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平成24年度産業技術調査事業(技術研究組合の運営 管理
平成 24 年度経済産業省委託事業 平成24年度産業技術調査事業(技術研究組合の運営 管理のための環境整備等に関する調査) 報告書 2013 年 3 月 目次 1. 調査の概要 .......................................................................................................................... 4 1.1 調査の背景と目的........................................................................................................ 4 1.2 調査内容及び実施方法 ................................................................................................ 4 1.3 調査結果の概要 ........................................................................................................... 6 2. 技術研究組合の運営実態に関する調査 .............................................................................. 8 2.1 技術研究組合の運営実態調査 ..................................................................................... 8 2.1.1 概況調査 ...................................................................................................................... 8 2.1.2 フォローアップ調査 .................................................................................................. 12 2.1.3 事例調査 .................................................................................................................... 13 2.2 検討会議の開催、運営 .............................................................................................. 29 2.2.1 会議目的 .................................................................................................................... 29 2.2.2 議事内容 .................................................................................................................... 29 2.3 課題と解決策の整理・取りまとめ ............................................................................ 30 2.3.1 事業化課題の整理 ..................................................................................................... 30 2.3.2 監査的課題の整理 ..................................................................................................... 30 2.3.3 解決策に対する考察 .................................................................................................. 30 3. 総合的な指針の取りまとめ .............................................................................................. 31 3.1 技術研究組合の設立、運営時における課題等の整理 ............................................... 31 3.2 各種指針の取りまとめ .............................................................................................. 31 3 1. 調査の概要 1.1 調査の背景と目的 複数の企業等が共同で試験研究するための組織等を定めた技術研究組合制度は、 平成21 年の法改正(研究対象技術の拡大、大学や公的試験研究機関に組合員参加資格の明確化等) により、設立組合数がこの3カ年で倍増され、また、昨今の技術の高度化・複雑化に伴い、 共同研究の目的や技術研究組合の活用ニーズが多様化されているところ。 このような状況の中、 主務大臣の認可により設立される技術研究組合の運営実態について、 適切な管理を行うための環境整備強化が求められており、また、適切な運営管理を行うこと によって、組合内での内部管理体制の向上を図るとともに、研究開発の更なる活性化が期待 される。 本事業では、技術研究組合の実態(運営業務及び会計処理等)を把握し、把握した実態か ら技術研究組合を通じた事業化・実用化に向けた課題(事業化課題)及び最低限のスペック として技術研究組合に求める業務の健全性確保における課題(監査的課題)の抽出とその解 決策の検討を行った。それらの整理・検討を基に、設立認可する際の内部審査基準及び運営 管理マニュアル等の指針を策定することにより、継続的な運営管理や、より確実に事業化に 繋げるための環境整備を行うことを目的として実施した。 1.2 調査内容及び実施方法 (1) 技術研究組合の運営実態に関する調査 ① 調査内容 技術研究組合の運営実態を把握し、 技術研究組合を通じた事業化・実用化に向けた課題(事 業化課題)及び業務の健全性や適切性に係る課題(監査的課題)の抽出・整理を行った。 ② 調査実施方法 1)技術研究組合の運営実態調査 概況調査 現存する技術研究組合を対象に、組合の組織・事業活動・運営等の実態についてメールに よる調査を実施した。 <調査項目例> ・ 事業内容(試験研究の進捗状況を含む) ・ 組合員(法人形態・業種) ・ 役員(勤務形態、所属企業等の名称・役職、給与体制) ・ 職員(勤務形態、出向元、給与組合員負担割合) 4 ・ 予算及び決算(収入概要(組合員毎の賦課金・補助金等)、支出概要(研究費・事業 費) ) ・ 会計処理(内部統制状況、会計処理状況) ・ 総会・理事会等の結果(出席状況・議事録・審議項目)及びスケジュール ・ 規約(組合員、理事会運営、運営委員会、賦課金の分担等に関する規約等)等 フォローアップ調査 a の結果に対して、メールにより実態把握のフォローを行った。 事例調査 技術研究組合の運営実態、 課題や成功要素をより詳細に把握するため、 公開情報に基づき、 事業化・実用化に結びついた事例、事業化・実用化が近い事例、解散した事例等を対象とし た調査を実施した。 2)検討会議の開催、運営 技術研究組合の運営実態の詳細な把握及び横断的・共通的な課題の抽出・討議を行うため、 技術研究組合および経済産業省地方経済産業局を招集等した会議を開催し、その運営(日程 調整、資料準備、議事録作成等)を行った。 3)課題と解決策の整理・取りまとめ 1)及び 2)の結果を踏まえて、技術研究組合を通じた事業化・実用化に向けた課題(事 業化課題)及び業務の健全性や適切性に係る課題(監査的課題)と、これらの課題に対する 解決策の整理、取りまとめを行った。 (2) 総合的な指針の取りまとめ ① 調査内容 上記(1)の調査結果等を踏まえつつ、技術研究組合の設立、運営等における諸課題の整 理及び分析を行った。課題については、 「事業化課題」の視点(事業化・実用化を実現する ための課題)及び「監査的課題」の視点(技術研究組合の健全な運営に関する課題)の両側 面を念頭に整理を行った。 また、上記の課題を改善するための以下の指針を取りまとめた。 ・ 技術研究組合の設立に関する内部審査基準の策定に係る指針 ・ 技術研究組合の設立、運営等に係る各種マニュアルの改訂に係る指針 ・ 技術研究組合における会計処理指針の策定に係る指針 ② 調査実施方法 5 技術研究組合に関する設立認可等に関する以下の業務を実施し、 適切な運営管理を行うた めに必要な事項(試験研究内容、実施体制、会計処理、成果の取扱等)の抽出を行った。 技術研究組合の設立マニュアルの改訂検討 技術研究組合の設立を検討している者からの照会内容又は提示された申請書類(案)と、 「認可基準」及び「技術研究組合設立マニュアル」とを照合し、問題点や当該者に再検討を 求めるべき事項を抽出するとともに、マニュアル等の課題を整理した。 