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12 自動車板金 主査 三浦 公嗣 先生 (岩手県立産業技術短期大学校) Autobody Repair 自動車車体外板を手加工により成形する。 自動車車体外板は、専用の プレス金型によって大量生産 されています。 しかし、モーターショーに出 品するショーモデルカーや、 第51回技能五輪 競技課題例 量産前の試作車、クラッシッ 魅 力 クカーの復元などは、専用金 そのため、手加工を主体とし 憧れのニュ-モデルの 第一号試作車を作り出す。 た「自動車板金」の技能と技 「自動車板金」職種の魅力、それ 術が必要になります。 は 1 枚の平鋼板を素材として、それ この職種では、1 枚の平鋼 を美しい曲面や複雑な形状などに成 板から自動車車体をモデル化 形し、この世で唯一の車体を製作で した複雑な曲面形状の製品を きることです。 型に頼ることはできません。 手加工により成形し、溶接に より組み立てます。 しかも身近な手工具 第51回技能五輪 競技風景 である板金ハンマーや 木ハンマーなどを用い、 競 技 の ポ イ ン ト 手作業で実現できるこ 鋼板から美しい曲面を形成する。魅力的な車体の造形。 とです。鍛えられた知 と技によって、華々し 今回の課題は、レーシングカーを ディへのつなぎ部分には、逆Rのあ いショーモデルカーはもとより、量 連想させるような形状で、平鋼板か る左右対称のくびれ曲面加工があ 産前の新型モデルの試作、カスタム らすべて手加工で成形し、その寸法 り、寸法精度や凹凸が混在したR形 カー(特別仕様車)、クラッシックカ 精度・R形状精度・表面仕上げの綺 状の仕上げ状態などに高度の技能や ーの復元、事故車の修理まで、あらゆ 麗さを競います。 技術が求められます。さらに、後輪 る車体成形の要望に応えられます。 今回の課題は、主に 2 つの部品か のホイルハウスの一部がコックピッ ら構成されています。前輪と後輪の ト部取り付けのために切り取られて ホイルハウスをイメージした直径の いるため、変形を最小限にとどめる 異なる半円筒を低くワイドなボディ 加工手順の選択が重要になります。 自動車外板に限らず、 金属板材の造形美がある限り。 でつないだ本体と、本体の中央部に また、コックピット部はコンパク 素敵なデザインの車は人々を魅了 コックピットをイメージした部品を トな中に多数の曲面が組み込まれ、 します。重厚なデザインから華麗な 配置しました。ホイルハウスからボ 加工限界に近い加工が要求されるた 流線形まで、人々の個性や時代と共 将 来 性 め、割れを生じさせな に自動車のデザインは変化します。 い細心の注意力と集中 「自動車板金」での立体成形技術は、 力が求められます。こ 自動車に限らず、あらゆる工業製品 れらを制限時間内に平 の試作、建築装飾、芸術品にまで幅 鋼板から別々に成形 広く通じるものです。 し、溶接によって組み 人々の個性が多様化し、美しい形 立て、課題を仕上げる をした個性ある製品が求められる時 競技です。 代ほど、この技術は発揮されます。 The 52th National Skills Competition 31