2の創業の年」 と位置付け、 ターゲットを沿岸 部市場および高級機市場から、地方・内陸・普及機市場へとシフトし、戦略展開しました。 この方針は10年度も継続し、積極的な拡販を図ります。また、 ビル用マルチエアコン主 体だった事業領域を、ルームエアコンやアプライド空調へも拡大し、あわせて暖房事業 にも本格参入します。さらに、機器販売中心からソリューション提供へと事業モデルの 転換を進め、一気呵成に成長をめざします。 ルームエアコンは、中国でも環境規制が厳しくなり、 インバータ機への置き換えが急 速に進んでいます。09年度中の総販売台数に占めるインバータ機の割合は、当初7∼ 8%と予想されましたが、実際には15%程度まで伸びました。10年度は30%、11年度は 50%に達すると見込まれます。 私たちはこの動きをいち早く予見し、 ボリュームゾーンにおいても提携先である珠海 格力電器有限公司との共同開発で価格競争力の高いインバータ機を09年度に投入。 日系メーカーとして先行参入を果たしました。10年度のルームエアコンの販売計画は、 従来のハイエンド機を加えて50万台です。これを実現するためにも、中国国内に大手 量販店・専売店・プロショップを核とした4,000店舗規模の販売網を築く計画です。 「FUSION10」 の総括と、次に策定される 「FUSION15 (仮称) 」 の方向 性を聞かせてください。 ▶ 環境対応と、サービス、ソリューション提供への転換が今後の主軸 です。 ▶ 目標年度を迎えた戦略経営計画 「FUSION10 (フュージョン・テン) 」 については、 リー マンショック以降の不況の影響もあって、後半3カ年計画 (2008年5月策定) の定量目標 には届きそうにありませんが、 「空調グローバルNo.1」 の実現まであと一歩のところま で迫ることができました。当社グループは不況下でも赤字に転落しない強い経営体質 を構築したうえで、それを礎として、時代にかなった環境技術をよりいっそう活かす方向 へ進んでいます。 11年度から始まる 「FUSION15 (仮称) 」 の内容は、世界同時不況後のグローバルな 産業構造の変化にも目を向けて議論を深めます。成長の主軸は 「環境対応」 と 「機器か 8 DAIKIN INDUSTRIES, LTD. らサービス、 ソリューションへというパラダイムシフト」 にあり、環境技術の高度化や環 境商品開発を通じて世界的な需要を創造することが必要です。 より具体的には、空調事業では、 ビジネスモデルを機器販売からサービス、 ソリュー ション提供へ転換していきます。また、化学事業では用途開発に努め、環境分野や次世 代材料 (遮熱塗料、 リチウムイオン電池、太陽光発電など) の分野で需要を先取りしてい きます。こうした取り組みを中心に、 「FUSION15 (仮称) 」 の策定では 「産業構造が変わ りゆくなか、 どう勝ち抜き、持続的に成長・発展するか」 を徹底的に考えたいと思います。 ▶ 2009年度の配当と今後の配当方針を説明してください。 遺憾ながら09年度は減配となりましたが、10年度は増配をめざし全 力をつくします。 ▶ 株主の皆様への還元につきましては、連結純資産配当率 (DOE) 2.0%以上を維持す ることを基本とし、当社グループの連結業績、財務状況、資金需要などを総合的に勘案 し、安定的に実施していきたいと考えています。 一方、内部留保金は戦略的投資に充当し、経営体質の強化を図るとともに、 グローバ ル事業展開の加速、地球環境に貢献する商品開発の加速など、事業拡大と競争力の強 化を実現していきます。 2009年度 (2010年3月期) の配当金は、前年度より6円減配の年間32円 (中間配当 16円、期末配当16円) とさせていただきました。 経営環境が厳しいなか、短期利益の確保に努めましたが、対前年で大幅な減収減益 となったため、 まことに遺憾ながら減配とさせていただきました。 今後は、 これまで述べてきたとおり、業績のV字回復に不退転の決意で臨みます。そ の成果などもふまえて、2010年度 (2011年3月期) の配当金は、第2四半期決算時をめ どにご提案したいと考えています。 株主の皆様には、 これまでにも増してご理解とご支援を賜りますよう、 よろしくお願い 申し上げます。 2010年6月 代表取締役社長兼COO 岡野幸義 9 Annual Report 2010 グローバル市場で戦う 「環境技術」 を核に ビジネス戦略を展開 インバータ搭載のエアコンをグローバルに普及促進 経済発展が著しい中国やインド、 また猛暑のため熱中症の死者までが出た欧州など、世界各 国・地域で空調需要は高まり、機器の販売も世界的に非常な勢いで伸びています。これに伴って、 消費電力やCO2排出量が増えてしまう現実もあり、そうした問題を可能な限り解決するために重 要なのが、 インバータ技術です。 インバータは日本が世界に誇る省エネ技術で、空調機器の場合にはその回転数を調整し、稼働 をきめ細かく制御します。例えば、日本のルームエアコンが10年前に比べ平均40%も省エネに なったのは、 インバータ技術などの恩恵です。 しかし世界の空調の主流は、依然としてインバータ を搭載していない機器なのです。 今後、開発途上国を中心に快適性を求めるニーズはますます大きくなります。ダイキングルー プはグローバル空調メーカーとして、 自信をもってそれに応えなければなりません。環境負荷を 最小化するため、 インバータを用いた省エネ空調機器や周辺サービスの普及をグローバルに促 進します。 日本での周辺サービスとしては、例えば 「エアネットⅡ」 があります。インバータとIT技術を用い た遠隔監視を融合させることで無駄な運転を防ぎ、10%以上の省エネを可能にします。 さらに2010年の改正省エネ法を受け、 「ENE・FOCUS (エネ・フォーカス) 」 の提供を開始しまし た。これは、多くの事業拠点をもつ企業を対象にしたサービスです。ウェブを通じ各拠点単位で電 力やガスなどのエネルギー使用量を毎月入力するだけで、一括して全社のエネルギー使用量を “見える化” 。他にもさまざまなオプションを用意し、統括部門が改正省エネ法に対応するのを支 援します。 インバータ技術を活かして新製品を開発 ダイキングループはインバータエアコンのパイオニアとしてグローバル市場に参入し、家庭用 ルームエアコンからアプライド (業務用大型空調) 機器までフルラインナップを提供。地球のより よい未来をめざして、 あらゆる市場やお客様の空調ニーズに応えています。 米国では、販売網とサービス体制の強化が着実に進行中です。中国、欧州、 アジア、 オセアニア では営業網の構築に力を入れ、 インド、 ブラジルをはじめ成長を続ける新興国ではインバータエ アコン普及に向けた製品投入の計画を進めています。 10 DAIKIN INDUSTRIES, LTD. 一方2009年6月には、北米でアプライド商品の一つ、空冷スクリューチラーの販売を開始しま した。これは省エネ性と静音性で他社製品を圧倒し、順調に引き合いを伸ばしています。 空調機器の冷却能力 (kw) を消費電力 (kw) で割ってエネルギー効率を示した指数をCOP (coefficient of performance) と呼び、COPが大きいほど高効率で省エネ効果が高いことにな ります。当社グループのチラーは世界トップクラスのCOP4.5を達成しており、約15年前の機種 に比べ59%も向上しました (当社比) 。 北米市場で09年10月に発売したDCインバータ搭載のターボ冷凍機も、ASHRAE (アメリカ暖 房冷凍空調学会) 会長をはじめ多くの専門家から高い評価を獲得。このターボ冷凍機も圧倒的な 省エネ性を誇り、 当社グループにとって重要な戦略商品となっています。 さらに、中国市場をターゲットとする 「大容量ターボ冷凍機」 もカスタマイズし、 より多くの受注 につなげる考えです。 ▶ 住宅用エアコンの年間販売台数におけるインバータ機比率 ※ダイキン工業調べ(2009年推定) ■インバータ機 ■ノンインバータ機 中国 15% 北米 3% 日本 100% 欧州 30% 2,100 万台 830 万台 740 万台 750 万台 中南米 アジア・オセアニア 620 万台 2% 10% 380 万台 11 Annual Report 2010 暖房のCO2排出量を減らすヒートポンプ ダイキングループの優れた環境技術の一翼を担うヒートポンプは、CO2排出量を削減するう えできわめて有力です。 現在、世界の暖房や給湯のほとんどは石炭、石油や天然ガスなどを燃焼させる方式ですが、そ こから排出されるCO2は膨大であり、世界の排出量全体のほぼ30%といわれます。また、欧州で は家庭で使用するエネルギーの70%以上が暖房や給湯に使われます。一方、 ヒートポンプ暖房・ 給湯ならば、燃焼がなく外気の熱を汲み上げ室内に送る仕組みなので、効率的に暖房ができ、 (圧縮機などを動かす電力に由来する) は燃焼式暖房の約半分まで抑えられるので CO2排出量 す。IEA (国際エネルギー機関) は、 ヒートポンプが世界中の暖房・給湯・熱源に普及すれば、CO2 排出総量が8%以上削減されるとしています。これは日本の総排出量の1.8倍に匹敵するスケー ルです。さらに今後、発電のための新エネルギーが普及すると、 ヒートポンプが発揮する環境効 果も一段と高まることは間違いありません。いまや世界の多くの国々がヒートポンプ技術の普及 促進をCO2排出量削減の切り札として奨励しています。 当社グループが欧州で販売中のヒートポンプ式温水暖房機 「ダイキンアルテルマ」 (夏の冷房 運転も可能) は、 “地球に優しい” 特長によって評価され、大きな成功を収めています。また、日本 でもヒートポンプ技術を用いた給湯機 「エコキュート」 を発売し、寒冷地向け (仕様温度範囲外気 温マイナス20℃まで) や狭小地向け (新聞紙大の場所に設置可能) など多様な製品をそろえるこ とで、多くのご家庭に選ばれています。 ▶ 家庭での電力消費量の家電製品別内訳 食器洗浄乾燥機 1.7% その他 20.4% 衣類乾燥機 2.9% 温水洗浄便座 4.1% エアコン 24.9% 家庭で 消費される 電力の内訳 電気カーペット 4.4% テレビ 9.9% 出典: 「電力需給の概要」 (経済産業省資源エネルギー庁編、2005年度想定) 12 照明器具 16.2% 冷蔵庫 15.5% DAIKIN INDUSTRIES, LTD. 世界に期待される再生可能なエネルギー 2009年4月、EU (欧州連合) は気候変動・エネルギー包括法案を正式に採択しました。これに先 んじて08年12月には、 ヒートポンプが再生可能エネルギーを取り出す技術として正式に認定さ れました。 EUの認定とともに、 フランス、 ドイツ、英国ではヒートポンプ式暖房・給湯機を購入する費用の 一部を国が補助しています。当社グループの 「ダイキンアルテルマ」 にとって最大市場はフランス で、09年度は不況による需要減で勢いこそ鈍化したものの、販売実績は伸びを維持できました。 フランスおよびEUの施策は依然として追い風といえます。中長期的に見て、特にフランスのヒー トポンプ需要は安定軌道をたどると予測され、10年度にはフランスをはじめ欧州市場に向け、新 たに集合住宅用の暖房・給湯製品も投入します。 また、米国北東部・北西部とカナダを中心に、北米でも09年度は 「ダイキンアルテルマ」 の販売 を開始し、想定を上回る実績を挙げました。10年度には販売エリアを拡大し、販売台数も増やす 計画です。 地球温暖化防止政策の節目である2020年、50年に向け、世界各国がCO2排出量削減の数値 目標を掲げるなか、 ヒートポンプ技術の果たす役割はますます大きくなっています。従来の暖房・ 給湯をヒートポンプ式に変えれば、 エネルギー消費量、CO2排出量は確実かつ大幅に減らせるの です。ダイキングループはヒートポンプ式暖房・給湯機を世界に浸透させるため、各国・地域の実 情にあった製品の開発・提供を続けます。 ▶ 2020年、再生可能エネルギーに占めるヒートポンプの割合(試算) ヒートポンプ 2,361万kl 水力発電 風力発電 水力発電 その他 (太陽熱など) 再生可能 エネルギー 出典: (財)ヒートポンプ・蓄熱センター 13 Annual Report 2010 グローバルに通用するアプライド製品をスピーディに開発 2009月5月、 アプライド (業務用大型空調) 機器の研究開発施設として、米国・ミネアポリス近 郊に 「ダイキンマッケイアプライド開発センター」 が竣工しました。5,200万ドル (約50.4億円) を 投資し、世界の気温 (マイナス20℃∼プラス60℃) および、あらゆる国の電源仕様 (周波数や電 圧) を再現できるなど、世界トップレベルの開発試験設備も新設。これを活用すれば、大規模ビル・ 工場向け大型空調機器 (スクリューチラー、 ターボ冷凍機など) の省エネ性と信頼性をいっそう高 めることができます。 アプライド開発センターのねらいは、 マッケイ社がもつアプライド空調技術に、ダイキングルー プの従来の強みであるヒートポンプ・インバータやシステム化の各技術を融合させ、比較優位性 の高いグローバル基本モデルをスピーディに開発することです。基本モデルを各地域ですばやく 現地向けにカスタマイズし、 性能も信頼性も高い製品を短期間で市場投入していきます。 当社グループは、 これまで主に住宅用空調や小・中型業務用空調の分野で省エネ技術など環 境技術力を活かし、世界の空調市場をリードしてきました。さらに空調事業トータルで “グローバ ルNo.1” をめざし、 アプライド市場を攻略すべく、07年1月に業務用大型空調市場で世界第4位 のマッケイ社を含むOYLグループを買収。一段と積極的、本格的に空調事業全体を強化してきま した。 これに加え、ダイキンマッケイアプライド開発センターの完成で、世界各国・地域のアプライド 空調をリードする製品開発体制が整い、大型機市場攻略への大きな原動力が生まれています。 新興成長市場への積極アプローチ 旺盛な経済成長が続く中国、 インドや、 より本格的な成長が見込まれるブラジルなどの市場に 対し、ダイキングループは環境に配慮した、 かつボリュームゾーン向けの空調機器を開発するな ど、独自の技術力を駆使した戦略でアプローチを進めます。 中国には華北をはじめ寒さの厳しい地方を中心に、化石燃料を原料とした燃焼系ボイラーで暖 房する文化があります。近年、環境意識の高まりを主な背景に、 ヒートポンプ暖房へのニーズが 高まってきています。 そこで当社グループは、欧州の寒冷地向け 「ダイキンアルテルマ」 の技術をベースに、中国の 14 DAIKIN INDUSTRIES, LTD. 米 国 欧 州 アプライド (業務用大型空調) 機器にインバータを 搭載して省エネ化 空気熱を利用する ヒートポンプ式 暖房・給湯機で 燃焼式暖房から転換 日 本 中国・アジア 省エネ性の高い インバータ機を 一般家庭にも普及 省エネエアコンの 性能を最大に 発揮させる ソリューション 事情に対応したヒートポンプ式住宅用温水暖房機を開発・投入しました。第一弾として2009年 8月より 『床暖房+給湯』のタイプを、第二弾として10年4月より 『床暖房+給湯+空調』のタイプ を販売しています。目標は、 早期に年商100億円規模の事業に育てあげることです。 インドでは09年10月、 ラジャスタン州ニムラナ工業団地の当社グループ新工場で、現地向け VRV (業務用エアコン) の生産を開始しました。販売体制も、現地スタッフ採用を含め、抜本的な 強化策を積極的に検討しています。 14年のサッカーワールドカップ、16年のオリンピックで需要増に拍車がかかるブラジルでは、 約20名のマーケティング専属スタッフを配置し、徹底的なリサーチを行っています。早期に進出 案を固め、 10年度中の本格参入を果たす考えです。 今後もダイキングループは、あらゆる市場で勝ち抜けるようスピードや柔軟性を高め、 “空調グ ローバルNo.1” をめざします。 15 Annual Report 2010 事業一覧 売上高 空調事業 売上高に占める割合 (億円) 12,000 10,000 8,000 88.7% 6,000 4,000 2,000 0 06 化学事業 07 08 09 10 (億円) 1,200 1,000 800 8.4% 600 400 200 0 06 油機事業 07 08 09 10 (億円) 250 200 150 1.2% 100 50 0 06 特機事業 07 08 09 10 (億円) 250 200 150 1.7% 100 50 0 06 16 07 08 09 10 DAIKIN INDUSTRIES, LTD. 主要製品およびサービス 事業概要 ● ● ● ● ● ● ● ● ルームエアコン ヒートポンプ給湯暖房システム 店舗・オフィス用エアコン ビル用マルチエアコン 設備用・工場用エアコン 中・低温用エアコン 全熱交換ユニット 調湿外気処理機 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● フルオロカーボンガス フッ素樹脂 フッ素ゴム フッ素コーティング材 フッ素オイル 撥水・撥油剤 離型剤 医農薬中間体 ● 半導体用エッチング剤 ● ドライエア供給装置 ● ● ● ● ● ● 油圧ポンプ 油圧ユニット 油圧バルブ 油冷却装置 油圧トランスミッション 集中潤滑機器・装置 ● 砲弾 ● 誘導弾用弾頭 ● 在宅酸素医療用機器 空気清浄機 ウォーターチリングユニット エアハンドリングユニット 海上コンテナ用冷凍装置 1951年に日本で初めてパッケージエアコ ンの生産を開始して以来、冷媒開発から空 調機開発までを行う世界唯一のメーカーと して培った技術力をもとに、ダイキンはここ ちよい空間づくりに貢献しています。 1933年に日本で初めてフッ素系冷媒の研 究に着手して以来、研究開発から製品化に 至るまでを一貫して行い、ガス、樹脂、ゴム など、 1,800種類以上のフッ素化合物を生 み出しています。 ダイキン独自の油圧技術は、省エネ性能に 優れ、パワーコントロールの可能性を拓き、 産業の発展に貢献しています。 ダイキンの高度な精密加工技術や品質管 理技術は、防衛関連製品など最高レベルの 精度と機能が要求される分野で活躍してい ます。 17 Annual Report 2010 事業の概況と今後の見通し 国内空調事業 2009年度の国内空調事業は、不況による住宅着工の低迷や設備投資の抑制などにより、家庭用・業務用エアコンと も大幅な需要低迷の影響を受け、販売台数は前年度に及びませんでした。しかし、販売力、商品力、サービス力などの 総合力を発揮し、家庭用・業務用ともに販売シェアのアップを果たすことができました。2010年度は、新製品の積極 的な投入でさらなるシェア拡大を図るとともに、あらゆる施策の実行で収益力もいっそう改善していきます。 ▶ 当期の概況 家庭用・業務用エアコンもエコキュートも、高い付 加価値を提供しました ヒートポンプ給湯機 「エコキュート」 は、能力アップやコンパ クト化などで差別化を図るとともに、エコプランナーズクラブ 店の展開など営業力を強化することで販売台数を伸ばすこと ができました。 2009年度の家庭用ルームエアコン需要は前年度より縮小 しましたが、当社グループは独自の “うるる加湿” や、季節と生 活シーンにあわせ12通りの設定ができる “選べる気流” を新た に搭載するなど、省エネ効果を核とする高付加価値の訴求で 次期の見通し 収益性の向上にいっそう力を入れ、史上最高益達 成の一翼を担います ▶ 拡販を図りました。また、小型の普及機ゾーンにおいては、珠 18 海格力電器有限公司 (中国)への生産委託などの施策によ 家庭用エアコンの収益性の向上においては、特に小型の機 り、 コスト競争力を大幅に向上させました。 