技術研究組合の運営マニュアルの改訂検討 技術研究組合から提示される各種届出( 「事業計画及び収支予算届出」、 「決算関係書類の 届出」 、 「規約の設定又は廃止の届出」、 「事業計画及び収支予算の変更の届出」、 「役員の氏名 又は住所の変更の届出」 )及び認可申請( 「定款の変更認可申請書」 )に関して、法律事項及 び「技術研究組合運用マニュアル」と照合し、問題点や当該者に改善・再検討を求めるべき 事項を抽出するとともに、マニュアル等の課題を整理した。 なお、指針の取りまとめに当たっては、組合の組織・事業活動・運営等の実態に精通する 専門家・有識者に意見を聴き、参考とした。 (3) 調査報告書の取りまとめ 上記より得られた成果を取りまとめた報告書を作成した。 1.3 調査結果の概要 (1) 技術研究組合の運営実態に関する調査 技術研究組合に対する調査(概況調査、フォローアップ調査)結果、事例調査結果などか ら、技術研究組合の運営実態を整理、分析した。 この結果、特に以下の点が課題として重要であることがわかった。 【事業化課題】 ・ 試験研究及び実用化の目的の明確化 ・ 組合員の役割分担など、試験研究の実施体制の明確化 ・ 試験研究を実施するための経理的基礎の確保 ・ 組合員が協同する事による効率化 ・ 迅速な事業化・実用化を実現するための、技術研究組合制度の活用 【監査的課題】 ・ 適切な会計処理 ・ 役員の属性及び人数の適正化 ・ 主要な情報の公開による透明性の確保 6 (2) 総合的な指針の取りまとめ 上記(1)の調査結果及び技術研究組合から経済産業省への提出資料(設立時の申請書類 及び設立後の各種届出資料)より、 「技術研究組合の設立に関する内部審査基準の策定」、 「技 術研究組合の設立、運営等に係る各種マニュアルの改訂」、 「技術研究組合における会計処理 指針の策定」に係る指針を取りまとめた。 7 2. 技術研究組合の運営実態に関する調査 技術研究組合の運営実態に関する調査として、①技術研究組合の運営実態調査、②検討会 議の開催、運営、③課題と解決策の整理・取りまとめを実施した。以下に実施内容を記載す る。 2.1 技術研究組合の運営実態調査 技術研究組合の運営実態調査として、①概況調査、②フォローアップ調査、③事例調査の 3調査を実施した。以下に実施内容を記載する。 2.1.1 概況調査 (1) 調査目的 技術研究組合における活動実態を把握し、現在の技術研究組合の運営における事業的課題 および監査的課題を確認するために、全技術研究組合に対して、網羅的なアンケートを行っ た。 (2) 実施内容 1)調査対象 経済産業省所管の全 54 組合(平成 24 年 10 月 1 日現在存在する 51 組合及び平成 24 年 12 月に設立した 3 組合) 。 2)調査項目 アンケートにおける質問項目は以下に関する事項である。 ① 基本に関する事項 ② 組合員に関する事項 ③ 役員に関する事項 ④ 職員に関する事項(研究員及び事務員) ⑤ 事業収支に関する事項 ⑥ 運営に関する事項 ⑦ 成果管理に関する事項 (3) 実施方法 1)事前説明会 アンケート実施に先立って、技術研究組合担当者にご参集いただき、 「技術研究組合の運 8 営状況把握に関する調査」に係る説明会を実施した。 2)実施期間 平成 24 年 11 月~12 月 3)配布・回収方法 電子メールにより配布及び回答の回収を行った。 4)回収状況 アンケートを依頼した全 54 組合から回答が得られた。 (4) 調査・分析結果 回収したアンケートについて、以下の集計・分析を行った。 1)組合の研究分野別分類 技術研究組合の研究分野は「材料」が 24%で最も多く、次いで「機械」が 20%となって いる。 9 2)参画組合員数の分布 各技術研究組合の組合員数は 46 組合が 20 以下となっている。 1 組合あたりの平均組合員は 12 となっている。 [組合数] 1組合あたり 平均12組合員が参画 [組合員数] 10 3)組合員の組織、業種等 組合員の組織分類は「大企業」が 69.4%で最も多く、次いで「中小企業」が 15.2%となっ ている。 組合員企業の業種分類は「電機」が 25%で最も多く、次いで「化学」が 23%となってい る。 組合員の組織分類 組合員企業の業種分類 総数:延べ663組合員 同一企業等が複数の組合へ参画している場合は、 それぞれを一組合員として総数を算出 「中小企業」の参加状況 ・ 中小企業が参画している組合: 31組合 全体の5 57% [=31/54組合] ・ うち、中小企業が組合員の過半数を占めている組合:8組合 全体の1 15% [= 8/54組合] 11 4)組合の事業費分布 各組合の事業費は「0~1 億円」が 17 組合で最も多くなっている。ただし、20 億円以上の 組合も 8 組合存在し、1 組合あたりの平均事業費は 7.8 億円となっている。 [組合数] 1組合あたりの 平均事業費は7.8億円 [億円] 5)研究員等人数分布 各組合の研究員等の人数は「0~10」が 21 組合で最も多くなっている。ただし、 「101 以 上」の組合も 6 組合存在し、1 組合あたりの平均研究員数は 31 人となっている。 [組合数] 1組合あたりの 平均研究員等人数は31人 [人数] 2.1.2 12 フォローアップ調査 「技術研究組合の概要」 として経済産業省ホームページに掲載されている以下の項目につ いて、 平成 25 年 1 月 1 日現在の実態についてフォローアップを行い、 情報の更新を行った。 組合名 略称 設立年月日 理事長及び組合員 事業費 事業の概要 組合設立の目的 実用化の方向性 事業化の目途の時期 2.1.3 事例調査 (1) 調査目的 技術研究組合の活動や成果などの実態を把握し、 技術研究組合の課題や成功要因を整理し た。 (2) 実施内容 現在活動中の技術研究組合及び過去に解散した技術研究組合の全てを対象として、以下を 調査した。 ① 技術研究組合の特徴と課題 ・技術研究組合の運営上の課題や工夫 ・技術研究組合の特徴や活用への期待 ・技術研究組合の解散に関わる要因 等 ② 技術研究組合に関する記事の概要 ・技術研究組合の活用動向 ・技術研究組合への着目点 等 (3) 実施方法 公開情報による。 ① 技術研究組合の特徴と課題については、ネット検索によった。 ② 技術研究組合に関する記事の概要については、新聞・雑誌記事検索によった。 13 (4) 調査結果 ① 技術研究組合の特徴と課題 【全体まとめ】 技術研究組合に関する WEB 上の文献資料により、技術研究組合の特徴と課題、関連業界 の期待、および過去の運営の分析結果について、以下が明らかになった。 a. 過去の組合の運営状況分析 吉川宗史郎氏による「鉱工業技術研究組合 40 年の推移」1では、鉱工業技術研究組合法が 1961 年に施行されてから 2001 年度までの 40 年間の組合の設立と解散等の状況を以下のよ うに分析している。 組合の設立と解散 鉱工業技術研究組合は 1961 年に初めて設立されて以来、2001 年度までに 160 組合が設立 されたが、一方、解散した組合も 114 組合に達した。これは、その制度設計が「特定の志を 共有する企業が排他的に組合を結成して特定の研究開発計画を共同して遂行し、 目的を達し た暁には解散する」前提となっているからと見られる。 組合の設立数の年度別推移を見ると、86 年度の 13 件をピークにその後長期的に減少傾向 で推移した。省庁別にみると、経済省所管の組合は 114 の設立に対して解散数も 91 あり、 2002 年 3 月での存続は 20%、23 組合にすぎない。一方、他省庁所管では設立は 44 に過ぎ ないが解散も 21 と少なく設立数の 56%、23 組合が存続していた。これは他省庁における組 合設立数の減少が経済省よりも遅くゆるやかであったこと、および後述のように、全省庁で 組合存続期間が長期化したという要因を反映していたと見られる。 組合の存続年数 同資料によれば、組合はその性格上、当初の共同研究開発計画期間とほぼ同じ存続期間で 解散しているケースが多いはずであると予想された通り、存続期間が 9~12 年度数の期間が 多かった。政府関連研究開発プロジェクトのありようの変化に対応して、組合が設立、解散 されてきたことを反映していると見られる。具体的には、80 年代は国際技術摩擦による基 礎研究ただ乗り批判もあり、基礎研究重視へと政策転換した。基礎研究から創めて実用化可 能性を見極めるまでは 10 年間が相場であり、 研究計画期間が長期化する傾向が 90 年代半ば ころまで続いた。 b. 化学産業からの期待と課題 化学工業日報 HP「増加する技術研究組合の課題と期待」2によると、技術研究組合への期 1 2 吉川宗史郎「鉱工業技術研究組合 40 年の推移」(年次学術大会講演要旨集 、2002 年 10 月 24 日) http://www.jaist.ac.jp/coe/library/jssprm_p/2002/pdf/2002-2C33.pdf 化学工業日報 HP「増加する技術研究組合の課題と期待」 (2013 年 1 月 21 日) http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2013/01/21-9790.html 14 待と課題を以下のように示している。 2009 年の鉱工業技術研究組合法の抜本改正により第3次技術研究組合ブームと呼べるよ うな活況を呈している中、化学企業は電子、バイオ、次世代プロセス技術に関連した組合を 設立、共同研究を進めている。 グローバル競争が一段と激化、東アジア企業の台頭に対し、日本の素材企業が競争力優位 を維持するには、 「競争と協調」に基づく日本企業の連携も急がれている。