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インテリジェントビル配線システム
特集 都市開発におけるインテリジェントビル U皿C.〔725.23:る5.011.4〕:る9る.る インテリジェントビル配線システム WiringSYStemSforlnte=gentBuilding インテリジェントビルの配線システムは,インテリジェントビルのビルディ ングオートメーション,オフィスオートメーション,情報通信分野への対応の ための機能性,将来の変化に対応するフレキシブル性,及び優れたオフィス環 榎並俊一* E邦α〝‡よ 7もぎゐZゐαヱ〟 斉藤健一* 助抑'才c鬼才5b才′∂ 増岡信雄** ∧わぁ〟β朋bs〟0々α 摺木 境にマッチする環境性が強く求められる。 恵*** 奥田雅夫**** 〟eg〝桝才5卯γ放才 触α∂()々加(由 電力用幹線としては低インピーダンスの特殊ケーブルを実用化し,情報通信 用としては機能的なデータ電話複合端子盤,耐熱光ファイバを用いる防災信号 多重システムを開発した。 オフィス内ではフロア配線システムとしてフリーアクセスフロアやアンダー カーペットハイブリッド配線システムが今後の主流となると予想される。これ らのオフィス内配線を更に効率的に行うために,配線と家具の機能を融合化し た業際的な新コンセプトによるモジュラーボックスを開発した。 n 緒 言 IB(インテリジェントビル)は,高度なBA(ビルディングオ きた2)。これは導体が平板で密着配置のため,導体中心間隔が 小さく低インピーダンスとなる利点がある反面,短尺で接続 ートメーション),TELECOM(情報通信),OA(オフィスオー トメーション)機能を持っている。こうしたハイテクノロジー 部が多〈布設作業性,保守性などの点で長尺のケーブルに比 な部分がクローズアップしている一方,IBのオフィスを知的 べてタ;っていた。 な情報生産現場として認識し,主役である人間の生理的,心 理的な快適性を求めるハイタッチな環境が重硯される。 てフラット状の導体構成とする,大容量低インピーダンス IBでのこれらのハイテクノロジー機能を維持するため,電 九 そこで,大きな断面積の導体を小導体に分割し並列に並べ 制御,情報,通信などの各種配線が多量に用いられ,し かもビル建設時の対応だけでなく,将来に対する各種OA,情 フ ラットケーブルシステム(リフラット㊥ケーブルの各種構造を 図lに示す。)が開発され多用されている。 図2に丸導体3心ケーブル,単心ケーブル3条布設,絶縁 報機器の増設,移設に対しフレキシブルに対応できるインフ ラストラクチャーとして配線システムを位置づけることが必 要である。 更に,オフィス部分では欧米に比べて最も劣っており,そ 挺′ の改善が強く求められている。オフィス環境を悪化させない で,配線機能を維持することが大切である。 したがって,IBでは一般ビル以上に配線システムの重要度 が増してきており,本稿ではこの分野でのニーズにマッチし, BA,TELECOM,OAの分野に関連した配線システムのなか から,特長のあるものの概要を説明する。 囚 BA,情報通信配線システム 2.1電力用幹線システム エネルギー源となる電力分野では,電力幹線システムが問 題となる。多数のOA,情報機器が使用されるため大容量の低 注:略語説明 圧電源が必要となr),幹線の選択に際しては電流容量だけで なく電圧降下対策が重要となる1)。そのため,従来大形ビルの 低インピーダンス幹線としては絶縁バスダクトが多用されて * 日立屯線株式会社臼舐+二場 ** *** 臼_、ンニ′鑑松林式会社 (C)CV-FM (b)CV-F (a)SH-∨∨-F SH一∨∨一F(耐熱ビニル絶縁タイプ) CV-F(架橋ポリエチレン絶縁タイプ) CV-FM(架橋ポリエチレン絶縁マルチコアタイプ) 図l各種リフラットケーブル 導体を分割しフラット状にLてあ るため,相導体間隔が小さくなり低インピーダンスとなる。 