種において利益を確保できるコスト競争力がカギとなりま 業務用パッケージエアコンも需要減少の環境下、フィル す。2010年度は、珠海格力電器への生産委託を継続すると ター自動清掃機能を搭載した 「クリーンZEAS-Q」 や、独自のス ともに、エコポイント対象の新機種を新たに投入し、収益性の トリーマ技術で有害微生物や花粉を抑制・除去する 「光速スト 向上を実現していきます。 リーマZEAS-Q」 など高付加価値商品で拡販に努めました。 業務用では、改正省エネ法を機にエネルギーマネジメント 結果として販売台数は前年度を下回りましたが、 業務用エア サービス 「ENE・FOCUS」 ほか “環境ソリューション”の提案営 コンでは過去最高のシェアを達成し、家庭用においてもシェア 業に注力して差別化を図り、 これをエアコン更新需要の獲得に を拡大したことは、大きな成果です。 もつなげるよう努めます。また、機器本体の省エネ性向上に DAIKIN INDUSTRIES, LTD. 加え、使用状況に応じ最適な運転制御ができる新製品 「ECO- 光発電など、住宅設備のラインナップと販路の拡大を加速し ZEAS80」 を開発し、ナンバーワン・オンリーワン製品の積極拡 ます。 販で、収益性をより高めます。 また、家庭用空気清浄機は、新型インフルエンザ対策もあり さらに20年までに新築住宅のすべてを省エネ化する法制 需要が急増しており、花粉対策や除湿ニーズなど、季節にあわ (空調や断熱性などに基準を設定) や住宅版エコポイントの拡 せた新商品展開を進め、販売増をめざします。 充が検討されています。これをにらみ 「エコキュート」 や太陽 Topics 新たなビジネスモデル“環境ソリューション”は、省エネ、温暖化防止にも貢献 ダイキングループは、世界不況後に見通される産業構造のパラダイムシフトや、国内の改正省エネ法 に対応する新たなビジネスモデルとして、 “環境ソリューション”の提供をより積極的に推進してい きます。 遠隔監視・性能検証サービス 「性能当番」 お客様設備 運 運転データ収集 運転データ送信 運 遠隔監視センター 性 性能データ収集・分析 ・負荷 ・ ・負荷トレンド ・ ・エネルギー消費 17年の実績をもつ省エネサービス 当社グループは、1993年から「エアネッ トサービスシステム」を提供し、通信回線 による空調機器の24時間遠隔監視と、機 器の故障予知や適切な保全の提案などを 行ってきました。 2008年にはその基本機能に加え、省エ ネ制御機能を大幅に拡充。 「エアネットⅡ サービスシステム」として新たに展開してい ます。主な対象は中小規模のビル※で、空調 機器のエネルギー消費の実態把握、問題箇 所の特定、その改善計画の立案、改善後の 効果測定を行います。また、遠隔監視で運 転の無駄を見つけ、省エネ制御を最適化す ることも可能です。建物内でエネルギー消 費の約4∼5割を占める空調の管理は喫緊 の課題ですが、 「エアネットⅡ」はその解決 に大きく貢献しています。 お客様設備 運用情報をレポート ・空調負荷 ・消費電力量 ・エネルギー効率 データに基づき、 さらに快適性と 省エネを追求 改正省エネ法の対象企業を支援 2010年4月には改正省エネ法の施行に あわせ、対応を支援するエネルギーマネジ メントサービス「ENE・FOCUS」を開始し ました。 改正省エネ法では、規制対象が工場・事 業所単位から、複数の小規模事業所を含め た企業単位となり、従来よりも規制対象が 広くなりました。規制対象の企業には、毎 年のエネルギー使用量を多くの拠点から収 集・集計して所轄官庁へ定期報告書を提出す る義務が生じ、 複雑な業務が増えています。 そこで「ENE・FOCUS」は、多数の拠点 のエネルギー 使 用量を一括して“見える 化”。リーズナブルな費用で、企業の業務負 担を軽減し、届出書類となる定期報告書の 自動作成機能も提供します。 また「ENE・FOCUS」で把握した実態を もとに問題箇所を抽出し、 「中長期省エネ 計画」 (規制対象企業に義務付け)の立案 を支援するオプションも用意。当社グルー プ独自の多彩なサービスシステムと組み合 わせ、最 適な省エネ推 進を提 案していき ます。 運転性能とエネルギー使用量を監視 2010年4月には、ビル用マルチエアコン の運転性能やエネルギー使用量を遠隔監 視で把握・分析し、省エネのための運用改 善情報を提供するサービス「性能当番」を 開始しました。 従来、ビル用マルチエアコンの運転実態 の把握には、専門の測定装置や分析が必要 でした。そこで「性能当番」は、ビル用マル チエアコン「Ve‐upⅢ」と制御機器「Ve‐ upコントローラー」を組み合わせて詳細な 運転データを収 集し、運転性能やエネル ギー使用量の“見える化”を実現。これに よって空調機器単体の省エネ化だけでな く、運用面での提案を通じ、より環境性の 高い空調の実現に貢献します。 ※当社グループのビル用マルチエアコン 「Ve‐upⅢシリーズ」 を導入しているビル。 19 Annual Report 2010 グローバル空調事業 2009年度は世界各国・地域で景気後退による空調需要低迷の影響を受けるなか、ダイキングループのグローバル空 調事業はマーケットシェアの向上に努めました。しかし、需要減に加え円高による為替換算の影響もあり、売上高は前 年度に届きませんでした。2010年度は中国での大拡販を柱とし、新興国市場の攻略にも挑みます。環境事業をさらに 加速し、ヒートポンプ暖房・給湯事業の欧州・米国・中国での拡大、家庭用エアコンの普及機市場への参入、アプライ ド事業のグローバル展開を積極的に推進します。 ▶ 当期の概況 景気後退の影響で空調需要が低迷するなか、世界 各地域でマーケットシェアの向上に注力 や、珠海格力電器有限公司と共同開発のインバータ普及機に よる家庭用エアコン市場への本格参入、 ヒートポンプ式暖房・ 給湯機事業の本格立ち上げに取り組むなど、大拡販に向けた 基盤整備を進めました。 2009年度の欧州では厳しい需要環境が続くなか、既存の 販売店へのきめ細かい販促支援と新たな販売ネットワークの が比較的軽微であったことから拡販策を積極的に展開しまし 構築を進め、既存商品 (家庭用エアコン、業務用パッケージエ た。オーストラリアでは、景気回復に加え住宅の購入補助金 アコン、 ビル用マルチエアコン) のシェア向上に注力しました と猛暑も追い風となり、家庭用の売上が拡大。シンガポール が、販売台数は前年度を下回りました。暖房事業は、 最大市場 とタイでは、業務用の需要が減少しましたが、販売店の新規開 のフランスで、 インセンティブの縮小、新築住宅の着工減およ 発や小口物件の受注強化によって前年度を超える結果を収め び原油価格の下落により需要が伸び悩みました。こうしたな ました。 か、販売店の新規開発、 サービス体制の強化、燃焼暖房機器の 北米は、建築市況の低迷でアプライド需要が縮小し、前年度 更新需要をねらった新商品 「高温水ダイキンアルテルマ」 の投 比で減収となりました。しかし、高い省エネ性を誇る戦略製品 入によって、 販売台数は前年度を上回りました。 20 アジア・オセアニア地域は、金融危機による景気悪化の影響 「空冷スクリューチラー」 「DCインバータ搭載ターボ冷凍機」 な 中国は、政府の大型経済対策もあり景気は回復軌道に乗 どが評価を得て、2009年11月以降は受注が回復傾向にあ り、当社グループも地方都市・内陸地域での販売強化や差別 ります。また、日本式のシステムであるダクトレス空調は、販 化商品の積極投入を進めた結果、販売台数は前年度を上回り 売網の強化などビル用マルチエアコンの市場創造に継続して ました。また、アプライド (業務用大型空調) 機器の販売拡大 取り組みました。 DAIKIN INDUSTRIES, LTD. ▶ 次期の見通し 変わらぬ厳しさが続くと考えられます。そうしたなか、 販売ルー 環境技術を最大限に活かし、中国をはじめ世界各 地域で事業拡大を加速 トのさらなる強化を進め既存商品のシェア向上を図ります。暖 房事業では、販売網・サービス体制・商品ラインナップの強化 を続けます。更新需要は比較的堅調であることから 「高温水 2010年度は、世界経済の緩やかな回復傾向を最大限とら ダイキンアルテルマ」 の拡販に努め、 ヒートポンプ暖房・給湯機 え、過去最高の販売数量に挑戦します。 の新たな市場を開拓するため 「集合住宅用ダイキンアルテル 特に中国は、経済の力強い成長に加え、省エネ効果の高い マ」 も発売します。また、 アプライド事業では、 インバータを搭 インバータ化の急速な進行で、高い環境技術を有する日系 載したチラーの新機種を拡充して差別化を進め、同時にサー メーカーにとっては大きなチャンスです。当社グループは、約 ビス・保守・メンテナンスを含めたソリューション事業を強化し 10年間にわたり現地ニーズに応える製品開発と販売網の整 ます。 備で築いた基盤、そして最先端のヒートポンプ、 インバータ技 アジア・オセアニア地域では、需要が成長軌道を取り戻す見 術をフル活用し、中国全土で一気呵成に事業を拡大していき 通しのもと、 引き続き拡販に努めます。 ます。家庭用エアコンも、 インバータ普及機の投入に加え、数 北米ではシェアアップに向け、 インバータ搭載のアプライド 千店の販売ネットワークを築き、 ボリュームゾーン攻略をめざ 新製品投入など品揃えの拡充、営業力やサービス体制の強化 します。 を継続し、事業競争力をいっそう高めます。 欧州は、ギリシャの財政危機から金融市場の混乱が懸念さ れるなど、空調需要の先行きも不透明であり、2010年度も Topics アプライド事業の発展をめざして施設の整備と組織の強化を推進 ダイキングループは、アプライド(業務用大型空調)事業の成長を加速すべく、体制の充実を図って います。2009年度は、開発施設、司令塔となる専門部署、初のアプライド機器ショールームなどを 整えました。 開発のための試験設備を拡充 2009年5月、 アプライド空調機器の研究 開発施設として、米国・ミネアポリス近郊に 「 ダ イ キンマッケイア プ ライド開 発 セン ター」 の試験設備を完成させました。 さまざまな気温や電源の条件を再現でき る世界トップレベルの設備を活用し、 日米欧 からの開発メンバー約70名が、アプライド 空調技術とヒートポンプ技術、 インバータ技 術、 システム化技術の融合を図っています。 従来機に比べ最大38%も省エネ効果が 高い大型熱源機 (空冷スクリューチラー) を 開発。こうしたグローバル基本モデルを各 国・地域向けにカスタマイズし、高い性能と 信頼性が備わった製品を短期間で世界市場 へ提供していきます。 グローバルな事業展開の司令塔 2010年5月には、アプライド事業のグ ロ ー バ ル な 拡 大 を 加 速 する司 令 塔とし て、国内外を総括する 「アプライド・ソリュー ション事業本部」 を設けました。機器販売だ けでなく、保守・メンテナンス・サービスを含 むソリューション事業を推進します。 米国にショールームを新設 2010年5月、設計事務所、大手建設会 社、 エンジニアが集中するニューヨークエリ アにアプライドのショールーム「ダイキン マッケイソリューションプラザ」 を開設しまし た。最新の大型空調機器を総面積750m2の フロアに展示しています。 プラザ内にサービス (保守・メンテナンス) の担当者が常駐するほか、適宜、工場の技 術者と電話会議を用いて、お客様に綿密な コンサルティングを提供します。北米という 世界最大のアプライド市場での事業拡大か ら“グローバ ル N o . 1 ”の 実 現 へと邁 進し ます。 21 Annual Report 2010 化学事業 2009年度の化学事業は、需要が大幅に落ち込むなか、過去に例のない水準のトータルコストダウンを徹底して推進 し、前期の大幅な営業赤字から1期で黒字転換を果たすことができました。2010年度は、自動車や半導体需要の回復 をとらえて大拡販に転じながら、事業体質の強化は継続します。需要増が見込める製品を見定め、設備のフル稼働に よる投資なき増産体制をとり、高収益体質への回帰を確固たるものにしながら、将来の成長に備えて環境対応商品の 用途開発を加速します。 ▶ 22 当期の概況 ▶ 次期の見通し 厳しい環境下で収益体質の強化が実を結び、用途 開発でも実績を挙げました 中国、アジアのフッ素市場に攻勢をかけるととも に、環境対応製品を育てます 2009年度は、 フッ素樹脂の半導体・自動車関連需要や、化 2010年度は、 日本や米国などの主要市場において、既存商 成品の需要には徐々に回復傾向が現れ始めたものの、総じて 品 (電線・ LANケーブル・光ファイバー向けフッ素樹脂、自動車 不況に伴い非常に厳しい状況となりました。ファインケミカル 向けフッ素ゴム、 撥水撥油剤など) の徹底したシェアアップを図 分野の中間体化合物は需要が減り、 フルオロカーボンガスも ります。 中国、 アジア、 国内で需要が落ち込みました。そうしたなか、撥 一方で、先進国市場では中長期的に大きな伸びが期待でき 水撥油剤は国内販売が前年度を上回り、半導体用エッチング ないことも想定され、今後も確実な成長が見込める中国・アジ 剤も国内販売は前年度並みを保ちました。また、タッチパネ ア市場へ攻勢をかけます。中国では、特に、政府の旺盛なイン ルやディスプレイなどに用いられる表面防汚コーティング剤 フラ投資需要 (鉄道、電力、通信向けのフッ素材料) の取り込み は、積極的な用途開発が奏功し、国内を中心に販売を伸ばしま に注力し、現地ニーズに合った商品開発や商品供給体制を整 した。 備し、拡販と増益の両立を果たします。韓国、台湾では、電機 化学事業全体の売上高は前年度に届きませんでしたが、下 および半導体メーカー向けに拡販を図ります。 半期に上向いた需要の取り込みに努めた営業成果と、製造コ また、耐熱性や耐候性など多様な性質をもつフッ素材料 ストダウン、経費圧縮、在庫適正化などの事業構造改革によっ は、環境保全や次世代エネルギーなどの分野で豊富なポテン て営業黒字を確保することができました。 シャルを有しています。遮熱塗料、 リチウムイオン二次電池電 DAIKIN INDUSTRIES, LTD. 解液用溶媒や太陽電池向けフィルムなど、環境対応商品の研 究開発を加速し、早期の売上拡大を図り、将来の収益の柱に育 てていきます。 Topics フッ素を使って遮熱する塗料が環境負荷を低減させ、高い評価を獲得 ダイキングループの製品「ゼッフル遮熱塗料」は、 “Lloyd's List Global Awards 2009” (ロイズ リストグローバルアワード2009)にてエナジー部門賞を受賞しました。 世界最大の海運情報新聞“Lloyd's List” は船舶関連産業のなかで22のカテゴリー を定め、功績のあった企業・団体や個人に 毎年“Lloyd's List Global Awards”を 贈っています。そのエナジー部門は、船舶 業界のエネルギー使用にかかわる高水準 の技術や環境対策意識において、輝かしい 事 業 功 績 や 取り組 み を 示した 企 業 や 団 体、個人を表彰するものです。 ダイキングループは、 「ゼッフル遮 熱 塗 料」を工場、船舶、コンテナ、タンク、倉庫 などさまざまな塗装用途に展開し、省エネ および環境負荷低減に貢献していることが 評価されました。 フッ素化合物の活躍するステージは環境 分野にも広がりを見せており、なかでも工 場やビルの省エネ対 策として生まれたの が、フッ素系の遮熱塗料です。いうなれば “ 塗るエアコン”。これを屋 根に塗るだけ で、耐候性に優れたフッ素化合物が長期に わたり太陽光を反射し、熱の進入を抑え室 内温度を上がりにくくするのです。 当社グループは、フッ素化合 物の耐 熱 性、耐薬品性、耐候性など優れた特性を活 かし、社会のさまざまな場面で役立ち、環 境保全に貢献する多種多様な商品を開発・ 提供しています。 23 Annual Report 2010 油機事業 2009年度の油機事業は、世界的な不況により設備投資が抑制された影響を受け、売上高が大きく減少しまし た。2010年度は、固定費削減をはじめとした事業体質改革により収益力の向上をめざすとともに、環境事業を強化す るため工作機械や成形機向けのハイブリッド油圧機器の拡販に注力します。また、将来の成長をにらみ事業拡大の基 軸を中国へシフトします。 ▶ 当期の概況 ▶ 次期の見通し 国内、欧米は前年度実績に不達だった反面、アジ ア市場では好結果を収めました 油機市場が成長する中国市場でも、顧客第一主義 の戦略を構築・展開します 産業機械用油圧機器は、主力である工作機械向けおよび一 2010年度は、 グローバル規模のマーケットリサーチを強化 般産業機械分野ともに需要減少の影響によって、国内、米 し、顧客の要望や市場ニーズに合った商品開発力・コスト競争 国、欧州では前年度を大きく下回る売上高となりました。これ 力・商品供給力の構築を急ぎます。 に対し、輸出は中国、韓国、台湾を中心としたアジア市場向け 特に、ハイブリッド油圧機器 (空調事業がもつモータ・イン が堅調に推移し、 前年度の売上高を上回ることができました。 バータ技術と油圧技術を融合した商品) は、 省エネ性に優れ、 地 建機・車両用油圧機器も世界的な市況低迷に見舞われ、主 球環境保全に貢献することから、潜在的な需要も含め市場は 力の国内市場向けをはじめ、米国・欧州向けの需要減も重な 着々と成長しています。 り、売上高は前年度に届きませんでした。 今後も経済成長が想定される中国市場では、特にマーケッ トリサーチを徹底し、真の市場実態を把握することで的確な事 業戦略を構築します。普及タイプのハイブリッド商品や、産業 機械向けの従来型油圧商品の展開に加え、当社グループのハ イブリッド油圧システムを搭載した小型パワーショベルなど中 国での共同開発も検討していきます。 事業拡大の施策に加え、 事業体質の強化も継続し、 固定費は もとより調達コストの低減にも一段と力を尽くしていきます。 24 DAIKIN INDUSTRIES, LTD. 特機事業 特機事業は、防衛事業と民需事業からなります。2009年度は、国の防衛予算が縮小するなか防衛事業の固定費削減 を中心とした構造改革や、民需事業では在宅医療における新型酸素濃縮機の拡販などを進めました。2010年度は防 衛事業の体質をいっそう強化するとともに、民需事業の拡大に継続して取り組みます。 ▶ 当期の概況 ▶ 次期の見通し 防衛予算の縮小を民需事業の拡大で克服すべ く、新型酸素濃縮器を発売しました 防衛事業の改革を強化し、民需事業の新たなビジ ネスモデル創出にも挑みます 2009年度の防衛事業は、防衛予算が縮小するなか、受注 2010年度の防衛事業では、国の予算削減の傾向がますま 案件ごとにコスト管理を徹底することで、確実に利益を生み出 す強まるなか、従来の延長にとどまらないドラスティックな構 せる事業構造をめざしました。 造改革をめざし、固定費圧縮、設備投資の抑制、内作化の推進 民需事業においては、独自に開発したエアーコンプレッサー を図ります。 を搭載した新型酸素濃縮器の販売を開始しました。在宅酸素 民需事業においては、09年度に発売した新型酸素濃縮器 医療が必要な患者さんから高い評価を受け、計画どおりに販 に搭載のエアーコンプレッサーが、他の濃縮器メーカーにも 売数を伸ばすことができました。 注目されており、2010年度にはこの単体販売を実現させ、安 特機事業全体の売上高は、防衛事業における需要減少が響 定的な事業拡大につなげたいと考えています。また、ダイキ き、前年度を下回りました。 ングループ全体がもつ技術シーズやサプライチェーンのネッ トワークを活用することはもちろん、 グローバル展開や外部と の連携により、 新たな市場の開拓に挑戦していく考えです。 