協調の成功例と しては、化学材料の評価を目的に設立した技術研究組合は有効に機能している。 わが国の製造企業が戦略的な知財戦略や技術・ノウハウのクローズ化を通じたグローバル 展開が迫られる中で、組合の活性化には、海外企業や外国人研究者の参加も必要だがデリケ ート問題もある。株式会社への移行も課題とされる。産業界との対話を深め、イノベーショ ンに貢献できる態勢整備が期待される。 c. 事業競争力の向上に向けた知財戦略 元キヤノン研究開発担当、国際標準担当、新規事業推進本部長、専務取締役の丸島儀一氏 による「事業競争力の向上に向けて~技術研究組合における知財戦略を中心に~」3では、 事業競争力を高め国益を実現する研究開発および知財戦略について、 技術研究組合の活用や 成功のための方策等を以下のように示している。 競争と協調のための活用 昨今のように技術の進歩が激しく、しかも複雑になってきた状態では、学際的に、幅広い 人とアライアンスをしないと目的が達成できない時代になってきており、 協調と競争が必要 になってくる。 その意味で技術研究組合は、研究成果をそのまま会社組織にして事業化でき、 また一緒に協調してグループで事業の競争力を高めることも可能になった。 必ずしも研究成 果をそのまま共同で事業を行うとは限らず、 研究開発の成果を各組合員が単独で事業化する ことでも事業の強化につながると期待される。 標準化戦略への活用 一度標準化すると、その分野は誰でも参加できることで競争力がなくなるため、標準化し てなおかつ競争力が出るようなビジネスモデルを考えた上で、何を標準化するかという、標 準化戦略が重要になる。このため、例えば大学、独法、企業が三位一体で、最初から出口ま で、そのようなことを意識して一緒に行動することが非常に大事であり、基本的には技術研 究組合とはこのようなことが可能になる制度である。税制面の恩典がある、法人格があり会 社化して事業化もでき、あるいは組合の中で自治で研究者以外の人を採用し、組合自身の機 動力を上げることもできるようになっている。 戦略的な知財形成 事業目的にかなう知財力の強化という点からすると、普通、企業の場合、事業を成功させ 3 丸島「事業競争力の向上に向けて~技術研究組合における知財戦略を中心に~」 (知財ぷりずむ、2010 年 10 月) http://www.meti.go.jp/policy/tech_promotion/kenkyuu/file/chizaiprism1010.pdf 15 ようとした知財の活動は相当の人数と資金をかけて行うが、大学や独法、あるいは技術研究 組合ができても、その中の組織だけで十分に活動できるとは考えづらい。 そこで、知財の戦略や知財の実際の権利形成活動などについては、むしろ組合に参加する 企業に参加してもらって、企業の力を利用して行う方向を取るのが良いと思われる。技術研 究組合はそういうことが可能になっていると見られる。 もちろん秘密保持契約等必要になる が、テーマに合った権利形成の専門家を採用し、そこで権利形成をすることも可能と思われ る。 共同研究成功にむけた成果配分のための評価が課題 企業側の視点から見ると、共同研究を行うのは、自分の技術力を高めるためであるととも に、事業競争力を高めるためである。この意味で、成果の配分の仕方と評価の仕方が最も重 要になる。技術研究組合の場合は、解散するとき、あるいはそのまま事業化するとき、拠出 金の額と貢献度によって最後の分配を決めるとなっている。このため、開発された技術に対 して誰がどれだけ貢献したかという貢献度が必要で、開発した、あるいは研究した成果が、 全体に対してどのくらいのウエートを持つのか、技術的な評価が重要になる。評価がないと 成果の配分ができない。 共同研究の成果の配分がスムーズにいかないと、技術研究組合にあまり関心が持たれなく なってしまうことが危惧される。これについて、技術研究組合の場合は法人なので、参加し た組合員には職務発明の規程を適用すると規定されるが、組合は発明者に相当な対価を支払 う義務が生じる場合があり、事業が成功するほどこの問題が生じる可能性も危惧される。 成果の散逸を防ぐ 技術研究組合の場合も含め、共同研究、開発を行う前に研究、開発成果、知的財産の取り 扱いを定め、技術的成果、知的財産が生まれる前に、参加各社の技術成果の配分、知的財産 の配分を定めるが、この定めを第三者に対抗する制度が必要になる。ちなみに、共同研究企 業の一つが途中で事業化を断念し撤退した場合、 その企業はライセンスを受ける必要がなく なり、特許権等の知財として第三者に売ってしまう可能性がある。たとえそれが違法であっ ても、残りの共同研究グループは、この第 3 者から攻撃された場合、事業継続が難しくなる といった不安定要素が考えられる。このように、残念ながら日本の制度は不十分である。 最後まで参加した人に、解散して自分が事業をやめても、もとのグループの事業競争力を 阻害しないようなかたちで権利を譲り渡すという約束も必要である。そうしないと、事業を やめた企業が競争相手となる第 3 者にそれを売り渡し、使うことができれば、もとのグルー プの競争力が低下してしまう、といったことが想定される。これを防ぐためには、売るとき にはもとのグループに売るようにする、また、元のグループに購入の第一優先権を与えるな ど、必要な知財が分散しないように、グループとしての強さを残す仕組みが必要と考えられ る。 オープンイノベーションで外国の企業もどんどん参加してもらうのは良いが、外国企業が ライセンス目的で参加してくることも危惧され、 参加したグループ内はオープンでグループ 外はクローズということが実現されることが望ましい。 中小ベンチャーにとっての組合活用意義 16 ベンチャーや中小企業の悩みは、特にベンチャーの場合、すばらしい技術を発明したが資 金がなく事業化するまでの研究開発の持続的な投資ができない、あるいは人材、研究設備が なく結局自力ではできないことであり、アライアンスが必要になる。そこで、大企業はベン チャーのすばらしい技術を実用化まで共同してやることによって、自分もその技術を事業化 できるチャンスがあり、ベンチャーも事業化できる。参加した大企業も、良い技術を採用し て同業より有利になる。 そういうお互いのメリットを出すことを目的に技術研究組合を組む とことは非常に大事である。 例えば、ベンチャーが基本発明を生んだとしても、事業化には程遠い状況で、技術研究組 合の制度を利用して、 事業化に必要な技術開発力をつけるのがベンチャーの成功のためには 非常に大事だと思われる。また、大企業は、税制面からも恩恵を受けられる。ベンチャーも 事業化が成功し助かり、大企業も現行事業の特許の問題も解決でき新しい事業ができ、相互 利益が可能な仕組みとして技術研究組合の活用が期待される。 ソフト IP 化の問題点 ソフト IP のねらいは、共同研究を行うグループ内の成果をグループ外にもオープンにし、 財産権化してグループ外でも使ってもらうことにある。 即ち、 「共同研究の成果を共有して、 財産権としてライセンスしてお金を得る」ことが前提になると、そもそも企業の「自分の事 業を強くしよう」という目的とは反することになることが危惧される。 ソフト IP 化により、 「差止請求権をなくして財産権化すればいいではないか」という発想 になれば、 「人がイノベーションした成果をお金を払って使えばよい」という企業が有利に なる。そうなると、日本の企業よりも、新興国等の資金力がある外国企業が有利となる可能 性もある。また、技術研究組合は共同研究をやるからには、参加した企業の技術力と事業競 争力を高めることが基本であるが、ソフト IP 化になったらリスクを取って共同研究するよ りも、成果を見て買い取ることが有利になり、技術研究組合に入るメリットがなくなると危 惧される。 共同研究は、参加した企業の技術力と事業競争力を高めて、参加した企業が十分に事業が できるという前提を置き、 その結果、 その成果を川下の事業をやる企業が活用する仕組みが、 技術研究組合を有効にするために必要であると考えられる。 d. 産総研の参画によるオープンイノベーション推進 産総研 HP「産総研が参画する技術研究組合」4によると産総研の参画によるオープンイノ ベーション推進について以下のように示している。 技術研究組合への産総研の参加が 2009 年の法改正により可能になった。これにあたり、 産総研はそのポテンシャルを活用した拠点として、研究開発、製品化、標準化等を効率的か つ効果的に進めるため、 産総研の人と場を活用するオープンイノベーション推進機能を整備 し、研究開発活動などを通じて異なる組織や人やその知が交流する、共創の場の形成を目指 している。産総研は、技術研究組合に人材や「場」を提供し、オープンイノベーション・ハ ブ機能を推進している。 4 産総研 HP「産総研が参画する技術研究組合」 (産業技術総合研究所 http://www.aist.go.jp/digbook/organization_outline/book.pdf 17 研究組織と概要、2012 年 10 月) 出所:産総研 HP「産総研が参画する技術研究組合」 図 2-1 産総研の技術研究組合への参画(イメージ) なお、産総研が参画している 18 技術研究組合は以下の通りである。 ・ 太陽光発電技術研究組合 ・ 技術研究組合 BEANS 研究所 ・ 技術研究組合リチウムイオン電池評価研究センター ・ 技術研究組合 FC-Cubic ・ 技術研究組合次世代レーザー加工技術研究所 ・ 技術研究組合次世代パワーエレクトロニクス研究開発機構 ・ 技術研究組合単層 CNT 融合新材料研究開発機構 ・ エピゲノム技術研究組合 ・ 基準認証技術研究組合 ・ 幹細胞評価基盤技術研究組合 ・ 技術研究組合光電子融合基盤技術研究所 ・ 次世代化学材料評価技術研究組合 ・ 次世代プリンテッドエレクトロニクス技術研究組合 ・ 次世代天然物化学技術 ・ 技術研究組合 NMEMS 技術研究機構 ・ 技術研究組合制御システムセキュリティセンター ・ ファインセラミックス技術研究組合 ・ ミニマルファブ技術研究組合 18 ②各技術研究組合に関する記事の概要 【全体まとめ】 技術研究組合に関する新聞・雑誌等の報道記事において、2009 年の法制度改正の効果を 中心に、同組合による特徴的な機能について以下が着目されていると見られる。 事業化の促進 a. 共同研究開発から事業化を目指すため、法人格を持ち、税負担の軽減、事業会社に改組で きる等の多くの有利な面を持つ仕組みとして、技術研究組合が利用されつつあるという報道 が見られる。関連する記事の概要を以下に示した。 ・ 地球環境産業技術研究機構(RITE)と住友ベークライトは、トウモロコシの茎や稲 わらなど非食用植物からフェノール樹脂を作る研究を始める際、2 社共同で「グリー ンフェノール・高機能フェノール樹脂製造技術研究組合」を設立した。同組合では実 用的な技術開発に取り組み、3 年後にパイロットプラントで製造し、品質の確認や量 産性を見極めたうえで、同組合を事業会社に改組することを検討している。 (日本経 済新聞、10.7.5) ・ 人工衛星などを開発するウェルサーチは人工衛星打ち上げ実績を持つソフト開発の ソランなど 5 社と協力し、宇宙開発事業を手掛ける「スペースランド技術研究組合」 を設立した。組合化することで、法人格を持てることや税負担の軽減など多くの利点 があり、事業化につなげやすい。また、組合では、人工衛星を同時に製造できる施設 を建設し、投資ファンドの設立やスポンサーを募集し、民間からの受注を目指す。 (日 本経済新聞、10.4.13) ・ 出光と RITE は「バイオブタノール製造技術研究組合」を設立し、稲わらやトウモロ コシの茎など非食物系の植物繊維を糖に変え、RITE が開発した遺伝子組み換えの培 養槽に入れて生産することを目指す。計画では大量の微生物の培養法研究等により量 産技術を開発し、事業会社への改組も検討する。 (日本経済新聞、10.8.14) ・ 新日本石油(現 JX 日鉱日石エネルギー)や東レ、トヨタ自動車などが発足させた「バ イオエタノール革新技術研究組合」は各地で栽培した非食用のセルロースを集め、従 来のトウモロコシのような食料を競合する原料以外での生産技術に挑む。JX 日鉱日 石エネルギーは成果をふまえ 16 年に事業会社を設立、20 年にはエタノールを年 20 万 kl 生産する体制を築く予定。 (日経産業新聞、10.7.28) ・ 海外水循環ソリューション技術研究組合(GWSTA)は、先進の水循環システムの実 証や水事業運営・管理ノウハウの蓄積を通して地域に適した省エネ・低コスト型水循 環ソリューションの構築・事業化を目的としている。技術研究組合は法人格を持って いるため資産登記や銀行取引が可能なため大型の研究開発に適しており、 将来は会社 組織(SPC)に改編して事業化を進めることができる。現在、GWSTA を設立した 2 社(東レ、日立プラントテクノロジー)に水道機工を加えた 3 社が事業を進めている。 (産業と環境、2012.9) 19 企業間連携の促進 b. 国際競争力強化に向け、研究開発から事業運営も含めた企業間連携・協調を促進するため の仕組みとして、技術研究組合が活用されていることを示す記事が着目される。関連する記 事の概要を以下に示した。 ・ グローバル競争の激化、東アジア企業の台頭に対抗し、日本の素材企業が競争力を優 位に維持するには、 「競争と協調」に基づく日本企業の連携も急がれている。協調の 成功例では、化学材料の評価を目的に設立した技術研究組合は有効に機能している。 (化学工業日報、13.1.21) ・ 海外では石油精製と石油化学の垣根はほとんどない。石油・化学産業に詳しい橘川武 郎等・一ツ橋大学大学院教授は「日本では縦割り行政が石油化学と石油精製がバラバ ラのコンビナートを生んだ」と解説する。2000 年にスタートした石油コンビナート 高度統合運営技術研究組合(RING)事業は、石油精製、石油化学の垣根を越えた事 業連携に補助金を支給するもので、各地でコンビナート内の連携が加速した。(日経 産業新聞、11.1. 1) ・ 石油コンビナート高度統合運営技術研究組合(RING)の竹内敬三理事長(JX 日鉱日 石エネルギー副社長)は、RING 事業の 10 年を振り返った評価として、 「私は日石三 菱(現 JX 日鉱日石エネルギー)に在籍し、ジャパンエナジー(同)や三菱化学、旭 化成と連携して水島地区 4 社の RING 応募などに当たった。水島の各社は取り分をど うするかという綱引きではなく、まず技術者同士で何ができるか話したのが良かった。 ほかの RING 各社とも情報を共有し、企業間連携の重要性を認識できた」としている。 (日経産業新聞、11.1. 7) ・ 製油所の競争力強化に向けて、石油コンビナート高度統合運営(技)のもとで、水島 港を隔てた製油所・石化事業所管の統合一帯運営を追及しており、液化石油ガスから 自家燃料油重油まで幅広い留分の相互融通の促進に向け、現場レベルでの協議を重ね ている。 (化学工業日報、11.07.28) ・ キャパシター市場で一つ抜け出した製品を安定供給するためには、素材や電子部品、 装置メーカーの協力が不可欠という考えから、次世代 LIC 総合(技)は設立された。 キャパシターは素材開発と組み立て技術により性能が大きく左右され、素材メーカー と、材料の選定・改良から製品化までの技術力を持つ電子部品メーカーの協力が必要 である。 (日刊工業新聞、10.10.06) c. 産学官連携の促進 技術研究組合法が改正されて、大学や公的研究機関、研究独立行政法人が営利企業と技術 開発組合を作ることが可能になり、産学官連携による共同研究を効率よく進め、その成果の 事業化を目指す事例を示す記事に着目できる。関連する記事の概要を以下に示した。 ・ 産学連携による共同研究を効率よく進め、研究成果の事業化を促す新たな技術研究組合 が動き出した。制度改正により、企業間だけでなく、大学と企業、企業と研究独立行政 法人・公的機関との共同研究が可能になり、新制度の活用として工業分野だけでなく、 農業や食品、衣料面での成果も注目される。農林水産分野での第 1 号として、「農林水 産・食品産業マイクロ・ナノバブル技術研究組合」が農水省の専管として初めて認可さ 20 れた。関連企業 13 社で構成し、大学など専門機関とも協力して研究開発を進め、実用 化を目指す。新たな研究組合には法人格があり、研究開発を終えたあとは株式会社や合 同会社に組織を転換し、得られた研究成果を順次事業化していくこも可能で、成果の実 用化が早まることが期待される。(日本農業新聞、10.4.11) ・ 地球環境産業技術研究機構(RITE)と住友ベークライトは、2 社で構成される「グリー ンフェノール・高機能フェノール樹脂製造技術研究組合」を設立。技術研究組合法が改 正されて、公的研究機関が営利企業と技術開発組合を作ることが可能になった。この制 度改正を利用する形で、 このたび両社が組合を共同設立する。 (日経バイオテク、10.4.26) ・ トヨタ自動車や新日本石油、三菱重工業など国内大手 6 社が参加する「バイオエタノー ル革新技術研究組合」は、大型ススキなどの植物から 18 年度までに 1 リットル 40 円程 度でバイオ燃料を作れる製造プロセスの完成を目指している。東京大学などの研究機関 とも協力。 (日経産業新聞、10.4.23) d. 大学発ベンチャーの促進 研究に没頭しがちな大学発ベンチャー(VB)が、収益重視の一般企業と役割分担するこ とで、事業化による投資回収を図り、企業として成長軌道に乗ることを促進する効果が期待 されるという報道に着目できる。関連する記事の概要を以下に示した。 ・ 大学発ベンチャーの多くは、特定分野の技術に強くても、実際の製品に落とし込むノウ ハウや営業力が不足している。 このような課題克服の早道としてノウハウを持つ企業と 組むことであり、そのためのツールとして技術研究組合の活用が広まりそうである。ま ず、組合名義で特許などの権利取得や商談を進められるため、将来のトラブルになりが ちな共同研究の成果について権利関係が明確にできる。大学発 VB をバックアップする 母体の大学研究機関も組合に参加可能であり、特定の研究テーマを切り出して新事業会 社を作るのも簡単である。大学発 VB は 2008 年度だけで 162 社が廃業し、同年度の新 規設立の 3 倍に上ったが、 研究に没頭しすぎて事業化による投資回収が遅れたケースが 目立った。技術研究組合は、収益重視の一般企業と組合の中で役割分担しながら成長を 目指せるので、研究重視の VB でも使いやすい内容になっている。(日本経済新聞、 10.3.24) e. 中小企業による制度活用 技術研究組合は、これまで大企業の利用が中心であったが、大学発ベンチャーが中心とな り中小企業多数が参画する事例も生まれるという報道もあり、今後の中小企業による同制度 の活用が期待される。関連する記事の概要を以下に示した。 ・ 香川大学発ベンチャーの自然免疫応用技研は、食品関連の中小などと共同研究を進める 「自然免疫制御技術研究組合」を立ち上げ、同大・徳島文理大学院教授らの研究を事業 化する。前進の任意団体に加盟していた約 60 の企業や団体も順次組合に加わる予定。 事業化に近づいた研究テーマは組合から切り出して関連する企業の出資を募り、 事業会 社にすることを検討する。技術研究組合は、これまで大企業の利用が中心で、中小の活 用は珍しい。 (日本経済新聞、10.3.24) 21 ・ 一辺が数十センチメートルの超小型衛星「ほどよし」は、東大教授の中須賀らが中小企 業を集めて設立した次世代宇宙システム技術研究組合がまず4基を計画、 1号は地球観 測用で今年(2012 年)12 月にロシアから打ち上げる。(日本経済新聞電子版、12.7.20) 標準化促進 f. 日本の産業の国際競争力強化の観点からも、 標準化活動で日本がリードしていくことが重 要であるが、技術研究組合は関連する業界の標準化活動の実施主体となり、標準化を促進し ていることを示す記事が着目される。関連する記事の概要を以下に示した。 ・ 太陽電池産業の主導権を日本が再び握れる状況になってきた。その武器に位置付けるの が長期信頼性で、日本が世界トップクラスの技術力を有している。そのための品質規格 の策定でも先駆けている。産業技術総合研究所と太陽光発電技術研究組合では、太陽電 池モジュールの設計や製造、性能保証に関する要求事項に関する規格「JIS Q8901」 を策定した。 (化学工業日報、12.12.4) ・ スマートシティ産業は市場ポテンシャルが 2030 年までの累積で 4000 兆円に上ると見ら れるが、 都市の社会インフラそのものであるため、 国際標準の持つ意味が極めて大きい。 基準認証イノベーション技術研究組合(IS-INOTEK)は 2011 年 10 月、 「スマート都市 インフラ評価指標」の企画を作ることを国際標準化機構(ISO)に対して提案した。 IS-INOTEK が「フラッグシップ」 (同組合戦略委員会委員長)と位置付け、日本発の世 界標準にしていく意気込みである。 (Nikkei Ecology 11.06.15) g. 大学・研究機関の研究開発・知財管理マネジメントの向上 産学が参加する技術研究組合の運営を通じて、大学や研究の知的財産管理マネジメントに 企業流の方法が取り入れられ、特許化が促進され、研究開発効率が向上した事例を示す記事 が見られる。関連する記事の概要を以下に示した。 ・ 大学や研究所、企業など約 30 機関が参加する BEANS プロジェクトは企業流の研究開 発方式を徹底的に取り入れている。参加企業が中心となって設立した技術研究組合 BEANS 研究所に置かれた本部が研究の進捗状況のチェックや知財管理などのマネジメ ント全般を担う。企業では一度目標を設定したら、定期的に進捗を確認するのは当たり 前で、論文発表より特許出願を優先するのも常識である。BEANS では学会や論文で成 果を発表する前に必ず本部に届け出て特許出願を確認することを義務付けた。この成果 が出ており、特許出願数はプロジェクト期間の半分が経過した時点で 60 件に達した。 特許 1 件に必要な開発費も大手電機メーカー並みに抑えられている。 「センター同士で 互いに進捗を競い合うなど、研究者が開発の成果とコストを意識するようになった」と される。 (日経産業新聞、11.1.5) h. 研究開発以外の特徴的な機能 技術研究組合は、企業の製品・サービスの開発に加え、ホワイトスペース特区を利用した 放送ビジネス展開や、テストベッドによるセキュリティ検証など、ユニークな目的での活用 という報道がある。 22 ・ ホワイトスペース特区を利用した放送ビジネス展開 総務省のホワイトスペース特区の認可を受けている「技術研究組合畜産工業雇用推進 機構」 が設立した銀河放送が 2012 年の 10 月の開局に向けて準備を進めている「GINGA TV」は、アニメ専門チャンネルとしてスタートすることを決定したと発表した。アニ メ作品の放送のほか、例えばニュースや地域情報、また教育コンテンツを、アニメも しくはアニメと実写を融合した形の番組として放送する。(日経ニューメディア、 12.6.18) ・ テストベッドによるセキュリティ検証等 経済産業省は発電所や工場といった重要インフラに仕掛けられた標的型サイバー攻 撃に対する制御システムの堅牢性を評価する「セキュリティ検証施設(テストベッ ド) 」を宮城県に設置する。インフラ制御システムの検証モデルを構築し、テストベ ッドからのサイバー攻撃を行い、セキュリティ性能を実証する。(日刊工業新聞、 12.3.20) ・ 産業技術総合研究所と日立製作所など民間企業 8 社が運営する技術研究組合制御シス テムセキュリティセンターを発足させた。同センターの役割は、制御システムのセキ ュリティ技術研究や普及、人材育成と製品の安全性に関わる国際規格の相互認証など の範囲に限定される。(WEDGE、12.9.20) ・ 海外水循環ソリューション技術研究組合(GWSTA)は、NEDO 委託研究「省水型・ 環境調和型水循環プロジェクト」の一つとして北九州市との官民連携で「ウォーター プラザ」事業を実施している。同事業では、地域にある各種水資源を有効に組み合わ せた省エネルギーで環境にやさしいソリューションの提供、実績ある日本の膜技術を 中心とした水循環技術のプラントショーケースのほか、各種水資源の有効活用に必要 な先進技術を開発するテストベッドを提供することを目的にしている。 (産業と環境、 2012.9) ・ 先進技術開発の評価基盤として 経済産業省と文部科学省はポストリチウムイオン 2 次電池(LiB)となる次世代蓄電 池の早期実用化に向け、産学連携の推進体制を強化する。技術研究組合リチウムイオ ン電池材料評価研究センター(LIBTEC)の機能を大幅に拡充し、全固体電池やリチ ウム空気電池に対象を広げ、官民一体の研究開発拠点として高機能な新規材料の開発 と最適な組み合わせを検討し、次世代蓄電池の実現を目指す。LIBTEC は LiB 材料評 価拠点として発足し、次世代蓄電池共通の材料評価基盤を構築する。 (化学工業日報、 12.11.26) ・ 次世代インフラ整備の先導 燃料電池車(FCV)の普及にはインフラの水素ステーション整備が不可欠であり、日 本は 2015 年に 100 ヵ所の水素ステーション建設に向け、 国が建設費の 1/2 を補助する。 現在全国に 12 ステーションで実証を進めている水素供給・利用技術研究組合 (HySUT)が、100 ヵ所を新設する第 1 弾として 3 月に商用規模 3 ステーションを立 23 ち上げる。 (時報 PV+、13.3.15) ・ グローバル競争を化学メーカーが生き抜くための省エネの突破口を見出そうとする動 きとして、コンビナート各社は石油コンビナート高度統合運営(技)などを通じ、主 にパイプライン敷設など連携基盤となるハード面の整備を進めてきた。 (化学工業日報、 13.03.12) 24 【主な各技術研究組合別記事一覧表】 (注)上記本文に示した記事は除く。 技術研究組合(技) ソース(時期) 関連部分の概要 バイオテクノロジー開発(技) 日本情報産業新聞(12.12.3) 新日鉄住金ソリューションは、バイオテクノロジー開発(技)等と共同で、ITを活用したアルツハ イマー病の早期診断(先制医療)に向けた実証実験を行う。 バイオテクノロジー開発(技) 日刊工業新聞(12.10.26) NEDOはIT融合プロジェクトとして4分野18件を採択。バイオテクノロジー開発(技)等による「脳 卒中・臨床・ITの融合によるアルツハイマー病超早期診断と先制医療」が含まれる。 バイオテクノロジー開発(技) 科学新聞(09.05.01) NEDOはアルツハイマー病(AD)の発症・進行を客観的に評価する手法を確立するため、バイオ テクノロジー開発(技)に委託し、研究開発プロジェクトを実施。 バイオテクノロジー開発(技) FujiSankei Business i(09.04.25) NEDOはバイオテクノロジー開発(技)に委託し、アルツハイマー病(AD)総合診断体系実用化 プロジェクトを推進している。 バイオテクノロジー開発(技) 化学工業日報(05.05.12) 経産省はバイオテクノロジー開発(技)で植物機能を活用した高度モノ作り基盤技術開発の植 物利用高付加価値物質製造研究プロジェクトを実施。 ファインセラミックス(技) 日経ものづくり(10.04) ファインセラミックス(技)、産総研などが参画する、NEDOの「セラミックリアクター開発」プロジェ クトの一環として、出力200W級の個体酸化物型燃料電池(SOFC)モジュールを試作した。 ファインセラミックス(技) ガスエネルギー新聞(09.09.23) 産総研、ファインセラミックス(技)、日本特殊陶業などが共同で、個体酸化物形燃料電池 (SOFC)のマイクロチューブ型高集積化モジュールを開発した。 ファインセラミックス(技) 日刊自動車新聞(09.09.14) 産総研、ファインセラミックス(技)、日本特殊陶業などが共同で、車載可能なマイクロチューブ 型個体参加物形燃料電池(SOFC)を集積したモジュールの作製・評価技術を確立した。 ファインセラミックス(技) 日経新聞(09.09.11) 日本特殊陶業と東邦ガスはファインセラミックス(技)と共同で、燃料電池を使った新しい発電 装置を開発した。 ファインセラミックス(技) 化学工業日報(09.08.17) 産総研は、ファインセラミックス(技)の協力を得て、ジルコニア電解質を用いた低温作動型燃 料電池を開発した。 太陽光発電(技) 日刊工業新聞(12.09.25) 太陽光発電(技)理事長の桑野氏は80年に世界初「集積型アモルファスシリコン太陽電池」の 工業化に成功。 太陽光発電(技) 産業と環境(12.07.01) 太陽光発電(技)は産業界と大学・公的研究機関が産官学連携を組んで太陽光発電技術開 発のプログラム推進を担っている。 太陽光発電(技) 産業と環境(12.03.02) 太陽電池モジュールのリサイクルに対する技術開発がNEDOにより実施されている。太陽光発 電(技)らが参画。 食肉生産(技) 日本農業新聞(10.09.23) 農研機構・生研センターは民間実用化研究促進事業の募集で、4件の課題を採択した。