臼、Hモ拭株式会社熊行工場 **糊 日立製作所システム事業部 63 748 日立評論 VOL.69 No.8(1987-8) 力奉0.9(一帳対応)での許容電流とインピーダンスの関係(50Hz) 0,3 CV3心ケーフ1ル 注:△-△600V 600V 100mm2△ (∈ミ望 0 2 CV3心ケーブル / X-× 600V CV単心3条ゴ=2d布設 ○-0 600V CV-F ローロAトFe絶縁バスダクト r ぺ八一一札-山∴† 150二:三ゝ 600V CV卓心3条J=2d 0 2,000A 1,500A 600V □ CV-F 500 2.500A Al-Fe絶縁バスダクト/ 1,000 1,500 2,000 2.500 三相3線式,周囲温度400cの場合の許容電流(A) 図2 リフラットケーブルと各種配線方式の電気特性比較 丸導体3心ケーブル,単心ケーブル3条布設,アルミ導体絶縁 バスダクトに比べてCV-Fのインピーダンスはバスダクトと同じ程度に低い。 バスダクトと比較したリフラットケーブルCV【Fタイプの許容 にクロスコネクションなどを行うことができる。 電流とインピーダンスの関係を示すが,絶縁バスダクトと比 2.3 べそん(遜)色のない値を示している。 防災信号多重伝送システム 高度なセキュリティ,防災機能を必要とし,これを維持す 一方,特殊導体構成のため複雑化する中間分岐作業は,工 場であらかじめプレハブ分岐する方法を採用し,布設作業の るため従来以上に多くのセンサ回路や制御回路などが必要と 省力化と高信頼化を図っている。 来は一般にメタル導体のケーブルが用いられ,制御室,シャ 2.2 情報通信用幹線システム 情報通信分野の基幹設備としてディジタルPBX(Private なり,ビルの各所に非常に多くの配線が張I)巡らされる。従 フトなどの配線集中部分では占有スペースが大きくなり,電 磁誘導などのノイズも受けやすい欠点があった。 BranchExchange)や各種LAN(LocalAreaNetwork)が使 これに対しては,分散した各種計測信号を多重化し,光フ 用されるが,機器の増設や移設がしばしば行われるため,各 ァイバを用いて伝送するユニットOMT-50シリーズが開発さ 階のIDF(通信用端子盤)での回線の切換えが容易に行えるこ れ配線を単純化している。しかし,この方式も防災関連設備 とが必要になる。また,従来のIDFは電話回線の中継,分岐機 には光ファイバの適用が耐熱性能上認められていなかったた 能専用であったが,分離,切換機能などを付加し,更に各種 め適用できなかったが,最近改良され耐熱光ファイバケーブ 情報,データ回線との複合化を行ったD-TELIDF(データ, ルの適用が可能となり,防災信号の多重伝送が活用できるよ うになった。 通信複合化端子盤)を開発した。 図3にこの複合IDFを用い光ファイバ幹線や各種フロア配線 図5にシステム構成例を示すが,伝送ユニットOMT-55間 を併用した場合の情報通信配線システム構成例を示す。対ケ を耐熱光ファイバで結び,リモートアダプタRA-20を介して ーブル(ツイストペア)回線は,電話用だけでなく今後はデー タ用への適用拡大が予想され3),そのための接続モジュールは 監視制御用コンピュータに接続される。図6にOMTユニット 中継,分艶,切換機能のもの,更にサージアレスタ,コンデ 256/JS/16点と高速で,ほとんどリアルタイムな伝送が行える。 ンサ,LED(発光ダイオード)インジケータなどの特殊機能部 品も任意に組み合わせてシステムを構築することができる。 田 図4にこのモジュール,同軸ケーブル中継,イーサネットLAN 3.t のトランシーバ変換部などを内蔵した複合IDFの組合せ例を示 すが,回線切換え用コード(パッチコード)の着脱によ-)容易 64 の外観を示すが,小形で設置が容易であl)データ転送周期は OA用オフィス内フロア配線システム フリーアクセスフロアシステム オフィス内でのOA用配線に求められるフレキシブル性と良 好な環境の維持の両方を満足させるためには,フロア面から 749 インテリジェントビル配線システム D一丁E+ DSU ‖〕F 端末装置 接続 モジュール (分岐機能付き) 一/フラット フロアケーブル 光アンダーカーペット ケーブル DSU 匡≡垂∃ / (光フロアケーブル) / フロア情報コンセント 副幹線 (対) lDF間…フロア内 フロア間のわた (亘)り用 D一丁E+ ‖〕F ′一・一+r 床埋込変換ボックス / ]/ 配管 フラットフロアケーブル 接続モジュール / 端末装置 ヽ\ /メ ノン′ 。