25 Annual Report 2010 コーポレートガバナンス 1. コーポレートガバナンスの基本的な考え方 3. スピード経営の高度化 ダイキングループではコーポレートガバナンスを、 ダイキン工業の取締役は、実質的な議論に基づく迅 「経営理念に則って、 グループの経営課題や経営環境の 速な意思決定をめざし少数化しており、2010年7月現 変化に対する意思決定と実行のスピードアップを図り、 在、10名です。 同時に透明性・健全性の絶えざる高度化を推進すること 2004年からは、各事業・地域・機能における自律的な で、企業価値の向上をめざす機能」 ととらえています。 判断や決断による執行のスピードアップをねらい、 「執 今後ともスピード経営の高度化、連結統治の強化、健 行役員制」 を導入しています。これと並行し、取締役はグ 全性・透明性のいっそうの確保に努めていきます。また、 ループ全体の迅速かつ戦略的な意思決定と健全な監督 企業価値の向上を果たすために絶えず最適なコーポ を担っています。 レートガバナンスのあり方の検討と見直しを行い、当社 また 「最高経営会議」 は、重要な経営方針・経営戦略を グループにとってのベストプラクティスを多面的に追 素早くタイムリーに方向づけし、課題解決を迅速化して 求・推進していきます。 います。 あわせて 「グループ経営会議」 を設け、グループの重 2. コーポレートガバナンスの体制 要な経営方針・基本戦略の共有の徹底と、 グループ企業 の課題解決の促進・支援の強化を図っています。同会議 ダイキン工業は、意思決定と業務執行を完全分離さ を通じてグループとしての意思が統一された企業行動 せる米国型の 「委員会制度」 ではなく、取締役が連帯し をめざし、 グループ全体の企業価値をより向上させ社会 て経営責任と業務執行責任を担う 「一体型運営」 を採用 的責任も全うしていきます。 しています。このほうが当社グループの事業特性上、意 思決定と実行のスピードアップには有効との判断による 4. 透明性・健全性の確保 ものです。 経営と執行の最高責任者として、グループ企業を含 ダイキン工業は監査役設置会社であり、 「 監査役会」 む経営全般の、主に意思決定の責任を担うCEOと、主に を設けています。取締役と監査役には、当社と利害関係 業務執行責任を担うCOOを置き、経営諸課題のほか重 をもたないことを条件に、それぞれ2名以上の社外人材 要課題に対し、意思決定と執行をともに意識しながら、 を任命するよう努めています。2010年7月現在、計10 両面のスピードアップを図っています。 名の取締役のうち社外取締役は2名、監査役は計4名の また、 グループのマネジメントシステム上の最高の審 うち2名が社外監査役です。 議機関として 「最高経営会議」 を設けています。 社外取締役には、補佐する担当者を当社経営企画室 さらに、 コーポレートガバナンスをいっそう強化すべ に配置し、 「取締役会」 日時の早期提示に努めています。 く、サポートする委員会などを設けており、 「企業倫理・リ また、 社外取締役が欠席の場合も関連資料の提供や、 後 スクマネジメント委員会」 「 業務の適正を確保するため 日の議事説明などにより、社外取締役設置の実効性を の体制・整備構築委員会」 「情報開示委員会」 などがあり 確保しています。 ます。 26 DAIKIN INDUSTRIES, LTD. 監査役は 「取締役会」 をはじめ当社の重要な会議に出 報酬水準は、日本の一部上場企業約200社が活用し 席し、報告を受けるとともに、 さまざまな意見を述べるこ ている役員報酬調査の専門の外部機関によるデータを とができます。 用いて国内大手製造業の報酬を分析・比較し、当社の業 さらに、実効ある監査機能を担保するため、監査役会 績位置と報酬水準の相対位置を検証したうえで決定し は経営や業績にかかわる重要事項について必要時に報 ています。 告を受けられるほか、関係部署の調査、稟議書の確認 取締役への業績連動報酬は、業績連動比率を世間相 や、代表取締役・執行役員・監査法人との定期的な意見 場より高めにし、十分なインセンティブを確保してい 交換を行っています。 ます。 また、海外を含む当社グループ全体で監査・監督機能 全社業績に連動する評価指標は、 「売上高」 「売上高営 の強化をめざし、主要なグループ企業にはグループ監 業利益率」 「自己資本利益率 (ROE)」 の3つです。これら 査役 (員) を任命し、監査役が定期的に 「グループ監査役 は、数値経営管理の全社数値目標、株主価値との相関 会」 を招集するなど、情報の流れの円滑化に努めてい の高さ、指標の相互の関連性、指標としてのシンプル ます。 さ、他社の動向などから判断し、選んだものです。部門 当社内には「監査役室」 を設け、監査業務の補助ス 業績に連動する指標は、当社経営の最重要指標のなか タッフを配しています。 「監査役室」 のスタッフは、監査役 でも部門にとって特に日々の業務遂行の目標となる 「売 の指揮命令下で職務を遂行しており、その人事異動や 上高」 「営業利益」 の2つです。 評価などについては、 「 監査役会」 の意見を尊重してい 取締役および監査役の報酬は、株主総会の決議によ ます。 る取締役全員および監査役全員の各報酬総額の最高限 一方、役員人事・処遇にかかわる運営の透明性確保の 度額内において、 「人事・報酬諮問委員会」 (委員長は社 見地からは、社外取締役を委員長とする 「人事・報酬諮 外取締役。会長・社長を除く4名の取締役で構成) の答申 問委員会」 を設け、役員選任基準、候補者、報酬などを審 をもとに、当社の報酬に基づき、取締役の報酬は取締役 議・検討しています。 会の決議で、監査役の報酬は監査役の協議でそれぞれ 決定されます。 5. 役員の報酬等 ダイキン工業の役員報酬体系は、経営方針に従い株 主の皆様の期待に応えるべく役員が継続的かつ中長期 的な業績向上へのモチベーションを高め、当社グルー プ全体の企業価値の増大に資する体系としています。 取締役の報酬は、 「固定報酬」 と短期のグループ業績お よび担当する事業をも反映する 「業績連動報酬」 と、中 長期的業績を反映できる 「ストックオプション」 から構成 されます。社外取締役および監査役の報酬は、 「固定報 酬」 のみです。 27 Annual Report 2010 役員一覧(2010年6月29日現在) 28 地位 氏名 代表取締役会長 兼 CEO 井上 礼之 担当または主な職業 代表取締役社長 兼 COO 岡野 幸義 CSR委員会委員長、企業倫理・リスクマネジメント委員会委員長、情報開示委員会委員長、 業務の適正を確保するための体制・整備構築委員会委員長 社外取締役 寺田 千代乃 アートコーポレーション株式会社 代表取締役社長 社外取締役 池渕 浩介 トヨタ自動車株式会社 顧問・技監 取締役 兼 副社長執行役員 川村 群太郎 化学事業担当、淀川製作所長 取締役 兼 専務執行役員 十河 政則 コーポレートコミュニケーション、人事、総務、施設担当、秘書室長、人事本部長 取締役 兼 常務執行役員 蛭子 毅 経営企画室長、テクノロジー・イノベーションセンター推進室メンバー 取締役 兼 常務執行役員 冨田 次郎 空調生産本部長、PD提携推進委員会 委員長、DJプロジェクトリーダー 取締役 兼 執行役員 高橋 孝一 経理財務・予算担当、経理財務本部長 取締役 兼 執行役員 田中 修 空調開発(アプライド・ソリューション、低温含む)担当、空調生産本部 副本部長、DJプロジェクトサブリーダー 監査役 藤田 伸一 監査役 加藤 豊 社外監査役 金田 嘉行 ソニー株式会社 社友 社外監査役 村上 仁志 住友信託銀行株式会社 特別顧問 副社長執行役員 高木 克彦 OYL本社 会長 専務執行役員 奥村 修 油機事業、電子システム事業、企業倫理、法務、コンプライアンス、物流担当 専務執行役員 田谷野 憲 中国地域代表担当、大金中国投資有限公司(中国在勤)董事長 総経理、 空調グローバルコミッティメンバー 専務執行役員 佐藤 純一 グローバル空調事業戦略(国内除く)担当、空調グローバルコミッティメンバー、F.J.プロジェクトリーダー 専務執行役員 鳥越 邦和 テクノロジーフュージョン戦略、技術提携・連携担当、テクノロジー・イノベーションセンター推進室長、堺製作所長 常務執行役員 林 由紀夫 渉外担当、東京支社長 常務執行役員 井原 清彦 化学研究・技術・商品事業化推進・環境・安全、化学特許担当、 テクノロジー・イノベーションセンター推進室メンバー 常務執行役員 植松 弘成 ニューヨーク事務所長、ダイキンホールディングス(USA)社 取締役社長、ダイキンUS社 取締役社長、 空調グローバルコミッティメンバー 常務執行役員 萩原 茂喜 アプライド・ソリューション事業、サービス担当、アプライド・ソリューション事業本部長 常務執行役員 出野 精二 油機中国事業担当 常務執行役員 松崎 隆 グローバル調達担当、グローバル調達本部長、テクノロジー・イノベーションセンター推進室メンバー 常務執行役員 吉岡 敬男 空調海外拠点強化、空調生産技術、化学生産技術担当、空調生産本部 副本部長、 空調グローバルコミッティメンバー 常務執行役員 岡野 進 コーポレートコミュニケーション室長、同室 経営IRグループ長 常務執行役員 岡田 慎也 PL・品質、空調・低温品質保証、CSR・地球環境、特機事業、研修担当、空調生産本部 副本部長、 滋賀製作所長、テクノロジー・イノベーションセンター推進室メンバー 常務執行役員 三中 政次 グローバル戦略本部 空調欧州・中近東・アフリカ地域支配人、デュッセルドルフ事務所長、 ダイキンヨーロッパ社 取締役社長、空調グローバルコミッティメンバー 相談役執行役員 山田 靖 安全担当 執行役員 赤間 悟 提案営業担当、ダイキン空調東京(株)取締役社長 執行役員 澤井 克行 低温事業本部長、空調生産本部 副本部長、T.J.プロジェクトリーダー 執行役員 坪内 俊貴 空調営業本部長 執行役員 酒井 弘雄 化学事業部長 執行役員 田山 理和 経理財務本部 連結経営管理グループ長 DAIKIN INDUSTRIES, LTD. コンプライアンス、内部統制 コンプライアンスのための体制と実践 実施します。同時に、 「内部監査室」 による 「法令遵守 監査」 も実施します。 ダイキングループでは、企業倫理の推進機関として 5. 「法務・コンプライアンス・知財センター」 には 「企業倫 2007年度に改組した 「企業倫理・リスクマネジメント委 理相談窓口」 があります。報告・通報を受けた場合、 員会」 が、グループ全体のコンプライアンス (企業倫理・ 同センターはその内容を調査し、再発防止策を担当 法令遵守) とリスクマネジメントを統合的に推進してい 部門と協議のうえ決定し、速やかな措置をとる体制 ます。 を確立しています。 より具体的には、 「グループコンプライアンス指針」 に 6.社会の秩序や企業の健全な活動に脅威を与える反 基づき、以下のとおり日常的な取り組みの徹底を図って 社会的勢力に対しては、 『 企業倫理ハンドブック』で います。 も徹底のとおり、組織として毅然たる態度で臨み ます。 1. 「グループ経営理念」 や『企業倫理ハンドブック』など 7.経営層、従業員層それぞれに対し、 コンプライアンス に定めた経営の基本的方向や行動規範に従って、 自 教育、企業倫理教育などの、定期・不定期の実施と、 らの職務の執行を律し、率先して実践しています。 それらのいっそうの充実を図っています。 2.当社社長を委員長とし、役員・部門長を構成メンバー とする 「企業倫理・リスクマネジメント委員会」 のもと、 内部統制の取り組み 「法務・コンプライアンス・知財センター」が中心と なって、グループ全体に法令遵守を徹底していま 当社グループは2005年度から、08年度施行の日本 す。各部門・グループ会社には 「コンプライアンス・リ 版SOX (金融商品取引法) への対応に着手し、財務報告 スクマネジメントリーダー」 (CRL) を任命・配置し、各 に影響する業務プロセスの適正性をグループ全体にわ 部門・会社内での法令遵守とリスク管理の徹底を図 たって確保すべく、 体制を整えました。 るとともに、 「 CRL会議」 「グループCRL会議」 を開催 今後とも日本版SOXに規定された内部統制報告書を し、情報の共有と課題の把握、対策の実行を推進し 有効かつ適切に提出できるよう、構築した仕組みの評価 ています。 を継続して行います。必要時には是正を図り、日本版 3.各部門・グループ会社のCRLは、 日々 「最新の法令情 SOXおよび他の関係法令などとの適合性を絶えず確保 報の収集」 を行い、 「 規程・マニュアルの内容への最 していきます。 新法令の的確な反映」 「法令および規程・マニュアル また、内部統制報告制度とあわせ、当社グループの の遵守」 について毎月チェックする 「日々のトリプル 「グローバル経理規程」 を策定しました。これをグローバ チェック」 を実施しています。チェック結果については ルレベルで各社に周知し、経理・決算面での有効性・適 毎月開催する 「CRL会議」 で報告し、情報を共有して 正性をより高めています。 います。 当社グループは、内部統制の目的である財務報告の 4.当社グループ独自の 「自己点検システム」 に則って、 信頼性確保や業務の有効性・効率性向上を果たすこと 各部門・グループ会社の全従業員は毎年、法令およ はもちろん、株主および多様なステークホルダーの皆 びリスク面でのセルフチェックを行っています。その 様からなおいっそう信頼を獲得できる企業活動に努め 結 果を受け、 「 法 務・コンプライアンス・知 財セン ます。 ター」 が各部門・グループ会社に対し 「法令監査」 を 29 Annual Report 2010 CSR(企業の社会的責任) CSRの基本的な考え方 これらをふまえ当社グループの事業特性も考慮して、 現在 「環境」 「品質・CS (顧客満足) 「 」人材」 「社会貢献」 の4 ダイキングループは、つねに企業市民としての社会 分野をCSRの重点テーマと定め、 活動を推進しています。 的責任を全うすべく努めています。その基本的な考え 方は次のとおりです。 ■環境 世界をリードする空調機器メーカーとして、 まず省エ 1.当社グループは、 「グループ経営理念」 を徹底して実 ネ技術を活かした製品を通じユーザーのCO2排出量削 践することによって、 すべてのステークホルダーとの 減に寄与しています。また、当社グループ自身の生産プ 関係でグローバルに社会的責任を果たし、当社グ ロセスにおけるCO2排出量の削減を進め、2010年度ま ループの企業価値を高めるとともに、社会の持続可 でに05年度比で半分以下 (140万トン以下) とするのが 能な発展に貢献する。 目標です。さらに、当社グループが各国・地域に適した貢 2.CSRへの取り組みは、企業倫理・法令遵守の徹底を 基盤としながら、 お客様の 「次の欲しい」 を先取りした 献を行うことで、 「グリーンハート」 (地球を思い環境を大 切にするこころ) を世界に広げ、 次世代に伝えます。 新たな価値の創造と提供、事業全般にわたる、地球 環境の維持向上活動の展開や、 よりよい環境社会に ■品質・CS (顧客満足) 貢献する商品開発・技術革新の推進、調達先などす 顧客視点に立って商品の安全性と品質の確保・向上 べての取引先との緊張感をもって切磋琢磨する関 に努めるとともに、最高のサービス品質 (速さ、確かさ、 係の構築、働く一人ひとりの誇りと喜びを醸成する 親切さ) を実現し、 より高いCSを追求しています。空調 職場づくりなど、当社グループ本来の事業活動にお および化学事業では、サービス部門も含めて品質マネ いて、社会に貢献していくことを主体に展開する。さ ジメントシステムの国際規格・ISO9001の認証取得を らには、 よき企業市民として、それぞれの地域の役に 進めています。また、年齢や障がいの有無などにかかわ 立つことを高い感受性でとらえ、社会貢献活動を実 らず、 できるだけ多くの人が使いやすい空調製品をめざ 践していく。 し、 ユニバーサルデザインの考え方を開発に取り入れて 3.単にCSRに配慮した事業活動を行うにとどまらず、積 います。 極的にCSRを事業活動に組み込み、融合させ、一体 として推進することによって、真に継続的な取り組み ■人材 とし、 かつ業績の向上にもつなげていく。 当社グループは経営理念のもと 「人を基軸とした経 4.自由な雰囲気、野性味、徹底したお客様志向、 ホスピ 営」 を推進し、 「 機会の平等」 や 「結果の公平」 が人事・処 タリティの重視をはじめとする良き伝統・風土や、世 遇制度に反映されるよう努めています。また、熟・壮・青 界をリードする技術力など、当社グループの強みを 年、男・女、国籍、健常・障がい者など人材の多様性を受 活かした 「ダイキンならではの」 CSRを追求する。 容・尊重し、 ワークライフバランスにも配慮した職場づく 5.広く社会と双方向のコミュニケーションを行い、説明 りを推進しています。さらに、社員の心身の健康や満足 責任を果たし、高い透明性を維持することによって、 度をいっそう向上させる労働安全衛生上の取り組みや、 CSRを推進する。 人材育成の施設・プログラム整備も積極的に進めてい ます。 30 DAIKIN INDUSTRIES, LTD. ■社会貢献 また発展授業として、 “モノづくり企業の環境への取り 当社グループが事業展開する世界の各地域に根ざし 組み” をテーマとした当社社員による出張授業も希望に た企業となることをめざし、一つひとつの社会貢献活動 応じ実施します。 が真に地域の役に立つことを心がけています。社員が 当社グループは 「環境社会をリードする」 という経営 主体となり、芸術・文化・スポーツ振興、教育活動、災害復 理念のもと、今後もグローバルに事業展開する企業集 興支援、地域への安全配慮、貧困層支援などを実践して 団として、多様な視点から環境について考え、実践して います。 いきます。 地球のために、社会のために ◆冷凍・空調機器に含まれる冷媒の温暖化への影響を ダイキングループが取り組むCSR活動の現状を具体 的なトピックスを通じ紹介します。 「見える化」 へ 2009年8月、社団法人日本冷凍空調工業会が、冷凍・ 空調機器に使用する冷媒について温暖化への影響度を ◆生物多様性をテーマに小学生向け環境教育プログラ 表示する 「見える化」 の実施方針を発表しました。これを ム「サークル・オブ・ライフ」 を開発 受け、ダイキングループは、同年秋以降に出荷の日本市 2010年は 「国際生物多様性年」 です。生物多様性の 場向け冷凍・空調機器に、 「フロンの見える化」 表示シー 重要性を社会に浸透させるには、地域に固有の自然や ル貼付を順次開始しました。 特有の生き物、そしてそれぞれのつながりを、次世代を 現在、冷凍・空調機器には、主にHFC(フルオロカー 担う子どもたちに伝えることが重要です。 ボンガス) 等の、 オゾン層を破壊しない冷媒が使用され そこでダイキングループは、地球環境保全に取り組 ています。一方、 これらは温暖化係数がCO2の1,300∼ む国際NGO「コンサベーション・インターナショナル 4,000倍と高く、大気中に放出された場合、地球温暖化 (CI) 」 と協力し、生物多様性をテーマとした小学生向け への大きな影響が懸念されています。そのため冷凍・空 環境教育プログラム 「サークル・オブ・ライフ」 を開発しま 調機器の設置・使用・移設・廃棄にあたっては、冷媒漏洩 した。当社がインドネシアで実施する森林再生 (植林) プ に十分な配慮が必要です。 