食肉 生産(技)の「豚ロース・バラロボットに脱骨システム」が含まれる。 機能性木質新素材(技) 日刊木材新聞(08.01.08) ウッドワンの技術開発部は、機能性木質新素材(技)のプロジェクト「ウッドセラミックス面状発 熱体の開発」に参加し、ヒーター等への応用が模索されたが、商品化には至らなかった。 (技)超先端電子技術開発機構 日本情報産業新聞(10.03.01) (技)超先端電子技術開発機構と住商情報システム、NECらは仮想サーバーでの安全な業務 システム環境を実現する「セキュア・プラットフォーム」の実証実験に成功した。 (技)超先端電子技術開発機構 日経産業新聞(10.02.17) NEDOは当初の計画より研究成果があがっているプロジェクトに追加投資することを決めた。 (技)超先端電子技術開発機構の「IT機器の省エネルギー・二酸化炭素削減する半導体3次 元デバイス」が含まれる。 電子商取引安全(技) 日本情報産業新聞(12.01.01) 電子商取引安全(技)理事長 平松雄一氏の新年の挨拶 石油コンビナート高度統合運営(技) 化学工業日報(12.01.23) 岡山県倉敷市で開催された「コンビナート連絡会議」において、石油コンビナート高度統合運営 (技)主幹が座長となる分科会で、企業だけではなく地域、国への貢献と視点が必要とし、マ ザー工場として位置づけるなどコンビナートごとに特色ある発展を考えるべきとまとめられた。 石油コンビナート高度統合運営(技) 石油通信(11.06.06) 昭和四日市石油ならびに三菱化学は、石油コンビナート高度統合運営(技)が公募した「平成 23年度コンビナート連携石油安定供給対策事業」に選定された。 石油コンビナート高度統合運営(技) 日経産業新聞(11.01.05) 千葉コンビナートでは石油やガスではなく、企業間で水素をやりとりする広域的なパイプライン が誕生した。これは石油コンビナート高度統合運営(技)事業として09年度に完成。 フリーゲージトレイン(技) 日経産業新聞(12.0427) フリーゲージトレイン(技)は新幹線の車体軽量化の技術開発を進めている。 フリーゲージトレイン(技) 日経新聞(11.06.28) フリーゲージトレイン(技)はフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)の走行試験を四国の予 讃線で始めた。 フリーゲージトレイン(技) 日経新聞(08.05.30) JR九州、JR西日本、鉄道メーカーなどと「フリーゲージトレイン技術研究組合」を2002年に結 成。 次世代半導体材料(技) Electronic Journal(11.12) 日本半導体産業は、まず79年に超LSI技術研究組合を立ち上げ、これが80年代の日本半導 体産業の黄金期に貢献したとされるものが、その後次世代半導体材料(技)等、国プロやコン ソーシアムを作り続けた。 次世代半導体材料(技) 化学工業日報(10.01.27) 住友ベークライトは次世代半導体材料(技)のプロジェクトに参画しており、塗布系の低誘電率 層間絶縁膜材の開発を進めている。 次世代半導体材料(技) 化学工業日報(09.09.09) 三菱化学は半導体材料事業の再強化を図るための開発の一環として、次世代半導体材料 (技)にも新たに参画した。 バイオエタノール革新(技) 日刊工業新聞(12.10.08) バイオエタノール革新(技)は第2世代のバイオ燃料としてセルロース系バイオエタノールの製 造技術の確立を目指している。 バイオエタノール革新(技) 化学工業日報(12.01.10) バイオエタノール革新(技)は、多収量草本植物を原料としたバイオエタノール一貫生産プロセ スの実用化を目指し、年産能力25キロリットルのベンチプラントを完成させた。NEDOから「セル ロース革新的生産システム開発事業」を受託し、本格的な実証試験を開始する。 25 【主な各技術研究組合別記事一覧表】(つづき) 技術研究組合(技) ソース(時期) 関連部分の概要 バイオエタノール革新(技) 時報PV(11.10.15) バイオエタノール革新(技)は、参加企業が大学、農水省関係研究機関と連携して、バイオマ ス原料を前処理して酵素糖化、発酵し、濃縮脱水して製品化するプロセスを開発する。 バイオエタノール革新(技) 日経産業新聞(11.09.27) バイオエタノール革新(技)は、牧草と非食用イネ科植物といった原料から酵素を使って糖を取 り出し発酵させて燃料をつくる。年間20万キロリットル生産できる技術を15年度までに確立す る。 バイオエタノール革新(技) 日経産業新聞(11.09.02) バイオエタノール革新(技)は非食用植物から糖を取り出し、発酵させて燃料をつくる実証試験 を来年をメドに開始。 (技)BEANS研究所 日刊工業新聞(12.07.10) 東芝、(技)BEANS研究所、東大は共同で、次世代以降の半導体向けフォトマスクの描画・修 正技術を開発した。 (技)BEANS研究所 Electronic Journal(11.06.01) (技)BEANS研究所が中心となりNEDOから受託を受け、MEMS技術とナノ/バイオ技術を融合 した新しい次世代デバイスのためのプロセス技術の開発とプラットフォームの確立を目指す。 (技)BEANS研究所 日経新聞(11.01.24) (技)BEANS研究所に参加する九大とパナソニック電工、リンテックの産学チームは、シートの ように軽い新型太陽電池の性能を高められる基盤技術を開発した。 (技)BEANS研究所 日経産業新聞(11.01.04) (技)BEANS研究所の目的はMEMS技術とナノ・バイオ技術の融合で革新的なデバイスの製造 技術を開発すること。 触媒(技) 日刊工業新聞(11.11.18) 触媒(技)や三総研、北海道大学などが参加する研究グループは、ナフサ分解に使うゼオライ ト触媒をナノメートルサイズに微細化することで、触媒活性が低下しにくく、有用成分をより多く 得られるプロセスを開発した。 触媒(技) 化学工業日報(09.08.19) NEDOが立ち上げる産学官プロジェクト「触媒を用いる革新的ナフサ分解プロセス基盤技術開 発」の研究チームに触媒技術研究組合が参加する。 触媒(技) 日刊工業新聞(09.06.19) 住友化学らは、ナフサを触媒で接触分解するプロジェクトを立ち上げ、触媒(技)を母体に研究 開発を進める。 (技)次世代パワーエレクトロニクス研 科学新聞(11.03.11) 究開発機構 つくばイノベーションアリーナ・ナノテクノロジー拠点(TIA-nano)は、(技)次世代パワーエレクト ロニクス研究開発機構ら7団体と連携体制を構築する「TIA-nano推進協議会(仮)」の設置に 関する覚書に合意した。 (技)次世代パワーエレクトロニクス研 日刊自動車新聞(09.09.01) 究開発機構 三菱電機、日立製作所、東芝等9社は「(技)次世代パワーエレクトロニクス研究開発機構」を 設立し、NEDOから研究受託し「次世代パワーエレクトロニクス技術開発(グリーンITプロジェク ト)」の研究開発を開始した。 次世代パワーデバイス(技) NIKKEI ELECTRONICS(11.08.22) 次世代パワーデバイス(技)は、耐圧が1.7kVと高いGaN系パワー素子を「ISPSD2011」で披露 した。 次世代パワーデバイス(技) NIKKEI ELECTRONICS(09.07.27) 古河電気工業と富士電機アドバンストテクノロジーの研究グループは、GaN系パワー素子の実 用化を目的に、「次世代パワーデバイス(技)」を発足させた。 次世代パワーデバイス(技) 日経産業(09.06.23) 富士電機HDと古河電気工業は「次世代パワーデバイス(技)」を設立、窒化ガリウム(GaN)を 使ったパワー半導体の実用化を目指す。 水素供給・利用(技) 日経新聞(13.01.26) 業界横断組織、水素供給・利用(技)理事長は、次世代インフラ構想はまだ先行投資の段階と 語る。 水素供給・利用(技) 電気新聞(12.10.04) 水素供給・利用(技)は関西国際空港で燃料電池(FC)バスの走行実証を行う。 水素供給・利用(技) 日刊自動車新聞(12.08.08) 水素供給・利用(技)は水素ステーションの建設費を現在の4分の1となる2億円まで引き下げ る。 水素供給・利用(技) 日刊自動車新聞(12.07.27) 水素供給・利用(技)は国内初の商用仕様となる水素ステーション3施設を年度末までに稼動 させ、設置や運営にかかる費用の削減ノウハウを蓄積する考え。 (技)光電子融合基盤技術研究所 科学新聞(12.12.07) (技)光電子融合基盤技術研究所は、超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術 開発をスタートさせた。 (技)光電子融合基盤技術研究所 ロサンゼルスで開催された光ファイバ関連の学会で、日立製作所が開発した光インターコネク NIKKEI ELECTRONICS(12.10.01) ト・モジュールを展示。これにはNEDOの委託を受けて(技)光電子融合基盤技術研究所におい て実施した研究成果も含む。 (技)光電子融合基盤技術研究所 NIKKEI ELECTRONICS(11.07.11) Siフォトニクスなどの開発組織「PETRA」((技)光電子融合基盤技術研究所)などが採用する のは豊富な実用化例のあるMZ型変調器である。 (技)光電子融合基盤技術研究所 科学新聞(10.03.19) 最先端研究開発支援プログラムに採択された30人の研究者に配分額決定。(技)光電子融合 基盤技術研究所が支援するものも含まれる。 産業用超電導線材・機器(技) 電気新聞(12.05.02) 富士電機、九州大学、産業用超電導線材・機器(技)は、イットリウム系超電導モーター実現 のカギとなる大型コイルの実証に成功した。 