イ′ ヽ小ヽ 注:略語説明 キゃもゝ 匡垂喜司 \吟 丸形対ケーブル DイELIDF(データ,通信複合化端子盤) MDF(主端子盤) BPBX(ディジタル交換機) DSU(ディジタル変換ユニット) フロア情報コンセント 主幹線 (対,同軸,光) 〔MDF∼DSU間〕 ノノ′ンシ/ ′′′′′/////一//ノ ′/′// ク//′///′// イ//′////// /ノ/′/////// 日本憲実軍票- D P 図3 D一丁ELIDFを用いた情報通信 従来旧F(通信用 配線システム構成例 【=DYハ 端子盤)の電話回線切換機能に加えて,分 離,切換えのほかデータ回線端子盤の機能 .MD 「「 も付加している。 監視・制御用コントローラ D10 OMT-55 / 一-ディジタル信号16点 →ディジタル信号16点 ′′′′ [コ 耐熱光ファイバ RS-232C / ノ RA-20 OMT-55 Al 一-アナログ 信号4量 / OMT-55 AO 一一一--一一アナログ信号4量 注:略語説明 図4 D一丁ELIDFの内部1犬況 各種機能モジュールで構成された 対ケーブル用端子盤は,パッチコードで切換えが可能で,同軸ケーブル 中継,LAN(+ocalArea 図5 OMT-55 D10(ディジタル入出力ユニット) 0MT-55 Al(アナログ入力ユニット) 0MT-55 AO(アナログ出力ユニット) RA-20(リモートアダプタ) 防災信号多重伝送システム構成例 耐熱光ファイバケーブ ルと組み合わせると,防災信号を多重伝送することができる。 NetvJOrk)回路収納などの機能も持っている。 65 750 日立評論 VOL.69 No.8(1987-8) ∵才一一f【ン 軸 髄 耶弧 l し〉l1-111-1、 脚山野臥臥掛 抑脈打掛取㈲鮮取掛 淋瞥臥 池;齢臥臥 伽藍 l 誓雷脚 図6 はん(汎)用形多重光伝送ユニットOMト55MCU (a) 中容量な いし大容量の信号を多重化して,2心の光ファイバで長距離をデータ多 重伝送する。 済鞠′、毎 の配線が主流となる4)。日立金属株式会社ではコンピュータル 。ヽゝヤゝ、 のOA用のニーズにこたえる低床二重床フロアモジュールシリ ーズを開発した。 IB用フロアに要求される特性は次のとおりである。 (b) ヂ′ 歯 ーム,クリーンルーム用などで用いられる高床二重床フリー アクセスフロアの多年にわたる多数の実績から,オフィスで 回7 毎 フロアモジュールシリーズ製品 軽量なアルミダイカスト のパネルで500〔(a)500角グリッド,支持脚分離形〕,300〔(b)300角グリ ッド,支持脚一体形〕などがある。 (1)居住性に優れ歩行感が良いこと。 (2)施工が簡単で,メンテナンスが容易なこと。 (3)配線が容易で,コンセントが自由な位置にとれること。 (4)トータルコストが安いこと。 ?滋二;′ フロアモジュールシリーズには,表1に示すような各種材 質,サイズがあり用途により選択できる。 アルミダイカスト製は軽量で(9kg/m2,16kg/m2),既設ビ ルでのインテリジェント化改装用としては最適で,仕上材は タイルカーペットでオフィス環境も改善される。コンフロア は無機質系床パネルで,重量はアルミ製よりも重いが,居住 性,歩行感は極めて良く,仕上材はタイルか-ペットである。 木質系は居住性,歩行性に優れ仕上材はビニルタイル,タイ ルカーペットの両方が使用可能であり,加工が容易で工事日 数が短縮できるという特長がある。図7に製品の一例を示し, 図8にオフィスでの適用状況を示す。 3.2 アンダーカーペット配線システム 図8 人間重視のオフィス環境向上の効果が極めて大きな床表面 表lフリーアクセスフロアフロアモジュールシリーズの種類 フ 種 ロ パ 質 フロアモジュール300 アルミダイカスト フロアモジュール500 ネ フロアコンフロアC-45() 無機質(コンクリート系) ト系パネルを用いたコンフロアC-450で布設されたオフィス床を示す。 ル 床高さ(mm) 積載荷重(kg) 58,川0 500 パネルグリル形,支持脚一体形 500 パネルグリル形,ソリッド形 パネル支持脚分離形 寸法(mm) 300×300 500×500 // 75以上任意 450×450 // 450 タ フロアコンフロア∨-450 // 450×450 // 500 // フロアコンフロアG-500 // 500×500 // 500 // 450×450 // 500 // フロアモジュールP-450 木 質 コンクリー 各種の材質,サイズ,方式があり,用途によって選択できる。 