ロジェクトを題材とし、ロールプレイングの要素も入れ 当社グループは、冷媒による環境への影響を小さく ながら、子どもたちが興味と関心をもって学習できるプ するには、お客様に正しく理解していただくための 「フロ ログラムです。 ンの見える化」 が、その第一歩だと考えています。 世界の森林問題を題材として、 “生き物と環境のかか 今後は 「フロンの見える化」 をいっそう徹底すべく、表 わり” や、 “世界の環境問題と日本に住む私たちの生活と 示方法に工夫を加え、 シールを貼る位置までも計算・考 のかかわり”など教員による4回の授業が基本。子ども 慮に入れた設計を行っていきます。そして、冷媒の使用 たちには、環境問題の解決に向け社会のさまざまな立 時の排出削減、廃棄時の回収率の向上を図ります。 場から持続可能な取り組みを行うことが大切であること さらに、当社グループは、その高度な環境技術力を活 を学び、 自分たちにできることは何かを考えてもらいま かし、機器の省エネ性能向上、空調機器の冷媒使用量削 す。実施を希望される小学校に対しては、10年4月より 減、機器からの冷媒漏れ感知システム開発など、地球温 教材を無償で提供しています。 暖化防止へのさまざまな対策を推進していきます。 31 Annual Report 2010 7年間の要約財務データ ダイキン工業株式会社及び連結子会社 3月31日に終了した各会計年度 2004年 2005年 2006年 2007年 ¥625,080 ¥729,414 ¥792,837 ¥911,749 売上総利益 212,402 256,289 269,906 312,688 販売費及び一般管理費 165,482 196,083 203,359 231,934 研究開発費(注記1) 23,817 24,583 26,648 27,204 営業利益 46,920 60,206 66,547 80,754 EBITDA(注記2) 50,298 64,898 71,239 87,008 当期純利益 26,869 38,083 40,146 45,420 ¥ 40,306 ¥ 43,970 ¥ 63,511 ¥ 83,725 損益状況(会計年度) : 売上高 キャッシュフロー状況(会計年度) : 営業活動によるキャッシュフロー 投資活動によるキャッシュフロー (31,594) (42,091) (63,420) 91 (305,251) フリーキャッシュフロー(注記3) 8,711 1,879 財務活動によるキャッシュフロー 2,182 3,534 ¥534,726 ¥615,596 ¥716,440 ¥1,161,364 有利子負債 148,949 166,442 172,995 456,074 自己資本 234,029 271,716 340,523 397,542 ¥101.57 ¥ 144.24 ¥ 152.11 ¥ 172.66 888.29 1,031.73 1,293.41 1,511.47 14.00 18.00 22.00 28.00 33.98% 35.14% 34.04% 34.30% 営業利益率 7.51 8.25 8.39 8.86 EBITDAマージン 8.05 8.90 8.99 9.54 自己資本利益率(ROE) 12.24 15.06 13.11 12.31 自己資本比率 43.77 44.14 47.53 34.23 (4,284) (221,526) 245,975 財政状態(会計年度末) : 総資産 1株当たり情報(単位:円) : 当期純利益(基本的) 純資産 年間配当金 財務指標(単位:%) : 売上総利益率 注記 1. 研究開発費は、一般管理費および当期製造費用に含まれています。 2. EBITDA=営業利益+減価償却費 3. フリーキャッシュフロー=営業活動によるキャッシュフロー+投資活動によるキャッシュフロー 32 DAIKIN INDUSTRIES, LTD. 売上高 単位:百万円 2008年 2009年 2010年 ¥1,291,081 ¥1,202,420 ¥1,023,964 441,549 363,660 319,301 313,451 302,266 275,263 32,075 30,535 128,098 61,394 (億円) 営業利益 (億円) 15,000 1,500 12,000 1,200 9,000 900 6,000 600 28,220 3,000 300 44,038 0 0 04 05 06 07 08 09 10 145,892 80,483 62,817 74,822 21,755 19,391 ¥103,329 ¥ 62,238 ¥129,227 (76,428) (99,302) (39,848) 26,902 (37,065) 89,379 48,382 (34,942) 3,367 ¥1,210,094 ¥1,117,418 ¥1,139,656 356,928 417,919 399,313 545,641 471,686 496,179 当期純利益 (億円) ¥ 74.51 ¥ 研究開発費 (億円) 800 400 600 300 400 200 200 100 0 ¥ 262.24 04 05 06 07 08 09 10 0 04 05 06 07 08 09 10 04 05 06 07 08 09 10 66.44 1,867.79 1,615.98 1,701.29 38.00 38.00 32.00 自己資本 (億円) 6,000 総資産 (億円) 15,000 12,000 34.20% 30.24% 31.19% 9.92 5.11 4.30 11.30 6.69 6.13 15.87 4.28 4.01 45.09 42.21 43.54 4,000 9,000 6,000 2,000 3,000 0 0 04 05 06 07 08 09 10 04 05 06 07 08 09 10 33 Annual Report 2010 財務報告 売上高 当期の世界経済は、中国・インドをはじめとする新興 2008 年度 2009 年度 円/ドル 101 円 93 円 円/ユーロ 143 円 131 円 国の高成長が下支えする形で、金融危機以降の景気後 退にようやく歯止めがかかりました。 しかしながら、先進 部門別売上高 諸国では失業率の高止まりに加え、下半期には南欧諸 国で財政の悪化が顕在化するなど、景気の回復度合い 事業部門別売上高構成比 には国や地域によってばらつきがみられました。わが国 経済も、輸出および生産の回復や低迷していた個人消 費の持ち直しなど、景気は緩やかな回復基調に転じつつ その他 2.9% 化学部門 8.4% ありますが、一方で雇用情勢は依然として厳しく、 デフレ 空調部門 88.7% が進行するなど、懸念材料が残る状況が続いています。 このような事業環境のもと、当社グループは2009年 の グ ル ー プ 年 頭 方 針を「 いまこそ 、 3Cの 徹 底を̶ Creative Challenge & Change̶」 と掲げ、短期利益 確保に向けた徹底した取り組み、 将来を見据えた中長期 ■空調・冷凍機事業 テーマの成果創出の加速、景気後退をチャンスととらえ 空調・冷凍機事業全体の売上高は、前期比14.2%減 た企業体質の変革、の大きく3点に全力を挙げて取り組 の9,085億65百万円、営業利益は前期比36.1%減の んでまいりました。 457億85百万円となりました。 当期の業績につきましては、既存商品のシェアアッ プ、不況下でも需要が堅調な環境関連商品の拡販、 トー 国内空調事業 タルコストダウンのより一層の推進など、売上高・利益 住宅用空調機器では、ルームエアコンの業界需要は、 の確保に取り組みましたが、需要の減退に加えて為替換 上半期では天候不順や住宅着工の低迷により前年同期 算の影響もあり、連結売上高は、前期比14.8%減の1兆 を下回りました。下半期以降は、2010年の省エネ法改 239億64百万円にとどまりました。利益の面では、連結 正を前にした現行基準機種の駆け込み需要の追い風も 営業利益は440億38百万円 (前期比28.3%減) 、連結当 あり、前年同期を上回る回復基調にありましたが、年間 期純利益は193億91百万円 (前期比10.9%減) となりま での需要は、前期を下回る結果となりました。 した。 当社グループでは、独自の 「うるる加湿」 、静音性に優 れたフィルター自動清掃機能に加え、 「選べる気流」 (最 為替レート変動の影響 大12パターンの気流を選べる機能) を搭載した高付加 当期は前期に比較し、 ドル・ユーロは円高に推移、 この 価値商品を中心とした省エネ環境提案や快適空間の訴 為替レートの変動により、売上高は前期比約700億円減 求活動によりシェアアップを図りました。また、フィル 少、営業利益で約130億円減少したと試算されます。 ター自動清掃機能を搭載した『クリーンZEAS−Q』 や独 為替レート変動の影響は、各海外子会社の円換算、外 自のストリーマ技術を搭載した『光速ストリーマZEAS− 貨建取引額に各為替レートの変動を乗じて算出した金 Q』など差別化商品を投入し、過去最高のシェアを達成 額の合計として試算されています。 34 DAIKIN INDUSTRIES, LTD. しました。新型インフルエンザ対策需要を追い風に空気 が伸び悩みましたが、販売店の新規開発、サービス体制 清浄機の販売は前年比約2倍、当初計画の50万台を達 の強化、更新需要を狙った新商品『高温水ダイキンアル 成しました。 テルマ』の投入により、販売台数は前期を7%上回りま した。 国内空調業界全体の空調機販売台数 (2009年度) (千台) ●中国 上期 前年比 下期 住宅用 4,408 (17%) 2,336 業務用 329 (21%) 277 前年比 3% (11%) 年間 前年比 6,744 (11%) 606 (17%) 政府の大型景気対策により景気は回復軌道に乗り、 年初から取り組んできた地方都市・内陸地域での販売 網を強化したことや、差別化商品の投入などの拡販施 策が奏功し、販売台数は前年を上回りました。 海外空調事業 中国では、2009年度を 「第二の創業の年」 と位置づ 海外空調事業では、各地域において空調需要が低迷、 け、従来のVRV中心の事業から、 フルラインナップでの こうした状況の中、当社グループはマーケットシェアの 販売へ戦略の転換を図りました。暖房事業では2009年 向上、暖房事業の欧州からグローバル全域への展開、珠 8月にヒートポンプ式暖房・給湯機を投入、販売店の新 海格力電器有限公司との協業を梃子にした住宅用普及 規開発・商品認知度向上のためのPR活動等、事業の本 機市場への参入などの施策を展開しましたが、対ユーロ 格立ち上げを開始しました。 を中心とした円高によるマイナス要素もあり、海外空調 事業全体の売上高は前期を下回る結果となりました。 ●アジア・オセアニア地域 金融危機の影響が比較的小さく、拡販に努めた結果、 地域別売上高構成比 販売台数は前期を上回りました。景気減速や建設需要 その他 1.5% 低迷を受け、業務用の需要が縮小したシンガポール・タ アメリカ 9.6% イでは、販売店の新規開発や小口物件の受注強化に取 り組み、前年を上回る受注を獲得しました。景気悪化の ヨーロッパ 23.5% 日本 40.0% 影響が比較的軽微だった新興国市場のベトナムなどで は販売網開発による販売拡大が進みました。オーストラ リアでは政府の住宅購入促進策や猛暑効果も追い風と アジア・オセアニア 25.4% なり住宅用空調の売り上げが拡大しました。 ●北米地域 ●欧州地域 住宅・建築市況が低迷したことからアプライド市場の 厳しい需要環境が続く中、過去から構築してきた販売 需要が減少、売上高は前期を下回りましたが、圧倒的な ネットワークを活かした事業基盤の強化により、既存商 省エネ性を誇る戦略商品である 『空冷スクリューチラー』 品のシェアアップを図るとともに固定費削減に努めまし 『DCインバータ搭載 ターボ冷凍機』投入等により、11 た。一方、新規事業である暖房事業は最大市場であるフ 月以降受注は回復してきました。一方ダクトレス空調分 ランスでの新築住宅着工の減少等の影響を受け、需要 野では、販売網の強化等により当社の主力商品である 35 Annual Report 2010 ビル用マルチエアコンの販売を拡大し、ダクトレス空調 事業の売上高が減少しましたが、在宅医療事業での拡 の市場創造に継続して取り組みました。暖房事業では 販により計画どおりとなりました。 10月から本格的に 「ダイキンアルテルマ」 の販売を開始 し、販売体制の構築・販売店サポート・商品PR等、 ヒート 損益の状況 ポンプ技術による北米暖房市場への本格参入への取り 組みにも着手しました。 当期の業績につきましては、既存商品のシェアアッ プ、不況下でも需要が堅調な環境関連商品の拡販、 トー ■化学事業 タルコストダウンのより一層の推進など、売上高・利益 化学事業全体の売上高は、前期比15.4%減の862億 の確保に取り組みましたが、需要の減退に加えて為替換 24百万円となりました。当期は、 フッ素化学品需要が大 算の影響もあり、連結売上高は、前期比14.8%減の1兆 幅に落ち込む中、 トータルコストダウン、在庫適正化に 239億64百万円にとどまりました。連結営業利益は よる体質強化を徹底し、下半期以降の需要回復をとらえ 440億38百万円 (前期比28.3%減) 、連結当期純利益は て拡販施策およびコスト削減に取り組んだ結果、前期の 193億91百万円 (前期比10.9%減) となりました。 営業損失から102億18百万円回復し、営業利益は7億 営業利益率は、前年度から0.8ポイントダウンし、 10百万円となりました。 4.3%となりました。これは、 コストダウン活動や経費・固 フッ素樹脂は、半導体・自動車関係の需要が下半期か 定費の削減の取り組みを推し進めたものの、売上高の ら回復傾向にありましたが、上半期での落ち込み影響が 減少、操業度の低下などが影響したためです。 大きく、 年間での売上高は世界各地域で前期を下回りま なお、売上原価は、売上減少の中でのコストダウン、 した。 製造固定費の削減等により、7,046億63百万円、前期 化成品においては、撥水・撥油剤の販売が前期を上回 比1,340億97百万円減少しました。売上原価率は、固定 り、特に、表面防汚コーティング剤 (オプツール) は液晶 費 が 減 少したも の の 売 上 高 が 減 少したため 、前 年 ディスプレイ用途での集中拡販により前年を大きく上回 69.8%から68.8%と改善がみられました。また、販売管 りました。 理費及び一般管理費は、製品発送費、販売促進費およ 半導体用エッチング剤でも、国内での販売が前期並 び広告費の減少により、270億3百万円減少の2,752億 みで推移しました。 63百万円となりました。 一方、 ファインケミカル分野の中間体化合物は、需要 その他の費用は、為替差益の計上およびデリバティ 減の影響により、前期に比べ販売が減少しました。 ブ評価益の増加により、前年度から93億94百万円改善 し、60億26百万円のマイナスとなりました。 ■その他事業 以上の結果、当期純利益は、193億91百万円 (前期比 その他事業全体では、主力である工作機および一般 10.9%減) となりました。 産業機械分野ともに需要低迷の影響を受け、売上高は 前期比29.0%減の291億75百万円となり損益面では 25億78百万円の営業損失となりました。 油機事業では、世界的な市況低迷の影響を受け、主 力の国内市場向けをはじめ、米国・欧州向けの需要減も 重なり、売上高は前期を下回りました。特機事業は、防衛 36 DAIKIN INDUSTRIES, LTD. 売上原価 ①業務用パッケージエアコン事業を抜本的に強化し、 グローバルNo.1事業を構築 (億円) 10,000 ②国内工場のトータルコストダウンを推進し、グローバ ルでコスト競争力を強化 8,000 ③最大の成長市場である中国での飛躍的な拡販 (空調、 6,000 化学、油機) 4,000 ④ヒートポンプ暖房・給湯事業の欧州、中国、米国での 2,000 急拡大 0 06 07 08 09 10 ⑤アプライド事業のグローバル展開を加速 ⑥家庭用ルームエアコン普及機の競争力強化による グローバル拡販を加速 次期の見通し ⑦インド・ブラジル (中南米) 市場の攻略 ⑧光速ストリーマ技術を核とする商品展開の拡大と 今後の世界経済は、中国やインドをはじめとする新興 国の高成長が牽引する形で回復していく見通しですが、 グローバル展開 ⑨品質やサービスなど総合的な顧客満足の向上 先進諸国の厳しい雇用環境や中国のインフレ進行、米 国の個人消費腰折れ懸念、欧州でのいわゆる 「ソブリン 2011年度通期の連結業績予想につきましては、売上 リスク」 など、景気の下振れリスクは残っています。わが 高は、前期比12.8%増の1兆1,550億円、営業利益は 国経済につきましても、低迷していた内需に底離れの兆 65.8%増の730億円、当期純利益は90.8%増の370億 しがみえるものの、デフレ脱却は視野に入っておらず、 円を見込んでいます。 力強さを欠いた景気回復が続く見通しです。 2011年度の為替レートについては、1ユーロ120円、 このような環境のもと、当社では2011年3月期を増 1米ドル90円を前提にしています。 収増益基調への回帰を実現するとともに、2011年以降 の新たな戦略経営計画を立案する重要な年と位置付け、 資産 「今日を成し遂げ、明日を拓こう」 をグループ年頭方針と しました。また、戦略経営計画 「フュージョン10 (テン) 」 の 総資産は、1兆1,396億56百万円となり、前期末に比 最終年度を迎える本年の実行と成果が、当社の持続的 べて222億38百万円増加しました。流動資産は、現金及 な成長とさらなる発展につながるものと考え、 グループ び預金の増加等により、前期末比252億97百万円増加 一丸となって取り組んでいきます。 の5,571億31百万円となりました。 具体的には、最重要経営課題として設定した下記 「全 固定資産は、投資有価証券の時価変動等による増加 社課題9テーマ」 を推進し、 これまで体質改革に取り組む の一方、有形固定資産やのれんの減少等により、前期末 中で改めて浮き彫りになった課題を早期に克服し、業績 比30億59百万円減少の5,825億25百万円となりま のV字回復を確実なものとしていきたいと考えてい した。 ます。 37 Annual Report 2010 負債及び純資産 キャッシュ・フロー 負債は、社債の発行の一方、 コマーシャル・ペーパー 設備投資の状況 の減少等により、前期末比33億37百万円減少の6,295 当社グループでは 「より収益性の高い分野への経営 億94百万円となり、有利子負債比率は、前期末37.4% 資源の集中」 を基本戦略としており、当期において、空 から35.0%となりました。純資産は、当期純利益の計上 調・冷凍機事業及び化学事業を重点に総額304億90 やその他有価証券評価差額金の変動等により、前期末 百万円を実施しました。2011年度については、短期利 比255億円75百万円増加の5,100億61百万円となり 益の創出の観点から重点テーマに絞り、320億円となる ました。 見込みです。 この結果、自己資本比率は前期末比の42.2%から 4 3 . 5 % と なり、1 株 当 たり純 資 産 額 も 前 期 末 の 設備投資額 (百万円) 事業部門 会社名 空調・冷凍機事業 当社 ダイキンヨーロッパエヌブイ 9,752 2,292 化学事業 当社 ダイキンアメリカインク 3,692 908 1,615.98円から1,701,29円となりました。 