産業用超電導線材・機器(技) 日経産業(11.02.16) 超電導線材の量産技術の事業化を推進する産業用超電導線材・機器(技)は、鉛や重機の モーター、コンピューターデータセンターや科学プラントなどが使う直流送電システムなど超電 導の用途拡大を図る。 産業用超電導線材・機器(技) 電気新聞(10.11.09) 産業用超電導線材・機器(技)、九州大学等が主催する、先進高温超電導線材の開発と機器 応用に関する国際会議が開催された。 産業用超電導線材・機器(技) 日刊産業新聞(10.3.19) NEDOはイットリウム系複合材料の開発の委託先について、産業用超電導線材・機器(技)な どを決定した。 分子動力学抗体創薬(技) 薬事日報(10.03.12) 総合科学技術会議は「最先端研究開発支援プログラム」の研究計画を決定した。分子動力学 抗体創薬(技)による「癌の再発・転移を治療する多機能な分子設計抗体の実用化」も含まれ る。 農林水産・食品産業マイクロ・ナノバ 化学工業日報(10.02.19) ブル(技) マイクロ・ナノバブル含有水の応用技術の開発に向け、「農林水産・食品産業マイクロ・ナノバ ブル(技)が設立された。 グリーンフェノール・高機能フェノール 化学工業日報(10.12.09) 樹脂製造(技) 地球環境産業技術研究機構と住友ベークライトが設立した「グリーンフェノール・高機能フェノー ル樹脂製造(技)」は、高効率でグリーンフェノールを生産するための実用化研究に着手した。 26 【主な各技術研究組合別記事一覧表】(つづき) 技術研究組合(技) ソース(時期) 関連部分の概要 スペースランド(技) 日刊建設工業新聞(10.11.17) スペースランド(技)は茨城空港隣接地に小型衛星の製造から打ち上げまでに対応するインフ ラを備え、宇宙関連のテーマパークなども併設した航空宇宙産業の拠点エリア「スペースラン ド」の整備を構想。 次世代宇宙システム(技) NIKKEI ELECTRONICS(13.01.07) 東京大学や次世代宇宙システム(技)らは共同で「ほどよし1号」に開発を進めている。一辺が 60cm、重さが60kgの地球観測衛星である。 自然免疫制御(技) 科学工業日報(11.10.24) 自然免疫制御(技)の主催で自然免疫のシンポジウム開催。 自然免疫制御(技) 薬事日報(11.09.02) NEDOはイノベーション推進事業として47件の助成を決めた。自然免疫制御(技)による「酢酸 菌発酵技術糖脂質製造による花粉症予防素材の開発」も含まれる。 自然免疫制御(技) 薬事日報(11.03.07) 自然免疫制御(技)は経済産業省の認可を受け、四国では初めて設立された。 自然免疫制御(技) 日刊工業新聞(10.06.14) 四国経済産業局は特定研究開発等計画の28件を認定した。自然免疫制御(技)による「酢酸 菌発酵技術糖脂質製造による花粉症予防素材の開発」も含まれる。 自然免疫制御(技) 日刊工業新聞(10.09.09) かがわ産業支援財団は「かがわ農商工連携ファンド」支援対象事業7件を決定した。自然免疫 制御(技)による「保湿とスキンケアに優れた糖脂質強化機能性オリーブオイル(ザ・パントケ ア・オリーブオイル)の開発」も含まれる。 海外水循環ソリューション(技) 化学工業日報(12.08.23) 海外水循環ソリューション(技)は、NEDOと北九州市の協力を得て、同市日明浄化センターに 「ウォータープラザ北九州」を開設。下水・海水の統合処理を商業規模で実証。 海外水循環ソリューション(技) 化学工業日報(11.04.12) NEDOは北九州市の協力の下、海外水循環ソリューション(技)に委託して国内初の海水淡水 化・下水再利用統合システム「ウォータープラザ北九州」の稼動及び生産水の供給を開始。 (技)リチウムイオン電池材料評価セ 日経産業新聞(11.02.07) ンター (技)リチウムイオン電池材料評価研究センターは、材料の評価方法などを統一し、電池メー カーに材料の性能をアピールしやすくすることを狙う。 次世代LIC総合(技) 日刊工業新聞(10.10.05) 次世代LIC総合(技)は従来比約5倍のエネルギー密度を持つキャパシター(自動車の急速な 加速、変動の大きな自然エネルギー発電の平準化などに役立つ)の開発を目指す。 次世代LIC総合(技) 日経産業新聞(10.09.08) JSR、東京エレクトロン、イビデンの3社は次世代蓄電装置のリチウムイオンキャパシタの共同 開発を始めるため、次世代LIC総合(技)を設立。従来のリチウムイオン電池に比べ、急速に充 放電できる特徴を生かしながら、蓄電性能を向上させた装置の開発を目指す。 複合材料体内医療用具(技) 薬事日報(10.07.28) NEDOはイノベーション推進事業の助成先を86件決めた。複合材料体内医療用具(技)による 「先進複合材料を用いた非金属人工股関節の前臨床評価」も含まれる。 (技)農畜産工業雇用推進機構 映像新聞社(11.02.14) ホワイトスペース特区に(技)農畜産工業雇用推進機構など複数が選定された。 (技)農畜産工業雇用推進機構 日経ニューメディア(11.02.07) (技)農畜産工業雇用推進機構はホワイトスペース推進会議で、東京秋葉原と大阪日本橋を 特区とする提案を行った。 (技)次世代レーザー加工技術研究 所 電気新聞(11.07.07) 技術研究組合次世代レーザー加工技術研究所理事長が「光・レーザー技術による新産業創 成」をテーマに特別講演。 超低電圧デバイス(技) 日刊工業新聞(13.01.15) 超低電圧デバイス(技)は消費電力が従来比10分の1以下と小さく、高速で動く固体記憶装置 (SSD)向け不揮発性メモリーの相変化デバイスを開発した。 超低電圧デバイス(技) 日刊工業新聞(12.12.12) 超低電圧デバイス(技)は、ロジック高密度集積回路(LSI)混載のキャッシュメモリー向けにス ピン注入型高性能磁気抵抗メモリー「STT-MRAM」を開発した。 超低電圧デバイス(技) 日経産業新聞(12.06.20) 超低電圧デバイス(技)は、回路をいつでも書き換えられる大規模集積回路(LSI)の消費電力 を70%減らす新技術を開発した。 超低電圧デバイス(技) 化学工業日報(12.01.05) 超低電圧デバイス(技)は、LSIの低電力化に向けたデバイス開発を加速する。 超低電圧デバイス(技) 日刊工業新聞(11.12.08) 超低電圧デバイス(技)は、配線や回路を柔軟に切り替えて動作を最適化する再構成可能LSI に組み込む配線スイッチを開発した。 超低電圧デバイス(技) 日刊工業新聞(11.06.15) 超低電圧デバイス(技)は、電源を切ってもデータが消えない不揮発性磁気メモリー(MRAM)に かかる歪みを制御し、MRAMの性能を40%以上高める技術を開発した。 (技)単層CNT融合新材料研究開発 (技)単層CNT融合新材料研究開発機構は、オール印刷技術で作製するCNTトランジスタにつ NIKKEI ELECTRONICS(12.06.25) 機構 いて研究を進めている。 (技)単層CNT融合新材料研究開発 (技)単層CNT融合新材料研究開発機構、産総研、NECはカーボン・ナノチューブ(CNT)トラン NIKKEI ELECTRONICS(12.05.14) 機構 ジスタをプラスチック・フィルム上に印刷形成する技術を開発した。 (技)単層CNT融合新材料研究開発 日術誌(12.03) 機構 ナノ粒子研究のシンポジウム((技)単層CNT融合新材料研究開発機構研究者が参加した研 究発表) (技)単層CNT融合新材料研究開発 科学新聞(11.03.11) 機構 つくばイノベーションアリーナ・ナノテクノロジー拠点(TIA-nano)は、(技)単層CNT融合新材料 研究開発機構ら7団体と連携体制を構築する「TIA-nano推進協議会(仮)」の設置に関する覚 書に合意した。 バイオブタノール製造(技) 産業と環境(12.01) 地球環境産業技術研究機構(RITE)は、バイオブタノール製造(技)を設立し、非可食バイオマ スを原料とするバイオブタノール生産技術の確立と実用化を目的に全力で研究に取り組んで いる。 バイオブタノール製造(技) 石油通信(10.07.30) NEDOは次世代バイオ燃料製造技術の研究開発を支援するため、8件の提案を採択した。バイ オブタノール製造(技)などによる「非可食バイオマス由来混合糖からのバイオブタノール生産 に関わる基盤技術開発」も含まれる。 エピゲノム(技) 化学工業日報(12.01.27) エピゲノム(技)、次世代天然物化学(技)等が主催するJBIC研究成果報告会が開催される。 基準認証イノベーション(技) 日経産業新聞(12.02.08) 「スマートシティ」のインフラの環境性能を評価する国際規格を作ろうという、基準認証イノベー ション(技)の提案が、国際標準化機構(ISO)で可決された。 基準認証イノベーション(技) 日刊工業新聞(10.12.29) パナソニックや日立製作所などは基準認証イノベーション(技)を設立する。日本企業が共同で 技術の国際標準化を進める体制をつくる。 27 【主な各技術研究組合別記事一覧表】(つづき) 技術研究組合(技) ソース(時期) 関連部分の概要 次世代型膜モジュール(技) 化学工業日報(12.12.12) 地球環境産業技術研究機構(RITE)は、次世代型膜モジュール(技)を設立、CO2の分離回収 コストが、化学吸収法に比べて低コストな技術として期待される膜分離技術の高度化を推進し てきた。 次世代型膜モジュール(技) 化学工業日報(11.11.27) RITEとクラレなどは「次世代型膜モジュール(技)」を設立、CO2を排ガスから効率よく分離する 高性能膜を開発した。 次世代化学材料評価(技) 日刊工業新聞(12.08.16) 次世代化学材料評価(技)の研究グループと産総研ナノシステム研究部門の主任研究員は、 動作中の有機エレクトロ・ルミネッセンスデバイスの内部状態を分子レベルで計測できる手法 を開発したと発表。 