類(商品名) 材 66 ア フリーアクセスフロアのオフィスでの適用状況 イ プ インテリジェントビル配線システム のタイルカーペット仕上げが普及している。このタイルカー 路の接近交差時の誘導障害防止効果が大きい。 ペットと床面の間に1∼2mm厚さのフラット状のケーブルを (c)IDC(InsulationDisplacementConnector)方式のコン 布設するアンダーか一ペット配線システムは,オフィス内の セント,端子台は専用工具なしで着脱でき,極めて作業性, どこにでもフリーにアクセスでき,自由に追加変更ができ, メンテナンス性に優れている。 露出配線が皆無となるのでIBやOA化オフィス用には好適なシ (d)通信用FFシリーズは,透明保護テー70の採用で用途別 ステムとして多用されている5)。 の識別ができ,その伝送特性から電話,データ用に適用可 (1)電力,通信,データ用の仕様と特長 能である。 751 図9に各種ケーブルの断面構造を示すが,いずれも薄いた め比較的厚いパッキング層を持ったタイルカーペットの上か らはその存在はほとんど分からない。平面状の布設のため方 向変換は電力,通信用では折-)曲げ方式を採用し,分岐など には特殊な工夫がなされている。図10にこのシステムを通用 したオフィスの状況を示す。 電九 通信,データ用システムの特長は次のとおりである。 (a)電力用では上部接地用保護層(特許)により安全性,作 業性,保守性に優れる。 (b)静電,電磁遮へい併用構造のため,強電回路,弱電回 保護用スチールテープ ケーブル 地絡保護用接地銅テープ / 謹 6S:≡;:≦ヨ 200∼250 アンダーカーペット配線システム適用オフィス状況 床面 に露出した配線は皆無となって優れたオフィス環境となり,Lかも必要 導体 ボトムシールド 図10 によりどこにでも配線できる。 絶縁体 (a)電力用3導体 3導体(単相2線+接地)20A 5導体(単相2回路+接地)20A 3導体(単相2線+接地)30A 5導体(単相2回路+接地)30A 紛議 督 ドレンワイヤ 対 臣X鰍亘噸 額■捗 掛3 ト1 50 (b)通信用10ペア 2対(0.4×4+ドレンワイヤ) 2カッド(0.4×8+ドレンワイヤ) 4対(0.4×8+ドレンワイヤ) 5カッド(0.4×20+ドレンワイヤ) 6対(0.4×12+ドレンワイヤ) 8対(0.4×16+ドレンワイヤ) 10対(0.4×20+ドレンワイヤ) 内部導体 絶縁体 外部導体 ドレンワイヤ ジャケット 仁 平衡同軸 (インピーダンス100日) 12 平衡多対 イイイイ プププブ イイイイ 々′タタタ 同同同同 ン ピーダンス50詑) 由 ・垂丁重⊥由十・,申丁 ン ピーダンス75n) 由 ン ピーダンス93n) 由 ン 由 ピーダンス125詑) (2札6対,10対,18対) 光ファイバ 感蔓 (Glファイバ,1心,2心) (c)データ用同軸 図9 各種アンダーカーペット配線用ケーブル断面図と種類 0.8∼2mm程度の薄いフラット状のため,タイルカーペットの下に布 設されるとほとんど分からない。 図11床埋込みボックスを用いたハイブリッド方式(電力用) 電線管で配管された床埋込みボックス内で,丸導体ケーブルと変換接 続L,フラットケーブルで床面に引き出しコンセントを取り付ける。 67 752 日立評論 VOL.69 No.8(1987-8) 窓台 周り配線スペース n ・.I■. 「丁・「 二i j l l 電力用アンダー 通信用サブ幹線 EPS卜 カーペットケーブル ・二l ・二l 分電盤 lDF ー十l l 川 l ▼瑚J ◎ データ用埋込み ボックス 電力用サブ幹線 rTll 埋込み電線管(電力配線) 電力用埋込み ボックス AC PS _+ l 内サブ分電盤(ELB内蔵)・ ・‡f l l l l ------一周-一予備用埋込みボックス 甲 ∴l 二l 碧竺写完ン弓、、 ̄力 ̄ペット 至芸≡ニーニ仁一一両壷訪ソ,ス DS l l l:埋込み電線管(通信配線)・: : l +___■__--_一トーーー⊥一--一一-一々 AC PS 一一【周 l 口 l 口 l 一+国 図12 窓台内配線と床埋込みボックスの併用方式例 注:略語説明 ELB(漏電遮断器) lDF(通信用端子盤) EPS(電気パイプシャフト) DS(ダクトシャフト) ACPS(空調パイプシャフト) 窓台内からすペてアンダーカーペットケーブルで引き出す方式に比べて, 併用方式のほうがフラットケーブルの長さが短くなり経済的となる。 (e)データ用も多くの種類が完備している。 (2)ハイブリッドシステム オフィスの用途により埋込み配管,フロアダクト,セルラー か ダクト,オープンピット付きフリーアクセスフロアなどと組 ▼ 「-----「---1し一「-- この配線システムは,単独でも極めて有効であるが,その み合わせて適用するハイブリッド方式は,機能性,環境性及 び経済性をより高めることとなる6)。 「-+ 特に新築の中小ビルでは,フロア面に分散配置した小形床 埋込みボックスを電線管で結合し,国11に示すようにボック ス内で丸導体ケーブルと変換接続し,フラットケーブルで引 き出す方式が多用されている7)。大規模ビルでも窓台周りの室 内配線から各種フロア配線方式で引き出す方法がよく用いら れるが8),この場合も埋込みボックス方式を併用して効率化す ることができる。図12にその一例を示す。 巴 4.t 日立モジュラーボックスシステム 注‥巨l(配線用モジュラーボックス [≡≡](旧F) 匡≡窒ヨ(分電盤) コンセプトと適用方法 -〔通信用フラットケーブル(50)〕 〔電力用フラットケーブル(20A)〕 □ 通信用コンセント(モジュラージャック付き)〕 前述の配線方式によって,机の下までは露出配線がなく美 しく処理できるが,OA機器類を設置した机周りでは,フロア ●-(電話機(端末器)コード(モジュラージャック付き)〕 ◎ 電力用コンセント(アース付き2個口,4個口)〕 耽(他のコンセントヘの送り配線) と機器間,機器相互間の各種配線が机の背面で雑然と結線さ れ,環境を損ねるとともに安全,保守上から問題となる。こ れを解決するためには,配線機能内蔵の高機能OA専用机やロ ーバティションなどが用いられているが,新規購入が必要と 68 図13 モジュラーボックスのオフィス内通用例 対向配置の机間 や机の背面,側面などに配置し,配線処王里と家具の機能向上を図る。 インテリジェントビル配線システム 753 なる。 モジュラーボックスはこれらを用いないで,標準事務机主 体のオフィスでもインテリジェント化時の問題を解決し,更 に家具としても高機能化するもので,配線と家具の機能を融 合化する新しいコンセプトのもとに開発されたシステム家具 (a)基本モジュール である。 図】3に典型的なオフィス机配列でのモジュラーボックスの 適用例を示すが,対向机列間にモジュール的に連接使用した り,机列の背面や側面などに並べて使用する。 (b)ピンナップ 仕様,機能と特長 4.2 ボード取付け このボックスは自立可能な150mm程度の厚さで机と同じ700 mmの高さ,長さは700∼1,200mmのボックスで,国14に示す ような基本モジュールにオプションとして間仕切-)用ピンナ ップボードやカウンタユニットを組み合わせることができる。 如峨 ̄-・ 音 由碗礫球 図15にその内部結線状況を示すが,床面からの各種配線の 立上げ,この配線のレイアウト変更に対応する余長分を収納 ‡ して,上部に内蔵した電力,通信,データ用各種コンセント 音 に接続する。上部の長尺パッキン付き開閉カバーを開けて機 器のプラグをコンセントに継ぎ込み,コード余長分を内部に (c)カウンタ 収納しカバーを閉じる。隣接モジュールには通線窓を通して ユニット 取付け 図川 送-)配線ができ,内部のスペースが大きいのでモデムやLAN 用の小形機器も内蔵可能である。 厚さ150mm,高さ700mmのボ モジュラーボックスの仕様 ックス状で,オプションでピンナップボードやカウンタユニットを組み 日立モジュラーボックスの特長は次に述べるとおりである。 合わせることができる。 (1)フロア面,机周りの配線を効率化する。 (電話機へ) (端末機へ) (機器へ) 電話用変換ボックス (モジュラージャック付き) 同軸ケーブルー カバー開閉経路 モジュラー 機器電源コー コード▲一十 __一一一一一 ̄\ 一一電話用送り配線 一一一一一一一′ I-電力用送り配線 / 開閉カバー 送り配線ロキャッフ (長尺ゴムパッキン付き) 電力用コンセント (テーブルタップ) データ用変換 ボックス(BNC付き) コンセント取付板 電源用り一ド線立上げ会長 同軸ケーブル会長 機器コード余長 棚板 R モデム,LAN トランシーバーな どの小形伝送機器 咤 電力用変換ボックス 一・■ ̄ 一一 一一 / ̄ 二†一一一一\′ ̄ _′一一` ̄ く\ て ̄ \ タイルカーペット 〃 ′、\二\一一一 〃〟†㌔′r'ヾ\ (リード線引出し端子付き) \ \ \ \\-\ゝ--\ \ \ 電力用フラットケーブル 、、、- 寸\ 、 図15 モジュラーボックスの内部結線図 \ \ 電話用フラットケーブル データ用フラットケーブル 床配線からの立上げ,レイアウト変更用会長,各種コンセント内蔵,機器コード会長処理,小形機器 収納などの機能を持っている。 69 754 日立評論 VOし.69 No.8(1987-8) (2)レイアウト変更,機器の増設,移設にフレキシブルに対 応できる。 頑夢 (3)机上配線の整理,余長処理が容易で,優れた環境となる。 (4)経済的なデスクと組み合わせて,家具を高機能化できる。 (5)ニーズに合わせて選択,構築できるモジュール構成。 (6)経済的に従来オフィスのインテリジェント化を行うのに 最適である。新築時にもコストパフォーマンスを向上する。 図16に使用時の内部状況を,図17,18に連接使用時の優れ た外観を示す。 呵 結 言 IBに求められる各分野でのニーズにマッチした機能の各種 図16 電九 電話,データ 用フラットケーブルで立上げ,各種機器にコンセントを介して継ぎ込む。 モジュラーボックスの実用結線状況 配線システムの一部について紹介した。特に環境性が重視さ れ,かつフレキシブル性が求められるオフィス内配線につい ては,フロア配線システムとしてのフリーアクセスフロアと, アンダーカーペット配線システムが今後の主流になると予想 膠巌慶鑑轡 移 される。その適用については,そのオフィスの用途,規模な どによって,エンジニアリングにより適材適所に最適なもの 触 を選定することが必要である。 また,単に配線分野だけでなく,家具分野とも複合化した 業際的なモジュラーボックスのコンセプトを開発したが,IB ではこのように建築構造,床仕様,家具,内装なども含めた トータル的なシステムとしての検討が必要である。 更に,IBでは現時点だけでなく将来の拡張,変化を見越し たインフラストラクチャーとしての基盤部分だけは当初から 確保しておくことが不可欠であり,その上でいかにしてフレ キシブルかつ良い環境を保ちながら配線するかが最重要な課 図17 机列と組み合わせたモジュラーボックスの外観 機器のコ ード葉頁は最少の露出で,優れたオフィス環境となる。 題と言える。 モジュラーボックスについては,株式会社日建設計折原明 男技師長の示唆によるところが大きかった。ここに厚くお礼 を申しあげる次第である。 参考文献 1)河野:超高層ビル用電力幹線の動向,日立評論,56,3,283287(昭49-3) 2)平野,外:ビルディング用絶縁バスダクトの耐震性,日立評論, 56,3,288-292(昭49-3) 3)鈴木,外ニビル内情報システムの新配線方式,電気学会産業電 力応用研究会資料IA-86-18,23-32(昭6ト11) 妻′′撃落エ1′1 脚ぎぎ軍書着きき4)増岡:フロア配線システムの種類と評価,ED,25,28-31(昭 6ト10) 着き妻 5)増岡:アンダーカーペット配線システム,昭60電気・情報関連 学会連合大会論文集,2-100∼101(昭60-9) 6)増岡,外:インテリジェントビル用ハイブリッド配線システム, 電気学会産業電力応用研究会資料IA-86【17,15∼20(昭61-11) 7)風戸,外:床埋込み変換ボックス式アンダーか一ペット配線方 図18 モジュラーボックス上部結線状況 開閉容易な両開きカバ ーの長尺パッキンでコード頬を挟む。送り配線は側面のキャップを外L て行う。 70 式の特性,総合建築,206,66∼70(昭62-4) 8)折原:OAと建築電気設備総論,昭60電気・情報関連学会連合 大会論文集,2-85-86(昭60-9)