ROE 設備投資と減価償却費 (%) 20 (億円) 15 800 10 600 5 400 200 0 06 07 08 09 10 0 06 07 設備投資 08 09 10 減価償却費 自己資本と自己資本比率 (億円) (%) 6,000 60 5,000 50 4,000 40 3,000 30 2,000 20 キャッシュの増加となりました。投資活動では、有形固定 1,000 10 資産の取得による支出の減少等により、前期に比べ 0 594億54百万円増加し、398億48百万円のキャッ 0 06 07 自己資本 38 08 09 10 自己資本比率 当期のキャッシュ・フローについては、営業活動では、 仕入債務の増加やたな卸資産の減少等により、前期に 比べ669億89百万円増加し、1,292億27百万円の シュの減少となりました。財務活動では、社債の発行の DAIKIN INDUSTRIES, LTD. 一方、借入金の返済等により、前期に比べ833億23 事業等のリスク 百万円減少し、349億42百万円のキャッシュの減少とな りました。この結果、現金及び現金同等物の当期末残高 当グループの経営成績及び財政状態に影響を与える は、1,593億25百万円となりました。 外的要因としては次の項目等が考えられます。 ・主要市場 (日本、欧米、中国を含むアジア地域など) で 営業活動からのキャッシュフローとフリーキャッシュフロー の政治・経済状況および製品需給の急激な変動 ・冷夏および天候不順に伴う空調需要の変動 (億円) 1,500 ・為替相場の大幅な変動 1,000 ・重大な品質クレーム 500 0 ・重大な生産トラブル −500 ・保有する有価証券の時価の大幅な変動 −1,000 −1,500 ・製造物責任 −2,000 ・当社グループが保有する知的財産の第三者による不 −2,500 06 07 08 09 10 営業活動からのキャッシュ・フロー フリーキャッシュフロー 正使用 ・個人情報をはじめ保護すべき情報の流出 ・地震などの天災や生産設備などにおける不慮の事故 ・当社グループに対する訴訟の提起 配当金について ・予見困難なその他のリスク 株主への還元については、連結純資産配当率2.0%以 上を維持することを基本とし、連結業績、財務状況、資金 需要等を総合的に勘案し、安定的に実施していきます。 また内部留保金につきましては、経営体質の一層の強 化を図るとともに、グローバル事業展開の加速、地球環 境に貢献する商品開発の加速など、事業拡大・競争力強 化のための戦略的投資に充当します。 2009年3月期の配当金は、6円減配の年間32円 (中 間配当16円、期末配当16円) とさせていただきました。 2011年度の配当金は、経営環境の先行きが依然不透 明であることから、現時点では未定です。 39 Annual Report 2010 連結貸借対照表 ダイキン工業株式会社及び連結子会社 2010年及び2009年3月31日現在 単位:百万円 資産 2010年 2009年 ¥ 159,325 ¥ 104,323 714 919 流動資産: 現金及び現金同等物(注記15) 短期投資(注記7及び15) 売上債権(注記6、7及び15) : 受取手形 売掛金 貸倒引当金 たな卸資産(注記3及び7) 19,991 15,878 161,147 162,370 (5,087) 185,165 (5,104) 216,645 繰延税金資産(注記11) 10,564 9,782 前払費用及びその他流動資産(注記7) 25,312 27,021 557,131 531,834 流動資産合計 有形固定資産(注記7) : 29,607 27,825 建物及び構築物 179,803 168,758 機械装置及び運搬具 355,949 340,612 工具・器具及び備品 112,550 107,324 土地 リース資産(注記14) 3,903 3,169 建設仮勘定 9,278 21,891 691,090 669,579 (456,439) (426,496) 234,651 243,083 112,644 89,472 計 減価償却累計額 有形固定資産合計 投資及びその他の資産: 投資有価証券(注記4及び15) 非連結子会社及び関連会社に対する投資(注記15) のれん(注記5) 繰延税金資産(注記11) その他の資産 投資及びその他の資産合計 資産合計 連結財務諸表の注記をご参照ください。 40 4,950 5,275 182,867 193,405 9,709 18,961 37,704 35,388 347,874 342,501 ¥1,139,656 ¥1,117,418 DAIKIN INDUSTRIES, LTD. 単位:百万円 2010年 負債及び純資産 2009年 流動負債: 短期借入金(注記7及び15) 一年内返済予定長期借入債務(注記7及び15) 一年内返済予定長期リース債務(注記14) ¥ 86,730 ¥ 194,880 13,381 29,418 1,431 1,237 仕入債務(注記6及び15) : 支払手形 買掛金 7,072 8,645 90,662 71,493 設備購入債務 5,381 8,978 未払法人税等(注記15) 8,114 8,742 繰延税金負債(注記11) 971 3 未払費用 49,077 48,169 その他の流動負債(注記6) 58,715 57,560 321,534 429,125 流動負債合計 固定負債: 長期借入債務(注記7及び15) 296,208 190,779 長期リース債務(注記14) 1,562 1,606 退職給付引当金(注記8) 4,469 3,939 繰延税金負債(注記11) 2,649 1,266 長期未払金 1,752 5,768 その他の固定負債 1,421 449 固定負債合計 308,061 203,807 約定債務及び偶発債務(注記14及び16) 純資産(注記9、10及び19) : 資本金 発行可能株式総数̶500,000,000株 発行済株式総数̶普通株式 2010年及び2009年̶293,113,973株 85,032 85,032 資本剰余金 82,977 82,977 新株予約権 1,015 764 利益剰余金 375,952 366,836 その他有価証券評価差額金 繰延ヘッジ利益 為替換算調整勘定 自己株式、取得原価:2010年̶1,465,756株、2009年̶1,255,087株 計 少数株主持分 純資産合計 負債及び純資産合計 (501) 162 (15,398) 465 (41,916) (43,481) (5,528) (4,744) 497,193 472,451 12,868 12,035 510,061 484,486 ¥1,139,656 ¥1,117,418 41 Annual Report 2010 連結損益計算書 ダイキン工業株式会社及び連結子会社 2010年及び2009年3月31日に終了した会計年度 単位:百万円 2010年 2009年 ¥1,023,964 ¥1,202,420 売上原価(注記6及び13) 704,663 838,760 売上総利益 319,301 363,660 販売費及び一般管理費(注記6及び13) 275,263 302,266 44,038 61,394 売上高(注記6) 営業利益 その他の収益(費用) : 受取利息及び配当金 支払利息 為替差益(損) デリバティブ評価益(損) 有形固定資産処分損 3,933 4,574 (6,719) (7,033) 946 (5,556) 1,136 (1,171) (967) 投資有価証券売却益 (1,705) 13 投資有価証券評価損 3 (3,634) 非連結子会社及び関連会社に対する持分法による投資利益 (2,775) 345 538 退職給付制度終了損 (1,222) リース解約損 (1,041) 新株予約権戻入益 (0) 13 その他̶純額 (51) (1,073) その他の費用合計̶純額 (6,026) (15,420) 税金等調整及び少数株主利益控除前当期純利益 38,012 45,974 16,513 21,392 法人税等(注記11) : 法人税、住民税及び事業税 法人税等調整額 (600) (202) 法人税等計 15,913 21,190 少数株主利益 (2,708) (3,029) 当期純利益 ¥ 19,391 ¥ 21,755 単位:円 1株当たり金額 (注記2及び17) : 1株当たり当期純利益 ¥66.44 ¥74.51 潜在株式調整後1株当たり当期純利益 66.43 74.50 1株当たり年間配当金 32.00 38.00 連結財務諸表の注記をご参照ください。 42 DAIKIN INDUSTRIES, LTD. 連結株主資本変動計算書 ダイキン工業株式会社及び連結子会社 2010年及び2009年3月31日に終了した会計年度 単位:百万円 2008年4月1日現在残高 社外流通 株式総数 資本金 資本 剰余金 292,132,600 ¥85,032 ¥82,977 新株 予約権 利益 剰余金 ¥ 522 ¥351,499 その他 有価証券 評価 差額金 繰延ヘッジ 利益 為替換算 調整勘定 自己株式 計 ¥10,102 ¥371 ¥ 19,160 ¥(3,500) ¥546,163 ¥13,824 ¥559,987 4,750 4,750 少数株主 持分 純資産合計 実務対応報告第18号 適用に伴う利益剰余金 の増加(注記2) 4,750 連結子会社の決算期 変更に伴う利益剰余金 の減少(注記2) 当期純利益 配当金(1株当たり38円) (14) (14) 21,755 21,755 (11,097) 自己株式の取得 (310,281) 自己株式の処分 66,567 (57) 当期純変動額 2009年3月31日現在残高 (14) 21,755 242 291,888,886 85,032 82,977 764 366,836 (25,500) 94 (62,641) (15,398) 465 (43,481) (11,097) (11,097) (1,487) (1,487) (1,487) 243 186 186 (87,805) (1,789) (89,594) (4,744) 472,451 12,035 484,486 連結子会社の決算期 変更に伴う利益剰余金 の減少(注記2) 2 当期純利益 配当金(1株当たり35円) 自己株式の取得 (295,469) 自己株式の処分 54,800 当期純変動額 2010年3月31日現在残高 2 19,391 19,391 19,391 (10,217) (10,217) (10,217) (995) (995) (995) 211 151 (60) 251 291,648,217 ¥85,032 2 14,897 ¥82,977 ¥1,015 ¥375,952 ¥ (501) (303) ¥162 1,565 ¥(41,916) ¥(5,528) 16,410 ¥497,193 151 833 17,243 ¥12,868 ¥510,061 連結財務諸表の注記をご参照ください。 43 Annual Report 2010 連結キャッシュ・フロー計算書 ダイキン工業株式会社及び連結子会社 2010年及び2009年3月31日に終了した会計年度 単位:百万円 2010年 2009年 ¥ 38,012 ¥ 45,974 営業活動によるキャッシュ・フロー 税金等調整及び少数株主利益控除前当期純利益 調整項目: 法人税等の支払額 減価償却費 投資有価証券売却益 (14,113) (31,952) 52,424 56,931 (13) (3) 投資有価証券評価損 3,634 2,775 有形固定資産処分損 967 1,705 非連結子会社及び関連会社に対する持分法による投資利益 (345) (538) 資産及び負債の増減額(子会社の取得の影響を除く) : 売上債権 309 21,376 たな卸資産 33,055 その他の流動資産 (1,168) 169 1,841 (893) 仕入債務 16,154 (31,191) 未払費用 397 前払年金費用 その他の流動負債 退職給付引当金 確定拠出年金移行に伴う未払金 その他̶純額 調整項目計 営業活動によるキャッシュ・フロー 1,066 (3,885) (972) 4,271 (116) (248) (3,946) (707) 1,069 (574) 91,215 16,264 129,227 62,238 投資活動によるキャッシュ・フロー 有形固定資産の取得による支出 有形固定資産の売却による収入 新規連結子会社の取得による支出(取得した現金及び現金同等物を除く) (注記12) (29,984) 2,146 (4,598) (61,381) 442 (8,792) (465) (731) 非連結子会社及び関連会社に対する投資の増加 (4,984) (3,685) 投資有価証券の取得による支出 (2,081) (19,287) 事業譲受による支出 投資有価証券の売却による収入 34 その他̶純額 84 投資活動によるキャッシュ・フロー (39,848) 5 (5,873) (99,302) 財務活動によるキャッシュ・フロー 短期借入金の純(減少)増加額 66,728 長期借入債務の増加 120,031 長期借入債務の返済 (30,821) (13,660) 配当金の支払額 (10,217) (11,097) その他̶純額 財務活動によるキャッシュ・フロー 現金及び現金同等物に係る為替換算差額 現金及び現金同等物の増加(減少)額 連結子会社の決算期変更に伴う現金及び現金同等物の増加額 (5,319) (34,942) 11,260 (4,849) 48,382 380 (17,394) 54,817 (6,076) 185 (85) 現金及び現金同等物の期首残高 104,323 110,484 現金及び現金同等物の期末残高 ¥159,325 ¥104,323 連結財務諸表の注記をご参照ください。 44 (108,616) DAIKIN INDUSTRIES, LTD. 連結財務諸表の注記 2010年及び2009年3月31日に終了した会計年度 1. 連結財務諸表の作成基準 ダイキン工業株式会社( 以下「 当社 」という)の連結財務諸表は、日本の金融商品取引法及びその関連規則に基づき、日本におい て一般に公正妥当と認められる企業会計の基準( 以下「 日本基準 」という)に基づいて作成されており、国際財務報告基準が要求 する会計手法及び開示原則とは異なる面があります。 当連結財務諸表では、海外の読者により分かりやすい様式とするために、国内報告目的で発行された当社の連結財務諸表を 組替えて表示しています。 また、2009 年3月期の連結財務諸表については、2010 年3月期の表示区分に合わせるための組替えも行っています。 2 . 重要な会計方針の概要 連結の方針及び非連結子会社と関連会社への投資の会計処理方法 当連結財務諸表は当社及び重要な子会社 (併せて以下「当社グループ」という)を含んでいます。 支配力基準又は影響力基準に従い、当社が直接又は間接に支配力を行使できる会社は連結の範囲に含め、当社グループが重 要な影響を与えることができる会社は持分法を適用しています。 当社グループは、非連結子会社及び関連会社への投資については重要性のない会社を除き持分法を適用しています。なお、重 要性がなく持分法を適用していない会社への投資は原価法により処理していますが、価値の下落が著しく回復が見込まれない会 社に対する投資については減損処理を行っています。持分法を適用していない非連結子会社及び関連会社については、連結や持 分法を適用したとしても、当連結財務諸表には重要な影響を与えないものと判断しています。 2010 年3月31日に終了した会計年度において、連結子会社ダイキン エアコンディショニング ポーランド エスピーゼットオー オーについて、決算日を12月31日から3月31日に変更したため、当社はこの連結子会社の2010 年3月31日で終了した15 ヵ月 間の業績を連結しています。 2009 年3月31日に終了した会計年度において、連結子会社ダイキン スウェーデン エービーについて、決算日を12月31日か ら3月31日に変更したため、当社はこの連結子会社の2009 年3月31日で終了した15カ月間の業績を連結しています。 当社は連結損益計算書においてこれら連結子会社の12カ月間の業績を含め、3カ月間の業績については連結子会社の決算期 変更に伴う影響として連結株主資本等変動計算書に含めています。 取得した子会社の取得日における取得原価が純資産の時価評価額を超過する額( 以下「 連結調整勘定 」という)は、3 年∼20 年間で償却しています。 連結会社間の重要な残高及び取引は連結上すべて消去しています。また、資産に含まれる当社グループ間の取引により生じた 重要な未実現利益はすべて消去しています。 連結財務諸表における在外子会社の会計処理の統一 2006 年5月、企業会計基準委員会は、実務対応報告第18号として「 連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関す る当面の取扱い」を公表しました。実務対応報告第18号の内容は以下のとおりです。 ( 1)連結財務諸表を作成するにあたり、同 一環境下で行われた同一の性質の取引や事象について、親会社及び子会社が採用する会計処理の原則及び手続は、原則として統 一しなければならない。 (2)在外子会社の財務諸表が、国際財務報告基準か米国において一般に公正妥当と認められる会計原則 のいずれかに準拠して作成されている場合には、当面の間、それらを連結決算手続上利用することができる。 (3)その場合であっ ても、以下の項目については、当該修正額に重要性が乏しい場合を除き、連結決算手続上、当期純利益が日本基準に準拠して計 上されるよう修正しなければならない。1)のれんの償却、2)退職給付会計における数理計算上の差異の費用処理、3)研究開発 費の支出時費用処理、4 )投資不動産の時価評価及び固定資産の再評価、5 )会計方針の変更に伴う財務諸表の遡及修正、及び、 6 )少数株主損益の会計処理。その実務対応報告第18号は、2008 年 4月1日以降開始する会計年度から適用され、早期適用も 認められていました。 当社は、この会計基準を2008 年 4月1日より適用しました。これに加えて、当社は、この会計基準を遡及的に適用したかのよ うに、2008 年 4月1日における利益剰余金期首残高を調整しています。 現金同等物 現金同等物は、容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない短期投資です。 現金同等物には、取得日より3カ月以内に満期が到来する定期性預金を含めています。なお、定期性預金のうち、取得日より 3カ月を超えて満期が到来するが1年以内に満期が到来するものについては、短期投資として表示しています。 貸倒引当金 貸倒引当金は、債権の過去の貸倒実績や潜在的な損失の見積りに基づき合理的と認められる金額を計上しています。 45 Annual Report 2010 たな卸資産 当社及び国内連結子会社のたな卸資産については、主として総平均法による原価法( 収益性の低下による簿価切下げの方法 )を 採用しています。在外連結子会社のたな卸資産については、主として総平均法による低価法を採用しています。 有形固定資産 有形固定資産は、取得原価から減価償却累計額を控除した価額により計上しています。当社及び国内連結子会社が有する有形固 定資産の減価償却費については、主として定率法により算定しています。ただし、1998 年 4月1日以降に取得した建物の減価償 却費については定額法により算定しています。在外連結子会社が有する有形固定資産の減価償却費については、主として資産の 見積耐用年数に応じた定額法により算定しています。 