次世代化学材料評価(技) 日経新聞(11.03.27) 化学大手11社と産総研は、次世代化学材料評価(技)を設立し、有機エレクトロ・ルミネッセン スを対象に寿命や性能などの評価技術を共同開発する。 次世代天然物化学(技) 化学工業日報(12.01.27) エピゲノム(技)、次世代天然物化学(技)等が主催するJBIC研究成果報告会が開催される。 (技)制御システムセキュリティセン ター WEDGE(12.09.20) (技)制御システムセキュリティセンターは経済産業省の事業委託を受け、制御システムのセ キュリティ技術研究や普及、人材育成と製品の安全性に関わる国際規格の相互認証などに 取り組んでいる。 (技)制御システムセキュリティセン ター 日刊工業新聞(12.04.17) 標的型サイバー攻撃に対抗するため、(技)制御システムセキュリティセンターの活動をスター トした。サイバー攻撃に対抗するセキュリティーの技術検証のほか、業界団体と協力してシス テムを輸出する際に必要となる海外と連携した認証、検証ツール標準化などを推し進める。 (技)制御システムセキュリティセン ター 日刊工業新聞(12.03.20) 経産省は「(技)制御システムセキュリティセンター」を立ち上げ、インフラ制御システム向けの セキュリティ技術を検証する。 高効率モーター用磁性材料(技) 日刊自動車新聞(12.12.11) 高効率モーター用磁性材料(技)は、電動系エコカーに欠かせない次世代駆動用モーターを開 発するため、NEDOから委託を受け研究を始めた。 高効率モーター用磁性材料(技) 化学工業日報(12.11.30) 戸田工業は窒化鉄ナノ粉末の量産化技術の開発に成功した。当面は高効率モーター用磁性 材料(技)を中心にサンプル提供する。 高効率モーター用磁性材料(技) 日経新聞(12.10.10) トヨタ自動車や三菱電機などは、高効率モーター用磁性材料(技)を立ち上げ、省エネ家電の モーター用にレアアースを使わない新磁石の開発に乗り出す。 28 2.2 2.2.1 検討会議の開催、運営 会議目的 技術研究組合の実態共有及び現在の技術研究組合に関する課題の共有、直近の技術研究組 合に関する話題共有を目的に、平成 24 年 3 月 8 日(金)10:00~11:00 に地方局との担当課 長会議を開催した。 また、前述の「技術研究組合の運営状況把握に関する調査」に係る説明会において、調査 説明に加え技術研究組合の現状と課題についての情報共有を実施した。 以下には地方局との担当課長会議の実施概要について示す。 2.2.2 議事内容 以下の議題について、説明及び質疑が行われた。 ・ 「技術研究組合」の現状・課題など ・地域において活動している新設技術研究組合の概要 ・税制(圧縮記帳・研究開発税制)について ・イノベーション実用化ベンチャー支援事業の活用について ・技術研究組合をPRする既存イベント等の紹介 ・各地域における技術研究組合の新規発掘 29 2.3 課題と解決策の整理・取りまとめ 2.1 及び 2.2 の結果を踏まえて、事業化課題・監査的課題及び解決策のとりまとめを行っ た。 2.3.1 事業化課題の整理 事業化・実用化にむけた課題(事業化課題)として、以下が考えられる。 ・試験研究及び実用化の目的の明確化 ・組合員の役割分担など、試験研究の実施体制の明確化 ・試験研究を実施するための経理的基礎の確保 ・組合員が協同する事による効率化 ・迅速な事業化・実用化を実現するための、技術研究組合制度の活用 2.3.2 監査的課題の整理 業務の健全性や適切性に係る課題(監査的課題)として、以下が考えられる。 ・適切な会計処理 ・役員の属性及び人数の適正化 ・主要な情報の公開による透明性の確保 2.3.3 解決策に対する考察 上記のような課題に対しては、①本調査における各種マニュアルの改訂の際に、法律で求 められる事項(義務的事項)および法律では求められないが実施を推奨する事項(推奨的事 項)を記載、②当該記載内容を周知徹底、③当該記載内容に関連する項目について定期的に 調査、等する事により、改善すると考えられる。 30 3. 総合的な指針の取りまとめ 3.1 技術研究組合の設立、運営時における課題等の整理 技術研究組合の設立時及び運営時の課題として、前掲 2.3.1 の事業化課題及び前掲 2.3.2 の監査的課題の全てが該当すると考えられる。設立時・運営時を通じて恒常的に、事業化課 題及び監査的課題を意識して対応する事が重要と考えられる。 3.2 各種指針の取りまとめ 技術研究組合の設立、 運営時における諸課題を改善するため、 以下の指針を取りまとめた。 ・技術研究組合の設立に関する内部審査基準の策定に係る指針(別紙1) ・技術研究組合の設立、運営等に係る各種マニュアルの改訂に係る指針(別紙2) ・技術研究組合における会計処理指針の策定に係る指針(別紙3) 31 技術研究組合の設立に関する内部審査基準の策定に係る指針(別紙1) 技術研究組合の設立に関する内部審査基準の策定に係る基本方針等を以下に示す。 1.内部審査基準の策定の考え方 技術研究組合の設立申請時において、 主務省庁では設立時組合員から提出された申請書類 を確認し、その妥当性等を判断する必要がある。その判断を確認する担当者の裁量に委ねる とした場合、 設立される組合の実効性や効率性といった点で組合ごとに濃淡が生じる。 また、 判断基準が不明瞭であるがゆえに、確認作業が煩雑になることも想定される。さらに、統一 的な対応が行われない場合、法施行という観点からの説明責任を果たすことが困難になる。 以上の点から、設立認可を行う際には、審査側における統一した判断基準が必要となる。 こうした点を踏まえて、 技術研究組合の設立に関する内部審査基準の策定検討を行うことが 必要である。 2.内部審査基準の構成 審査基準の構成などを以下に示す。 ① 技術研究組合法に照らし合わせた妥当性等の審査基準 · 第三条第一項各号の要件を備えていること。 · 設立手続並びに定款、試験研究の実施計画及び事業計画の内容が法令に違反しな いこと。 · その事業を行うために必要な経理的基礎及び技術的能力を有すること。 · その行おうとする試験研究が組合員が協同して行うことによって効率的に実施 し得るものであること。 ② 事業化課題と照らし合わせた妥当性等の審査基準 ③ その他、妥当性等を図るための審査基準 32 技術研究組合の設立、運営等に係る各種マニュアルの改訂に係る指針(別紙2) 技術研究組合の各種マニュアルの改訂に係る基本方針等を以下に示す。 1.各種マニュアルの改訂の考え方 マニュアル改訂は以下の観点から行う。 · 書面間での項目や記載例及びモデル書面の記載による重複の排除 · 書面の目的に照らし合わせた記載項目の追加 合わせて、技術研究組合の管理という観点からは、各組合の活動を一連の流れで把握する ことが必要となることから、現状の「設立マニュアル」 「運用マニュアル」 「解散マニュアル」 を統合して「技術研究組合の設立・運営等ガイドライン」として一本化する。 2. 「技術研究組合の設立・運営等ガイドライン」の構成 「技術研究組合の設立・運営等ガイドライン」の構成を以下に示す。 第1章 設立 ・設立に必要な書類等一覧、設立関係スケジュール、設立認可要件 ・設立を検討する組合の概要資料 ・各資料の記載要領(技術研究組合設立認可申請書、定款、試験研 究の実施計画書、事業を行うために必要な経理的基礎及び技術的 能力を有することができるものであることを説明する書面、試験 研究が組合員が協同して行うことによって効率的に実施すること ができるものであることを説明する書面、成立の日の属する事業 年度の事業計画書及び収支予算書、役員となるべき者の氏名及び 住所を記載した書面) 第2章 運営 ・事業計画及び収支予算の届出 ・事業報告書等の提出 ・定款の変更の認可申請 ・規約の設定、変更又は廃止の届出 ・事業計画又は収支予算の変更の届出 ・役員の変更の届出 ・定期調査等への対応 ・情報発信・情報公開への対応 第3章 組織変更等 ・組織変更 ・新設分割 ・合併 ・解散 33 技術研究組合における会計処理指針の策定に係る指針(別紙3) 技術研究組合における会計処理指針の策定に係る基本方針等を以下に示す。 1.各技術研究組合における会計処理指針の策定の考え方 昨今の技術の高度化・複雑化に伴い、技術研究組合制度の活用が進んでいる。技術研究 組合は、主務大臣の認可の下、各組合員が研究者、研究費、設備等を出しあって共同研究 を行い、その成果を共同で管理し、組合員相互で活用するものであり、わが国の研究開発・ 実用化の活性化に寄与する公的制度である。 同制度における適切な管理を通じて広く国民の理解促進を行うことで、同制度のさらな る活性化が期待される。また、適切な運営管理を行うことによって、組合内での内部管理 体制の向上を図ることにもなり、研究開発の更なる活性化が期待される。 以上の観点から、技術研究組合は、公的組織として、会計面においても一層適切な処理 が必要であり、そのためにも、今後の適切な会計管理を実現するための会計処理指針を策 定することが求められる。 2.各技術研究組合における会計処理指針の構成 各技術研究組合における会計処理指針の構成を以下に示す。 ① 会計の原則 ・ 一般に公正妥当と認められる会計の慣行の遵守 ② 決算関係書類 ・ 決算関係書類の作成に係る期間の適切な設定 ・ 決算関係書類の会計帳簿に基づく作成 ・ 財産目録、貸借対照表、損益計算書、剰余金処分案又は損失処理案について、適切な 区分及び項目の表示 ③ 会計帳簿 ・ 会計帳簿の書面又は電磁的記録による作成 ・ 資産の適切な評価(取得価額、償却、時価、減損、等) ・ 負債の適切な評価(時価、合理的な見積額、等) 34