耐用年数は、建物及び構築物が15 年∼ 50 年、機械装置及び運搬具が 5 年∼15 年となっています。リース資産の耐用年数は 個々のリース期間となっています。 固定資産 当社グループは、固定資産又は固定資産グループに減損が生じている可能性を示す事象や環境の変化( 減損の兆候 )があるか判 定し、減損の兆候がある固定資産又は固定資産グループについて、帳簿価額がこれらの固定資産の継続的使用と使用後の処分 によって生ずると見込まれる割引前の将来キャッシュ・フローの総額を超える場合に、減損損失を認識しています。この場合には、 固定資産又は固定資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生じると見込まれる将来キャッシュ・フローの割引現在価 値と、正味売却価額のいずれか高い方の金額を資産の回収可能価額とし、帳簿価額が回収可能価額を上回る額を減損損失とし て測定しています。 リース 2007年3月、企業会計基準委員会は、企業会計基準第13号として「 リース取引に関する会計基準 」を公表しました。これは、 1993 年 6月に公表されたリース取引に係る会計基準を改正したものです。改正後のリース取引に関する会計基準は、2008 年 4 月1日以降開始する会計年度から適用されますが、2007年 4月1日以降開始する会計年度において早期適用することも認めら れていました。 改正前の会計基準では、借主に所有権が移転すると認められるファイナンス・リース契約は資産計上することとされていました が、それ以外のファイナンス・リース契約については、資産計上した場合の情報が借主の財務諸表の注記として開示されることを 条件として、オペレーティング・リース契約と同様の処理をすることも認められていました。改正後の会計基準では、すべてのファ イナンス・リース契約は資産計上し、貸借対照表において、リース資産とリース債務を認識することとされています。これに加えて、 その会計基準では、借主に所有権が移転しないリース契約で改正後の会計基準への移行日に存在した契約については、オペレー ティング・リース契約と同様の処理を行うことも認められています。 当社及び国内連結子会社は、改正後の会計基準を2008 年 4月1日より適用しました。これに加えて、当社及び国内連結子会 社は、借主に所有権が移転しないリース契約で、改正後の会計基準への移行日に存在した契約については、オペレーティング・リー ス契約と同様の処理を行っています。 他のリース取引はすべて賃貸借取引に準じた処理を行っています。 投資有価証券 日本の金融商品会計基準に従い、当社グループが所有するすべての市場性のある有価証券は、その他有価証券に分類し、市場価格 等により評価しています。評価により発生した未実現の利益及び損失は、税効果を考慮した額を純資産の部において独立項目 (そ の他有価証券評価差額金)として表示しています。有価証券の売却原価は、主として移動平均法により算定しています。 市場性のないその他有価証券は、主として移動平均法による取得原価により評価しています。 その他有価証券について、一時的でない価値の下落があった場合には、正味実現可能価額まで評価減を行い、損益計算書に損 失として計上しています。 従業員退職給付 当社及び国内連結子会社は、ほぼすべての従業員を対象とした従業員非拠出型の退職年金制度を設けています。2000 年 4月 1日に開始する会計年度より、当社は、従業員退職給付に関する新会計基準を適用しており、貸借対照表日における予測退職給 付債務と年金資産に基づき算定された退職給付引当金を計上しています。 一部の海外連結子会社については、退職年金制度を設 けています。 2008 年10月の労使合意に基づき、当社の一部の国内連結子会社は、2009 年1月1日に確定給付企業年金制度及び確定拠 出年金制度を導入し、従来の適格退職年金制度を廃止しています。 2008 年7月、企業会計基準委員会は、企業会計基準第19 号として「 退職給付に係る会計基準 」の一部改正 (その3)を公表し ました。この会計基準は2009 年 4月1日以降開始する会計年度から適用され、2009 年3月31日以前に開始する会計年度の年 度末からの早期適用も認められていました。 46 DAIKIN INDUSTRIES, LTD. 改正前の会計基準では、割引率は一定期間の債券の利回りの変動を考慮して決定することが認められていましたが、この会計 基準の改正によれば、割引率は会計年度の年度末における債券の利回りによって決定することとされています。 当社及び国内連結子会社は、この会計基準の改正を2010 年3月31日より適用しました。この変更の退職給付債務、営業利 益並びに税金等調整及び少数株主利益控除前当期純利益への影響はありません。 ストックオプション等 企業会計基準第 8号「 ストックオプション等に関する会計基準 」は、2006 年5月1日以降、新たに付与されたストックオプション 等に適用されます。 この基準は、従業員に対するストックオプション等について、付与日の公正な評価額に基づく報酬費用を、財貨又はサービス が提供されていると考えられる権利確定までの期間にわたって認識することとされています。また、非従業員に対して付与するス トックオプション等についても、ストックオプションか提供された財貨又はサービスのいずれかの公正な評価額に基づいて、会 計処理することとされています。貸借対照表においては、ストックオプションは権利が行使されるまで、新株予約権として純資産 の部において独立項目として表示しています。当該基準は、持分決済の株式報酬取引を適用範囲に含めていますが、現金決済の 株式報酬取引を適用範囲に含めていません。 当社は、ストックオプション等に関する新しい会計基準を2006年5月1日以降付与したストックオプション等に適用しました。 外貨建取引 すべての短期及び長期の外貨建金銭債権債務は貸借対照表日の為替レートで日本円に換算しています。換算により生じた為替 差損益は、先物為替予約によりヘッジされない部分について、連結損益計算書に計上しています。 外貨建財務諸表 在外連結子会社の貸借対照表項目は、取引日のレートで換算される資本の部の各項目を除き、貸借対照表日現在の為替レートで 日本円に換算しています。在外連結子会社の収益及び費用項目は、期中平均レートで日本円に換算しています。このような換算 によって生じる差額は、純資産の部の独立項目である「為替換算調整勘定」として表示しています。 役員賞与 役員賞与は、帰属すべき会計年度末において未払費用として計上しています。 法人税等 法人税、住民税及び事業税の額は、連結損益計算書における税金等調整及び少数株主利益控除前当期純利益に基づいて算定し ています。資産負債法により、繰延税金資産及び負債を、資産及び負債の帳簿価額と課税標準との一時差異の予想される将来の 税効果に対して、認識しています。繰延税金資産及び負債は、現行税法の税率を一時差異に適用することにより算定しています。 デリバティブ取引 当社グループは、外貨建資産及び負債に係る為替変動リスクをヘッジするために、先物為替予約、通貨スワップ及び通貨オプ ションを利用しています。 当社グループは、金利変動リスクを管理するために、主として金利スワップ及び金利オプションを利用しています。 当社グループは、原材料の価格変動リスクを管理するために、商品先物取引を利用しています。当社グループは、デリバティブ 取引を投機目的では行っていません。 デリバティブ取引と外貨建取引は、次のように分類し、処理しています。a)すべてのデリバティブ取引は時価評価され、資産又 は負債として認識され、デリバティブ取引から生じる損益は、連結損益計算書に計上しています。b)ヘッジ目的で利用されるデ リバティブ取引は、ヘッジ手段とヘッジ対象とで高い相関関係と有効性が認められ、ヘッジ会計の要件を満たす場合には、デリバ ティブ取引の損益はヘッジ対象取引の決済まで繰延べています。 ヘッジ会計及び特定の要件を満たす金利スワップ取引については、時価評価せず、金利スワップ取引における支払額と受取額 の純額を認識し、支払利息又は受取利息に含めて処理しています。 1株当たり金額 1株当たり当期純利益は、普通株主に帰属する当期純利益を加重平均発行済株式数で除すことによって算定しています。ただし、 株式分割があった場合には遡及して調整します。 普通株式に係る潜在株式調整後1株当たり当期純利益は、希薄化効果を有する発行済ストックオプションが期首時点( 又は発 行時点)ですべて権利行使されたことを仮定しています。 当連結損益計算書で開示している1株当たり配当金は、各年度に対応する配当金であり、期末日後に支払われる配当金を含ん でいます。 47 Annual Report 2010 新会計基準 企業結合会計 2008 年12月、企業会計基準委員会は、改正された企業会計基準第21号「 企業結合に関する会計基準 」を公表しました。改正 後の会計基準における主な改正点は以下のとおりです。 (1)現行の会計基準では、企業結合が持分の結合と本質的にみなされるようなある特別の要件を充たす場合にのみ、持分プー リング法を適用することを認めているが、改正後の会計基準では、すべての企業結合にパーチェス法の適用を行うこととさ れており、持分プーリング法の適用は認められていない。 (2)現行の会計基準では、研究開発費は発生時の費用として処理することとされているが、改正後の会計基準では、企業結合に より受け入れた研究開発の途中段階の成果を、無形固定資産として資産計上することとされている。 (3)現行の会計基準では、低廉譲渡による益( 負ののれん)を、20 年以内の期間にわたり規則的に償却することとされているが、 改正後の会計基準では、すべての識別可能資産及び負債が把握されているかを見直したうえで、取得時の利益として処理す ることとされている。 この会計基準は2010 年 4月1日以降実施される企業結合から適用されますが、2009 年 4月1日以降開始する会計年度から 早期適用することも認められています。 連結財務諸表における持分法適用在外関連会社の会計処理の統一 現行の会計基準では、連結グループ内における会計処理の原則及び手続を統一することとされていますが、現行の実務指針では、 各々の国において一般に公正妥当と認められた会計基準に基づいて作成された在外関連会社の財務諸表に対して持分法を適用 することも認めています。 2008 年12月、企業会計基準委員会は、改正された企業会計基準第16 号「 持分法に関する会計基準 」を公表しました。改正 後の会計基準では、同一環境下で行われた同一の性質の取引や事象に対する関連会社の会計処理の原則及び手続は、当該関連 会社の財務諸表に対して持分法を適用する際には、実務上困難な場合を除き、親会社が採用する会計処理の原則及び手続と統 一されるように調整を行わなければならないとされています。これに加えて、在外関連会社の財務諸表が、国際財務報告基準か 米国において一般に公正妥当と認められる会計原則のいずれかに準拠して作成されている場合には、当面の間、それらを連結決 算手続上利用することができるとされています。その場合であっても、以下の項目については、当該修正額に重要性が乏しい場合 を除き、持分法適用上、当期純利益が日本基準に準拠して計上されるよう修正しなければなりません。1)のれんの償却、2 )退 職給付会計における数理計算上の差異の費用処理、3 )研究開発費の支出時費用処理、4 )投資不動産の時価評価及び固定資産 の再評価、5)会計方針の変更に伴う財務諸表の遡及修正、及び、6)少数株主損益の会計処理。 この会計基準は、2010 年 4月1日以降実施される持分法対象の関連会社に対する投資に係る会計処理から適用されますが、 2009 年 4月1日以降開始する会計年度から早期適用することも認められています。 資産除去債務 2008 年3月、企業会計基準委員会は、資産除去債務に関する新しい会計基準として、企業会計基準第18号「資産除去債務に関 する会計基準 」及び企業会計基準適用指針第21号「 資産除去債務に関する会計基準の適用指針」を公表しました。この会計基 準では、資産除去債務は、有形固定資産の取得、建設、開発又通常の使用によって生じ、当該有形固定資産の除去に関して法令 又は契約で要求される法律上の義務及びそれに準ずるものをいうとされています。 資産除去債務の金額を合理的に見積ることができる場合には、当該債務が発生した会計期間に、有形固定資産の除去に要す る割引後将来キャッシュ・フローの合計額で債務が認識されます。資産除去債務が発生した会計期間に、当該債務額を合理的に 見積ることができない場合には、債務額を合理的に見積ることができるようになった時点で負債として計上します。資産除去債 務に対応する除去費用は、資産除去債務を負債として計上した時に、当該負債の計上額と同額を、関連する有形固定資産の帳簿 価額に加えます。資産計上された資産除去債務に対応する除去費用は、減価償却を通じて、当該有形固定資産の残存耐用年数 にわたり、各期に費用配分されます。資産除去債務は、毎期、現在価値に調整され、時の経過による調整額は各期の費用として 処理されます。当初見積り以降、割引前キャッシュ・フローの見積りに重要な変更が生じた場合は、見積りの変更による調整額を 資産除去債務の帳簿価額及び関連する有形固定資産の帳簿価額に加減して処理します。 この会計基準は2010 年 4月1日以降開始する会計年度から適用されますが、2010 年3月31日以前に開始する会計年度から 早期適用することも認められています。 たな卸資産の評価 2008 年9月、企業会計基準委員会は、改正された企業会計基準第9 号「棚卸資産の評価に関する会計基準」を公表しました。こ の会計基準では、後入先出法の採用が認められなくなりました。この会計基準は、2010 年 4月1日以降開始する会計年度から 適用されますが、2010 年3月31日以前に開始する会計年度から早期適用することも認められています。 48 DAIKIN INDUSTRIES, LTD. 会計上の変更及び誤謬の訂正 2009 年12月、企業会計基準委員会は、企業会計基準第24号「 会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準 」及び企業会計 基準適用指針第24号「 会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準の適用指針」を公表しました。当該基準及び適用指針に よる会計上の取扱いにつきましては以下のとおりです。 (1)会計方針の変更 会計基準の改正に従って新しい会計方針を適用する際、改正された会計基準に特定の経過的な取扱いがない場合には、新た な方針を遡及的に適用します。改正された会計基準に特定の経過的な取扱いがある場合には、その特定の経過的な取扱い に従います。 (2)表示方法の変更 財務諸表の表示方法を変更する場合には、過去の財務諸表は、新たな表示方法に従って組替えます。 (3)会計上の見積りの変更 会計上の見積りの変更は、変更が当該期間のみに影響する場合には、当該変更期間に会計処理を行い、変更が当該期間とと もに将来の期間にも影響する場合には、将来にわたって会計処理を行います。 (4)過去の誤謬の訂正 過去の財務諸表における誤謬が発見された場合には、当該財務諸表を修正再表示します。 この会計基準及び適用指針は、2011年 4月1日以降開始する会計年度の期首以降における会計上の変更及び、過去の誤謬の 訂正から適用されます。 セグメント情報の開示 2009 年3月、企業会計基準委員会は、改正された企業会計基準第17号「 セグメント情報等の開示に関する会計基準 」及び企業 会計基準適用指針第20 号「 セグメント情報等の開示に関する会計基準の適用指針」を公表しました。この基準及び適用指針で は、企業はその報告セグメントについての財務上の詳細な情報の報告をすることとされています。報告セグメントは事業セグメン ト又は具体的な基準を満たす事業セグメントの集約です。事業セグメントとは、分離された財務情報が入手可能であり、そのよう な情報を経営者が、資源の配分方法の決定及び業績の評価を行うために定期的に検討する構成単位です。一般的にセグメント 情報は内部で事業セグメントの業績を評価し、事業セグメントへの資源の配分方法を決定するために利用されるものと同様の基 準で報告することとされています。 この会計基準及び適用指針は、2010 年 4月1日以降開始する会計年度におけるセグメント情報の開示から適用されます。 3. たな卸資産 2010 年及び 2009 年3月31日現在におけるたな卸資産は次のとおりです。 単位:百万円 2010年 2009年 ¥111,867 ¥133,741 半製品及び仕掛品 41,860 44,451 原材料及び貯蔵品 31,438 38,453 ¥185,165 ¥216,645 製品及び商品 合計 4. 投資有価証券 2010 年及び 2009 年3月31日現在において投資有価証券に計上している市場性のあるその他有価証券の取得原価及び時価は 次のとおりです。 単位:百万円 2010年 取得原価 未実現利益 未実現損失 時価 株式 ¥104,729 ¥15,487 ¥(16,621) ¥103,595 債券 200 4 その他 503 62 (88) 477 合計 ¥105,432 ¥15,553 ¥(16,709) ¥104,276 その他有価証券: 204 49 Annual Report 2010 単位:百万円 2009年 取得原価 未実現利益 未実現損失 時価 ¥106,638 ¥8,466 ¥(34,777) ¥80,327 (138) 365 ¥8,466 ¥(34,915) ¥80,692 その他有価証券: 株式 その他 503 合計 ¥107,141 2009 年3月31日現在において時価評価していないその他有価証券は次のとおりです。2010 年における当該情報は注記15 で開示しています。 単位:百万円 帳簿価額 2009年 その他有価証券: 株式 ¥7,200 その他 1,580 合計 ¥8,780 2009 年3月31日に終了した会計年度におけるその他有価証券の売却収入は5百万円となっています。この売却により、 2009 年3月31日に終了した会計年度において売却益(主として移動平均法により算定)が総額で3百万円発生しています。 2010 年3月31日に終了した会計年度に売却されたその他有価証券の情報は次のとおりです。 単位:百万円 2010 年3月31日 売却収入 売却益 売却損 ¥34 ¥13 ¥ その他有価証券: 株式 2010 年及び 2009 年3月31日に終了した会計年度において、時価のあるその他有価証券の減損の金額は、それぞれ 3,616 百万円及び 2,633百万円です。 5. のれん 2010 年及び 2009 年3月31日現在におけるのれんは次のとおりです。 単位:百万円 連結調整勘定 2010年 2009年 ¥181,842 ¥192,295 その他 1,025 1,110 合計 ¥182,867 ¥193,405 2010 年及び 2009 年3月31日に終了した会計年度におけるのれん償却はそれぞれ12,112百万円、12,120百万円です。 6. 関連者間取引 2010 年及び 2009 年3月31日現在における非連結子会社及び関連会社に対する債権・債務は次のとおりです。 単位:百万円 2010年 2009年 売上債権 ¥1,563 ¥2,032 仕入債務 1,015 565 2010 年及び 2009 年3月31日に終了した会計年度における非連結子会社及び関連会社への売上高及び仕入高は次のとおり です。 単位:百万円 50 2010年 2009年 売上高 ¥8,874 ¥15,887 仕入高 7,620 10,673 DAIKIN INDUSTRIES, LTD. 2010 年及び 2009 年3月31日に終了した会計年度における関連のある個人との重要な取引及び残高は次のとおりです。 (1)2010 年 (ア)当社 単位:百万円 氏名 寺田千代乃 役職の内容 社外取締役/ 取引 当社の被所有 割合(%) 期末残高 2010年 取引の内容 勘定科目 2010年 その他の流動負債 ¥31 0.00 引越業務及び配送業務の委託 ¥362 当社の被所有 割合(%) 取引 取引の内容 2010年 勘定科目 2010年 0.00 引越業務及び配送業務の委託 ¥56 その他の流動負債 ¥5 アートコーポレーション株式会社 代表取締役社長 (イ)当社の連結子会社 単位:百万円 氏名 寺田千代乃 役職の内容 社外取締役/ アートコーポレーション株式会社 期末残高 製品の販売 代表取締役社長 44 売掛金 8 (2)2009 年 (ア)当社 単位:百万円 氏名 寺田千代乃 役職の内容 社外取締役/ 取引 当社の被所有 割合(%) 期末残高 2009年 取引の内容 勘定科目 2009年 その他の流動負債 ¥33 0.00 引越業務及び配送業務の委託 ¥217 当社の被所有 割合(%) 取引 取引の内容 2009年 勘定科目 2009年 0.00 引越業務及び配送業務の委託 ¥40 その他の流動負債 ¥ 3 アートコーポレーション株式会社 代表取締役社長 (イ)当社の連結子会社 単位:百万円 氏名 寺田千代乃 役職の内容 社外取締役/ アートコーポレーション株式会社 代表取締役社長 製品の販売 期末残高 79 売掛金 14 7. 短期借入金及び長期借入債務 2010 年及び 2009 年3月31日現在における当社グループの短期借入金は次のとおりです。 単位:百万円 当座借越及び銀行借入金 コマーシャルペーパー 合計 2010年 2009年 ¥69,730 ¥ 74,880 17,000 120,000 ¥86,730 ¥194,880 2010 年3月31日現在における未利用のコミットメントラインは75,000百万円です。2010 年及び 2009 年3月31日現在の 当座借越及び銀行借入金の加重平均利率はそれぞれ1.06%及び1.51%です。2010 年及び 2009 年3月31日現在のコマーシャ ルペーパーの加重平均利率はそれぞれ0.11%及び 0.46%です。 51 Annual Report 2010 2010 年及び 2009 年3月31日現在における長期借入債務は次のとおりです。 単位:百万円 2010年 2010年10月満期0.82%利付無担保社債 2009年 ¥ 20,000 2014年満期1.00%利付無担保社債 ¥ 30,000 2016年満期1.42%利付無担保社債 30,000 2019年満期1.86%利付無担保社債 40,000 担保付借入金 (借入先:政府系金融機関、返済期限:2012年まで、利率:1.75%) 1,200 1,200 21,000 1,500 694 1,012 無担保借入金 (借入先:政府系金融機関、返済期限:2019年まで、 利率:2010年−1.40% ∼ 1.75%、2009年−1.40%) 外貨建担保付借入金 (借入先:銀行等金融機関、返済期限:2012年まで、 利率:2010年−3.00% ∼ 7.63%、2009年−4.00% ∼ 7.63%) 担保付借入金 (借入先:銀行等金融機関、返済期限:2010年まで、 変動利率:2009年−1.14%) 2,290 外貨建無担保借入金 (借入先:銀行等金融機関他、返済期限:2018年まで、 利率:2010年−0.83% ∼ 5.70%、2009年−2.00% ∼ 7.91%) 14,593 21,317 172,102 172,878 309,589 220,197 無担保借入金 (借入先:銀行等金融機関、返済期限:2027年まで、 利率:2010年−0.49% ∼ 3.55%、2009年−0.71% ∼ 6.10%) 合計 (控除)1年内返済予定 1年内返済予定控除後長期借入債務 (13,381) ¥296,208 (29,418) ¥190,779 2010 年3月31日現在における長期借入債務の年度別満期返済額は次のとおりです。 単位:百万円 2011年3月期 ¥ 13,381 2012年3月期 2,440 2013年3月期 56,954 2014年3月期 11,553 2015年3月期 2016年3月期以降 合計 80,073 145,188 ¥309,589 2010 年3月31日現在、有形固定資産、売掛金、たな卸資産及び前払費用及びその他流動資産残高のうちそれぞれ43,600 百万円、11,775百万円、6,795百万円及び 993百万円を短期借入金及び長期借入債務の担保として提供しています。また、短 期投資残高のうち643百万円を仕入先の債務 (418百万円)の担保として提供しています。 借入契約において、貸付銀行は当社グループの配当金の支払い、追加的な長期借入債務の調達及びその他の事項の事前承認 のためにこれらの事項についての計画を提出することを求める場合があります。日本の慣行として、貸付銀行からの求めがあれ ば、担保を提供する必要があります。貸付銀行は返済期限が到来した債務について、あるいは債務不履行やその他の特殊事象が 起こった場合は銀行に対するあらゆる債務について、その銀行に預け入れている預金とを相殺する権利を有しています。これまで、 当社グループの債務に対してこの権利を行使した銀行はありません。 8. 退職給付及び年金制度 当社グループの年金制度のもとでは、従業員が退職する場合には原則として雇用期間中の平均給与、勤続年数及びその他の要 因に基づいて退職一時金及び年金を受給する権利が付与されます。 2008 年10月の労使合意に基づき、当社の一部の連結子会社は、2009 年1月1日に確定給付企業年金制度及び確定拠出年 金制度を導入し、従来の適格退職年金制度を廃止しています。 52 DAIKIN INDUSTRIES, LTD. 2010 年及び 2009 年3月31日現在における従業員分の退職給付引当金の内訳は次のとおりです。 単位:百万円 予測退職給付債務 年金資産の公正価値 2010年 2009年 ¥69,068 ¥64,422 (67,355) 未認識数理計算上の差異 資産純額 前払年金費用 退職給付引当金 (59,368) 218 未認識過去勤務債務 280 (9,724) (15,502) (7,793) (10,168) (12,262) (14,107) ¥ 4,469 ¥ 3,939 2010 年及び 2009 年3月31日に終了した会計年度における退職給付費用の内訳は次のとおりです。 単位:百万円 勤務費用 2010年 2009年 ¥3,137 ¥3,071 1,968 2,491 (1,950) (2,702) 利息費用 期待運用収益 (33) 過去勤務債務の費用処理額 (25) 数理計算上の差異の費用処理額 1,927 588 退職給付費用 5,049 3,423 確定拠出年金制度への移行に伴う損失 1,222 3,039 2,287 ¥8,088 ¥6,932 確定拠出年金への掛金等 合計 2010 年及び 2009 年3月31日に終了した会計年度における予測退職給付債務等の計算の基礎は次のとおりです。 2010年 2009年 割引率 主として2.0% 主として2.0% 期待運用収益率 主として2.5% 主として2.5% 過去勤務債務の処理年数 主として10年 主として10年 数理計算上の差異の処理年数 主として10年 主として10年 9. 純資産 日本の会社は日本の会社法( 以下「 会社法 」)の適用を受けています。財務・会計事象に影響を与える会社法の重要な規定を以下 に要約しています。 (a)配当 会社法のもとでは、株主総会決議による年度末の配当だけではなく、会計期間中いつでも配当を支払うことができます。 ( 1)取 締役会設置会社であり、 (2)会計監査人を設置しており、 (3)監査役会設置会社であり、かつ (4)取締役の任期を通常の2年では なく1年と定款で定めているという要件を満たす会社については、定款にその旨の定めがあれば、会計年度中いつでも、取締役会 が配当( 現物配当は除く)を宣言することができます。しかしながら、当社は上記の基準を満たしていないので、そうすることが できません。 会社法は一定の制約及び追加的な要件を前提として、株主に現物 (金銭以外の財産)配当を認めています。 また、定款に定めがある場合には、取締役会決議に基づいて、年に一度中間配当を支払うこともできます。会社法においては、 配当可能額あるいは自己株式の取得に一定の制限が設けられています。その制限は株主への分配可能額として規定されており、 配当後の純資産の額が 3百万円を下回らないよう維持することが義務付けられています。 (b)資本金、準備金及び剰余金の増減並びに振替 会社法は利益準備金 (利益剰余金の一部)及び資本準備金 (資本剰余金の一部)の総合計額が資本金の25%に達するまで、配当 の10% 相当額を当該配当の支払額を差し引く資本勘定に応じて、利益準備金又は資本準備金として積み立てることを義務付け ています。会社法では資本準備金と利益準備金の合計額全額を払い戻すことができます。会社法ではまた、株主総会の決議に 基づく一定の条件のもとで、資本金、利益準備金、資本準備金、その他資本剰余金及び利益剰余金について科目間での振替を行 うことができます。 53 Annual Report 2010 (c)自己株式及び自己新株予約権 会社法はまた取締役会決議による企業の自己株式の取得及び処分を認めています。自己株式の取得額は、特定の算式によって決 定される株主に対する分配可能額を超えることができません。 会社法のもとでは新株予約権は、純資産の部において独立項目として表示されます。 会社法ではまた会社が自己新株予約権及び自己株式の両方を取得できるよう規定しています。取得した自己新株予約権は純 資産の部において独立項目として表示されるか、又は新株予約権から直接控除して表示されます。 10. ストックオプション 2010 年3月31日に終了した会計年度におけるストックオプションの付与状況は以下のとおりです。 付与対象者 ストックオプションの 付与数 付与日 権利行使価格 2003年 取締役 20名 118,000株 2003年7月30日 2,405円 2005年7月1日から ストックオプション 従業員 19名 2004年 取締役 9名 144,000株 2004年7月27日 2,957円 2006年7月1日から ストックオプション 従業員 40名 2005年 取締役 9名 ストックオプション 従業員 44名 2006年 取締役 9名 ストックオプション 従業員 44名 2007年 取締役 9名 ストックオプション 従業員 42名 2008年 取締役 8名 ストックオプション 従業員 44名 2009年 取締役 8名 ストックオプション 従業員 42名 ストックオプション 権利行使期間 2009年6月30日まで 2010年6月30日まで 153,000株 2005年7月29日 2,852円 2007年7月1日から 298,000株 2006年7月18日 3,790円 2008年7月19日から 292,000株 2007年7月17日 4,640円 2009年7月18日から 2011年6月30日まで 2012年7月18日まで 2013年7月17日まで 308,000株 2008年7月14日 5,924円 2010年7月15日から 294,000株 2009年7月13日 3,250円 2011年7月14日から 2014年7月14日まで 2015年7月13日まで ストックオプションの変動状況は以下のとおりです。 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 ストック オプション ストック オプション ストック オプション ストック オプション ストック オプション ストック オプション ストック オプション ストック オプション (株) 2009年3月31日に終了した会計年度 権利確定後 2008年3月31日残高 15,000 35,000 100,000 123,500 298,000 292,000 15,000 13,000 10,000 22,200 6,000 22,000 90,000 101,300 292,000 292,000 308,000 22,000 90,000 101,300 292,000 292,000 308,000 22,000 19,000 12,500 1,300 12,000 4,000 71,000 88,800 278,700 288,000 308,000 294,000 4,640円 5,924円 3,250円 1,015円 803円 899円 付与 権利行使 308,000 失効 2009年3月31日残高 2010年3月31日に終了した会計年度 権利確定後 2009年3月31日残高 付与 294,000 権利行使 失効 2010年3月31日残高 権利行使価格 2,405円 2,957円 2,852円 3,790円 行使時平均株価 3,094円 3,527円 3,504円 3,536円 付与日における公正な評価単価 736円 2009年ストックオプションの公正な評価単価の見積方法 54 評価技法: ブラックショールズ式 株価変動性: 48.7% 予想残存期間: 4年間 予想配当: 38円/株 無リスク利子率: 0.5% DAIKIN INDUSTRIES, LTD. 11. 法人税等 当社及び国内子会社は、日本の国及び地方に法人税等を納める義務を負っています。2010 年及び 2009 年3月31日に終了し た会計年度における法定実効税率は、総額で概ね40.6%となっています。 2010 年及び 2009 年3月31日現在における繰延税金資産及び負債の発生原因となる重要な一時差異及び繰越欠損金の税 効果は次のとおりです。 単位:百万円 2010年 2009年 繰延税金資産: 繰越欠損金 ¥12,879 ¥ 6,982 製品保証引当金 7,535 4,812 たな卸資産 6,430 8,252 投資有価証券 4,475 2,565 ソフトウェア等 4,073 4,646 賞与引当金 3,263 3,083 未払金 1,867 1,804 退職給付引当金 1,518 1,399 貸倒引当金 1,117 968 867 11,067 714 2,273 その他有価証券評価差額金 長期未払金 その他 評価性引当額 繰延税金資産合計 5,644 8,353 (12,100) (8,365) ¥38,282 ¥47,839 繰延税金負債: 連結子会社の留保利益 ¥10,417 ¥ 9,250 前払年金費用 4,997 5,738 固定資産圧縮積立金 2,267 2,202 その他 3,948 3,175 繰延税金負債合計 ¥21,629 ¥20,365 繰延税金資産の純額 ¥16,653 ¥27,474 2009 年3月31日に終了した会計年度における法定実効税率と当連結損益計算書の税効果会計適用後の法人税等の負担率 の差異の調整は次のとおりです。 2009年 法定実効税率 海外子会社との税率の差異 40.6% (21.6) 外国税額控除税効果未認識額 12.7 評価性引当額 10.1 のれん償却 9.2 留保利益の税効果 (5.6) その他 0.7 税効果会計適用後の法人税等の負担率 46.1% 2010 年3月31日に終了した会計年度においては法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率の差異は、法定実効 税率の5%以下であるため、開示していません。 2010 年3月31日において、当社及び一部の連結子会社は当社及び当該子会社の将来の課税所得と相殺することができる総 額 30,874百万円の繰越欠損金を有しており、これらは将来の課税所得の算定にあたって控除として利用できます。これらの繰 越欠損金は利用されない場合、以下のとおり有効期限を迎える予定です。 単位:百万円 2011年3月31日に終了する会計年度 ¥ 12 2012年3月31日に終了する会計年度 82 2013年3月31日に終了する会計年度 325 2014年3月31日に終了する会計年度 2,475 2015年3月31日に終了する会計年度 2016年3月31日以降 合計 878 27,102 ¥30,874 55 Annual Report 2010 12 . キャッシュ・フロー追加情報 当社は、2009年3月31日に終了した会計年度において、複数の会社を取得しました。そのうち主なものは、ロテックス ヒーティン グシステムズ ゲーエムベーハー及びその子会社 9 社の取得でした。 ロテックス ヒーティングシステムズ ゲーエムベーハー及びその子会社 9 社の株式取得による支出と、これらの新規連結子会社 の取得による支出 (取得した現金及び現金同等物を除く)との関係は次のとおりです。 単位:百万円 2009年 資産 ¥9,914 のれん 4,287 負債 (6,753) 株式取得による支出 7,448 連結子会社の現金及び現金同等物 (209) これらの新規連結子会社の取得による支出(取得した現金及び現金同等物を除く) ¥7,239 13. 研究開発費 2010 年及び 2009 年3月31日に終了した会計年度における研究開発費はそれぞれ 28,220百万円、30,535百万円です。 14. リース 当社グループは、コンピューター機器及びその他の資産の一部をリースしています。 ファイナンス・リース契約に基づく債務相当額及び解約不能のオペレーティング・リース契約に基づく未経過リース料は、次のと おりです。 単位:百万円 2010年 ファイナンス・ リース契約 オペレーティング・ リース契約 1年内 ¥1,431 ¥1,188 1年超 1,562 6,317 ¥2,993 ¥7,505 合計 2010 年及び 2009 年 3月31日に終了した会計年度におけるプロフォーマ情報 注記 2に記載のとおり、当社及び国内連結子会社は、会計基準の移行日に存在した借主に所有権が移転すると認められるもの以 外のファイナンス・リース契約については、オペレーティング・リース契約と同様の処理をしています。会計基準の移行日に存在し た、このようなリース物件を資産計上するとした場合の、2010 年及び 2009 年3月31日に終了した会計年度における、取得価額 相当額、減価償却累計額相当額、ファイナンス・リース契約に基づく債務相当額及び減価償却費相当額に関する情報は、次のとお りです。 単位:百万円 2010年 取得価額相当額 減価償却累計額相当額 期末残高相当額 工具・器具 及び備品 その他 ¥2,665 ¥1,366 2009年 合計 工具・器具 及び備品 その他 合計 ¥4,031 ¥3,985 ¥1,902 ¥5,887 1,977 945 2,922 2,585 1,118 3,703 ¥ 688 ¥ 421 ¥1,109 ¥1,400 ¥ 784 ¥2,184 ファイナンス・リース契約に基づく債務相当額: 単位:百万円 1年内 1年超 合計 ファイナンス・リース契約に基づく取得価額相当額及び債務相当額には、支払利息を含んでいます。 56 2010年 2009年 ¥ 610 ¥1,022 499 1,162 ¥1,109 ¥2,184 DAIKIN INDUSTRIES, LTD. ファイナンス・リース契約に基づく支払リース料及び減価償却費相当額: 単位:百万円 支払リース料 2010年 2009年 ¥1,006 ¥1,799 1,006 1,799 減価償却費相当額 減価償却費相当額は、当連結損益計算書には計上していませんが、各々のリース期間にわたる定額法により計算しています。 15. 金融商品及び関連注記 2008年3月、企業会計基準委員会は、企業会計基準第10号「 金融商品に関する会計基準」を改正し、企業会計基準適用指針第19 号「金融商品の時価等に関する開示の適用指針」 を公表しました。この会計基準及び適用指針は2010年3月31日以降終了する会計 年度の年度末から金融商品及び関連する注記に適用されますが、2010年3月31日以前に終了する会計年度の期首から早期適用す ることも認められています。当社グループは改正された会計基準及び新しい適用指針を2010年3月31日より適用しました。 金融商品に対するグループ方針 当社グループは、設備投資計画に基づいて、主に銀行借入や社債といった金融商品を利用しています。また、短期の銀行借入やコ マーシャルペーパーは、運転資金の調達に利用しており、余剰資金は低リスクの金融資産に投資しています。デリバティブ取引は、 投機目的ではなく、以下に記載するリスクを管理するために利用しています。 金融商品から生じるリスクの内容と程度並びに金融商品のリスク管理 受取手形及び売掛金といった債権は、顧客の信用リスクに晒されています。当社グループは、顧客の倒産リスクを把握するために主要 な顧客の支払期日や残高のモニタリングを行うことを記載している内部規定に基づいて債権からの信用リスクを管理しています。 支払手形及び買掛金といった債務の支払期日は、1年以内です。 外貨建の債権及び債務は、外国為替相場の変動による市場リスクに晒されていますが、それぞれの通貨において外貨建の債権 及び債務をネットしたポジションに対して、主に先物為替予約及び通貨スワップを利用してヘッジしています。加えて、予定取引に より生じることが見込まれる外貨建の債権及び債務に対しても先物為替予約及び通貨スワップを利用してヘッジしています。 投資有価証券は、主に当社グループの顧客及びサプライヤーの株式であり、市場価格変動のリスクに晒されています。投資有 価証券は、定期的に市場価格及び発行体の財政状況をモニタリングすることにより管理しています。 短期借入金やコマーシャルペーパーは、主に運転資金として利用しています。長期借入金や社債は、主に設備投資を目的として 利用しており、これらの償還日は貸借対照表日後、9年4カ月以内です。支払手形及び買掛金といった債務、銀行借入金及び社債 は流動性リスクに晒されていますが、その流動性リスクについて当社は企業財務部門による適切な資金計画に沿って管理してお り、コミットメントラインを設定しています。金利変動による市場リスクに晒されている長期借入金の一部は、主に金利スワップ 取引を利用してヘッジしています。 デリバティブ取引は、主に債権及び債務の外国為替相場、銀行借入金の金利の変動及び原材料の市場価格の変動による市場 リスクを管理する先物為替予約、金利スワップ、及び商品先物取引です。 当社グループは、権限と利用限度額を規制する内部方針に基づいてデリバティブ取引を行っています。 当社グループはこれらデリバティブ取引を信用力の高い金融機関に限定しており、信用リスクから生ずる損失は見込んでいません。 金融商品の時価等に関する事項 金融商品の時価は活発な市場での価格に基づいています。市場価格が入手できない場合は、代わりに他の合理的な評価技法を 利用しています。いずれの価格も入手できないものは以下の表に含まれていません。 単位:百万円 2010年 帳簿価額 時価 ¥159,325 ¥159,325 714 714 受取手形及び売掛金 181,138 181,138 投資有価証券 104,276 104,276 合計 ¥445,453 ¥445,453 ¥ 仕入債務 ¥ 97,733 ¥ 97,733 ¥ 86,730 86,730 現金及び現金同等物 短期投資 短期借入金 未実現利益/損失 ¥ 未払法人税等 8,114 8,114 長期借入債務 309,590 316,060 ¥6,470 ¥502,166 ¥508,637 ¥6,470 合計 57 Annual Report 2010 資産 現金及び現金同等物及び短期投資 現金及び現金同等物及び短期投資は、満期が短期のため帳簿価額が時価にほぼ等しくなっています。 受取手形及び売掛金 受取手形及び売掛金は、決済が短期のため、帳簿価額が時価にほぼ等しくなっています。 投資有価証券 株式の時価は、株式取引所での市場価格で測定しており、債権の時価は、当社グループが想定する法人割引率で割り引いた満期 時の受取額で測定しており、また投資信託の時価は基準価格で測定しています。なお、投資有価証券の分類ごとの時価情報は、 注記 4に含めています。 負債 仕入債務、短期借入金及び未払法人税等 仕入債務、短期借入金及び未払法人税等は決済が短期のため、帳簿価格が時価にほぼ等しくなっています。 長期借入債務 社債の時価は社債の店頭市場での市場価格により決定しており、長期借入金の時価については、当該借入金に関連するキャッ シュ・フローを当社グループが想定する法人借入率で割り引いて決定しています。ヘッジ会計の要件を満たし、特定の一致基準に 適合する金利スワップによってヘッジされている変動金利の長期借入金の時価は、当該借入金及び金利スワップに関連する キャッシュ・フローを当社グループが想定する法人借入率で割り引いて決定しています。 デリバティブ取引 デリバティブ取引の時価は金融機関から入手した価格により評価しております。 下記の表における「契約額等」は、あくまでもデリバティブ取引における名目的な契約額又は計算上の想定元本であり、当該金額 自体が、そのままデリバティブ取引に係る市場リスクや信用リスク等を表すものではありません。 2010 年 3月31日におけるヘッジ会計が適用されていないデリバティブ取引: 単位:百万円 2010年 契約額等 契約額等の内1年超 公正価値 評価(損)益 為替予約契約: 売建:英ポンド ¥ 1,934 ¥ 8 8 23,526 米ドル 8,663 31 31 オーストラリアドル 3,468 (29) (29) ニュージーランドドル 134 ¥ ユーロ 215 134 29 29 南アフリカランド 2,375 (53) (53) チェココルナ 1,771 (14) (14) 10 香港ドル 725 10 ポーランドズロキ 277 (4) (4) シンガポールドル 1,414 12 12 マレーシアリンギット 201 2 2 カナダドル 354 4 4 メキシコペソ 583 6 インドルピー 449 買建:ユーロ チェココルナ (13) 6 (13) 96 0 0 12 0 0 ¥ 24 ¥ 24 通貨スワップ: 受取円・支払香港ドル 受取円・支払米ドル ¥ 248 5,915 ¥165 (284) (284) 商品先物契約: 金属 買建 58 ¥ 1,183 ¥225 ¥225 DAIKIN INDUSTRIES, LTD. 2010 年 3月31日におけるヘッジ会計が適用されているデリバティブ取引: 単位:百万円 2010年 ヘッジ対象 契約額等 契約額等の内1年超 公正価値 為替予約契約: 売建:英ポンド 売掛金 ¥ 4,805 ¥ 19 ユーロ 売掛金 21,323 米ドル 売掛金 1,433 (5) オーストラリアドル 売掛金 683 (26) 南アフリカランド 売掛金 1,306 (81) チェココルナ 売掛金 4,436 101 ポーランドズロキ 売掛金 754 買掛金 2,512 買建:米ドル 406 (31) 106 金利スワップ: 受取変動/支払固定 長期借入金 ¥ 30,000 ¥ 30,000 受取変動/支払固定(*) 長期借入金 131,030 122,000 ¥(122) (*)ヘッジ会計の要件を満たし、特定の一致基準に該当する上記の金利スワップは市場価格で評価せず、スワップ契約に基づいて差額の支払い又は受取りを認識し支 払利息又は受取利息に含めています。また、そのような金利スワップの時価は長期借入債務に含めています。 以下は、2009 年 3月31日において、ヘッジ会計が適用されていないデリバティブ取引の時価情報です。ヘッジ会計の要件を満 たすデリバティブ取引は、以下の情報から除外しています。 単位:百万円 2009年 契約額等 契約額等の内1年超 公正価値 評価(損)益 為替予約契約: 売建:英ポンド ¥ 4,035 ¥ 4,189 ¥ (154) ユーロ 14,644 14,721 (77) 米ドル 8,820 8,967 (147) オーストラリアドル 2,444 2,536 (92) 南アフリカランド 1,638 1,671 (33) チェココルナ 7,997 8,103 (106) 香港ドル 520 515 ポーランドズロキ 521 516 5 シンガポールドル 620 621 (1) マレーシアリンギット 475 494 (19) タイバーツ 330 332 (2) カナダドル 122 149 (27) インドルピー 5 277 276 1 125 128 3 チェココルナ 192 202 10 米ドル 295 305 10 買建:ユーロ 通貨スワップ: 受取円・支払香港ドル 受取円・支払米ドル ¥ 330 ¥248 ¥ 13 962 16 ¥ 2,124 ¥ 989 ¥ 13 16 商品先物契約: 金属 買建 ¥(1,135) 59 Annual Report 2010 時価を容易に決定できない金融商品 単位:百万円 帳簿価額 2010年 非上場株式 ¥ 7,177 投資事業組合及びその他の投資 1,190 非連結子会社及び関連会社に対する投資 4,383 合計 ¥12,750 金銭債権及び満期のある有価証券の連結決算日後の償還予定額 単位:百万円 2010年 1年以内 現金及び現金同等物 短期投資 受取手形及び売掛金 1年超 5年以内 5年超 10年以内 ¥159,325 10年超 ¥ 714 181,138 投資有価証券 その他有価証券のうち満期があるもの(社債) 合計 25 ¥100 ¥75 ¥341,202 ¥100 ¥75 ¥ 長期借入債務の年度別満期返済額は注記7をご覧ください。 16. 約定債務及び偶発債務 2010 年3月31日現在における設備投資に関する約定債務は、7,367百万円となっています。 2010 年3月31日現在における銀行借入金等に対する保証債務等は、1,321百万円となっています。 17. 1株当たり当期純利益 2010 年及び 2009 年3月31日に終了した会計年度における1株当たり当期純利益と潜在株式調整後1株当たり当期純利益の 差異の調整は次のとおりです。 単位:百万円 2010年3月31日に終了した会計年度: 単位:千株 単位:円 当期純利益 加重平均株式数 1株当たり 当期純利益 ¥19,391 291,867 ¥66.44 1株当たり当期純利益 普通株主に帰属する当期純利益 希薄化株式の影響 28 ストックオプション 潜在株式調整後1株当たり当期純利益 算定に必要な当期純利益 ¥19,391 291,895 ¥66.43 ¥21,755 291,971 ¥74.51 2009年3月31日に終了した会計年度: 1株当たり当期純利益 普通株主に帰属する当期純利益 希薄化株式の影響 ストックオプション 45 潜在株式調整後1株当たり当期純利益 算定に必要な当期純利益 60 ¥21,755 292,016 ¥74.50 DAIKIN INDUSTRIES, LTD. 18. セグメント情報 2010 年及び 2009 年3月31日に終了した会計年度における、当社グループの事業の種類別セグメント、所在地別セグメント及 び海外売上高についての情報は次のとおりです。 (1)事業の種類別セグメント情報 a. 売上高及び営業損益 単位:百万円 2010年 外部顧客に対する売上高 セグメント間の内部売上高又は振替高 空調・ 冷凍機事業 化学事業 その他 ¥908,565 ¥86,224 ¥29,175 消去 又は全社 340 3,682 12 ¥(4,034) 計 908,905 89,906 29,187 (4,034) 営業費用 863,120 89,196 31,765 (4,155) 営業利益(損失) ¥ 45,785 ¥ 710 ¥ (2,578) 連結 ¥1,023,964 ¥ 121 1,023,964 979,926 ¥ 44,038 b. 資産、減価償却費及び資本的支出 単位:百万円 2010年 空調・ 冷凍機事業 化学事業 その他 消去 又は全社 連結 ¥874,177 ¥118,987 ¥26,675 ¥119,817 ¥1,139,656 減価償却費 28,382 10,243 1,646 40,271 資本的支出 23,985 5,669 836 30,490 資産 a. 売上高及び営業損益 単位:百万円 2009年 外部顧客に対する売上高 空調・ 冷凍機事業 化学事業 その他 ¥1,059,435 ¥101,910 ¥41,075 セグメント間の内部売上高又は振替高 計 546 4,684 15 ¥(5,245) 106,594 41,090 (5,245) 988,332 116,103 41,908 (5,317) ¥ 71,649 ¥ (9,509) ¥ (818) 連結 ¥1,202,420 1,059,981 営業費用 営業利益(損失) 消去 又は全社 ¥ 72 1,202,420 1,141,026 ¥ 61,394 b. 資産、減価償却費及び資本的支出 単位:百万円 2009年 資産 空調・ 冷凍機事業 化学事業 その他 消去 又は全社 連結 ¥103,673 ¥1,117,418 ¥857,539 ¥126,871 ¥29,335 減価償却費 29,064 13,595 2,095 44,754 資本的支出 47,896 13,300 2,402 63,598 全社資産は、主として当社の現金、定期預金、短期投資及び投資有価証券です。 注:空調・冷凍機事業は、空調機器、冷凍機器、電子システム、極低温・超高真空機器及び医療機器の各事業です。 化学事業は、フッ素化学事業です。 その他事業は、油機及び特機事業です。 61 Annual Report 2010 (2)所在地別セグメント情報 2010 年及び 2009 年3月31日に終了した会計年度における当社グループの所在地別セグメント情報は次のとおりです。 単位:百万円 2010年 外部顧客に対する売上高 日本 アジア・ オセアニア ヨーロッパ アメリカ その他 ¥409,223 ¥260,303 ¥240,632 ¥ 98,034 ¥15,772 全社 又は消去 連結 ¥1,023,964 セグメント間の内部売上高 86,375 62,758 13,490 5,680 115 ¥(168,418) 計 495,598 323,061 254,122 103,714 15,887 (168,418) 営業費用 507,448 285,075 233,533 107,978 15,243 (169,351) 又は振替高 営業利益(損失) ¥ (11,850) ¥ 37,986 ¥ 20,589 ¥ (4,264) ¥ 644 ¥ 933 資産 ¥501,672 ¥393,839 ¥208,846 ¥115,376 ¥12,294 ¥ (92,371) 全社 又は消去 1,023,964 979,926 ¥ 44,038 ¥1,139,656 単位:百万円 2009年 日本 アジア・ オセアニア ヨーロッパ アメリカ その他 ¥476,067 ¥285,746 ¥300,801 ¥124,747 ¥15,059 102,838 84,153 8,998 9,296 873 ¥(206,158) 計 578,905 369,899 309,799 134,043 15,932 (206,158) 営業費用 583,006 337,661 285,640 137,911 15,334 (218,526) 外部顧客に対する売上高 連結 ¥1,202,420 セグメント間の内部売上高 又は振替高 営業利益(損失) ¥ (4,101) ¥ 32,238 ¥ 24,159 ¥ (3,868) ¥ 598 資産 ¥507,388 ¥358,151 ¥205,505 ¥122,774 ¥10,251 ¥ 12,368 ¥ (86,651) 1,202,420 1,141,026 ¥ 61,394 ¥1,117,418 国又は地域の区分は、子会社が所在する地域によって集約されています。 (3)海外売上高 2010 年及び 2009 年3月31日に終了した会計年度における海外売上高は次のとおりです。 単位:百万円 2010年 2009年 ¥275,709 ¥301,832 ヨーロッパ 228,885 282,434 アメリカ 108,950 134,707 アジア・オセアニア その他 海外売上高計 25,440 35,389 ¥638,984 ¥754,362 19. 後発事象 2010 年 6月29 日に開催を予定している株主総会で承認されることを条件として、2010 年5月12日に開催された取締役会で 承認された決議 a. 利益剰余金の処分 2010 年3月31日現在の株主に対し1株当たり16 円、総額4,666百万円の期末配当を支払うことが承認されました。 b. 自己株式の取得 次の定時株主総会までに400 千株の自己株式 (取得総額1,800百万円)を取得することが承認されました。 62 DAIKIN INDUSTRIES, LTD. 独立監査人の監査報告書 63 Annual Report 2010 会社情報(2010年3月31日現在) 本 社 〒530-8323 大阪市北区中崎西2-4-12 梅田センタービル Tel:06-6373-4312 Fax:06-6373-4380 URL:http://www.daikin.co.jp 東京支社 〒108-0075 東京都港区港南2-18-1 JR品川イーストビル Tel:03-6716-0111 Fax:03-6716-0200 決算期 毎年3月31日 創 業 1924年10月25日 設 立 1934年2月11日 資本金 85,032百万円 発行済株式の総数 293,113千株 株主数 33,788名 大株主 日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社 日本マスタートラスト信託銀行株式会社 パナソニック株式会社 ステートストリートバンクアンドトラストカンパニー 株式会社三井住友銀行 ノーザントラストカンパニー 資産管理サービス信託銀行株式会社 ザ・チェースマンハッタンバンク バンク・オブ・ニューヨーク・メロン・コーポレーション 株式会社三菱東京UFJ銀行 関係会社 連結子会社:198社 持分法適用会社:11社 従業員数 38,874人(連結) 上場証券取引所 東京、大阪 公告方法 電子公告とし、当社ホームページ(http://www.daikin.co.jp/e-koukoku/)に掲載いたします。た だし、事故その他やむを得ない事由によって電子公告ができない場合は、日本経済新聞に掲載いた します。 株主名簿管理人 株式会社だいこう証券ビジネス 〒541-8583 大阪市中央区北浜2-4-6 64 定時株主総会 毎年6月 独立監査人 有限責任監査法人トーマツ このアニュアルレポートは、森林管理協議会(Forest Stewardship Council)が認証す る適切に管理された森林からの原料を含むFSC認証紙を使用しており、ベジタブルイン クによって水なし印刷しています。 Printed in Japan http://www.daikin.co.jp CC-A1A(10-09-003)IB